ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ 2020年12月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

小國 勇 代表取締役社長兼CEO

オプテックスグループ株式会社(6914)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長兼CEO

小國 勇

所在地

滋賀県大津市におの浜4-7-5

決算月

12月

HP

https://www.optexgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,295円

37,735,784株

48,867百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

2.3%

33.19円

39.0倍

891.06円

1.5倍

*株価は8/24終値。発行済株式数、DPS、EPSは2020年12月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月

31,027

3,015

3,086

1,809

54.67

22.50

2017年12月

37,504

4,885

5,036

3,386

97.63

27.50

2018年12月

40,113

4,989

5,038

3,775

104.85

30.00

2019年12月

37,517

2,856

2,876

2,197

60.02

32.50

2020年12月(予)

34,500

1,800

2,000

1,200

33.19

30.00

*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。

 

オプテックスグループ株式会社の2020年12月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第2四半期決算概要
3.2020年12月期業績見通し
4.成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年12月期第2四半期の売上高は前年同期比10.5%減の166億36百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けた都市封鎖、移動制限等により営業活動が停滞。全セグメント減収。国内事業は同3.9%減収の77億61百万円、海外事業は同15.6%減収の88億75百万円だった。特に主力市場であるヨーロッパでの販売が大きな影響を受け約2割の減収。営業利益は同40.4%減の7億83百万円。販管費は同6.1%減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

     

  • 一旦未定とした20年12月期通期予想を、7月13日に発表した。売上高は前期比8.0%減の345億円、営業利益は同37.0%減の18億円の予想。SS事業は上期よりも減収率縮小。FA事業は、欧州、中国中心に回復し増収を見込む。配当は普通配当ベースでは前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は90.4%。

     

  • 新型コロナウイルスの影響を大きく受けた今上期であったが、通期も減収減益ながら、下期の回復を見込んでいる。中でもFA事業は上期の中国に加え、下期は欧州のリカバリーにより前年実績を上回る計画だ。また、SS事業(自動ドア)におけるwith コロナである「非接触需要」の拡大も、息の長いテーマとなるかもしれない。

     

  • 一方、これまでの成長を牽引してきた欧州の屋外警戒用センサーの復調にはもう少し時間がかかると見ているようである。本格的な回復軌道に入ることができるかは、ここがポイントとなろう。ビジネスモデル変革の中核となる「画像確認ソリューション」の進捗についても、注目していきたい。

     

1.会社概要

世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサー事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
2019年12月末現在、海外26社を含む世界80拠点で事業を展開している。

 

オプテックス(株)

防犯・自動ドア等、各種センサーの開発・販売

オプテックス・エフエー(株)

光電センサー、変位センサー、産業用画像検査・計測装置の開発、販売

シーシーエス(株) 

画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売

(株)スリーエース

各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発

オプテックス・エムエフジー(株)

グループ製品の製造・電子機器受託生産サービス

ジックオプテックス(株)

汎用型光電センサーの開発、独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社

技研トラステム(株)

客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売

(株)ジーニック

画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売

オーパルオプテックス(株)

会員制スポーツクラブおよび環境体験学習プログラムの運営

FIBER SENSYS INC.(米国)

光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売

FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国)

遠隔画像監視による警備会社

RAYTEC LIMITED.(英国)

監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売

Gardasoft Vision Limited(英国)

マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売

 

 

【1-1. 事業内容】

事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサーを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、前期まではSS事業に含まれていた中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発を手掛ける「その他事業」に分かれる。

 

事業セグメント

事業内容

SS事業

防犯関連

主な製品は、屋内外で使われる各種センサー、ワイヤレスセキュリティシステム、LED照明制御システム等。屋外用センサーでは、世界でもトップクラスのシェアを有している。近年では、マイクロウエーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

自動ドア関連

世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサーを開発した。

主な製品は、自動ドア開閉用センサー、工場向けシャッター用センサー、ワイヤレスタッチスイッチ等。

その他

水質計測機器、交通機器(安全運転支援ツール)、客数情報システム、画像処理関連等の開発・販売。

FA事業

主な製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に、海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域でOEM販売、自社ブランドでは国内・アジア・北米と幅広い地域で販売されている。

MVL事業

画像処理用LED照明事業で世界でもトップクラスのシェアを有している。周辺機器、ソフトウエア関連企業などと連携し、「ベストソリューション」を提供。

EMS関連

中国工場で展開する電子機器受託生産サービス。

その他

スポーツクラブ運営、アプリケーション・デジタルコンテンツの開発。

 

【1-2 .強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

 

ノイズ対策技術

・数々のノイズを極小化するハードウエア設計

・独自に定めた幾多の環境評価を行ない、クリアしたもののみ製品化

緻密な光学設計

・光学シミュレーションを駆使し、抜けの無い高密度エリアを実現

・小型化を追求するためのパッケージング化技術

信頼性公的規格遵守

・あらゆるグローバルスタンダードに適合、及び準拠

・各業界で定めた規格、ガイドラインへの適合、及び準拠

(CEマーキング、EN規格[TUV認定]、ANSI規格、JIS規格等)

環境配慮設計

・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現

・RoHS指令適合、無鉛はんだ化

・使用時のCO2の影響を最小化する設計

安心、安全制御

・システムの機能をダウンさせない為のセンサーの異常時や故障時の自己診断、及びフェールセーフ機能の採用

・機能を維持する為の、予防保全策の提案

独自のセンシングアルゴリズム

・ハードウエアで抑えきれないノイズの影響をカット、意図した事象のみの検出、精査、解析を図る為の独自のアルゴリズム

・フィールドでの性能を維持する為の各種自動補正機能

 

【1-3. 沿革】

1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサーを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサーは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサーでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約50%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。

 

【1-4. ROE分析】

 

11/12期

12/12期

13/12期

14/12期

15/12期

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

ROE(%)

6.0

4.6

8.2

8.6

8.7

7.4

12.6

12.3

6.8

 売上高当期純利益率(%)

5.58

3.99

6.87

7.39

7.38

5.83

9.03

9.41

5.86

 総資産回転率(回)

0.85

0.91

0.92

0.89

0.91

0.91

0.95

0.95

0.86

 レバレッジ(倍)

1.27

1.28

1.30

1.31

1.30

1.41

1.48

1.38

1.35

 

ROEは「10%以上」を目標としている。

 

【1-5 ESGの取り組み】

多様なステークホルダーとの信頼関係構築が企業価値向上のために不可欠と考える同社は、ESG情報開示を更に充実させる必要があると考えウェブサイトに「ESG情報」( https://www.optexgroup.co.jp/esg/stakeholder.html )を掲載しているほか、(株)インベストメントブリッジを通じ「ESG Bridge Report」を発行した。
持続的な成長のためのマテリアリティを始めて特定したほか、今後の課題と取り組みにも言及している。
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2020/05/200512_6914.html

 

2.2020年12月期第2四半期決算概要

(1)業績概要

 

19/12期2Q

構成比

20/12期2Q

構成比

前年同期比

売上高

18,593

100.0%

16,636

100.0%

-10.5%

売上総利益

10,040

54.0%

8,974

53.9%

-10.6%

販管費

8,725

46.9%

8,190

49.2%

-6.1%

営業利益

1,315

7.1%

783

4.7%

-40.4%

経常利益

1,237

6.7%

872

5.2%

-29.5%

四半期純利益

923

5.0%

586

3.5%

-36.5%

 *単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

減収減益
売上高は前年同期比10.5%減の166億36百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で都市封鎖、移動制限等により営業活動が停滞。全セグメント減収。国内事業は同3.9%減収の77億61百万円、海外事業は同15.6%減収の88億75百万円だった。特に主力市場であるヨーロッパでの販売が大きな影響を受け約2割の減収。
営業利益は同40.4%減の7億83百万円。販管費は同6.1%減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

 

◎四半期動向

 

◎地域別動向

 

19/12期2Q

構成比

20/12期2Q

構成比

前年同期比

連結売上高

18,593

100.0%

16,636

100.0%

-10.5%

国内

8,072

43.4%

7,761

46.7%

-3.9%

海外

10,521

56.6%

8,875

53.3%

-15.6%

 米州

2,393

12.9%

2,052

12.3%

-14.2%

 欧州

5,907

31.8%

4,734

28.5%

-19.9%

 アジア

2,221

11.9%

2,089

12.6%

-5.9%

 

◎平均為替レート

 

19/12期2Q

20/12期2Q

米ドル

110.05円

108.27円

ユーロ

124.32円

119.30円

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

19/12期2Q

構成比

20/12期2Q

構成比

前年同期比

SS事業

9,821

52.8%

8,327

50.1%

-15.2%

FA事業

3,544

19.1%

3,383

20.3%

-4.5%

MVL事業

4,713

25.3%

4,514

27.1%

-4.2%

EMS事業

259

1.4%

188

1.1%

-27.4%

その他

254

1.4%

223

1.3%

-12.2%

連結売上高

18,593

100.0%

16,636

100.0%

-10.5%

SS事業

763

7.8%

331

4.0%

-56.6%

FA事業

293

8.3%

288

8.5%

-1.7%

MVL事業

304

6.5%

210

4.7%

-30.9%

EMS事業

-32

-

10

5.3%

-

その他

-9

-

-32

-

-

調整額

-3

-

-25

-

-

連結営業利益

1,315

7.1%

783

4.7%

-40.5%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

②セグメント・地域別動向

 

19/12期2Q

構成比

20/12期2Q

構成比

前年同期比

SS:防犯

6,581

100.0%

5,595

100.0%

-15.0%

日本

1,151

17.5%

1,130

20.2%

-1.8%

AMERICAs

1,310

19.9%

1,121

20.0%

-14.4%

EMEA

3,437

52.2%

2,726

48.7%

-20.7%

アジア

683

10.4%

618

11.0%

-9.5%

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

2,173

100.0%

1,894

100.0%

-12.8%

日本

1,037

47.7%

991

52.3%

-4.4%

AMERICAs

609

28.0%

481

25.4%

-21.0%

EMEA

466

21.4%

365

19.3%

-21.7%

アジア

61

2.8%

57

3.0%

-6.6%

 

 

 

 

 

 

SS:その他

1,068

100.0%

838

100.0%

-21.5%

日本

928

86.9%

734

87.6%

-20.9%

アジア

140

13.1%

104

12.4%

-25.7%

 

 

 

 

 

 

FA

3,544

100.0%

3,383

100.0%

-4.5%

日本

1,663

46.9%

1,671

49.4%

+0.5%

AMERICAs

56

1.6%

51

1.5%

-8.9%

EMEA

1,234

34.8%

988

29.2%

-19.9%

アジア

591

16.7%

673

19.9%

+13.9%

 

 

 

 

 

 

MVL

4,713

100.0%

4,514

100.0%

-4.2%

日本

2,952

62.6%

2,883

63.9%

-2.3%

AMERICAs

418

8.9%

399

8.8%

-4.5%

EMEA

770

16.3%

655

14.5%

-14.9%

アジア

573

12.2%

577

12.8%

+0.7%

 

 

 

 

 

 

EMS事業

260

100.0%

189

100.0%

-27.3%

日本

87

33.5%

129

68.3%

+48.3%

アジア・オセアニア

173

66.5%

60

31.7%

-65.3%

*単位:百万円。

 

◎SS事業
(防犯関連)
日本 :警備会社向けおよび大型重要施設向け屋外警戒用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :都市封鎖の影響で営業・販売・設置活動が制限され、特に大型重要施設向け屋外警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。
EMEA :都市封鎖の影響で営業・販売・設置活動が制限され、欧州販売子会社による南欧地域での一般住宅向け屋外警戒用センサーの販売が伸び悩み大幅な減収。
アジア :韓国での営業・販売活動の制限により、警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。

 

(自動ドア関連)
日本 :小売業界の新規出店抑制が影響し、自動ドア用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :都市封鎖の影響で北米大手顧客の営業・販売・設置活動が制限され大幅な減収
EMEA :都市封鎖の影響で欧州大手顧客の営業・販売・設置活動が制限され大幅な減収。

 

◎FA事業
日本 :自動車関連業界での設備投資需要が伸び悩んだものの、食品業界向けに画像センサー等の販売が堅調に推移し若干の増収。
EMEA :コロナ禍の影響により生産遅延及び営業活動の抑制が発生し、OEM先(SICK社)での販売が伸び悩み大幅な減収。
アジア:中国で3月以降に設備投資需要が急回復し、変位センサー等の販売が順調に推移し増収。

 

◎MVL照明事業
日本 :5G関連投資向けの販売が堅調に推移したものの、第2四半期以降の営業活動制限が影響し減収。
AMERICAs :北米地域でスマートフォン業界向けの継続案件があったものの、第2四半期以降の都市封鎖の影響により減収。
EMEA :都市封鎖の影響で、フランス子会社の活動が制限されたことにより減収。
アジア:半導体やスマートフォン関連投資の減速の影響を受けたものの若干の増収。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19/12末

20/6末

 

19/12末

20/6末

流動資産

30,027

29,505

流動負債

8,066

7,683

現預金

12,396

12,797

仕入債務

1,754

1,746

売上債権

8,700

7,590

短期借入金

3,368

3,422

たな卸資産

7,217

7,392

固定負債

3,528

3,394

固定資産

13,939

13,615

長期借入金

433

398

有形固定資産

5,792

5,991

退職給付に係る負債

1,248

1,277

無形固定資産

3,829

3,617

負債

11,595

11,078

投資その他の資産

4,317

4,007

純資産

32,372

32,043

資産合計

43,967

43,121

負債・純資産合計

43,967

43,121

*単位:百万円

 

売上債権減などで資産合計は前年末比8億46百万円減少の431億21百万円。
負債合計は同5億17百万円減少の110億78百万円。
為替換算調整勘定のマイナス額拡大などで純資産は同3億29百万円減の320億43百万円。
自己資本比率は前期末比0.7ポイント上昇の73.9%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/12期2Q

20/12期2Q

増減

営業CF

1,718

1,865

+147

投資CF

-531

-671

-140

フリーCF

1,187

1,194

+7

財務CF

-861

-569

+292

現金同等物残高

11,682

12,797

+1,115

*単位:百万円

 

売上債権の減少等で営業CFのプラス幅は拡大。フリーCFはほぼ変わらず。
キャッシュ・ポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎オプテックス株式会社が「新グローバルニッチトップ(GNT)企業100選(電気・電子部門)」に選定
2020年6月、オプテックス株式会社が、グローバル市場でもトップクラスのマーケットシェアを保有する独自性の高い製品・サービスを開発する企業として、経済産業省認定「新グローバルニッチトップ(GNT)企業100選(電気・電子部門)」に選定された。
2013年度に続き2回目の受賞。

 

経済産業省認定「新GNT企業100選」は、国際市場の開拓に取り組んでいる企業のうち、ニッチ分野で独自の地位を築いている企業を顕彰するもので、選考では、「収益性」「戦略性」「競争優位性」「国際性」の定性・定量の4つの評価項目の中でも①世界シェアと利益の両立、②技術の独自性と自立性、③サプライチェーン上の重要性に着目して審議される。

 

選定の対象となった自動ドアセンサーにおいて同社は世界初となる遠赤外線を用いた自動ドアセンサーを投入し、現在、世界で30%(日本50%)のマーケットシェアを保有し、多くの商業施設、オフィスビル、病院などで採用されている。

 

◎株主優待制度を廃止
2019年12月末日現在の株主名簿に記載または記録された株主へ謹呈した株主優待をもって同制度を廃止することとした。
昨今の経営環境を考慮し、慎重に検討を重ねた結果、配当による利益還元を優先することとしたため。
今後も株主への利益還元を重要な経営課題の一つと位置づけ、安定的且つ継続的に配当を実施していく方針である。

 

3.2020年12月期業績予想

(1)業績予想

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

48.2%

営業利益

2,856

7.6%

1,800

5.2%

-37.0%

43.5%

経常利益

2,876

7.7%

2,000

5.8%

-30.5%

43.6%

当期純利益

2,197

5.9%

1,200

3.5%

-45.4%

48.8%

 *単位:百万円

 

減収減益
一旦未定とした通期予想を、7月13日に発表した。
売上高は前期比8.0%減の345億円、営業利益は同37.0%減の18億円の予想。
SS事業は上期よりも減収率縮小。FA事業は、欧州、中国中心に回復し増収を見込む。
配当は普通配当ベースでは前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は90.4%。

 

◎地域別動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

連結売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

48.2%

国内

16,971

45.2%

16,000

46.4%

-5.7%

48.5%

海外

20,546

54.8%

18,500

53.6%

-10.0%

48.0%

 米州

4,766

12.7%

4,420

12.8%

-7.3%

46.4%

 欧州

11,333

30.2%

9,696

28.1%

-14.4%

48.8%

 アジア

4,447

11.9%

4,384

12.7%

-1.4%

47.7%

 

◎平均為替レート

 

19/12期

20/12期(予)

米ドル

109.05円

106.64円

ユーロ

122.07円

117.15円

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

SS事業

19,802

52.8%

17,454

50.6%

-11.9%

47.7%

FA事業

7,140

19.0%

7,250

21.0%

+1.5%

46.7%

MVL事業

9,449

25.2%

8,850

25.7%

-6.3%

51.0%

EMS事業

570

1.5%

419

1.2%

-26.5%

45.1%

その他

553

1.5%

527

1.5%

-4.7%

42.3%

連結売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

48.2%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

②セグメント・地域別動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

SS:防犯

13,254

100.0%

11,494

100.0%

-13.3%

48.7%

日本

2,495

18.8%

2,506

21.8%

+0.4%

45.1%

AMERICAs

2,648

20.0%

2,459

21.4%

-7.1%

45.6%

EMEA

6,768

51.1%

5,267

45.8%

-22.2%

51.8%

アジア

1,343

10.1%

1,262

11.0%

-6.0%

49.0%

 

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

4,439

100.0%

3,990

100.0%

-10.1%

47.5%

日本

2,267

51.1%

2,123

53.2%

-6.4%

46.7%

AMERICAs

1,159

26.1%

1,021

25.6%

-11.9%

47.1%

EMEA

878

19.8%

710

17.8%

-19.1%

51.4%

アジア

135

3.0%

136

3.4%

+0.7%

41.9%

 

 

 

 

 

 

 

SS:その他

2,110

100.0%

1,970

100.0%

-6.6%

42.5%

日本

1,840

87.2%

1,688

85.7%

-8.3%

43.5%

AMERICAs

2

0.1%

1

0.1%

-50.0%

-

アジア

268

12.7%

281

14.3%

+4.9%

37.0%

 

 

 

 

 

 

 

FA

7,140

100.0%

7,250

100.0%

+1.5%

46.7%

日本

3,616

50.6%

3,448

47.6%

-4.6%

48.5%

AMERICAs

113

1.6%

134

1.8%

+18.6%

38.1%

EMEA

2,158

30.2%

2,319

32.0%

+7.5%

42.6%

アジア

1,253

17.5%

1,349

18.6%

+7.7%

49.9%

 

 

 

 

 

 

 

MVL

9,449

100.0%

8,850

100.0%

-6.3%

51.0%

日本

5,947

62.9%

5,491

62.0%

-7.7%

52.5%

AMERICAs

844

8.9%

805

9.1%

-4.6%

49.6%

EMEA

1,529

16.2%

1,400

15.8%

-8.4%

46.8%

アジア

1,129

11.9%

1,154

13.0%

+2.2%

50.0%

 

 

 

 

 

 

 

EMS事業

571

100.0%

419

100.0%

-26.6%

45.1%

日本

252

44.1%

217

51.8%

-13.9%

59.4%

アジア・オセアニア

319

55.9%

202

48.2%

-36.7%

29.7%

*単位:百万円。

 

4.成長戦略

同社では、今後の成長を目指すためには、各セグメントにおいて「モノ売り」から「コト売り」(=ソリューション提供)へのビジネスモデルの変革に挑戦することが必要であると考えている。

 

SS事業(防犯)

 

FA事業

 

MVL事業

 

(同社資料より)

 

(1)SS事業(防犯)

【犯罪を未然に防ぐ屋外事前防犯の普及「画像確認ソリューション」】

 

◎アラームモニタリングの市場規模と現状・課題
屋外センサーを用いたアラームモニタリングの契約件数は、全世界で9,000万件以上。うち、北米4,000万件、EMEA2,000万件(うち、英国300万件)と北米と英国でほぼ半数を占めている。

 

ただ、海外では多数導入されているアラームモニタリングではあるが、警備通報の95%は誤報という。ユーザーの機械操作ミスが圧倒的に多いが、屋外センサーの誤動作のケースもある。

 

(同社資料より)

 

現在のアラームモニタリングにおいては下記の図のように、センサーからのアラーム信号と監視カメラからのカメラ映像が連動することなくモニタリング会社に送信されている。
このため、モニタリング会社はアラーム信号を受信しても現場の映像を確認することなくユーザーや警察へ通報することとなり、これが誤報の原因となっている。
また、日本では機器設置・監視・駆け付けを警備会社が一気通貫で行うのに対し、欧米では、モニタリング会社から通報を受けるのは警察であるが、誤報による出動の場合はユーザーが罰金を支払う義務があるなど、実際の稼働には欧米固有の様々な課題がある。

 

(同社資料より)

 

◎画像確認システムの概要
屋外センサーで世界的に高い評価・信頼を得ている同社は、こうした誤報問題が解決できれば屋外アラームモニタリングを普及させ、同市場の拡大に繋がると考え、新たなアラームモニタリングシステムを開発した。

 

①仕組み
新たなシステムではアラームモニタリングシステムと監視カメラシステムを連動させるゲートウェイを設置する。
既存システムにゲートウェイとオペレーションソフトを増設することでモニタリング会社は常にアラーム信号とリンクしたカメラ映像を受信できるため、誤報の発生率を大幅に引き下げることができる。

 

(同社資料より)

 

同システムは、戦略的提携先である米国「チェクト社」の画像確認ソリューションを組み入れたゲートウェイ利用することで実現した。
チェクト社は2014年に設立されたベンチャー企業で、CEOは警備会社のオーナー兼CEOでもあるため、警備業界に関する知識が深い。
このため、警備会社の業務経験を元に開発された現場ニーズに適したソリューションを提供することができる。また、高度なITスキルを必要とせず、業界標準規格のネットワークカメラに接続可能なシステムを構築しているほか、無料の使いやすいオペレーションソフトを提供していることも強みである。

 

②ビジネスモデル
オプテックスグループは、北米及び英国で同システムを販売する独占的権利を有しており、商業施設・事務所、高級住宅などハイエンド層をターゲットに同システムを提供する。
防犯センサーやゲートウェイを始めとした単品売りだけではなく、システムの提供によるサブスクリプション型課金ビジネスを展開する。
低コストでの取り付けが可能で誤報の可能性の低い同システムはユーザー、モニタリング会社、警察を含むすべての関係者にメリットがあると考えており、WIN-WINなビジネスモデルの普及を目指していく。

 

(2)FA事業

【インダストリー4.0対応】
センサーの一元管理を行いインダストリー4.0に対応する「IO-Linkセンサー」と「IO-Linkゲートウェイ」を発売する。
センサーと上位の制御システムとの間で各種データ交換を双方向に行える通信技術であるIO-Linkにより、各種機器の状況を遠隔で把握し、耐久期限を予知したり、故障時に最短で復旧したりできる。
ドイツNo1センサーメーカーであるSICK社との協業を活用し普及を促進し、光電センサーのモノ売りから、コト売りへの変革を進める。

 

(同社資料より)

 

(3)MVL事業

【画像検査用照明メーカー」から「トータルソリューションベンダー」へ】
同事業を担うシーシーエス株式会社では、「ユーザーは照明電源が欲しいのではなく「見える!」,「出来る!」が欲しい」との基本アイデアの下、照明、電源に加え、カメラ、レンズを付加したソリューションの提供に加え、更にボード、画像処理ソフト、AI、ロボットを組み合わせたさらに拡張したソリューションの構築、提案ステージの引き上げを目指している。
価格競争に陥らないためにもスピードが重要と考えている。
また、AIやロボットの活用により、2,500億円といわれる目視検査市場の開拓も目指している。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた今上期であったが、通期も減収減益ながら、下期の回復を見込んでいる。
中でもFA事業は上期の中国に加え、下期は欧州のリカバリーにより前年実績を上回る計画だ。
また、SS事業(自動ドア)におけるwith コロナである「非接触需要」の拡大も、息の長いテーマとなるかもしれない。
一方、これまでの成長を牽引してきた欧州の屋外警戒用センサーの復調にはもう少し時間がかかると見ているようである。本格的な回復軌道に入ることができるかは、ここがポイントとなろう。
ビジネスモデル変革の中核となる「画像確認ソリューション」の進捗についても、注目していきたい。

 

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2020年3月27日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主、投資家をはじめ、顧客、社会からの信頼を獲得しつつ、継続的に企業価値を向上させることが最大の使命であると認識しております。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、経営の透明性向上と、公正かつ迅速な意思決定を伴う経営システムの維持及び経営監視機能の強化を目指しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、ガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

当社は、当社グループの事業戦略上において、取引関係の強化と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、取締役会での審議・決議を経て取得し、保有いたします。また、保有する株式につきましては、毎年取締役会においてその意義について検証を行い、目的とする合理的価値が乏しいと判断した場合には、市場動向等を勘案して売却し、縮減に努めております。

 

 現在当社が保有する政策保有上場株式 : 1銘柄 48百万円(貸借対照表計上額)

 

 なお、保有する株式の議決権行使については、当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するか、株主価値が大きく毀損されないかを判断基準として個別に精査し、総合的に判断して賛否を決定します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IR部門を設置しており、株主の皆様との積極的かつ建設的な対話をなし得るよう、当社の経営方針や経営状況について判りやすい説明をするよう努めております。また、IR担当者と担当役員は、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を計画的に実施しており、機関投資家からの面談には随時対応しております。

定時株主総会においては、多様な株主様のご出席を賜われるよう会場を設定して、その終了後には、今後の当社方針をご理解いただけるように「株主説明会」「株主懇親会」を実施しております。

※第41回定時株主総会におきましては、「新型コロナウイルス」の感染拡大予防の観点から、「株主懇親会」を中止といたしました。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

Copyright(C) 2020 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.