ブリッジレポート
(5690) リバーホールディングス株式会社

名証プレミア

ブリッジレポート:(5690)リバーホールディングス 2021年6月期第2四半期決算

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松岡 直人 社長

リバーホールディングス株式会社(5690)

 

 

企業情報

市場

東証2部

業種

鉄鋼(製造業)

代表者

松岡 直人

所在地

東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル15階

決算月

6月

HP

https://www.re-ver.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,135円

17,126,500株

19,438百万円

7.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

35.00円

3.1%

95.94円

11.8倍

946.46円

1.2倍

*株価は2月24日の終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年6月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年6月(実)

39,285

1,324

1,516

2,264

152.99

200.00

2019年6月(実)

36,681

1,386

1,645

1,268

74.07

4.00

2020年6月(実)

28,375

980

1,281

1,217

81.12

35.00

2021年6月(予)

30,557

1,973

2,281

1,643

95,94

35.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。2019年3月29日付で普通株式1株につき50株の株式分割を行っているが、2018年6月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、EPSを算定している。尚、DPSについては株式分割前の実際の株式数によって算出している。
20年6月期のDPS 35.00円には記念配当10.00円を含んでいる。

 

リバーホールディングス(株)の2021年6月期第2四半期決算の概要と2021年6月期通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年6月期第2四半期決算概要
3.2021年6月期業績予想
4.今後の事業展開
5.今後の注目点
<参考:SDGsの達成に向けた取り組み>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 傘下の事業会社10社を通して、金属リサイクル事業、家電リサイクル事業、自動車リサイクル事業、及び産業廃棄物処理事業等を展開する持株会社。関東を中心に20数拠点を展開している。同社自身、ルーツは110年超の歴史を持つ(創業1904年)、日本を代表するマテリアルリサイクラーだが、自動車や家電等、個別リサイクル法に対応するべく、M&Aでグループ力を強化してきた。中小規模事業者の多い業界にあって、日本発・日本初のマテリアルリサイクル(静脈)メジャーを目指している。

     

  • 21年6月期第2四半期(累計)の売上高は前年同期比0.3%増の150億29百万円、粗利は同7.0%増の77億59百万円。コロナ禍により、鉄スクラップ発生量は前年同期に比べ約10%減少。ただ、鉄スクラップ価格は、鉄スクラップ発生減と中国の旺盛な需要により上期末にかけて急騰し、売上は横ばいながらも粗利は前年同期比7.0%増加した。営業利益は同125.3%増の14億82百万円。加工・選別を徹底することで有価物の回収量を増やし、併せて処分費の掛かるダストを減容することで処分費を削減。スクラップ量減少に伴う動力費など変動費の減少もあり、大幅な増益となった。こうした取り組みにより、新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい体制作りを進めている。

     

  • コロナ禍による数量減があったものの、資源相場好況やダスト処理費などのコスト軽減により、利益において計画を大きく上回った上期決算を受け、21年6月期通期予想を上方修正した。売上高は前期比7.7%増の305億57百万円、営業利益は同101.3%増の19億73百万円の予想。下期においてはコロナ禍による資源相場の不安定な値動きや、鉄スクラップ発生量の回復の遅れなどの不透明さを加味している。配当予想も修正した。従来予想25.00円/株から10.00円/株引き上げ35.00円/株の予定。記念配当10.00円/株を含んだ前期の35.00円/株からは普通配当で10.00円/の増配。予想配当性向は36.5%。

     

  • 好調な上期決算をうけ、通期予想を上方修正。減収減益予想から一転、増収増益予想となった。ただ、年末年始にかけ急騰・急落した鉄スクラップ価格の推移は気になるところである。また、スクラップ発生量の回復とともに増加する変動費を始めとしたコストについては慎重に見ているという。短期的な視点としては外部環境の変化とともにまずは第3四半期決算状況を注視したい。

     

  • 一方、中期的な視点からは、3つの戦略により、持続可能な社会実現に直接貢献する重要なプレーヤーとしていかにスピード感を持って成長していくことができるのかを注目していきたい。

     

     

1.会社概要

持株会社である同社の他、連結子会社8社(リバー(株)、メタルリサイクル(株)、中田屋(株)、サニーメタル(株)、フェニックスメタル(株)、NNY(株)、イツモ(株)、(株)新生)、及び関連会社2社(メジャーヴィーナス・ジャパン(株)、HIDAKA SUZUTOKU (Thailand) CO., LTD.)と共にグループを形成し、資源リサイクル事業を展開している。
廃棄物から資源をつくる「静脈産業」として高度循環型社会の実現に貢献することを経営方針としている。

 

1-1 沿革

原点は、1904年に創業した金属のリサイクル業。以来、110余年にわたり、リサイクル技術を通じて天然資源の少ない国内産業の発展に貢献してきた。

 

創業から90年余り金属リサイクル中心に事業展開してきたが、転機を迎えたのは90年代の終盤。資源の枯渇、公害や廃棄物の問題等の顕在化で、日本はそれまでの大量生産・大量消費・大量廃棄という消費スタイルを脱却し、廃棄物の減容化と再資源化・活用といった循環型社会への移行を目指すようになった。この一環として、循環型社会形成基本法や、家電リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法等、個別リサイクル法が順次制定されていった。このため、同社は、2000年以降、家電や自動車等、それぞれの分野に強い企業をM&A等により取り込みグループ力を強化し、2007年に持株会社に移行した。

 

ただ、2015年に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」で求められている世界的な経済・社会・環境問題の解決や、国内における循環型社会の実現に貢献するためには、欧州の静脈企業が実現しているような高度な処理技術と広範囲のエリアネットワークをベースに、年間で数千億円単位の事業規模の強固な経営基盤をもつ必要がある。同社はこうした課題認識を基に、2015年に“日本の静脈産業プラットフォームになる”という中長期ビジョンを策定。2017年には、全国各地の同業他社との事業連携を推進するべく、地域戦略や人事制度の改定に着手すると共に、社名をリバーホールディングス(株)に変更した。「リバー」は「Re(再)」と「ever(永遠)」からなる造語であり、“川の流れのようにいつまでも続く資源のリサイクル”と言う思いが込められている。

 

(同社資料より)

 

1-2 企業理念など

 

【企業理念】
VISION(目指す未来) : 地球を資源だらけの星にしよう。
リサイクルをあきらめず、捨てるを資源のはじまりにする。「私たちがそれを必ず実現する」と言うのが同社の考え。

 

MISSION(私たちの使命) : すべてを資源にできる技を磨く。
ゴミは再び資源になる。地球を資源だらけの星にするために、社員一人ひとりが技を磨いていくことを使命としている。

 

【経営方針】
環境変化に強い経営基盤を構築し、多様な廃棄物を広域で再資源化できる組織をつくることで高度循環型社会の実現に貢献する。高度循環型社会とは、あらゆる廃棄物を100%再資源化し、再生利用する社会である。

 

現在同社では年間755,856トンの資源を受け入れ、605,610トンの再生資源を作り出しており、還元率は80.93%。可能な限り早期に100%を実現したいと考えている。

(同社資料より)

 

経済産業省が2020年5月22日に公表した「循環経済ビジョン2020」において、今後の循環経済政策が目指すべき基本的な方向性が示された。動脈産業(メーカー等)は循環性をデザインし、リサイクルまでをリードする循環産業にビジネスモデルを転換する必要があり、そのためには静脈産業(リサイクル事業者等)が多様な使用済み製品の広域回収と自動選別技術を活用した高品質な再生材の安定供給の役割を担うリソーシング産業へビジネスモデルを転換する必要があると言う。
そして、循環性の高いビジネスモデルへの転換は、事業活動の持続可能性を高め、中長期的な競争力の確保にもつながるものである、としている。
同社は、静脈産業のリーディングカンパニーとして、動脈産業と連携して高度循環型社会の実現に貢献していく考えである。

 

 

1-3 事業内容

事業は資源リサイクル事業の単一セグメントだが、リサイクルする素材毎に、金属リサイクル事業、自動車リサイクル事業、産業廃棄物処理事業、家電リサイクル事業、その他事業に分かれる。

 

金属リサイクル事業
金属スクラップ(鉄スクラップ及び非鉄金属スクラップ)を扱う同社グループの主力事業。生産工場、建物解体業者、自動車解体業者、地方自治体及び同業他社から仕入れた金属スクラップを、品物に応じて、せん断、圧縮、破砕、選別し、金属原料として再資源化する(鉄スクラップについては製鋼原料として国内電炉メーカー等に販売する → 一般売上)。
単一素材からなる金属スクラップ(建物解体現場で発生する鋼材等)については、グループの工場でせん断し大きさを調整し、電炉メーカー等に販売しており、複合素材からなる金属スクラップ(解体後の使用済自動車や廃自動販売機等)については、グループの工場でプレス減容・シュレッダー(大型破砕機)破砕し、選別後、回収した製品(金属スクラップ)を電炉メーカー等に販売し、ダスト(残渣物)についてはグループ外の処理業者に処理を委託している。また、破砕、選別の過程で生じた非鉄金属・プラスチック等の混合物(ミックスメタル)については、連結子会社のNNY(株)で重液選別機により非鉄金属を選別・回収している。尚、同社グループの製品及び原材料の回転期間(製品及び原材料÷(売上原価÷12ヶ月))は19/6期0.13ヶ月(18/6期0.18ヶ月)。

 

 

自動車リサイクル事業
「使用済自動車の再資源化等に関する法律(通称: 自動車リサイクル法)」で定められた「引取業」、「フロン類回収業」、「解体業」及び「破砕業」の全ての登録・許可を取得し、使用済自動車の処理を引取からパーツの販売や破砕までワンストップで行っている。自動車ディーラー等から仕入れた使用済自動車を専門工場で解体し、エンジン・外装部品等のパーツの他、エンジンオイル等の油脂、ハーネス(配線)まで、回収して再資源化しており、ボディ(カープレス)については、複合素材の金属スクラップとして再資源化される。
使用済自動車の解体拠点を千葉県と埼玉県の2ヶ所で運営する連結子会社メタルリサイクル(株)が前処理・部品回収を行い、他のグループ企業で金属スクラップ(複合材)として再資源化している。

 

 

産業廃棄物処理事業
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃掃法又は廃棄物処理法)」に基づいて産業廃棄物の収集運搬と中間処分のいずれか、又は両事業を行っている。中間処分については、首都圏14ヶ所、関西1ヶ所、東海1ヶ所で産業廃棄物の中間処分の許可を持つ事業所を運営し、電子機器やOA機器など様々な使用済製品の処理ニーズに対応している。同社グループは、発生元(排出者)から産業廃棄物の中間処理に係る処理料を受け取っている(処理売上)。また、適正な廃棄物処理を行うために、管理部法務課を設置し各グループ会社に対して廃掃法の運用に関する教育を継続的に実施している。廃棄物処理の流れについては、金属リサイクル事業の複合素材と同様である。

 

 

家電リサイクル事業
「エアコン」、「テレビ」、「冷蔵庫」及び「洗濯機」の4品目は、特定家庭用機器再商品化法(通称:家電リサイクル法)に従って認定業者が受け入れ、リサイクル処理を行う必要がある。同社グループは、家電リサイクル法が施行された2001年以前から、大手家電メーカーとリサイクル技術に関する共同研究を行ってきた。法律の施行後も、ブラウン管から薄型テレビへの移行や、ドラム式洗濯機の出現など時代と共に進化する家電に対応してリサイクル技術を高めてきた。現在、大手メーカーが共同出資して設立したリサイクルシステムの管理・運営会社((株)エコロジーネット)との直接取引による対象家電製品のリサイクルを行っている。
連結子会社である中田屋(株)、サニーメタル(株)、フェニックスメタル(株)、NNY(株)の4社が、家電リサイクル法にもとづく指定引取場所及び再商品化施設として登録され、家電リサイクル事業を行っており、サニーメタル(株)とフェニックスメタル(株)の2社はリサイクルシステムの管理会社から地域管理会社としての指定を受け、地域の指定引取場所の管理業務も行っている(リサイクルシステムの管理会社から処理料と管理料を受け取り処理売上として計上している)。

 

 

その他事業
「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」に基づく認定事業である小型家電リサイクル事業と産業廃棄物の適正なリサイクルに関する仲介サービスを提供するエコソリューション事業に分かれる。

 

小型家電リサイクル事業
小型家電リサイクル法に基づく小型家電リサイクル認定事業者として国から認定を受け、市区町村経由、又は市民から直接回収した使用済小型電子機器を同社グループ及びグループ外のリサイクル企業においてリサイクルを行っている。日本国内で資源循環を実現することを第一に考え、法律に定める28カテゴリーに該当する使用済小型電子機器(PC、携帯電話等)を受け入れている。グループ内外の技術を活用して、破砕、選別(磁力、風力、比重、手選別等)等の処理を行い、レアメタルを含めた多くの有用資源を回収している。

 

エコソリューション事業
特定の資源物や産業廃棄物(有害物質含め)だけでなく、オフィス、店舗、工場、建設現場等から排出されるあらゆる産業廃棄物の適正なリサイクルに関する仲介サービスを提供している。仲介サービスの提供にあたっては、全国ネットワークであるマリソルネットワーク(注)を活用し、同社グループの主な事業展開エリアである東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県等の関東近郊だけではなく、全国対応を行っている。

 

(注) マリソルネットワークとは、全国のリサイクル処理業者が参加しており、廃棄物の処理を希望する顧客に対し、同社が仲介窓口となり、各種許認可を有するリサイクル処理業者を紹介している。異なった強みを持つ処理事業者同士が有機的に協働することで、北は北海道から南は沖縄県まで、幅広い地域で廃棄物処理サービスの提供を行っている。産業廃棄物の管理を行う上では、煩雑で法的要件が求められる業務が多く発生し、産業廃棄物処理業者の管理が重要。産業廃棄物処理業者の窓口業務を一元化して対応することにより、顧客の時間ロスと産業廃棄物におけるリスクを最小限に抑えることができる。

 

(同社資料を基に作成)

 

 

1-4 ビジネスモデル

(同社資料を基に作成)

 

同社の売上は、主に、金属リサイクル事業、自動車リサイクル事業、及びその他事業の製・商品販売に係る「一般売上」と、主に産業廃棄物処理事業、家電リサイクル事業、及びその他事業の役務提供に係る「処理売上」に分かれる。

 

一般売上
金属リサイクル事業と自動車リサイクル事業では、建物解体業者や自動車解体業者等から鉄等のスクラップを仕入れ、同社グループの工場で破砕選別処理した後、鉄等のスクラップについては電動メーカーに販売し、「一般売上」を計上する。

 

処理売上
産業廃棄物処理事業及び家電リサイクル事業では、産廃運搬業者や最終消費者から、什器、キャビネット、テレビ、エアコン、小型家電等が持ち込まれるが、この際、同社は仕入費用を払うのではなく、処理料を受け取り、「処理売上」を計上する。もっとも、工場で破砕選別処理され、その際発生した鉄等のスクラップは電炉メーカーに販売し、「一般売上」として計上される。処理に際して発生したダストについては最終処分場等で処分され、同社はダスト処理費用を計上する。

 

 

1-5 リバーホールディングスの強み

リバーホールディングスの強みは、最大マーケットの関東で拠点数トップを誇ること、安定した利益構造、及び高い参入障壁の3点。

 

最大マーケットの関東で拠点数トップ
鉄等のスクラップの発生と需要(電炉メーカー)が最大のマーケットである関東でトップの19拠点を有する。仕入れと販売が近接しているため、運賃コストを抑えることができ、かつ、在庫の期間の短縮化が可能である。仕入れから販売までの期間は約3~4日と短く、このため鉄スクラップ市況の影響をほとんど受けないと言う。
また、自動車や家電等の処理には大型シュレッダー(1,000馬力以上)が必要となる。現在、関東では30機の大型シュレッダーが稼働しているが、そのうちの6機は同社グループが保有しており、大型シュレッダー保有台数は関東No.1である。

 

安定した利益構造
産業廃棄処理事業と全国の取扱量トップクラスの家電リサイクル事業において計上する処理売上は鉄スクラップ市況の影響を受けない収益である。中国の環境問題及び最終処分場の残余年数の問題をビジネスチャンスとして捉え、今後、処理売上を伸ばしていく考え。

 

高い参入障壁
廃棄物の処理施設は施設毎(設置・能力増強)に自治体の許認可が必要なことに加え、施設の近隣住民の同意も必要である。許認可の取得が難しいことに加え、仮に承認が取れたとしても設備の設置には高額の資金が必要となる。

 

 

2.2021年6月期第2四半期決算概要

2-1 事業環境

新型コロナウイルス感染症による影響で、自動車販売の低迷により、廃自動車の発生量が減少したほか、経済活動の停滞により、建設解体屑や工場発生屑の発生量の回復が遅れている。一方で巣籠り需要などにより、家電の受入台数が増加した。
同社業績に影響を与える鉄スクラップ価格は、期初より緩やかな上昇が続いていたが、12月に入り急騰。ただ年明けには急落するといった不安定な値動きとなった。

 

2-2 連結業績

 

20/6期 2Q

構成比

21/6期 2Q

構成比

前年同期比

売上高

14,992

100.0%

15,029

100.0%

+0.3%

粗利(売上高 - 仕入原価)

7,254

48.4%

7,759

51.6%

+7.0%

営業利益

657

4.4%

1,482

9.9%

+125.3%

経常利益

830

5.5%

1,613

10.7%

+94.2%

四半期純利益

978

6.5%

1,085

7.2%

+11.0%

EBITDA

1,316

8.8%

2,123

14.1%

+61.3%

* 単位:百万円

 

前期比0.3%の増収、同125.3%の営業増益
売上高は前期比0.3%増の150億29百万円、粗利は同7.0%増の77億59百万円。
コロナ禍により、鉄スクラップ発生量は前年同期に比べ約10%減少。ただ、鉄スクラップ価格は、鉄スクラップ発生減と中国の旺盛な需要により上期末にかけて急騰し、売上は横ばいながらも粗利は前年同期比7.0%増加した。

 

営業利益は同125.3%増の14億82百万円。
加工・選別を徹底することで有価物の回収量を増やし、併せて処分費の掛かるダストを減容することで処分費を削減。
スクラップ量減少に伴う動力費など変動費の減少もあり、大幅な増益となった。
こうした取り組みにより、新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい体制作りを進めている。

2-3 売上高・粗利内訳

売上高

20/6期 2Q

21/6期2Q

構成比

前年同期比

一般売上

14,124

13,846

83.6%

-2.0%

金属

13,367

13,126

94.8%

-1.8%

自動車

757

719

5.2%

-5.0%

処理売上

2,409

2,613

15.8%

+8.5%

その他売上

91

98

0.6%

+7.7%

連結消去

-1,632

-1,528

-

-

連結売上高

14,992

15,029

-

+0.2%

* 単位:百万円。その他売上は加工費などの売上。

 

粗利

20/6期2Q

21/6期2Q

構成比

前年同期比

一般売上

4,895

5,204

65.9%

+6.3%

金属

4,452

4,714

90.6%

+5.9%

自動車

444

490

9.4%

+10.3%

処理売上

2,409

2,613

33.1%

+8.5%

その他売上

78

85

1.1%

+9.2%

連結消去

-129

-143

-

-

連結売上高

7,254

7,759

-

+7.0%

* 単位:百万円。その他売上は加工費などの売上。。

 

一般売上
コロナ禍において、廃自動車など鉄スクラップ発生量が減少したが、資源相場上昇により売上単価が上昇し、売上は前年同期比で2.0%の減少に留まった。
資源相場上昇、及び廃棄物から選別した有価物の回収を徹底したことにより粗利は同6.3%増加した。

 

処理売上(処理費を受け取るため売上高と粗利が同額)
コロナ禍による巣籠り需要などにより、家電受入台数が増加した。廃棄物においても引き続き好調を維持し、売上は前年同期比8.5%増加した。
市況に左右されず利益率の高い処理売上の拡大に引き続き注力する考えだ。

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年6月

20年12月

 

20年6月

20年12月

現預金

6,696

6,954

仕入債務

860

1,219

売上債権

1,739

2,084

短期有利子負債

6,453

5,724

たな卸資産

675

981

流動負債

9,876

9,282

流動資産

10,116

10,294

長期有利子負債

1,773

1,896

有形固定資産

16,981

16,930

固定負債

2,157

2,312

無形固定資産

33

31

純資産

16,209

16,675

投資その他

1,113

1,014

負債・純資産合計

28,244

28,270

固定資産

18,127

17,976

有利子負債合計

8,227

7,621

* 単位:百万円。
鉄スクラップ相場上昇による売掛金増、事業所建屋建設等による建設仮勘定増の一方、減価償却費の計上で有形固定資産が減少し、資産合計は前期末とほぼ同額の282億70百万円。
短期借入金の減少などで負債合計は前期末比4億39百万円減少の115億95百万円。
利益剰余金の増加により純資産は同4億65百万円増の166億75百万円。自己資本比率は前期末の57.4%から1.6ポイント上昇し59.0%となった。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

20/6期 2Q

21/6期 2Q

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

528

1,934

+1,405

投資キャッシュ・フロー(B)

-360

-383

-22

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

168

1,551

+1,382

財務キャッシュ・フロー

-2,978

-1,293

+1,684

現金及び現金同等物期末残高

4,127

6,496

+2,369

* 単位:百万円。前年同期比増減は千円単位の計算結果を百万円未満を切り捨て。

 

税金等調整前四半期純利益の増加により営業CFフリーCFともにプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2021年6月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

20/6期

構成比

21/6期(予)

構成比

前期比

修正率

売上高

28,375

100.0%

30,557

100.0%

+7.7%

+11.9%

粗利(売上高 - 仕入原価)

14,239

50.2%

15,126

49.5%

+6.2%

+2.7%

営業利益

980

3.5%

1,973

6.5%

+101.3%

+106.2%

経常利益

1,281

4.5%

2,281

7.5%

+78.1%

+94.0%

当期純利益

1,217

4.3%

1,643

5.4%

+35.0%

+114.2%

EBITDA

2,434

8.6%

3,383

11.1%

+39.0%

+39.7%

* 単位:百万円

 

減収減益から増収増益へ業績予想を上方修正

コロナ禍による数量減があったものの、資源相場好況やダスト処理費などのコスト軽減により、利益において計画を大きく上回った上期決算を受け、通期予想を上方修正した。下期においてはコロナ禍による資源相場の不安定な値動きや、鉄スクラップ発生量の回復の遅れなどの不透明さを加味している。
売上高は前期比7.7%増の305億57百万円、営業利益は同101.3%増の19億73百万円の予想。
配当予想も修正した。従来予想25.00円/株から10.00円/株引き上げ35.00円/株の予定。記念配当10.00円/株を含んだ前期の35.00円/株からは普通配当で10.00円/の増配。予想配当性向は36.5%。

 

上期・下期の推移

 

21/6期上期

構成比

前年同期比

21/6期下期(予)

構成比

前年同期比

売上高

15,029

100.0%

+0.3%

15,528

100.0%

+16.0%

粗利

7,759

51.6%

+7.0%

7,366

47.4%

+5.5%

営業利益

1,482

9.9%

+125.3%

491

3.2%

+52.0%

経常利益

1,613

10.7%

+94.2%

668

4.3%

+48.1%

当期純利益

1,085

7.2%

+11.0%

557

3.6%

+133.5%

EBITDA

2,123

14.1%

+61.3%

1,260

8.1%

+12.7%

* 単位:百万円。粗利=売上高 - 仕入原価。

 

1月のスクラップ相場急落および緊急事態宣言の期限延長による影響を加味し、上期と比較して粗利率の低下(51.6%→47.4%)を見込んでいる。
扱い数量が徐々に回復傾向にあるため、上期と比較して変動費(動力費・ダスト処理費等)が全般的に増加する。ダスト処理費は上期12億70百万円に対し下期14億85百万円と2億15百万円増加する。
減価償却費は計画通り推移し、上期より1億27百万円増加の見通し。

 

4.今後の事業展開

「リサイクル技術の向上によるあらゆる廃棄物の再資源化」、「グループ体制の再編による収益の改善」、及び「静脈産業・動脈産業・自治体との連携」の3つの戦略を進めていく。

 

成長戦略 : リサイクル技術の向上によるあらゆる廃棄物の再資源化

高度循環型社会の実現に向けた取り組みであり、ダストの削減と複合素材の再資源化(複合素材⇒単一素材)を目的に3年間で約60億円の投資を計画している。この一環として、樹脂選別回収ラインを新設した他、複合素材の再資源化設備を拡充した。樹脂選別回収ラインの新設により、現在処分委託しているダストから樹脂を選別することが可能になり、ダストも削減できる。加えて、選別した樹脂は販売するため収益にも貢献する。
一方、複合素材の再資源化設備の拡充では、2019年10月に導入したミックスメタル回収ラインを皮切りに、モーターコア回収ラインや色識別ラインの増設、更にはプラスチック選別装置の増設等を行う。これにより、これまで選別しきれていなかった複合素材を単一素材に選別することが可能になる。

 

(同社資料より)

 

成長戦略 : グループ体制の再編による収益の改善

最適な事業所再編に向け、グループ会社8社19拠点をエリアと機能別に整理して再編する。これにより、輸送コストの削減、効率的な人員配置、重複機能の整理による収益増加を図る考えだ。


(同社資料より)

 

成長戦略 :  静脈産業・動脈産業・自治体との連携

静脈産業との連携ではM&Aの推進やアライアンスにより規模・領域の拡大を推進する。特静脈産業は動脈産業に比べ企業規模が小さく、動脈産業との連携には一定の規模が必要であるため、M&Aは有効な手段であると考えている。
また、動脈産業との連携ではリサイクルし易い製品の共同開発に取り組む。
加えて、自治体とも連携し、自治体からの要請(災害ごみ等)に対応できる体制を構築する。

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

好調な上期決算をうけ、通期予想を上方修正。減収減益予想から一転、増収増益予想となった。
ただ、年末年始にかけ急騰・急落した鉄スクラップ価格の推移は気になるところである。また、スクラップ発生量の回復とともに増加する変動費を始めとしたコストについては慎重に見ているという。短期的な視点としては外部環境の変化とともにまずは第3四半期決算状況を注視したい。
一方、中期的な視点からは、3つの戦略により、持続可能な社会実現に直接貢献する重要なプレーヤーとしていかにスピード感を持って成長していくことができるのかを注目していきたい。

 

 

 

参考:SDGsの達成に向けた取り組み

同社グループでは、事業活動がもたらす地球・社会へのインパクト(正・負の影響)を勘案し、SDGsの17の目標、169のターゲットから重要課題を特定し、持続可能な地球社会の実現にグループとして主体的に取り組んでいる。具体的には、「高度循環型社会」の実現を最終目標と位置付け、その実現に向けた3つのアプローチを定義している。

 

 

① 事業を通じて「持続可能な製品ライフサイクル」の確立に貢献する。

 

② 事業に携わる全ての人々の「安心・安全」と「豊かさ」の提供に努めていく。

 

③ 日本の静脈産業が抱える課題解決に挑戦すべく、日本国内の廃棄物処理・リサイクル事業者をネットワークする『静脈産業プラットフォーム構想』を立案。

 

これらを基に、高度循環型社会を支える新しい時代の日本の廃棄物処理・リサイクルインフラの確立をめざしていく。

 

 

(同社資料より)

 

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年10月2日)
基本的な考え方
当社グループ(当社及び当社子会社をいう。以下同じ。)は、金属スクラップ及び廃棄物を取り扱う事業者として、コーポレート・ガバナンスを重要な経営課題と位置づけ、あらゆるステークホルダー及び社会に対する責任を果たすべく、企業価値の持続的な向上のため、経営の健全性、透明性及び効率性に加え、企業活動における企業倫理と法令遵守に基づく行動を最も重要かつ上位の行動規範と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの強化充実に努めてまいります。さらに、当社は金融商品取引所の規定する「コーポレートガバナンス・コード」に賛同し、その理念や原則の趣旨・精神等を踏まえた様々な施策を講じて、コーポレート・ガバナンスの強化に努めていくことを基本方針としております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則4-1.取締役会の役割・責務(1)】 補充原則4-1-3
当社は、代表取締役の後継者計画の策定・運用は重要な課題と認識しており、次期代表取締役や新任取締役候補者の選定のために、指名委員会を設置する手法を含め、慎重に同計画の策定・運用を検討してまいります。

 

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】 補充原則4-8-2
現在、当社の独立社外取締役は2名であり、当社及び経営陣からは双方に対して直接に適宜適切な情報提供等を行っており、また監査役会等とも緊密な連携を保てる人数であることから、現時点においては、筆頭独立社外取締役を選任することは馴染まないと判断しております。

 

【原則4-10.任意の仕組みの活用】 補充原則4-10-1
当社は、独立社外取締役2名及び代表取締役1名で構成される報酬委員会を設置しており、取締役の評価及び報酬を決定しております。また、当社は、今後、独立社外取締役をその構成員に含む指名委員会の設置も検討してまいります。

 

【補充原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 原則 4-11-3
当社の取締役会は毎月開催され、取締役会規程等にしたがった運営がなされ、重要事項の承認決議及び報告が適宜適切に行われております。また、原則として、取締役会開催日の3営業日前までには社外取締役・社外監査役を含む全役員に対し、取締役会資料の送付及び必要に応じた説明がなされております。上記のとおり当社取締役会は実効的に運営されているものと判断しておりますが、今後も、取締役会の実効性をより高めるため、外部機関の助言を得る方法も含め、その実効性を分析・評価していく方法を検討してまいります。

 

<開示している主な原則>
【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、経営企画部をIR担当部署としております。同IR担当部署を主管部署とし、適時適切に、株主や投資家に対する決算説明会等を開催し、株主の要望に応じた対話促進の体制整備・取り組み等を進めてまいります。

 

 

 

 

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