ブリッジレポート
(6465) ホシザキ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6465)ホシザキ 2020年12月期決算

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小林 靖浩社長

ホシザキ株式会社(6465)

 

 

企業情報

市場

東証1部、名証1部

業種

機械(製造業)

代表取締役社長

小林 靖浩

所在地

愛知県豊明市栄町南館3-16

決算月

12月末日

HP

https://www.hoshizaki.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

9,900円

72,421,650株

716,974百万円

4.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

110.00円

1.1%

197.46円

50.1倍

3,288.35円

3.0倍

*株価は5/27終値。各データは2020年12月決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年12月

282,215

36,065

37,086

23,144

319.62

70.00

2018年12月

292,774

36,446

36,372

25,717

355.14

80.00

2019年12月

290,136

32,664

34,224

24,437

337.45

110.00

2020年12月

238,314

18,447

17,420

11,442

158.00

110.00

2021年12月(予)

250,000

20,000

20,500

14,300

197.46

110.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

 

ホシザキ株式会社の2020年12月期決算概要、2021年12月期業績予想などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期決算概要
3.2021年12月期業績予想
4.今期の取り組み
5.小林社長に聞く ~飲食外市場開拓について~
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年12月期の売上高は前期比17.9%減の2,383億円。国内売上高は、同12.5%減の1,661億円。営業活動を再開したが、新型コロナウイルス感染拡大による販売先の設備投資抑制の影響などにより減収となった。海外売上高は、同27.9%減の721億円。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全ての地域セグメントにおいて減収となった。営業利益は同43.5%減の184億円。営業利益率は同3.5pt低下の7.7%。国内は同34.1%の減益、海外は同60.6%の減益だった。国内外ともに、コロナ禍における減収に対し、原価、販管費とも徹底したコストダウンを実施した。減収減益ではあったが、業績予想を上回っての着地となった。

     

  • 21年12月期の売上高は前期比4.9%増の2,500億円、国内売上高は同3.1%増の1,712億円、海外売上高は同9.1%増の788億円の予想。国内では新型コロナウイルス感染症収束時期の見通しが立っておらず、感染拡大による経済活動への影響が長期化することが懸念されるものの、飲食市場の深堀や、飲食外を含めた新規市場の開拓を進め増収を目指す。海外では一部の国々での経済の持ち直しやワクチン接種開始等、明るい兆しが見られるものの、経済の不確実性や、米ドル等主要通貨を前期に対し円高に見込んだことによるマイナス影響を見込んでいる。

     

  • 21年12月期の営業利益は前期比8.4%増の200億円の予想。不透明な環境の中、引き続き国内外ともに、業務の効率化及び生産性の向上に取り組むとともに、徹底したコストダウン活動を実施する。配当は前期と同じ110円/株を予定。

     

  • 2021年に入り緊急事態宣言の再発出、期限の延長と、事業環境は引き続き厳しいものとなっている。Withコロナ・after コロナにおける「顧客に寄り添った提案」や「HACCPに関する支援」により同社の強みである顧客とのリレーションはさらに強固なものとなるだろう。一方で、飲食市場がシュリンクする中において、今後売上・利益を積み上げていくためには、重点施策として掲げている「飲食外市場の開拓」をどの程度のスピードで進められるかが重要なポイントとなろう。同社の強みである総合力を生かした市場開拓の進捗に注目していきたい。

     

1.会社概要

飲食店、病院・介護老人保健施設(以下、病院老健)、学校・保育園、スーパー、コンビニエンスストア、オフィスなどを顧客とし、製氷機、冷蔵庫を始めとしたフードサービス機器の研究開発・製造・販売及び保守サービスを行っている。
製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェア。製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアである。独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制等が強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。
海外売上高比率は30.3%(2020年12月期)。ホシザキを含む連結グループ会社は、国内18社、米州13社、欧州・アジア等21社の合計52社。工場は国内9、米州6、欧州・アジア10とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその435営業所によって日本全国をカバーしている。また海外では米州、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。(グループ会社数、拠点数などは2020年12月末時点)

 

(同社資料より)

 

【事業内容】

製品群別売上は、製氷機17.0%、冷蔵庫24.5%、食器洗浄機6.2%、ディスペンサ6.9%、その他製品12.6%、保守・修理19.8%、他社仕入商品13.0%となっている。(2020年12月期)

(同社資料より)

【特徴・強み】

1.独自の技術に基づく製品開発&高い品質基準
独自技術に基づいた製品企画から製品化までの一貫した研究体制を持つことにより、最終顧客の多様なニーズに迅速に対応している。また、新製品開発、既存製品の改良、シリーズ展開及び原価低減活動に加え、販売及び保守サービス活動から得られる情報や市場品質情報を製品開発に活用する体制を確立している。また、独自の品質基準を設定し、業務用という厳しい使用環境に耐えられる構造設計を行っており、過酷な条件で繰り返し行われるテストに合格した部品や技術のみが採用されている。

 

2.主要製品でトップシェア
高品質、サービス&サポート体制、省エネ・低環境負荷、耐久性、使いやすさ、デザイン性等といった様々なポイントが顧客に評価され、製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサといった主力製品では国内トップシェアとなっている。また、製氷機に関しては、グローバル市場においても、トップシェアである(同社推計)。

 

(同社資料より)

 

3.きめ細かいサービス&サポート体制
同社では国内を15販売会社及びその435営業所でカバーし、2,700名のサービススタッフによる地域密着型のきめ細かいサービス&サポート体制をとっており、ユーザーから故障やトラブルの問い合わせがあった際は、短時間で駆けつける「即日対応」を掲げて、スピーディーな対応を行っている。(2020年12月末現在)

 

4.営業力の強さと強固な顧客基盤
日本全国を3,200名の営業スタッフがカバーする直販体制による営業力の強さも同社の大きな特徴である。高い直販比率のため顧客との密着度は高く、現在の強固な顧客基盤の構築に繋がっている。また、サービススタッフとの緊密な連携により、顧客の状況に即応した提案を行う事が出来る機動性の高さも顧客から高く評価されている。(2020年12月末現在)

 

2.2020年12月期決算概要

(1)連結業績

 

19/12期

構成比

20/12期

構成比

前期比

業績予想比

売上高

290,136

100.0%

238,314

100.0%

-17.9%

+1.4%

売上総利益

109,464

37.7%

89,053

37.4%

-18.6%

+1.8%

販管費

76,799

26.5%

70,605

29.6%

-8.1%

-0.6%

営業利益

32,664

11.3%

18,447

7.7%

-43.5%

+11.8%

経常利益

34,224

11.8%

17,420

7.3%

-49.1%

+8.9%

当期純利益

24,437

8.4%

11,442

4.8%

-53.2%

+4.0%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。業績予想比は2020年11月発表の業績予想に対する実績の比率。

 

減収減益。業績予想を上回る。
売上高は前期比17.9%減の2,383億円。
国内売上高は、同12.5%減の1,661億円。海外売上高は、同27.9%減の721億円。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全ての地域セグメントにおいて減収となった。
営業利益は同43.5%減の184億円。営業利益率は同3.5pt低下の7.7%。国内は同34.1%の減益、海外は同60.6%の減益だった。コロナ禍における減収に伴い、原価、販管費とも徹底したコストダウンを実施するも、大幅な減益となった。
尚、減収減益ではあったが、業績予想を上回っての着地となった。

 

(四半期推移)

 

18/12期

19/12期

20/12期

 

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

73,519

76,466

76,778

66,011

76,057

73,574

78,305

62,200

72,568

48,510

62,421

54,815

増収率

+5.2%

+3.6%

+1.6%

+4.9%

3.5%

-3.8%

+2.0%

-5.8%

-4.6%

-34.1%

-20.3%

-11.9%

営業利益

10,860

10,587

10,645

4,354

9,649

8,982

10,735

3,298

9,559

984

6,223

1,681

増益率

+11.2%

+1.5%

-3.6%

-9.9%

-11.2%

-15.2%

+0.8%

-24.3%

-0.9%

-89.0%

-42.0%

-49.0%

*単位:百万円。増収率、増益率は対前年同期比。

 

 

(2)セグメント別動向

 

19/12期

構成比

20/12期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

日本

189,953

65.5%

166,117

69.7%

-12.5%

米州

63,916

22.0%

45,945

19.3%

-28.1%

欧州・アジア

36,265

12.5%

26,250

11.0%

-27.6%

海外合計

100,181

34.5%

72,195

30.3%

-27.9%

合計

290,136

100.0%

238,314

100.0%

-17.9%

営業利益

 

 

 

 

 

日本

21,760

11.5%

14,329

8.6%

-34.1%

米州

7,647

12.0%

3,286

7.2%

-57.0%

欧州・アジア

3,667

10.1%

1,173

4.5%

-68.0%

海外合計

11,314

11.3%

4,459

6.2%

-60.6%

調整額

-409

-

-341

-

-

合計

32,664

11.3%

18,447

7.7%

-43.5%

*単位:百万円。売上高は、「外部顧客への売上高」を示す。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

<国内>
売上高は前期比12.5%減の1,661億円。営業利益は同34.1%減の143億円。
冷蔵庫、製氷機、食器洗浄機及び電解水生成装置等の拡販や新規顧客の開拓に取り組んだが、新型コロナウイルス感染症の影響により、販売先の設備投資が低調。
顧客別では、飲食店において昼間店・夜間店向けが共に大幅な減収。飲食店以外は、飲食店ほどのマイナス影響は無かったものの、農業・水産業等を除き、加工販売等、宿泊施設、ビール会社向けを中心に減収となった。
尚、四半期ベースでは、営業活動再開に伴い売上高は回復傾向にある。

 

大手チェーンの全店舗数は2020年に入り減少傾向にあり、減少幅は年後半にかけて拡大した。また、全店売上高は、新型コロナウイルスの新規感染再拡大によるGo To施策の中止に加え、政府・自治体からの営業時間短縮要請や外出自粛要請の影響を受け、12月は前年同月比84.5%まで減少した。
業態別の売上高は、テイクアウトとデリバリーの需要が牽引しファーストフードは12月において微減となった一方で、10月にかけて回復傾向にあったファミリーレストラン、喫茶、パブ/居酒屋、ディナーレストランは、年末にかけて再度減少。
(出典:日本フードサービス協会)

 

<海外>
(米州)
売上高は前期比28.1%減の459億円。外貨ベースでは同25.8%の減収。営業利益は同57.0%減の32億円。
主力製品の拡販に努めるとともに、人件費を中心とした経費削減にも継続的に取り組んだが、米国で実施されたロックダウンによる営業・生産活動への制約の影響等を吸収できなかった。

 

(欧州・アジア)
売上高は前期比27.6%減の262億円。外貨ベースでは同19.7%の減収。営業利益は同68.0%減の11億円。
主力製品の拡販に努めるとともに、人件費を中心とした経費削減にも継続的に取り組んだが、各国で実施されたロックダウンによる営業・生産活動への制約の影響等を吸収できなかった。

 

(3)製品群別売上動向

製品群別では、その他製品を除き、国内海外共に全ての製品群で減収。その他製品では、衛生関連機器である電解水生成装置やテイクアウト需要に対応可能な真空包装機・ブラストチラーなどが前期比プラスと好調に推移し増収に貢献した。

 

(4)財政状態

◎主要BS

 

19年12月末

20年12月末

 

19年12月末

20年12月末

流動資産

281,343

277,241

流動負債

86,878

80,265

現預金

215,093

217,212

仕入債務

16,555

16,052

売上債権

31,708

27,122

前受金

26,829

26,070

たな卸資産

30,336

28,405

固定負債

22,970

23,416

固定資産

70,543

66,152

負債

109,848

103,681

有形固定資産

44,303

42,345

純資産

242,038

239,711

無形固定資産

4,695

3,510

株主資本

245,328

248,803

投資その他の資産

21,543

20,296

為替換算調整勘定

-3,196

-8,829

資産合計

351,887

343,393

負債純資産合計

351,887

343,393

*単位:百万円

 

売上債権、たな卸資産、有形固定資産の減少等で資産合計は前期末比84億円減少の3,433億円となった。
一方、未払法人税等の減少等で負債合計は同61億円減少し、1,036億円となった。純資産は為替換算調整勘定のマイナス幅拡大等で同23億円減の2,397億円。この結果、自己資本比率は前期末より0.9ポイント上昇し69.3%となった。

 

3.2021年12月期業績予想

◎連結業績予想

 

20/12期 実績

構成比

21/12期 予想

構成比

前期比

売上高

238,314

100.0%

250,000

100.0%

+4.9%

売上総利益

89,053

37.4%

94,400

37.8%

+6.0%

販管費

70,605

29.6%

74,400

29.8%

+5.4%

営業利益

18,447

7.7%

20,000

8.0%

+8.4%

経常利益

17,420

7.3%

20,500

8.2%

+17.7%

当期純利益

11,442

4.8%

14,300

5.7%

+25.0%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益を予想
売上高は前期比4.9%増の2,500億円、国内売上高は同3.1%増の1,712億円、海外売上高は同9.1%増の788億円の予想。
国内では新型コロナウイルス感染症収束時期の見通しが立っておらず、感染拡大による経済活動への影響が長期化することが懸念されるものの、飲食市場の深堀や、飲食外を含めた新規市場の開拓を進め増収を目指す。
海外では一部の国々での経済の持ち直しやワクチン接種開始等、明るい兆しが見られるものの、経済の不確実性や、米ドル等主要通貨を前期に対し円高に見込んだことによるマイナス影響を見込んでいる。

 

営業利益は同8.4%増の200億円の予想。不透明な環境の中、引き続き国内外ともに、業務の効率化及び生産性の向上に取り組むとともに、徹底したコストダウン活動を実施する。

 

配当は前期と同じ110円/株を予定。

 

◎セグメント別売上見通し

 

20/12期 実績

構成比

21/12期 予想

構成比

前期比

日本

166,117

69.7%

171,200

68.5%

+3.1%

米州

45,945

19.3%

49,000

19.6%

+6.6%

欧州・アジア

26,250

11.0%

29,800

11.9%

+13.5%

海外合計

72,195

30.3%

78,800

31.5%

+9.1%

合計

238,314

100.0%

250,000

100.0%

+4.9%

*単位:百万円。

 

不透明さは依然残るものの、全エリア増収を計画している。

 

4.今期の取り組み

 

◎製造部門における重点項目
「製造工程最適化」「グローバル成長支援」「製造原価低減強化」を重点項目としている。

 

製造工程最適化においては、国内外グローバル企業へのトヨタ生産方式の豊富な指導経験を持つコンサルを導入。「絶対品質」と「最大効率」をテーマに、受注から出荷までの行程全体を最適化する。ワークセンター間のムダを徹底的に排除する活動を推進し、在庫削減、リードタイム短縮、生産性改善、市場品質の改善を行う。
品質の更なる強化によるホシザキブランドの価値向上と効率化による収益性の改善を目指す。

 

グローバル成長支援においては、海外の品質改善、生産性向上、開発支援等を目的に製造及び技術部門に専任組織を創設した。国内で蓄積した製造及び技術ノウハウを、グローバルに展開する活動を強化していく。

 

製造原価低減強化においては、組織再編による原価企画機能の更なる強化、取引先と協業したコストダウン活動の強化、製品物流網の再構築による物流経費削減などに取り組む。

 

◎コロナ禍でのお客様に寄り添った提案
店内飲食に加えて、テイクアウト・デリバリーなど販路拡大のため新たな取り組みを始める顧客に向け、寄り添ったサポートを実施する。

 

テイクアウトやデリバリーに適したメニュー開発支援や活用できる機器の提案、次亜塩素酸水を生成する電解水生成装置などコロナ禍を意識した衛生管理機器の提案、小規模事業者持続化補助金や家賃支援給付金をはじめとする補助金制度の紹介から申請のサポートなど、幅広い支援を提供する。

 

◎飲食外市場の更なる開拓
これまでも飲食外市場の開拓に力を入れてきたが、食品産業業界(農業、漁業、流通、工場など)、給食市場(病院、老健、学校など)という規模の大きい市場をターゲットとした更なる開拓を実施。
同社の総合提案力や社内HACCPコーディネーターによるHACCP対応支援等をきっかけに飲食外市場を開拓する。

 

◎ホシザキにしかできないHACCPワンストップソリューション提案
2021年6月に完全施行(食に携わる全事業者が管理対象となる)となるHACCPについて、580名以上のHACCPの専門教育修了者(HACCPコーディネーター)が、顧客が抱えるHACCPの課題や不安の解消にむけて提案を推進するともに、多様なリソース(営業・サービス・コンサル等)を活用した関連する顧客課題解決にも取り組みホシザキにしかできないワンストップソリューションを提供していく。

 

◎営業支援システムとタブレット活用による営業力強化
営業支援システム(SFA)とタブレットを導入。5,900名の営業・サービススタッフが蓄積した顧客関連情報を活用した更なる営業力強化および営業活動の効率化を図る。
タブレットの導入による外出先業務拡大は早帰りにもつながり、働き方改革にも寄与する。

 

◎大型プロジェクト受注実績
コロナ禍でも、大型物件の竣工は続いており、病院、食品工場、ホテル、社員食堂、商業施設などで実績を積み上げている。

 

◎非財務(ESG)情報開示の拡充
ESGに係る活動成果や内容を体系化し、HPの「社会・環境活動」ページを、「ESG情報」へ変更し掲載。
今後は情報を段階的に拡充するとともに、将来的には非財務情報の創出価値の可視化および、長期戦略との一体化を図った統合報告書を開示する予定だ。

 

◎欧州における重点項目
「環境配慮型商品の拡販」「販売網拡大と物流網最適化」「厨房コンサルタントとの協業による大手チェーンアカウント開拓」を重点項目としている。

 

「環境配慮型商品の拡販」においては、環境意識の高い欧州において製氷機売上高における環境配慮型の構成比は増加傾向にあり、CO2冷媒を使用した環境配慮型製氷機の拡販を進める。

 

「販売網拡大と物流網最適化」においては、東欧・南欧への販売網を拡大するほか、物流網最適化による輸送費とリードタイム削減に取り組む。

 

◎米州(ホシザキアメリカ)における重点項目
「戦略商品の積極的拡販」「販売チャネル多角化」「品質向上活動継続推進」を重点項目としている。

 

「戦略商品の積極的拡販」においては、中価格帯ボリュームゾーン攻略のためにOEM冷蔵庫『エコノミーシリーズ』を投入するほか、コロナ禍対応のためタッチレスディスペンサなど衛生関連機器の拡販を進める。
タッチレスディスペンサは、非接触で氷・水を抽出可能で、衛生面を意識するナースステーションやロビー、休憩室等に導入されており、前期は大幅な増収となっている。
このほか、機器の稼働状況をスマートフォンでモニタリングし、サービス、メンテナンスの効率化に活用するためのIoTによるソリューション提案も強化する。

 

「販売チャネル多角化」においては、営業組織再編により、大手チェーンに加え、近年影響力が増大しているEコマースディーラー等への販売を強化する。
厨房コンサルタントとの関係性強化によるプロジェクト案件の獲得にも注力する。

 

◎米州(LANCER、JACKSON、Macom)における重点項目
*LANCER
事業多角化を引き続き推進する。
また、ドライブスルー向けディスペンサや新型バルブなど、新商品開発を進める。ドライブスルー向けディスペンサは、抽出スピードが速く、コロナによるドライブスルー需要増に適応し、店舗の人件費削減を進めるチェーン店向けにPOSシステムにも連動可能。
このほか、ビール事業構築を実施しているほか、2020年にはランサー上海を設立し、中国・アジア事業を立ち上げた。

 

*JACKSON
衛生意識の高まりを受け、低価格な高温モデルを導入し、自社ブランド商品の拡販に取り組む。
また、商品ラインナップの見直しによりムダを削減するなど、積極的にコストダウンを推進する。

 

*Macom
南米諸国への販売を本格的に拡大する。
また、これまでは製氷機を米国・中国から輸入していたが、製氷機の自製化・拡販により、価格競争力向上と納期短縮を実現する。

 

◎インド(Western)における重点項目
「巣ごもり需要拡大による対応」「事業拡大施策」「新製品開発」を重点項目としている。

 

「巣ごもり需要拡大による対応」においては、コロナ禍を受けてインド国内では内食が拡大しており、ステイホームの中、チョコレートの需要が堅調なほか、冷凍食品需要が拡大している。こうした需要に対応し、チョコレート用冷蔵庫や冷凍食品用冷凍庫を拡販する。
また、コンビニや食料品店向け代理店網を拡大する。

 

「事業拡大施策」においては、ベーカリー向けショーケース、ステンレス製冷蔵庫の拡販のほか、スーパーマーケット向け製品(冷蔵・冷凍ショーケース)の導入に注力する。

 

◎アジア(中華圏・東南アジア)における重点項目
製氷機、冷蔵庫ともに高シェアを有する(同社推計)東南アジアにおいては、「サービスネットワークの確立」「ローカルチェーンの獲得」「国内チェーン店の海外出店支援」を重点項目としている。

 

「サービスネットワークの確立」においては、東南アジアではサービス事業を収益の柱とすべく、ホシザキ本社、蘇州工場との連携を強化する。
一方、既に直販体制でサービス事業を行う台湾では、営業所新設により顧客の囲い込みを強化する。

 

「ローカルチェーンの獲得」においては、厨房一式案件を強化し、ローカルチェーンにも事業を拡大するほか、衛生関連製品の販売を開始し、製品ラインナップを拡充する。

 

「国内チェーン店の海外出店支援」においては、コロナ禍でも海外進出を検討するチェーン店に対し、現地情報の提供や出店国の海外販売会社や現地協力会社への橋渡しを実施する。
厨房プランニングから設計、施工、アフターサービスまでを提供する。

 

5.小林社長に聞く ~飲食外市場開拓について~

同社が注力している飲食外市場開拓に向けた取り組みについて小林社長にお話を伺った。

 

営業活動の効率性、生産性の向上に加えブランド認知度の向上が重要
飲食市場、特に個店においては、営業スタッフが担当サービススタッフと協力しつつ、一人で当社のフルラインアップされた製品の中からそのお店に必要な製品を提供することで開拓することが可能だ。
ところが、飲食外市場のメインターゲットは倉庫、スーパーマーケットのバックヤード、社員食堂といった規模も大きな物件となり、営業スタッフ一人ではなく組織としてアプローチする必要がある。また、案件によってはクロージングまで半年、1年かかるものもあるので、営業活動の効率性、生産性という点が重要になる。
昨年営業支援システム(SFA)の導入を完了し、全営業・サービススタッフが搭載タブレットの活用を開始した。1つのお客様から幅広くその関係会社やお取引先の開拓を行うことや、当社の特徴である営業・サービスの連携ではサービススタッフが飲食外の潜在顧客の訪問強化を行うことで営業活動につなげるなど、営業、サービスの活動ともに同システムを活用し、より高度化・効率化して行く。

 

また、飲食市場と比較すると低い飲食外市場におけるブランド認知度の向上も必要だ。昨年はコロナ禍という活動制約もあり、多くの業態に向けてダイレクトメールを発送する等、非対面の営業活動を強化した結果、販売機会創出及び認知度向上への効果があり、今期も活動を継続する。また、今年は当社の強みである全国展開されたサービス・サポートスタッフが、設計・コンサルおよび営業スタッフと緊密に連携し、ホシザキの強みである総合力をもった提案活動を推進し、飲食外市場開拓および攻略を目指す。

 

最も重要なのは教育・研修。全体の生産性向上を図る
飲食外市場開拓において今後重要となるのは、成功事例の迅速な共有と営業スタッフへの教育・研修だ。
コロナ禍により飲食市場が縮小し、飲食外市場へ活動をシフトする中、営業スタッフの生産性のばらつきが顕在化してきた。優秀な営業スタッフは、各業界知識が豊富で、業界ごとに異なるお客様の製品に対するニーズや困りごとをよく理解し提案できており、製品販売先が飲食店に偏らず多岐の業種にわたっている。一方、生産性の低い営業スタッフは、これが十分に出来ておらず生産性に格差が生じている。また、案件が大規模になる飲食外市場では、プレハブ型冷蔵庫が重要な製品となるが、その販売のためにはお客様毎のカスタマイズ、施工など、エンジニアリング知識が必要になるケースもあるので、専門的な教育を強化していく。飲食外市場攻略において、こうした課題を改善する教育・研修が必要となる。現在、ロールモデルとなる人材、販売会社を選定しプログラム開発を行っており、順次本社研修センターでの研修を実施していく。

 

このように、飲食外市場の本格的な開拓にあたっては様々な課題があり一気呵成にというわけにはいかないが、当社の強みや経営資源を活かしながら、なすべき施策を一つ一つ着実に進捗させている。

 

6.今後の注目点

2021年に入り緊急事態宣言の再発出、期限の延長と、事業環境は引き続き厳しいものとなっている。
Withコロナ・after コロナにおける「顧客に寄り添った提案」や「HACCPの支援」により同社の強みである顧客とのリレーションはさらに強固なものとなるだろうが、今期及びそれ以降の売上・利益を積み上げていく上では、やはり重点施策として掲げている「飲食外市場の開拓」がどの程度のスピードで進められるかが重要なポイントとなろう。
小林社長へのインタビューにもあるように、飲食市場とは営業アプローチが異なり、飲食外向け商品の品揃え強化、顧客情報の統合管理、飲食外向け営サ連携強化、成功事例の共有、教育・研修が極めて重要とのことだが、同社の強みである総合力を生かした市場開拓の進捗を注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年8月19日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性、効率性の向上を図るため、株主をはじめとするステークホルダーの立場にたって企業収益、価値の最大化を図ることをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針及びその目的としております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【原則1-2 株主総会における権利行使】

補充原則1-2-4

当社は、総議決権に対する議決権行使比率が70%以上であることから、議決権行使の電子化は実施しておりませんが、外国人株主比率の状況を踏まえ、招集通知の英訳を実施しております。

【原則1-4 政策保有株式】

当社は、政策保有株式を原則として保有いたしません。

保有する場合は、事業戦略、業務提携、取引関係の維持・強化等を保有目的とし、毎年、取締役会において、個別の株式について保有の適否を検証します。また、同株式に係る議決権行使は、当該議案が、当該企業の企業価値の向上、また、株主価値の向上につながるか否かを検討して議決権を行使いたします。

【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】

現状では、法定書類等の他に、半期に一度、株主に対する事業内容の説明を、任意に「グループ報告書」により行っております。また経営戦略、経営計画、及び収益力・資本効率等に関する目標の具体的な提示、説明等に関しては、今後の課題と捉え、適時適切な開示を検討してまいります。

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】

補充原則4-11-1

 

当社取締役会は、当社の業務に精通した社内出身の取締役と、法務、財務、会計その他の高度の専門性を有する社外取締役で構成とすることとしており、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性が確保されるよう努めています。また、独立社外取締役は取締役会の3分の1以上とすることとしております。この方針に基づき、現在、取締役会は、監査等委員でない取締役8名、監査等委員である取締役3名で構成されています。このうち、独立社外取締役4名の経歴は、公認会計士及び弁護士が各1名、グローバルに事業展開する上場会社の経営経験者が2名であります。また、事業規模や業容等と照らし、適正な規模での取締役会構成に努めており、定款において、監査等委員でない取締役の人数については15名以内、監査等委員である取締役の人数5名以内と定めています。

 

補充原則4-11-3

当社は、取締役会における「議論・検討の実効性」、「監督機能の実効性」、「リーダーシップの実効性」、「環境整備状況の実効性」、「株主・ステークホルダーへの対応の実効性」、「取締役会の構成等に関する実効性」の6項目について、全取締役(監査等委員である取締役を含む)14名に対し27問のアンケートを実施し、その結果等を踏まえて、取締役会において審議した結果、2019年度に開催した取締役会は、前記6項目すべてにおいて良好な水準で機能していたと判断いたしました。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、持続的な成長と長期的な企業価値向上のためには、株主・投資家と積極的な対話を行い、その意見や要望を経営に反映させ、当社を成長させることが重要と認識しています。中長期的な企業価値向上の投資方針を有する主要な株主・投資家の皆様との対話については、以下の基本方針を定めています。

(1)株主・投資家との対話全般について、IR担当取締役が統括しています。

(2)IR担当取締役は経営企画部、人事部、総務部等のIR活動に関連する部署を統括し、日常的な部署間の連携を図っています。

(3)経営企画部にて、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けるとともに、決算説明会を半期に1回開催し、社長、IR担当取締役が説明を行っています。

(4)投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材等の結果は、 IR担当取締役が必要に応じ、取締役会へフィードバックしています。

(5)投資家との対話の際は、決算説明会やスモールミーティングを問わず、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わるテーマを対話の軸とすることにより、インサイダー情報管理に留意しています。

 

 

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