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(6090) ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社

東証マザーズ

ブリッジレポート:(6090)ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ 2021年6月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

 

 

橋爪 克仁 社長

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(6090)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス業

代表取締役社長

橋爪 克仁

所在地

山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2

決算月

6月末日

HP

https://humanmetabolome.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

930円

5,895,800株

5,483百万円

-4.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

0.00円

-

1.69

550.3倍

189.48円

4.9倍

*株価は4/1終値。発行済株式数、DPS、EPSは2021年6月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

914

-43

-40

-61

-10.86

0.00

2018年3月(実)

938

-140

-149

-156

-26.92

0.00

2019年6月(実)

989

-526

-515

-596

-101.92

0.00

2020年6月(実)

1,118

-17

-16

-47

-8.15

0.00

2021年6月(予)

1,200

20

35

10

1.69

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。決算期変更により2019年6月期は15カ月決算。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
以下同様。

 

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社の2021年6月期第2四半期決算概要等をご紹介致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年6月期第2四半期決算概要
3.2021年6月期業績予想
4.両事業の進捗・取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 2021年6月期上期の売上高は前年同期比83百万円増の5億37百万円。メタボロミクス事業において国内・海外ともに営業体制の強化に取り組んだ結果、販売が好調に推移。生産性改善や全社管理コスト見直しに伴う経費圧縮に取り組んだ結果、営業利益は2百万円ながらも、第2四半期(累計)として初めて黒字を計上した。

     

  • 2021年6月期の業績予想に変更は無い。売上高は前期比82百万円増の12億円、営業利益は20百万円と黒字転換の予想。新たな解析メニューの拡充、グローバルでの営業体制の強化等に取組み、連続して売上の伸長を見込む。新型コロナウイルスの影響は、測定試料の遅延等のマイナス要素があるものの、プラス要素(研究活動の活発化)も考えられ、現時点では軽微と見ているが、今後も注視していく。両事業ともに研究・技術開発は緩めることなく継続していくが、解析の稼働率を上げ、生産性向上と適切なコストコントロールにより黒字化を目指す。

     

  • 「過去最高水準の売上高・損失大幅縮小」と目覚ましい結果で着地した2020年6月期決算に次ぎ、21年6月期上期は上期として初めて営業黒字を計上した。受注高が前年同期比で減少した点はやや気になるが、需要拡大が続くメタボローム解析市場における同社の優位性を活かして通期でも初の営業黒字となるか、大いに期待したい。

     

1.会社概要

研究機関や製薬企業等のメタボローム解析受託サービス及びバイオマーカー開発を中心事業として展開する慶應義塾大学発のベンチャー企業。基盤技術であるメタボローム解析技術で世界的に高い評価を受けている。メタボロミクス事業により着実に利益を生み出すと同時に、将来性豊かなバイオマーカー事業への投資および研究開発を進めるというビジネスモデルにより、安定した収益基盤の下で成長を目指している。

 

【1-1 沿革】

2001年慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授は、CE-MS法と呼ばれる生体内の低分子代謝物質(メタボローム)の測定方法を開発した。このメタボローム測定法は、それ以前の測定方法が多くの測定条件を用いるため、代謝物質全体を網羅的かつ効率的に測定することが困難だったのに対し、一斉に、かつ、網羅的に測定できる点で画期的な技術であった。

 

同技術を用いた解析受託サービスの事業化を目指して、曽我教授や同大学の冨田勝教授、慶應義塾大学等が中心となり、2003年7月に同社を設立した。

 

コア技術に関する研究開発を進めつつ、より具体的な事業化の道やビジネスモデルの整備・構築に着手すると同時に、認知度向上と研究開発資金の調達による成長スピードの加速を目指して2013年12月、創立10年目に東証マザーズに上場した。
2019年9月就任の橋爪社長の下、これまで培ってきた技術・研究開発力をベースにしつつ、いかにして自分たちのアウトプットが売上という形で世の中に受入れられるかを強く意識し、収益拡大を目指している。

 

【1-2 企業理念】

同社は自社の存在意義を以下の様に定めている。
「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術をコアとした研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」
また、以下の5つの「共有の価値観」を掲げている。

 

1.お客様と共に歩みます。

私たちはお客様の現在と将来のニーズに応えるべく、お客様の研究開発や仕事のワークフローをよく理解し、ご満足いただけるソリューションを提供していきます。お客様とは情熱を持って接し、誠心誠意尽くします。

2.最先端技術開発と高品質にこだわります。

私たちは、変わらぬベンチャー精神で、常に世界トップの解析・診断技術を開発するために、弛まぬ努力と投資を実施していきます。

3.チームワークを大切にします。

私たちはチームワークの力を最大に発揮できるように、オープンなコミュニケーションを図り、仲間を信頼し、多様な意見を尊重します。また、チームの実力を高めるため、自己啓発に努め、個人のレベルアップを図ります。

4.誠実、公正をモットーとして、行動します。

私たちは良き市民として、顧客、株主、地域社会および家族の信頼に応えられるように、法令を順守し、誠実で倫理的な責任ある行動をとり続けます。

5.子供たちの未来のために貢献します。

私たちは子供たちの未来のために、適切なライフワークバランスを実現します。

 

【1-3 同社を見るポイント】

同社の事業内容は、重要なキーワードである「メタボローム解析」「バイオマーカー」の説明と共に、以下に記しているが、多数の専門的な用語も出てくるため、そこから読み始めると同社に対する理解が進みにくい場合があると思われる。
そこで、まず同社を見る際の3つのポイントについて簡単に触れておく。

 

①社会的存在意義の大きさ
バイオマーカーとは、特定の病気に関する現在の状態を測定する際に指標として使われる生体内の物質で、糖尿病の「血糖」、肝機能障害の「γ―GTP」、痛風の「尿酸」などが代表的。
同社は現在大きな社会問題となっている「うつ病」を中心としたメンタルヘルス分野において、精神状態の評価指標の開発に取り組んでいる。

 

うつ病(気分障害)に苦しむ人は日本で約500万人、世界では約3億2,000万人いると推計され(2015年)、より良い治療法や予防法が強く望まれている。
そのためには、科学的データに基づく客観的指標と検査技術の開発が不可欠で、同社が開発中の精神状態の評価指標は大きな役割を果たすこととなる。
また、同社では、「メンタルヘルス」の他、現時点では「MCI(軽度認知障害)」や「糖尿病性腎症」のバイオマーカーの開発を進めているほか、多様な疾病に関するバイオマーカーの探索を目指している。

 

わが国では医療費の増大が大きな課題となる中で、「予防医療」「個別化医療」の重要性が増しているが、同社はバイオマーカーの開発を通じた社会的な損失の軽減や医療体制への貢献を目標として掲げており、その社会的な存在意義は極めて大きい。

 

②高い技術力
生体内の代謝物の挙動を網羅的に調べることを「メタボローム解析」といい、バイオマーカーの探索等にも用いられ、同社はこの技術で高く評価されている。
現在同社が開発に取り組むうつ病バイオマーカーは、あくまでも一例であり、複数のバイオマーカーの研究開発に取り組んでいる。メタボローム解析技術により今後も、様々な新しいバイオマーカーを発見・開発することが期待される。

 

③安定したビジネスモデル
現時点での主力事業は売上の大部分を占める「メタボロミクス事業」。研究機関や製薬会社等の研究開発を支援する事業であり、前2020年6月期で売上1,114百万円、営業利益457百万円と、着実に利益を上げている。
一方、中長期的に大きな成長が期待される「バイオマーカー事業」はまだ規模も小さく、損失の状況だが、メタボロミクス事業で生み出した利益を、バイオマーカー事業の成長のための投資に回すという、バランスのとれたビジネスモデルが既に構築されている点は、収益化に苦労している企業が多いバイオベンチャーの中でも大いに注目される。

【1-4 メタボローム解析とバイオマーカー】

同社の事業内容の概要を理解するには、「メタボローム解析」「バイオマーカー」という2つのキーワードについて一定程度の理解をしておく必要がある。

 

<メタボローム解析とは?>
人間をはじめとする生物は、筋肉や臓器、骨といった多様な機能を持つ器官から成り立つが、こうした器官はアミノ酸や脂質、核酸などの「代謝物質(メタボライト)」を共通の構成因子としており、代謝物質は全ての生命活動において欠かせない役割を担っている。

 

代謝物質は食事により供給され、運動など日々の活動の中で消費される。その機能に応じて体内や細胞内を移動し、多くの化学反応によって新しい物質へと作り替えられていく。
このような化学反応のことを「代謝(メタボリズム)」と呼ぶ。体温を調節したり、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、食べ物を消化・吸収したり、古い細胞を新しい細胞に生まれ変わらせたりするのも、全て代謝の働きによるもの。
この新しい物質への作り変え「物質変換」は代謝経路という一定の規則により成り立っている。

 

人間の体の仕組みを探るための手法として有名なものが、遺伝子の解析を行う「ゲノミクス」である。
現在、生物の遺伝子情報(DNAの塩基配列)は自動的な解読およびコンピュータによる解析が可能になり、ヒトゲノムに関しては、ほぼ全ての情報の解読が終了したが、遺伝子の役割と病気との関係は解明できていない部分がまだまだ沢山ある。
そこで、人間の身体と病気との関係を解明するには、ゲノム解析による遺伝子に伴う情報のみでなく、代謝物質までを調査する事が必要であると考えられるようになり、全ての代謝物質を対象として解析を行う「メタボロミクス(メタボローム解析)」の研究、利用が盛んになっている。

 

メタボローム解析は主として以下のような分野で活用されている。

大学などの研究機関における、疾患メカニズムの研究

製薬企業における探索・薬理研究や毒性研究

発酵を利用した物質生産を行っている企業における生産性の向上

食品企業における成分分析や機能性の探索・確認

 

<バイオマーカーとは?>
人間の身体には、様々な機能を精緻に制御して、内的又は外的な影響を最小限にして、身体の状態を一定に保つ仕組みである「恒常性」が備わっている。

 

例えば、体温や心拍数が一時的に変化しても元に戻るという事などが「恒常性」の一例である。

 

しかし、病気に罹ってこの恒常性に異常が生じると、代謝物質等にも影響が及び、健康の時とは異なる状況が生まれる。この代謝物質等をバイオマーカーと呼び、バイオマーカーを測定することにより、特定の疾患に対する現在の状況を客観的に評価することができる。
バイオマーカーとして広く知られているものとしては、膵臓の機能指標となる血糖や肝機能の指標となるγ-GTP、腫瘍マーカーとして前立腺がんのバイオマーカーPSAや膵臓がんのバイオマーカーCA19-9などがある。
バイオマーカーは、病気に罹った状況をモニターすることを目的に古くから研究されてきたが、より高感度で一度に多くの物質を分析できる新しい方法が生み出され、様々な新しいバイオマーカーの研究成果が相次いで発表されている。メタボローム解析技術により、探索が進んでいるバイオマーカーには、以下のようなものがある。

 

疾患の罹患を診断するバイオマーカー

治療の効果を評価するバイオマーカー

投薬による副作用を予測するバイオマーカー

投薬の効果を予測するバイオマーカー

 

【1-5 事業内容とビジネスモデル】

同社の事業は「メタボロミクス事業」「バイオマーカー事業」の2つ。

 

「メタボロミクス事業」では、先端的な基盤技術であるCE-MS法の特長を研究機関や製薬・食品会社等に普及させながら研究支援から産業支援へ市場の拡大を図り、メタボロミクス事業を国内外へ展開し、収益基盤を確保している。

 

一方「バイオマーカー事業」は、中長期的な拡大戦略の成長エンジン。
現時点では規模も小さく損失を計上しているが、メタボロミクス事業で生み出した利益を投資し、メタボロミクス解析で確立させたバイオマーカー探索技術をベースに革新的な検査技術等の創出を目指している。

 

こうした両事業の成長を通じて、今後その重要性が益々増大する予防医療・個別化医療への貢献を目指している。

 

(同社資料より)

 

①メタボロミクス事業
「2020年6月期 売上高 1,114百万円、営業利益 457百万円」
製薬会社や食品会社等の民間企業、および大学や公的研究機関などを顧客とし、メタボローム解析を受託している。顧客は、解析する試料を同社へ送付。同社は試料から代謝物質の抽出、CE-MS法によるメタボローム解析等を行った後、試験結果を報告書として顧客に納品する。

 

メタボローム解析サービスで得られた代謝物質データは、製薬企業や大学、研究所では基礎生物学研究から薬剤効果及び毒性の評価等、食品企業では発酵プロセスの解析や機能性食品の機能評価等に用いられ、顧客の研究開発の進展に貢献している。近年では、医療、食品のみでなくヘルスケア関連企業の関心も急速に高まっている。創業以来総試験数は5,540件(2018年度現在)と他に類を見ない豊富な実績を誇っていることに加え、品質の面でも顧客から高い評価を得ている。

 

◎海外市場への展開
メタボローム解析受託サービスをアジアで展開するため、2011年6月に、韓国Young In Frontier Co., Ltd.(現 A Frontier Co., Ltd.)と韓国内におけるメタボローム解析サービス等の独占的販売権供与契約を締結した。また、シンガポール、香港等、韓国以外のアジア地域の開拓にも注力している。アジア地域以外への取り組みとしては、北米市場への展開のため、2012年10月に、医学研究の集積地である米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市に、販売子会社Human Metabolome Technologies America, Inc.(HMT-A)を設立し、販売活動を展開している。
また、海外展開を一層加速させるため、2017年5月には、HMT-Aを通じて、欧州(オランダ)に現地法人(孫会社)「Human Metabolome Technologies Europe B.V.」を設立した。

 

②バイオマーカー事業
「2020年6月期 売上高 4百万円、営業損失 161百万円」
疾患の早期診断や治療効果をモニタリングする際に重要な役割を果たすバイオマーカーに関する事業を将来の成長事業と位置づけ、大学や検査企業等との共同研究開発を通じて、メタボローム解析技術を用いた新たなバイオマーカー探索や検査薬等の研究開発を進めている。

 

加えて同事業の早期収益化を目指し、メンタルヘルス関連(精神状態評価)やExosome(エクソソーム)関連において新たな事業ポートフォリオ構築にも取り組んでいる。

 

◎バイオマーカー事業の例:うつ病バイオマーカー
同社では、特にうつ病など客観的診断が難しい精神疾患(気分障害や精神障害等)や、肝炎、糖尿病などを含んだメタボリックシンドローム等社会問題化している疾患とその関連疾患に焦点を当てて研究開発を進めているが、現在の代表的なものが、「うつ病」のバイオマーカーである。

 

大うつ病性障害の診断は、米国精神医学会の診断基準や世界保健機構(WHO)の基準に基づいて診断されるが、どちらの手法も医師や患者の主観が反映されているケースが多く、他の病気と異なり客観的な指標に基づく診断法が普及していない。そこで、同社は、独立行政法人国立精神・神経医療研究センターとの共同研究により、大うつ病性障害の血液バイオマーカーを発見した。
患者と健康者約30名ずつの血液を収集し、CE-MS法を用いたメタボローム解析により成分の比較を行った結果、血漿中のPEA濃度が、大うつ病性障害患者で固有に低下していることが分かった。
その後の解析により、PEAが精神疾患の中でも大うつ病性障害に特異的なバイオマーカーであることに加え、大うつ病性障害が治癒すると健康基準値まで戻ることも分かっており、2018年には公益社団法人日本精神神経学会の学術雑誌に論文も掲載されている。

 

2017年6月現在、うつ病のバイオマーカーの測定法等に関する「基本特許」は日本・米国・中国で登録済み。出願済みだった欧州においては特許査定されている。エタノールアミンリン酸(PEA)の測定方法に関する特許は、日・米・中・欧4局すべてで登録済みとなっている。

 

◎疾病バイオマーカーの発掘
バイオマーカーの発見において以下の3つのコネクションや制度を活用し、バイオマーカー開発パイプラインの拡充に努めている。

 

<受託解析もしくは共同研究先とのコネクション>
大学や企業から、バイオマーカー探索関連試験を受託している。また、試験実施の前後で共同研究の提案を受けることもある。

 

<研究者や医師への直接提案>
同社の研究員が、疾病バイオマーカー開発の研究計画を直接研究者や医師に提案し、医師の承諾及び所属機関と共同研究契約を締結の上、試験を実施している。対象となる疾病は患者数、同社解析技術の特長、社会貢献度、バイオマーカーの必要性等から選択している。

 

<メタボロミクス先導研究助成制度>
同社ではメタボローム解析の有用性を広く社会に利用してもらうとともに、若手研究者へのメタボローム解析助成制度(HMTメタボロミクス先導研究助成制度)を2009年より実施している。世界各国の研究活動従事者から募集した研究テーマから、優れた提案に対し、無償でメタボローム解析結果を提供して研究を支援している。この研究成果には、バイオマーカー発見につながる研究も含まれ、感染症関連脳症バイオマーカーのように、同社と共同研究に発展した例もある。

 

2.2021年6月期第2四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

20/6期2Q

21/6期2Q

増減額

売上高

454

537

+83

営業利益

-123

2

+125

経常利益

-119

-2

+117

当期純利益

-118

-7

+111

*単位:百万円

 

メタボロミクス事業が好調で増収、第2四半期初の営業黒字を計上
売上高は前年同期比83百万円増の5億37百万円。メタボロミクス事業において国内・海外ともに営業体制の強化に取り組んだ結果、販売が好調に推移。
生産性改善や全社管理コスト見直しに伴う経費圧縮に取り組んだ結果、営業利益は2百万円ながらも、第2四半期(累計)として初めて黒字を計上した。

 

(2)主要セグメント別動向

◎メタボロミクス事業

 

20/6期2Q

21/6期2Q

増減額

売上高

453

535

+82

営業利益

127

181

+54

*単位:百万円

 

WEBを活用した営業活動を展開したほか、受注拡大に向けた取り組みを継続した。国内においてはアカデミア分野での売上が増加し、海外においても米国製薬分野での売上が伸長した。
増収および生産性改善により増益となった。

 

◎バイオマーカー事業

 

20/6期2Q

21/6期2Q

増減額

売上高

1

2

+1

営業利益

-79

-43

+36

*単位:百万円
PEA(うつ病バイオマーカー)の研究用検査受託の拡大や測定メソッドの開発などを継続した。また、新たなパイプラインやバイオマーカー関連ビジネスの事業開発や研究等にも継続して取り組んだ。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

20年6月末

20年12月末

 

20年6月末

20年12月末

流動資産

1,411

1,223

流動負債

300

125

 現預金

1,119

867

 未払金

80

29

 売上債権

66

179

固定負債

22

55

 有価証券

100

100

 リース債務

9

43

固定資産

126

170

負債合計

322

181

 有形固定資産

108

152

純資産

1,215

1,212

 無形固定資産

6

6

 株主資本

1,099

1,092

 投資その他の資産

11

11

負債純資産合計

1,538

1,393

資産合計

1,538

1,393

 

 

 

*単位:百万円

 

現預金の減少等で資産合計は前期末比1億44百万円減の13億93百万円。未払金の減少等で負債合計は同1億41百万円減少の1億81百万円。純資産はほぼ変わらず。
この結果、自己資本比率は前期末の72.6%から80.0%へ7.4ポイント上昇した。

 

3.2021年6月期業績予想

(1)連結業績予想

 

20年6月期

21年6月期(予)

増減

売上高

1,118

1,200

+82

営業利益

-17

20

+37

経常利益

-16

35

+51

当期純利益

-47

10

+57

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

業績予想に変更無し。売上高の持続的成長、黒字転換を目指す。
業績予想に変更は無い。売上高は前期比82百万円増の12億円、営業利益は20百万円と通期でも黒字転換の予想。
新たな解析メニューの拡充、グローバルでの営業体制の強化等に取組み、連続して売上の伸長を見込む。
新型コロナウイルスの影響は、測定試料の遅延等のマイナス要素があるものの、プラス要素(研究活動の活発化)も考えられ、現時点では軽微と見ているが、今後も注視していく。
両事業ともに技術・研究開発は緩めることなく継続していくが、解析の稼働率を上げ、生産性向上と適切なコストコントロールにより黒字化を目指す。

 

4.両事業の進捗・取り組み

(1)メタボロミクス事業

①外部環境
メタボロミクスが従来の大学や研究室などアカデミア向けの技術から、産業界の技術に進展している。
そうした中で、機能性食品などの新しい健康食品や、スポーツ、食品、睡眠、ストレス等をキーワードとするヘルスケア関連市場が拡大している。健康状態を把握するメタボロミクスの有用性に関心を向け、ヘルスケア関連の新規事業開発を志向する企業が増加しており、新しいマーケットが創出されつつあり、新規顧客獲得の機会も増大している。
新型コロナウイルス感染症拡大もヘルスケアへの関心を高める一つの要素となっている。

 

また、医薬品開発の現場においても、腸内細菌の研究、認知症やアルツハイマー病などの精神神経疾患に対する早期発見や診断および治療法開発、難治性疾患に対する医薬品を含めた医療技術の実用化、抗がん剤コンパニオン診断薬用バイオマーカー探索など、様々なニーズが増大しており、メタボロミクスの利用が一段と有効視され始めている。
一方海外へ目を向けると、米国市場は日本の5倍程度の規模であり、国内外ともに高成長が期待できる。

 

②2021年6月期の取り組みと上期の進捗
◎主な取り組み
「営業強化」「新メニューの拡販」「解析キャパシティの向上」に取り組む。

 

*営業力強化
新型コロナウイルスの影響もあり、WEBを活用した営業活動を強化。ホームページの一部をリニューアルしたほか、研究者ニーズ開拓のためにウェビナー開催に注力している。

 

*新たな解析メニューの拡販
高感度・網羅性が特徴のメニューの拡販や脂質解析メニューを拡充を図る。

 

*解析キャパシティの向上
測定時間の短縮を図る。

 

◎売上・受注状況
分野別ではアカデミア分野が、また地域別では米国製薬分野での売上が伸長し、新解析メニューの拡販に取り組んだ。
受注高は前年同期の7億34百万円から17%減少の6億3百万円。下期は新規案件および遅延している案件の受注獲得に注力する。

 

(2)バイオマーカー事業

①開発領域
今後さらに重要性が増す予防医療・個別化医療への貢献を目指し、以下2領域での研究や開発を進めている。

領域

具体的な取り組み

①予防・未病 こころとからだの健康指標開発

*メンタルヘルス

*疾病リスク予測

②バイオマーカー探索の研究支援

*PEA研究用測定受託

*Exosome精製キット販売、精製受託

 

②取り組み・進捗状況
◎予防・未病 こころとからだの健康指標開発
人々のQOL(Quality Of Life)向上に寄与すべく、健康指標の開発に注力している。
*メンタルヘルス
精神状態の評価指標の開発としてマルチマーカー(複数因子)への取組みを加速しているほか、予防・モニタリングに焦点を当てた開発を継続中である。
複数大学との共同研究を引き続き行っており、事業化に向けた検討を開始した。

 

*認知症予防としての軽度認知障害(MCI)バイオマーカー
日本の65歳以上の人口のうち、認知症有病者は全体の15%にあたる約460万人で、全体の13%にあたる約400万人が軽度認知障害(MCI)と呼ばれる患者である。軽度認知障害(MCI)とは、正常と認知症の中間の状態で、物忘れはあるが、日常生活には支障がない。ただ、MCI患者のうち年間10~30%が認知症に進行している。一方で、正常なレベルに回復する患者もおり、5年後に38.5%が正常化したという報告もある。認知症有病者数は2050年には日本で800万人、全世界で1.3億人に達するとも見られており、その抑制は全世界的な課題でもある。

 

HMTは、弘前COIに参画しているが、関連する「岩木健康増進プロジェクト」で多項目ビッグデータを活かした弘前大学と東北大学の「COI若手連携研究ファンド(認知症の予防と早期発見のためのビッグデータ多層解析)」の研究過程で発見されたMCIマーカー候補について、両大学と特許共同出願のための契約を締結した。
弘前大学大学院医学研究科に開設した共同研究講座「メタボロミクスイノベーション学」で研究開発を行っている。同講座では、岩木健康増進プロジェクト等の生体試料から得られた超多項目ビッグデータとメタボロミクスを主としたオミックスデータを解析し、機械学習を用いたマルチマーカーによる健康状態予測モデル、将来の疾患リスク予測モデルの構築を図っており、社会実装に向けた開発を継続している。
多検体でのマーカーの検証を実施中で、認知症発症前の早期段階からの効果的な予防および認知症の超早期診断法の確立に繋げる考えだ。

 

*糖尿病性腎症の早期診断用バイオマーカー
国内大学との共同研究により糖尿病性腎症の早期診断用バイオマーカーの探索に取り組んでおり、同社が保有する糖尿病性腎症バイオマーカーの検証を行っており、学術的成果の論文化を検討している。

 

◎バイオマーカー探索の研究支援
PEA研究用測定受託サービスにおいて、測定費用の削減への取組みを実施し、研究検査の更なる普及を目指している。また、バイオマーカーの宝庫として注目されるエクソソーム関連分野の研究開発支援を行うために、2019年より同社が独占販売を行っているエクソソーム精製試薬キット「ExoIntact™ 」(開発は有限会社シリコンバイオ)を利用したエクソソーム精製受託サービスを開始しており、PEA測定技術の改良およびエクソソーム精製キットの改良を継続している。

 

5.今後の注目点

「過去最高水準の売上高・損失大幅縮小」と目覚ましい結果で着地した2020年6月期決算に次ぎ、21年6月期上期は上期として初めて営業黒字を計上した。
受注高が前年同期比で減少した点はやや気になるが、需要拡大が続くメタボローム解析市場における同社の優位性を活かして通期でも初の営業黒字となるか、大いに期待したい。

 

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

5名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2020年9月30日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術をコアとした研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献することを企業理念としております。当社は、この企業理念の実現と企業価値向上のため、経営全般の監督機能を強化し、内部統制システムによる業務執行の有効性、効率性、遵法性のチェック・管理を通じて、経営の健全性及び透明性を高め、経営の効率化に取り組んでおります。また、「共有の価値観」を全役員及び従業員へ周知し、長期的な観点から法令遵守を徹底し、各ステークホルダーと調和した行動を促しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記載している。

 

 

 

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