ブリッジレポート
(3937) 株式会社Ubicomホールディングス

東証1部

ブリッジレポート:(3937)Ubicomホールディングス 2020年3月期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

青木 正之 社長

株式会社Ubicomホールディングス(3937)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役CEO

青木 正之

所在地

東京都文京区小石川2-23-11 常光ビル9階

決算月

3月末日

HP

https://www.ubicom-hd.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,844円

11,657,120株

21,495百万円

27.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

-

51.90円

35.5倍

190.24円

9.7倍

*株価は6/15終値。各数値は20年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

2,992

237

289

112

10.60

0.00

2018年3月(実)

3,208

322

355

212

19.08

0.00

2019年3月(実)

3,555

564

591

368

32.57

5.00

2020年3月(実)

4,038

707

715

533

46.17

5.00

2021年3月(予)

4,437

807

840

605

51.90

未定

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

株式会社Ubicomホールディングスの、2020年3月期決算概要などをお伝えします。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.事業の進捗と成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20年3月期は2桁の増収増益を達成。売上高は前期比13.6%増の40億38百万円。引き続きグローバル事業における主要顧客を中心とした受注およびソリューション案件が増加。メディカル事業においても高収益構造が確立したことに加え、新商品発売も寄与し収益性が向上した。営業利益は同25.4%増の7億7百万円、経常利益は同21.0%増の7億15百万円。第2四半期から本格化した戦略的投資(約100百万円)を吸収し2桁増益。各利益は過去最高を更新した。昨今の受注拡大および利益創出の基盤が確立したことを踏まえ前期と同じく5円/株の配当を実施する予定。新型コロナウイルスの影響はグローバル事業において約20百万円で、経常利益におけるインパクトは3%程度。これまでのBCP(事業継続計画)に係る取り組みが奏功し、事業、業績への影響は軽微であった。

     

  • 21年3月期も増収増益予想。売上高は前期比9.9%増の44億37百万円、営業利益は同14.0%増の8億7百万円、経常利益は同17.4%増の8億40百万円を見込む。利益率も向上し、両事業とも好調に推移。引続き「戦略的投資」を実施するがこれを吸収したうえで2桁の増益を目指す。営業利益・経常利益ともに7期連続で過去最高益を更新する見込み。今期の新型コロナウイルスの影響は約50百万円。経常利益は実質2割以上の増益となる。前期に続き、感染症拡大等のリスクに対するレジリエンス経営手腕に期待。配当は現時点では未定としているが、今期も業績の成長と戦略的投資とのバランスをみて適切な株主還元を実施する考えだ。

     

  • メディカル事業の収益性向上が著しい。売上高営業利益率は前期比約10%上昇。主力製品Mighty シリーズの拡販が続き、パッケージ製品としてのスケールメリットが一段と増大している。2020年4月にはMighty シリーズを上回る高収益サービス「SonaM(そなえむ)」をリリースした。今期は新サービスを含むサブスクメニューのクロスセルによる更なる収益性向上と、保険業界向け新ソリューション開発の進捗に注目したい。

     

  • 一方のグローバル事業は、金融公共領域を筆頭に主要顧客からの受注が拡大し、売上高が前期比約2割増。高度人材の育成と採用及び先進技術開発への先行投資をこなしつつ、増益を達成。今期は引き続き、戦略市場(金融/公共、自動車、医療、自動車、製造/ロボティクス)における受注及びソリューション提供の更なる拡大、新たなプラットフォームビジネスの立ち上げ推進を通じて、前期に実施した戦略的投資効果の発現による増収増益基盤の拡充に期待。

     

1.会社概要

人材不足、医療逼迫等の社会課題の解決に資するITソリューションを創造する、唯一無二のビジネスイノベーションカンパニー。金融/公共、医療、自動車、製造/ロボティクス領域を戦略市場と位置付け、広範なITソリューション・サービスを提供。
フィリピンの開発拠点を中心に約1,000名のエンジニアを有し、ソフトウェア開発からAI等の先進ソリューション開発を通じて、国内のIT人材不足の解決やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するグローバル事業と、医療機関向け経営支援ITソリューションのリーディングカンパニーとして、レセプト点検、医療安全支援、クラウドサービス等の医療最適化ソリューションを手掛けるメディカル事業の二本柱で展開。スクラップ&ビルドによる事業の再構築を経て、高収益ビジネスモデルを確立。さらには、リーディングカンパニーや成長企業との戦略的提携を通じて事業成長の加速を図るWin-Winインベストメントモデルの推進と、プラットフォームビジネス等の既存事業とは異なる軸足の新規事業の早期確立を目指す。

 

【1-1沿革】

元より起業意欲が旺盛であった青木 正之氏は、2005年3月に株式会社ワールドの新規事業子会社である株式会社WCLの代表取締役社長就任後、国内外で様々な新規事業のシーズを探していると、訪問したフィリピンで多くの若く優秀なエンジニアが活気に満ちて仕事をしていることを知る。折から日本企業において社内業務のIT化が進行する中、フィリピンでシステム開発を行うことで幅広いシステムソリューションを低コストかつグローバルに提供すれば需要を確実に取り込みことができると考え事業化を決意。2005年12月に株式会社AWS(現:株式会社Ubicomホールディングス)を設立した。
ICT化の進展というフォローの風に加え、優秀なトップエンジニアを多数擁するフィリピン開発拠点の競争優位性を武器に顧客開拓が順調に進み業容は拡大。2012年に医療レセプトシステム最大手の(株)エーアイエスを子会社化。2016年6月、東証マザーズに上場。2017年7月に(株)Ubicomホールディングスに社名変更後、同年12月には東証1部に市場変更した。

 

【1-2 経営理念・ビジョン】

唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーとして以下3つの経営理念を掲げている。

1.Unique beyond comparison

時代の先を見据え、社会課題の解決に資するITソリューションを創造する、唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けます

2.Go Global

Ubicomグループのビジネススキームを、米国およびアジア各国を中心にグローバルに展開していきます

3.Win-Win

お客様、協業先、そして全てのステークホルダーの皆様との相互発展を通じて、Ubicomグループの「仲間」を増やしてまいります

 

人材不足解決支援や医療最適化支援等の社会課題の解決に資するITソリューションの提供による成長を追求しており、同時に自社の社会的な責務・存在意義であるとも考えている。

 

【1-3 事業内容】

1-3-1 概要
20年以上の実績を誇る組込みソフトウェア開発、アプリケーション開発、テスト、品質保証のサービスに加え、国際化や少子高齢化など社会構造の変化や、医療生命科学・ロボット・人工頭脳の分野における技術革新を新規ビジネス創出のチャンスと捉え、戦略市場と位置付ける医療、自動車、金融/公共、製造/ロボティクス分野において、(「AI:人工知能」、「Analytics:分析」、「Automation/RPA:ソフトウェアテストあるいは製造ラインの検査工程の自動化」)領域を中心とした同社独自のコアソリューションを開発し、多くの顧客企業に提供している。

 

1-3-2 同社を取り巻く事業環境
人材不足解決支援や医療最適化支援等の社会課題の解決に資するITソリューションの提供による成長を追求する同社を取り巻く事業環境は以下の通り。グローバル事業、メディカル事業(事業内容詳細は後述)ともにフォローの風が吹いている。

 

(同社資料より)

 

(1)深刻化するIT人材不足
経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月発表)によれば、付加価値の創出や革新的な効率化を通じて生産性向上等に寄与できるIT人材の確保が重要となっている一方で、少子高齢化が進む中、人材確保が難しくなっており、IT 需要の伸びを「低位」「中位」「高位」とケース分けした際、「高位」の場合、2020年に41.2万人、2030年に78.7万人の国内IT人材が不足すると試算している。

 

(2)膨張を続ける国民医療費とレセプト審査の厳格化
2018年度の概算医療費(労災・全額自費等の費用を含まない。医療機関などを受診し傷病の治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の約98%に相当)は42.6兆円と過去最高を記録した。
高齢化の進展に伴い医療費は増大傾向にあることから各健康保険の財政状況は悪化が続いており、保険料負担軽減に向け、国はレセプト審査の厳格化等による医療費適正化政策を進めている。

 

(レセプトとは?)
現在の保険診療制度の下では、医療機関が受け取る診療報酬のうち、患者が支払う医療費は最大3割で、7割以上は健康保険組合、共済組合、市区町村などが負担する。
患者が受けた診療について、医療機関がこれら公的機関に保険負担分の支払いを請求するための医療診療の明細書をレセプトと呼び、レセプトを発行するレセプト業務は医療機関の収益の大部分を支える大切な業務である。
提出されたレセプトは、審査支払機関で厳重な確認作業が行われ、レセプトの記載内容に誤りがあると、審査支払機関からレセプトを差し戻されたり(返戻)、診療報酬点数を減点されたりすることがある。返戻された場合には、レセプトを精査・修正して、再提出しなければならず、適切なレセプトを提出することは効率的な医療機関経営を行うにあたり極めて重要な作業である。2009年には、医療機関は原則としてオンラインによるレセプトの請求が義務付けられるようになった。

 

全国の病院の多くが赤字と言われるなか、審査支払機関におけるレセプト審査の厳格化や働き方改革の動きも重なり、レセプトチェックの精度と効率引き上げは、医療機関経営における重要課題となっている。

 

 

(3)急成長が見込まれる医療クラウド市場
2010年2月に一部改正された、厚生労働省通知「「診療録等の保存を行う場所について」により、民間企業が保有するデータセンターへの医療情報の外部保存が認められ、民間企業にとって医療クラウドサービスを提供しやすい環境が整った。
アプリケーションプラットフォーム、サーバがネットワーク内に存在するクラウドサービスは、医療分野においては、電子カルテ、医療用画像管理システム、地域医療連携システム、在宅療養支援サービス、遠隔画像診断サービス、治験向けサービス、調剤薬局向けサービスなど、様々なサービスにおいて活用されると言われている。

 

特に、今日の医療機関におけるデータ量の急速な増大、およびネットワーク活用の広まりの中にあって、クラウドサービスには「他施設との連携が容易」、「自前で保守管理をする手間がない」、「価格が安い」、などのメリットがあることに加え、2011年3月の東日本大震災の際に被災地の多くの紙カルテが失われた事態を受け、災害対策という面からも医療クラウドへの期待が高まっている。更に今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療現場逼迫は、オンライン診療や電子カルテの必要性を強く認識させることとなった。
個人情報保護の観点から安全性の問題を指摘する声もあるものの、規制と緩和のバランスの中で、社会的課題解決に向けたソリューションとして今後の大きく発展していくものと思われる。

 

1-3-3 注力する事業領域
新しい時代を切り拓く「3A」分野を戦略的な技術領域と位置付け、これらをベースとした事業拡大に注力している。

分野

現状及び今後

AI

音声AI、チャットボット(自動会話プログラム)に係る開発を終え、横串的展開を推進。今後は自動車のSDL(カーオーディオとスマートフォンを連携させるスマートデバイスリンク)に音声AIを用いた車載向けAI機器のソリューション開発に注力する。加えて自動走行車搭載デバイスへの応用も見据えており、本格普及期には、大きな利益を持続的にもたらすストックビジネス化を目指している。

Analytics

日本におけるNo.1レセプト点検ソフトのMightyシリーズや分析ツールの開発フェーズを終え、データの質・量の向上を図り、医療関連のビッグデータ分析を行うエンジンをつくり、今後は新たなマネタイズモデル実現に向けたフェーズへ移行。

その他、工場や船舶会社などに向けた予知保全のソリューションを提供。

Automation/RPA

ソフトウェア自動化のエンジンを確立しており、ロボティックス(ロボット工学)・RPA(ロボットによる業務自動化)を推進。

大手ロボティクス、FAメーカーにリーチしたマーケットの拡大を目指している。

 

1-3-4 セグメント
セグメントは、ITソリューション・サービスを金融/公共、医療、自動車、製造/ロボティクス等の幅広い市場に向けて提供するグローバル事業と、レセプト点検ソフトをはじめとする医療機関向け経営改善ソリューション等を手掛けるメディカル事業の2つ。

 

 

(1)グローバル事業
◎概要
フィリピンの100%子会社であるAdvanced World Systems, Inc.およびAdvanced World Solutions, Inc.を主要開発拠点に、金融/公共、医療、自動車、製造/ロボティクスを重点対象業種として、組込みソフトウェア開発、業務アプリケーション開発、保守、テスティング等を行っている。
さらには同社が戦略的技術領域と定義する「3A」(「AI:人工知能」、「Analytics:分析」、「Automation/RPA:自動化」)技術を活用し独自のコアソリューションを展開しているが、その高度なソリューション開発力の源泉が、約1,000名のトップクラスのエンジニアを擁するフィリピン開発拠点であり、強力な競争優位性を生み出している。(詳細は【1-4 特徴と強み】を参照)

 

◎顧客
顧客企業は金融、公共、医療、自動車、製造、サービス業等と多岐にわたる。
前述のように日本ではIT人材不足が深刻化していることに加え、開発・運用にかかるコスト削減ニーズが根強いが、約1,000名の日本語、英語に堪能なIT人材を擁する同社はこうしたニーズを着実に取り込んでいる。
加えて多数の国内大手顧客との長年に亘る豊富な開発実績は同社に対する信頼・評価を一段と高めている。

 

(2)メディカル事業
◎概要
100%子会社である株式会社エーアイエスが、医療従事者の働き方改革、医療機関の働き方改革、医療の安全と質の向上に資する、医療機関向けソリューションパッケージの開発・販売、クラウドサービス、データ分析ソリューション、開発支援、コンサルティングを手掛けている。
医療現場の業務効率を改善し経営品質を高める「Mightyシリーズ」製品は、その豊富かつ有用な機能が高く評価され、「働き方改革」という追い風もあり、ここ数年で毎年1,300以上の新規ユーザーを獲得しており、2020年3月末時点では、病院(20床以上)の約38.8%(3,212施設)、クリニック(19床以下)の約13.3%(13,602施設)、合計約16,800施設が導入するトップシェア製品である。

 

◎主力製品・サービス
①レセプト点検ソフト「Mighty Checker®」
レセプト点検の効率化と精度向上が求められる中、1999年にレセプト点検ソフト「Mighty Checker®」を他社に先駆けてリリースした同社は、その有用性が高く評価されレセプト点検ソフトのリーディング企業としてのポジションを確立。2019年3月期にはレセプト点検にAIを導入した次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker® EX」をリリースし、その地位を揺ぎ無いものとしている。
主として以下のような機能により医療機関のレセプト業務を強力にバックアップしている。

 

製品名

特長

Mighty Checker® EX

・2018年秋にリリースしたMighty Checkerシリーズの最上位製品

・従来製品「Mighty Checker PRO」において好評の機能やユーザビリティを更に進化させ、レセプト点検にAIを導入した次世代レセプトチェックシステム

Mighty Checker® PRO Analyze

・医科レセプト点検ソフトウェアの上級システム

・点検結果を分析し、効率的な点検業務を提案

・査定・返戻対策に加え、レセプト点検結果を活用した、より効率的な点検結果の活用が可能

・査定返戻データ取り込みによりスムーズなデータベース修正を実現し、査定返戻の抑止を強化

Mighty Checker® PRO Advance

・医科レセプト点検ソフトウェアの普及型システム

・病名・医薬品・医療行為の適応症を点検

・査定・返戻対策の点検(突合点検・縦覧点検・算定日チェック等)

・算定支援機能による点検(指導料等で算定できる可能性がある項目をチェック)

Mighty Checker® Cloud

・クラウド型レセプト点検サービスで、クラウド型電子カルテとの連携が可能

・院内システムのクラウド化対応の他、運用と導入のしやすさから業務効率化、リモートワーク、端末を選ばないBYOD対応、BCP対策にも

・今後、クラウド型電子カルテへの組込みを強化

 

②オーダリングチェックソフト「Mighty QUBE® PRO」
Mighty Checker®のデータベースを活用し、疾患と診療行為・投薬の適応性、用法用量等を処方オーダー時に点検し、不適応のものや、病名が漏れているケースへエラーを出すシステム。医療指示の誤入力・誤操作を防ぐことで、医療事故(ヒヤリ・ハット)や査定(減額)を防止し、医師が最も重要な診療行為に集中できるよう支援する。医療安全・質の向上と業務効率化の両立を追求することで、病院の財務・経営面の改善をサポートするとともに、病院と患者の両方に利益をもたらす点が高く評価され、多くの医療機関での導入が進んでいる。

 

◎導入事例
医事課職員6名 の病院における導入事例を挙げると、導入後1カ月で診療分レセプト月間作業時間が半減したことに加え、算定支援機能により売上高が増収となった。
今後、職員が操作に慣れるに従い作業時間が更に短縮し、過去データの蓄積とAI 検知により点検精度は更に向上していくことが見込まれるという。

 

③「備えの医療クラウドSonaM(そなえむ)」
医療機関のBCP対策と医療データ保全を、国内屈指の高度なセキュリティ基盤で支えるクラウドサービス。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン診療の必要性がクローズアップされるなど診療方法の多様化が進むとともに、医療デジタル化・クラウド化におけるセキュリティの必要性が高まっている。
また、災害時における役割が一段と大きい医療機関においては、院内の医療データの安心安全な保管先と保管方法の確保が急務となっている。

 

こうした環境下で逼迫した医療提供体制を支援することを目的に開発された「SonaM(そなえむ)」は、レセプトデータ、カルテ、検査画像などの医療データをセキュアクラウドにより保全するもの。
医療データをクラウドで扱うためには、厚労省、経産省、総務省の3省が提唱する3つの医療情報セキュリティガイドラインの総称である「3省3ガイドライン」に準拠することが必要だが、NTT東日本の高度なクラウドセキュリティ基盤を採用することによって万全の態勢を整えている。
また事業規模の異なる医療機関毎の多様なニーズに対応できるよう、複数の段階的な利用プランを用意している。

 

Mightyシリーズに次ぐ新たな高収益サブスクリプションモデルであり、Mightyシリーズとのクロスセルや、直接取引の拡大によるユーザー単価向上を目指している。

 

【1-4 特徴と強み】

1-4-1 フィリピンの開発拠点を中心に、約1,000名のエンジニアを育成・活用
沿革でも触れたように、青木社長が現地視察を重ねた中で開発拠点として最適と判断したフィリピンは、同社競争優位性の源泉であると同時に今後の成長戦略を牽引する極めて重要な役割を担っている。
前身を含め20年以上に亘る開発実績を有するフィリピン開発拠点の主な特徴は以下のとおりである。

 

①グローバル開発の最適地「フィリピン」
フィリピンは若年層中心に長期的な人口増加が続く人口ボーナス期に入っていることなどから平均して年6%近い経済成長を続けており、特に若年層は活力にあふれ、上昇志向が強まっている。
加えて英語が公用語であるためグローバルで活躍できる素地が整っていること、ITリテラシーが高いこと、ASEANの中心に位置しアクセスも良好であることなどから、グローバルベースでのIT開発拠点として最適である。

 

②超一流の人材を採用
フィリピンの開発拠点を中心に、約1,000名という多くのエンジニアが在籍しているが、「量:人数」のみでなく「質:優秀さ」においても他に例を見ないレベルの高さを誇っている。
長年の実績に裏打ちされ、フィリピン開発拠点に対するエンジニア志望者の評価は高く、入社希望者は毎年数千名に上るが、採用されるのはわずか約4%と極めて狭き門となっており、まさに超一流の人材を獲得することができている。

 

③独自の教育・研修プログラムによる戦力化
超一流の人材を採用しても、それだけではトップクラスのエンジニア集団を構築することはできない。
戦力となる真のトップエンジニアに育て上げるための研修・教育制度こそが、他社が容易にキャッチアップすることのできない強力な差別化要因の一つである。

 

同社グループは今から16年前の2003年4月、フィリピンに自社研修センター「ACTION」を設立し運営を開始した。
「ACTION」における研修プログラムは同社が自社開発したもので、IT基礎概念、先進技術、対人ソフトスキル、日本語の4カテゴリーで構成され、PhilNITS(フィリピン国家情報技術者試験)と日本語検定4級の合格を目標に5カ月間の研修を実施する。
研修終了後、研修生はボードメンバーに対して成果を発表し面接評価を経て初めてプロジェクトへの参加がアサインされる。優秀な学生であっても実際に仕事を任されるまでの道のりはけっして楽なものではないが、こうしたハードルを乗り越えたプログラム卒業者は高度な技術力と日本語環境における業務遂行能力を有することから日本のIT市場において圧倒的な優位性を発揮しており、同社成長の強力なエンジンとなっている。
また、同社ではチャレンジングで最先端を行くプロジェクトが常に多数稼動しているため、やる気に溢れた優秀な人材に活躍の場を与えており、この点も同社グループが就職先としてフィリピンにおいて大きな人気を得ている要因の一つでもある。

 

④ソリューション開発力の更なる高度化・強化
既に他社を凌駕する高いソリューション開発力を有する同社だが、そのアドバンテージを更に強固なものとすべく2017年に設立したのが「先端技術開発センター」である。
同センターでは約数十名の先端技術者がAIやビッグデータ分析に特化しており、そのネイティブな英語力を活かし世界的なトップ研究者に繋がることで最先端技術にアクセスできる体制を構築している。
これにより短期間かつ低コストで顧客ニーズにマッチした高付加価値プロトタイプ(試作品)を作成し、日本の大手顧客に直接提供することが可能となったため、同社の提案力は飛躍的に向上している。

 

⑤外部から高評価を獲得
高いハードルを越えてプロジェクトに参画することができたトップエンジニア達の活躍は外部から高く評価され数々の受賞歴に結びついている。
*2020年、エンジニア2名がアジア版情報処理技術者試験のトップ合格者の中でも特に優秀なアジアトップガン人材に選出。
*2017年、「国際ICTアワード」においてフィリピン子会社AWSがフィリピン全土NO.1のベストソフトウエアカンパニーを受賞。
*自社研修プログラム「ACTION」がフィリピンeサービスアワードにおいて企業プログラム部門賞等を6年連続で受賞。

 

1-4-2 強固な顧客基盤
グローバル事業、メディカル事業ともに圧倒的な競争優位性を武器に強固な顧客基盤を構築している。
後述の成長戦略における、サブスクリプションモデルによるストック型ビジネスの拡大、Win-Winインベストメントモデルにおける成長企業と顧客企業のマッチングなどにおいてもこの強固な顧客資産は大きな役割を果たすものと思われる。

 

1-4-3 グループ内外を問わない仲間意識
青木社長は海外を含めた従業員およびその家族を「仲間」と位置付け、全員が笑顔を絶やさず常に明るく前向きに、現状に満足することなく1人1人がオーナーシップを持って時代を先取りすることによって飛躍する企業グループであることも同社グループの強みの一つであると考えている。

 

このフラットな関係性を重視する仲間意識は、グループ内だけではなく、グループ外に対しても向けられている。
同社の重要な成長戦略の一つである「Win-Winインベストメントモデル」はリーディングカンパニーや成長企業との協業・戦略的提携を推進し、既存事業の成長の加速と新規事業の創出を図るものだが、企業規模の違いや株主と出資先といった関係を超え、ともに成長を目指す「仲間」であるとの意識を根底に置いていることが、提携先企業に向けたモチベーションの一段の向上に繋がると期待できる。この点は一般的なVCやCVCとの大きな違いであろう。

 

【1-5 ROE分析】

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

4.9

-

12.2

17.7

24.7

27.3

 売上高当期純利益率(%)

1.24

-0.16

3.76

6.63

10.37

13.21

 総資産回転率(回)

1.33

1.46

1.44

1.36

1.27

1.17

 レバレッジ(倍)

2.97

2.62

2.25

1.96

1.87

1.76

*総資産回転率及びレバレッジは期首・期末平均を使用。有価証券報告書・決算短信を元に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

マージン改善に伴うROEの上昇が続いている。
21年3月期の売上高当期純利益率は前期を上回る13.6%の予想であり、ROEの更なる上昇が見込まれる。

 

【1-6 株主還元】

同社は株主への利益還元を経営の最重要課題の一つとして認識しつつも、これまでは将来の事業展開と経営体質の強化のための内部留保の拡充を優先してきたが、昨今の受注の拡大及び堅調な業績の進捗に加えストック型の高収益モデルの基盤を確立したことを踏まえ、19年3月期、初めて5.00円/株の配当を実施した。前20/3期も配当は5.00円/株で、配当性向は10.8%。
今後はサブスクリプション事業モデルへの転換による安定的なキャッシュ・フローの創出をベースに、業績の成長と戦略的投資のバランスをみたうえで、配当性向30%以上を目指して株主還元策の拡充にも注力する考えだ。

 

 

2.2020年3月期決算概要

(1)業績概要

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

3,555

100.0%

4,038

100.0%

+13.6%

+0.4%

売上総利益

1,555

43.8%

1,720

42.6%

+10.6%

 

販管費

991

27.9%

1,012

25.1%

+2.2%

 

営業利益

564

15.9%

707

17.5%

+25.4%

+5.4%

経常利益

591

16.6%

715

17.7%

+21.0%

+0.7%

当期純利益

368

10.4%

533

13.2%

+44.7%

+20.3%

*単位: 百万円。

 

戦略的投資を吸収し2桁の増収増益。
売上高は前期比13.6%増の40億38百万円。引き続きグローバル事業における主要顧客を中心とした受注およびソリューション案件が増加。メディカル事業においても高収益構造が確立したことに加え、新商品発売も寄与し収益性が向上した。
営業利益は同25.4%増の7億7百万円、経常利益は同21.0%増の7億15百万円。第2四半期から本格化した戦略的投資(約100百万円)を吸収し2桁増益。各利益は過去最高を更新した。
昨今の受注拡大および利益創出の基盤が確立したことを踏まえ前期と同じく5円/株の配当を実施する予定。

 

新型コロナウイルスの影響はグローバル事業において約20百万円で、経常利益におけるインパクトは3%程度。
20年以上に渡り培ったリモートでのオフショア経験および金融をはじめとする高度なセキュリティ体制によって、予測不能な災害をはじめとする「不確実性への対処」及び「レジリエンス経営」が社内に根付いていることに加え、フィリピンの開発拠点を分散するなど充分なBCP(事業継続計画)及びコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定していたため、業績への影響を軽微に抑えることができた。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

グローバル事業

2,272

63.9%

2,736

67.8%

+20.4%

メディカル事業

1,282

36.1%

1,301

32.2%

+1.5%

連結売上高

3,555

100.0%

4,038

100.0%

+13.6%

グローバル事業

457

20.1%

477

17.5%

+4.4%

メディカル事業

446

34.9%

590

45.4%

+32.2%

調整額

-340

-

-360

-

-

連結営業利益

564

15.9%

707

17.5%

25.4%

*単位:百万円。売上髙は外部顧客への売上高。営業利益の構成比は売上高利益率

 

(グローバル事業)
前期からの戦略的投資(人員採用、研究開発)を成果として顕在化させることができた。

 

◎グローバル部門
ソフトウェアテスト・製造ラインの検査工程の自動化や組み込み開発・アプリケーション開発分野における既存主要顧客の受注拡大に加え、大手自動車メーカー向けテスト自動化ソリューションや、モバイル&クラウド等の、確立した開発基盤を用いた収益性の高い案件が伸長した。
大手PCメーカー、大手商社、大手コンピューターゲーム開発製造会社、外資系自動車メーカーなど、21/3期以降の主要顧客化に向けた取り組みも強化した。

 

◎エンタープライズ部門
金融・公共を中心とした新規および既存プロジェクトが急拡大し、前期より本格稼働した人材のプラットフォーム化や、中途を含めた積極的な採用活動により営業利益は前期比約2.1倍と好調だった。

 

(メディカル事業)
Mightyシリーズのパッケージ販売に係るストックは順調に拡大している。
高収益サブスクリプションモデルの確立と、戦略的開発案件以外の利益率の低い受託案件の絞り込み等により、収益性が大幅に改善した。
前期販売開始した次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker EX」の引き合いは順調だ。複数の売上トップクラスの医療グループ内病院での新規導入が決定するなど、導入数は順調に増加している。
大手医療グループ内における横展開に加え、「直接販売の推進」及び「マーケティング強化」 を目的とした複数の金融機関との連携を図り、更なる高収益の実現に向けた施策を実行した。
2020年3月に発表した、医療クラウド新サービス「SonaM(そなえむ)」や、保険会社向け新ソリューションの開発、その他データ分析(健保組合・学会等)など、医療のデジタル化に関する新事業を積極的に立ち上げた。Mightyシリーズに次ぐ将来の「新たなサブスク型の収益源」の確保に向け、積極的な投資を引続き実施していく。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19/3末

20/3末

 

19/3末

20/3末

流動資産

2,532

3,128

流動負債

1,210

1,370

 現預金

1,637

1,976

 短期借入金

120

115

 売上債権

553

667

 前受金

645

702

固定資産

561

668

固定負債

192

208

 有形固定資産

72

65

 長期借入金

15

-

 無形固定資産

79

132

負債

1,403

1,579

 投資その他の資産

409

470

純資産

1,690

2,217

資産合計

3,093

3,797

負債・純資産合計

3,093

3,797

単位:百万円。

 

現預金、売上債権、投資その他の資産の増加等で資産合計は前年末に比べ7億3百万円増加の37億97百万円となった。
前受金の増加、受注損失引当金の計上等で負債合計は同1億76百万円増加の15億79百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同5億27百万円増加の22億17百万円。
この結果、自己資本比率は前期末から3.8ポイント上昇し58.4%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期

20/3期

増減

営業CF

567

498

-69

投資CF

-206

-69

+137

フリーCF

361

429

+67

財務CF

58

-96

-155

現金同等物残高

1,602

1,941

+338

*単位:百万円。

 

税金等調整前当期純利益は増加したが、利息及び法人税等の支払額の増加で営業CFのプラス幅は縮小。
投資有価証券の取得による支出額が減少し投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのプラス幅は拡大した。
リース債務の返済による支出、配当金の支払で財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎「備えの医療クラウドSonaM(そなえむ)」の提供を開始
2020年4月、子会社 株式会社エーアイエスが医療機関のBCP対策と医療データ保全を、国内屈指の高度なセキュリティ基盤で支える、「備えの医療クラウドSonaM(そなえむ)」の提供を開始した。

 

(「SonaM(そなえむ)」開発の背景)
地震や台風等の災害に多く見舞われる日本では、災害や障害発生等の非常時に、事業者が重要事業を継続・早期復旧できるよう、BCP(事業継続計画)を策定する等の不測の事態への備えが求められている。
特に、災害時における役割が一段と大きい医療機関においては、電子カルテの普及等の近年の急速なIT化・クラウド化も伴い、院内の医療データの安心安全な保管先と保管方法の確保が急務となっている。

 

(「SonaM(そなえむ)」の概要)
医療機関のBCP対策と医療データ保全に特化したクラウドサービスである「SonaM(そなえむ)」は、レセプトデータ、カルテ、検査画像などの医療データをセキュアクラウドにより保全する。
医療データをクラウドで扱うためには、厚労省、経産省、総務省の3省が提唱する3つの医療情報セキュリティガイドラインの総称である「3省3ガイドライン」に準拠することが必要だが、NTT東日本の高度なクラウドセキュリティ基盤を採用することによって万全の態勢を整えている。
また事業規模の異なる医療機関毎の多様なニーズに対応できるよう、複数の段階的な利用プランを用意している。

 

Ubicomグループは、Mightyシリーズを始めとした医療機関向けITソリューションに加えて、「SonaM(そなえむ)」によりBCP対策、データ保全、クラウド移行を支援するとともに、今後も、日本の未来を担う医療業界に向けた新しいサービスの創造に取り組む考えだ。

 

◎2020年3月期の投資実績
2020年3月期には主に以下の投資を実施した。
今2021年3月期から投資効果の発現が本格化すると見込んでいる。

 

フィリピンにおける先端技術・R&D投資(ソフトウェアの自動化、AIを用いた異常検知、AIチャットボット等)

戦略的人材投資(AI人材・データサイエンティスト他)。フィリピンにおいて次世代の研究開発人材(理系新卒)を数十名採用した。

クライアントの急増に伴う、大規模プロジェクトをリードできる人材の登用。

特定ドメインにてトップクラスの知見を有する人材(メディカル・金融・自動車ほか)の参画。戦略領域(自動車・金融・医療・製造/ロボティクス)に特化した日本人PM(プロジェクトマネージャー)を6名採用した。

アジア展開を見据えた、アジアトップ経営者の参画。

AIやRPA等のコンサルティングができる高度人材の増員。「高単価」モデルを創造する。

 

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

売上高

4,038

100.0%

4,437

100.0%

+9.9%

営業利益

707

17.5%

807

18.2%

14.0%

経常利益

715

17.7%

840

18.9%

17.4%

当期純利益

533

13.2%

605

13.6%

13.4%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

増収増益。利益は過去最高を更新へ。
売上高は前期比9.9%増の44億37百万円、営業利益は同14.0%増の8億7百万円、経常利益は同17.4%増の8億40百万円の予想。利益率も向上。
両事業とも好調に推移。引続き「戦略的投資」を実施するがこれを吸収したうえで2桁の増益を目指す。
営業利益・経常利益ともに7期連続で過去最高益を更新する見込み。
今期の新型コロナウイルスの影響は約50百万円。経常利益は実質2割以上の増益となる。
配当は現時点では未定としているが、今期も利益水準に応じて適切な株主還元を実施する考えだ。

 

 

4.事業の進捗と成長戦略

社会課題の解決に資する、独自のITソリューションによって成長してきた同社は、グローバル事業、メディカル事業、およびグループ全体で以下のような取り組みを強化している。

 

4-1 グローバル事業の進捗及び成長戦略

4-1-1全体の成長ビジョン
金融・公共、自動車、医療、製造・ロボティクスという戦略市場に向けてストック型ビジネスの横展開を加速させる。
そのための事業戦略として、以下3つを挙げている。

 

(1)オーガニック
組込みソフトウェア開発、ソフトウェアテスト、自動車向けテスト、金融/公共インフラ向け業務アプリケーション等、ベースとなる既存事業を20%で成長させる。

 

「多国籍企業への大規模オフショア化実績」「豊富な開発人」「コスト競争力」「英語/グローバル環境下での開発」「ジャパンクオリティの開発/プロジェクト管理」「24時間×365日体制のサポート提供」「ソフトウェア開発テスト実績」「分析/モバイル/IoT領域の高度IT人材」といった既存領域の強みを活かし、IoT機器メーカーやPCメーカー向けソフトウェア開発・テスト等の既存領域を更に拡大させるとともに、新たな主要顧客を確立させる。

 

同社ではピラー顧客(主要顧客)を「継続的な取引きのある各業界のマーケットリーダー(顧客別売上高数億円規模)」と定義しており、顧客別売上高規模に応じてオフショア(フィリピン開発拠点利用)及びオンサイト(顧客現場に出向)を適切に組み合わせて収益性の向上を進めている。

 

同社が最終的に目指す、継続的開発パートナーシップが確立されたビッグピラー(最主要顧客)の場合、アサインされたエンジニアは50名以上でほとんどの開発をオフショアで行っている。
規模の経済により顧客と同社双方にコストメリットが生じるほか、業界の知見蓄積による開発の生産性が向上、またテスト自動化等の自社ソリューションの展開が可能になることから、高い営業利益率を確保することができている。

 

主要顧客確立に向けて、特に日本/中国/米国向け営業体制を強化するほか、フィリピン孫会社のリソース活用による開発キャパシティの拡大や日本側のマーケティング強化といった課題に取り組んでいる。

 

(2)ソリューション
3Aソリューション(自動車向けテスト自動化、製造・医療向け分析など)、モバイル&IoT、予知保全などAI・分析・自動化技術に係る自社ソリューションを展開する。

 

具体的には、
*大手コンサルファーム向けAIチャットボット開発の正式ローンチと他業種への横展開
*自動車/建機メーカー向けテスト自動化ソリューションの横展開
*ソリューション(ライセンス)販売の本格化によるストック型への移行
*プラットフォーム/サーバービジネス(BtoB情報サービス等)におけるテスト/開発/保守
などに取り組んでいる。

 

(3)プラットフォームビジネス
次世代プラットフォーム/サーバービジネスへ挑戦し、新たな次世代ITサービスを創造する。

 

(同社資料より)

 

4-1-2各領域の成長戦略
4-1-2-1 金融公共領域の成長戦略
金融公共領域を担うエンタープライズソリューション部門においては、キャッシュレス化・フィンテックに伴うシステム移管需要が拡大し、20年3月期の金融公共領域の売上は前期比約4割増、営業利益は同倍増と、ともに大きく伸長した。
人月単価の見直し、若手の早期戦力化、中途採用促進による即戦力補充、高い稼働率の維持、オフショアへの切り出し等がその要因である。
好採算の案件に集中することで、今期も高成長を目指す。

 

以下の諸施策によりストック型収益の積み上げを加速する。

前期に急増した新規案件開発終了後の運用保守サービス等を継続して受注するほか、オフショアへの切り出しにより、ストック型収益を積み上げ、事業の安定と更なる高収益化を図る。目標利益率を35%以上としている。

更なるコスト削減要請と在宅勤務の実績からオフショア化を加速する。

新たな主要顧客を確立する。数社へのアプローチを開始している。

信用保証(クレジットギャランティー)関連の知見を深める。

 

運用保守・24Hサポート・ライセンス・付加サービスなど、システム開発後のストック型運用保守サービスの割合を前期の20%から23年3月期には40-50%まで引き上げる。

 

4-1-2-2 自動車領域の成長戦略
開発スキルと品質のさらなる強化を図り、「車載ソフトウェアテスト業務」から「車載ソフトウェア開発業務」へ、さらに「モデルベース開発/テスト、テスト自動化ツール開発、アノテーション(AI開発におけるデータタグ付けプロセス)/ツール開発など、次世代領域へと開発対象の拡大・高度化をめざす。

 

そのための取り組みは以下の通り。
*自動車業界の高度知見を有するプロジェクトマネージャーを拡充し品質強化を図るほか、今後は車載領域エンジニアのより高度な技術及びマネジメントスキルの強化にも取り組む。
*Win-Winモデルを通じたアライアンス型の先進開発を模索する。
*同社が得意とする組込み及びテスト業務を拡大する。
*モデルベース開発等のより高度な開発モデルを拡大する。

 

4-1-3 次世代領域開発のための人材育成戦略
戦略領域(自動車・金融/公共・医療・製造/ロボティクス)に特化した次世代の技術開発を進めるべく、積極的な人材開発・人材育成投資を行っている。

 

次世代領域としては、自動運転領域、PC/IoT機器メーカー向けテスト自動化、遠隔画像診断システムなど「3A」に加え、金融公共領域における資産管理予知保全システムなどを想定しており、同社競争優位性の源泉であるフィリピンの豊富な若手人材とトップエンジニア育成ノウハウを活用し、中長期的視野に立った人材技術投資を実行している。

 

教育研修プログラムは、基礎教育と先進教育の2段階。
入社から約5カ月までの基礎教育においては、自社研修プログラムACTIONを通じて基礎スキルと日本語検定4級レベルを習得する。
基礎教育後の先進教育においては、次世代領域の開発パートナーや次世代プラットフォーマーとの協業を通じた先進技術開発の習得やスキル向上に取り組んでいる。

 

4-2 メディカル事業の進捗及び成長戦略

4-2-1全体の成長ビジョン
Mighty シリーズに次ぐ新たな高収益率商品としてリリースしたSonaM(そなえむ)を加えたサブスクリプションメニューのクロスセル、直販推進によるダイレクトアカウントの獲得増加、などによる高収益基盤の拡大に加え、生損保領域・分析事業等において更なる「新たな高収益ビジネス」の早期創出を目指す。
Mighty シリーズにおいては、+20~30%の価格改定も進めている。

 

(同社資料より)

 

4-2-2 業績の推移
高収益モデルの確立により利益率が大幅に向上している。
新サービスのSonaM(そなえむ)も粗利率85%という高収益モデルであり、今後も直接販売の拡大や価格改定等の推進により更なる利益率改善をめざす。

 

(同社資料より)

 

4-2-3 今後の注力領域
医療トータルソリューションプロバイダーへの進化に向けて新規事業開発・新領域開拓・協業を推進する。
前述のような保険領域向けの分析サービスや、16,800ユーザーへの提供実績に裏打ちされた独自の医療データベースを活用した保険業界向けプラットフォーマービジネスを志向している。

 

今期には、保険領域向け分析サービスの取り組み開始およびプラットフォームビジネスの実証開発およびローンチを目指している。

 

4-2-4 今後の営業戦術
新型コロナウイルスの感染拡大を機に広がったリモートワークの潮流をチャンスと捉え営業スタイルの変革を推進する。

 

具体的には、Webを活用したマーケティング・営業・サポートへの移行により、カスタマーサポートをコストセンターからプロフィットセンターに転換するとともに、直接販売の増加による利益率アップをめざす。

 

製品デモをWebに移行することによりデモ実施件数増加による売上向上を見込むほか、導入後の操作指導も遠隔化することで導入サポート余力が拡大し、これも売上向上に繋がる。
また、代理店向けWeb勉強会を開催するほか、オンライン診療等の診療の多様化ニーズに応え、Mighty Checker CloudやSonaM(そなえむ)などのクラウド製品販売を強化する。

 

4-3 グループ全体の成長戦略

(1)アメリカ戦略の転換
アメリカを拠点に次の技術/サービスへのリーチを図る。
そのために、2019年10月に出資した米国先端ITファンド「GoAhead Ventures」にUbicomサテライトオフィスを開設し、米国先進技術に係るリサーチ機能の強化を図っている。
また、米国の大手・中堅企業向けにテスト/開発/保守サービスを提供してマーケティングを展開するほか、米国ベンチャービジネスのシーズを発掘し、国内およびアジアにおける協業など、ソリューションの付加価値向上に向けた検討を始めている。

 

(2)アジア戦略
開発力の拡充を目指し、フィリピンに次ぐ人材育成および開発拠点の立ち上げや、中国、台湾向け営業およびマーケティング活動の強化に取り組む。

 

(3)Win-Win戦略
成長戦略の柱と位置付ける「Win-Win戦略」は、AI領域・次世代ソリューション・保険業界向けプラットフォーマービジネスにおける協業や、大企業との提携、IT会社のM&A等、シナジーを慎重に見極めつつ、水面下で着実に進行させている。
M&A実行後はPMIおよび事業の再構築を1年以内に実行し、利益率25%向上を目指す。

 

(4)「3つ目の事業」の確立
グローバル事業、メディカル事業に次ぐ「3つ目の事業」の確立を目指している。
新規事業のキーワードは、「成長領域・若い人材・サブスクモデル・次世代技術」。
事業部の垣根を越えて優秀かつ若い新規事業メンバーを選出し、次世代のITサービス・プラットフォームビジネス等の既存事業とは異なる軸足の新ビジネスに挑戦。

 

 

5.今後の注目点

メディカル事業の収益性向上が著しい。
売上高営業利益率は前期比約10%上昇。主力製品Mightyシリーズの拡販が続き、パッケージ製品としてのスケールメリットが一段と増大している。
2020年4月にはMighty シリーズを上回る高収益サービス「SonaM(そなえむ)」をリリースした。こちらの導入状況も注目だ。

 

一方のグローバル事業は、金融公共領域を筆頭に主要顧客からの受注が拡大し、売上高が前期比約2割増。高度人材の育成と採用及び先進技術開発への先行投資をこなしつつ、増益を達成。今期は引き続き、戦略市場(金融/公共、自動車、医療、自動車、製造/ロボティクス)における受注及びソリューション提供の更なる拡大、新たなプラットフォームビジネスの立ち上げ推進を通じて、前期に実施した戦略的投資効果の発現による増収増益基盤の拡充に期待したい。

 

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジが作成)

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月24日

 

*基本的な考え方
当社は、「唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けること」「グローバル展開」「Win-Winモデルの推進による相互発展」を経営理念としております。この経営理念のもと、更なる企業価値の向上及びグローバルな競争力を維持していくためには、コーポレートガバナンスの充実と強化が重要課題であると認識しております。具体的には、「より効率的かつ健全に事業活動を行うことにより、企業の収益力を高め、株主の利益を最大化することを目標とする」との基本的認識とコンプライアンスの重要性をコーポレートガバナンスの基本的な考え方として、株主、従業員、取引先、地域社会等のあらゆるステークホルダーに対して社会的責任を果たし、持続的成長と発展を遂げていくことが重要であるとの認識にたち、コーポレートガバナンスの強化に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④ 議決権の電子行使、招集通知の英訳】

現在の当社の株主構成から、電子的な議決権行使の採用、株主総会招集通知の英訳については実施しておりません。これまでの議決権行使比率から、日本語による議決権行使により、大きな支障なく議決権の行使がされているものと判断しております。今後については、海外投資家の議決権の行使状況や外国人株主比率の動向等に留意しながら、その必要性を検討してまいります。

【補充原則4-2① 経営陣の報酬とインセンティブ】

当社の取締役の任期が1年であるため、報酬は前年度の業績により毎年見直されますが、中長期的な業績と連動する報酬や自社株による報酬制度は設けておりません。経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うことの必要性は認識しており、今後適切な方法を継続的に検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

原則1-4【いわゆる政策保有株式】

当社は、当社グループの中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、株式を政策保有します。当該株式の保有は、業務提携・協業などによる取引関係の維持・強化等、保有目的の合理性が確保されているなどの条件を満たす範囲で行うことを方針としております。また、株式に係る議決権の行使については、議案が当社保有方針と適合するかを勘案したうえで議決権の行使を行うこととしております。

【補充原則4-11② 社外役員の兼任状況】

社外取締役及び社外監査役の他社での兼任状況は、株主総会招集通知、有価証券報告書及びコーボレート・ガバナンスに関する報告書等を通じ、毎年開示を行っております。

社外取締役2名が、当社以外の会社の社外取締役を兼任しておりますが、業務執行取締役全員は当社及び当社子会社以外の会社の役員は兼任しておらず、取締役の業務に専念できる体制となっております。

社外監査役2名のうち1名が、当社以外の会社の社外監査役を兼任しておりますが、監査役の業務に支障はありません。

原則5-1【株主との建設的な対話に関する方針】

株主からの対話の申込みに対して、積極的に対応しております。

当社のIR活動は、戦略企画本部を担当部署とするIR体制を整備しており、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けております。

更に、代表取締役自らが出席する決算説明会の開催及び決算説明の動画の配信を、年2回以上実施しております。

 

 

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