ブリッジレポート
(6191) 株式会社エアトリ

プライム

ブリッジレポート:(6191)エアトリ 2020年9月期決算

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柴田 裕亮 社長兼CFO

株式会社エアトリ(6191)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長兼CFO

柴田 裕亮

所在地

東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー

決算月

9月末日

HP

https://www.airtrip.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,354円

20,419,800株

27,648百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

-

11.75円

115.2倍

110.44円

12.3倍

*株価は12/4終値。発行済株式数、ROE、BPSは20年9月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

税引前利益

当期利益

EPS

DPS

2017年9月期(実)

5,534

730

695

420

25.06

7.00

2018年9月期(実)

12,426

1,152

1,138

855

49.09

10.00

2019年9月期(実)

24,306

680

588

733

39.07

10.00

2020年9月期(実)

21,191

-8,760

-8,956

-8,380

-418.23

10.00

2021年9月期(予)

24,000

390

330

240

11.75

-

*単位:円、百万円。今期配当予想は未定。17年9月期まで日本基準。18年9月期からIFRSを任意適用。税引前利益は日本基準での経常利益を記載。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。以下同様。

 

 

エアトリの2020年9月期の決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期決算概要
3.2021年9月期業績予想
4.成長戦略「エアトリ2021」
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 20年9月期の取扱高は前期比49%減の747億円。売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響から前年同期比12.8%減の211億円91百万円となった。売上総利益は前期比30.3%減の78億61百万円。営業損益は、74億66百万円の減損計上で82億52百万円の赤字に転落。なお、減損前の営業損失は7億86百万円の赤字。

     

  • 21年9月期は取扱高450億円、売上収益235億円、営業利益3億円を予想。第2ステージ「リ・スタート」の始まり。エアトリ旅行事業回復に加え、その他4事業領域の順調な成長、ヘルスケア事業の収益寄与によりエアトリグループの再始動目指す。配当額は未定だが、配当性向は20%水準を目指す。なお、GoToトラベルや、東京都民割効果で10月以降需要が回復。10月には単月黒字を達成している。

     

  • 11月30日に21年9月期の業績見通しを上方修正した。売上収益を235億円から240億円、営業利益は3億円から3.9億円に、それぞれ上方修正。GoToトラベルを追い風にして、特にエアトリ旅行事業の国内領域において、収益及び利益が想定以上に回復しているため。

     

  • ただ、足元の業績が好調に推移しているものの、一方で、GoToトラベルを巡り大阪や北海道の一時的除外や、東京都においても「不要不急の外出を控えて」と要請するなど不透明感が漂う。今後の動向に注意したい。

     

1.会社概要

航空券インターネット取扱高No.1である総合旅行プラットフォーム「エアトリ」を運営するエアトリ旅行事業を核に、多様な事業を展開。訪日旅行事業では、訪日外国人及び民泊運営企業に対し各種サービスを提供、ITオフショア開発事業では、約1,000人のITエンジニアを擁し"日系最大のラボ型オフショア開発"を手掛けている。この他、「お客様の生活をあらゆるシーンでより便利に」をテーマにシナジーのある周辺領域においてサービスを提供するライフイノベーション事業、成長企業への投資を通じて投資先企業との協業等によるシナジーを追求しサービスラインの拡充と収益向上を図る投資事業にも注力。
中期目標として「取扱高5,000億円達成」を掲げている。

 

 

【1-1 沿革】

2007年5月、オンライン旅行事業を行うために株式会社旅キャピタルを設立。
その後、M&Aや事業譲受により取扱商材を拡大していく。
2012年3月にベトナムにおいてITオフショア開発事業を開始したのを契機に、総合IT事業を手掛ける会社の方向性を明確にするため、2013年10月、株式会社エボラブルアジアに商号を変更。
2016年3月、東証マザーズに上場。1年後の2017年3月には東証1部に市場変更した。
2018年5月、旧DeNAトラベル子会社化により航空券インターネット取扱高No.1に。
2020年1月1日、航空券インターネット取扱高No.1の「エアトリ」運営企業として、より強固な事業基盤を築くため、商号とブランド名を同一にし、更なる「エアトリ」ブランドの知名度向上に加え、「エアトリ」を中心とした様々な事業展開に集中する姿勢を明示するため、株式会社エアトリに社名を変更した。

 

【1-2 企業理念など】

企業理念

One Asia

アジア黄金期におけるリーディングカンパニーになる

 

ひとつのアジアとして経済圏が巨大化するなかで、当社は、人の移動と仕事の移動を通じて、

アジアを繋ぐ架け橋となることを目指しております。エアトリが繋げる。アジアが繋がる。

 

ミッション

アジア経済圏の中で生まれるあらゆる変化を事業機会として捉え、終わりなき成長を続けていく

行動規範

*常にユーザーファースト!!

顧客目線を常に意識し、顧客の方を向いて仕事をする。

 

*丁寧・安心・信頼を何よりも重視!!

丁寧な仕事で顧客の安心と信頼に応えることが、事業の根幹である。

 

*改善のプロフェッショナルであり続ける!!

一つ一つの業務改善によってしか成長は成り立ち得ない。

 

*即対応、即実行、スピード!!

誰よりも早く対応し、誰よりも早く仕組化する。

 

*来客30分会議20分で無駄を排除!!

ワークライフバランスを実現する。

 

【1-3 市場環境】

◎成長が続くオンラインによる旅行商材販売
LCC(格安航空会社)の参入に伴う航空券比較横断検索需要の高まり等を受け、2015年度におけるOTAによる旅行商材取り扱い規模は2.5兆円と、2011年度からは年率26%というスピードで急成長している。
この急成長を支えたのは主として国内宿泊市場であるが、航空券の取扱高も2,300億円とこちらも年率14%で2桁成長となっており、今後は国内宿泊市場に次いで、国内航空券市場も大きく成長すると見込まれている。
ただ、足元は新型コロナウイルスの影響により旅行需要は停滞を余儀なくされており、今後の回復動向に関しても不透明な状況である。

◎拡大余地大きいITオフショア開発
日本国内の受託ソフトウェア開発市場は約10兆円で年率3%程度の伸びとなっているが、そのうちオフショアを利用した開発の割合はわずかに1%程度(約1,000億円)にとどまっている。
米国ではこの比率は10%以上であることから、日本においても現在の10倍である1兆円規模まで拡大する余地はある。
実際に、日本からベトナムへの発注額は年率17.8%で増加している。

 

【事業内容】
事業ドメインはエアトリ旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、ライフイノベーション事業、投資事業の5事業。
2020年1月の社名変更に伴い、オンライン旅行事業をエアトリ旅行事業に名称変更したほか、オンライン旅行事業からライフイノベーション事業を切り出した。
(報告セグメントは、オンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の3つで変更は無い。訪日旅行事業はオンライン旅行事業セグメントに含まれる。)

 

(1)オンライン旅行事業セグメント
①エアトリ旅行事業
国内航空券、国内宿泊施設、海外航空券・宿泊施設等の旅行商品を、総合旅行サービスプラットフォーム「エアトリ」のほか、多様な販路を通じて販売している。

 

国内航空券

・国内全航空会社グループと契約

国内宿泊施設

・高級旅館を中心に国内1,400施設を取り扱い

海外航空券・宿泊施設

・IATA(※)公認代理店として海外航空券を発券

・海外4万施設を取扱い

※IATA(International Air Transport Association):世界の航空会社で構成される業界団体

 

販路

概要

直営サイト(B to C)

総合旅行サービスプラットフォーム「エアトリ」を運営。

B to B to C

500社以上のWeb媒体へ旅行コンテンツを提供。媒体は、オリジナルコンテンツの充実、顧客満足度の向上、新たな収益源といったメリットが生じる。

卸売り(B to B)

旅行会社に対して主として国内航空券や販売管理システムを提供。

BTM(Business Travel Management:法人向け出張手配)

法人向け出張手配サービスをクラウドサービス「エアトリBTM」を無料で提供。契約社数は3,529社(20年9月時点)。

 

総合旅行サービスプラットフォーム「エアトリ」は、当初、国内航空券取り扱いが中心だったが、現在では、海外航空券、ホテル、国内外ツアー、バス、レンタカー、新幹線と急速にラインアップを充実させている。
またTVCMを始めとした様々な広告宣伝活動を積極的に展開して認知度を向上させるとともに、各種キャンペーンを展開するほか、日々UI・UXの改善に取り組むことで会員数は着実に増加している。
法人向け出張手配(Business Travel Management)の顧客数は2020年3月末で3,516社と着実に増加している。

 

(事業の強み)
同社はOTA業界における国内航空券取扱高No.1である。
同業界で唯一国内全航空会社グループと契約を有していることから、自社での発券が可能となっている。優位な仕入れ価格と合わせ、発券を委託する必要が無いためコスト競争力は圧倒的に高い。
これに加え、各航空会社との長期の取引関係による強固な信頼に基づく「競争力のある仕入れルート」、「多様な販路」、「自社オフショアIT開発力を用いた低コストでのシステム構築」といった要因により、高い参入障壁を構築している。

 

②訪日旅行事業
訪日旅行客需要に対応し、旅行商材の直販サイトの多言語展開(現在7か国語)のほか、アジア地域を中心とした現地旅行代理店や媒体運営者に対して国内航空券を中心に日本国内旅行コンテンツの検索・予約エンジンをOEMで提供している。
中国最大の旅行会社である「Ctrip.com」と国内航空券領域において日本初のシステム連携を開始したほか、中華系旅行社との提携を進めている。

 

(同社HPより)

 

(事業の強み)
OEM提供のノウハウが豊富であることに加え、自社オフショア開発により顧客ニーズに合致した開発を安価かつスピーディーに行うことができる。

 

(2)ITオフショア開発事業
ベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナンの3拠点で、2020年3月時点でエンジニア約1,000名を雇用している。
Webサービスやアプリケーションなどシステム開発のほか、BPO(Business Process Outsourcing)を手掛けている。
顧客はグリー(株)などWebサービス企業が中心。

 

(事業の強み)
ベトナムにおける人材採用力と開発チームの立上げノウハウに強みを持っている。
日本国内のITエンジニア不足とエンジニアの賃金高騰を背景に、2012年の事業開始後、東南アジアにおける日系オフショア開発会社としては最大規模の陣容となっている。
また、受託開発は行わずラボ型開発と呼ぶ開発スタイルに特化している。
これは、原則的に1年以上の長期契約を前提に顧客の要望を反映した専属チームを組成し、クライアントの計算の下で稼働するため、稼働率がほぼ100%となっている。
また、エンジニアのコストは雇用した時点から全てクライアントチャージなので、納期遅延リスク、遊休人員発生リスクはゼロとなる。
ストックビジネスであるため規模拡大と共に収益の大幅な向上が期待できる。

 

(3)投資事業
CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の性格を持つ事業として位置付け、シナジー効果とともにキャピタルゲインの機会も追求していく。投資育成事業も行っている
2020年9月時点での投資先は64社。総投資額は約23億円。

 

 

2.2020年9月期決算概要

(1)連結業績概要

 

19/9月期

構成比

20/9月期

構成比

前期比

取扱高

146,000

-

74,700

-

-48.8%

売上収益

24,306

100.0%

23,206

100.0%

-4.5%

売上総利益

11,285

46.4%

7,861

33.9%

-30.3%

営業利益

680

2.8%

-8,252

-

-

当期利益

733

3.0%

-8,380

-

-

*単位:百万円。IFRS。当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期期利益。20/9期は非継続事業も含む

 

減収に加え、減損損失により利益は赤字転落
取扱高は前期比48.8%減の747億円、売上収益は同4.5%減の232億円。
新型コロナウイルスの影響で世界的な旅行需要の急激な落ち込みの影響を受け減収となり、売上総利益は広告宣伝費や変動費、固定費などの削減に努めるも、同30.3%減となった。加えて、減損損失74.6億円を計上したため営業利益が82.5億円の赤字に転落した。なお、減損前の営業損益は7.8億円の赤字。

 

(減損の内訳)
2Q時点で、労働集約的な一部商材(海外ツアー領域等)で、コロナ禍で収益性が悪化したことをきっかけに縮小を決定、その方針を反映したソフトウェアおよびのれん等の損失を計上した。
また、コロナ禍で収益性が悪化し、今後売却の検討を開始した一部子会社について足元損益の状況や今後の見込みを踏まえて損失計上した。
加えて、4Q時点でインバウンド・アウトバウンド需要及び一部の国内需要喪失を反映し、減損損失を計上した。

 

(2)セグメント動向

 

19/9月期

構成比

20/9月期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

オンライン旅行事業

21,505

88.5%

18,744

88.5%

-12.8%

ITオフショア開発事業

2,455

10.1%

1,888

8.9%

-23.1%

投資事業

345

1.4

558

2.6%

+61.7%

合計

24,306

100.0%

21,191

100.0%

-12.8%

セグメント利益

 

 

 

 

 

オンライン旅行事業

1,113

4.6%

₋7,211

-

-

ITオフショア開発事業

172

0.7%

-24

-

-

投資事業

332

1.4%

-257

-

-

合計

680

2.8%

-8,760

-

-

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

①オンライン旅行事業
減収。赤字転落。
新型コロナウイルス感染症拡大と各国の拡大防止策の影響を受け減収。セグメント事業損益は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う減損損失の計上により72億11百万円の赤字となった。

 

②ITオフショア開発事業
減収。赤字転落。
新型コロナウイルス感染症拡大と各国の拡大防止策の影響を受け減収、セグメント事業損益は24百万円の赤字となった。

 

③投資事業
増収。赤字転落
同社IPO案件の出資先3社(AI CROSS、サイバーセキュリティクラウド、ヘッドウォータース)、の新規上場に伴う当該株式の売却により増収。子会社で減損損失を計上したため、セグメント事業損益は2億57百万円の赤字となった。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎要約バランスシート

 

19年9月末

20年9月末

 

19年9月末

20年9月末

流動資産

20,140

15,073

流動負債

15,717

11,483

現金等

8,997

7,042

営業債務等

4,414

2,625

営業債権等

5,239

2,362

有利子負債

7,519

6,188

その他の金融資産

4,606

4,411

非流動負債

5,436

8,660

非流動資産

11,112

7,920

有利子負債

5,111

4,873

有形固定資産

1,324

379

負債合計

21,153

20,144

無形固定資産

2,628

1,210

資本

10,099

2,849

のれん

5,770

1,255

資本剰余金

4,175

4,887

その他の金融資産

1,103

970

利益剰余金

2,598

-5,843

資産合計

31,253

22,994

負債・資本合計

31,253

22,994

*単位:百万円。現金等は現金及び現金同等物。営業債権等は、営業債権及びその他の債権。営業債務等は営業債務及びその他の債務。
有利子負債にはリース債務を含む。

 

74.1億円の減損損失を計上したため、一時的に自己資本が棄損。
この結果、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は前期末の32.3%から19.9ポイント低下し12.4%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/9期

20/9期

増減

営業CF

-76

-199

-123

投資CF

-678

-240

+438

フリーCF

-754

-439

+315

財務CF

4,459

-1,501

-5,960

現金同等物

8,997

7,042

-1,955

単位:百万円

 

税引前利益が損失となったことなどから営業CFのマイナス幅は拡大。フリーCFは投資の抑制から改善した。株式の発行による収入が無くなり財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは低下した。

 

 

3.2021年9月期業績予想

(1)業績予想

20年11月13日に発表した業績見通しでは、21年9月期の取扱高450億円、売上収益235億円、営業利益3億円を予想。GoToトラベルや、東京都民割効果で10月以降需要が回復しており、10月には単月黒字を達成していると説明していた。
その後、11月30日に同期の業績見通しを上方修正。売上収益を235億円から240億円に、営業利益を3億円から3.9億円に、税前利益を2.4億円から3.3億円に、当期利益を1.8億円から2.4億円に、それぞれ修正した。修正理由は、GoToトラベルを追い風にして、特にエアトリ旅行事業の国内領域において、収益及び利益が想定以上に回復しているため。

 

連結業績予想

 

20/9月期

構成比

21/9月期(予)

構成比

前期比

修正額

売上収益

21,191

100.0%

24,000

100.0%

+13.3%

+500

営業利益

-8,760

-

390

1.6%

-

+90

税引前利益

-8,956

-

330

1.4%

-

+90

当期利益

-8,380

-

240

1.0%

-

+60

*単位:百万円。IFRS。当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期期利益。20/9期は非継続事業も含む

 

(2)リ・スタート

①今期の取り組み
上場から4年半を「第1ステージ」と位置づけ、21年9月期を「第2ステージの始まり」として、“リ・スタート“とした。引き続き「エアトリ5000」を目指す。

(同社資料より)

 

エアトリ旅行事業の収益回復は前期までの施策の成果が出てくること、コスト削減の効果、GoToトラベルの追い風などが背景。
旅行領域以外の4つの既存事業領域(ITオフショア開発事業、訪日旅行事業・Wi-Fi事業、ライフイノベーション事業「まぐまぐ等」、投資事業)の順調な成長が継続している。
ヘルスケア事業の立ち上げによる新たな事業領域の創出にも取り組む。

 

②10月より単月黒字化達成
前期に行った減損処理により21年9月期は身軽になった。同業他社並びに類似企業と比べて、相対的に固定費が圧倒的に少ないことや、大規模なコスト削減による損益分岐点の引き下げ効果もあり利益回復・拡大基調で推移する見通し。
10月はGoToトラベルの追い風もあり連結ベースで単月黒字化を達成した。

(同社資料より)

 

②固定費削減継続、変動費及び広告宣伝費の最適化を図る
◎月間販管費を4.5~6億円程度に抑制
GoToトラベル実施期間中のオペレーションボリュームに応じたコストコントロールを実施。粗利益に対する広告費比率の最適化を継続した。
役員報酬の一部返上を継続、雇用調整助成金制度の活用などで人件費合計、月間約1.2億円を削減した。
システム開発体制の最適化や在宅勤務移行、外注費の見直しなどを継続している。

 

◎粗利益の単月黒字化
ライフイノベーション領域(ヘルスケア事業)での早期収益化実現と、GoToトラベル効果による国内旅行領域の収益回復を見込む。

(同社資料より)

 

4.成長戦略「エアトリ2021」

GoToトラベルによるエアトリ旅行事業の収益回復に加えて、既存事業の成長継続と新規事業の創出によりグループ全体の成長を目指すアフターコロナ時代の成長戦略「エアトリ2021」を公表した。

 

(1)目指す姿

1.GoToトラベルの活用によるエアトリ旅行事業の収益回復

コロナ禍での国内旅行への需要増をチャンスと捉える

 

GoToトラベルの活用とデジタルマーケティングにより、アフターコロナにおける国内旅行需要を確実に取り込む。

2.旅行領域以外の4つの既存事業領域の成長継続中

アフターコロナ時代の事業ポートフォリオを構築する

 

ライブイノベーション事業や投資事業を中心に、4つの既存事業領域で、更なる成長継続を目指す。

3.ヘルスケア事業の立ち上げによる新たな事業領域の創出

アフターコロナ時代における成長領域で、新規事業を創出する

 

アフターコロナで変化が想定されるビジネス環境を捉え、当社グループの強みを活かせる成長領域で新規事業を創出する。

 

※:Go To Travelキャンペーン
新型コロナウイルス感染症の流行収束後に、日本国内における人の流れと街のにぎわいを創り出し、地域を再活性化するための需要喚起政策「Go To キャンペーン事業」のうちのひとつで、「Go To キャンペーン事業」全体には補正予算から1兆6,794億円が計上されている。
Go To Travelキャンペーンの詳細は調整中だが、「国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援」「一人一泊あたり2万円が上限(日帰り旅行については、1万円が上限)」「支援額の内、7割程度は旅行代金の割引に、3割程度は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与」「連泊制限や利用回数の制限なし」などを内容とする。

 

(2)主要施策

①エアトリ旅行事業
WEB動画広告を中心とした効果的なデジタルマーケティングにより国内旅行需要の確実な取り込みを図る。
◎成長戦略
・国内旅行領域は、GoToトラベルの活用で1Q~2Qは高成長を継続、3QはGWの旅行需要増、4Qは夏の旅行需要増により、年間を通じて収益拡大を目指す。
・海外旅行領域は、1Q~2Qは渡航制限により横ばい、3Qはビジネス渡航を中心に段階的な制限緩和による需要回復を想定し、4Qは東京オリンピック効果による海外航空券の需要が高まり、PCR検査とクロスセル販売で収益回復を目指す。
◎アクションプラン
国内旅行:収益拡大に向けたGoToトラベルの活用施策、CVR向上を実現する徹底的なUI/UX改善、デジタルマーケティングによる需要取り込みを図る。
海外旅行:渡航制限緩和を想定した収益回復計画を策定。

 

②アフターコロナ時代における多様な事業ポートフォリオ構築
ライフイノベーション事業や投資事業を中心とした既存事業の成長継続と新たにヘルスケア事業の立ち上げによる多様な事業ポートフォリオを構築する。
◎4つの既存事業と新規事業の成長戦略
・まぐまぐ社が運営する Live配信サービス「まぐまぐ !Live」の機能リニューアル及び多様なコンテンツ配信強化により、新規顧客の獲得と収益拡大を目指す。
・PikaPka社が展開するヘルスケア事業 (PCR検査予約代行サービス)では、検査手法(来院/訪問/宅配)の拡充と多様な集客手法・販売促進により、増加するPCR検査需要の獲得と収益基盤構築を目指す。
・その他ITオフショア開発事業や訪日旅行事業では、アフターコロナでのニーズを的確に捉え、中長期の成長を見込める領域を中心に事業基盤構築を目指す。
◎4つの既存事業と新規事業のアクションプラン
Live配信サービス:Live配信サービスのリニューアル、多様なコンテンツ配信により需要の取り込み
ヘルスケア事業:増加するPCR検査需要を満たすサービス拡充
その他事業基盤:・成長を見込める事業ポートフォリオの構築

 

③成長領域に対する戦略的・積極的な投資の継続
アフターコロナで変化が想定されるビジネス環境を的確に捉え、 同社グループとのシナジーを重視した成長領域への積極投資を継続する。
◎成長戦略
・アフターコロナにおけるビジネス環境変化を的確に捉え、同社グループとのシナジーを重視した成長領域に対して、戦略的に積極投資を実施していく
・戦略的投資の判断軸としては、①同社グループとのシナジーがどの程度見込めるか、②中長期的に成長が見込める事業領域であるか、➂早期の利益貢献が見込めるかを中心に対象領域を見極める。
・M&Aのターゲット選定から DD(デューデリジェンス)→交渉→成約→PMI(買収後の統合作業)までの一連のプロセスの精度を高め、更なるプロセスの仕組み化とグループ化後の成長率向上を目指す。
◎アクションプラン
戦略的積極投資:アフターコロナ時代の投資戦略策定
投資領域の見極め:アフターコロナでの投資対象領域の特定
M&A後の成長率向上:M&Aによるグループ化後の成長率向上を追求

 

財務戦略

流動性向上による高い財務健全性を維持する。
財務健全性は今期以降の改善を見込む。

◎財務戦略
・アフターコロナで不確実性が増すビジネス環境に対して、戦略的に手元流動性を高めることにより、高い健全性を維持していく。
・手元流動性を高めるアクションとして、①全社的なキャッシュアウトの削減、②グループ全体の手元現預金残高の見える化、➂多様な資金調達手法による現預金の確保を中心に財務健全性向上を目指す。
◎アクションプラン
・財務戦略の策定:アフターコロナ時代の財務戦略策定
・流動性向上策:財務健全性維持に向けた手元流動性向上施策
・中長期の施策:手元流動性向上に向けた中長期の施策
◎筋肉質な財務体質へ
前期減損損失の計上によりBSのスリム化を実現した。まぐまぐ社の含み益と資金調達で実態BSはより筋肉質になる。

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

同社は21年9月期を“リ・スタート”として、収益の回復を目指している。足元の業績は業績見通しを上方修正するなど好調に推移している。一方で、GoToトラベルを巡り大阪や北海道の一時的除外や、東京都においても「不要不急の外出を控えて」と要請するなど、不透明感が漂う。今後の旅行業界の動向に注意したい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

10名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2019年12月27日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応した意思決定、永続的な事業展開ならびにステークホルダーからの信頼獲得を重要な経営課題と位置づけ、経営の健全性・透明性・効率性を高めるために、コーポレート・ガバナンス体制の強化、コンプライアンスの徹底とディスクロージャー(情報開示)の適時・適切性を重視し、全社を挙げて取り組んでおります。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2-2】

 

当社は現在、発送前に記載内容を十分に検討することを目的として株主総会招集通知の早期発送は実施しておりませんが、今後、早期発送が可能な体制の整備を検討してまいります。また、株主総会招集通知のウェブサイトでの公表につきましても、現在TDnet及び当社IRページにて開示しておりますが、今後発送前の開示について検討してまいります。

【補充原則4-1-2】

 

当社は、現時点においては中期経営計画を公表しておりませんが、取締役会では中期経営計画の策定を行い、その進捗状況を管理しております。今後、中期経営計画の公表について検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4】

 

当社は、政策保有株式について、事業上の連携強化が見込まれる場合等、当社の企業価値の維持又は向上に資すると判断した場合に保有することがあります。

【原則5-1】

 

当社のIR活動は、企業戦略部を担当部署とし、財務・経理担当、広報担当、総務・人事担当、経営企画室が連携して対応することにより、株主や投資家との建設的な対話の推進に努めております。また、経営トップ自らが出席する年4回の決算説明会に加え、個人投資家向けの会社説明会を実施するとともに、合理的な範囲で、個別面談の申込みにも対応する方針としております。

 

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