ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ 2021年12月期第1四半期決算

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小國 勇 代表取締役社長兼CEO

オプテックスグループ株式会社(6914)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長兼CEO

小國 勇

所在地

滋賀県大津市におの浜4-7-5

決算月

12月

HP

https://www.optexgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,732円

37,735,784株

65,358百万円

4.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

1.7%

60.83円

28.5倍

896.02円

1.9倍

*株価は5/10終値。発行済株式数、DPS、EPSは2021年12月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年12月

37,504

4,885

5,036

3,386

97.63

27.50

2018年12月

40,113

4,989

5,038

3,775

104.85

30.00

2019年12月

37,517

2,856

2,876

2,197

60.02

32.50

2020年12月

34,846

2,098

2,176

1,395

38.59

30.00

2021年12月(予)

40,000

3,000

3,200

2,200

60.83

30.00

*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。

 

オプテックスグループ株式会社の2021年12月期第1四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年12月期第1四半期決算概要
3.2021年12月期業績予想
4.中期経営目標の中心施策 ~「モノ売り」から「コト売り」への変革~
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 21年12月期第1四半期の売上高は前年同期比24.7%増の109億74百万円。IA事業・FA関連を中心とした既存事業の伸長に加え、前期子会社化したサンリツオートメイションが寄与した。国内外とも2ケタ増収で、中国を含むアジアが大きく伸長した。営業利益は同139.0%増の13億26百万円。粗利率は低下したが増収により売上総利益が増加。販管費の増加を吸収した。四半期ベースでも前期比、前年同期比とも大幅な増収増益。コロナ禍前の水準を上回っている。

     

  • 業績予想に変更は無い。21年12月期の売上高は前期比14.8%増の400億円、営業利益は同43.0%増の30億円と増収増益を予想している。全セグメントで増収。子会社化したサンリツオートメイション社は約30億円の売上寄与。地域別には国内および中国を中心としたアジアが牽引する。配当は前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は49.3%。

     

  • 「2023年12月期売上高500億円」を掲げる中期経営計画達成のための中心的な施策が 「モノ売り」から「コト売り」へのビジネスモデルの変革である。各事業において 「モノ売り」から「コト売り」への変革を推進する。

     

  • FA関連の中国市場での伸長を主要因に、2ケタ増収・大幅な増益となった。前期低調であった防犯関連も各地域堅調で、2021年12月期はまずは好スタートを切った格好だ。各利益とも上期予想を超過しており、特段事業環境に大きな変化が無い限りは上方修正の可能性が高いであろう。

     

  • 一方、今期は、売上高500億円へ再チャレンジする第一歩の年となる。「モノ売りからコト売り」への事業モデルの変革がカギであると会社側は考えているが、外部環境の追い風に加え、自社の競争優位性を発揮して「画像確認ソリューションビジネス」を始めとした事例が具体的にどのように進捗・収益貢献していくのかを注目していきたい。

     

1.会社概要

世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサー事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、産業用コンピュータの開発・製造・販売で豊富な実績を有するサンリツオートメイション(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。2020年12月末現在、海外28社を含む世界84拠点で事業を展開している。

 

オプテックス(株)

防犯・自動ドア等、各種センサーの開発・販売

オプテックス・エフエー(株)

光電センサー、変位センサー、産業用画像検査・計測装置の開発、販売

シーシーエス(株) 

画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売

サンリツオートメイション(株)

産業用コンピュータの開発・製造・販売

(株)スリーエース

各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発

オプテックス・エムエフジー(株)

グループ製品の製造・電子機器受託生産サービス

ジックオプテックス(株)

汎用型光電センサーの開発、独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社

技研トラステム(株)

客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売

(株)ジーニック

画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売

オーパルオプテックス(株)

会員制スポーツクラブおよび環境体験学習プログラムの運営

FIBER SENSYS INC.(米国)

光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売

FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国)

遠隔画像監視による警備会社

RAYTEC LIMITED.(英国)

監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売

Gardasoft Vision Limited(英国)

マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売

 

【1-1 沿革】

1979年5月、京都の防犯機器メーカーでセキュリティ用センサー開発に取り組んでいた小林徹氏(現取締役相談役)が「自分たちの作るものが世間でどこまで認められるか試してみたい」というチャレンジ精神からオプテックス株式会社を設立。
同年11月には、「世界初の遠赤外線自動ドアセンサー」を開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサーは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサーでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約50%)。
その後も独自のアイデアとそれを実現する技術力で、セキュリティ、自動ドア、産業機器向けに様々な製品を開発する。

 

1980年代には、海外にも進出。光などの外乱要因によって誤報しやすいため屋外には設置不可能と考えられていた遠赤外線センサーを独自技術によって利用可能とした屋外用赤外線センサー「VX-40」が欧州市場中心に高く評価され、屋外用侵入検知センサー世界シェアNo.1へと成長する。
業容の拡大を背景に1991年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、2003年には東証1部に指定替えとなった。

 

近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、2008年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。2010年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、2012年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。
また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNo.1のシーシーエス株式会社を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。
次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行。
2019年3月には小國勇氏が代表取締役社長兼CEOに就任。

 

2020年12月には産業用コンピュータシステムの開発・製造・販売で豊富な実績を有するサンリツオートメイション株式会社を子会社化。2021年2月に2023年度を最終年度とする3か年の中期経営計画を発表。計画達成への施策としてビジネスモデルの変革やソリューション提案力強化を推進しており、グローバルニッチNo.1企業として更なる成長を目指している。

 

【1-2 事業内容】

事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS事業」、産業機器用センサー、画像処理用LED照明装置、産業用コンピュータにより製造ラインの自動化・省人化・効率化を図る「IA事業」、中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発を手掛ける「その他事業」に分かれる。2021年12月期第1四半期より同セグメント区分に変更。

 

事業セグメント

事業内容

SS事業

防犯関連

主な製品は、屋内外で使われる各種センサー、ワイヤレスセキュリティシステム、LED照明制御システム等。屋外用センサーでは、世界でもトップクラスのシェアを有している。近年では、マイクロウエーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

自動ドア関連

世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサーを開発した。

主な製品は、自動ドア開閉用センサー、工場向けシャッター用センサー、ワイヤレスタッチスイッチ等。

その他

水質計測機器、交通機器(安全運転支援ツール)、客数情報システム、画像処理関連等の開発・販売

IA事業

FA関連

主な製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に、海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域でOEM販売、自社ブランドでは国内・アジア・北米と幅広い地域で販売されている。

MVL関連

画像処理用LED照明事業で世界でもトップクラスのシェアを有している。周辺機器、ソフトウェア関連企業などと連携し、「ベストソリューション」を提供。

IPC関連

産業用コンピュータの開発・製造・販売で豊富な実績を有する。産業用組み込みコンピュータの「ハードウェア」と「ソフトウェア」、その両方が必要となる装置・システムの開発を得意とする。

EMS事業

中国工場で展開する電子機器受託生産サービス

その他事業

スポーツクラブ運営、アプリケーション・デジタルコンテンツの開発

*SS: Sensing Solution、IA:Industrial Automation、FA:Factory Automation、MVL:Machine Vision Lighting、IPC:Industrial PC 、EMS:電子機器受託生産サービス。

 

【1-3 強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

 

ノイズ対策技術

・数々のノイズを極小化するハードウエア設計

・独自に定めた幾多の環境評価を行ない、クリアしたもののみ製品化

緻密な光学設計

・光学シミュレーションを駆使し、抜けの無い高密度エリアを実現

・小型化を追求するためのパッケージング化技術

信頼性公的規格遵守

・あらゆるグローバルスタンダードに適合、及び準拠

・各業界で定めた規格、ガイドラインへの適合、及び準拠

(CEマーキング、EN規格[TUV認定]、ANSI規格、JIS規格等)

環境配慮設計

・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現

・RoHS指令適合、無鉛はんだ化

・使用時のCO2の影響を最小化する設計

安心、安全制御

・システムの機能をダウンさせない為のセンサーの異常時や故障時の自己診断、及びフェールセーフ機能の採用

・機能を維持する為の、予防保全策の提案

独自のセンシングアルゴリズム

・ハードウエアで抑えきれないノイズの影響をカット、意図した事象のみの検出、精査、解析を図る為の独自のアルゴリズム

・フィールドでの性能を維持する為の各種自動補正機能

 

【1-4 ROE分析】

 

11/12期

12/12期

13/12期

14/12期

15/12期

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

20/12期

ROE(%)

6.0

4.6

8.2

8.6

8.7

7.4

12.6

12.3

6.8

4.3

 売上高当期純利益率(%)

5.58

3.99

6.87

7.39

7.38

5.83

9.03

9.41

5.86

4.00

 総資産回転率(回)

0.85

0.91

0.92

0.89

0.91

0.91

0.95

0.95

0.86

0.76

 レバレッジ(倍)

1.27

1.28

1.30

1.31

1.30

1.41

1.48

1.38

1.35

1.41

 

早期に目標とする10%以上への復活を目指している。

 

 

【1-5 ESGの取り組み】

多様なステークホルダーとの信頼関係構築が企業価値向上のために不可欠と考える同社は、ESG情報開示を更に充実させる必要があると考えウェブサイトに「ESG情報」( https://www.optexgroup.co.jp/esg/stakeholder.html )を掲載しているほか、(株)インベストメントブリッジを通じ「ESG Bridge Report」を発行している。
持続的な成長のためのマテリアリティを特定し、今後の課題と取り組みにも言及している。
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2021/05/210511_6914.html

 

2.2021年12月期第1四半期決算概要

(1)業績概要

 

20/12期1Q

構成比

21/12期1Q

構成比

前年同期比

売上高

8,801

100.0%

10,974

100.0%

+24.7%

売上総利益

4,767

54.2%

5,808

52.9%

+21.8%

販管費

4,212

47.9%

4,482

40.8%

+6.4%

営業利益

555

6.3%

1,326

12.1%

+139.0%

経常利益

604

6.9%

1,582

14.4%

+161.8%

四半期純利益

356

4.0%

1,057

9.6%

+197.0%

 *単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

大幅な増収増益
売上高は前年同期比24.7%増の109億74百万円。IA事業・FA関連を中心とした既存事業の伸長に加え、前期子会社化したサンリツオートメイションが寄与した。
営業利益は同138.9%増の13億26百万円。粗利率は低下したが増収により売上総利益が増加。販管費の増加を吸収した。

 

◎四半期動向

 

四半期ベースでも前期比、前年同期比とも大幅な増収増益。コロナ禍前の水準を上回っている。

 

◎地域別動向

 

20/12期1Q

構成比

21/12期1Q

構成比

前年同期比

連結売上高

8,801

100.0%

10,974

100.0%

+24.7%

国内

4,058

46.1%

5,298

48.3%

+30.6%

海外

4,743

53.9%

5,676

51.7%

+19.7%

 米州

1,093

12.4%

1,140

10.4%

+4.3%

 欧州

2,674

30.4%

3,036

27.7%

+13.5%

 アジア

976

11.1%

1,500

13.7%

+53.7%

*単位:百万円。

 

国内外とも2ケタの増収。米国は微増収も中国を中心にアジアが大きく伸長した。

 

◎平均為替レート

 

20/12期1Q

21/12期1Q

米ドル

108.92円

105.90円

ユーロ

120.11円

127.69円

 

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

20/12期1Q

構成比

21/12期1Q

構成比

前年同期比

SS事業

4,537

51.6%

4,898

44.6%

+8.0%

IA事業

4,046

46.0%

5,806

52.9%

+43.5%

EMS事業

98

1.1%

156

1.4%

+59.4%

その他

119

1.4%

113

1.0%

-5.0%

連結売上高

8,801

100.0%

10,974

100.0%

+24.7%

SS事業

370

8.2%

696

14.2%

+87.9%

IA事業

337

8.3%

735

12.7%

+118.3%

EMS事業

-57

-

22

14.1%

-

その他

-5

-

-18

-

-

調整額

-89

-

-109

-

-

連結営業利益

555

6.3%

1,326

12.1%

+139.0%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率。

 

②セグメント・地域別動向

 

20/12期1Q

構成比

21/12期1Q

構成比

前年同期比

SS:防犯

3,062

100.0%

3,274

100.0%

+6.9%

日本

589

19.2%

649

19.8%

+10.2%

AMERICAs

567

18.5%

578

17.7%

+1.9%

EMEA

1,653

54.0%

1,778

54.3%

+7.6%

アジア

253

8.3%

269

8.2%

+6.3%

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

1,042

100.0%

1,089

100.0%

+4.5%

日本

510

48.9%

560

51.4%

+9.8%

AMERICAs

282

27.1%

261

24.0%

-7.4%

EMEA

227

21.8%

241

22.1%

+6.2%

アジア

23

2.2%

27

2.5%

+17.4%

 

 

 

 

 

 

IA:FA

1,562

100.0%

2,106

100.0%

+34.8%

日本

900

57.6%

912

43.3%

+1.3%

AMERICAs

23

1.5%

39

1.9%

+69.6%

EMEA

366

23.4%

523

24.8%

+42.9%

アジア

273

17.5%

632

30.0%

+131.5%

 

 

 

 

 

 

IA:MVL

2,485

100.0%

2,723

100.0%

+9.6%

日本

1,490

60.0%

1,496

54.9%

+0.4%

AMERICAs

221

8.9%

256

9.4%

+15.8%

EMEA

428

17.2%

494

18.1%

+15.4%

アジア

346

13.9%

477

17.5%

+37.9%

 

 

 

 

 

 

IA:IPC

-

-

977

100.0%

-

日本

-

-

971

99.4%

-

AMERICAs

-

-

6

0.6%

-

 

 

 

 

 

 

EMS

98

100.0%

157

100.0%

+60.2%

日本

67

68.4%

103

65.6%

+53.7%

アジア

31

31.6%

54

34.4%

+74.2%

*単位:百万円

 

◎SS事業
増収増益。
(防犯関連)
増収
*日本 :警備会社向けおよび大型重要施設向け屋外警戒用センサー販売が順調に推移し増収。
*AMERICAs :一般住宅及び事業所向けの販売は伸び悩んだものの、大型重要施設向け屋外警戒用センサーの販売が堅調に推移し増収。
*EMEA :欧州の販売子会社による大型重要施設向けセンサー及び南欧地域での一般住宅向け屋外警戒用センサーの販売が順調に推移し増収。
*アジア :インド、東南アジアで警戒用センサーの販売が堅調に推移し増収。

 

(自動ドア関連)
増収
*日本 :生活必需品を取り扱う店舗の底堅い需要により、自動ドアディーラー向けの販売が順調に推移し増収。
*AMERICAs :北米大手自動ドアメーカー向けの販売が物流混乱や部品不足の影響により伸び悩み減収
*EMEA :欧州大手自動ドアメーカー向けの販売が堅調に推移し増収。

 

◎IA事業
増収・増益
(FA関連)
増収
*日本 :食品業界向けは伸び悩んだものの、電気・電子・半導体関連投資向けの販売が堅調に推移し前年同期並み。
*EMEA :電子部品向けの変位センサーの販売が順調に推移し大幅な増収。
*アジア:中国の旺盛な設備投資需要により変位センサー等の販売が順調に推移し大幅な増収。

 

(MVL関連)
増収
*日本 :自動車業界向けの販売が伸び悩んだものの、電気・電子・半導体関連投資向けの販売が順調に推移し前年同期並み。
*AMERICAs :北米地域での医療業界向けの継続案件及び半導体関連投資向け受注により増収。
*EMEA :欧州の経済活動回復と米国への製品展開でフランス子会社の販売が拡大し増収。
*アジア:中国で半導体関連投資向けの販売が拡大し大幅な増収。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

20/12末

21/3末

 

20/12末

21/3末

流動資産

33,067

35,095

流動負債

11,421

12,595

現預金

14,583

14,948

仕入債務

1,961

2,682

売上債権

8,305

9,451

短期借入金

6,420

6,391

たな卸資産

8,318

8,672

固定負債

3,343

3,373

固定資産

14,323

14,665

長期借入金

232

168

有形固定資産

6,167

6,576

退職給付に係る負債

1,289

1,281

無形固定資産

3,742

3,608

負債

14,765

15,968

投資その他の資産

4,413

4,481

純資産

32,625

33,792

資産合計

47,390

49,761

負債・純資産合計

47,390

49,761

*単位:百万円

 

売上債権増などで資産合計は前期末比23億70百万円増加の497億61百万円。
仕入債務増などで負債合計は同12億3百万円増加の159億68百万円。
利益剰余金の増加などで純資産は同11億67百万円増の337億92百万円。
自己資本比率は前期末比1.0ポイント低下の67.4%となった。

 

3.2021年12月期業績予想

(1)業績予想

 

20/12期

構成比

21/12期(予)

構成比

前期比

対上期進捗率

対通期進捗率

売上高

34,846

100.0%

40,000

100.0%

+14.8%

57.8%

27.4%

営業利益

2,098

6.0%

3,000

7.5%

+43.0%

132.6%

44.2%

経常利益

2,176

6.2%

3,200

8.0%

+47.1%

137.6%

49.4%

当期純利益

1,395

4.0%

2,200

5.5%

+57.7%

151.0%

48.0%

 *単位:百万円

 

業績予想に変更無し。増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比14.8%増の400億円、営業利益は同43.0%増の30億円の予想。
全セグメントで増収。子会社化したサンリツオートメイション社は約30億円の売上寄与。
地域別には国内および中国を中心としたアジアが牽引する。
配当は前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は49.3%。

 

◎地域別動向

 

20/12期

構成比

21/12期(予)

構成比

前期比

対上期進捗率

対通期進捗率

連結売上高

34,846

100.0%

40,000

100.0%

+14.8%

57.8%

27.4%

国内

15,494

44.5%

19,217

48.0%

+24.0%

57.5%

27.6%

海外

19,352

55.5%

20,783

52.0%

+7.4%

58.0%

27.3%

 米州

4,402

12.6%

4,619

11.6%

+4.9%

52.1%

24.7%

 欧州

10,428

29.9%

10,937

27.3%

+4.9%

56.0%

27.8%

 アジア

4,522

13.0%

5,227

13.1%

+15.6%

68.9%

28.7%

*単位:百万円。

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上動向

 

20/12期

構成比

21/12期(予)

構成比

前期比

対上期進捗率

対通期進捗率

SS事業

17,398

49.9%

18,481

46.2%

+6.2%

55.7%

26.5%

IA事業

16,488

47.3%

20,509

51.3%

+24.4%

59.8%

28.3%

EMS事業

472

1.4%

442

1.1%

-6.4%

71.6%

35.3%

その他

488

1.4%

568

1.4%

+16.4%

41.1%

19.9%

連結売上高

34,846

100.0%

40,000

100.0%

+14.8%

57.8%

27.4%

*単位:百万円。

 

②セグメント・地域別売上動向

 

20/12期

構成比

21/12期(予)

構成比

前期比

対上期進捗率

対通期進捗率

SS:防犯

11,549

100.0%

12,245

100.0%

+6.0%

55.6%

26.7%

日本

2,312

20.0%

2,498

20.4%

+8.0%

56.4%

26.0%

AMERICAs

2,255

19.5%

2,430

19.8%

+7.8%

49.9%

23.8%

EMEA

5,752

49.8%

5,984

48.9%

+4.0%

60.5%

29.7%

アジア

1,230

10.7%

1,333

10.9%

+8.4%

42.2%

20.2%

 

 

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

3,938

100.0%

4,099

100.0%

+4.1%

55.7%

26.6%

日本

2,030

51.5%

2,071

50.5%

+2.0%

57.1%

27.0%

AMERICAs

999

25.4%

1,066

26.0%

+6.7%

52.6%

24.5%

EMEA

783

19.9%

820

20.0%

+4.7%

58.6%

29.4%

アジア

126

3.2%

142

3.5%

+12.7%

40.3%

19.0%

 

 

 

 

 

 

 

 

IA:FA

7,307

100.0%

7,451

100.0%

+2.0%

59.8%

28.3%

日本

3,436

47.0%

3,210

43.1%

-6.6%

50.8%

28.4%

AMERICAs

109

1.5%

159

2.1%

+45.9%

56.5%

24.5%

EMEA

2,264

31.0%

2,192

29.4%

-3.2%

48.3%

23.9%

アジア

1,498

20.5%

1,890

25.4%

+26.2%

110.3%

33.4%

 

 

 

 

 

 

 

 

IA:MVL

9,181

100.0%

9,927

100.0%

+8.1%

57.9%

27.4%

日本

5,233

57.0%

5,588

56.3%

+6.8%

58.9%

26.8%

AMERICAs

1,039

11.3%

964

9.7%

-7.2%

55.2%

26.6%

EMEA

1,629

17.7%

1,941

19.6%

+19.2%

49.9%

25.5%

アジア

1,280

13.9%

1,434

14.4%

+12.0%

67.4%

33.3%

 

 

 

 

 

 

 

 

IA:IPC

0

-

3,131

100.0%

-

65.5%

31.2%

日本

0

-

3,131

100.0%

-

65.1%

31.0%

AMERICAs

0

-

0

0.0%

-

-

-

 

 

 

 

 

 

 

 

EMS

472

100.0%

442

100.0%

-6.4%

72.0%

35.5%

日本

338

71.6%

313

70.8%

-7.4%

69.6%

32.9%

アジア

134

28.4%

129

29.2%

-3.7%

77.1%

41.9%

*単位:百万円

 

4.中期経営目標の中心施策 ~「モノ売り」から「コト売り」への変革~

(1)中期経営目標

グループ経営理念である「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す!」の下、中期経営目標として、22年12月期 連結売上高営業利益率10%以上を目指し固定費の圧縮を継続し、一人当たり利益を向上させ、売上10%成長の力をつけ、2023年12月期に売上高500億円に再挑戦する。
CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)導入などグループ本社機能強化により、グループ全体の間接コスト増加を抑制。
既存事業拡大、新規事業推進により、再び成長軌道に乗せる。

 

 

(2)中心施策 ~「モノ売り」から「コト売り」~

中期経営計画達成のための中心的な施策が 「モノ売り」から「コト売り」へのビジネスモデルの変革である。
各事業における 「モノ売り」から「コト売り」への変革は以下の通り。

 

①SS事業:防犯関連
米国のベンチャー企業チェクト社とのアライアンスにより欧米でのシェア拡大を目指し、「画像確認ソリューションビジネス」を展開している。

 

(概要)

オプテックスグループが得意とする屋外センサーと既存カメラシステムを連携させることができる新たなソリューション。

侵入者をセンサーが捉え、その時の映像をチェクト製の「ブリッジ」と呼ばれるゲートウェイを通じて警備会社へリアルタイムで送信。

警備会社の監視員は現場から送られてきた画像を見て、警察に出動依頼をするか否かを判断する。

悪意がある侵入者なのか判断しかねる場合は、予め連絡先を登録してある警備契約先の会社の総務担当者のスマートフォンに画像を転送して、判断を仰ぐ。

総務担当者は画像確認したうえで、出動要・不要のボタンで警備会社へ回答。不要の場合、警備会社は警察へ出動を依頼しない

このシステムにより、警備会社から警察への本来不要な出動依頼をなくすことができるため、警察は検挙率の向上、警備会社はサービス向上による月々の警備料金の上乗せ、エンドユーザーは不要な警察出動による罰金の回避が可能である。

機器の販売によるフロー収益に加え、ストック収益であるシステム使用料が同社の収益となる。

 

(同社資料より)

 

②SS事業:自動ドア関連
国内シェア50%という優位性を活かしてデータサービスビジネスを展開する。

 

◎国内初の自動ドアデータプラットフォームの提供
自動ドアから得られるデータ(稼働情報、速度などの各種設定値、エラー情報)を提供する「自動ドアデータプラットフォーム」を提供している。

 

(概要)

自動ドアシステムにIoT技術を組み合わせ、データを伝送するゲートウェイ、設定アプリ、各種データ保存サーバーで構成された自動ドアデータプラットフォーム

収集したデータを活用することで、現場から離れた場所でも自動ドアの利用状況がリアルタイムに可視化でき、機器や設備の予防保全や保守サポートの効率化を図ることが可能。自動ドア本体やセンサーなどの接続機器の稼働状態、開閉回数などを取得し、リアルタイムに自動ドアの異常や故障を監視することができる国内初のデータサービスである。

各種自動ドアシステムから取得したデータをオプテックスのサーバーを介し自動ドア装置の販売、施工、保守メンテナンスを行うフルテック株式会社(東証1部、6546)のサーバーに送信、そのデータを活用して故障、予兆、保全対応を行う。

現在、自動ドアは継続的な維持管理のために、定期的に担当者が現場に出向き確認・点検を行っているが、今回のシステムを導入することで、遠隔でリアルタイムに現場の状況が把握でき、効率的なメンテナンスを実現できる。

今後3年間で累計3億円の販売を目標としている。

 

(同社資料より)

 

◎自動ドアセンサーを活用したシェアリングサービス「OMNICITY」
ビーコン機能を搭載した自動ドアセンサーを活用したシェアリングサービス「OMNICITY」の運用を2021年2月より開始した。

 

(概要)

国内の様々な商業施設や店舗の入り口の自動ドア100万か所に同社のセンサーが設置されている。

エントランス周辺は、1 日数千万人の人々が行き交っており、通行者が持っているスマートフォンに情報配信できるビーコン機能を搭載したセンサーを利用し、来店者の趣味・嗜好に合わせた広告やクーポン券を配信し購買を促す。

全国に200万台設置されている自動ドアセンサーからビーコン機能付き自動ドアセンサーへの切り替えを働きかけていく。また、店舗以外の建物や駐車場などさまざまな屋外空間に設置された同社センサーへの展開や他社センサーとの連携を図り、オムニシティのスポットを広げていく。

2023 年までに100 万か所まで拡大する予定。

店舗と広告会社等の間のマッチングを担い、マッチングが成立すれば月額で継続収入を得る。極めて高い収益性が期待できる。

 

 

(同社資料より)

 

③IA事業:FA関連
世界No.1センサーメーカーSICK社との協業を更に推進する。

 

(概要)

センサーの一元管理を行いインダストリー4.0に対応する「IO-Linkセンサー」と「IO-Linkゲートウェイ」を発売している。

センサーと上位の制御システムとの間で各種データ交換を双方向に行える通信技術であるIO-Linkにより、各種機器の状況を遠隔で把握し、耐久期限を予知したり、故障時に最短で復旧したりする。

世界No.1センサーメーカーであるSICK社との協業を活用し普及を促進する。

(同社資料より)

 

④IA事業:MVL関連
AIとロボットを活用したトータルソリューションを提案する。

 

(概要)

「ユーザーは照明電源が欲しいのではなく「見える!」,「出来る!」が欲しい」との基本アイデアの下、照明、電源に、カメラ、レンズを付加したソリューションの提供に加え、更にボード、画像処理ソフト、AI、ロボットを組み合わせたさらに拡張したソリューションの構築、提案ステージの引き上げを目指している。

その実現のため、複数の電源メーカー、カメラメーカー、レンズメーカー、AIベンダー、ロボットメーカーとのアライアンスを進めている。

顧客のための検査環境を再現するテスティングルーム、AIラボ、ロボティクスルームを国内外に設置し、検査プロセスにおけるトータルソリューションベンダーを目指している。2,500億円といわれる目視検査市場の開拓を進める。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

FA関連の中国市場での伸長を主要因に、2ケタ増収・大幅な増益となった。前期低調であった防犯関連も欧州含め各地域堅調で、2021年12月期はまずは好スタートを切った格好だ。各利益とも上期予想を超過しており、特段事業環境に大きな変化が無い限りは少なくとも上期上方修正の可能性が高いであろう。

 

一方、今期は、売上高500億円へ再チャレンジする第一歩の年となる。「モノ売りからコト売り」への事業モデルの変革がカギとなるが、外部環境の追い風に加え、自社の競争優位性を発揮して「画像確認ソリューションビジネス」を始めとした5つのケースが具体的にどのように進捗・収益貢献していくのかを注目していきたい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2021年3月26日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主、投資家をはじめ、顧客、社会からの信頼を獲得しつつ、継続的に企業価値を向上させることが最大の使命であると認識しております。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、経営の透明性向上と、公正かつ迅速な意思決定を伴う経営システムの維持及び経営監視機能の強化を目指しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、ガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

当社は、当社グループの事業戦略上において、取引関係の強化と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、取締役会での審議・決議を経て取得し、保有いたします。また、保有する株式につきましては、毎年取締役会においてその意義について検証を行い、目的とする合理的価値が乏しいと判断した場合には、市場動向等を勘案して売却し、縮減に努めております。

 

 現在当社が保有する政策保有上場株式 : 1銘柄 55百万円(貸借対照表計上額)

 

 なお、保有する株式の議決権行使については、当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するか、株主価値が大きく毀損されないかを判断基準として個別に精査し、総合的に判断して賛否を決定します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、広報IR部門を設置しており、株主の皆様との積極的かつ建設的な対話をなし得るよう、当社の経営方針や経営状況について判りやすい説明をするよう努めております。また、代表取締役社長、担当役員、広報IR担当者は、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を計画的に実施しており、機関投資家からの面談には随時対応しております。

定時株主総会においては、多様な株主様のご出席を賜われるよう会場を設定して、その終了後には、今後の当社方針をご理解いただけるように「株主説明会」「株主懇親会」を実施しております。

※第42回定時株主総会におきましては、「新型コロナウイルス」の感染拡大予防の観点から、「株主懇親会」を中止といたしました。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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