ブリッジレポート
(9278) ブックオフグループホールディングス株式会社

プライム

ブリッジレポート:(9278)ブックオフグループホールディングス 2022年5月期第1四半期決算

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堀内 康隆 社長

ブックオフグループホールディングス株式会社(9278)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表者

堀内 康隆

所在地

相模原市南区古淵2-14-20

決算月

5月

HP

https://www.bookoffgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

984円

20,547,413株

20,218百万円

1.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

8.00円

0.8%

22.93円

42.9倍

736.74円

1.3倍

*株価は10/29終値。発行済株式数、DPS、EPSは22年5月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

80,049

613

1,092

-889

-43.31

10.00

2019年3月(実)

80,796

1,550

2,120

2,172

112.19

15.00

2020年3月(実)

84,389

1,428

1,898

240

13.77

6.00

2021年5月(実)

93,597

1,936

2,509

157

9.03

6.00

2022年5月(予)

85,000

950

1,200

400

22.93

8.00

*2021年5月期は14ヶ月決算。予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

ブックオフグループホールディングス(株)の2022年5月期第1四半期決算概要などについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年5月期第1四半期決算概要
3.2022年5月期業績予想
4.今後の注目点
<参考1:今後の経営方針>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22年5月期第1四半期の売上高は211億83百万円、経常利益は2億88百万円(前21年5月期は14か月決算だったため、前年同期比は記載していない)。第1四半期の既存店売上高は前年同期間比101.2%。客数は97.5%。今期に入っても既存店売上高は前年を上回って推移している。前年同期間に巣ごもり需要により大きく伸びた書籍は、反動でマイナスも、コロナ禍前の前々年を上回っている。

     

  • 商材別には、注力中のトレカ・ホビーは、引き続き高い伸び。買取・販売のみでなく、売り場面積の拡大のほか、カード品目毎の価格マスターの精度引き上げといった専門性を発揮した施策などが功を奏している。競合他社を意識した値付けなどで、仕入も拡大している。前年同期間に巣ごもり需要により大きく伸びた書籍は、反動でマイナスも、コロナ禍前の前々年を上回っている。

     

  • 21年8月末の店舗数は795店舗。第1四半期の新規出店は直営・海外2店舗。リニューアルは13店舗で実施した。今期、大型店舗BOOKOFF SUPER BAZAARの新規出店は計画していないが、ロードサイド型の中型店・大型店については、出店を検討している。リニューアルは、有望商材のトレカ売場の新増設などを中心に、積極的に進める。駅前・繁華街は前年並みまで回復も、コロナ禍前には及んでいない。一方、郊外・ロードサイドは前年のみならず前々年も上回り好調である。

     

  • BOOKOFF Online経由チェーン売上高は前年同期間比7.5%減の21億75百万円。前年同期間を下回ったのは、ECセンターからの配送による販売における前年の特需の反動。一方で、注文した商品を店舗で受け取る店舗受取サービスが着実に成長している。非対面・滞在時間短縮ニーズの高まりを背景に、公式スマホアプリ会員数は21年8月末で348万人(21年5月末 約300万人)と順調に増加している。

     

  • 富裕層向け事業は、百貨店内買取窓口などは、国内ブックオフ事業に比べ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を色濃く受け低調。海外事業は、マレーシアは国内のロックダウンの影響により休業を余儀なくされた一方で、アメリカは、現地での買取・販売が前期に引き続き好調に推移。両国とも今後の成長を見据え、それぞれ直営店を1店ずつ新規出店した。

     

  • 業績予想に変更は無い。22年5月期は、売上高850億円、経常利益12億円を予想している。売上高はコロナ禍前の20年3月期(12か月決算)の843億円と同水準。経常利益は今期より大規模IT投資やマーケティング投資を実施することもあり、20年3月期の19億円を下回る。新型コロナウイルスの影響については、ユーザーの外出・消費マインドが本格的に回復するのは、第4四半期(3-5月)と想定している。配当は、前期比2.00円/株増配の8.00円/株を予定。予想配当性向は34.9%。

     

  • 前期後半の流れを受け、既存店売上は前期を上回って推移している。また、注力事業の一つである富裕層向けは依然コロナ禍の影響が濃いようだが、海外事業、中でもアメリカは好調である。客単価の上昇もあり、第1四半期の利益の進捗は想定よりも堅調で、第2四半期に入ってからもその流れは続いているということだ。第2四半期以降の各KPIの推移を注目していきたい。

     

1.会社概要

書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーンをグループで展開。北海道から沖縄まで全国をカバーする約800の店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)に加え、「ネットリユース」とのシナジーを追及している。

 

【1-1 ブックオフグループの経営理念】

「事業活動を通じての社会への貢献」、「全従業員の物心両面の幸福の追求」という経営理念の下、「本」の買取・販売を中心に様々なモノのリユースに取り組む中で育んできた、ブランド、店舗網、そして人財がグループの強みとなっている。「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」事をミッションとし、「リユースのリーディングカンパニー」と「自信と情熱を持って安心して働き、成長できる会社」を目指している。

 

ダイバーシティへの取り組み
「従業員は最大の財産である」、「知力と人間力を備えた「人財」の成長が、会社の成長に直結する」と同社は考えている。このため、個々の従業員が強みを活かすことができる職場環境の整備と従業員への能力開発や自己実現の機会提供に努めている。この一環として、2014年10月に特定地域内での勤務が可能な地域選択制度を導入した他、従業員同士が夫婦の場合、配偶者の転勤にあわせて転居先の近くの店舗への異動を配慮する「夫婦帯同転勤制度」を導入した。
また、障がい者雇用にも取り組んでおり、2010年10月にビーアシスト(株)を設立した(同年12月に障害者雇用促進法に基づく特例子会社として認定)。ビーアシスト(株)は、働く事ができる障がい者に「福祉」ではなく「企業の活動」として就労の機会・環境を提供し、社会参加・自立を支援している(ブックオフグループ全体で140名を超える障がい者を雇用している)。

 

【1-2 事業内容】

書籍・ソフト等のリユースショップ「BOOKOFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本・CD・DVD・ゲームソフト・家電・携帯等を取り扱う「BOOKOFF」、「BOOKOFF」にアパレル・ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF PLUS」、及び書籍・ソフトの他、家電(オーディオ・ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の3つのタイプで展開している。
この他、ECサイト「BOOKOFF Online」及び大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行うハグオール、新刊書店の運営及びブックレビューコミュニティサイトの運営等を行っている。

 

 

 

平均売場面積

約130坪

平均売場面積

約950坪

取扱商材

本、CD、DVD、ゲーム、ホビー

携帯電話、家電等

取扱商材

「BOOKOFF」+洋服、ブランド品、雑貨、スポーツ用品、食器等

 

 

平均売場面積

約300坪

平均売場面積

約20坪

取扱商材

「BOOKOFF」+洋服、服飾雑貨等

取扱商材

洋服、ブランド品、小型家電等を中心とした買取特化型店舗

(同社資料を基に作成)
ブックオフグループ
主な子会社は、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄、(株)マナス、(株)ブックオフ南九州が、国内で「BOOKOFF」店舗の運営を行なっている。(株)ブックオフウィズは、上記に加え、アパレル・ベビー用品等のリユース店舗の運営を行なっており、腕時計・ブランドバッグ・貴金属等のリユースショップ・チェーンである「キングラム」のFCでもある。また、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄は、アパレル等のリユース店舗の運営も行なっている。
(株)ジュエリーアセットマネジャーズは貴金属に特化し、買取・販売、オーダー受注・リペア・リメイクなどのトータルサービスの提供を行う「aidect(アイデクト)」を運営。

 

海外では、BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗の運営、BOK MARKETING SDN.BHD.がマレーシアで「Jalan Jalan Japan」の運営をそれぞれ行っている。
2016年に進出したマレーシアでは、現地オリジナルパッケージの「Jalan Jalan Japan」を展開している。店舗コンセプトの「Preloved in Japan」、「商品量の多さ」、「価格の安さ」が現地のニーズにマッチし業績は好調。人財育成に力を入れ、店舗ネットワークの更なる拡充に取り組んでいく。先ずは3~4年内に20店舗体制を確立したい考えで、中期的には同業者の廃棄商品の引き受け等も視野に入れている。マレーシア事業は黒字化しているが、収益貢献だけでなく、グループの出口機能も担っている(日本国内の店舗で販売に至らなかった商品を現地で販売している)。国内で売れ残った商品は産業廃棄物として処理するが、マレーシア事業が機能する事で処理費用を抑制できる。ただ、店舗運営には大量の商品の確保と大量の商品をさばくオペレーションが要求されるため、他社が同様の事業を展開する事は難しく、業界でも断トツの売上規模を誇る同社ならではの事業である。マレーシア人の店長が日本でマネジメント等の研修を受けている事に加え、現地に店長クラスの日本人社員を派遣して浸透させている。

2.2022年5月期第1四半期決算概要

【2-1 連結業績】

 

22/5期1Q

(21年6-8月)

構成比

売上高

21,183

100.0%

売上総利益

12,762

60.2%

販管費

12,617

59.6%

営業利益

145

0.7%

経常利益

288

1.4%

四半期純利益

231

1.1%

* 単位:百万円。21/5期は14か月決算で、21/5期第1四半期は2020年4-6月となるため、数値及び前年同期比等は記載していない。

 

 

【2-2 概況】

22年5月期第1四半期(21年6-8月)の概況は以下の通りである。

 

◎既存店売上高

2022年5月期に入っても既存店売上高は前年を上回って推移している。
第1四半期は前年同期間比101.2%。客数は97.5%。比較的客単価の低い書籍が低調な一方、単価の高いトレーディングカードが好調で、客単価は前年を上回った。また、ネットで注文した商品を店頭で受け取る「店舗受取サービス」が書籍について好調であり、その際のいわゆる「ついで買い」も寄与しているという。

 

◎商材・立地
*商材
前年同期間に巣ごもり需要により大きく伸びた書籍は、反動でマイナスも、コロナ禍前の前々年を上回っている。
注力中のトレカ・ホビーは、引き続き高い伸び。買取・販売のみでなく、その場でカードを取り交わすスペースの設置など売り場面積の拡大のほか、カード品目毎の価格マスターの精度引き上げといった専門性を発揮した施策などが功を奏している。
競合他社を意識した値付けなどで、仕入も拡大している。
一方、低調が続くアパレルは売り場面積を縮小し、その分トレカの面積を広げるなど、最適化を進めている。また、商材の価格帯による取り扱い方法の調整を実施し回転を速めている。

 

(国内直営店 商材別売上高前年同期間比)

 

21/5期1Q

2Q

3Q

4Q

5Q

22/5期1Q

書籍

84.9%

106.7%

103.2%

97.6%

127.1%

93.8%

ソフトメディア(音楽・映像・ゲーム)

89.4%

95.1%

94.5%

92.4%

118.2%

97.0%

アパレル

48.3%

82.3%

84.8%

90.9%

270.1%

94.5%

貴金属・時計・ブランドバッグ

64.6%

102.8%

95.6%

97.5%

234.5%

97.9%

トレカ・ホビー

74.0%

108.2%

116.2%

129.9%

269.8%

163.2%

家電・携帯電話

73.1%

89.2%

88.8%

95.8%

164.2%

92.0%

スポーツ・アウトドア用品

67.3%

115.9%

108.1%

109.8%

263.7%

102.2%

その他

85.7%

123.5%

122.9%

122.1%

232.5%

112.9%

合計

78.2%

100.1%

98.3%

98.7%

152.6%

101.2%

*既存店実績

 

*立地
駅前・繁華街は前年並みまで回復も、コロナ禍前には及んでいない。一方、郊外・ロードサイドは前年のみならず前々年も上回り好調である。

 

◎店舗
21年8月末の店舗数は795店舗。第1四半期の新規出店は直営・海外2店舗。リニューアルは13店舗で実施した。
今期、大型店舗BOOKOFF SUPER BAZAARの新規出店は計画していないが、ロードサイド型の中型店・小型店については、出店を検討している。
リニューアルは、有望商材のトレカ売場の新増設などを中心に、積極的に進める。

 

店舗投資

区分

店舗名

OPEN

所在地

売場面積

直営

新規出店

KAKA'AKO STORE店

3月20日

アメリカ合衆国

63坪

新規出店

Masai店

5月25日

マレーシア

500坪

 

 

◎EC売上
「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想においては、電子買取システムの導入と拡大(利用者の受付時間短縮と店舗運営効率UP)、店頭在庫のEC連携開始、EC商品の店舗受取サービス開始、キャッシュレス買取開始といった施策を引き続き進めている。

 

BOOKOFF Online経由チェーン売上高は前年同期間比7.5%減の21億75百万円。
「BOOKOFF Online経由チェーン売上高」は、ECサイト「BOOKOFF Online」上での注文に対する、ECセンターからの配送による販売実績、直営店・FC加盟店からの配送による販売実績、直営店・FC加盟店での店舗受取サービスによる販売実績の合計。
前年同期間を下回ったのは、ECセンターからの配送による販売における前年の特需の反動。一方で、まだ構成比は小さいものの、注文した商品を店舗で受け取る店舗受取サービスが着実に成長している。

 

非対面・滞在時間短縮ニーズの高まりを背景に、公式スマホアプリ会員数は21年8月末で348万人(21年5月末 約300万人)と順調に増加している。

 

◎富裕層
百貨店内買取窓口などは、国内ブックオフ事業に比べ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を色濃く受け低調だったが、売上高は前年同期間を上回った。

 

 

◎海外
「Jalan Jalan Japan」がマレーシア国内のロックダウンの影響により休業を余儀なくされた一方で、アメリカ合衆国内の「BOOKOFF」は、現地での買取・販売が前期に引き続き好調に推移。特に現地書籍やアニメグッズ等の売上高が前年同期間を大幅に上回った。
両国とも今後の成長を見据え、それぞれ直営店を1店ずつ新規出店した。

【2-3 財政状態】

◎財政状態

 

21年5月

21年8月

増減

 

21年5月

21年8月

増減

流動資産

24,017

24,687

+670

流動負債

17,584

17,812

+228

 現預金

5,837

6,234

+396

 仕入債務

560

572

+12

 売上債権

2,120

1,993

-127

 短期借入金

11,481

11,826

+345

 たな卸資産

13,778

14,106

+328

固定負債

9,793

9,991

+198

固定資産

16,304

16,191

-112

 長期借入金

7,072

7,262

+190

 有形固定資産

5,848

5,748

-99

負債

27,377

27,803

+425

 無形固定資産

1,220

1,279

+58

純資産

12,944

13,076

+132

 投資その他

9,234

9,163

-70

 利益剰余金

8,603

8,730

+127

資産合計

40,321

40,879

+558

負債・純資産合計

40,321

40,879

+558

* 単位:百万円。借入金にはリース債務を含む。

 

現預金、たな卸資産の増加などで資産合計は前期末比5億58百万円増加の408億79百万円。
借入金の増加で負債合計は同4億25百万円増加し、278億3百万円。
純資産は同1億32百万円増加の130億76百万円。
自己資本比率は前期末比0.1pt低下し、31.8%。

 

【2-4 トピックス】

◎「広報・SDGs推進室」を新設
2021年9月1日付で、「広報・SDGs推進室」を新設した。
持続可能な循環型社会への過渡期において、リユース業は重要な役割を担うことから、社会課題解決の主導的立場を強化することを目的としている。
TCFDに対する対応も検討を開始している。

3.2022年5月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

21/期5期

(14か月間)

構成比

22/5期(予)

(12か月)

構成比

前期比

進捗率

売上高

93,597

100.0%

85,000

100.0%

-9.2%

24.9%

営業利益

1,936

2.1%

950

1.1%

-51.0%

15.3%

経常利益

2,509

2.7%

1,200

1.4%

-52.2%

24.0%

当期純利益

157

0.2%

400

0.5%

+153.8%

57.8%

* 単位:百万円。前期比は参考値。

 

業績予想に変更は無い。売上高850億円、経常利益12億円を予想している。売上高はコロナ禍前の20年3月期(12か月決算)の843億円と同水準。
経常利益は今期より大規模IT投資やマーケティング投資を実施することもあり、20年3月期の19億円を下回る。

 

【3-2 前提条件】

*新型コロナウイルス感染症
国内のワクチン接種は進展するものの、感染者数は一進一退を繰り返しながら、第1~2四半期内(6-11月)はほぼ横ばいで推移。第3四半期(12-2月)に感染者数の一定程度の減少が始まるものの、ユーザーの外出・消費マインドが本格的に回復するのは、第4四半期(3-5月)と想定。

 

*BOOKOFF既存店
国内直営既存店売上高は前年比 100.0%。
前期に伸長したトレカ・ホビーの取り扱い強化により売上総利益率は低下する。
「ひとつのBOOKOFF」実現に向けたアプリ会員獲得施策を継続する。

 

*出店・リニューアル
BOOKOFF SUPER BAZAARのリニューアルは10店舗。
既存店のリプレイスを含んだトレカ・ホビー強化型BOOKOFFの出店は4~5店舗。
アメリカ、マレーシア等海外での新規出店は合計計5~6店舗。

 

*IT・マーケティング投資
BOOKOFFにおける安定収益をより強固なものとするため、戦略的なIT・マーケティング投資を実施する。
アプリ会員獲得に向けたマーケティングコストや、ECサイト・店舗POS刷新費用など、コスト負担大きく、一過性ながら収益の押し下げ要因となる。

 

(配当)
連結純利益に対する配当性向は30~35%程度を目処に、業績に裏付けされた安定的な配当を実施していく方針である。
22年5月期の配当は、前期比2.00円/株増配の8.00円/株を予定している。
予想配当性向は34.9%。

 

 

4.今後の注目点

前期後半の流れを受け、既存店売上は前期を上回って推移している。また、注力事業の一つである富裕層向けは依然コロナ禍の影響が濃いようだが、海外事業、中でもアメリカは好調である。
客単価の上昇もあり、第1四半期の利益の進捗は想定よりも堅調で、第2四半期に入ってからもその流れは続いているということだ。第2四半期以降の各KPIの推移を注目していきたい。

<参考1:今後の経営方針>

【1 事業環境】

同社資料によれば(リサイクル通信調べ 2020年)、リユース市場規模は、2011年1.2兆円が2018年には2.1兆円と7年で倍増した後も、2025年までには3.2兆円まで伸長すると見込まれている。

 

このうち、フリマアプリの普及などによりCtoCの利用も急速に拡大しているが、個人間取引における安心・安全の確保、価格の妥当性といった課題もある。
そのため、安心してリユースサービスを利用したいというニーズを取り込んでいるのが実店舗を構えるリサイクルショップや買取専門店などであり、信頼性に加え、利便性を提供できるBtoCサービスの優位性は高いと思われる。

 

【2 同社の強み】

同社では、リユース市場における自社の強みは、主として以下の点であると考えている。
(1)認知度No.1
国内リユースチェーン利用者に対する調査の結果、同社の認知度は96%。利用者のほぼ全員が同社の事を知っていると回答している。
長年の運営実績、実店舗の全国展開などがその背景にあり、他社が簡単には追随できるものではなく、強力な参入障壁となっている。

 

(2)利用客数No.1
同社の利用客数は年間約9,000万人(延べ人数)。上記の認知度に加え、全国約800の店舗ネットワークや、現在構築中の「ひとつのBOOKOFF」構想など、利便性の高さが利用者から高い支持を受けている。

 

(3)書籍在庫数No.1
書籍在庫数は1億冊を超える。書籍の買取・販売からスタートした同社の現在においても主力商材である書籍は、利用者層の幅も広く、リユースサービス利用の入口ともなりやすいため、その後の他商材利用への広がりも期待できることから、安定した利用者基盤構築に大きく寄与している。

 

(4)人財育成システム
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を実現するために、上記のブランド力、店舗網に加え人財の育成が不可欠と考え、正社員のみでなくパート・アルバイトを含めた全社員を対象とした人財育成システムを構築している。
経営理念をはじめとしたフィロソフィーと各種マニュアルに基づく人財育成カリキュラムや全従業員を対象としたキャリアアップ制度により店舗運営を支える人財育成に注力している。
店舗における「笑顔・丁寧・スピーディーな対応」による来店者満足度の向上に加え、物流センターにおける運営効率向上についての各従業員の参加意識向上にも努めている。

 

(5)安心できる店舗づくり
利用者の立場に立った買取サービスや法令順守を徹底し、利用者が安心してモノを売る店舗づくりに取り組んでいる。
特に、利用者が最も関心のある買取価格の妥当性については、他社にはない膨大な取引データを基にした買取価格データベースを本社において整備し、それを基に各店舗での買取を実施している。

 

【3 BOOKOFFグループの価値創造】

事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」の実現による企業価値の最大化を目指している。
そのためには、経営理念に基づいた人財育成を推進することで揺るぎない普遍的価値を構築し、その基盤に立って各事業を推進し成長を追求する。

(同社資料より)

 

【4 事業展開】

(1)BOOK OFF事業
①店舗展開
前述の通り、新型コロナにおける利用者動向の変化を見据え、従来の出店戦略を見直し、店舗投資を一時的に抑制・コントロールする。

 

*BOOKOFF SUPER BAZAAR
売上構成比の大きいアパレルの不振を打開すべく、既存店リニューアルに注力する。

 

*BOOKOFF
新型コロナウイルスの影響により小商圏化が大きな事業機会になっていることを受け、地域密着を重視。
好調なトレカ・ホビーの取り扱いを強化するなど、エンタメ性を追求したリニューアルを実施する。

 

*BOOKOFF 総合買取窓口
都心部での良質な商材の買取に特化し、周辺店舗への商材出荷のほか、富裕層向け事業のハグオールとの連携や販売を強化する。

 

②商材別戦略
*本・ソフト
引き続き収益の中核であり、利用者の来店動機として重要な商材である。
ネットサービスの活用で利便性向上させるほか、サブスクサービスのトライアルなどで利用シーンの拡大を図る。

 

*トレカ・ホビー
コロナ禍で大きく伸長した。今後も集中投資により強化する。
新品商材の取り扱いにより商品鮮度向上とともに売場拡大を進める。新品商材は粗利率の低下要因となるが、中古買取・販売規模拡大の呼び水になると考えている。

 

*アパレル
コロナ禍により外出機会の抑制などから、一次市場の低迷によるダウントレンドは今後もしばらくは継続する。
売場面積適正化とオペレーション効率化で収益性の向上を図る。

*その他戦略商材
スポーツ・アウトドア用品はコロナ禍でも好調。今後は、レンタルサービスも開始する。
レコード強化など地域特性に合わせた店舗の個性づくりを継続する。

 

③マーケティング戦略
2021年5月、新プロモーション「あるじゃん!」をスタートさせた。
充実した本の品揃えや、商材の多様性など、ブックオフの価値・サービスを利用者に再認識してもらうことを目的としているため、従来のセール型・ダイレクト広告から、定常的な集客を目的とした価値訴求型・ブランド広告へ転換した。
TVCMのみではなく、WEB、SNS、PR、店頭など、利用者の行動として訴求するアプローチでBOOKOFFから足が遠のいている休眠顧客層の来店行動を喚起する。

 

④「ひとつのBOOKOFF」構想
「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想においては、前述のように21年5月、公式アプリ会員が300万人を突破した。

(同社資料より)

 

 

(公式アプリの機能)

商品検索

約420万点の商品からアプリで一括検索。近くの店舗で見つからなかった商品がみつかることも。

アプリで購入

店舗に行かなくてもアプリから購入可能。店舗が近隣に無かったり時間が無かったりしても購入可能。1,500円以上の購入で送料無料。

店舗受取

アプリで購入した商品を近くの店舗で受取可能。1点から送料無料(一部対象店舗のみ)

クーポン

登録してる店舗限定のクーポンや、全店で開催しているセール情報をアプリでチェックできる。

 

こうした公式アプリの利便性を更に訴求することで、アプリ会員数の更なる拡大を図る。
2023年5月末には現在の倍600万人を目標としており、ブックオフ利用者のうち、15%のアプリ会員で売上の3分の1を占める状態を目指す。

(同社資料より)

 

(2)富裕層向け事業
同社資料(野村総合研究所「NRI富裕層アンケート調査」)によれば、日本の富裕層(準富裕層、富裕層、超富裕層の合計)は475万世帯で2009年からの10年間で121万世帯増加し、今後も増加が見込まれる。
拠点数の増加により、買取及び収益の増加が見込むことができる状況である。
そこで、以下2つのアプローチにより、富裕層向けリユースを拡大する。

 

1つは、BOOKOFFを利用していない富裕顧客層へのアプローチ。
大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行う「ハグオール(9拠点)」、(株)ジュエリーアセットマネジャーズが運営する貴金属に特化し、買取・販売などを行う「aidect(14拠点)」により大手百貨店を中心に今後も積極的に展開する。

 

もう一つはBOOKOFFを利用する富裕層顧客へのアプローチ。
東京都内中心とした高級エリアにおいてBOOKOFF総合買取窓口(15店舗)の出店を再開する。

 

前期決算では(株)ジュエリーアセットマネジャーズののれんの減損損失を計上したが、オペレーション効率化やグループ内物流網の活用により、収益体質は改善している。
同社ならではのアプローチを武器にターゲット層との接点を最大化する。

 

(3)海外事業
各地域での施策は以下の通り。

 

①アメリカ(9店舗)
日本のアニメーションが現地で大好評であり、日本からの輸出商材が高い付加価値を生んでいる。
輸出のみでなく現地での買取・販売も強化するためにストアマネージャーの育成に注力する。
収益体質が整ったため、8年ぶりに新規出店を再開する。

 

②マレーシア(8店舗)
新型コロナウイルスに伴うロックダウンの実施により外部環境は厳しいが、利用者のニーズは高く、今後の伸長に大きく期待している。国内供給網を拡充で20店舗体制を目指す。
現時点では現地での買取は行わず、国内で販売機会に恵まれなかった商材を有効活用する。
外部パートナーによる加盟店なども活用し、マレーシア以外の多国展開を開始する。

 

③フランス(3店舗)
3店舗は全てFC店舗。

 

(4)M&A・事業開発の推進
リユース領域においては、商材の専門性強化、未カバーの店舗網構築、新たな顧客層へのアプローチといった切り口で、リユース以外の領域ではリユースとのシナジー、店舗でのエンタメ性、将来の事業の柱といった観点からM&Aや事業開発を進め、更に事業ドメインを拡大する。

 

(5)SDGsへの取り組み
BOOKOFFでモノを売ったり、買ったりする行動そのものがモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという社会貢献につながっている。これはSDGs12の「つくる責任、つかう責任」目標を達成させるために、非常に重要な役割を果たす。これらをはじめ、同社の中心事業であるリユース業を軸に様々な活動を通してSDGsの達成に貢献していく考え。

 

 

リユースと古紙リサイクル

 

 

マレーシア事業Jalan Jalan Japan

雇用の創出、良質な商品・アパレル提供

 

 

(株)ジュエリーアセットマネジャーズ

宝飾品リペア、代々の継承

 

 

 

障害者雇用促進法認定

障がい者支援、雇用の創出

 

 

企業・行政・NPO団体とのパートナーシップ

 

(同社資料より)

 

【5 投資・出店計画】

(1)IT投資
店舗・EC間の連携強化、DX推進のほか、老朽化したITインフラの刷新など、大規模なIT投資を実施する。
そのため向こう2~3年間は投資及び費用発生のピーク期となり、一時的な収益の押し下げ要因となる。

 

(同社資料より)
(2)出店計画
BOOKOFF事業は、大型店BOOKOFF SUPER BAZZARについては、今期はリニューアル中心。来期以降新規出店を再開。BOOKOFFは新規出店とリプレイスを取り混ぜ4-5店出店。
海外は積極的な出店を計画している。

(同社資料より)

 

【6 利益想定】

前期決算では、新型コロナの感染拡大により、一時は国内直営店の過半を休業対応し、収益を大きく毀損したことにより、出店投資を抑制するなど、事業活動にも大きな影響受けた。
前期第2四半期以降回復基調に入ってはいるものの、投資抑制による出店計画の遅れや、成長分野である富裕層向けサービス、海外事業の回復に一定の時間を要すること、加えて、アフターコロナにおける市場環境の大きな変化を鑑み、2023年5月期を最終年度とする中期経営方針内で掲げる、経常利益30億円の業績目標を取り下げた。

 

前述の通り、新型コロナウイルス感染症に伴うユーザーの外出・消費マインドが本格的に回復するのは、今期第4四半期(3-5月)との想定および、上記事業活動による今後4年間の経常利益の水準を以下のように想定している。

 

 

22/5期は決算期変更・コロナ助成金など特殊要因の剥落、BOOKOFF事業の安定収益を盤石にするための戦略的IT・マーケティング投資などにより、前期比マイナス13億円。その後、各事業の収益向上により25年5月期24億円を計画している。

 

*BOOK OFF事業
アプリ連携によりLTVを拡大し、安定収益を継続する。24/5期より投資負担剥落によって利益成長。

 

*富裕層向け事業
拠点拡大で23/5期より着実に収益を積み上げる。

 

*海外事業
積極展開で23/5期より収益を拡大。

 

*M&A・事業開発
24/5期より収益上積み。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外6名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年8月30日)
基本的な考え方
当社グループは、純粋持株会社であるブックオフグループホールディングス株式会社のもと、「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」をグループ共通の経営理念とし、「経営の透明性・効率性の確保」「迅速な意思決定」「アカウンタビリティの充実」をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。この考えのもと、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを整え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

コーポレートガバナンス・コードの各原則に対する基本方針を「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」にて、開示しております。
 ■コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み
  https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/corporate.html

 

<実施しない原則とその理由>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。政策保有の株式の議決権行使については、議案の内容を精査し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。

 

【補充原則4-1③】
当社は、サクセッションプランは策定しておりませんが、次期社長や新任取締役の指名にあたり、社長交代や取締役の選任がある場合は、事業年度終了後かつ株主総会開催前の間の取締役会において、独立社外取締役会による取締役会の実効性及び議長の評価や指名諮問委員会の答申を踏まえ、透明性・公平性の高い後継者指名や取締役候補の選任を行える体制を確立しております。

 

<開示している主な原則>
【原則4-9】
当社は、社外取締役の独立性の判断基準を策定しており、招集通知及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。また、当社の独立社外取締役3名は、企業経営の経験者や弁護士、ITや小売業界等それぞれ専門的な知識と豊富な経験に基づき、経営戦略等へ的確な助言・意見具申や重要な意思決定による経営に対する監督、利益相反の監督等を独立した立場で行っております。

 

【補充原則4-11①】
当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役8~10名程度が適正と考えております。現在は社内取締役4名、社外取締役6名(うち独立社外取締役3名)で構成されており、各取締役に期待する分野及び各人の有する主な知識、経験、能力並びに専門性等は、本報告書最終ページ【取締役会の構成(スキルマトリックス)】のとおりです。
取締役の選任に関しては、社内規程に基づき指名諮問委員会(社長及び独立役員たる社外取締役で構成)において、当社の持続可能な成長と企業価値向上に資する候補者であるかを基準に面談等を経て選定し、監査等委員会にも候補者を通知した上で、取締役会にて決定しております。また、監査等委員である取締役候補については、当社の健全な経営と社会的信用の維持向上に資する人物で、中立的・客観的に監査を行うことができる候補者であるかを基準に選定し、監査等委員会で検討・同意をした上で、最終的に取締役会にて決定しております。なお、社外取締役の選任に係るガイドラインを定め、その独立性判断基準は、招集通知及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。

 

【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ホームページにて開示しております。
 ■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.htmlle="color:#000000">  

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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