ブリッジレポート
(2462) ライク株式会社

プライム

ブリッジレポート:(2462)ライク 2021年5月期第3四半期決算

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岡本 泰彦 社長

ライク株式会社(2462)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長

岡本 泰彦

所在地

東京都渋谷区道玄坂一丁目12番1号 渋谷マークシティ ウェスト17階

決算月

5月末日

HP

https://www.like-gr.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,354円

19,095,584株

44,951百万円

18.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

42.00円

1.8%

136.16円

17.3倍

529.94円

4.4倍

*株価は5/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE・BPSは20年5月期実績、EPS・DPSは21年5月期予想、数値は四捨五入。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

31,844

953

1,426

1,795

97.67

40.00

2017年5月(実)

40,051

1,524

2,493

810

43.27

36.00

2018年5月(実)

45,663

1,915

3,889

1,532

81.49

29.00

2019年5月(実)

47,797

1,746

3,753

1,595

84.58

26.00

2020年5月(実)

51,072

2,000

4,067

1,793

94.41

28.00

2021年5月(予)

54,000

3,150

4,700

2,600

136.16

42.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、EPS・DPSは円。2016年5月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2017年9月、1株を2株に分割。EPSは株式分割を反映。

 

2021年5月期第3四半期決算の概要と2021年5月期の見通しについて、ブリッジレポートにてお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年5月期第3四半期決算
3.2021年5月期業績予想
4.今後の注目点
参考:コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 21/5期3Q累計は前年同期比4.8%増収、84.2%経常増益。子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業は増収。総合人材サービス事業ではコロナ禍の中、社会になくてはならないことにこだわり事業領域を転換したことなどにより、微減収にとどめた。利益面では売上総利益率が前年同期15.3%から16.1%に改善、販管費の上昇も抑え、子育て支援サービス事業、総合人材サービス事業、介護関連サービス事業がいずれも2桁増益となり、上期に続き大幅な増益を実現した。

     

  • 通期予想は7月22日に開示した各利益を上方修正した。21/5期は5.7%増収、15.5%経常増益を計画する。子育て支援サービス事業において、適正利益での受注・運営に拘り採算の改善に注力したこと、新しい生活様式に伴い、業務委託費等の売上原価が圧縮されたこと、また、採用効率の向上により販管費が減少したことにより上方修正となった。子育て支援サービス事業では4月1日に東京都・神奈川県で新たに17施設の運営を開始、介護関連サービス事業でも3月に新たに1施設を開設した。配当についても上方修正、通期で前期比14.0円増配の42.0円を見込む。

     

  • コロナ禍の中、上期に続き3Qも堅調な推移となった。「なくてはならない」にこだわった戦略が引き続き功を奏している。中期経営計画ではEPSでは200~250円程度が想定される。来期を見据えると、子育て支援サービス事業や介護関連サービス事業における新規開設の通年寄与が見込まれる。さらには、新型コロナワクチンの浸透などを踏まえると、これまで着々と準備を進めてきた外国人材就労支援サービスの本格貢献も期待される。労働力需給が逼迫しているマーケットで「なくてはならない」にこだわることで死角は見当たらない。こうした中、M&Aや新たな事業展開によるプラスアルファに期待したいところ。PERは20倍割れ、足元の基盤の堅さやこれらプラスアルファを考慮すると評価不足と考える。

     

1.会社概要

「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をグループの経営理念として掲げ、ゆりかごからハッピーエンディングまで、人生のどの段階においても「なくてはならない企業グループ」を目指して、保育・人材・介護サービスを営んでいる。

(同社HPより)

 

【1-1 沿革】

1993年パッケージ旅行の企画事業を目的として設立。現在の主要事業の足掛かりとなったのは98年に開始した総合人材サービス事業。05年にマザーズへ上場、07年には東証一部へ市場変更。09年には持株会社体制に移行し、買収を通して保育サービス、介護サービスへ事業領域を拡大させている。

(同社資料より)

 

【1-2 事業セグメントとライクグループ】

事業セグメントは、公的保育施設運営と受託保育の子育て支援サービス事業、人材派遣、業務受託、紹介予定派遣・職業紹介、及び採用・教育支援等の総合人材サービス事業、介護施設運営の介護関連サービス事業に分かれる。

(同社資料より)

 

グループは、純粋持株会社である同社の他、連結子会社5社及び持分法非適用関連会社1社。連結子会社は、ライクキッズ(株)とその傘下で受託保育事業と公的保育事業(認可保育園等の運営)を手掛けるライクアカデミー(株)、人材派遣や業務受託、紹介予定派遣・職業紹介等の総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップ運営を手掛けるライクスタッフィング(株)、物流・製造業界向け人材サービス事業を行うライクワークス(株)、及び介護施設運営のライクケア(株)。この他、ライクスタッフィング(株)が20%、携帯電話販売代理店最大手の(株)ティーガイア(東証1部:3738)が80%、それぞれ出資する合弁会社(株)キャリアデザイン・アカデミーが、法人顧客向け研修サービスを提供している。

【1-3 中期経営計画】

1月に新たな中期経営計画を策定した。新型コロナウイルス感染症の影響も鑑み、最終年度である25/5期の計画をレンジで開示した。

(同社資料より)

 

中期経営計画策定の背景
保育・人材・介護を軸とする事業を通して、社会課題の解決に取り組む

待機児童の

解消

女性活躍の

推進

労働人口の

増加

介護離職の

解消

介護需要

への対応

・・・

新型コロナウイルス感染症の拡大により世の中が激変する中、全ての事業が改めて社会インフラとして認識され、必要とされている既存サービスを継続・拡大することはもちろんのこと、新たな需要も生まれている。

事業を通して持続可能な未来を創造するため、

2025年5月期までの方針を定め、計画の達成に邁進

 

中期経営計画達成のための重要な取り組み

ESGへの取り組み

グループが事業を通して社会課題を解決し続けていくためには、持続可能な未来を創造することが前提。
「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」への取り組みを強化。
Environment
➢ 「再エネ100宣言RE Action」に参加。
➢ 2050年までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギーに転換することを目標に設定(30年までに40%転換)。
➢ 事業活動を通じて環境教育の振興を推進し、持続可能な社会を支える人材の育成に貢献。
➢ 事業活動を通じて環境への負荷の低減に注力するとともに、循環経済の実現を目指す。
➢ CO₂の排出量を削減し、脱炭素社会の構築に貢献。
➢ 環境配慮型経営に取り組み、広く環境の保全に貢献。
➢ ESG関連の課題解決に取り組む企業を応援。
Social
➢ グループの事業そのものが社会課題の解決を推進
Governance
➢ 社外取締役比率50.0%
➢ 女性取締役比率33.3%
➢ グループの役員、従業員及びサービス利用者が、常に公正で機能的な行動をとることができるよう、持株会社体制であることを活かし、コンプライアンス体制を持株会社に集約し、持株会社の機能をグループ全体の経営管理に集中させることにより、グループ全体のコーポレート・ガバナンスの強化を図る。

 

DX戦略の策定

変わらず必要とされているサービスを安定して提供し続けるとともに、新しく生まれた需要に応えるためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、新たなサービスや事業を創出することが不可欠。
☆既存サービスのアップデート
リアルからデジタルへの置換 × 顧客満足度の最大化
デジタル技術によるアップデートを実現し、企業価値を向上

 

☆業界への影響力を活かしたデジタル化の推進
保育・人材・介護の全ての事業において、事業規模は業界のトップクラス
デジタル技術による業務効率化のモデルケースになることで、業界全体のデジタル化を加速

 

☆データの利活用による新たな価値の創造
保護者・子ども、求職者・スタッフ、入居者・家族等へのサービス提供により得られるデータ
社会になくてはならない新たなサービス・事業を創出

 

☆デジタル技術由来の新たな価値の創造
距離・時間といった制限により提供できなかったサービス
社会になくてはならないサービス・事業をデジタル技術により実現

 

M&A・事業提携

人材事業での基幹ビジネスを構築後、M&A・事業提携により保育、介護、と事業を拡大、人材事業でも領域を拡大してきたことから、積極的に取り組み。
人材確保や後継者問題、経営体制等に課題を抱える保育・介護事業者をはじめ、主要事業に関連した案件の増加より、2025年5月期までに売上高が1,000億円を超えることも見据え、グループの体制を構築。

 

【1-4 株主優待】

「ライク・プレミアム優待倶楽部」を提供。
対象・・・毎年5月末現在の株主名簿に記載された、同社株式300株(3単元)以上を保有する株主。
内容・・・毎年7月に下表に基づいた株主優待ポイントを贈呈。特設インターネットサイト(https://like.premium-yutaiclub.jp)において、株主優待ポイントを、食品、電化製品、ギフト、雑貨など2,000種類以上の優待商品に交換。

(同社資料より)

 

「ライク・プレミアム優待倶楽部」は変更された(21年1月12日公表)
従来から付与ポイントは大幅アップされた。例えば、500株保有の場合、保有期間1年未満で従来の7,000ポイントから12,000ポイントへ、1年以上で従来の7,700ポイントから15,000ポイントへの大幅アップとなっている。

 

 

2.2021年5月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

20/5期 3Q累計

構成比

21/5期 3Q累計

構成比

前年同期比

売上高

37,483

100.0%

39,265

100.0%

+4.8%

売上総利益

5,725

15.3%

6,340

16.1%

+10.7%

販管費

4,410

11.8%

4,519

11.5%

+2.5%

営業利益

1,314

3.5%

1,820

4.6%

+38.4%

経常利益

1,452

3.9%

2,674

6.8%

+84.2%

親会社株主に帰属する四半期純利益

680

1.8%

1,431

3.6%

+110.2%

単位:百万円。
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比4.8%の増収、同84.2%の経常増益
売上高は前年同期比4.8%増の392億65百万円。国内経済においては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって緊急事態宣言が再発令される等、経済活動の下振れ懸念は払拭されず、依然として見通しの立たない厳しい状況にある。こうした中、同社グループにとっては運営する事業の社会的意義を再認識する大きな契機となった。事業の成長が社会課題の解決に直結しているからこそ、社会から真に必要とされる「なくてはならない企業グループ」を体現できると信じ、一層、事業の運営に注力した。事業所内保育施設・認可保育園・学童クラブや有料老人ホーム等の施設運営においては、預かる子どもや 利用者の安心・安全を最優先に考え、行政機関・自治体との連携のもと、各種感染症対策を徹底的に実施する等、社会インフラである保育・介護事業の堅確な運営に努めた。また、改めてモバイル、製造・物流、コールセンター、保育・介護、建設業界を生活に必要不可欠な事業領域と認識し、労働力確保を必要とするクライアント企業と求職者の「働く」をマッチングしたことで、就業人口の増加に寄与し、社会になくてはならない業界を支え続けた。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、総合人材サービス事業において、ファッション業界(アパレル・化粧品)やインバウンド系の製造における売上の減少や、販促イベントの中止等はあった。しかし、社会になくてはならないことにこだわり事業を展開してきたことから、前4Q中に注力業界を変更できたため、全体として新型コロナウイルス感染症拡大の業績への影響は軽微にとどまった。
利益面では、売上総利益率が前年同期15.3%から16.1%に改善した。販管費の増加を抑え、営業利益率が3.5%から4.6%に上昇、営業利益は前年同期比38.4%増の18億20百万円となった。いずれの事業も2桁増益。営業外では設備補助金収入が増加したことにより経常利益は前年同期比84.2%増の26億74百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同110.2%増の14億31百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

 

20/5期 3Q累計

構成比

21/5期 3Q累計

構成比

前年同期比

子育て支援サービス

16,317

43.5%

18,360

46.8%

+12.5%

総合人材サービス

15,728

42.0%

15,214

38.7%

-3.3%

介護関連サービス

5,195

13.9%

5,452

13.9%

+5.0%

その他

242

0.6%

238

0.6%

-1.7%

連結売上高

37,483

100.0%

39,265

100.0%

+4.8%

子育て支援サービス

408

22.2%

675

28.2%

+65.2%

総合人材サービス

1,193

64.9%

1,412

58.9%

+18.4%

介護関連サービス

214

11.6%

281

11.7%

+31.4%

その他

22

1.2%

29

1.2%

+33.9%

調整額

-523

-

-578

-

-

連結営業利益

1,314

-

1,820

-

+38.4%

単位:百万円。
*その他は報告セグメントに含まれない事業等
子育て支援サービス事業
売上高183億60百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益6億75百万円(同65.2%増)。
コロナ禍において、医療従事者・社会インフラを守る役割を担う人々の子どもを預かり、子育て支援サービスそのものが社会インフラ化している。
12月には、21年度から24年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を確保する目標を掲げた「新子育て安心プラン」が政府から発表された。ライクキッズ及びライクアカデミーにおいても、引き続き新規開設に注力している。また、保育士不足の状況下、ライクスタッフィングと連携して採用力強化はもちろん、現在ライクアカデミーの施設で働いている職員の定着こそが重要と考え、働きやすい環境整備に努めている。
コロナ禍においても高水準で推移する保育ニーズに合わせ、安心して子どもを預けることができるよう運営体制を強化することで、施設運営が順調に進捗した結果、上期に引き続き、前年比10%超の増収。適正利益での受注・運営に注力した結果、営業利益は大幅に伸びた。

 

 

コロナ禍においても、保育ニーズは高水準で推移。不安定な情勢の中でも、安定したサービスを提供できるよう運営体制を強化。今年4月の開設を含め、今期の認可保育園の新設数は12ヶ所(うち1ヶ所は区営から民営への変更、期間満了により認可保育園1ヶ所閉鎖)。

 

総合人材サービス事業
売上高152億14百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益14億12百万円(同18.4%増)。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、ライクスタッフィング及びライクワークスの事業領域であるモバイル、製造・物流、コールセンター、保育・介護、建設業界が、社会インフラを支える業界であることが再認識された。
モバイル業界においては、通信キャリア各社の価格競争が激化する中、店頭での販促活動やアフターフォロー対応のための人材需要は、引き続き高水準で推移している。また、各社の新プラン発表と手続きのオンライン化に伴い、コールセンターの人材需要も増加した。物流業界は、コロナ禍の巣ごもり需要から好影響を受け、引き続き売上が伸長した。慢性的に人手不足となっている保育・介護業界に対しては、ライクキッズ、ライクアカデミー及びライクケアで施設運営を行っているノウハウを採用力に繋げ、引き続き人材の紹介を行っている。
また、次の成長軸となる新規事業として、前期以前より強化を進めている建設業界向けサービス、外国人材就労支援サービスの拡大についても、引き続き注力している。
業界全体で高齢化が進んでいる建設業界向けサービスについては、施工管理者や現場監督(補助)、現場事務、BIM・CADオペレーター等の人材を採用している。業界での就業経験がなくても、社会人として働くことを学び、コミュニケーションが円滑に取れ、向上心のある若年層への需要が高まっている。その中で、同社グループの新卒社員のうち、自分が本当に就きたい仕事は何か、どのように成長していきたいのかを、同社グループで働くことで見つけ、ステップアップしていく「エキスパート職」が活躍している。
コロナ禍において、アパレル販売・モバイルのキャンペーンといった店舗での販促活動が変化。上期に引き続き、環境に合わせ、EC販売を支える物流・コールセンター、首都圏の開発が進む建設といった、社会インフラを支える、なくてはならない業界に注力した。

 

店舗販売を主流とするアパレル(前年同期比△880百万円)、モバイルキャンペーンでの売上減を、社会インフラを支える業界となった物流、コールセンター、建設等に転換できた結果、売上の減少幅を抑制した。
グループで運営する保育・介護施設の安定した高品質の運営体制に必須である人材を安定供給。
・ライクキッズ向け:191百万円(前年同期比△8百万円)
・ライクケア向け:160百万円(前年同期比+10百万円)

 

介護関連サービス事業
売上高54億52万円(前年同期比5.0%増)、営業利益2億81百万円(同31.4%増)。
24時間看護師が常駐し看取り介護を行っていることから、介護度が高く、自宅での介護が困難な入居者が多い。このため、コロナ禍においても入居率は高水準を保っている。

 

その他(マルチメディアサービス事業)
売上高2億37百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益28百万円(同35.3%増)。
マルチメディアサービス事業では、総合人材サービス事業におけるモバイル業界向けサービスのためのアンテナショップとして携帯電話ショップ1店舗を運営している。

 

(3)財政状態

◎財政状態

 

20年5月

21年2月

 

20年5月

21年2月

現預金

13,092

8,675

未払金

3,263

3,284

売上債権

4,258

3,644

未払法人税・消費税等

1,431

1,114

流動資産

19,617

13,580

受入入居保証金

976

901

有形固定資産

13,346

14,916

有利子負債(うちリース債務)

17,372(1,289)

16,534(2,112)

無形固定資産

1,554

1,198

負債

25,670

24,888

投資その他

5,305

5,273

純資産

14,154

10,079

固定資産

20,207

21,388

負債・純資産合計

39,825

34,968

単位:百万円。

 

3Q期末の総資産は前期末比48億56百万円減の349億68百万円となった。
流動資産は前期末比60億37百万円減の135億80百万円となった。これは、短期借入金の返済等に伴う現預金の減少44億16百万円、受取手形及び売掛金(売掛債権)の減少6億13百万円等があったことによるもの。
固定資産は前期末比11億81百万円増の213億88百万円となった。これは、子育て支援サービス事業における新規開園等に伴う有形固定資産の増加15億70百万円、のれんの償却に伴う減少3億33百万円等があったことによるもの。
流動負債は前期末比53億96百万円減の110億30百万円となった。これは、短期借入金の減少56億50百万円等があったことによるもの。
固定負債は前期末比46億15百万円増の138億58百万円となった。これは、長期借入金の増加37億96百万円、リース債務の増加8億22百万円等があったことによるもの。
純資産は前期末比40億75百万円減の100億79百万円となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上14億31百万円、配当金の支払5億52百万円、20年8月28日に連結子会社であるライクキッズの全株式を取得したことによる非支配株主持分の減少40億71百万円、非支配株主との取引に係る親会社の持分変動に伴う資本剰余金の減少9億57百万円等があったことによるもの。
自己資本比率は前期末比3.5ポイント増の28.8%となった。

 

3.2021年5月期業績予想

(1)連結業績

 

20/5期 実績

構成比

21/5期 予想

構成比

前期比

売上高

51,072

100.0%

54,000

100.0%

+5.7%

 子育て支援サービス

22,966

45.0%

26,123

48.4%

+13.7%

 総合人材サービス

20,814

40.7%

20,507

38.0%

-1.5%

 介護関連サービス

6,984

13.7%

7,100

13.1%

+1.7%

 マルチメディア他

307

0.6%

270

0.5%

-12.1%

営業利益

2,000

3.9%

3,150

5.8%

+57.5%

経常利益

4,067

8.0%

4,700

8.7%

+15.5%

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,793

3.5%

2,600

4.8%

+45.0%

単位:百万円

 

各利益を上方修正、21/5期は5.7%増収、15.5%経常増益を見込む
通期予想は7月22日に開示した各利益を上方修正した。21/5期は売上高が前期比5.7%増の540億円、経常利益は同15.5%増の47億円を計画する。子育て支援サービス事業において、適正利益での受注・運営に拘り採算の改善に注力したこと、新しい生活様式に伴い、業務委託費等の売上原価が圧縮されたこと、また、採用効率の向上により販管費が減少したことにより上方修正となった。
子育て支援サービス事業では4月1日に東京都・神奈川県で認可保育園8施設、児童館等5施設、病院内保育施設3施設、企業主導型保育施設1施設を新規開設し、新たに17施設の運営を開始した。また、介護関連サービス事業では新施設であるサンライズ・ヴィラ横浜東寺尾の開設準備も順調に推移し、3月1日に開設した。

 

期末配当についても従来予想15.0円から27.0円へ上方修正。通期では前期比14.0円増配の42.0円を見込む。尚、同社は配当性向30%程度を目安としている。

 

(2)事業別戦略

◎子育て支援サービス事業
子育て支援サービスの事業環境
保育所利用児童数は増加し、3年連続で待機児童数も減少したものの、内閣府が24年度に14.1万人分の保育の受け皿が不足すると推計。厚生労働省で21年度から24年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を確保する目標を掲げた「新子育て安心プラン」がまとめられる。

(同社資料より)

 

全国の待機児童数は12,439人。都市部を中心に待機児童数は依然として高水準で推移している。
首都圏、関西圏の待機児童数

首都圏 4,755人

・東京都  2,343人

・埼玉県  1,083人

・千葉県   833人

・神奈川県  496人

関西圏 2,620人

・大阪府  348人

・兵庫県 1,528人

・滋賀県  495人

・奈良県  201人

・京都府   48人

 

子育て支援サービスの事業方針
保護者・子どもにとって、なくてはならない存在へ

(同社資料より)

 

立地・ハード面等好条件での新規開設の強化

(同社資料より)

 

✓ 年20ヶ所ペースの認可保育園の新規開設実績で培ったデベロッパーとの良好な関係から、利便性の高い立地の物件を確保。内装面においても、社会のニーズを速やかに反映可能。

 

✓ 医療従事者や社会インフラを守る役割を担う人を中心に、人材確保に悩む事業者に対する事業所内保育をご提案することにより、働きやすい環境づくりを推進。

 

保護者・子どもに寄り添った付加価値の高いサービスの提供
○保護者と密接にコミュニケーションを取り更なるニーズに応えることを目的としたアプリを開発
【搭載予定の機能】
写真販売、持ち帰りづらかったり購入できるところが限られていたりする保育必需品等の販売、利用者を制限し安心して利用できるリユース品の売買、英語等の通信教育、等
 
○新しい生活様式の中でも、保護者・子どものニーズに適う新しい保育サービスを提供
  「保育のひきだし」YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCbQak-4Wmmm9j7D-F9OxMoA/featured

 

○新しい生活様式により相談するところが少なくなった保護者を臨床心理士がweb上でサポート
「臨床心理士寄り添い窓口」
https://www.like-kn.co.jp/academy/yorisoi-madoguchi.html

 

新規開設と付加価値の高いサービスを支える人材の採用・育成

 

 

 

 

➢ 保育職から他職種への転換が一般的でない保育士を、総合職として採用し、運営の中核を担う管理職を育成。新たな給与体系や研修制度等を設け、キャリア形成の支援を実施

➢ ライクスタッフィングの採用・就業後フォローのノウハウを活かし、採用力の強化、定着率の向上を図る

➢ グループ内での積極的な人事交流によりノウハウを共有、マッチング力を強化

➢ 研修コンテンツのグループ共有による人材の創出に注力

 

(同社資料より)

 

◎総合人材サービス事業
総合人材サービスの事業環境
20年10~12月期において、労働時間や就業率を反映する「労働投入ギャップ」はマイナス0.69%と、依然として厳しい状況にあり、さらに経済活動に制約を課す動きが全国に広がっていることから、雇用の維持が社会課題に
全体の有効求人倍率が21年2月時点で1.09倍と低迷、先行きが不透明であるのに対し、社会インフラを支える業界・職種においては人材需要が拡大。特に、有効求人倍率が約4倍で高止まりしている介護や、29歳以下の就業者が1割にとどまる建設においては、将来的にも人材が逼迫

 

 

モバイル

テレワークやEC販売強化を実現するために不可欠なネットワークインフラを支える端末販売・カスタマーサポート等に従事する人材に対する需要が拡大。

コールセンター

保育

beforeコロナから人材需要が逼迫しており、改めて社会インフラを支えるためになくてはならない業界となったことから更に人材需要が拡大。国内の人材だけでは充足できない見込み。

介護

物流・製造

EC販売が主流となり、倉庫・工場等での軽作業、ドライバーに対する需要が拡大。

建設

生活に不可欠な施設等の新設・維持補修に従事する人材に対する需要が拡大。

 

総合人材サービスの事業方針
多様な人材の社会進出支援により雇用を創出、なくてはならない業界の人材不足を解決

(同社資料より)

 

【新規事業進捗】

建設業界向けサービス

 

(同社資料より)

施工管理者や現場監督(補助)、現場事務、BIM・CADオペレーター等どの職種においても人材が圧倒的に不足。

 

29歳以下の就業者が1割にとどまるため、新卒の採用・育成・定着化にも苦戦。

 

 

 

 

 

➢ 自分が本当に就きたい仕事は何か、どのように成長していきたいかを働きながら決めたい求職者の就業コースであるエキスパート職や他業種からのキャリアアップ希望者、外国人材の活躍が進み、20年7月には就業者がのべ100名を超え、売上も伸長。

 

➢ 20年10月からは、建設業界向けの就労移行支援事業を本格的にスタートさせ、就労移行支援事業所「ライクチャレンジサポート大森駅前」にて、技術者育成に向けた研修を実施。半年間にわたるBIM研修で専門ソフトの使用方法を習得したのちに顧客企業で就労予定。

 

外国人材就労支援サービス

 

 

(同社資料より)

19年8月:ライクスタッフィングが、出入国在留管理庁長官の登録を受け、「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を実施する「登録支援機関」の登録簿に登録。

(登録番号:19登‐001950)

19年9月:首都圏で介護施設を運営するライクケアにおいて、介護分野における「特定技能1号」の認定証明書を受理

 

19年10月:「特定技能1号」認定者がライクケアにおいて就業を開始

20年3月:日本国内で実施された試験に合格した留学生からの「特定技能1号」認定者がライクケアにおいて就業を開始

20年8~11月:ライクケアにおいて介護分野における「特定技能1号」の認定証明書を、新たに8名分受理

  

20年12月:ライクケアで就業する「特定技能1号」での就業者は通算10名(うち海外からの入国者は5名)

 

 

(同社資料より)

 

グループで就労支援実績がある外国人材の出身国は20ヶ国以上140名以上の外国籍正社員が在籍し、「特定技能」での就業実績も1年を超えたことから、業界のリーディングカンパニーとしてのノウハウを活かし、介護や建設業界等における就業支援を推進。

 

(同社資料より)

 

✓ 「特定技能1号」で就業中の外国人材が第33回介護福祉士国家試験に合格。また、介護施設で就業する外国人材約30名の初任者研修合格率100%等、採用・育成ノウハウを業界全体に提供することで、外国人材の就労を推進。
✓ コロナ禍により失業や給料減があった業界での就業経験者や、就業を目標としていた業界での就職が難しくなった留学生向けに職業説明会や研修を実施し、ビザの取得を支援。
✓ 入国が始まった時に、より多くの企業においてスムーズな受け入れができるよう在日外国人材の就労を推進。

 

外国人材就労支援サービスの方針
少子高齢化により生産年齢人口が急減しており、需要が逼迫する業界の人材不足を解消するためにはデジタル化の推進だけでは十分でなく、並行して、外国人材の活躍が不可欠
     

➢ 世代・国籍・経歴を問わず、多様な人々の「働く」を支援してきたことから、日本を世界から選ばれる国にしたい。
➢ 日本で働き生活することに魅力を感じていただくことで永住していただき、将来的に帰国する場合でも、自己実現のために日本での就労経験を活かしていただきたい。

 

自分たちが外国人材を採用・育成し蓄積してきたノウハウを、より多くの企業に提供することで、外国人材の就労と活躍を支援

 

 

◎介護関連サービス事業
介護関連サービスの事業環境
後期高齢者が急増し、2025年には団塊の世代が全て75歳以上に、40年には団塊ジュニアが全て65歳以上となる。

(同社資料より)

 

団塊の世代(70-74歳)は、特に首都圏に集中しており、231万人。
同社グループの介護関連サービスが事業を展開する首都圏において、介護需要はますます高まる。

 

介護関連サービスの事業方針
特に需要が逼迫する首都圏を中心に利用者・家族にとって、なくてはならない存在へ

(同社資料より)
                   

家庭で介護をしている人を孤立させないプラットフォームや

ダイバーシティを介護業界に浸透させる役割等のサービスを拡大

 

介護関連サービス事業の運営施設

(同社資料より)

 

 

4.今後の注目点

コロナ禍の中、上期に続き3Qも堅調な推移となった。「なくてはならない」にこだわった戦略が引き続き功を奏している。通期予想で各利益を上方修正したが、上期の状況から考慮すると十分に予測可能であった。中期経営計画はレンジによる計画だが、EPSでは200~250円程度が想定される。M&A・事業提携にも積極的に取り組むとしており、売上高は1,000億円も視野に入れるという。様々な可能性を秘めた中期経営計画といえそうだ。
来期を見据えると、子育て支援サービス事業や介護関連サービス事業における新規開設の通年寄与が見込まれる。さらには、新型コロナワクチンの浸透などを踏まえると、これまで着々と準備を進めてきた外国人材就労支援サービスの本格貢献も期待される。労働力需給が逼迫しているマーケットで「なくてはならない」にこだわることで死角は見当たらない。こうした中、M&Aや新たな事業展開によるプラスアルファに期待したいところ。決算発表後株価は上昇したがPERは20倍割れ、足元の基盤の堅さやこれらプラスアルファを考慮すると評価不足と考える。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書  更新日: 2020年8月28日

 

基本的な考え方
当社は、「…planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」をグループ理念とし、人生のどの段階においてもなくてはならない企業集団を目指しており、コーポレート・ガバナンスへの取組みを重要な経営課題として認識しております。これを実現するために、当社グループの役員、従業員及びサービス利用者が、常に公正で機能的な行動をとることができるよう、持株会社体制であることを活かし、コンプライアンス体制を持株会社に集約し、持株会社の機能をグループ全体の経営管理に集中させることにより、グループ全体のコーポレート・ガバナンスの強化を図っております。

 

 

1.株主の権利・平等の確保
株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が実質的に確保されるよう、適切な対応を行っております。

 

2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社のグループ理念に基づき、行動規範や行動原則を遵守し、サービス利用者、クライアント、株主、従業員等全てのステークホルダーの皆様に対し誠実に行動することにより、継続的に企業価値を拡大してまいります。

 

3.適切な情報開示と透明性の確保
法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報や非財務情報の提供にも積極的に取り組んでまいります。

 

4.取締役会等の責務
取締役会は、グループの経営の基本方針や戦略の策定、事業会社の管理・監督を行っており、グループ全体における業務の意思決定及び取締役会による業務執行を監督する機関として位置付け、運営しております。なお、社外取締役は、経営規律の強化を図るとともに、透明性をより一層高める役割を担っております。

 

5.株主との対話
グループの企業価値の極大化のため株主との対話を重視しており、株主からの対話の申し込みに対しては随時対応しております。株主との対話は、IR担当者、IR担当役員、経営陣幹部が必要に応じて行っております。

 

 

コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について
<実施をしないコード:3項目、そのおもな原則>

 

【補充原則1-2-4】
当社では現在、議決権の電子行使を実施しておりませんが、今後については、株主構成に占める機関投資家、海外投資家の比率等を勘案しながら導入を検討してまいります。

 

【補充原則4-10-1】
当社は、任意の独立した諮問委員会を設置しておりませんが、取締役候補の選任や取締役の報酬については、取締役会の決議に先立ち、独立社外取締役に対し説明を行い、適切な助言を得ております。このように、取締役候補の選任や取締役の報酬について、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ていることから、これらに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任は十分担保されているものと考えております。
<開示しているコード:10項目、その主な原則>

 

【原則1-4】
政策保有株式につきましては、企業価値向上におけるシナジーが認められると判断した場合に限り、当該株式の政策保有について検討いたします。現在、政策保有している株式については保有意義があることを確認しております。また、当該株式の議決権の行使については、当該会社の企業価値向上及び当社への影響を勘案し、議案に対する賛否の意思表示を行うものといたします。

 

【原則2-6】
当社は、企業年金制度を採用しておりません。

 

【原則5-1】
・当社は、当社グループのIR活動全般を行うIR担当役員とIR担当者を設置し、株主との建設的な対話の促進を図っております。
・情報開示については、基本的な考え方をまとめた「ディスクロージャー・ポリシー」を定め、これに則り、公正かつ適時・適切な開示に取り組んでおります。
・ディスクロージャー・ポリシーについては、当社HP( https://www.like-gr.co.jp/ir/policy.html )において開示しております。
・IR活動の詳細につきましては、本報告書の「株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の2.に記載のとおりであります。

 

東証コーポレート・ガバナンス情報サービスより:https://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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