ブリッジレポート
(6094) 株式会社フリークアウト・ホールディングス

東証マザーズ

ブリッジレポート:(6094)フリークアウト・ホールディングス 2021年9月期第1四半期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

 

本田 謙 社長 Global CEO

株式会社フリークアウト・ホールディングス(6094)

 

 

会社情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス業

代表者

本田 謙

所在地

東京都港区六本木6-3-1

決算月

9月末日

HP

https://www.fout.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

928円

16,522,339株

15,332百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

-

-

278.22円

3.3倍

*株価は2/12終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年9月(実)

4,217

96

95

65

5.23

0.00

2016年9月(実)

5,792

358

561

394

30.72

0.00

2017年9月(実)

12,019

601

1,208

842

64.12

0.00

2018年9月(実)

14,745

-532

307

25

1.94

0.00

2019年9月(実)

21,709

-1,270

-1,497

-3,512

-

0.00

2020年9月(実)

24,878

211

-221

-669

-

0.00

2021年9月(予)

27,000

200

100

未定

-

0.00

* 予想は会社予想。単位は百万円。2016年9月1日付で1:2の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。

 

 

株式会社フリークアウト・ホールディングスの2021年9月期第1四半期決算概要などを報告します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年9月期第1四半期決算概要
3.2021年9月期業績見通し
4.新・中期計画の概要
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 最適な消費者に最適なタイミングで最適なメッセージを伝えたいという広告主の課題を、AI(人工知能)を用いた先端テクノロジーで解決するマーケティング・テクノロジー・カンパニー。広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム「DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)」の運営やOEM提供を行う「DSP事業」が事業の中心。「最大級のデータ保有量」、「良質な広告掲載面の確保」、「優れたアルゴリズム構築のための積極的な投資」などが大きな強み・特長。広告に留まらず様々な分野でテクノロジーによって「人に人らしい仕事を」提供し、創造的な社会づくりに貢献する事を経営理念としている。

     

  • 21/9期1Qは3.6%増収、EBITDAは49.5%増。いずれも過去最高となった。国内ではプレミアム媒体支援事業が成長、主力のDSPも回復・再成長。海外では、広告需要期にあたり大きく収益貢献した。各利益は通期予想を大幅に上回っているものの、新型コロナウイルスや為替の影響を考慮し、修正は見送った。今期は中期計画初年度にあたるが、23/9期に売上高450億円、EBITDA30億円を目指す。

     

  • 中期計画初年度の1Qからロケットスタートを切った印象。これまで苦戦した局面でも高い成長性を垣間見せていたが、今回は実績で形にした。一見増収率は鈍いが、インティメート・マージャーの連結子会社除外や前年同期に投資事業で計上した売上の反動を加味すると18%増収と試算できる。繁忙期に当たる海外で大幅に伸びたことがその主因だが、国内もしっかり回復基調。2Qはさすがに、売上・利益とも勢いは鈍化しそうだが、それでも通期予想は保守的。頼もしいのは2Qが鈍化したとしても、中長期的な成長性は一段と増していることにある。特に、Playwireの今後の動向に注目したい。米Nasdaqへの上場も視野に入れており、実現すれば一気に市場で脚光を集める可能性もある。

     

     

1.会社概要

最適な消費者に最適なタイミングで最適なメッセージを伝えたいという広告主の課題を、AI(人工知能)を用いた先端テクノロジーで解決するマーケティング・テクノロジー・カンパニー。
広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム「DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)」の運営やOEM提供を行う「DSP事業」が事業の中心。
「最大級のデータ保有量」、「良質な広告掲載面の確保」、「優れたアルゴリズム構築のための積極的な投資」などが大きな強み・特長。
広告に留まらず様々な分野でテクノロジーによって「人に人らしい仕事を」提供し、創造的な社会づくりに貢献する事を経営理念としている。

 

【1-1 沿革】

日本よりも1年ほど先行して米国でRTB(Real-Time Bidding)という、インターネット広告の表示回数ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法が一般化していたころ、日本でもこの手法を導入して広告分野におけるGame Changeを起こすことを目指してエンジニアでありヤフー株式会社で広告ビジネスに携わった経歴を持つ代表取締役Global CEO本田謙氏が2010年10月、同社を設立。グーグル株式会社で同じくエンジニアとして広告製品を担当していた佐藤 裕介氏(前代表取締役社長、現執行役員 新領域事業管掌)も創業に参画し、2011年1月、日本国内で初めてRTB技術の商用化を実現した。
新しいプロダクトに対する感度が高いという広告業界の特性もあり、リリース直後から利用する企業は多数に上ると同時に顧客の満足度も高く、売上、利益は順調に拡大。2014年6月、設立から4年弱で東証マザーズに上場した。
2017年1月には意思決定のスピードアップや、よりダイナミックな事業展開を目指し持株会社体制に移行した。

 

2010年

10月

同社設立

2011年

1月

日本初のRTB技術を用いたDSP「Freak Out」をリリース

2012年

5月

スマートフォン向けサービスを開始

2013年

6月

合弁会社(現連結子会社)「(株)インティメート・マージャー」設立

2013年

10月

YouTubeにホスティングされた動画を利用した動画広告配信サービスを提供開始

12月

LINE株式会社と合弁会社M.T.Burn株式会社を設立

2014年

6月

東証マザーズに上場

6月

M.T.Burn(株)がネイティブ広告プラットフォーム「AppDavis(現 Hike)」をリリース

2016年

1月

M.T.Burn(株)の「Hike」とRTB接続を開始

5月

モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」をリリース

2017年

1月

持株会社体制へ移行し商号を「株式会社フリークアウト・ホールディングス」へ変更

3月

Gardia(株)設立、Fintec領域へ参入

2018年

12月

伊藤忠商事との資本業務提携を発表

2019年

1月

国内・海外広告事業を統合

 

Playwire, LLC を連結子会社化

 

5月

M.T.Burn(株)を解散

 

10月

子会社インティメート・マージャーが東証マザーズに上場

2020年

11月

インティメート・マージャーが子会社から持分法関連会社に移行

 

【1-2 経営理念など】

『Give People Work That Requires A Person.』、『人に人らしい仕事を』を経営理念として掲げている。

 

昨今、DXというキーワードの流行により、企業はより一層のデジタルシフトが求められるようになったが、フリークアウトとしては、IT企業がテクノロジーを駆使して顧客の仕事効率を高めることは、当たり前のことと考えている。

 

人ができることを機械に置き換えるのがDXとするなら、フリークアウトが目指すのは、人にはできなかったことを機械が行う、つまり「新しい仕事の創造」であると再認識させるきっかけとなったのが、この言葉の流行だった。
「人に人らしい仕事を」とは、DXをDXで終わらせないための同社のミッション。

 

沿革にあるように、インターネット広告のリアルタイム取引を日本で初めて事業化し、広告取引を人間の手作業からコンピュータ間の取引に変えていくことを目指したのが創業の経緯。

 

テクノロジーによって、広告主は消費者一人ひとりとコミュニケーションを取ることが可能になり、従来のマス広告では不可能だった真の 1to1 マーケティングに近づく。
また同時に、広告業に従事する「人」たちは、取引に関する雑務から解放され、より人間らしいコミュニケーションのプランニングや、共感を起こすメッセージの作成など、クリエイティブな仕事に集中できるようになる。

 

【1-3 インターネット広告市場概要】

同社の事業内容を理解するためには、広告主やメディアのニーズと広告市場の変化、テクノロジー、メインプレーヤーといった「インターネット広告」運営を取り巻く環境、構成要素等について一定の知識を有していることが欠かせない。以下、主要ポイントについて概要を説明する。

 

≪広告市場の変化≫
従来の広告市場、特にテレビや新聞といったマスメディアを利用した広告ビジネスにおいては、サプライサイドであるメディアや広告代理店にとっては在庫の独占性や排他性が事業展開するうえで最も重要な要素であった。
大手広告代理店は限りのあるTVのスポット枠をほぼ完全に押さえることで広告主に対する価格リーダーシップを握り、メディアとともに大きな利益を生み出してきた。
ところがTVや新聞によるマス広告は、右肩上がりの経済成長の終焉と、従来のメディアと比較した際のコストの安さや双方向性を大きな特徴とするインターネット広告の登場によりその需要は縮小する傾向にある。

 

日本の総広告費用が過去10年間でほぼ横ばいの中、2005年には3,777億円であったインターネット広告費は地上波テレビの2割弱、新聞の4割弱であったが年平均成長率12%超で拡大を続け、2019年には2兆1,048億円となり、地上波テレビ(18,612億円)を初めて上回った。(「電通 日本の広告費 2019」より)

 

一方で、より効果的な広告を求める広告主のニーズはますます増大しており、いかにして「最適な消費者に」、「最適なタイミングで」、「最適なメッセージ」を届けるかが大きな課題となっている。

 

こうした中、「アドエクスチェンジ」と呼ばれる、広告枠のオープンなマーケットプレイスが登場してきた。これは、広告主、メディア、広告代理店などが広告枠を自由に売買することができるまさに「市場」であり、広告主にとっては、より高い広告パフォーマンスを求めて最適な広告枠を買うことが極めて重要になってくるわけだが、それを実現するためのカギとなるテクノロジーの一つが、同社が日本国内で初めて商用化を実現した「RTB」である。

 

≪RTBによる広告枠のリアルタイム取引≫
RTB(Real-Time Bidding:リアルタイムビッディング)とは、インプレッション(広告の表示回数)ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法。

 

RTBが登場するまで一般的であった「純広告取引」は、ディスプレイ広告(ウェブサイトに表示される画像やFlash、動画などを用いた広告)の枠を、メディアや広告代理店がインプレッション保証や期間保証を付けてパッケージ販売するいわばコースメニュー。
これに対してRTBは、ディスプレイ広告を1インプレッションごとにアクセスしてきたユーザーの属性を解析し、「特定の属性を持ったユーザーへの広告」として1インプレッションごとに入札方式で売買を行なうシステムである。

 

RTB技術の活用により、広告主は従来の特定サイトの広告枠を予め決定された価格で購入する純広告や、検索キーワードに関連した検索連動型広告では難しかった潜在的な消費者層の開拓や、興味・関心をもってもらうための効果的な広告配信による認知施策が可能となる。

 

(RTBの流れ)

インターネットユーザーが広告枠のあるウェブサイトに来訪した瞬間に、広告枠を管理するアドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワーク(※)などから、複数のDSP事業者に来訪ユーザーの情報と広告枠情報(入札リクエスト)が送信される。

各DSP事業者はデータベースを解析し、入札を実行する。

広告枠のオークションの結果、競り勝ったDSP事業者は広告枠の配信を行う。

同社では、オークションが成立した瞬間にSSP等から広告枠を仕入れ、広告枠の入札価額に一定のマージンを載せて販売価額を決定し、広告枠の配信を行う。

(※)アドネットワーク:複数の媒体サイトの広告枠を束ねてネットワーク化し、広告販売や広告配信を一元的に管理して収益化を実現するもの。

 

「RTB」には広告枠の需要サイドのシステムである「DSP」と、供給サイドのシステムである「SSP」が主要プレーヤーとして登場する。

 

(DSP「Demand Side Platform:デマンドサイド・プラットフォーム」とは?)
広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム。

 

具体的には、広告主や広告代理店が、RTB技術を活用し独自のアルゴリズムにより、アドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワークなどに対して、ユーザーの広告1インプレッションごとに最適な自動入札取引・広告配信を行うプラットフォームである。
広告主はあらかじめDSPを通じて広告を見て欲しい対象者の属性、入札の上限額を決めておき、広告主の要望にマッチするユーザーが見つかった場合は瞬時(およそ0.05秒程度)に入札が行われ、最も高い価格を提示した広告が媒体に配信される。

 

RTBが登場するまでは、広告主は、ターゲットであるユーザーが閲覧すると思われるサイトを想定して、特定の広告枠を予め決められた価格で買い付けていた。しかし、DSPを用いることにより、広告主は広告を配信したいユーザーをリアルタイムで判断し、入札による適切な価格で広告を配信することができるため、広告主は広告の費用対効果を高めることが可能である。

 

同社は自社開発のDSPである「Red」や「FreakOut」の販売やOEM供給を行う「DSP事業」をメインビジネスとしている。
常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことで「より賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。(詳細は【1-6 特徴・強み】を参照)

 

(SSP「Supply Side Platform:サプライサイド・プラットフォーム」とは?)
メディア側から見た広告効果の最大化を支援するシステム。メディアが広告枠を管理及び販売する際に使用するプラットフォームであり、DSPのリアルタイムな入札に対応する技術を有している。

 

このように、RTB技術をベースにして従来の純広告では困難であった最適化を自動かつ瞬時に行う費用対効果に優れた広告は「運用型広告」と呼ばれ、インターネット広告全体を上回るスピードで成長を続けている。
2019年には日本のインターネット広告の79.8%が運用型広告となっている。

(電通「日本の広告費 2019」を基に当社作成)
(※)運用型広告:膨大なデータを処理するプラットフォームにより広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法の事。検索連動型広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、新しく登場してきたDSP、アドエクスチェンジ、SSPなどが典型例。枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは運用型広告に含まれない。

 

また、同社が日本国内で商用化したRTBは、市場規模は米国の10分の1以下であるが、急成長を遂げている。

 

このように、他の媒体と比べて高い伸びを見せるインターネット広告の中でも特に伸長著しいRTB技術をベースとした「運用型広告」が同社のフィールドであり、旺盛な需要を確実に取り込んで業容を拡大させている。

 

加えて、後述するように同社では東南アジアを中心とした海外事業の拡大にも積極的に取り組んでいるが、東南アジアにおいても台湾を筆頭に各国において広告市場におけるデジタル広告費の割合は上昇傾向にあり、マーケットは継続的に拡大している。

 

【1-4 事業内容】

1.事業セグメント
事業セグメントは、「広告・マーケティング事業」、「その他事業」、「投資事業」の3事業。20/9期まで「DMP事業」を行っていたインティメート・マージャーは連結から除外された(現在は持分法適用関連会社)。

 

① DSP事業
◎ビジネスモデル
SSP・アドエクスチェンジおよびメディアを通じて広告枠を仕入れ、広告主・広告代理店に対してインターネット広告枠を提供。一部広告代理店に対してはDSPプラットフォームのOEM提供を行っている。

(会社側資料より)

 

◎主要プロダクト、サービス
広告主の自社サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データなどのビッグデータを用いて、DSP「Red」、「FreakOut」による広告配信効果の最大化を追求している。

 

「Red」、「FreakOut」は広告主にとって有望な見込顧客にターゲティングするために、多様な配信手法を備えている。
具体的には、「知らない人(潜在層)」には知ってもらうための「オーディエンス拡張」等の配信手法を用いた潜在層ターゲティング、「既に知っている人(興味層)」には欲しいと思ってもらうための「キーワードマッチ」等の配信手法を用いた興味関心層ターゲティング、「欲しいと思った人(顕在層)」にはコンバージョン(購入、資料請求、会員登録など実際の行動)してもらうための「リターゲティング」等の配信手法を用いた顕在層ターゲティングを行い、消費者の行動プロセスに応じてターゲティングした広告配信を実施している。

 

プロダクト、サービス

概要

Red

生活者のインターネット利用シーンがPC からスマートフォンへ移行していることをふまえ、スマートフォン領域における広告効果の最大化を目指し、最先端の広告配信最適化技術の適用、優良な独自広告枠在庫の確保を実現したモバイル特化型のマーケティングプラットフォーム。2016年5月リリース。

(特徴)

◇ 最先端の独自機械学習エンジンを搭載

◇ 業界最大級、数百億インプレッション規模のモバイル・インフィード広告枠在庫の確保

◇ 月間 1,300 億インプレッションに及ぶ業界最大級のモバイル広告枠在庫の確保

 

モバイルメディア上で、広告主が効率的にターゲット顧客にリーチすることを可能にするプラットフォームを日本、東南アジア、中近東エリアなどグローバルに展開していく。

Red for Publishers

プレミアムメディア(大規模なトラフィックを有する媒体)や広告主を対象として、販売支援、オペレーション支援、開発支援、プロジェクト管理面から独自の広告プラットフォーム立ち上げを支援する技術および、それに付帯するサービスパッケージ。2017年9月リリース。

媒体社は広告配信による収益最大化を「Red for Publishers」に委ね、本来リソースを注ぐべきコンテンツの充実や集客に専念することが可能となる。

広告主も、優良な媒体社の広告枠へDSP「Red」が優先的に接続されることによって、従来からの「Red」の目的であった広告価値の最大化のさらなる追求が可能となる。

 

マネタイズとしてはDSPとしての売上に加え、プレミアムメディアから受領する「広告配信システム利用料」。後者は100%が粗利となるため収益貢献大。

Freakout

2010年、国内初のDSPとして開発された。ブランド認知促進から販売促進までさまざまな目的に利用されている。

Poets(ポエット)

コンテンツ UI と親和性の高い広告フォーマットを活用した、ユーザー体験を損なわずに広告体験を提供することができるプレミアムアドプラットフォーム。

ダイレクトレスポンスでの広告効果が最大限に期待できる、厳選されたメディアのみを保有しているため、広告主はコンテンツに馴染むフォーマットにより、目標 KPI に合わせた高い広告効果を得ることができる。また、媒体社に対しては、Red for Publishers の広告配信技術を活用し、高額買付けの広告主をマッチングする。

トレーディングデスクサービス

広告主のオンラインマーケティングにおける成果向上を目的としたサービス。

新たなマーケティング技術を活用したオンラインマーケティング戦略の立案から、高度化・複雑化する広告運用支援までを行っている。

 

② 投資事業
20年9月期より新設されたセグメント。従前より将来有望なベンチャー企業への投資を行い一定の成果を上げてきたが、安定的な収益基盤の拡大とそれに伴う企業価値の向上を図るため、投資事業部門を設立、投資活動を組織的に事業として行う。

 

③ その他の事業
持株会社体制への移行に伴い17年9月期より新設されたセグメント。国内外のグループにおける新規事業、及び経営管理が含まれる。

 

【1-5 グループ企業】

持株会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスの下、グループを形成している。
海外事業においてはFreakOut Pte.Ltd. (本社:シンガポール)をヘッドクォーターとして、ネイティブ広告プラットフォーム事業を中軸とするグローバル展開を推進してきた。
2015年に、東南アジア初のネイティブ広告プラットフォームをリリース以降、各国上位のメディアを中心に提携先を拡大してきた。18/9期には、アジア中心にグローバル16カ国にてサービスを提供。19/9期下期から米Playwireを子会社化し、英語圏に進出した。19/9期から20/9期に事業体制を見直し、再度成長フェーズに入ろうとしている。

 

【1-6 特長と強み】

前述のように、常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことでより「賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。加えて、良質な広告掲載面を有している点も大きな強みとなっている。

 

① 最大級のデータ保有量
RTB技術を日本国内で初めて商用化したこともあり、データ保有量は国内最大規模となっている。
どんなに優れたAIを開発したとしても、大量のデータを使って機械学習を繰り返し行わないと実用的で効果の高いAIには成長しない。
「日本で一番スマートフォン所有者のことを知っている」同社は、全国6,000万人のモバイルユーザーのうち、5%、300万人の正確なデータがあれば、残り5,700万人の年齢や性別による思考、行動はほぼ正確に類推することが可能ということで、広告主に対し高い顧客満足度を提供している。

 

② 良質な広告掲載面を確保
一方、RTBの登場によってオープンな環境でのプラットフォームの「賢さ」が優位性である時期がある程度続くと、技術の格差・優劣が相対的に縮小し、特にモバイルの世界でどれだけ良質な掲載面を確保しているかという「掲載面の品質とその独占性」が再び有力な競争条件となってきた。

 

③ 優れたアルゴリズム構築に向けた積極的な投資
ターゲティング広告においては入札金額が高ければ落札はできる。売上規模拡大を目指す同社としては、できるだけ多くの広告枠を買いたいが、パフォーマンスが悪ければ広告主から評価されず、継続的な取引も難しくなってしまう。
そこで、高く買ったとしても結果としてはリーズナブルであったと判断してもらえるような結果を生むことが極めて重要である。
この課題に対し同社では「クリック率予測モデル」、「コンバージョン率予測モデル」を開発し、広告主に対する提案力を高めており、加えてこれらモデルの正確性を一段と向上させるために常に投資を行っている。
同社のデータ・サイエンスチームは日本の、特に中堅企業クラスではトップレベルの能力を有しているとのことで、積極的な投資の蓄積が継続的かつ高いパフォーマンスの提供に結び付いている。

 

④ 優秀な人材の獲得
インターン制度を積極的に活用し学生との接点を増やしているのに加え、広告がメイン事業ではあるが、今後は新規分野としてHR tech、Fintechといった幅広いフィールドで活躍できる可能性がある事、エンジニアとして業界でも著名な優秀なエンジニアと一緒に働くことが出来る事を魅力と感じているということだ。
また、チャレンジを最大に評価するインセンティブ制度も学生からの人気が高い要因の一つであると会社側は考えている。

【1-7 伊藤忠商事との資本業務提携】

18年12月には、伊藤忠商事との資本業務提携を発表した。
伊藤忠商事が保有する膨大な有形・無形のアセットと、同社のテクノロジー基盤をかけあわせることで、デジタルマーケティング領域における新規サービスの共同開発やアジアを中心とした海外事業の拡大など、広範囲にわたる提携を行う。

 

2.2021年9月期第1四半期決算概要

(1)連結業績

 

20/9期 1Q

構成比

21/9期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

7,422

100.0%

7,686

100.0%

+3.6%

売上総利益

1,873

25.2%

1,953

25.4%

+4.3%

販管費

1,571

21.2%

1,409

18.3%

-10.3%

営業利益

301

4.1%

544

7.1%

+80.4%

経常利益

328

4.4%

337

4.4%

+2.7%

EBITDA

364

4.9%

544

7.1%

+49.5%

四半期純利益

105

1.4%

618

8.0%

+486.6%

単位:百万円*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比3.6%の増収、EBITDAは49.5%増
21/9期1Qの売上高は前年同期比3.6%増の76億86百万円。
過去最高の売上を達成。国内ではプレミアム媒体支援事業が成長、主力のDSP(高粗利率)も回復・再成長。新型コロナウイルス感染症による影響で落ちこんでいた、物理的な人の移動を前提とするサービスに関連する売上が大幅に拡大した。また、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献を開始し、それに伴い「Red」が順調に推移した。海外ではオーガニックの成長に加え、広告需要期(10月~12月)にあたるため大きく収益貢献した。新型コロナウイルス感染症の影響が一部残ったが、年末が広告需要期である影響でPlaywireがさらに成長し、業績を強く牽引した。また、台湾adGeekや中国、インドネシア、台湾を中心とする各海外拠点についても順調に収益に貢献している。尚、前年同期に3億54百万円を計上した投資事業の収益計上がないこと、インティメート・マージャーを連結子会社から除外したことで5億25百万円あった売上(DMP事業)がなくなっていることなどを加味すると、本業部分においては、15%以上着実に成長している。
EBIDAは前年同期比49.5%増の5億44百万円。投資事業に依拠することなく本業の大幅改善と成長により、過去最高となった。IRIS持分法投資利益について、国内の収益は回復した一方で、シンガポールの事業撤退を決定したことに伴い損失を計上した結果、赤字となった。
四半期毎の推移は下図の通り。過去最高の売上、EBITDAを達成。国内では中核子会社であるフリークアウトが大きく回復・再成長。海外では、年末の広告需要期の影響もあり、過去最高の売上、EBITDAを大幅更新した。

売上高・EBIDAの推移

(同社資料より)

 

某取扱額トップメディアとの取引が大幅に減少して以降、2年ほどかなり厳しい期間があった。しかしタクシーサイネージの商流売上を中心に新型コロナウイルスの影響がまだ若干残る中(四半期売上で約1億円強)で、回復を示すことができた。特に、近年サードパーティーのデータを用いたターゲティングに依拠するアドテク事業の持続的な成長可能性について懸念される中、プレミアム媒体向けのサービスであり、外部データによるターゲティングに強く依拠しないRed for Publishersのビジネスが収益貢献している。また、「広告・マーケティング(海外)」は、売上高52.2億円、EBITDA6.5億円という非常に順調な数字を計上することができた。季節変動要因として、海外の広告需要期が年末になることから、2Q以降もこの数字水準が継続するわけではないが、極めて順調なPlaywire以外にも、3年超前に買収したadGeek、中国、台湾、インドネシアを中心とする各拠点と、収益基盤が多角的になりつつある。
一方で、持分法では、IRISが10月以降かなり業績では持ち直しているが、シンガポールの事業からは完全に撤退することになった。それに伴い、持分法ベースで1億円程度の損失を計上しており、一過性ではあるもののその影響で持分法IRISは大幅なマイナス着地となっている。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

20/9期 1Q

構成比

21/9期 1Q

構成比

前年同期比

広告・マーケティング事業

6,549

88.1%

7,671

99.8%

+17.1%

DMP事業

525

7.0%

-

-

-

投資事業

354

4.8%

-

-

-

その他

691

0.1%

259

0.2%

-62.5%

全社・消去

-697

-

-243

-

-

連結売上高

7,422

100.0%

7,686

100.0%

+3.6%

広告・マーケティング事業

330

5.0%

684

8.9%

+107.3%

DMP事業

4

0.9%

-

-

-

投資事業

183

51.8%

-3

-

-

その他

398

57.6%

16

6.3%

-95.9%

連結調整

-614

-

-153

-

-

連結営業利益

301

4.1%

544

7.1%

+80.4%

*単位:百万円
*営業利益の構成比は営業利益率

 

広告・マーケティング事業
売上高は前年同期比17.1%増の76億71百万円、セグメント利益は同107.3%増の6億84百万円、EBITDAは同79.8%増の6億88百万円。
「Red」、「Red for Publishers」、ネイティブアドプラットフォーム及びトレーディングデスクの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組んだ。物理的な人の移動を前提とするサービスに関連する売上が大幅に回復したほか、プレミアム媒体支援事業が順調に収益貢献を開始し、それに伴い「Red」についても順調に推移している。海外では、Playwireが強力に業績を牽引したほか、adGeekや自社設立した海外拠点合算で四半期黒字化などにより、海外事業全体として強く収益を牽引した。

 

投資事業
売上高はなく(前年同期は3億54百万円)、セグメント損失3百万円(前年同期は1億83百万円の利益)、EBITDAは3百万円のマイナス(前年同期は1億83百万円のプラス)。
今1Qについては、営業投資有価証券の売却は行っていない。

 

その他事業
売上高は前年同期比62.5%減の2億59百万円、セグメント利益は同95.9%減の16百万円。EBITDAは同97.0%減の12百万円。
その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能の提供をしている。M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施した。

 

社内予算対比での進捗
予算と比較して1Qは極めて順調に進捗した。

(同社資料より)

 

海外事業
・米国Playwire:売上・EBITDAともに大幅成長
・APAC: 新型コロナウイルスの影響は一部残るも、全体としてEBITDAに貢献。

 

海外広告売上、EBITDAの内訳

(同社資料より)

 

1Qは海外が広告需要期ということもあるが、米国Playwireはもちろん、台湾adGeekやその他の海外拠点も黒字となっており、前回の中計期間から取り組んできた海外事業が、一昨年、昨年の事業の整理を経て、同社の主要な収益の柱になったことを数字で示すことができた。

 

販管費の推移

(同社資料より)

 

投資フェーズであった19/9期から、拠点・事業の最適化を進めて、かなりのコスト整理を行ってきた。1Qから連結グループから外れた会社がある一方で、業績好調な一部グループ会社で年末にインセンティブ賞与の一時支給を行ったこと等もあり、単純比較はできないものの、コスト整理についてはすでにひと段落した。今後はPlaywireでそれなりの規模の人員投資を進めていくため、再び連結販売管理費は全体としてみると増加していく見込み。一方で、本社オフィスがある六本木のビルについて、従前3フロア賃借していたが、1フロアを返還する判断をした。

 

(3)財政状態

財政状態

 

20年9月

20年12月

 

20年9月

20年12月

現預金

9,916

6,345

仕入債務

3,065

4,096

売上債権

4,340

5,812

短期有利子負債

7,854

3,626

流動資産

16,492

13,606

流動負債

12,275

9,357

有形固定資産

180

142

長期有利子負債

5,608

6,491

無形固定資産

2,302

2,182

負債合計

17,959

15,890

投資有価証券

4,635

5,195

純資産

6,356

6,038

投資その他

5,340

5,996

負債・純資産合計

24,316

21,928

固定資産

7,823

8,321

有利子負債合計

13,463

10,117

*単位:百万円
*有利子負債=借入金+リース債務

 

21/9期1Q末の総資産は219億28百万円となり、前期末比23億87百万円減少した。これは主に、受取手形及び売掛金(売上債権)が14億72百万円、連結子会社の持分法適用会社への異動等に伴い投資有価証券が5億59百万円増加した一方で、1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の償還等により現預金が35億70百万円減少したことによるもの。
負債は158億90百万円となり、前期末比20億69万円減少した。これは主に、買掛金が10億30百万円、長期借入金が8億90百万円増加した一方で、1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が償還により45億円減少したことによるもの。
純資産は60億38百万円となり、前期末比3億18百万円減少した。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等により利益剰余金が6億24百万円増加したものの、子会社株式の持分変動等により資本剰余金が3億7百万円減少、非支配株主持分が6億25百万円減少したことによるもの。
自己資本比率は、22.4%(前期末18.9%)となった。

 

3.2021年9月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

20/9期 実績

構成比

21/9期 予想

構成比

前期比

売上高

24,878

100.0%

27,000

100.0%

+8.5%

営業利益

211

0.9%

200

0.7%

-5.4%

経常利益

-221

-

100

0.4%

-

EBITDA

510

2.1%

600

2.2%

+17.4

当期純利益

-669

-

未定

-

-

*単位:百万円

 

21/9期は8.5%増収、EBITDAは17.4%増の見通し
通期予想に修正はなく、21/9期は売上高が前期比8.5%増の270億円、経常利益は1億円(前期は2億21百万円の損失)、EBITDAは前期比17.4%増の6億円を計画する。
1Qは当初の予算と比較しても利益ベースで大幅な上振れが生じており、極めて順調に進捗している(営業利益で3.4億円、経常利益で2.0億円の上振れ)。各段階利益において予算数字を大幅に超えているため、通常であれば業績予想の修正を行ってしかるべき利益水準となっている。一方で、2Q以降の見通しについては、日本国内における1月7日からの緊急事態宣言による大きな影響は現時点では無い。対して2月7日以降の緊急事態宣言の延長が、国内の広告需要期である3月に渡って行われることによる影響については、当初予算段階から3月にそれほど多くの収益を積んでいなかったこともあり、予算対比では大きな影響はない見込み。ただし、現時点では不透明と判断した。また、為替の動向による影響、インティメート・マージャー社の株式売却と一体として締結したデリバティブ契約に係る損益の影響が考えられる。また、投資事業においても、一部銘柄のエグジットによる収益獲得の可能性もある一方で、新型コロナウイルスの影響を受けやすい一部銘柄において減損処理が必要になるか否かは、今後の動向次第であり現時点では読めない状態となっている。以上を考慮し、国内外の事業は極めて順調に推移しているものの、各段階利益の業績予想を修正することには保守的であるべきということで、今回は業績予想の修正を行わないという判断に至った。

 

(2)事業の進捗

◎グループシナジー創出のための組織的な取り組み
『単独での収益化』から『グループシナジー創出による収益最大化』へ

(同社資料より)

 

<組織的な取り組みについて>
上図右の広告事業(時吉管掌)の領域のうち、現在は大きく3つの事業領域を軸に、戦略的にグループシナジーをより推進できるような組織作りを目指している。前中計期間では、各子会社、拠点がそれぞれ単独の事業領域/国での収益化を目指していたが、今後はグループとしてしっかりとしたシナジーを生み出していくことで、収益を最大化させる考え。
グループの主力事業である国内広告事業では、フリークアウトと本田商事が同事業にあたる。特に本田商事については、テクノロジー領域に限定することなく、広く広告主の課題解決を支援する機能を持っており、すでに収益化を達成している。さらに、テクノロジー優位のプロダクトメーカーであるフリークアウトとの連携を密にすることで、双方にシナジーが生まれる見通し。グループシナジーを推進するという観点からの具体例としては、例えば、フリークアウトが開発したアプリ広告主への課題解決を行うLayAppの拡販とプロダクトフィードバック等を本田商事側がやるなどして、徐々にグループシナジーが生まれてきている。
海外事業のうち、同社が自ら設立した拠点での事業では特に、現在急成長しているFreakOut Chinaにおいて、中国企業のクロスボーダー案件は今後も増加していくと見込んでいる。このため、より各国拠点と連携が取れやすい組織構造にした。また、海外グループ事業(竹内管掌)との連携も緊密に行うことで、グループ全体として収益機会を逃すことなく、収益最大化を図る。
IRISを中心としたデジタルサイネージ事業では、タクシーサイネージに続く新しい価値のある媒体作りを UltraFreakOut で創っていく。グループシナジーについては、現時点では数字インパクトはまだ小さいが、既に3つの事業領域の中・横のシナジーと、更には海外グループ事業とのシナジーも1Qで収益貢献を開始している。今後もグループ資産を活用して、しっかりと収益貢献を狙っていく。

 

◎国内広告事業の回復・再成長

 

・新型コロナウイルスの影響から脱し、回復・再成長フェーズへ。

・特に影響を強く受け、大きく落ち込んだタクシーサイネージおよび位置情報マーケティングプラットフォーム(ASE)はコロナ以前の水準に大幅回復。

(同社資料より)

 

新型コロナウイルスの影響が軽微であった事業(上図青)
この事業群は、大きくDSP、プレミアム媒体支援(Red for Publishers)、Poetsにより構成されている。合計で、対前年同四半期比で10.5億円から11.8億円、対前四半期比で11億円から同じく11.8億円と微増。しかし、その内訳として、Poetsが審査基準をかなり厳しくした影響などで今1Qでは売上を落とした一方で、DSPの売上が好調に推移し、収益に大きく貢献した。また、DSPにも関連するところで、収益性が高いプレミアム媒体支援も本格的な収益貢献を開始している。

 

新型コロナウイルスの影響が大きかった事業(上図赤)
大幅に回復している。位置情報を活用したASEが、新型コロナウイルス発生前の水準以上まで回復している。人の移動が前提となる特性上、回復までにかなり時間はかかったものの、今1Qでしっかりと新型コロナ前以上の水準にきているのはポジティブな状況。足元で、緊急事態宣言の延長もあり、まだ安心できる状況ではないが、昨年の緊急事態宣言の頃と比較して、現時点ではその影響は軽微であり、足元は引き続き好調に推移している。

 

◎国内広告事業の回復・再成長(DSP・動画)

 

・DSP売上が好調に推移し、前年同四半期比127%まで伸長。収益拡大に貢献。

・中でもDSP売上における動画広告比率は四半期ベースで16%まで成長。引続き成長加速中。

(同社資料より)

 

DSPについては、対前年同四半期比で、売上ベースで27%増と大きく成長した。中計の注力ポイントでもある、プレミアム媒体支援関連でターゲティングに強く依拠しない優良な動画広告枠に関する売上が、DSP事業の再成長に寄与している。12月には動画比率は20%まで成長してきており今後も動画枠への成長が期待できる。

 

◎フリークアウト海外拠点の収益化

 

・シンガポール本社コストも含め、海外拠点全体で黒字を維持

・中国は引き続き好調に推移

・加えて、インドネシア・台湾・フィリピン・マレーシア・ベトナムの各拠点で黒字を達成

(同社資料より)

 

1Qは多くの国が広告の需要期にある中ではあるが、シンガポールの本社コストも含めたフリークアウト海外拠点全体で、四半期ベースで黒字となった。また、単独の拠点でも、政情不安があるタイと、休止に近い状態の韓国以外の各国に関しては四半期ベースで黒字化している。昨年度から推進をしていた不採算部門の整理が概ね完了したこと、事業フェーズとエリア特性を見た上で適したプロダクト、戦略展開をしたことが大きく寄与している。特に、前期から仕込んでいたグループシナジーによる数値貢献が出ており、今後もグループシナジーを中心とした成長・収益拡大を図る。また、中国ビジネスも非常に順調に推移しており、海外拠点事業の利益の柱になっている。一方で、2Qは多くの国が広告需要の閑散期になるため、一時的な落ち込みが生じるが、予算の想定内で推移すると見込んでいる。

 

◎タクシーサイネージ事業(IRIS)の回復・再成長

 

・10月より徐々に回復し、11月以降は前年同期比で同程度となり黒字化

・Premium Taxi Visionの合流により、10月より5万台規模での広告商品を販売開始。日本国内最大規模のタクシーサイネージメディアへと成長。

・緊急事態宣言の影響は若干あるものの、引き続き成長の見込み

(同社資料より)

 

新型コロナウイルスの影響を最も受けたのが、Tokyo Primeを運営するIRIS社。人の移動が大前提となるという商品の特性上、他のプロダクトと比べても相当回復までに時間を有した。上図のとおり、20/9期の3Q、4Qは相当な落ち込みを見せた。しかし、10月から急激に回復してきており、11月、12月にはほぼ昨年と同じ水準まで回復している。また、10月より台数も5万台規模になり、国内最大の規模に成長している。緊急事態宣言による影響は出ているものの、台数増加と広告需要の回復による事業成長でカバーしており、大きなインパクトとはならない想定。ただし、緊急事態宣言が延長されたことで、広告需要期の3月以降に影響が出てくる可能性はある。

 

◎海外グループ事業 売上・EDITDA内訳

 

・米国Playwire:新規取引先獲得の順調な進捗に加え、コスト抑制効果、既存取引回復傾向により大幅増収・増益

・APAC:新型コロナウイルスの影響は一部残るも、全体としてEBITDAに貢献

(同社資料より)

 

このグループ事業は、M&Aで子会社化した企業により構成されている。米国事業としてPlaywire、APAC事業として台湾adGeek、タイのDigitiv社DotGF社を連結子会社としており、インドネシアのThrive社、インドのSilverPush社を持分法適用会社としている。
Playwireは、売上高32.1億円、EBITDA5.3億円、過去最高の売上、EBITDAを達成。昨年前半は伸び悩んだが、夏以降は主力のエンタメ・教育分野を中心に徐々に回復し、10~12月には、コロナウイルス発生前の予算を上回る売上となった。広告主や代理店へのダイレクトセールスが堅調、ネットワーク経由の売上も大幅に伸びた。さらにコロナ以降推し進めたコスト抑制の効果もあり、利益は一段と良い結果となった。また、取引先の収益改善に貢献することでレピュテーションが高まり、各種の賞を受賞し、それが結果としてさらなる新規取引先の獲得に繋がるなど、素晴らしい循環が生まれている。
adGeekは、1年前に台湾の経営陣と徹底的に議論し主力の台湾市場にフォーカス、筋肉質な体制にして収益改善に取り組んだ成果が明確に出てきている。コロナ以前に比べ企業のブランド予算は比較的抑制されているものの、小売等既存顧客からの受注継続と共に、過年度同様に新規顧客の開拓も順調に進んで顧客数が増えた結果、広告需要期の1Qは売上・利益とも好結果を残す事が出来た。引き続き基礎収益力の強化に取り組む。
Digitiv社、Dot GF社はタイの経済状況とコロナの影響により減収傾向だったが、年後半から営業活動も積極化し売上も徐々に回復傾向。但し、タイ経済には引き続き不透明感がある状況。
Thrive社はプロダクト中心のビジネスへの切替を図るべく、新しい広告プロダクトの準備を進めているものの、コロナの影響もあり時間がかかりそう。一方で既存広告主からの受注が業績を下支えし、結果としては前年より良い利益となった。
SilverPushはワールドワイドでの売上が着実に成長している。具体的な例として、SilverPushのプロダクトをAPACの各フリークアウト海外拠点で拡販しており、これが双方の収益に貢献するという図が生まれてきている。日本においても営業活動を開始し、引き合いも増加している。

 

◎Playwireの成長加速

 

・20/9期:コロナによる市場環境の変化に素早く対応(コスト抑制)し、利益を確保。

・21/9期:成長加速のための積極投資を実行。FY23中計達成に向けより一層の拡大・成長を目指す。

(同社資料より)

 

Playwireは米国で大きな成長のチャンスがある。中計最終年度(23/9期)でEBITDA15~20億円を目指すため、2Q以降に積極的に投資を行う方針。事業機会の増大に対応するビジネス開発や、Web App対応技術の強化の為に人員体制の拡充を図り、成長を加速させる考え。従って2Q以降は販管費等が一定期間先行する。効果が表れるのは半年~1年後との考えだが、これによりハイシーズンとなる22/9期1Q以降に売上増加を実現し、23/9期に向けてさらに一段大きな規模の売上と利益を実現させていく計画。

 

 

4.新・中期計画の概要

(1)中期計画概要
◎中期計画(21/9期~23/9期) 基本方針

「前・中期経営戦略の延長戦」・・・未達に終わった前中計の目標にあらためて挑む。

前中計を仕込みの期間と位置づけ、新中計では収益化・地盤固めの期間とする。

(同社資料より)

 

前・中計でしっかり結果を出せた事業に対し、更なるフォーカスを行う。これらに対し更なる経営資源の投下を行い、組織もこれに向けて一新する。それによって更に事業を伸ばしていくことと、また新たな投資についてはその周辺領域にフォーカスして行われる。

 

◎中期計画 サマリ

(同社資料より)

 

定量面では、23/9期のEBITDAの計画を、30億円と設定した。前・中計で未達となった目標を改めて目指す。20/9期でもすでにそれなりのインパクトを出していた投資事業からの利益は、引き続き上乗せ要因として期待はしているものの、時期が読みづらいことから計画には含めず、事業収益のみから発生する利益計画とした。
定性面では、前中計で伸ばせた広告・FinTech領域へ、海外も米国を始めとしてすでに順調に成長している地域へさらにフォーカスする方針。そしてグループ経営面では、このようにフォーカスエリアも定まったことから、個別最適のフェーズから全体最適の方向へ移行する。具体的には、グローバル企業運営に求められる、国をまたいだシナジー創出や、人やお金の行き来の効率性を高めて経営の最適化を行い、結果としてグループ全体の収益力を高めていくことを目指す。

 

◎定量計画

(同社資料より)

 

21/9期については、20/9期と比較して収益水準はほぼ横ばいと置いている。これは、Playwireにおける人員増を中心とした投資を検討しているため。成長スピードが極めて速く、北米を中心とする英語圏という巨大なマーケットで完全に勝ち筋が見えているPlaywireの収益を23/9期に最大化するため、もう一段、ヒトを中心とした投資を実行する。この成長投資を継続しつつ、一方で有価証券売却による収益に依存することなく全体として、21/9期はしっかりと収益化させるというターゲットを想定している。
22/9期については、21/9期の成長性と23/9期の目標数値達成度合を見ながら、順調であればやや投資を抑制することもありうる。ビハインドが生じそうであれば利益の状況を見つつ、追加で必要な投資を必要な事業に行っていくなど、調整弁となる期を想定している。また、順調であれば22/9期の後半から23/9期にかけて、SilverPushやカンム、Jentといった新しいグループ会社の連結開始を狙っていく。そのため、EBITDA30億円に向けた道筋としては、21/9期から22/9期にかけては微増程度、23/9期に向けて非連続的に収益が伸びていくといった成長曲線のストーリーを予定している。

 

◎定性計画 - フォーカス戦略 全体概要

 

ターゲティングデータ偏重ビジネスからの脱却

プライバシー保護に対する意識の高まりや、プラットフォーマーの方針により、例えば「リターゲティングで品質の低い媒体を高く売る」ことが難しくなるなど、ユーザーデータを使ったターゲティング広告は今後ますますやりづらくなってくる。
このような状況下、これからの広告事業者は、どのような方針でどれだけの準備ができているか?が問われている。

(同社資料より)

 

同社が10年前の創業以来続けている、主力事業であるDSP事業の根幹をなすのは、「ユーザーデータを活用したターゲティング技術」であることに疑いの余地はない。しかし、広告事業者はこれまでの「ユーザーデータ偏重ビジネスからの脱却」が迫られており、この問題に対する具体的な解決策をどれだけ持っているかが問われているのが現状。プライバシー保護に対する意識の高まりや、プラットフォーマーの方針により、ユーザーデータを使ったターゲティング広告は今後ますますやりづらくなってくる。
今後広告会社がユーザーデータを活用しにくくなる流れの中で、同社が中計に向けて定めたスローガンは「Focus on the good stuff.」つまり、ユーザーデータに頼りすぎず、今までやってきた通りに、高いモラルをもって、よいものを扱っていくことに集中していこうという考えを海外の子会社を含むグループ全体で共有する。この考えに基づき、主力事業である広告事業において、「ユーザーデータ依存から離れて、プレミアムなものを扱う」ことにフォーカスする当社の戦略を4つ掲げた。

 

◎定性計画 - フォーカス①プレミアム媒体支援

 

媒体社の収益化を総合的に支援

新しい媒体開発、広告フォーマット開発、広告以外の収益モデルの開発など、媒体社が抱える様々な課題を総合的に解決し、収益化を支援。

 

(同社資料より)

 

◎定性計画 - フォーカス②動画広告技術

 

SilverPush “Mirrors”による動画メディアへのコンテクストマッチ広告の提供

拡大する動画広告市場で、ユーザーデータに依存しない高度なターゲティングを実現

 

(同社資料より)
• AIを活用した動画解析技術により、ロゴ、人物、表情など、OTT動画メディア広告の機能を補完する定義で配信が可能
• コンテンツ上での最適な広告コミュニケーションを実現、ブランドセーフティにも利用可能
• 日本市場での本格展開開始及び東南アジアでの協業推進

 

◎定性計画 - フォーカス③デジタルサイネージ

 

フリークアウト・サイネージ配信技術で新たなサイネージ市場を開拓。

タクシーサイネージの収益最大化とあわせ、デジタルサイネージを中核事業に。

 

(同社資料より)

 

◎定性計画 - フォーカス④次世代型チャット

 

次世代型チャット技術への投資・事業展開

企業にとって、チャットが消費者接点のスタンダードとなる将来を見越し、旧来型のシンプルなチャットボットに留まらない、より高度な「接客」レベルの顧客対応を可能とする技術への投資・事業化。

 

(同社資料より)

 

◎定性計画 - フォーカス⑤カンム

 

引き続きの順調な成長により、新しい収益の柱へ

17年より継続的に出資(計30億円超)。今後、収益化に至ったタイミングで連結子会社化を予定。

 

(同社資料より)

 

◎定性計画 – グローバル戦略

 

米国事業及びAPAC事業の収益力拡大にフォーカス

動画広告プロダクト(SilverPush)のグローバル展開

 

(同社資料より)

 

フリークアウトの企業理念である「人に人らしい仕事を。」、これをグローバルで実現する事をミッションとする。各海外グループ会社について、23年にはそれぞれが明確な付加価値と強みを確立し、収益力を確保し、各国で存在感を獲得している姿を目指す。各社がしっかりと収益を確保した上で、各社間での提携・シナジー創出が本格的に推進できるようになるという考えに従って23年までの新・中計期間は、まず各事業の収益拡大にフォーカスする。グループ会社の中でも特に米国のPlaywire社はメディア向けの収益化支援事業が好業績となっており、今後さらなる成長のチャンスがあると考え、可能な限りリソースを大胆に投入し、体制を拡充して、収益を拡大させる方針。また、NasdaqへのIPOも視野に入れて進めたい考え。今後同社がプロダクトカンパニーとしてグローバル市場で高い競争力を持って展開していくためにも、Playwireを足がかりに米国市場でプレゼンスを獲得して行く考え。新・中計において、米国事業は非常に重要。
APAC事業は、台湾のadGeek社、タイのdigitiv社、dotgf社など各社のコアコンピタンス確立と基礎収益力の拡大を進める。さらに動画解析・広告技術を持つSilverPushとの協業を深化させる。

 

◎定性計画 – グループマネジメント戦略

 

「グループ力」の強化

グループとしての全体最適をより意識した経営により、グループ全体の価値向上を目指す。

成長領域への投資余力を高めるため、よりキャッシュ・フローを重視し、改善・安定化に努める。

(同社資料より)

 

特に優秀な人材のグループ内ローテーションや、定量面・定性面双方に渡るグループ会社の損益管理、シナジーの構築などを目指して、組織体制も大きく変更する。
また、グループ内に上場企業も出てきたことで、今後はコア事業への集中投資を可能にするため、非コアの事業については積極的に売却を進めていく。第一弾として、2020年11月にインティメート・マージャー社の株式売却を実施した。なお、これは売却する事業の成長性を否定するものではない。成長確度が極めて高い領域に集中的に投資するため、換金可能性が高く、安定稼働に入ってきた資産について優先順位を見定めてしっかり売却していこうという意志を反映したもの。

5.今後の注目点

中期計画初年度の1Qからロケットスタートを切った印象。20/9期まで苦戦した局面でも高い成長性を垣間見せていたが、今回は実績で形にした。一見前年同期比3.6%増収と鈍いものの、インティメート・マージャーの連結子会社除外や前年同期に投資事業で計上した売上の反動を加味すると18%増収と試算できる。利益面では各利益が通期予想を大幅に上回るものとなった。繁忙期に当たる海外で大幅に伸びたことがその主因だが、国内もしっかりと回復基調にある。また、いずれも今後の新型コロナウイルスの影響は軽微なものとなりそう。2Qは海外が閑散期に該当、成長著しいPlaywireで積極投資を実行することもあり、売上・利益ともさすがに勢いは鈍化しそうだが、それでも通期予想はかなり保守的。頼もしいのは2Qが鈍化したとしても、中長期的な成長性は一段と増していることにある。特に、同社としても重点を置くPlaywireの今後の動向に注目したい。米Nasdaqへの上場も視野に入れており、実現すれば一気に市場で注目を集める可能性もある。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年1月14日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めていくことが長期的に企業価値を向上させていくと考えており、それによって、株主をはじめとした多くのステークホルダーへの利益還元ができると考えております。経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めるために、コーポレート・ガバナンスの充実を図りながら、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築することが重要な課題であると位置付け、会社の所有者たる株主の視点を踏まえた効率的な経営を行っております。

 

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記述している。

 

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