ブリッジレポート
(3254) 株式会社プレサンスコーポレーション

東証1部

ブリッジレポート:(3254)プレサンスコーポレーション 2021年3月期第3四半期決算

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土井 豊 社長

株式会社プレサンスコーポレーション(3254)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

不動産業

代表取締役社長

土井 豊

所在地

大阪市中央区城見1-2-27 クリスタルタワー

決算月

3月末日

HP

https://www.pressance.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,494円

65,336,739株

97,613百万円

21.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

26.00円

1.7%

283.11円

5.3倍

1,791.63円

0.8倍

*株価は2/10終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年3月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

101,083

15,645

15,414

10,526

178.99

21.15

2018年3月(実)

134,059

20,362

19,858

13,757

232.58

29.40

2019年3月(実)

160,580

27,118

26,531

18,296

296.43

40.50

2020年3月(実)

224,011

32,609

31,985

21,892

347.45

39.00

2021年3月(予)

234,496

26,728

26,433

18,239

283.11

26.00

*単位:円、百万円。
*2016年10月1日付で1:4の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して再計算。
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

株式会社プレサンスコーポレーションの2021年3月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第3四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21年3月期第3四半期の売上高は前年同期比5.9%増の1,943億円。ワンルームマンションは減収、ファミリーマンションは増収。原価の上昇と商品構成比の変化、新型コロナウイルス拡大による先行き不透明さに前もって対処する為の棚卸資産の土地売却および評価損により、売上総利益率は4.9ポイント低下し、売上総利益は同14.1%減少。土地売却により手元資金を増加させるとともに、棚卸資産適正水準の見直しや評価損による事業計画の見直しを進めた。販管費は同13.8%減の134億円、営業利益14.2%減の272億円となった。今期業績予想に変更はない。売上高は前期比4.7%増の2,344億円、営業利益は同18.0%減の267億円の予想。売上が第3四半期までの期間に偏重しているため、利益は高い進捗率となっている。第4四半期の売上は、ワンルームマンションの卸販売が多くなり、売上総利益率は低下する見通しである。

     

  • 配当予想は11月に公表した中間13.00円/株、期末13.00円/株で前期より13.00円/株減配の合計26.00円/株の予定。予想配当性向は9.2%。株主優待は前期と同内容で実施する予定。

     

  • 第2四半期末時点での売上確保率は過去数期と比較すると低めであったが、第3四半期末時点での売上確保率は101.2%と、高水準になり、足元は順調な進捗とみていいだろう (売上確保率は、第3四半期までの売上実績と今期売上計上予定の受注額の合計金額を、予想売上高で割って算出)。

     

  • 一方、新型コロナウイルス感染拡大による市場の先行き不透明さに前もって対処するために、仕入を抑制するとともに、棚卸資産の売却、有利子負債の削減を進めた。その後、仕入活動を再開しているということだが、中期的な売上・利益拡大に向け、今後どの程度のスピード・水準を目指して、仕入れを拡大させていくのか注目したい。またオープンハウスとのアライアンスに基づいた投資用マンション事業の関東圏での拡大についても具体的な案件がいつごろ生まれるのかも引き続き期待したい。

     

1.会社概要

「不動産に高付加価値を創造する」というビジネスモデルの下、近畿圏、東海・中京圏を中心にファミリー向け及びワンルームマンションを企画・開発・分譲・管理する独立系マンションディベロッパー。分譲マンション供給戸数は近畿圏で10年連続、東海・中京圏で8年連続第1位。全国でも3年連続で第2位にランクインされる。豊富な供給実績と高いシェア、強力な営業力、優れた商品力などが大きな強み。

 

【1-1沿革】

1997年10月に不動産販売を行う事を目的とし同社の前身である(株)日経プレステージが設立される。1998年には初の自社ブランドマンションである「プレサンス難波東」を販売。2000年には初の自社開発物件である「プレサンス心斎橋EAST」を販売するなど着実に実績を積み上げ、2002年、商号を現在の「株式会社プレサンスコーポレーション」に変更。
近畿圏から事業エリアを拡大し、2003年には東海エリアで初めての自社開発物件である「プレサンス名古屋城前」の販売を行うなど業容は順調に拡大し、2007年12月に東京証券取引所市場第2部に上場した。
2008年に東京支店を開設し、首都圏での事業展開も開始。着実な事業拡大であったため、同年発生したリーマンショックの影響を大きく受ける事も無く成長を続け、2013年10月、東証1部にステップアップした。

 

 

【1-2 企業理念など】

創業以来の経営理念である「一隅を照らす」をベースに、2019年12月に就任した土井社長の下、自社の存在意義(パーパス)を明確にし、事業の拡大を通じた社会への貢献を示すために新たに経営理念を掲げた。

 

◎企業理念
「一隅を照らす」
「一隅を照らす」とは、「一人一人が自身の置かれたその場所で精一杯努力し、他の人々のためにも働くことでまわりを明るく照らす。それがひいては社会全体を明るく照らし、世界の人々の平和や幸福の実現に結びつく。」という比叡山延暦寺(滋賀県)を開創し天台宗を開いた伝教大師・最澄上人の教え。

 

「一隅を照らす」精神で価値ある不動産を

私たちは、マンションづくりのプロフェッショナルとして、お住まいになる方に「より快適で価値のあるマンション」をお届けすることが使命であると考えます。その確固たる精神で、お客様のニーズを的確にとらえ、グループ一丸となって10年20年先を見据えた付加価値の高いマンションをお届けいたします。

「一隅を照らす」が導く「三方良し」の精神

私たちは、マンションづくりに誠心誠意取り組むことで、お客様のライフクオリティ向上に寄与することができ、あらゆるステークホルダーの皆さまと良好な信頼関係を築くことができると信じております。これは売り手良し、買い手良し、世間良しという「三方良し」の精神にも適うものです。

「一隅」を照らすから「社会」を照らすへ

私たちは、良質なマンションを創造し続けることで、地域社会の活性化を実現し、便利で快適に暮らせる街づくりの一翼を担いたいと考えております。それにより、社会の持続的発展に大きく寄与できる存在になることを目指してまいります。

 

◎経営理念
「住まいの提供を通じて、活気ある街づくりに貢献します」
同社は、ワンルームマンションおよびファミリーマンションを提供するマンションデベロッパーである。
現時点では開発は進んでいないものの、利便性が良好で今後の発展・成長が期待できるエリアを、同社が見極めワンルームマンションを建築。開発済みのエリアに比べて安価な賃料に魅力を感じた学生や新社会人等の入居者が増加し、彼らの多様なニーズを満たすべくコンビニ・スパー・飲食店等の各種店舗が出店するほか、公共インフラの整備も進行。そうした居住環境の向上はファミリー層も惹きつけ、同社を含む多数のデベロッパーがファミリーマンションを供給するようになり、更に居住環境が向上する。こうした好循環による街の発展の契機として、同社のマンション供給は、活気ある街づくりに貢献している。
同社がこれまでに培ってきた将来性あるエリアを見極める「目利き力」ならびに付加価値の高いマンションの「商品力」が、こうした街づくりの契機となっており、まさに同社ならではの“街づくり”と言えるだろう。

 

【1-3 市場環境など】

◎良好な市場環境

人口減少が進む日本であるが、利便性を求める居住ニーズの高まりから、都市中心部における人口は増加傾向にある。首都圏で不動産価格が高騰しているが、同社のメイン事業領域である近畿圏および東海・中京圏では、依然として一般的な所得層でも十分購入可能な価格帯で推移している。

 

また、こうした外部環境に加え、立地や価格、品質といった「商品の優位性」と、ブランド力・知名度、購入後もしっかりとした賃貸管理を提供するアフターフォロー、実績・販売規模といった面で同社のワンルームマンション販売は強力なアドバンテージを有する。

 

◎供給戸数で高シェア
同社ホームページ資料(出所:不動産経済研究所)によれば、2020年年間の近畿、東海・中京におけるマンション供給戸数はそれぞれ15,195戸、5,386戸。同社は両地域でそれぞれ2,766戸、1,204戸を供給し、近畿圏では11年連続、東海・中京圏では9年連続でシェアNo.1となっている。また全国では供給戸数4,342戸で、初の第1位となった。

 

2020年 地域別分譲マンション供給ランキング

近畿圏 (シェア18.2%)

東海・中京圏 (シェア22.4%)

順位

企業名

戸数

順位

企業名

戸数

1

プレサンスコーポレーション

2,766

1

プレサンスコーポレーション

1,204

2

エスリード

1,861

2

オープンハウス・ディベロップメント

586

3

日本エスコン

670

3

野村不動産

417

4

和田興産

654

4

住友不動産

315

5

近鉄不動産

535

5

エスリード

290

全国 (シェア7.2%)

順位

企業名

戸数

1

プレサンスコーポレーション

4,342

2

野村不動産

3,791

3

住友不動産

3,512

4

三井不動産レジデンシャル

2,334

5

エスリード

2,151

(出所:株式会社不動産経済研究所資料

 

◎同業他社
主要同業他社と同社を様々な角度から比較してみた。

コード

企業名

売上高

経常利益

総資産

販売用

不動産(A)

仕掛販売用

不動産(B)

有利子負債

1925

大和ハウス工業

4,380,209

367,669

4,627,388

795,396

212,850

1,040,877

1928

積水ハウス

2,415,186

213,905

2,634,748

884,118

94,827

579,107

3231

野村不動産HD

676,495

73,077

1,801,273

234,973

298,787

870,000

3254

プレサンスコーポレーション

224,011

31,985

310,779

27,074

217,964

158,988

3289

東急不動産HD

963,198

67,499

2,487,369

287,345

366,591

453,558

8804

東京建物

323,036

44,611

1,564,049

151,004

98,216

922,051

8830

住友不動産

1,013,512

220,520

5,317,623

351,368

286,254

3,440,908

8877

エスリード

61,638

8,000

80,494

12,320

40,119

22,347

8897

タカラレーベン

168,493

11,201

195,448

23,861

46,102

114,023

 

コード

企業名

たな卸資産

構成(A÷B)

自己資本比率

有利子負債

依存度

売上高経常利益率

ROE

時価総額

予想PER

PBR

1925

大和ハウス工業

373.7%

37.3%

22.5%

8.4%

14.1%

2,200,584

16.7

1.3

1928

積水ハウス

932.3%

48.1%

22.0%

8.9%

11.5%

1,425,853

12.5

1.1

3231

野村不動産HD

78.6%

30.5%

48.3%

10.8%

9.1%

473,393

14.4

0.8

3254

プレサンスコーポレーション

12.4%

37.1%

51.2%

14.3%

21.1%

97,613

5.3

0.8

3289

東急不動産HD

78.4%

23.5%

18.2%

7.0%

6.7%

490,204

28.8

0.9

8804

東京建物

153.7%

24.0%

59.0%

13.8%

8.2%

326,092

10.5

0.9

8830

住友不動産

122.7%

24.4%

64.7%

21.8%

11.3%

1,717,718

12.2

1.3

8877

エスリード

30.7%

58.6%

27.8%

13.0%

11.3%

24,327

6.0

0.5

8897

タカラレーベン

51.8%

25.9%

58.3%

6.6%

10.9%

41,503

10.9

0.7

*単位:百万円、倍。業績の比較数値は前期実績。時価総額、PER、PBRは2021年2月10日終値ベース。

 

他社と比較すると、売上規模は決して大きくないながらも、完成在庫(販売用不動産)の少なさ、高い収益性および資本効率が目を引く。

 

【1-4 事業内容】

事業セグメントは、投資型分譲マンションであるワンルームマンションおよび実需向け居住型分譲マンションであるファミリーマンションの企画・開発・分譲・管理を中心とした「不動産販売事業」と、ワンルームマンションの賃貸管理事業、賃貸事業、建物管理事業などを手掛ける「その他」の2セグメント。

 

◎商品構成
同社が手掛けるマンションの概要は以下の通り。
物件平均価格はワンルームで約1,900万円、ファミリーで約3,700万円となっている。

タイプ

住戸専用面積

間取り

特長

選定基準

ワンルーム

約20~50㎡

1ROOM~1LDK

都心型

主要駅より徒歩5分圏内

利便性に富む立地

(大学、専門学校、企業、商業施設等)

ファミリー

約50~100㎡

1LDK~4LDK

都心および都市周辺型

主要駅より徒歩10分圏内

環境性に富む立地

(小・中学校区、企業、商業施設等)

混在

約20~100㎡

1ROOM~4LDK

都心および都市周辺型

主要駅より徒歩5分圏内

ワンルームタイプに近い基準

 

(2020年3月期の販売実績)

タイプ

金額

構成比

戸数

構成比

ワンルームマンション

67,255

30.0%

3,479

42.6%

ファミリーマンション

78,587

35.1%

2,109

25.8%

一棟販売

27,299

12.2%

1,532

18.8%

ホテル販売

19,292

8.6%

793

9.7%

その他住宅販売

4,726

2.1%

248

3.0%

その他不動産販売

18,364

8.2%

-

-

不動産販売附帯事業

1,158

0.5%

-

-

不動産販売事業 合計

216,684

96.7%

8,161

100.0%

その他

7,327

3.3%

-

-

合計

224,011

100.0%

8,161

100.0%

*単位:百万円
*一棟販売は、マンション一棟またはその一部をマンション販売業者に卸売する形態。
*その他住宅販売は、中古住宅流通事業、戸建分譲事業等、新築マンション以外の住宅の販売。
*その他不動産販売は、商業用店舗、開発用地等の住宅以外の不動産の販売。
*不動産販売附帯事業は、床コーティング等引渡後オプション工事、及び不動産売買の仲介手数料等。

 

◎事業エリア
自社ブランドマンションの販売を開始した1998年11月以降2020年3月末までの累計販売戸数は、近畿圏、東海・中京圏中心に全国で781棟、52,862戸となっている。

 

プレサンス梅田北オール(大阪市/ワンルームマンション)

 

プレサンスグラン泉(名古屋市/ファミリーマンション)

 

プレサンス レジェンド 堺筋本町タワー (大阪市/ファミリーマンション)

*1998年11月から2020年3月末までの累計販売状況

都府県など

棟数

戸数

大阪府

354

24,577

愛知県

187

12,215

京都府

80

4,115

兵庫県

76

5,640

滋賀県

12

1,601

沖縄県

21

1,105

東京都

21

1,336

広島県

5

410

福岡県

3

170

その他

22

1,693

合計

781

52,862

 

今後は、近畿圏、東海・中京圏におけるブランド力、市場シェアを更に向上していく。

 

【1-5 特長と強み】

①豊富な供給実績と高いシェア
前述の様に、同社は本社所在地の近畿圏のみならず、東海・中京圏において分譲マンション供給実績で連続No.1であることに加え、全国レベルでも第2位にランクイン(2019年)という実力を有している。
高いシェアは、スケールメリットによる建築コストの低減や土地情報の収集力向上などの大きなメリットをもたらしている。

 

②販売力の強さ
「マンション完成までに完売」を営業基本方針とし実践している。ワンルームマンションの販売において、同社では、営業部門全体で1物件を集中的に販売している。同一条件の物件を全員で販売することにより、社内競争が促され、営業員の士気向上に繋がっている。また自社開発の同一ブランドのみを販売していることから、営業スタッフは物件の仕様や特長について細かい点まで熟知しているため、顧客の信頼も高い。加えて、セミナーの開催など様々な手法で、潜在的なユーザーの掘り起こしに力を入れており、需要や市況変化への対応力が高い。
さらに、成長力の源泉は何をおいても人材だ。そのため人材教育には大変力を入れている。同社の強みである販売力の強さは、同社の教育力の現れでもある。
新入社員を一日でも早く戦力化する事が重要だが、そのために新入社員は先輩社員と常に行動を共にし、先輩社員のお客様への電話対応、資料作成、訪問時の会話など、成約に至るあらゆるシーンを繰り返し、繰り返し目で見て、耳で聞き、実践して成果が出る体験を積み重ねる。こうした成功体験の積み重ねによって、新入社員であっても、一人でクロージングできるまで自ずと短期間で成長していく。これらの要因により、早期完売と安定した売上を実現している。

 

③優れた商品力
「立地」、「設備」、「価格」の3点において購入者に対し高い満足度を提供している。
「立地」においては利便性を重視し、都心部の主要駅からワンルームマンションは徒歩5分圏内、ファミリーマンションは徒歩10分圏内の物件を厳選する。
「設備」においては高級感、快適性、機能性を重視し、浴室換気乾燥機付きユニットバス、ガス温水式床暖房、防音サッシ、遮音フローリング等を装備して物件に高い付加価値を加えている。
「価格」については、高級感を持たせながらもリーズナブルな販売価格設定によって、高いコストパフォーマンスを実現している。この様な取り組みにより、同社物件は長期にわたる高い資産価値・ブランド価値を有している。
 

(同社資料より)

 

④圧倒的な情報収集力
マンションディベロッパーにとって、業容拡大のための重要なポイントは、良質なマンション用地情報を、仲介業者、金融機関などから他社に先駆けて収集することができるか、である。
リーマンショックで同業他社が多くの完成在庫を抱えて新たな土地の仕入に踏み切れなくなった際、財務状況が良好だった同社は、好機と捉えて積極的な仕入れ活動を展開した。仲介会社等にとっては、不況期でも仕入を積極的に行う同社の存在は極めて重要であった。

 

また、大手ディベロッパーに比べると、意思決定のスピードが迅速である点も仲介会社等にとっては大変魅力的であったため、「取引のメリットが大きい会社」と評価され、「新しい土地情報はまずプレサンスへ」という関係性が構築された。リーマンショックの影響が鎮静化した後でも、この関係はより強固なものとなっており、同社競争力の高さの一因となっている。

 

⑤安定した収益力
2007年12月に上場した同社はこれまでに、最初に期初予想を発表した2009年3月期以降、2020年3月期まで12回の決算を発表してきた。売上高、経常利益の期初予想と実績の乖離を検証すると、売上高未達は数回あるが、経常利益に関しては未達が1度も無い。不動産市況に大きく影響されることなく安定・継続して収益を上げてきた点も同社の大きな特長といえよう。

 

 

【1-6 ROE分析】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

18.5

18.2

18.9

19.4

19.2

20.8

22.1

21.1

 売上高当期純利益率(%)

12.64

12.15

11.82

11.64

10.41

10.26

11.39

9.77

 総資産回転率(回)

0.74

0.75

0.74

0.70

0.65

0.62

0.59

0.73

 レバレッジ(倍)

1.98

2.01

2.17

2.38

2.83

3.25

3.30

2.95

 

堅調な需要の下、販売が好調で高水準の売上高当期純利益率を継続していることに加え、レバレッジを効かせた効率的な資金調達により高いROEを実現している。

 

2.2021年3月期第3四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

20/3期3Q

構成比

21/3期3Q

構成比

前年同期比

売上高

183,588

100.0%

194,378

100.0%

+5.9%

売上総利益

47,346

25.8%

40,681

20.9%

-14.1%

販管費

15,582

8.5%

13,436

6.9%

-13.8%

営業利益

31,763

17.3%

27,245

14.0%

-14.2%

経常利益

31,274

17.0%

27,223

14.0%

-13.0%

四半期純利益

21,041

11.5%

18,829

9.7%

-10.5%

単位:百万円

 

増収減益
売上高は前年同期比5.9%増の1,943億円。ワンルームマンションは減収、ファミリーマンションは増収。
原価の上昇と商品構成比の変化、新型コロナウイルス拡大による先行き不透明さに前もって対処する為の棚卸資産の土地売却および評価損により、売上総利益率は4.9ポイント低下し、売上総利益は同14.1%減少。土地売却により手元資金を増加させるとともに、棚卸資産適正水準の見直しや評価損による事業計画の見直しを進めた。販管費は同13.8%減の134億円、営業利益は14.2%減の272億円となった。

 

 

(2)マンション販売事業の動向

◎販売実績

タイプ

戸数

前年同期比

金額

前年同期比

ワンルームマンション

3,909

+4.4%

69,109

-5.1%

ファミリーマンション

2,356

+23.5%

86,934

+22.1%

ホテル販売

439

-44.6%

11,620

-39.8%

マンション販売事業合計

6,704

+4.0%

167,665

+2.6%

*単位:百万円。前期までの「一棟販売」を、「ワンルームマンション」に含めて表示することとした。一棟のワンルームマンションの中で、同社が個人顧客に直接販売する住戸(前期まで「ワンルームマンション」と表示)と、販売業者等に卸売する住戸(前期まで「一棟販売」と表示)が混在する案件が発生しており、比較を容易にするため、前年同期の数値も同様に組替えて前年同期比を表示。

 

ワンルームマンションは新型コロナウイルス感染拡大に伴う卸販売の増加・直販の減少により、戸数は増加したが、減収。
ファミリーマンションは、プレサンスロジェ橿原神宮前(総戸数114戸)等の引渡しにより、戸数、売上高とも大幅に増加。
ホテルは計画外1物件を含む3物件の売上を計上したが減収。
マンション販売事業全体では増収となった。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

20年3月末

20年12月末

 

20年3月末

20年12月末

流動資産

296,066

255,009

流動負債

107,318

95,619

 現預金

44,774

75,126

 短期有利子負債

73,084

76,381

 販売用不動産

27,074

20,859

固定負債

86,770

38,010

 仕掛販売用不動産

217,964

150,328

 長期有利子負債

85,903

37,218

固定資産

14,712

12,743

負債合計

194,088

133,630

 有形固定資産

7,640

8,830

純資産

116,690

134,123

 無形固定資産

254

178

 株主資本

115,306

132,636

 投資その他の資産

6,817

3,735

負債純資産合計

310,779

267,753

資産合計

310,779

267,753

有利子負債残高

158,987

113,599

*単位:百万円。

 

現預金増加の一方、販売用不動産、仕掛販売用不動産の減少で、資産合計は前期末と比べ430億円減少の2,677億円となった。有利子負債が同453億円減少。負債合計は同604億円減少の1,336億円となった。利益剰余金の増加等で純資産は同174億円増加の1,341億円。この結果、自己資本比率は前期末から12.4ポイント上昇し49.5%となった。

 

前述のように、新型コロナウイルス感染拡大による市場の先行き不透明さに前もって対処するために、仕入を抑制するとともに、棚卸資産の売却及び評価損を計上し、棚卸資産適正水準の見直しや事業計画の見直しを進めた。その後、仕入活動は再開している。
2020年12月末のBS上のたな卸資産(販売用不動産と仕掛販売用不動産の合計)から建築代金等を控除した取得済のマンション事業用土地代金は、ワンルームマンションで543億19百万円(11,449戸)、ファミリーマンションで451億81百万円(4,464戸)となっている。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/3期3Q

21/3期3Q

増減

営業CF

10,190

77,222

+67,032

投資CF

-1,724

91

+1,815

フリーCF

8,466

77,313

+68,847

財務CF

-9,243

-46,960

-37,717

現金同等物残高

38,624

72,036

+33,412

*単位:百万円

 

たな卸資産の減少等で営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。長期借入金による収入の減少及び返済による支出の増加で財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

【株式会社オープンハウスとのアライアンスの進捗】
①株式会社オープンハウス株式保有状況
株式会社オープンハウスによる第三者割当増資の引き受けとTOBの実施により、2021年1月20日時点で、オープンハウスは、プレサンスコーポレーション株式44,011,372株(議決権ベースで64.46%)を保有し、プレサンスコーポレーション株式は上場を維持されつつ、プレサンスコーポレーションはオープンハウス社の連結子会社となっている。

 

②その他の進捗
◎役員人事
2020年6月26日付でオープンハウス取締役 若旅孝太郎氏が、プレサンスコーポレーション取締役を兼務。
2021年1月29日付でオープンハウス代表取締役社長 荒井正昭氏が、プレサンスコーポレーション会長に就任した。
◎財務基盤の強化
オープンハウスによる信用補完の拡大のほか、オープンハウス引受の第三者割当増資により、自己資本が約50億円増加したことで金融機関からの資金調達が安定し、マンション用地仕入を本格化している。

 

◎事業シナジー
重要な事業シナジーの一つと位置付けている投資用マンション事業の関東圏での拡大に関しては、オープンハウスグループから提供される用地情報量が一段と増加しており、同事業における協業スキームの検討・協議が進行中である。

 

経営改革(再発防止策)の進捗】
明浄学院との土地取引に係る業務上横領事件への共謀容疑で前社長が逮捕された事件に関し、2021年1月25日、改善状況報告書を、東京証券取引所へ提出・開示し、東京証券取引所から求められた『改善報告書および改善状況報告書の提出』への対応を完了した。

 

再発防止策の骨子は以下5項目である。
今後も、再発防止策の適切な運営を徹底し、必要な改善に継続的に取り組み、ガバナンス向上に努めていく考えだ。
1.「取締役会を含む重要な会議体のあり方及び意思決定方法の見直し」
2.「社外取締役の職務執行の実効性を確保するための環境整備」
3.「利益相反取引及び競業取引に関するルールの設計と教育」
4.「土地仕入プロセスにおける統制活動の再設計」
5.「内部監査の見直し」

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

 

20/3月期

構成比

21/3月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

224,011

100.0%

234,496

100.0%

+4.7%

82.9%

売上総利益

53,124

23.7%

45,856

19.6%

-13.7%

88.7%

販管費

20,515

9.2%

19,128

8.2%

-6.8%

70.2%

営業利益

32,609

14.6%

26,728

11.4%

-18.0%

101.9%

経常利益

31,985

14.3%

26,433

11.3%

-17.4%

103.0%

当期純利益

21,892

9.8%

18,239

7.8%

-16.7%

103.2%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

業績予想に変更無し。増収減益。
業績予想に変更はない。売上高は前期比4.7%増の2,344億円、営業利益は同18.0%減の267億円の予想。
売上が第3四半期までの期間に偏重しているため、利益は高い進捗率となっている。第4四半期•の売上は、ワンルームマンションの卸販売が多くなり、同期間の売上総利益率は低下する見通しである。
配当は前期より13.00円/株減配の合計26.00円/株の予想。予想配当性向は9.2%。株主優待は前期と同内容で実施する予想。

 

◎マンション販売事業売上予想

タイプ

20/3期

21/3期(予)

前期比

進捗率

ワンルームマンション

94,554

99,271

+5.0%

69.6%

ファミリーマンション

78,587

94,600

+20.4%

91.9%

ホテル

19,292

11,380

-41.0%

102.1%

合計

192,435

205,252

+6.7%

81.7%

*単位:百万円

 

◎進捗状況

 

区分

 

売上済みおよび今期中の売上計上予定

マンション販売事業

戸数

金額

(A)

今期売上高

予想(B)

予想に対する確保率

(A ÷ B)

ワンルームマンション

5,848

98,067

99,271

98.8%

ファミリーマンション

2,602

95,993

94,600

101.5%

ホテル

439

11,620

11,380

102.1%

その他

262

21,695

19,389

111.9%

合計

9,151

227,377

224,642

101.2%

*単位:百万円。その他は、その他住宅・不動産販売。

 

ワンルームマンションは第4四半期(1-3月)で多くの引渡しを予定•している。
ファミリーマンション:は第3四半期までに売上(竣工・引き渡し物件)が偏重する通期予想通りの進捗である。
第3四半期末時点での売上確保率は101.2%となっている。

 

(2)中期的な見通し

プレサンス社は、株式会社オープンハウスによる子会社化に伴い、オープンハウス社の事業年度を仮定した自社の中期的な業績見通しを以下のように述べている。

 

 

21年4月から21年9月

(6か月間)

21年10月から22年9月

(12か月間)

22年10月から23年10月

(12か月間)

売上高

93,513

142,193

170,237

ワンルームマンション

42,910

50,637

67,182

ファミリーマンション

36,417

61,684

73,343

ホテル

4,250

0

0

営業利益

9,855

11,884

17,085

当期純利益

6,360

7,165

10,797

*単位:百万円。オープンハウス社の決算期(9月決算)を仮定した対象期間における業績予想。

 

今期(21年3月期、12か月間)の「売上高2,344億円、営業利益267億円」と比較すると、21年10月から22年9月(12か月間)は減収・減益となるが、これは手元資金の拡充を優先するため、土地仕入れの抑制および仕入済み土地の売却を実施したため。2022年10月~2023年9月期には業績回復に転じる計画としている。

 

4.今後の注目点

第2四半期末時点での売上確保率は過去数期と比較すると若干低めであったが、第3四半期末時点での売上確保率101.2%は高水準になっており、足元は順調な進捗とみていいだろう。
一方、新型コロナウイルス感染拡大による市場の先行き不透明さに前もって対処するために、仕入を抑制するとともに、棚卸資産の売却、有利子負債の削減を進めた。その後、仕入活動は再開しているということだが、中期的な売上・利益拡大に向け、今後どの程度のスピード・水準を目指して、仕入れを拡大させていくのか注目したい。またオープンハウスとのアライアンスに基づいた投資用マンション事業の関東圏での拡大についても具体的な案件がいつごろ生まれるのかも引き続き期待したい。

 

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

9名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年1月20日

 

<基本的な考え方>
コーポレート・ガバナンスとは、株主・顧客・従業員・取引先・地域社会など様々なステークホルダー(利害関係者)との関係における企業経営を律する基本的枠組みと考えており、当社としては次の要素を実践していくことで、その枠組みを形造れると考えております。そして、これら要素を実践しつつ、株主利益の増大に努めることが最重要の責務と認識しております。

 

(コンプライアンス)
法令遵守という意味で使われており、良好なコンプライアンスの実践は、不祥事等による直接的な損害を回避することの他に、「信頼」「誠実」という企業イメージやブランド価値の向上に結びつき、中長期的な業績向上や企業価値の向上につながるものと認識しております。

 

(リスクマネジメント)
企業の目的達成を妨げる事象や行為等の脅威・リスクに対して、費用対効果を勘案しコントロールしていくことと認識しております。

 

(アカウンタビリティ)
説明責任という意味で使われており、組織において権限者がしたこと、またしなかったことが招いた結果について合理的な説明を行う責務と認識しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則について、すべてを実施しています。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

(1) 当社は、取引先と良好な関係を構築し、事業の円滑な推進を図るため、取引先の株式を保有することがあります。取引先の株式については、取引関係の強化により、当社の企業価値の向上に資すると判断する限り、保有いたしますが、毎年、保有株式ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか、取引関係の維持強化等の保有目的に沿っているかを基に精査することで保有の適否を検証し、保有意義が乏しい銘柄については、株価等を勘案して売却を検討いたします。

(2) 保有株式に係る議決権は、企業価値の向上につながる意思決定を行っているかということを考慮して、行使することを基本方針としております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、株主・投資家を重要なステークホルダーとして考えており、持続的な成長と企業価値の向上のため、株主総会等の様々な機会を通し、株主・投資家との間で建設的な対話を行っております。

・ 株主との対話、IR活動については、代表取締役社長が統括し、株主との建設的な対話が実現するように努めております。また、株主との円滑な対話のために、経営企画部がIR活動をサポートしております。

・ 株主・投資家との対話の手段としては、証券会社を通じて、株主・機関投資家との個別面談を実施しております。

・ 代表取締役社長が、株主・投資家との対話を通じて把握した株主の意見・懸念につきましては、必要に応じて取締役会に報告し、当社の経営に活かしてまいります。

・ 対話に際してのインサイダー情報の管理については、インサイダー取引管理規程に基づいて実施しております。

 

 

 

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