ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス 2021年3月期決算

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下條 治 社長

日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(4783)

 

 

会社情報

市場

JASDAQ

業種

情報・通信

代表者

下條 治

所在地

東京都品川区西五反田 4-32-1

決算月

3月

HP

https://www.ncd.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

673

8,071,068株

5,432百万円

3.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.00円

2.1%

55.99円

12.0倍

512.95円

1.3倍

*株価は7/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。数値は四捨五入。
*ROE、BPSは2021年3月期実績。DPS、EPSは22年3月期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2018年3月(実)

16,237

783

807

526

66.31

14.00

2019年3月(実)

17,007

1,045

1,089

615

77.45

14.00

2020年3月(実)

18,390

936

953

648

81.62

14.00

2021年3月(実)

17,563

242

388

145

18.11

14.00

2022年3月(予)

19,200

650

670

450

55.99

14.00

(単位:百万円、円)
*予想は会社予想。

 

日本コンピュータ・ダイナミクスの2021年3月期決算の概要と今後の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期決算
3.2022年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/3期は前期比4.5%減収、74.1%営業減益。IT関連事業においては、既存顧客の新領域獲得が順調に伸長するとともに、サポート&サービス事業において利益率の改善が見られ、堅調に推移した。一方、パーキングシステム事業においては、駐輪場稼働率は回復傾向で推移したものの、1Qの大幅な売上減少が影響したことに加え、機器販売が低迷し、前期比で大幅な減収減益となった。四半期毎では1Q(4~6月)が売上高40億77百万円、営業損失1億34百万円、2Q(7~9月)は売上高42億99百万円、営業利益31百万円、3Q(10~12月)は売上高42億18百万円、営業利益22百万円、4Qは売上高49億67百万円、営業利益3億22百万円と、1Qの損失から2Q、3Qは黒字を確保、4Qには売上、利益とも大きく伸ばした。配当は、前期と同じ7.00円/株の期末配当を実施、年間で14.00円/株。

     

  • 22/3期は、前期比9.3%増収、168.0%営業増益を見込む。IT関連事業では、顧客企業のDXへの取り組み継続や、テレワークの浸透などを背景とした保守・運用業務が増加、IT投資は総じて増加傾向で推移することが見込まれる。パーキングシステム事業では、大型受注が業績に寄与する一方で、緊急事態宣言の発出等に伴う、駐輪場利用料収入及び新規案件の減少による影響を織り込んでいる。外部環境の変化や需要変動に柔軟に対応できる収益基盤を確立すべく、事業の構造改革を迅速に推進する方針。配当は、前期と同じ14.00円/株(うち上期7.00円/株)を見込む。

     

  • 21/3期は1Q(4-6月)の大苦戦から尻上がりに回復、4Q(1-3月)は営業利益3億22百万円と会社の予想も大きく上回り巻き返した。感染症の影響を大きく受けたパーキングシステム事業だが、駐輪場管理台数や箇所数は2021年4月1日時点でむしろ大きく伸びている。22/3期は3度目の緊急事態宣言発出となるも、昨年4月にみられたような人の動きや投資が停滞した状況にはなく、影響は軽微にとどまるだろう。また、顧客基盤が安定しているIT関連事業は、引き続き好調に推移しそうだ。奉行シリーズ導入法人数は21/3期に大幅に増加した。足元、ワクチン接種が急速に進展している。下期には感染症の影響もより軽微となるだろう。中期計画を達成すればEPSは100円程度が想定される。同社株価は3桁にとどまっており、割安感は強い。今後は業績の回復に合わせ株価も水準訂正されていくことが予想される。

     

     

1.会社概要

独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、電磁ロック式駐輪場の導入実績が国内最大級であるパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
事業拠点は本社(東京都品川区)のほか、お台場オフィス(東京都江東区)、江東サービスセンター(東京都江東区)、福岡オフィス(福岡県福岡市)、小倉オフィス(福岡県北九州市)、長崎オフィス(長崎県長崎市。第2MSC(マネージドサービスセンター)を含む)、五島オフィス(長崎県五島市)を構えている。連結子会社は、国内にはIT関連事業を行うNCDテクノロジー(株)(東京都品川区)、主に関西エリアでIT関連事業を行う(株)ゼクシス(大阪府大阪市)、駐輪場管理・運用事業を行うNCDプロス(株)(東京都品川区)、九州でパーキングシステム事業を行う矢野産業株式会社(福岡県福岡市)がある。海外では中国天津市に天津恩馳徳信息系統開発有限公司(NCD China)があり、アジア日系企業向けサービスや日本向けオフショア開発を行っている。

 

日本コンピュータ・ダイナミクスのグループ概要

(同社提供資料より)

 

社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピュータをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
21/3期の売上構成比はシステム開発事業42.2%、サポート&サービス事業28.9%、パーキングシステム事業28.8%、その他0.1%。営業利益の構成比はシステム開発事業65.2%、サポート&サービス事業33.9%、パーキングシステム事業1.0%。
尚、21/3期はパーキングシステム事業において感染症の影響を大きく受けたため、例年との比較で同事業の構成比が低くなっている。

 

【IT関連事業の安定的な収益構造】

■開発から保守・運用までワンストップのビジネスモデル
■ストック売上が78%を占める安定した収益構造

(同社資料より)

 

 

【IT関連事業の強み】

■蓄積したノウハウ及び地方拠点の活用が評価され、大手生損保企業との取引が拡大
■今後も同業他社への横展開を推進

売上構成比

 

 

 

(同社資料より)

主な取引先と取引期間

50年以上の取引

高砂熱学工業、東京ガスグループ、パナソニックグループ

30年以上の取引

エスアールエル、西部ガスグループ、日本生命グループ、富士フイルムグループ

メットライフ生命

20年以上の取引

KADOKAWA、電通グループ、日本水産、福岡県庁

10年以上の取引

大阪府農協電算センター、九電工、商船三井、ソニーグループ

東京海上日動火災、東京鐵鋼、マニュライフ生命

近年の取引

オリックス生命、JTBアセットマネジメント、匠大塚、FWD富士生命

日清丸紅飼料、三菱商事ライフサイエンス、みずほフィナンシャルグループ

ヤクルト本社、LIXILグループ他

紺色は生損保業(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

【システム開発事業の強み】

 

■大手顧客との長期取引を背景とした案件獲得

・既存顧客の深耕

ストック業務の実績評価を受け、既存顧客で新領域獲得

・新規顧客への横展開

生保業界で培ったノウハウを活用し、新規顧客獲得へ展開

 

■豊富な実績を活かしたパッケージ導入が好評

・奉行シリーズ※の導入実績が評価され、

「OBC Partner Award 2020」を受賞

・大企業の会計シェアードサービスの需要が旺盛

 

※奉行シリーズ:オービックビジネスコンサルタント(OBC)の国内有数のERPソフト

 

(同社資料より)

 

【サポート&サービス事業の強み】

■開発から保守・運用までワンストップで対応
■マネージドサービスセンター(東京・長崎)の活用

 

 

 

・大規模案件に対応可能な豊富なサービスメニュー

・災害時等におけるBCP(事業継続計画)にも対応

・大手生損保へのヘルプデスククサービスにてノウハウを蓄積

・Amazon Web Service、Microsoft Azureの両クラウドサービス導入支援が好調

・他社構築アプリケーションの保守・運用にも対応

 

 

(同社資料より)

 

【パーキングシステム事業の強み】

■ITを駆使した駐輪場プラットフォームのパイオニア

・1992年 「QRコード」を活用し、自治体の月極駐輪場のIT化に着手

・近年ではコロナ対策として、キャッシュレス決済機能を導入

・江戸川区、大阪市、神戸市での管理台数が増加し、全国で60万台を突破

21年4月1日現在

駐輪場管理台数646,749台(前年同期比133,503台増加)

箇所数2,085箇所(前年同期比234箇所増加)

 

■用途に応じた利便性の高いサービスを展開

 

 自転車用スマートトレナー「NOZA S」の販売が好調

 

(同社資料より)

 

■幅広い顧客層と多様な駐輪場モデル
主要取引先

自治体

板橋区、大田区、葛飾区、渋谷区、新宿区、杉並区、世田谷区、台東区、中央区、豊島区

中野区、練馬区、文京区、朝霞市、市川市、川口市、狛江市、習志野市、府中市、横浜市

和光市、福岡市 他 

(以下は指定管理者に選定)荒川区、江戸川区、北区、江東区、品川区、港区,目黒区

柏市、川崎市、さいたま市、相模原市、立川市、多摩市、戸田市、名古屋市、京都市

・財務健全性や管理運営の品質面で高評価

・関西、中部、九州地区等にも展開

商業施設 他

アトレ、イオンリテール、イトーヨーカ堂、大丸松坂屋、コモディイイダ、住友不動産

西友、ダイエー、タイムズ24、高島屋、東急ストア、東急不動産、野村不動産、パルコ

ビックカメラ、丸井、三井不動産、三越伊勢丹、ヨドバシカメラ 他

・キャッシュレス決済等、IT技術を付加した提案

鉄道事業者

小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東急電鉄

東武鉄道、東日本旅客鉄道、阪神電気鉄道、 阪急電鉄、京阪電気鉄道 他

・主要鉄道事業者を網羅

その他団体等

川崎市交通安全協会、相模原市まち・みどり公社、世田谷区シルバー人材センター

練馬区環境まちづくり公社、まちづくり三鷹、横浜市交通安全協会

各種団体との連携により地域社会に貢献

(2021年4月1日時点)
※指定管理者:公の施設の管理を行わせるために期間を定めて指定する団体
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

2.2021年3月期決算

(1)連結業績

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

18,390

100.0%

17,563

100.0%

-4.5%

17,600

-0.2%

売上総利益

3,143

17.1%

2,507

14.3%

-20.2%

販管費

2,206

12.0%

2,265

12.9%

+2.7%

営業利益

936

5.1%

242

1.4%

-74.1%

50

+385.0%

経常利益

953

5.2%

388

2.2%

-59.2%

200

+94.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

648

3.5%

145

0.8%

-77.5%

80

+82.0%

(単位:百万円)
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比4.5%の減収、74.1%の営業減益
売上高は前期比4.5%減の175億63百万円。システム開発事業が4.7%増収、サポート&サービス事業は11.0%増収となったものの、パーキングシステム事業が24.4%減収となった。
営業利益は前期比74.1%減の2億42百万円。システム開発事業が16.3%増益、サポート&サービス事業が115.0%増益となったものの、パーキングシステム事業が98.5%減益となった。
情報サービス業界では、景気減速に伴いIT投資の抑制を打ち出す企業がある一方、労働環境の変化や中長期の成長を見据え、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業の増加傾向が続いた。同社では、このような企業ニーズを汲み取り、自動化・省力化ツールの導入や、旧来の基幹システムの刷新需要などに注力した。自転車・駐輪場業界では、緊急事態宣言の発出に伴い駐輪場の稼働率は低下したが、経済活動の段階的な再開に伴い、利用状況は回復傾向で推移した。しかし、駅や商業施設に併設する駐輪場開設の中止や延期などが見られた。
IT関連事業においては、既存顧客の新領域獲得が順調に伸長するとともに、サポート&サービス事業において利益率の改善が見られた。一方、パーキングシステム事業においては、駐輪場稼働率は回復傾向で推移したものの、1Qの大幅な売上減少が影響したことに加え、機器販売が低迷し、前期比で大幅な減収減益となった。営業外で雇用調整助成金等の収益1億75百万円を計上したことにより、経常利益は3億88百万円(前期比59.2%減)、駐輪場設備に係る減損損失等の特別損失を1億37百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1億45百万円(同77.5%減)となった。
四半期毎では1Q(4~6月)が売上高40億77百万円、営業損失1億34百万円、2Q(7~9月)は売上高42億99百万円、営業利益31百万円、3Q(10~12月)は売上高42億18百万円、営業利益22百万円となり、4Q(1~3月)は売上高49億67百万円、営業利益3億22百万円と、1Qの損失から2Q、3Qは黒字を確保、4Qには売上、利益とも大きく伸ばした。
配当は、前期と同じ7.00円/株の期末配当を実施、年間で14.00円/株。

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・セグメント利益

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

システム開発事業

7,073

38.5%

7,405

42.2%

+4.7%

サポート&サービス事業

4,568

24.8%

5,072

28.9%

+11.0%

パーキングシステム事業

6,693

36.4%

5,060

28.8%

-24.4%

その他、調整額

54

0.3%

23

0.1%

-56.3%

連結売上高

18,390

100.0%

17,563

100.0%

-4.5%

システム開発事業

799

40.6%

928

65.2%

+16.3%

サポート&サービス事業

224

11.4%

481

33.8%

+115.0%

パーキングシステム事業

944

48.0%

13

0.9%

-98.5%

その他、調整額

-1,031

-1,182

営業利益

936

242

-74.1%

(単位:百万円)

 

システム開発事業は売上高74億5百万円(前期比4.7%増)、営業利益9億28百万円(同16.3%増)。既存顧客に対するアカウントプランの推進によって、新領域獲得が堅調に推移した。また、旺盛な業務効率化ニーズを背景に、会計シェアードサービス等の導入が好調に推移し、増収増益となった。
サポート&サービス事業は売上高50億72百万円(前期比11.0%増)、営業利益4億81百万円(同115.0%増)。保守・運用コストの削減を図る大手顧客からの受注や、生損保の既存顧客で培ったノウハウ活用による同業他社での新規案件獲得などが寄与し、増収となった。利益面では、採算管理の徹底が浸透し、大幅な増益となった。
パーキングシステム事業は売上高50億60百万円(前期比24.4%減)、営業利益13百万円(同98.5%減)。駐輪場利用料収入においては、下表のとおり、時間貸駐輪場における売上高が4Q(1-3月)において前年同期比約15%の減少に留まり2月時点の想定(約20%減少)より減少幅が縮小したものの、通期においては約25%の減少となった。また、機器販売については、駅や商業施設に併設する駐輪場開設の中止や延期が発生し、大幅に減少したため減収となった。利益面では、経費削減対策として、集金及びメンテナンス回数の最適化や外部委託業務の内製化などにより、営業利益の減少幅の抑制に努めたものの、大幅減益となった。

 

21/3期 時間貸駐輪場の売上高の対前年同期比

 

1Q(4~6月)

2Q(7~9月)

3Q(10~12月)

4Q(1~3月)

通期

21/3期実績

約50%減少

約22%減少

約10%減少

約15%減少

約25%減少

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年3月

21年3月

 

20年3月

21年3月

現預金

2,610

2,835

仕入債務

812

699

売上債権

2,782

2,766

短期有利子負債

1,826

1,936

たな卸資産

223

185

流動負債

4,311

3,976

流動資産

6,644

6,768

長期有利子負債

1,884

1,273

有形固定資産

1,385

1,233

固定負債

3,392

2,674

無形固定資産

112

171

純資産

3,913

4,165

投資その他

3,474

2,642

負債・純資産合計

11,617

10,816

固定資産

4,972

4,047

有利子負債合計

3,711

3,210

(単位:百万円)
※有利子負債=借入金+リース債務

 

21/3期末の総資産は、前期末比8億1百万円減少し、108億16百万円となった。減少した主なものは、リース債権及びリース投資資産の5億63百万円及びリース資産(純額)1億8百万円。一方、増加した主なものは、現預金の2億24百万円。負債は、前期末比10億53百万円減少し、66億51百万円となった。減少した主なものは、リース債務の7億16百万円、未払法人税等1億23百万円及び買掛金の1億13百万円。純資産は、前期末比2億51百万円増加し、41億65百万円となった。
自己資本比率は前期末33.5%から38.3%となった。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

20/3期

21/3期

増減

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

376

218

-157

-41.9%

投資キャッシュ・フロー(B)

-164

142

307

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

211

361

149

+70.5%

財務キャッシュ・フロー

-370

-61

309

-

現金及び現金同等物四半期末残高

2,420

2,721

300

+12.4%

(単位:百万円)

 

上期末の現金及び現金同等物は、前期末比3億増加し、27億21百万円となった。
前年上期末比では、営業CFは1億57百万円減少し2億18百万円の流入。主な流入要因は税金等調整前当期純利益2億65百万円、減価償却費2億63百万円、補助金の受取額1億46百万円及び減損損失1億16百万円。一方、主な流出要因は法人税等の支払額2億76百万円、補助金の収入1億46百万円、賞与引当金の増加額1億38百万円及び仕入債務の増加額1億6百万円。
投資CFは1億42百万円の流入(前期は1億64百万円の流出)。主な流入要因は有形固定資産の売却による収入2億円、保険積立金の減少額1億67百万円。主な流出要因は有形固定資産の取得による支出2億3百万円及び無形固定資産の取得による支出1億4百万円。
財務CFは61百万円の流出(前期は3億70百万円の流出)。主な流出要因はリース債務の返済による支出1億66百万円。一方、流入要因は短期借入金の純増加額3億円。

 

※2017年3月期が減益となったのは、金利低下に伴い退職給付債務に用いる割引率が低下したことによる数理計算上の差異が発生し、この差異を翌期1年間で償却するため。これら特殊要因を除外すると増益である。2021年3月期はパーキングシステム事業において感染症の影響を受けた。

 

3.2022年3月期業績予想

連結業績

 

21/3期 実績

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

17,563

100.0%

19,200

100.0%

+9.3%

営業利益

242

1.4%

650

3.4%

+168.0%

経常利益

388

2.2%

670

3.5%

+72.3%

親会社株主に帰属する

当期純利益

145

0.8%

450

2.3%

+209.0%

(単位:百万円)

 

22/3期は9.3%増収、72.3%経常増益を見込む
22/3期は、売上高が前期比9.3%増の192億円、営業利益は同168.0%増の6億50百万円、経常利益は同72.3%増の6億70百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同209.0%増の4億50百万円を見込む。感染症の拡大防止策の継続や、ワクチン接種が開始されたことなどを背景に経済活動の回復が期待されるものの、顧客企業における投資抑制の長期化や、外出自粛及びテレワークの定着に伴う駐輪場利用の減少などにより、一定の影響を受ける可能性がある。IT関連事業においては、顧客企業によるDXへの取り組みが継続されることに加え、テレワークの浸透などを背景とした保守・運用業務のアウトソーシングが増加していることなどから、IT投資は総じて増加傾向で推移することが見込まれる。パーキングシステム事業においては、大型受注が業績に寄与する一方で、緊急事態宣言の発出等に伴う、駐輪場利用料収入及び新規案件の減少による影響を織り込んでいる。今後は、外部環境の変化や需要変動に柔軟に対応できる収益基盤を確立すべく、事業の構造改革を迅速に推進する方針。
配当については、前期と同じ14.00円/株(うち上期7.00円/株)を見込む。

 

セグメント別の重点施策は以下の通り
■IT関連事業
✓大手企業および保険会社をドメインとした顧客基盤の拡大
✓グループ子会社および地方拠点とのシナジーを活かしたサービスモデルの更なる進化
✓パートナー戦略強化による新技術・リソースの獲得

 

■パーキングシステム事業
✓BPR推進による事業の構造改革
(固定費削減を徹底し、筋肉質な収益体質へ転換)
①業務プロセス、要員フォーメーションの再設計
②グループ子会社の役割を強化し、工事等周辺業務の内製化を促進
③利用料金体系の合理化およびキャッシュレス決済の拡大
④デベロッパー・設計事務所など新たな販路の開拓

 

中期経営計画

■22/3期以降は市場環境の回復を想定
■IT関連事業の更なる拡大とパーキングシステム事業の収益性改善により、計画達成を目指す

 

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

21/3期は1Q(4-6月)の大苦戦から尻上がりに回復、4Q(1-3月)は営業利益3億22百万円と会社の予想も大きく上回り巻き返した。感染症の影響を大きく受けたパーキングシステム事業だが、駐輪場管理台数や箇所数は2021年4月1日時点でむしろ大きく伸びている。22/3期は5月から3度目の緊急事態宣言発出となる。ただし、21/3期4Qの状況を鑑みても、昨年4月に見られたような人の動きや投資が停滞した状況にはなく、影響は軽微にとどまるだろう。また、顧客基盤が安定しているIT関連事業については、引き続き好調に推移しそうだ。21/3期に奉行シリーズ導入法人数は大幅に増加しており、着実な展開が見て取れる。足元、ワクチン接種が急速に進展している。下期には感染症の影響もより軽微となるだろう。中期計画を達成すればEPSは100円程度が想定される。同社株価は3桁にとどまっており、割安感は強い。今後は業績の回復に合わせて株価も水準訂正されていくことが予想される。

 

株主優待、長期優遇制度を導入している
贈呈品 : クオカード

(同社資料より)

 

<継続保有期間条件>
・年1回毎年9月末を基準日とし、同日付の同社株主名簿の記録により確認できる株主が対象
・継続保有判定は半期ごと(毎年3月末および9月末)の同社株主名簿に、「同一の株主番号」で連続して7回以上記録された株主を、継続保有「3年以上」の対象とする

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員除く)

9名、うち社外5名

監査等委員

4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年6月28日

 

2022年4月、現在の市場区分が「スタンダード市場・プライム市場・グロー ス市場」に見直されることに伴い、コーポレート・ガバナンスコードの適用範囲についても見直される。
JASDAQに上場する同社においては、スタンダード市場又はプライム市場を 選択する際、CGコードの全原則について対応する必要があるが、2021年6月28に提出されたコーポレート・ガバナンスに関する報告書において、「補充原則42原則」への対応が行われた。

 

<基本的な考え方>
同社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「ユニークなソフトウエア技術により、明るい未来に貢献する」という経営理念のもと、全てのステークホルダーの期待に誠実に応え、経営の健全性、透明性、効率性を確保していくことが、同社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に不可欠であると認識し、経営上の重要課題としてコーポレート・ガバナンスの充実を図ることである。

 

<実施しない主な原則とその理由>

 

【補充原則1-2-4 (株主総会における権利行使)】
同社は、議決権のインターネット行使については既に導入しているが、同社株主における機関投資家や海外投資家の比率は相対的に低い状況にあることから、議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳は実施していない。今後は、株主構成等の推移を踏まえ、必要性に応じ、対応を検討していく。

 

【補充原則3-1-2 (情報開示の充実 英語での情報開示)】
同社株主における機関投資家や海外投資家の比率は相対的に低い状況にあることより、英語での情報の開示・提供は実施していない。今後は、株主構成等の推移や当社の事業展開を踏まえ、必要性に応じ、対応を検討する。

 

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 (政策保有株式に係る基本方針)】
同社は、取引関係やパートナーとの良好な関係を構築・維持し、事業の円滑な推進を図ることで中長期的な企業価値の向上を実現する目的で、限定的に上場株式を保有することがあるが、個別の政策保有株式の保有適否については、上記目的に適合しているかを中心に、経済合理性等を基準に毎年定期的に取締役会で検証を行い、保有が不適と判断するものについては縮減を進める。

 

 

【補充原則4-11-3 (取締役会全体の実効性について)】同社は、毎年、取締役会の実効性に関する分析・評価を行い、結果の概要を開示する。2020年度は、全取締役に対し無記名式のアンケートを実施いたしました(2021年3月)。アンケートの大項目は以下のとおり。(1)取締役会の運営について(2)取締役会における審議について(3)適切な情報提供について(4)取締役会の構成(5)取締役会による意思決定・監督について<評価結果の概要>アンケート結果の分析・評価について指名・報酬委員会で審議したのち、2021年5月度の取締役会において審議した結果、当社の取締役会について実効性は概ね確保されているとの結論に至りました。また、取締役会の更なる実効性向上に向けた2021年度の主な取組課題として以下が挙げられました。(1)「取締役会議案エントリー・資料作成マニュアル」 の徹底(2)経営戦略等大きな方向性にかかわる議論及び情報提供の機会づくり(3)重要案件や経営計画の進捗状況等に対する適切なフォローアップ体制の強化(4)取締役トレーニングの実施

 

 

<その他>
指名・報酬委員会の設置
コーポレート・ガバナンス体制のより一層の充実を図ることを目的とし、平成29年6月に任意の委員会である「指名・報酬委員会」を設置した。取締役会の諮問機関として経営陣の選任・解任や報酬等に関する方針を審議し、その決定プロセスの客観性及び透明性を確保している。

 

指名・報酬委員会の構成
3名(うち2名は独立社外取締役、委員長は独立社外取締役から選定)

 

補足
取締役会の諮問機関である指名・報酬委員会の実績について、2020年度は、取締役候補者及び執行役員の選定、役員の報酬等の決定に関する基本方針の制定、役員報酬制度の改定、取締役及び執行役員の個別の報酬額の決定、取締役会の実効性評価等を審議対象とし6回開催し、以下3名の委員がその在任中の全てに出席した。
・委員長 : 圓角健一(監査等委員・社外取締役)
・委員 : 中山かつお(監査等委員・社外取締役)
・委員 : 下條治(代表取締役社長)

 

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