ブリッジレポート
(8130) 株式会社サンゲツ

東証1部,名証1部

ブリッジレポート:(8130)サンゲツ 2020年3月期決算

ブリッジレポートPDF

投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

安田 正介 社長

株式会社サンゲツ(8130)

 

 

企業情報

市場

東証1部・名証1部

業種

卸売業(商業)

代表取締役

社長執行役員

安田 正介

所在地

愛知県名古屋市西区幅下1-4-1

決算月

3月

HP

https://www.sangetsu.co.jp/

 

株式情報

株価

期末発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,504円

61,750,000株

92,872百万円

1.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

-

37.98円

39.6倍

1,539.56円

1.0倍

*株価は6/24終値。各数値は20年3月期決算短信より。新型コロナウイルスの影響により配当予想は未定。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

135,640

7,572

8,368

6,570

97.53

52.50

2018年3月(実)

156,390

5,033

5,698

4,514

68.97

55.50

2019年3月(実)

160,422

5,895

6,699

3,579

57.28

56.50

2020年3月(実)

161,265

9,268

9,844

1,432

23.52

57.50

2021年3月(予)

135,000

4,200

4,500

2,300

37.98

未定

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。新型コロナウイルスの影響により配当予想は未定。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。(以下、同様)

 

株式会社サンゲツの2020年3月期決算概要、長期ビジョン【DESIGN 2030】、中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】、安田社長へのインタビューなどをご紹介致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期決算概要
3.2021年3月期業績見通し
4.Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】
5.中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】
6.安田社長に聞く
7.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年3月期の売上高は前期比0.5%増の1,612億円。過去最高を更新した。インテリアセグメント、エクステリアセグメントとも堅調。インテリアセグメントでは全ての商品カテゴリーが増収だった。海外セグメントは減収。営業利益は同57.2%増の92億円。2018年10月から実施した商品卸売価格の改定が進み、粗利額は同4.3%増加。販管費は山田照明の売却もあり減少したため大幅増益となった。当期純利益は同60.0%減の14億円。米国子会社Koroseal社関連ののれん及び無形資産の減損損失59億円を計上した。売上高はほぼ期初計画どおり、利益は計画を上回った。

     

  • 21年3月期の売上高は前期比16.3%減の1,350億円、営業利益は同54.7%減の42億円の予想。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済・生産活動の停滞や消費の落ち込み、その他予測困難なリスクにより、経営環境は厳しさを増していくと予想。内装材の各種見本帳は計画通り発売する予定である。配当予想は未定。

     

  • 現在の事業モデルそのものの変革が必要であるとの認識から、「Sangetsu Group長期ビジョン【DESIGN 2030】」を設定した。目指す姿は「スペースクリエーション企業」。現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力に加え、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する企業を目指していく。長期ビジョンの達成に向けては、経営の基本を「デザイン経営」とし、デザインによるブランド価値の向上と事業転換を目指す。10年後の2030年3月期「売上高2,250億円、営業利益185億円」を目指す。

     

  • 長期ビジョン達成に向けたファーストステップ中期経営計画【D.C.2022】がスタートした。「基幹事業の質的成長による収益の拡大」「基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化」「経営・事業基盤の強化」「社会的価値の実現」の4つを基本方針として成長を目指す。23年3月期の数値目標は「売上高1,720億円、営業利益120億円」。

     

  • 安田社長に、前期決算のレビュー、新型コロナウイルスの影響、Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】および中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】のポイントなどを伺った。「短期、中期、長期の施策をそれぞれ着実に実行し、目標数値の達成と事業モデルの変革による「スペースクリエーション企業」を目指していく。また、これまで以上に企業の社会的な存在意義を意識し、全てのステークホルダーとの信頼関係構築に注力していく。足元は厳しい事業環境が予想されるが、中長期の視点で是非当社を応援していただきたい」とのことだ。

     

  • 「スペースクリエーション企業」を目指す航海が始まった。2014年に創業家以外で始めて社長に就任した安田社長にとっては、インタビューにもあるように国内マーケットの限界が自明な中での「事業モデルの変革」こそが、最大のミッションということとなろう。苦戦した海外事業で前期に大きな減損損失を計上したが、早期の判断により膿を出したことは、長期ビジョン及び新中計スタートにあたっては適切なジャッジであろう。新型コロナウイルスの存在は国内外事業にとってアゲインストの風となろうが、短期的には四半期毎の事業概況と業績数値を、中長期的には「DATAの高度活用体制の整備」をどのように進めていくのかを注目したい。また可能であれば、四半期開示以外にも新型コロナウイルスに伴う状況報告も期待したい。

     

     

1.会社概要

壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。グループ企業に、沖縄地区でのインテリア商品の販売を担う「株式会社サンゲツ沖縄」エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、中国での事業展開の拠点「山月堂(上海)装飾有限公司」、米国の非住宅向けを中心とした壁装材製造販売会社「Koroseal Interior Products Holdings,Inc.」、施工能力の強化を通じて更なる受注獲得を目指す「フェアトーン株式会社」、カーテン専門の販売会社「株式会社サンゲツヴォーヌ」、東南アジアにおける内装材料販売会社である「Goodrich Global Holdings Pte., Ltd.」の7社を有する。

 

【1-1沿革】

1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。

 

【1-2 企業理念】

新たなステージに臨む同社では、変革のチャレンジを進める上で、2016年2月、新ブランド理念を含めた企業理念を再構築した。以下の、「社是」、「企業使命」、「サンゲツ三則」に新しい「ブランド理念」を合わせ、企業理念としている。
加えて、2020年に策定した「Sangetsu Group 長期ビジョン 【DESIGN 2030】」において、目指す姿を「スペースクリエーション企業」とした。(詳細は「4.Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】」を参照)

 

<社是>
誠実

 

<企業使命>
インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します。

 

<サンゲツ三則>
創造的デザイン・信頼される品質・適正な市場価格

 

<ブランド理念>
ブランドステートメント「Joy of Design」を掲げ、ブランドパーパスとして「私たちは、新しい空間を創りだす人々にデザインするよろこびを提供します。」と謳っている。

 

インテリア商品の作り手と使い手、同社に関連する全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合うことを目指す考えだ。

 

【1-3市場環境】

◎概観
同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。

 

(同社資料より)

 

一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数は低水準で推移しているのに対し、同社売上高は過去最高を連続して更新している。

 

  

 

これは、M&Aに加え、民間住宅以外に非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。

 

 

 

国土交通省発表の「令和元年建設投資見通し」によれば、民間住宅建築投資、民間非住宅建築投資ともにリーマンショック後は回復途上にあるが、民間住宅建築投資が未だ2000年レベルの8割強の水準であるのに対し、民間非住宅建築投資は3割強上回るレベルである。
ただ、数年間堅調であった新設事務所および店舗の床面積合計は2018年度以降減少傾向にあり、堅調とは言い難い。

 

また、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2020年5月27日発表)によれば、名目民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は、2017年度(見込み)11.6%増、2018年度(見込み)3.0%増の後、2019年度(見通し)2.8%減、2020年度(見通し)8.3%減と失速する見通し。新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業業績の悪化が影響する。

 

着工床面積も、事務所が16年度の10.3%増から17年度は一転して4.6%減となり、18年度も3.9%の減。19年度2.3%増と回復したが、2020年度(見通し)は0.8%減とマイナスに転じる。
店舗も14年度以降前年割れが続いており、19年度20.5%減、20年度(見通し)10.6%減と2ケタのマイナスが続く。
新型コロナウイルスの感染拡大により事業環境は下方に転じている。

 

 

 

(前回レポート時)

 

このように、住宅市場、非住宅市場ともに厳しい事業環境ではあるが、非住宅市場においては、リニューアル需要は堅調に推移しているため、コントラクト営業部を中心に需要取り込みを図っている。加えて海外事業の育成にも取り組み、他社にはない強みを強化、更なる成長を追求している。

 

◎同業他社
インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の8社が挙げられる。

 

コード

企業名

売上高

増収率

営業利益

営業増益率

営業利益率

時価総額

PER

PBR

ROE

3501

住江織物

91,500

-7.2%

1,500

-51.9%

1.6%

15,748

134.0

0.5

1.4%

4206

アイカ工業

-

-

-

-

-

232,849

-

1.7

9.9%

4215

タキロンシーアイ

-

-

-

-

-

66,592

-

0.8

17.0%

4224

ロンシール工業

-

-

-

-

-

8,436

-

0.5

7.4%

5956

トーソー

22,000

-3.0%

700

-22.3%

3.2%

4,790

9.5

0.4

5.0%

7971

東リ

89,000

-6.0%

1,900

-20.3%

2.1%

18,110

12.3

0.5

5.7%

7989

立川ブラインド工業

42,300

0.6%

4,580

+4.6%

10.8%

27,117

8.8

0.7

7.6%

8130

サンゲツ

135,000

-16.3%

4,200

-54.7%

3.1%

92,872

39.6

1.0

1.5%

9827

リリカラ

-

-

-

-

-

2,215

-

0.3

6.2%

*単位:百万円、倍。業績は今期会社予想。時価総額、PER、PBRは2020年6月24日終値ベース。ROEは前期実績。アイカ工業、タキロンシーアイ、ロンシール工業、リリカラは今期予想未定。

 

【1-4 事業内容】

壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業も展開している。米国、中国、シンガポールの子会社3社により海外事業も展開している。
なお、2008年に子会社化した山田照明株式会社が一般照明器具を国内外で販売する「照明事業」を手掛けていたが、シナジー効果が限定的であると判断し、2019年4月5日、オーデリック株式会社へ譲渡した。
また、2021年3月期よりインテリアセグメントを、インテリアセグメントとスペースクリエーションセグメントに区分し、4セグメントとなる。(グラフは、2020年3月期を新セグメントで組み替え。以下文中の売上高、営業利益は旧セグメント)

 

 

 

①「インテリアセグメント」
(2020年3月期 売上高 125,381百万円、営業利益 9,518百万円)
◎主な取扱商品

壁紙

同社の主力商品。住宅から非住宅分野まで幅広く利用される壁装材。近年では汚れ防止や消臭、キズが付きにくいなどの性能を持つ機能性壁紙も人気。抗ウイルス壁紙などもラインアップ。また、部屋の一面あるいは一部だけ色やデザインの異なる壁紙を使う「アクセントクロス」は住空間の魅力を高め、一般住宅、賃貸住宅でも採用が進んでいる。

クッションフロア

住宅用と店舗用のタイプがあり、アパートやマンションなどでも多く利用されているシート系床材。木目・石目など豊富なデザインとクッション性が特長の幅広い用途を持つアイテム。

長尺塩ビシート

 

医療・福祉施設や商業スペース、教育施設などに多く利用されるシート系床材。安全、衛生面に配慮した機能のほか、ワックスがけ不要などの優れたメンテナンス性による管理維持コストの削減、環境負荷の低減にも繋がる性能を持つアイテムなどがある。

フロアタイル

商業施設や教育施設、また戸建やアパート、マンションにも利用される幅広い用途をもつ、タイル状の塩ビ床材。ウッドやストーンなどモチーフとなる素材を高い印刷技術と精緻なエンボス加工で表現した意匠性の高さも特長。

カーペット

 

住宅から商業施設、ホテル、旅館まで幅広い用途で利用される繊維系床材。多彩なデザインと高い機能性を備える。物件に応じたオリジナルデザインの提案も行う。

カーペットタイル

主に、オフィス、ホテル、商業施設、教育施設などに使用される50センチ角のタイル状カーペット。貼り替えも手軽な上、メンテナンス性にも優れている。

カーテン

同社が取扱うのはすべてオーダーカーテン。好みや部屋の条件に合ったデザイン、サイズで窓まわりを装飾できるのが特長。デザイン性豊かな厚手のカーテンのほか、外から室内が見えにくいミラー調レースや遮熱などの機能性アイテムも人気。

 

商品数は約12,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約4,300点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で30~40%程度。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積により効率と鮮度のバランスを取っている。

 

 

◎営業体制
名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、50か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として8か所のショールームを有している。

 

 

(同社資料より)

 

最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。
そのため、同社では見本帳、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、コントラクト営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約700名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。

 

◎物流体制・配送体制
全国11か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。
東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.9%となっている。周辺の物流センターから即座にカバーする事で、納期待ちを依頼する事はほぼない。内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。仕入先は約100社と広範囲に亘っている。
物流効率化を目指し、ロジスティクスセンターの建設を進めており、2020年末にはサービス持続性確保とリードタイムの更なる短縮のための省人化設備を導入した関西LCを新設・統合予定。首都圏を始めとした他のLCでも同設備の導入を進める。

 

配送については、物流コストが増加するのに対応し、自社配送体制の拡充を進めている。
東北において地域配送体制を整備したのに続き、他地域でも地域配送体制を構築すると同時に、重量物の配送も大都市圏を中心に整備していく。

 

②「エクステリアセグメント」
(2020年3月期 売上高 16,079百万円、営業利益 642百万円)
2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。新中期経営計画では、首都圏を中心とした景観ビジネスにも注力する。

 

③「海外セグメント」
(20120年3月期 売上高 19,804百万円、営業利益 -932百万円)
2016年11月に買収したKoroseal Interior Products Holdings,Inc、2016年4月に設立した山月堂(上海)装飾有限公司および2017年12月に買収したGoodrich Global Holdings Pte. Ltd.の3社で構成される。

 

④「スペースクリエーションセグメント」
2021年3月期より追加されたセグメント。
サンゲツのデザイン力およびフェアトーンの内装仕上げに関する施工能力をベースに、新たに、スペースデザイン力・発想力・構想力・提案力・コンサル力などのソフトパワー、木工・照明・電気なども対象とした総合的な施工力を付加、施工管理力を強化し、顧客にとって最適な空間を創造・提供する。

 

【1-5 ROE分析】

 

12/3期

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE (%)

3.5

4.1

4.6

3.7

5.6

6.0

4.2

3.5

1.5

 売上高当期純利益率(%)

3.50

3.90

4.14

3.33

4.77

4.84

2.89

2.23

0.89

 総資産回転率(回)

0.84

0.88

0.93

0.91

0.95

0.88

0.91

0.94

0.96

 レバレッジ(倍)

1.18

1.19

1.20

1.21

1.24

1.41

1.60

1.67

1.74

 

今期からスタートした中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】では2023年3月期の目標を9%としている。
収益性向上のための取り組みが必須である。

 

【1-6 特徴と強み】

①安定した収益を生み出すビジネスモデル
同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数12,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来、連結決算で赤字を計上したことが無い。

 

②「創る」・「提案する」・「届ける」
「創る」
同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。昭和40年に初のオリジナル壁紙を発売。昭和48年に制定以降、現在も守り続けられているサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。
同社で様々なデザインをベースに約25名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。商品ラインアップは他社には例を見ない約12,000点。また2~3年ごとに定期的に改訂する約30種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。

 


 (同社資料より)

 

「提案する」
同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ半分弱に当たる約690名で、業界最大である。
全国8支社、50拠点で前述のような、提案営業を展開している。8か所のショールームには約110名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが約60名おり、その提案力も業界最高水準となっている。

 

 

 

(同社資料より)

 

「届ける」
先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。
通常、壁紙は1ロール50m。30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。

 

 

 

(同社資料より)

 

2.2020年3月期決算概要

(1)業績概要

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

160,422

100.0%

161,265

100.0%

+0.5%

-1.1%

売上総利益

50,720

31.6%

52,925

32.8%

+4.3%

+0.8%

販管費

44,824

27.9%

43,656

27.1%

-2.6%

-1.9%

営業利益

5,895

3.7%

9,268

5.7%

+57.2%

+15.9%

経常利益

6,699

4.2%

9,844

6.1%

+46.9%

+18.6%

当期純利益

3,579

2.2%

1,432

0.9%

-60.0%

-74.9%

*単位: 百万円

 

微増収も大幅増益。売上高は過去最高を更新。
売上高は前期比0.5%増の1,612億円。インテリアセグメント、エクステリアセグメントとも堅調。インテリアセグメントでは全ての商品カテゴリーが増収だった。海外事業は減収。期中に売却した山田照明(照明セグメント)を除けば3%増収。過去最高を更新した。
営業利益は同57.2%増の92億円。原材料費・物流費の高騰に対応するために2018年10月から実施した商品卸売価格の改定が進み、粗利率は1.2ポイント改善。粗利額は同4.3%増加。販管費は山田照明の売却もあり減少したため大幅増益となった。
当期純利益は同60.0%減の14億円。米国子会社Koroseal社関連ののれん及び無形資産の減損損失59億円を計上した。売上高はほぼ期初計画どおり、利益は計画を上回った。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

 

 

 

 

 

 

インテリアセグメント

119,508

74.5%

125,688

77.9%

+5.2%

-0.6%

 壁装材事業

57,155

35.6%

60,194

37.3%

+5.3%

-

 床材事業

43,116

26.9%

44,694

27.7%

+3.7%

-

 ファブリック事業

8,311

5.2%

8,463

5.2%

+1.8%

-

 その他

10,924

6.8%

12,336

7.6%

+12.9%

-

エクステリアセグメント

16,121

10.0%

16,082

10.0%

-0.2%

+3.8%

照明セグメント

4,227

2.6%

-

-

-

-

海外セグメント

20,920

13.0%

19,804

12.3%

-5.3%

-7.9%

調整額

-354

-

-310

-

-

-

合計

160,422

100.0%

161,265

100.0%

+0.5%

-1.1%

営業利益

 

 

 

 

 

 

インテリアセグメント

6,174

5.2%

9,518

7.6%

+54.2%

+12.0%

エクステリアセグメント

594

3.7%

642

4.0%

+8.1%

+60.5%

照明セグメント

65

1.5%

-

-

-

-

海外セグメント

-960

-

-932

-

-

-

調整額

22

-

40

-

-

-

合計

5,895

3.7%

9,268

5.7%

+57.2%

+15.9%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。ファブリック事業は、カーテンと椅子生地を合わせたもの。

 

➀インテリアセグメント
増収・増益。
全品目増収。加えて、仕入れコスト・輸送費の上昇・物流設備更新等に係るコスト転嫁のため実行した値上げが市場に更に浸透し利益率も上昇した。

 

<壁装材>
増収。デフレ傾向や下期における住宅・リフォーム市場の縮小など、厳しい市場環境ではあったが、2019年6月に発刊した量産壁紙見本帳「SP」における機能性商品を中心としたラインアップの拡充が奏功し、売上が伸長。2020年1月に発刊した不燃認定壁紙見本帳「FAITH」とガラスフィルム見本帳「CLEAS」も、働き方改革の推進等によるオフィスリニューアル需要を取り込んだ結果、シェアを挽回した。

 

<床材>
値上げの浸透もあり、10期連続増収となった。2019年10月に発刊したビニル床タイル見本帳「フロアタイル」が売上を牽引し、特に多種多様な木材や石材を再現した商品シリーズが好評だった。また、オフィスリニューアル市場や商業・宿泊施設では、質の高いカーペットタイル「DTシリーズ」や、求めやすい価格帯でありながらデザイン性の高いカーペットタイル「NT-700シリーズ」などが伸長した。

 

<ファブリック>
増収。2019年5月に発刊したカーテン見本帳「AC」における北欧調やモダンなどの商品ラインアップが好評だった。また、2020年1月に発刊した椅子生地見本帳「UP」では、水だけで簡単に手入れができる「アクアクリーン」の市場認知が進むとともに、デザイン性の高い織物、素材感にこだわった無地や機能性商品を拡充したビニルレザーも好評だった。

 

<その他>
増収。施工体制を担うフェアトーン株式会社の業績、施工代などを含んでいる。

 

➁エクステリアセグメント
減収・増益。
上期は、自然災害復旧工事や防災対策工事の増加、消費増税前の需要増により好調に推移したものの、下期は需要の一巡に加え、消費税増税後にガーデンルームやウッドデッキといった高付加価値商品の売上が落ち込むなど、厳しい市場環境となったが、高付加価値商品の販促や収益率の高い施工受注への注力等、収益率の向上に努めた結果増益となった。

 

③海外セグメント
減収・損失は前期並み。
北米における主要ターゲットであるホテル市場の低迷や、中国・東南アジア市場でのデフレによる価格競争激化など、経営環境は厳しさを増している。

 

北米市場を担うKoroseal社においては、2019年7月に一新した経営体制のもと、新規壁紙生産設備の稼働開始や、商品カラーバリエーションの見直し、新規デザイナーの登用等、自社ブランド商品の強化に努めた。
ただ、新型コロナウイルスによりホテル市場が一段と冷え込んだほか、新商品新デザイン投入遅れによる販売減、デザイン力の不足、高デザイン生産力欠除、老朽設備による高スクラップ率などから、業績が想定した計画を下回って推移しているため、株式取得時に発生したのれん及び無形資産につき、減損損失59億円を特別損失として計上した。

 

今後は、以下のような施策による回復を目指す。
*CEO・その他マネジメントの交代による経営基盤の強化
*新規設備(従来の5色印刷から7色印刷への改善。競合は最大6色印刷)の導入による生産性の改善と商品クオリティの向上
*新規デザイナーの登用によるデザイン性の向上
*ホスピタリティーマーケット集中からの転換
*ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化

 

中国市場を担う山月堂(上海)においては、前年度に納品した大型物件の反動減等の厳しい状況となる中で、上海市を中心としたローカルマーケットでの営業基盤の強化・安定化を目指し、よりきめ細やかな営業活動による新規顧客獲得や販路開拓に努めた。東南アジア市場を担うGoodrich社においては、競合先の多様化や商品の低価格指向等の市場の変化に対応するために、各エリアの在庫力強化や商品ラインアップ拡充に努めた。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19/3月末

20/3月末

 

19/3月末

20/3月末

流動資産

97,674

100,591

流動負債

39,389

50,701

 現預金

27,220

30,756

 仕入債務

26,522

25,818

 売上債権

50,504

47,069

 短期借入金

1,798

12,840

 有価証券

300

4,125

固定負債

31,342

19,182

 たな卸資産

17,331

17,502

 長期借入金

18,925

7,638

固定資産

73,200

63,509

負債合計

70,732

69,883

 有形固定資産

35,688

35,673

純資産

100,143

94,217

 無形固定資産

16,686

9,233

 株主資本

97,897

94,028

 投資その他の資産

20,825

18,603

自己株式

-2,889

-2,440

資産合計

170,875

164,101

負債純資産合計

170,875

164,101

 

 

 

自己資本比率

58.0%

56.8%

*単位:百万円。

 

売上債権が減少した一方、現預金および有価証券が増加し流動資産は前期末に比べ29億円増加。固定資産はKoroseal社ののれん及び無形資産の減損などで同96億円減少した結果、資産合計は同67億円減少の1,641億円となった。
借入金を長期から短期にシフト。負債合計は同8億円減少し698億円となった。利益剰余金の減少などで純資産は同59億円減少し942億円となった。これらの結果、自己資本比率は前期末の58.0%から1.2ポイント低下し56.8%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期

20/3期

増減

営業CF

10,370

13,804

+3,434

投資CF

3,649

-5,016

-8,665

フリーCF

14,019

8,788

-5,231

財務CF

-7,196

-5,476

+1,720

現金同等物残高

26,613

29,922

+3,309

*単位:百万円。

 

減損損失額の拡大、売上債権の減少などで営業CFのプラス幅は拡大。有価証券の取得による支出の増加等で投資CFはマイナスに転じたが、フリーCFは縮小したものの高水準を維持。キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

売上高

1,612.6

100.0%

1,350.0

100.0%

-16.3%

営業利益

92.7

5.7%

42.0

3.1%

-54.7%

経常利益

98.4

6.1%

45.0

3.3%

-54.3%

当期純利益

14.3

0.9%

23.0

1.7%

+60.6%

*単位:億円。予想は会社側発表

 

減収減益
売上高は前期比16.3%減の1,350億円、営業利益は同54.7%減の42億円の予想。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済・生産活動の停滞や消費の落ち込み、その他予測困難なリスクにより、経営環境は厳しさを増していくと予想。建設市場においても、国内外での建築需要の低迷や、サプライチェーンの停滞による商品供給の遅延リスクなどを見込んでいる。内装材の各種見本帳は計画通り発売する予定である。配当予想は未定。

 

(2)セグメント別動向

 

20/3期

構成比

21/3期(予)

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

インテリアセグメント

1,221.0

75.7%

1,030.0

76.3%

-15.6%

エクステリアセグメント

160.8

10.0%

140.0

10.4%

-13.0%

海外セグメント

198.1

12.3%

155.0

11.5%

-21.7%

スペースクリエーションセグメント

41.5

2.6%

35.0

2.6%

-15.7%

調整額

-8.8

-

-10.0

-

-

合計

1,612.6

100.0%

1,350.0

100.0%

-16.3%

*単位:億円。2021年3月期よりインテリアセグメントをインテリアセグメントとスペースクリエーションセグメントに区分。20/3期は新セグメントで組み直し。

 

(3)新型コロナウイルスの影響

壁紙・床材等内装材料の施工事業者を中心とする業界団体である日本室内装飾事業協同組合連合会の会員約5,400社の内、
主要373社を対象とした「新型コロナウイルス感染拡大における業績等へのアンケート調査」によると、2020年4-6月の予定していた仕事の状況について、「延期または中止」との回答は、全国で約3割、緊急事態宣言当初対象地域(東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡)で約4割となっている。
4月時点のアンケートであるため現時点の状況は不明だが、個人所得悪化による新築住宅・リフォームへの影響、移動制限や旅行忌避によるホスピタリティ産業への影響、外出自粛・新しい日常生活による飲食店への影響、テレワーク拡大によるオフィス需要への影響、経済全般の低迷による影響などを想定している。

 

4.Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】

安田社長が創業家以外初の経営トップに就任した2014年以降、経営体制、ガバナンス体制、仕事のやり方、社外とのかかわり方など、様々な変革に取り組み、同社は大きく変化・変容してきた。
しかし、事業そのものは、内装材料の販売という事業モデルから変化しておらず、この事業モデルそのものの変革が必要であると認識している。
そのためには、目指すビジョンを明確にし、未来の目標を明確に意識しながら、確実に諸施策を実行していく必要があると考え、「Sangetsu Group長期ビジョン【DESIGN 2030】」を設定した。

 

【DESIGN 2030】は2030年のありたい姿をデザインするという意味。
DESIGNのそれぞれのアルファベットが、目指すべき仕事の内容を表している。

 

(同社資料より)

 

(1)目指す姿:「スペースクリエーション企業」

現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力をベースに、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する企業を目指していく。

 

(2)長期ビジョン達成に向けて

長期ビジョンの達成に向けては、経営の基本を「デザイン経営」とし、デザインによるブランド価値の向上と事業転換を目指す。
また、経営・事業の基盤に、「多様性のある専門人材」と「事業関連データの連携と活用」を位置付け、「現場力と多様性ある専門人材が活躍する組織」、「DATAによる事業の効率化と転換」を実現させる。

 

主要機能としては、従来のモノを売る機能から、サービスを売る機能への完全な転換を目指す。
また、事業のエリアは、北米、日本、中国、東南アジアを中心とした環太平洋地域とする。
こうしたアプローチにより、「スペースクリエーション企業」へ転換し、同時に社会的価値の実現にも取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

(3)デザイン経営

デザイン経営の考え方は以下の通り。

 

『サンゲツグループは、デザインによる提供価値の拡大・向上を実現し、事業を転換することを目指します。

 

商品・空間自体の美しさや機能、コーディネーションを追求するだけでなく、さまざまな空間での人々の過ごし方、生活・体験・行動を考え、人と空間とのかかわりを構想し、デザインし、提案します。

 

モノのデザイン、空間のデザインに加え、コトのデザインを考え、提案することにより、ブランド価値を向上し、従来のモノを売る会社から、空間を創造しコトを提案・実現する会社へ転換することを目指します』

 

(4)実現を目指す社会的価値

実現を目指す社会的価値を「Inclusive(みんなで)、Sustainable(いつまでも)、Enjoyable(楽しさあふれる)社会の実現に貢献します」としており、Inclusive、Sustainable、EnjoyableのそれぞれにおいてSDGsの目標を掲げている。

 

平等で健康的なインクルーシブな社会の実現

 

サンゲツグループは、健康で快適な空間の創造を通じ、ジェンダーの多様性が尊重される、格差のない平等で健康的でインクルーシブな社会の実現に貢献します。

 

地球環境を守るサステイナブルな社会の実現

 

サンゲツグループは、サプライチェーン全体の環境負荷を低減し、長く使い続けられる空間の創造を通じ、ストック建築物の有効活用と共に、地球環境を守るサステイナブルな社会の実現に貢献します。

 

より豊かでエンジョイアブルな社会の実現

 

サンゲツグループは、公平・安全・安心・効率的で人権を尊重する働き方により、さまざまな文化・生活に応じた空間の創造を通じ、よりエンジョイアブルな社会の実現に貢献します。

 

3つ目のEnjoyable については、SDGsの基本的な理念「誰も取り残さない」を踏まえ、自社の事業を考慮し、一歩進んで、より豊かでエンジョイアブルな社会の実現を社会的価値の一つとして挙げることとした。

 

(5)数値目標

10年後の2030年3月期「売上高2,250億円、営業利益185億円」を目指す。

 

5.中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】

この長期ビジョン達成に向けたファーストステップが3ヵ年の中期経営計画「Design & Creation D.C.2022」である。

 

(1)前中期経営計画「PLG2019」のレビュー

最終2020年3月期は、売上高1,612億円と過去最高を更新し、営業利益は前期比57.2%増92.6億円と大幅増益であった。一方で、海外事業での減損損失計上により連結純利益は同6割減の14.3億円。営業利益増、CCC改善によりROICは改善したがROEは低迷した。

前中期経営計画で定めた諸施策である「商品調達・営業・ロジスティクス等の強化」「海外事業展開」「人材関連施策」「ESG施策」等は着実に実行した。

セグメント毎の振り返りは以下の通り。

 

*インテリアセグメント

壁紙、住宅・店舗用床材、廉価版カーテンは、見本帳改善、代理店協業、受注・出荷・配送サービス強化によりシェアアップ。非住宅用床材、リアテック、ガラスフィルムは地域・市場・商品営業組織によるスペック営業の実行が不十分でシェアは横這い・縮小。要改善。

市場・顧客・商品・出荷・配送に関する膨大なDATAを活用できていない。

 

*エクステリアセグメント

17/3期から13億円の増収となったが、施工力と配送力の質・量両面での不足、事業領域の限定、首都圏におけるプレゼンスが課題である。

 

*海外セグメント

Koroseal社の不振を中心に、各国・個別市場での経営体制、ビジネスモデル、ブランディングが脆弱である。

海外事業の収益化、事業拡大は重要課題である。

 

*スペースクリエーションセグメント

2021年3月期の新設セグメント。2017年1月に買収したフェアトーンでは、関西・東京事業の拡大、中部地域におけるサンゲツの施工部門との連携、デザイナー採用、総合工事力の強化に取り組んだ。2019年4月にサンゲツスペースクリエーション事業部を設立した。緒に就いたばかりであり、専門能力の強化や規模の拡大が課題。

事業基盤、事業能力、機能は整備、強化、拡充されたが、前中期経営計画中の営業利益増はほぼ日本市場での価格改定によるもので、量的拡大は限定的であった。施策効果は道半ば。

従来の施策を更に徹底実行することに加えてデータの活用や、より広い業態での事業の拡大が課題である。

GHGガス排出削減率の目標(35%)達成、離職率(入社3年以内)の低下、女性管理職比率向上およびワーキングマザー数増加、健康経営のための施策実行、ESG評価レーティング向上、障がい者雇用の推進など、ESG関連のKPIは着実に向上している。

減損損失計上により期末自己資本は目標金額を割込んだ。一方、3年間の総還元額は248億円で、総還元性向は260.5%であった。期中に600万株以上の自己株式の取得を行い、全株消却した。

 

 

*定量目標の達成状況

 

2019年度中計目標

2019年度実績

概要

売上高

1,650億円

1,612.6億円

若干未達も過去最高を更新

当期純利益

80~100億円

14.3億円

米国Koroseal社関連の減損損失計上

ROE

8~10%

1.5%

財務レバレッジ、総資産回転率は改善も、純利益低迷

CCC

75~60日

72.4日

売上債権回転期間短縮、仕入債務回転期間長期化、棚卸資産回転期間は長期化

ROIC

-

7.9%

16年度の7.2%を上回る。

EBITDA

-

134.9億円

16年度の112.0億円を上回る。

資本政策

 

 

 

 自己資本

1,050~1,000億円

932.4億円

17/3期末の1,103.7億円からの削減

 成長投資

100~250億円

62億円

未達。M&A案件未成立。

 株主還元

250~330億円

248億円

ほぼ計画通り

 期末現金

250~300億円

368億円

成長投資未達により計画を上回る。

 

(2)中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】の概要

①位置付け・基本方針
【D.C. 2022】は、長期ビジョン「DESIGN2030」の最初のステップである3年間の役割を担う中期経営計画。
スペースクリエーション企業への転換を目指す3年間であり、「基幹事業の質的成長による収益の拡大」「基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化」「経営・事業基盤の強化」「社会的価値の実現」の4つを基本方針とし、「基幹事業の収益拡大」と「次世代事業の収益化」による成長を目指す。

 

(同社資料より)

 

②売上・利益の数値目標
「2023年3月期 売上高1,720億円、営業利益120億円」としている。
セグメント別には、量的には引続きインテリアセグメントが中心となるが、海外セグメントの底入れ・回復、新セグメントのスペースクリエーションセグメントの立ち上がりがカギとなる。

 

 

2020/3期

2023/3期

CAGR

売上高

1,612.6

1,720.0

+2.2%

 インテリア

1,221.0

1,270.0

+1.3%

 エクステリア

160.8

170.0

+1.9%

 海外

198.1

210.0

+2.0%

 スペースクリエーション

41.5

70.0

+19.0%

営業利益

92.6

120.0

+9.0%

 インテリア

92.5

105.0

+4.3%

 エクステリア

6.4

8.0

+7.7%

 海外

-9.3

4.0

黒字転換

 スペースクリエーション

2.6

3.0

+4.9%

*単位:億円。CAGR(年平均成長率)はインベストメントブリッジが計算

 

③各基本方針の概要
③―1 基幹事業の質的成長による収益の拡大
◎インテリアセグメント
*市場環境
住宅市場(新築、リフォーム)、非住宅市場(新築)とも、ほぼ横ばい状態にあり今後も量的な拡大は大きく望めないが、非住宅のリニューアル市場はストック物件増加に伴い工事は拡大すると見込んでいる。

 

*4市場における基本戦略

市場

基本戦略

重点施策

住宅:新築

量の縮小の中、利益率改善による総利益額の拡大を目指す。

代理店協業深化、売れる見本帳開発、受注・出荷・配送サービスの拡充・高度化、商品デザイン力強化、戦略的調達強化

住宅:リニューアル

シェア向上、利益率改善を目指す。

代理店協業深化、スペースデザイン力の強化、受注・出荷・配送サービスの拡充・高度化

非住宅:新築

シェア向上、利益拡大を目指す。

経営資源の重点配分、戦略的調達強化、デザイン力の発展的強化

非住宅:リニューアル

数量増を目指すと同時に、高価格商品投入により、利益率も改善させる。

経営資源の重点配分、コトのデザイン力強化

 

*3つの施策
(1)デザイン力の発展的強化と戦略的調達の推進
◎デザイン力の発展的強化
従来の商品デザイン力の強化に加え空間デザイン力の強化とコトのデザイン力強化を進める。
3つのデザイン力の相互作用を通じて、総合的なデザイン力を発展的に強化させる。

 

デザインに関してはこれまでも、各事業部の商品開発課の商品デザイン、インテリアデザイン室の非住宅関係の空間デザインの提案、ショールームにおける住宅関連を中心としたコーディネーション提案を行っているが、加えてスペースクリエーション事業部では様々な形でスペースのデザイン提案を行っている。またフェアトーンでも、デザイナーを採用し、デザイン力を持った施工工事の拡大に努めている。
営業組織においても、設計会社、デザイナー、インテリアコーディネーターとデザインに関する議論を行っており、情報も収集されている。

 

このように社内の各部署で、デザインを重要な課題として捉え、デザイン力の強化に複合的に取り組んでいくが、そのベースとして全社のデザイン戦略を明確にし、市場の求めるデザイン・機能・コストも含めてデザイン戦略を立てた上で、デザイン力全体を発展的に強化していく。

 

◎戦略的調達
同社の商品は、商品数・デザイン数の多少、取引ロットの大小など多様な商品から構成されている。
このうち、商品デザインの数の多い商品、取引ロットの小さい商品は、デザインの多様性を重視し、仕入れ先の分散を進め、多様な仕入れ先からデザイン提案等を受けることが重要である。
一方、デザイン数・商品数が少なく、取引ロットの大きい商品は、コスト競争力を強化していくこと、特定のメーカーや仕入先とのアライアンスをさらに強化していくことが重要であると考えており、商品の特性・状況に応じて調達の方針を明確にし、戦略的調達を推進する。

 

(2)サービス機能の拡充と高度化
同社での受注・出荷・発送の流れは

 

受注(内装施工業者から代理店を経由) → 出荷(代理店向け) → 配送(代理店から施工現場、もしくは同社が直接配送)

 

となっており、受注から出荷までの時間差は、一般的に2時間から4時間で、この間に10センチメーターもしくは枚数単位で商品を用意して出荷している。
この出荷に基づいて、内装施工業者や顧客が発注してから、当日中ないし翌日までに商品を届けるクイックデリバリーを実行している。
一方、同社が仕入先(メーカー)に発注して、メーカーが生産を仕上げるまでには、数週間から数カ月かかる。

 

このような状況の下で、素早く受注し、素早く出荷・配送するというサービスが重要な機能となっているが、一方で施工については顧客である内装施工業者の施工仕事量は、季節における変動大きく、施工力の過不足も発生する。
施工がタイトな時期には、施工応援の要請があり、これに応じて代理店、また同社が直接、施工の支援を行うことも多く、これも重要な機能と位置づけている。
こうした受注、在庫・出荷、配送、施工、全体のサービスを、人手不足の中でも拡充・強化することが同社サービスの強化、事業の強化につながると位置づけ、今回の中計期間中も、各種施策の実行が必要である。

 

(受注)
受注における社員関与率は前中期経営計画中にBPO導入によって78.7%から大幅に低下し、その後もEDIでの受注比率の拡大、オンライン受注の拡大に伴って、社員関与率は13.3%へと、BPO比率も46.4%まで低下している。
今中期経営計画中にオンラインの比率を40.3%から62%まで引き上げると同時に、BPO比率を32%まで、社員関与率を6%
まで低下させる。AIの活用も検討している。

 

(出荷)
前中期経営計画中には全国の出荷設備の更新、新設・統合を行った。
2020年末には関西LC(ロジスティクスセンター)を新設・統合させるが、その際には省人化設備を導入する。在庫・出荷に関しての持続性を確保するために、今後さらに首都圏および中部圏においても省人化設備を導入する計画である。

 

(配送)
前中期経営計画中には、東北を中心として配送体制の整備を進めた。
今後も、北関東、静岡、北陸、関西、九州などで地域配送体制を拡充すると同時に、重量物の配送も、大都市圏を中心に整備していく。

 

(施工)
フェアトーン社で、約650人の施工技能者が施工に従事。この他、サンゲツ単体で依頼している施工技能者、パートナーの施工事業者等を合わせると、現在、約1,000人の内装施工技能者を有している。
今中計中にさらに内装施工力を強化・拡充すると同時に、総合施工力の向上、施工ネットワークの拡充にも努める。

 

(3)代理店との協業深化と営業体制の強化
代理店経由の販売比率が、16年3月期の57.7%から20年3月期には65.4%へと上昇している。
代理店との協業強化は、効率化および量的拡大の上で重要であり、代理店との協業を量的・質的に強化し、最終23年3月期までに代理店経由の販売数量を70%とする計画だ。
また、情報・DATAの共有・活用による効率化と分業もさらに推進していく。

 

課題と認識している営業体制については、営業人員数を850~890名とほぼ現在の人員数を維持したまま、非住宅市場でのスペック活動に社員を重点的に投入し、非住宅市場でのスペック力強化を図る。
デザイン力を活用した営業強化にも取り組む。
非住宅顧客へのデザイン営業の拠点であるインテリアデザイン室が、非住宅を中心としたスペースデザイン及び特注デザインを提案するほか、ビルダー・ハウスメーカー・リフォーム事業者へのデザイン営業の拠点であるショールームは、住宅を中心としたデザインコーディネーション提案に注力する。

 

◎エクステリアセグメント
川下市場の営業展開を強化し、首都圏での事業拡大を行うと同時に、景観工事へ進出する。
また、既存事業の機能として、重量物を中心とした配送体制、また施工の強化にも取り組む。

 

③―2 基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化
*海外セグメント
各国において、強固な経営基盤の構築を行うと同時に、最適モデルの追求と徹底した現地化、ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化を図る。

 

◎強固な経営基盤の構築
前期減損を計上したKoroseal社、巨大な東南アジア市場攻略の拠点となるGoodrich社中心に新経営陣の招請、人員強化、新拠点設立を進める。

 

(同社資料より)

 

◎最適モデルの追求と徹底した現地化、ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化
最適モデルを追求すると同時に、内装材料ビジネスにはローカルの力が重要なため、徹底した現地化を進める。
また、プロダクトポートフォリオ強化については、各国市場の要求する商品を強化すると同時に、ブランディングもさらに強化する。
ブランディングに関しては、米国においてはKoroseal、カナダにおいてはMetro、中国においてはサンゲツとGoodrichの2ブランド、香港においてはGoodrich、ベトナム、タイにおいてはGoodrichとサンゲツ、マレーシア、シンガポールにおいてはGoodrichブランドを強化する。

 

(同社資料より)

 

*スペースクリエーションセグメント
スペースクリエーション企業を目指すにあたり、スペースクリエーションセグメントが先兵となるが、同セグメントに限らず全社を挙げて、スペースクリエーション企業を目指す。

 

サンゲツには顧客基盤(ホテル・宿泊・オフィス・商業・福祉など)、非住宅の空間デザインを提案するインテリアデザイン室の約60名のスタッフおよび社外インテリアデザイナーとの連携によるデザイン力、フェアトーンの内装仕上げ施工力など、既存の基幹事業において豊富な知見と強みを有している。
これに、スペースデザイン力・発想力・構想力・提案力・コンサル力、木工・照明・電気を対象とする総合的な施工力、施工管理力の強化といった専門能力の獲得・強化を進め、顧客にとって最適な空間を創造・提供し、スペースクリエーション事業を拡大していくのが、スペースクリエーションセグメントの役割である。

 

③-3 経営・事業基盤の強化
◎業務執行の能力強化と効率化
教育研修の拡充、高度専門人材の採用拡大、現場力と専門能力の強化、多様性に富んだ雇用推進などで業務執行の能力強化を図るとともに、業務改革・テレワークの常時実施・社内での定期的かつ密接な意思疎通による業務執行の効率化も進める。
これら現場力と専門能力強化のために職責内容を重視した人事制度・給与制度への変更にも着手する。
また、引き続き健康経営の推進、エンゲージメントの向上、インクルージョンある雇用促進にも取り組む。

 

◎DATAの高度活用体制の整備
同社では、多数・多様な顧客から多数・多様な商品の発注を受け、大量の出荷を行っており、多様かつ膨大なDATAが日常的に発生している。
これらは「受注関連DATA」「出荷・配送関連DATA」「営業関連DATA」に分けられるが、このうち、「受注関連DATA」「出荷・配送関連DATA」は、現在、代理店などとの連携により入手しているが、代理店の出荷・配送関連DATAは未入手である。
また、営業関連のDATAに関しても構造化されていない。

 

そこで、将来的にDATAを活用した業務の可視化や効率化、効果的なマーケティングの展開、各事業における事業転換を可能にするためには、未入手DATAをさまざまな努力を通じて入手して構造化DATAとすることおよび、非構造化DATAである営業DATAを質的DATA・定性DATAとすることによって、DATAを連携・分析することが必須である。
今回の中期経営計画期間中に少しずつでも着実にDATAの高度活用体制整備を進めていくことを目標としている。

 

③-4 社会的価値の実現
ESG課題として、地球環境、人的資本、社会資本、ガバナンスの4グループに分けて課題を抽出し、マテリアリティを明確にした上で諸施策を立て、実行していく。
ESGの諸課題抽出、諸施策の実行にあたっては、長期ビジョンで定めた「社会的価値の実現」「Inclusive、Sustainable、Enjoyable」「みんなでいつまでも楽しさあふれる」という3つの価値の実現とリンクさせた上で、実行する。

 

地球環境

「地球環境への負荷低減」

①事業活動における環境負荷の低減

・GHG排出量の削減

・エネルギー使用量の削減

・廃棄物総廃棄量の削減

・リサイクル率向上

 

②サプライチェーンにおける環境負荷の把握と低減

・サプライヤーごとのGHG原単位の把握と、調達活動での考慮

 

③ロングライフ商品の拡充

・高耐久性商品の開発

・長期継続品の拡充

 

④見本帳の回収・リサイクルの拡大

・回収リサイクル体制の構築と拡大

人的資本

「多様な人材が活躍する組織」

①社員の健康と能力開発

・社員の健康・安心・安全の確保

・業務変革による働き方改善の推進

・きめ細やかな人事マネジメントに基づく能力開発

・社員エンゲージメントの向上

 

②ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・女性活躍推進

・障がい者雇用の拡大

・グループ内での人材交流を含む外国籍人材の増員

社会資本

「サプライチェーンの安心・安全・魅力の向上」

「コミュニティ参画」

①商品安全性の向上

・原料の見直し

 

②品質安定性の向上

・商品クレームの削減

 

③環境・人権・労働安全衛生を考慮した調達活動の推進

・調達先との長期安定的な取引関係の構築

 

④取引先と一体となった働き方の改善

・バリューチェーンを通じての業務体制の変革・改善

 

⑤コミュニティへの積極的な参画

・児童養護施設リフォームでのスペースクリエーション

・発展途上国の子どもたちに向けた支援活動

・社員の積極的な参加

 

⑥インテリア文化の向上と芸術支援

・サンゲツ壁紙デザインアワードの継続開催

・各種芸術イベント支援

ガバナンス

「コーポレートガバナンスの強化」

①取締役会の実効性強化

・取締役会の多様性推進

・取締役会の独立性確保

②指名・報酬委員会の実効性強化

・時間軸かつ明示された資格要件に基づく指名の検討

・報酬決定プロセスの客観性確保と内容開示

 

③コンプライアンスの徹底

 

④ステークホルダーとの責任ある対話の実施

 

③-5 定量目標
経済的価値、社会的価値、資本政策の3点について定量目標(KPI)を掲げている。

 

(1)経済的価値:2023年3月期目標

連結売上高

1,720億円

連結営業利益

120億円

連結純利益

85億円

ROE

9.0%

ROIC

9.0%

CCC

65日

 

(2)社会的価値:2023年3月期目標

1.地球環境

事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減

①GHG排出量

 

SBT:WB 2度水準達成(※)

30.0%削減(2018年度比)

*2031年3月期目標

②エネルギー使用量

4.0%削減(2018年度比)

③廃棄物総廃棄量

4.0%削減(2018年度比)

④リサイクル率

83.0%以上

2.人的資本

(1)社員の健康と能力開発

①特定保健指導実施率、がん検診受診率、有所見率、メタボ率の改善

②非喫煙率80.0%以上

(2)ダイバーシティ&インクルージョンの推進

①女性管理職比率

20.0%以上

②障がい者雇用率

4.0%以上

3.社会資本

コミュニティへの参画

①児童養護施設リフォームでのスペースクリエーション

年間30件

②社員の積極的な参加

マッチングギフト:7,000 S-mile

※:世界の気温上昇を産業革命前より2°Cを十分に下回る水準(Well Below 2°C:WB2°C)に抑え、また1.5°Cに抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年〜15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。

 

(1)資本政策
◎資本政策

1.自己資本を900〜950億円の範囲で維持する。

2.3年間の総額で総還元性向を、ほぼ100%とする。

3.自己株式取得および配当に関しては、安定増配を念頭に、新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響を見極め都度決定する。

 

◎資本配分政策
未定。3年間の業績見通しが明確になり次第決定する。

 

6.安田社長に聞く

安田社長に、2020年3月期決算のレビュー、新型コロナウイルスの影響、Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】および
中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】のポイントなどを伺った。

 

~前中計最終年度である2020年3月期のレビュー~
小幅な増収ではあったが売上高は過去最高を記録した。インテリアセグメントにおいては全品目増収で、壁装材においては1昨年落としたシェアを量産壁紙の拡充で挽回できた。また床材もシェアを拡大し10期連続増収となった。
2018年10月から行った値上げも通期で寄与し、営業利益は大幅増益になるなど、外部環境は依然厳しいながらも当社の強みを活かして国内事業は着実に前進することができた。

 

一方、米国Koroseal社において減損損失を計上したほか、シンガポールのGoodrich社も期待通りの進捗とはいかず、海外事業は課題を残した厳しい3年間であった。
Koroseal社に関しては、減損を計上したが、新たな中計スタートにあたって、再度一からスタートするための準備を行ったとご理解頂きたい。経営陣交代の他、同業他社にはない7色印刷機を新規導入し商品力を強化した。また同社はホスピタリティ(ホテル)業界への依存度が高いため、新型コロナウイルスの影響もあり、医療施設など顧客ポートフォリオの分散にも取り組んでいく。
Goodrich社に関しても、東南アジア・インドシナ地域における事業強化や地域特性に応じた商品構成の見直し等、強固な経営基盤の構築に向けた手を打っている。

 

~2021年3月期予想について~
新型コロナウイルスにより不透明な状況ではあるが、投資家への責務という観点から業績予想を発表した。住宅、特に新築は購入を手控えるだろうから影響が大きい。非住宅の方は住宅ほどではないだろうが全体として環境は厳しく、不透明感も強い。配当は未定としているが、業績を勘案しながらできる限り安定的な増配を実施したい。

 

~Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】について~
「事業モデルの変革が不可欠だ」というのが、長期ビジョン【DESIGN 2030】に込めた私の一番の想いだ。
国内マーケット自体に限界があるということは明確で、かつ内装材料を販売するだけではビジネスが頭打ちとなるのも自明だ。
これからは、材料の販売だけではなく、総合的な施工や空間デザインなどでも売上を得る形にしていかなければならない。パイが伸びないのが明らかな状況下で、自ら消耗戦に臨むという選択は当社にとってはあり得ない。
現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力に加え、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する「スペースクリエーション企業」を目指していく。

 

長期ビジョンにおいて「スペースクリエーション企業」を目指すにあたり、必要とされる人材像も明確になってきた。
一つは専門性の高い人材。デザイナーや、データマネジメントのできる人材などで、社内での育成に加え、外部から積極的に採用することが欠かせない。これは前中計期間よりも必要性をより強く感じている。
もう一つの必要な人材は、現場力のある人材だ。当社の変革というのは、決して今の事業を捨てて全く新しい事業を立ち上げるわけではなく、既存事業の上に施工や空間デザインを組み立てていくということなので、より一層現場力が重要になってくる。
出荷配送、庫内作業などでは省人化も進めるものの、やはり「人」が重要になってくる。今まではコストの変動費化などを優先し庫内作業などでは外部委託を利用していたが、当社社員が行うことで全体像を把握できたり、それによって外部委託では隠れてしまっていた問題点を明確にすることができたり、といったメリットも大きいので現場力のある人材を育成することも極めて重要だ。
専門性、現場力を含め多様性ある人材の獲得・育成が欠かせない。人事評価・給与制度改定の検討も始めている。

 

~中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】について~
長期ビジョン【DESIGN 2030】で、当社の目指すべき主要機能を「サービス売りへの完全転換:サービスを付加価値の源泉とする事業」としているが、これを実現するために必要な事業基盤が、人材の他にDATAの収集・連携・分析・活用を行うための「DATAの高度活用体制の整備」だ。

 

当社では、多数・多様な顧客から多数・多様な商品の発注を受け、1日に平均して6万点もの出荷を行っているが、代理店からの受注及び代理店への出荷・配送に関してはデータを入手出来ているが、代理店が誰から発注を受けたのか、どこの施工現場に配送したのかというデータは入手出来ていない。
また、ハウスメーカー、ビルダー事業主、施主、設計事務所などに向けて営業しているのだが、ハウスメーカーからの発注はサンゲツではなく内装を担当する内装施工業者になされ、代理店経由でサンゲツが受注するため、サンゲツは本当の発注決定者を現状では知ることが極めて難しい。

 

先程申し上げたように、当社では1日に6万点もの出荷データがあるが、現時点ではデータの大きな海の中にいるだけで、どこにいるのかもまったく分からない状況である。
そこで未入手の代理店の受注データや配送データを入手し、構造化できていない当社営業データと連携・分析・活用できれば、デリバリーの効率化やマーケティングの精度向上はもちろんのこと、新商品開発や今は思いつかないような新たなサービスを生み出すことも可能になるのではないかと思っている。
代理店の協力が不可欠で、代理店制度の在り方なども関連してくるため、簡単ではなく、この3年間で解決できるものではないが、一歩でも二歩でも実現に向けて進めていく。

 

~株主・投資家へのメッセージ~
新型コロナウイルスの影響により先行きの不透明感が強い中ではあるが、2030年に向けSangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】とそのファーストステップである中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】を発表した。
短期、中期、長期の施策をそれぞれ着実に実行し、目標数値の達成と事業モデルの変革による「スペースクリエーション企業」を目指していく。
また、これまで以上に企業の社会的な存在意義を意識し、全てのステークホルダーとの信頼関係構築に注力していく。
足元は厳しい事業環境が予想されるが、中長期の視点で是非当社を応援していただきたい。

 

7.今後の注目点

「スペースクリエーション企業」を目指す航海が始まった。
2014年に創業家以外で始めて社長に就任した安田社長にとっては、インタビューにもあるように国内マーケットの限界が自明な中での「事業モデルの変革」こそが、最大のミッションということとなろう。
苦戦した海外事業で前期に大きな減損損失を計上したが、早期の判断により膿を出したことは、長期ビジョン及び新中計スタートにあたっては適切なジャッジであろう。
新型コロナウイルスの存在は国内外事業にとってアゲインストの風となろうが、短期的には四半期毎の事業概況と業績数値を、中長期的には「DATAの高度活用体制の整備」をどのように進めていくのかを注目したい。
また可能であれば、四半期開示以外にも新型コロナウイルスに伴う状況報告も期待したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月26日

 

<基本的な考え方>
当社は、「誠実」を社是とし、企業価値の向上を図るため全てのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的に発展していくことを目指しています。
その実現のため、経営の透明性、迅速性、効率性を基盤としたコーポレート・ガバナンスの強化が重要な経営課題であると認識しています。
当社は、社外取締役の経営参加による取締役会の監査・監督機能を強化することをねらいとして、監査等委員会設置会社へ移行しています。
このガバナンス体制のもと、更なる企業価値の向上に努めていきたいと考えています。
<実施しない主な原則とその理由>
同社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施している。

 

<各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則1-4. いわゆる政策保有株式】

1.政策保有に関する方針

事業戦略上、新たに関係を強化すべき企業、また、取引先として継続して関係を強化すべき企業などの観点から総合的に判断して中長期的に保有する政策保有株式を決めております。保有株式については毎年、保有にかかるコストとリターンを確認し、中長期的にも保有意義がなくなったと判断した場合には株式の売却を行う方針であり、それに基づいた運用をしております。取締役会における検証の結果、保有継続を決定した銘柄については、有価証券報告書の「株式の保有状況」欄で開示します。

2.議決権行使の考え方

投資先企業の経営方針を尊重した上で、様々なチャンネルを通じた対話やコミュニケーションを行い、その企業の中長期的な企業価値の向上、株主還元姿勢、コーポレートガバナンスやCSRへの取組みなどを総合的に判断するとともに、議案の内容が当社の保有目的に適合するか、又、当該企業の価値向上につながるかを個別に精査した上で賛否の判断をしています。

【原則5-1. 株主との建設的な対話に関する方針】

 

・当社のIR活動は、社長執行役員が統括しています。

・株主との対話を合理的に推進し且つ機動的なIR活動を実践するために、総務部広報IR課を設置しています。

・国内・海外機関投資家、アナリストとの対話は要望に応じて社長執行役員、担当役員、総務部広報IR課が面談しています。

・IR活動は広報IR課を専門部局としますが、各事業本部、財務経理部、社長室経営企画課などの各部門が連携し、より実効性の高い情報提供に努めています。

・決算発表、投資家向け決算説明会、証券取引所などが主催する個人投資家向けIRイベントに参加し説明会を開催しています。

・2017年より株主総会後の7月中旬に当社品川ショールームにおいて株主向け会社説明会を実施し、主に関東地区の個人株主様への会社説明の機会を設けています。本説明会には取締役全員が出席し、社長執行役員が会社説明を行っています。2019年10月に機関投資家向け東京ロジスティクスセンター見学会を開催し、ロジスティクス本部長から当社のロジスティクス戦略について説明し、意見交換を行いました。なお今期は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、株主向け会社説明会を中止しております。

・各イベント等で使用した説明用資料や対話の様子をウェブサイトに公表しています。(必要に応じて英語版も公表)

・各年度において統合報告書を作成し、ウェブサイトには日本語版と英語版を公表しています。

・直接的な対話やウェブサイト上の資料や決算説明会の動画の公開を通じて、株主に対し当社の経営戦略、事業環境、事業進捗、財務情報などに関して理解を深めて戴ける活動を実践しています。

・株主や投資家との対話を通じて得られたご意見は広報IR課を通じて経営の改善に役立てています。

・インサイダー情報の管理の取扱いについては、内部者取引等管理規定(インサイダー取引防止規定)に基づき、未公表の重要事実の管理を徹底し、適切に対応しています。

 

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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