ブリッジレポート
(6575) ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社

札証

ブリッジレポート:(6575)ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス 2020年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

渡部 昭彦 社長

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社(6575)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス業

代表者

渡部 昭彦

所在地

東京都港区南青山1-3-3 青山一丁目タワー4階

決算月

3月

HP

https://www.humanassociates.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

725円

3,237,266株

2,347百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-

-

366.20円

2.0倍

*株価は06/05終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは2020年3月期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

1,675

203

229

113

41.47

24.30

2018年3月(実)

1,948

255

257

176

64.32

19.29

2019年3月(実)

1,883

147

148

182

61.56

18.36

2020年3月(実)

2,643

20

18

-25

-7.97

10.00

2021年3月(予)

-

-

-

-

-

-

* 会社予想は未定。単位:百万円、円。2018年1月、1株を2株に分割(EPSを遡及修正)。

 

 

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)の2020年3月期決算の概要と2021年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:SDGsの達成に向けた取り組み>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/3期は前期比40.4%の増収、同86.4%の営業減益。営業基盤及びガバナンスの強化に伴う人員増やシステム投資、更にはサイコム・ブレインズ(株)の子会社化等、積極的な投資により増収となったものの、新型コロナウイルスの影響等で当初の想定ほどには売上が伸びなかった。10円の期末配当を実施している。

     

  • メンタルヘルスケア事業及び人材育成事業において、対面による集合研修の中止や延期が発生しており、人材紹介事業では、各企業の採用活動の遅延の影響を受けている。こうした状況から、「21/3期の業績予想については、現段階での適切かつ合理的な算定が困難である」として、21/3期の業績予想を配当予想と共に未定とした。

     

  • コロナ禍による先行きの不透明感はあるものの、3事業それぞれで、成長要因を有している。人材育成事業については、オンライン研修や社員教育の新製品の販売が本格化し、メンタルヘルスケア事業では、パワーハラスメント防止法施行に伴う需要の取り込みが期待される。人材紹介事業では、コロナ禍にかかわらず、産業構造が変化する中で企業に高い付加価値をもたらす質的な人材不足が続く。業績予想の開示が見送られたが、それほど悲観する必要はないと考える。

     

1.会社概要

持株会社である同社の下、グループで、組織人材向けのカウンセリング、ストレスチェック、更にはその後のフォローアップサービスを行うメンタルヘルスケア事業、エグゼクティブやグローバル人材などミドルマネジメント以上の人材に特化した人材紹介事業、及び研修やアセスメント、ICTを活用した人材育成ソリューションを提供する人材育成事業を手掛けている。グループは、持株会社であるヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)の他、組織人材のメンタルヘルスケアを行うヒューマン・フロンティア(株)、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメント層を中心に紹介する登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)、及び人材育成(研修)事業を展開するサイコム・ブレインズ(株)の100%子会社5社並びに持分法非適用非連結子会社4社。

 

 

【グループ理念 : 未来をつくるのは、ひとの力だ 】

創業より「企業における人材価値の向上」をミッションとし、顧客企業をサポートしてきたが、同社グループ従業員も含めた全ての働く「ひと」に焦点を当て、「ひと」から選ばれるヒューマン・アソシエイツグループを目指し、2020年4月1日にグループ共通の理念を制定。

 

[理念]

未来をつくるのは、ひとの力だ

人と企業の架け橋として、はたらく幸せを、ともにつくる。

その先に、わたしたちの叶えたい未来があります。

ライフスタイルが多様化するこの時代に

わたしたちは、一人ひとりと向き合い

誰もがいい顔で、活躍できる社会に変えていきたい。

未来をつくるのは、ひとの力だと信じて。

 

MISSION(使命)

人材の価値を高め、組織を活性化し、はたらく人の幸せと社会の未来を創造する

VISION(未来像)

世界でいちばん、はたらく人の幸せを考えるコンサルティンググループ

VALUES(価値観)

1.はたらく人の幸せを行動の原点にしよう。

2.すべての仕事に、誠実に向き合おう

3.互いに尊重し、チームとして協力しよう

4.人と組織におけるプロフェッショナルになろう

5.人の価値を高めて、社会を豊かにしよう

 

 

 

1-1 事業概要

事業は、メンタルヘルスケア事業、人材紹介事業、及び人材育成事業に分かれる。メンタルヘルスケア事業では、従業員本人や家族の日常の悩み事についてカウンセリングを行い、問題解決のサポートや職場環境の改善を支援。また、人材紹介事業では、企業の人材ニーズを的確に把握する一方、キャリアコンサルティングを通じ個々の人材に対して最も適した企業を紹介し、企業と人材の橋渡しを行っている。そして、2019年7月に進出した人材育成事業では、クライアント企業の業績向上を支援する研修やアセスメント、ICTを活用した人材育成ソリューションを提供している。
20/3期の売上構成は、メンタルヘルスケア事業33%、人材紹介事業43%、人材育成事業24%(人材育成事業は9ヶ月累計)。

 

 

メンタルヘルスケア事業
事業会社ヒューマン・フロンティア(株)が、カウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービス、及び各種研修等のメンタルヘルスケアサービスをワンストップで提供している。導入実績は大企業を中心に約1,000社、全国約80名のカウンセラーが顧客企業の現場に赴いてEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)を提供しており、EAPカウンセリングを通して培ったノウハウを活かして、管理職向けメンタルヘルスケア研修、パワハラ研修、ワークライフバランス研修等の研修や、ストレスチェック・組織分析、休業者・復職者支援プログラム、CISM(Critical Incident Stress Management)、組織コンサルテーション等のサービスも提供している。

 

ストレスチェックについては、2015年12月の改正労働安全衛生法の施行に伴い、従業員50名以上の事業所で実施が義務化され需要が拡大した。顧客企業の従業員の回答を集計し、問題点等を整理・分析して企業に提出する。また、ストレスチェックを通して、組織上の問題が浮き彫りになれば、組織コンサルテーションを通じて様々なコンサル提案により問題の解決を支援する。

 

 

同社グループの強み
他社では対応が難しい、メンタルヘルス対策の一次予防から三次予防までのワンストップ提供と「現場型」出張カウンセリングを強みとする。メンタルヘルス対策に対するニーズは、企業規模に比例して多様化する傾向があるが、同社のように、多様化する企業ニーズに全国規模かつワンストップで、柔軟に対応できる企業は限られる。

 

「現場型」出張カウンセリングは、連結子会社ヒューマン・フロンティア(株)が擁する全国の専属カウンセラーが可能にしている。「専属カウンセラーは、理論だけでなく、実際に組織で働く社員の気持ちを理解できる人材でなければならない」、という考えから、臨床心理士や産業カウンセラー等の資格保有に加え、企業での勤務経験も採用条件となっている。専属カウンセラーは東京での集合研修の受講を通じて、常に高い水準の知識が維持されている。同社グループでは、全国津々浦々、Face To Faceで、専属カウンセラーが現場でカウンセリングを行っているが、同業他社は、専属カウンセラーを持つケースは少なく(外部委託が多い)、また、電話でカウンセリングするケースも多いと言う。
加えて、同社においては、カウンセラーだけでなく、従業員スタッフも定期的に実施している組織内研修を通じて、高い専門知識を有する。このため、ストレスチェック後の職場改善提案や研修等のフォローアップサービスが充実している事に加え、災害・事故時におけるCISM(惨事ストレスマネジメント)にも対応できる。この結果、カウンセリング満足度95%以上を維持している。

 

 

人材紹介事業
ミドルマネジメント以上の人材紹介に特化して、特色のある事業会社3社が人材サービスを展開している。また、3社のシナジーを追及する事で、求人企業及び求職者のニーズに沿ったサービス提供を実現している。
3社とは、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメント層を中心に紹介する登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、及びグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)である。

 

 

同社グループの強み
各業界で勤務経験を持ち業界知識の豊富なコンサルタントを確保している事が強みであり、インターナショナル領域では、Optia Partners(株)の充実したコンサルタント陣に加え、AIMSインターナショナルジャパン(株)の提携先であるAIMS Internationalとの連携が強み。Optia Partners(株)はコンサルタントの9割超が外国人のため外資系企業のトップ(外国人)へアプローチしやすく、的確にニーズをつかむ事ができる。AIMS Internationalとの連携では、世界50ヶ国以上80ヶ所以上の拠点を構え、約270名のパートナー・コンサルタントを擁するエグゼクティブサーチネットワークを活用できる。

 

 

人材育成事業
2019年7月に完全子会社化したサイコム・ブレインズ(株)の事業領域である。同社は1996年に設立された人材開発・組織開発専門のコンサルティング会社であり、企業の人材育成、業績向上、組織変革のための気づき、学び、行動変容のプロセスを構築するために、アセスメント(評価)、研修、オンラインコンテンツ、効果測定等を組み合わせ、クライアント企業にとって最適なソリューションを提供している。また、国内だけでなく、上海、バンコク、ジャカルタに拠点を有し、東京を含めた各拠点と現地のネットワークを活かし、クライアント企業のアジア事業の中核を担う現地社員の育成も支援している。

 

 

同社グループの強み
企業毎のニーズを適切に把握のうえ、企画・運営を行うコンサルティング機能を活かした企業研修の提供が強み。また、多言語対応の映像講座や、短時間かつ持続的な受講を可能とするオンラインやモバイルツールを活用したサービスなど、社員の能力向上と企業の業績向上につながる個別性の高い学習プログラムを提供している。

 

(同社資料より)

 

1-2 沿革 : 約25年間のサービス実績に基づく優良な顧客基盤が強み

1996年9月にヒューマン・アソシエイツ(株)を創業、ヘッドハンティング(サーチ型人材紹介)事業を開始した。2000年2月にメンタルヘルスケアサービスを提供するヒューマン・フロンティア(株)を、11月に登録型人材紹介を手掛ける(株)A・ヒューマンを、それぞれ設立。2007年9月に渡部昭彦氏(現代表取締役社長)がヒューマン・アソシエイツ(株)代表取締役社長に就任。業容拡大を踏まえて、2009年7月にHAグループ(株)を持株会社とする体制へ移行した。
2011年9月、グローバルサーチファームのAIMS Internationalと提携し、AIMSインターナショナルジャパン(株)を設立。2013年6月に持株会社HAグループ(株)がヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)に商号を変更した。2016年4月に(株)A・ヒューマンがヒューマン・アソシエイツ(株)を吸収合併し、同年11月に人材紹介会社Optia Partners(株)の全株式を取得。2018年4月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場した。

 

2019年7月にサイコム・ブレインズ(株)を子会社化し、現在、メンタルヘルスケア事業、人材紹介事業、及び人材育成事業の3事業を展開しているが、人材紹介事業及び人材育成事業については約25年、メンタルヘルスケア事業については約20年の実績を有し、この間に構築された大企業を中心とする優良な顧客基盤が同社グループの強みとなっている。

 

2.2020年3月期決算概要

2-1 連結業績

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

1,883

100.0%

2,643

100.0%

+40.4%

2,936

-10.0%

売上総利益

1,538

81.7%

2,092

79.1%

+36.0%

-

-

販管費

1,391

73.9%

2,072

78.4%

+49.0%

-

-

営業利益

147

7.8%

20

0.8%

-86.4%

170

-88.2%

経常利益

148

7.9%

18

0.7%

-87.3%

171

-89.5%

親会社株主帰属利益

182

9.7%

-25

-

-

100

-

* 単位:百万円

 

前期比40.4%の増収、同86.4%の営業減益
売上高は前期比40.4%増の2,643百万円。サイコム・ブレインズ(株)の子会社化効果(9ヶ月間)に加え、人材紹介事業の売上が同12.2%増と伸びた。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を3事業全てが受けたため、期初の想定には届かなかった。

 

営業利益は同86.4%減の20百万円。売上総利益は増収効果で同36.0%増加したものの、コロナ禍による売上の伸び悩みで想定を下回った。一方、販管費は、ガバナンス強化に伴う人件費の増加やシステムの高度化投資、更にはWebサイトのリニューアル等で2,072百万円と同49.0%増加した。
25百万円の最終損失となったのは、関係会社出資金評価損17百万円など特別損失18百万円の計上と税負担による。

 

配当は期初発表の通り、1株当たり10円の期末配当を実施。

 

セグメント別売上高・利益

 

19/3期

構成比:利益率

20/3期

構成比・利益率

前期比

期初予想

予想比

メンタルヘルスケア事業

869

46.1%

864

32.7%

-0.5%

918

-5.9%

人材紹介事業

1,014

53.9%

1,137

43.0%

+12.2%

1,228

-7.4%

人材育成事業

-

-

642

24.3%

-

788

-18.5%

連結売上高

1,883

100.0%

2,643

100.0%

+40.4%

2,936

-9.9%

メンタルヘルスケア事業

260

30.0%

192

22.3%

-25.9%

-

 

人材紹介事業

143

14.1%

139

12.2%

-2.8%

-

 

人材育成事業

-

-

6

1.0%

-

-

 

調整額

-255

-

-317

-

-

-

-

連結営業利益

147

7.8%

20

0.8%

-86.4%

170

-88.2%

* 単位:百万円

 

販管費の内訳

 

19/3期

対売上比

20/3期

対売上比

前期比

人件費

1,025

54.4%

1,468

55.5%

+43.3%

地代家賃

49

2.6%

151

5.7%

+204.7%

のれん償却

17

0.9%

16

0.6%

-7.8%

無形資産償却

-

-

23

0.9%

-

その他

298

15.8%

411

15.5%

+37.7%

販管費合計

1,391

73.9%

2,072

78.4%

+49.0%

* 単位:百万円。システム投資やWebサイトリニューアル関連費用等がその他に含まれる。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

19/3-1Q

2Q

3Q

4Q

20/3-1Q

2Q

3Q

4Q

メンタルヘルスケア事業

158

249

271

191

166

267

258

172

人材紹介事業

239

274

236

264

322

245

281

288

人材育成事業

-

-

-

-

-

268

228

145

連結売上高

398

523

507

455

488

781

767

606

メンタルヘルスケア事業

28

91

103

37

4

84

81

22

人材紹介事業

35

51

19

36

78

18

6

35

人材育成事業

-

-

-

-

-

31

15

-40

調整額

-60

-55

-56

-83

-75

-90

-87

-65

連結営業利益

4

87

66

-10

7

44

15

-48

* 単位:百万円

 

メンタルヘルスケア事業
通期では売上高864百万円(前期比0.5%減)、営業利益192百万円(同25.9%減)。EAP契約企業の維持・拡大及びストレスチェックのフォローアップサービスに力を入れた成果に加え、ハラスメント相談(通報)窓口サービスを開始した効果もあり、第3四半期までは増収基調で推移したが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対面による集合研修の中止や延期の影響等で第4四半期の売上が落ち込んだ。売上が伸び悩む中、計画通り営業基盤の構築及びガバナンス強化のための人員の採用を行ったため営業費用が増加した。

 

 

人材紹介事業
通期では売上高1,137百万円(前期比12.2%増)、営業利益139百万円(同2.8%減)。求職者確保のための投資と継続的なコンサルタントの採用・増員により売上が増加した。ただ、コロナ禍による企業の採用活動の停滞で第4四半期の売上が伸び悩んだこと及び前期増員したコンサルタントや大阪支店の本格稼働の遅れで、一人当たりの生産性が低下したため、利益が減少した。

 

 

人材育成事業
社員の能力開発・組織活性化等、企業のニーズに即した集合研修の企画から運営までの対応や、モバイルツールを活用した短時間のオンライン講座等の自立学習支援サービスで642百万円の売上を計上したが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で集合研修が中止・延期となり想定を下回った(3事業の中で最も大きな影響を受けた)。利益面では、コロナ禍の影響に加え、子会社化に伴うのれんや無形固定資産の償却負担により、営業利益は6百万円にとどまった。尚、第2四半期からの連結のため、20/3期は9ヶ月間の売上・利益である。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年3月

20年3月

 

19年3月

20年3月

現預金

808

789

未払法人税・消費税等

139

53

売上債権

105

215

未払金

325

223

流動資産

1,310

1,159

前受金

117

122

有形固定資産

213

234

有利子負債合計

1

426

無形固定資産

38

753

負債

659

1,201

投資その他

147

243

純資産

1,051

1,190

固定資産

400

1,232

負債・純資産合計

1,710

2,391

* 単位:百万円

 

 

期末総資産は前期末の比較で681百万円増の2,391百万円。借方では、サイコム・ブレインズ(株)の子会社化に伴い、売上債権や無形固定資産が増加した。無形固定資産の内訳は、のれん198百万円、商標権176百万円、顧客関連資産299百万円、その他79百万円。貸方では、M&A資金として長期借り入れを行ったため有利子負債が増加した他、資本金・資本剰余金が増加した。営業CFは安定しており、手元流動性比率3.58ヶ月と手元流動性も潤沢。自己資本比率49.6%(前期末61.5%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/3期

20/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

184

182

-1

-0.9%

投資キャッシュ・フロー(B)

-130

-505

-374

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

53

-322

-376

-

財務キャッシュ・フロー

177

303

+125

+70.8%

現金及び現金同等物期末残高

808

789

-18

-2.3%

* 単位:百万円

 

減価償却費64百万円(前期58)、のれん償却額16百万円(同17)、移転補償金の受取額302百万円(同 -)、差引法人税等支払額△243百万円(同△66)等で182百万円の営業CFを確保した。投資CFは主にサイコム・ブレインズ(株)の子会社化に伴うもので(連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得△364百万円)、財務CFは長期借入金の借り入れや配当金の支払い等による。

3.2021年3月期業績予想

3-1 21/3期業績予想及び配当予想は未定

政府からのイベント等の自粛や在宅勤務の要請等により、メンタルヘルスケア事業及び人材育成事業において、対面による集合研修の中止や延期が発生し、人材紹介事業では、各企業の採用活動の遅延の影響を受けている。こうした状況から、21/3期の業績予想については、現段階での適切かつ合理的な算定が困難である、として業績予想を未定とした。

 

利益配分については、「将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%程度を目安として安定した配当を継続していく事」を基本方針としているが、21/3期の期末配当については、業績益予想と同様に未定とした。

 

 

セグメント別の対応状況

メンタルヘルスケア事業

オンライン研修のニーズに対応すると共に、新たな研修メニューの開発にも取り組んでいる。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出の自粛等、生活スタイルが大きく変化したことによる個人の抱えるストレス軽減に寄与するべく、「新型コロナウイルス対応セルフケア特設サイト」を開設した。

人材紹介事業

オンライン面談を積極的に活用すると共に、変化する外部環境に迅速に対応するべく、自社Webサイトや業務システム等の見直しを行い、デジタル化の時代に対応したAI人材等、付加価値の高い人材紹介に力を入れている。

人材育成事業

リアルの集合研修からオンライン研修への移行を進めると共に、自立学習とキャリアアップを支援する見放題動画など個人向けの商品を開発した。新たなビジネスモデルの確立に向け、プロモーション活動や代理店開拓など販売活動を強化していく考え。

 

 

3-2 今後の展開

メンタルヘルスケア事業
競合他社との差別化及びシェア拡大(2018年度 EAP市場規模280億円)に取り組んでいく。具体的には、メンタルヘルスケア対策の一次予防(不調者発生予防)、二次予防(早期発見・早期対策)、三次予防(職場復帰・再発防止)までのワンストップでの提供、及びパワーハラスメント防止法施行を踏まえたサービス(研修によるハラスメント予防、相談(通報)窓口及びカウンセリングによるケア)の提供に力を入れる。

 

(同社資料より)

 

人材紹介事業
人材紹介業の市場規模は2018年度に3,000億円を突破し、有効求人倍率も高水準で推移している。産業の高度化が進む中で、企業ニーズを識別し、AI人材等、付加価値の高い人材の紹介に力を入れる。また、増員したコンサルタントの早期戦力化による一人当たり生産性向上を図るべく、組織体制を見直すと共にサポート体制を強化する。

 

 

(同社資料より)

 

 

人材育成事業
労働生産性向上を目的とした、研修の企画・運営・実施から、人材育成に至る受託開発サービスを提供していく。また、オンライン研修や教育事業の新商品の開発・販売に力を入れる考えで、この一環として、4月から研修動画が見放題のライブラリサービス「ビジネスマスターズ®」の提供を開始した(2020年5月時点で、1,710本以上の動画が定額見放題)。「ビジネスマスターズ®」は、リモートワーク下での社員の知識習得・スキル強化を実現し、キャリアプランに合わせた自発的学習を促進する。

 

(同社資料より)

 

 

 

グループ間シナジー
セグメント毎の取り組みと共に、グループ間シナジーも追及していく。具体的には、経営が抱える課題を解決に導く様々な人材サービスをグループ全体で提案していく。また、各子会社が有する大企業を中心とした顧客基盤をグループでフルに活用するべく、グループ全体の顧客戦略を強化する。この他、各子会社製品(サービス)のクロスセルにとどまらず、融合型の製品開発にも取り組んでいく考えで、現在、ヒューマン・フロンティア(株)とサイコム・ブレインズ(株)の共同製品(サービス)の開発を進めている。

 

 

事業活動を通じた社会課題(SDGs)への取組み
事業活動を通じて、寄付/活動支援、職場内禁煙、メンタルヘルスケア、ビジネス研修/eラーニング・映像学習の提供、人材紹介、従業員のスキルアップ支援、更にはリサイクルに取り組み、SDGsの達成を目指す。

 

 

実行項目

関連するSDGs

寄付/活動支援

未来をつくる子供たちと世界遺産の保護のために活動されている皆さまをサポート

 

職場内禁煙

受動喫煙防止のため、オフィス内は禁煙

メンタルヘルスケア

カウンセリングによる個人の問題解決を支援

ビジネス研修/eラーニング・映像学習の提供

組織の生産性向上につながる様々なサービスを提供

人材紹介

ハイレベルな人材サービスにより適材適所の実現をサポート

従業員のスキルアップ支援

グループ社員に対して、業務関連セミナーへの参加を促し、サイコム・ブレインズ社のeラーニングを一部無料で利用可能に

リサイクル

機密書類は環境に優しい溶解処理でリサイクル

(同社資料を基に作成)

 

 

4.今後の注目点

感染第2波の懸念等、コロナ禍による先行きの不透明感はあるものの、緊急事態宣言が解除され、事業環境は徐々に改善されていくものと思われる。また、3事業それぞれで、成長要因を有している。人材育成事業は最もコロナ禍の影響を受けたが、オンライン研修や社員教育の新製品の販売が本格化する。プロモーション活動や代理店開拓など販売活動を強化する考えで、オンラインによる新たなビジネスモデルを確立することができるか注目される。メンタルヘルスケア事業では、パワーハラスメント防止法施行に伴う需要の取り込みが期待される。ストレスチェック効果が一巡する中、EAPサービス市場の拡大や精神障害による労災補償請求件数の増加といった外部環境を活かしてメンタルヘルスケア対策をどれだけ伸ばせるか、も注目点である。一方、人材紹介事業については、コロナ禍による案件の進捗遅れで20/3期は売上を想定したほど伸ばせなかったが、採用活動が正常化すれば、コンサルタントの増員効果が顕在化してこよう。産業構造が変化する中では、企業に高い付加価値をもたらす質的な人材不足は続くため、コロナ禍にかかわらず事業環境は良好だ。コンサルタントの採用・早期戦力といった課題への対応と共に今後の展開に期待したい。

 

<参考:SDGsの達成に向けた取り組み>

「未来をつくるのは、ひとの力だ」という信念の下、事業活動を通じてSDGsの達成に取り組んでいる。

 

SDGs の17のゴール・169のターゲットと合致する同社の取り組み

実施項目

関連するSDGs

ターゲット

寄付/活動支援

未来をつくる子供たちと世界遺産の保護のために活動されている皆さまをサポートします。

 

対応企業

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス

 

 

1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。

 

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

 

4.3 2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。

 

11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

職場内禁煙

受動喫煙防止のため、オフィス内は禁煙にしています。

 

対応企業

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス

ヒューマン・フロンティア

サイコム・ブレインズ

AIMSインターナショナルジャパン

A・ヒューマン

Optia Partners

 

3.a 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

メンタルヘルスケア

カウンセリングによる個人の問題解決を支援。

 

対応企業

ヒューマン・フロンティア

 

3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

ビジネス研修/Eラーニング・映像学習提供

組織の生産性向上につながる様々なサービスを提供しています。

 

対応企業

ヒューマン・フロンティア

サイコム・ブレインズ

 

4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。

 

5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。

 

8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

人材紹介

ハイレベルな人材サービスにより適材適所の実現をサポートします

 

対応企業

AIMSインターナショナルジャパン

A・ヒューマン

Optia Partners

 

8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

 

8.5 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。

 

9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。

従業員のスキルアップ支援

グループ社員に対して、業務関連セミナーへの参加を促したり、サイコム・ブレインズ社が提供しているEラーニングを一部無料で利用できるようにしたりしています

 

対応企業

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス

ヒューマン・フロンティア

サイコム・ブレインズ

AIMSインターナショナルジャパン

A・ヒューマン

Optia Partners

 

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

リサイクル

機密書類は環境に優しい溶解処理でリサイクルをしています。

 

対応企業

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス

ヒューマン・フロンティア

AIMSインターナショナルジャパン

A・ヒューマン

 

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

 

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実の観点から、2019年6月27日開催の第30回定時株主総会の承認を得て、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。
取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とする事により、取締役会の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図る考え。

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年06月26日)
基本的な考え方
・コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
 当社は、事業環境が刻々と変化する人材サービス業界において企業価値の持続的な増大を図るには、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めて社会的信頼に応えていくことが不可欠であるとの認識のもと、ガバナンス体制の強化・充実を重要課題と位置づけています。
 こうした認識のもと、業務分掌の実施や規程の整備等により内部統制を強化するとともに、随時体制の見直しを実施し、企業価値の向上を図ることで、株主や債権者、従業員など企業を取り巻くさまざまなステークホルダーへの利益還元に努めてまいります。
 当社は、取締役会の監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図るために、2019年6月27日開催の第30回定時株主総会において監査等委員会設置会社に移行いたしました。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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