ブリッジレポート
(7776) 株式会社セルシード

JASDAQ

ブリッジレポート:(7776)セルシード 2020年12月期第1四半期決算

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橋本 せつ子 社長

株式会社セルシード(7776)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

精密機器(製造業)

代表者

橋本 せつ子

所在地

東京都江東区青海二丁目5番10号 テレコムセンタービル

決算月

12月

HP

https://www.cellseed.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

444円

13,408,065株

5,953百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-

-

99.01円

4.5倍

*株価は05/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年12月(実)

100

-1,413

-1,415

-1,414

-

-

2017年12月(実)

85

-956

-964

-966

-

-

2018年12月(実)

1,026

140

140

129

11.35

-

2019年12月(実)

275

-780

-786

-782

-

-

2020年12月(予)

310

-1,020

-1,020

-1,020

-

-

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

(株)セルシードの2020年12月期第1四半期決算の概要と今後の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第1四半期決算概要
3.中期経営計画(20/12期~22/12期)
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学を基盤に、細胞シート再生医療事業、再生医療支援事業を手掛けている。細胞シートは、ヒトの細胞を採取し、温度応答性細胞培養器材を用いてシート状に培養した薄い細胞の膜。これを患部に貼ることで細胞や臓器の再生を図る。現在、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの事業化に取り組んでおり、第3の品目として、歯根膜細胞シートの開発について東京医科歯科大学と詳細検討に向けた協議を進めている。

     

  • 20/12期1Qは売上高31百万円(前年同期117百万円)、営業損失182百万円(同154百万円)。再生医療支援事業の器材製品において国内代理店との協業強化及び海外への温度応答性細胞培養器材等の販売で売上29百万円と大幅増加し(四半期ベースで過去最高)を計上したものの、前年同期は台湾MetaTech社への開発データへの提供に伴い100百万円を計上した細胞シート再生医療事業の売上が1百万円にとどまった。

     

  • 通期予想は、売上高310百万円(前期275百万円)、営業損失1,020百万円(同780百万円の損失)。1Qは新型コロナウイルス感染症拡大の影響をほとんど受けなかったようだが、2Q以降については、「現時点においてその影響額を合理的に算定するのは非常に困難である」としており、先行きには不透明感がある。一先ず業績予想を据え置いた形であり、楽観はできない。また、今期の計数面での影響だけでなく、PMDAとの協議の遅れ等で今後の事業計画に影響が及ぶ可能性もある。ただ、第18回新株予約権が全て行使されたこともあり、資金は確保できており、財務面での不安はない。海外展開においては同社と台湾Meta tech社が中心となり出資した合弁会社(UpCell Biomedical Inc. 食道、軟骨外のパイプライン事業の開発・製造・販売を目的とする)を2020年1月に設立した。

     

1.会社概要

失われた臓器や損傷あるいは機能が低下した臓器を再生して治療する新たな医療である再生医療。東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授・特任教授が開発した日本発・世界初の「細胞シート工学」を基盤技術とし、この技術に基づいて作製した「細胞シート(シート状の培養細胞)」を用いた再生医療等製品の開発を行う「細胞シート再生医療事業」と細胞シートの基盤ツール(培養器材)である温度応答性細胞培養器材等の開発・製造・販売及び再生医療の研究開発・事業化を支援する再生医療受託サービスを提供する「再生医療支援事業」を二本柱とする。

 

【Mission:価値ある、革新的な再生医療をリードし、世界の医療に貢献します。】
大学の研究成果をシーズとして、同社が治験を行い再生医療製品として製品化する事で世界の医療への貢献を目指している。

 

(同社資料より)

 

1-1.事業内容

細胞シート再生医療事業
大学との共同研究(臨床研究)によりシーズを発掘し事業化する。現在のパイプラインは、「細胞シート工学」を基盤技術とする「食道再生上皮シート」と膝軟骨の「軟骨再生シート」の2本。「食道再生上皮シート」は国内で19/12期第1四半期に治験が終了したが、追加治験が必要なため、現在PMDAと追加治験について協議を行っている。また、海外では、17/12期4月に台湾の三顧股有限公司(以下、MetaTech社)と事業提携契約を締結し、同社が2018年12月末に治験届を提出した。
一方、「軟骨再生シート」は、東海大学医学部付属病院が申請していた先進医療が2019年1月に承認され、大学病院で治療の開始に向けた準備が進められている。また、MetaTech社への導出も実行されMetaTech社が台湾での事業化に向けた準備を進めている。

 

 

再生医療支援事業
温度応答性細胞培養器材等の開発・製造・販売、及び細胞シート製品の製法開発・受託製造、施設管理・申請支援、細胞培養技術者教育等の再生医療受託サービスを手掛けている。

 

 

UpCell®

細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材

 

RepCell ™

細胞回収用温度応答性細胞培養器材

(3×3mmのグリッドウォールを備えているため、微小な細胞片の回収)

 

HydroCell ™

超低付着性細胞培養器材

 

 

(画像はいずれも同社資料より)

 

細胞シート製品の製法開発・受託製造
製薬会社・研究機関からの委託を受けて、主に細胞シートの受託開発・製造を行う。日本再生医療学会認定の臨床培養士が所属しており、培養の経験豊富なスタッフによる再生医療等製品の製法開発・製造を特定細胞加工物の製造許可を受けた細胞培養加工施設で行う。尚、軟骨再生シートは東海大学が申請していた先進医療Bが2019年1月に承認された。この先進医療に使用される細胞シートは同社が細胞培養センターで培養(受託加工)する事が決まっている。

 

 

1-2.細胞培養センター

延床面積約763 ㎡で、自動モニタリングシステムによって、清浄度、室圧、温湿度、機器(培養器や保冷庫等)が自動管理され、監視カメラシステムも完備。また、羽田空港まで車で約20分と至近で空輸にも対応しやすい。2017年3月には「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第35 条第1項の規定に基づく「特定細胞加工物製造許可」(許認可権者:厚生労働省)を取得しており、特定細胞加工物の受託製造も可能。

 

(同社資料より)

 

2.2020年12月期第1四半期決算概要

2-1 第1四半期連結業績

 

19/12期

1Q(1-3月)

構成比

20/3期

1Q(1-3月)

構成比

前年同期比

売上高

117

100.0%

31

100.0%

-73.5%

売上総利益

107

91.5%

21

67.9%

-80.3%

販管費

262

222.8%

203

651.6%

-22.5%

営業利益

-154

-

-182

-

-

経常利益

-154

-

-182

-

-

親会社株主帰属利益

-152

-

-182

-

-

* 単位:百万円

 

売上高31百万円(前年同期117百万円)、営業損失182百万円(同154百万円)
売上高は前年同期比73.5%減の31百万円。国内代理店及び海外への温度応答性細胞培養器材等の販売で再生医療支援事業の売上が前年同期の17百万円から29百万円(四半期ベースで過去最高)に増加したものの、前年同期は台湾MetaTech社への開発データへの提供に伴い100百万円を計上した細胞シート再生医療事業の売上が1百万円にとどまった。

 

損益面では、売上の減少で売上総利益も大きく減少したが、研究開発費(140百万円→97百万円)及びその他経費(122百万円→106百万円)の減少で営業損失は182百万円と28百万円弱の増加にとどまった。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

19/12期

1Q(1-3月)

構成比

20/12期

1Q(1-3月)

構成比

前年同期比

再生医療支援事業

17

15.2%

29

94.2%

+64.3%

細胞シート再生医療事業

100

84.8%

1

5.8%

-98.2%

連結売上高

117

100.0%

31

100.0%

-73.5%

再生医療支援事業

-16

-

-3

-

-

細胞シート再生医療事業

-50

-

-101

-

-

調整額

-87

-

-77

-

-

連結営業利益

-154

-

-182

-

-

* 単位:百万円

 

再生医療支援事業
売上高29百万円(前年同期は17百万円)、営業損失は3百万円(同16百万円の損失)。売上高が四半期ベースで過去最高となり、営業損失も減少した。同社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する再生医療受託事業において、共同研究先である東海大学より先進医療Bにかかる1例目の自己軟骨細胞シートの製造を受託した。第2四半期以降の売上計上に向け、現在、製造準備を進めている。

 

尚、先進医療Bとは、高度の医療技術を用いた治療法や医療技術を対象とするもので、販売承認取得前だが、有効性や安全性について一定の基準を満たした治療法や医療技術である。販売承認取得前のため、先進医療にかかる治療費は全額自己負担となるが、自由診療と異なり、通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料など)は保険診療と同等に扱われる(自由診療は、原則、保険診療と併用する事ができない)。

 

細胞シート再生医療事業
売上高1百万円(前年同期100百万円)、営業損失101百万円(同50百万円の損失)。食道再生シートは、追加治験に向け、対象患者のプロトコール、必要な症例数について独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を進めた。PMDAとの協議が終わり次第、製造販売承認の時期について開示する予定。
また、海外では、食道、軟骨以外のパイプライン事業の開発・製造・販売を目的に、同社と台湾MetaTech社が中心となり、1月に合弁会社Up Cell Biomedical Inc(中国名:日生細胞生技股份有限公司)を設立した。

 

2-3 財政状態

 

19年12月

20年3月

 

19年12月

20年3月

現預金

1,065

1,165

未払金

33

52

売上債権

56

13

未払法人税等

10

4

たな卸資産

48

43

前受金

30

30

前払費用

19

15

買掛金その他

36

28

流動資産

1,245

1,251

有利子負債

-

-

有形固定資産

29

27

負債

110

115

投資その他

181

180

純資産

1,345

1,344

固定資産

210

208

負債・純資産合計

1,456

1,460

* 単位:百万円

 

第1四半期末の総資産は前期末との比較で4百万円増の1,460百万円。2019年9月に発効した第18回新株予約権(行使価格修正条項付)の行使により、現預金が増加した(28,000個のうち19,488個が行使され、3月末の未行使は8,512個)。自己資本比率90.9%(前期末91.1%)。
尚、上記新株予約権は2020年5月25日に、全ての行使が完了した。

 

 

3.中期経営計画(20/12期~22/12期)

【概要】

同社は、細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な細胞シート再生医療等製品を開発し、その世界普及を目指している。日本では、2014年11月に「医薬品医療機器等法」及び「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されて以降、再生医療を取り巻く環境が大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進みつつある(実際、この約5年間で7品目の製造販売が承認された)。

 

こうした中、同社は再生医療支援事業等の領域において、海外での器材ビジネスの拡大、受託事業の体制構築、MetaTech社及び台湾合弁会社との協業強化等、社内外で環境が整ってきた。日本だけでなく、海外における大きな外部環境の変化を活かしつつ、下記概要の通り計画を推進していく考え。

 

 

3-1 細胞シート再生医療事業

食道再生上皮シートについては、PMDAと協議中であり、治験届、企業治験終了及び製造販売承認申請の時期については現時点では未定(PMDAとの協議が終わり次第すみやかに開示する)。
軟骨再生シートについては、20/12期上期より、共同研究先である東海大学が実施する先進医療B(今後5年間で約20症例を移植予定)に係る自己細胞の製造受託が始まった。先進医療Bの状況を踏まえて、治験を実施する予定。同種細胞については、現在、東海大学が臨床研究を進めている(2020年終了予定)。この結果を踏まえて、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談(PDMAによる試験・治験計画策定等に関する指導・助言)に入る予定であり、企業治験開始の時期は現段階において未定。同社は引き続きセルバンクの構築と細胞シート製造の自動化に向けた取り組みを進める。
上記に加え、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートに次ぐ第3品目とするべく、歯根膜細胞シートについて東京医科歯科大学と詳細検討に向けた協議終了後、開発に着手する。

 

 

3-2 再生医療支援事業

受託製造・コンサルティング事業を推進し、更なる収益獲得を目指すと共に、器材事業において新製品開発と需要増加に対応した生産能力の確保に努め更なる収益機会の拡大を目指す。

 

 

3-3 海外展開

台湾における再生医療への投資拡大を見据え、MetaTech社、及び合弁会社との協業を強化すると共に、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を推進する。

 

 

3-4 数値目標

 

20/12期 予想

21/12期 目標

22/12期 目標

 再生医療支援事業

230

320

390

 細胞シート再生医療事業

80

40

1,010

連結売上高

310

360

1,400

連結営業利益

-1,020

-1,030

10

連結親会社株主帰属利益

-1,020

-1,030

8

 

20/12期、21/12期と先行投資が続く見込みだが、22/12期は、細胞シート再生医療事業において、新たな提携による収益を見込んでいる。

 

 

4.今後の注目点

第1四半期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響をほとんど受けなかったようだ。同社は全従業員に対して可能な限り在宅勤務を推奨するガイダンスを発表し、2020年2月27日に在宅勤務推奨期間に入った。在宅勤務推奨期間は現在も続いており、毎月開催の全従業員が集合する全社会議は当面中止とし、不用不急の出張・対面会議・外出を禁止している。一方Web会議を積極的に活用した業務推進を行っている。また、細胞培養センターにおいては、入室の際に検温・症状確認を実施している。
ただ、第2四半期以降については、「現時点においてその影響額を合理的に算定するのは非常に困難である」としており、不透明感があるようだ。業績予想に変更はなかったが、一先ず据え置いた形であり、楽観はできない。また、計数面での影響だけでなく、PMDAとの協議の遅れ等で今後の事業計画に影響が及ぶ可能性もある。ただ、第18回新株予約権が全て行使されたこともあり、資金は確保できており、財務面での不安はない。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

4名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年03月31日)
基本的な考え方
当社は、技術革新と創造性を発揮し、質の高い優れた製品とサービスの提供を通じ、人々の健康と福祉に貢献していくことを使命とし、全ての企業活動において品質を高めるべく企業統治の整備を進めています。
今後につきましては、ディスクロージャーの透明性を高めるため一層説明責任を充実するとともに、さらなる経営のチェック機能強化を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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