ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

スタンダード

ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム 2022年3月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

谷井 剛 社長

株式会社 フォーバルテレコム(9445)

 

 

会社情報

市場

東証2部

業種

情報・通信

代表取締役社長

谷井 剛

所在地

東京都千代田区神田錦町 3-26 一ツ橋SIビル2F

決算月

3月

HP

https://www.forvaltel.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

369円

16,693,195株

6,159百万円

27.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

17円

4.6%

46.13円

8.0倍

104.30円

3.5倍

※株価は12/16終値。時価総額は12/10終値×発行済株式数(百万円未満切捨て)。
※ROEとBPSは2021年3月期実績、EPSとDPSは2022年3月期の会社予想。
※数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

15,683

699

720

484

29.05

15.00

2019年3月(実)

18,347

888

800

589

35.33

17.00

2020年3月(実)

21,279

1,002

965

-960

-57.56

17.00

2021年3月(実)

21,729

846

653

456

27.32

17.00

2022年3月(予)

22,100

950

760

770

46.13

17.00

*単位は百万円、円。

 

 

フォーバルテレコムの2022年3月期第2四半期決算等について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.主要なサービスの概要
3.2022年3月期第2四半期決算
4.2022年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3期第2四半期決算は前期比2.2%の減収、同25.1%の経常増益。売上面は、電力サービスの顧客数が増加したユーティリティ・ビジネスで増加したものの、契約獲得数が伸び悩んだIP & Mobileソリューション・ビジネスなどで減少した。利益面では、仕入れコストの固定価格化の影響により、ユーティリティ・ビジネスなどで減少した一方、営業費用の削減等が奏功したIP & Mobileソリューション・ビジネスなどで増加した。また、前年同期に営業外費用で発生したIP & Mobileソリューション・ビジネスにおける、WBAサービスの回収率悪化による貸倒引当金繰入額が減少したことなどにより経常利益の増益率が拡大した。

     

  • 22/3期会社計画は、前期比1.7%増収、同16.4%経常増益の予想から修正なし。インターネット接続サービスや電力サービス「Elenova」などにおける新規顧客獲得が、売上高と利益の増加に寄与する見込み。また、連結子会社における事業譲渡による特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益の増加が大きくなる。22/3期の配当予想は、前期と同額の1株当たり17円(上期末7円、期末10円)の予定を据え置き。

     

  • 同社は10月1日より「Elenova」の新プランである「地球にやさしいでんき」の提供を開始した。顧客の電気を、「地球にやさしいでんき」に変えると顧客のCO2排出量が実質ゼロになるという環境配慮型の非常に魅力的な新サービスの投入である。2050年脱炭素社会の実現に向けて、世界的に環境配慮への意識が高まる中、新規顧客の獲得増加が期待される。「地球にやさしいでんき」の今後の契約状況が注目される。

     

     

1.会社概要

中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(21/3期はフォーバルの連結売上高の42.7%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社。

 

【事業内容と企業グループ】

同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「どこでもホン」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスによるオン・デマンド印刷、タクトシステム㈱による印刷物・デジタルメディア・Webサイト等のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」、小売電気事業者として電力を提供する「ユーティリティ・ビジネス事業」に分かれる。

【過去10年間の業績推移】

 

2.主要なサービスの概要

(1)フォーバルテレコム単体の事業マップ

 

(同社決算説明会資料より)

 

(2)フォーバルテレコム単体の事業(継続サービス)

Smartひかり
1社占有型の光ファイバーを使用している為、安定した回線速度を有したIP電話サービスを実現。全国一律のわかり易い料金プランで月々のコストがシンプルになり、さらに大幅ダウンが図られる。更に、自動迂回着信機能で万が一の時でも安心して使用できる。

 

(同社HPより)

 

iSmartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。

 

(同社HPより)

 

 

 

 

(同社HPより)

 

iSmart接続
法人向けの高品質なインターネット接続サービスを個人ユーザー向けに価格・内容を最適化したフレッツ光(光コラボ)専用プロバイダサービス。

(同社HPより)

 

CooVo(クーボ)
CooVo(クーボ)は、IPv6 IPoE接続方式を用いた高品質ネットワークを利用した次世代のIP電話サービス。
CooVoは網終端装置を経由しない為、混雑が緩和され顧客はIPv6 IPoE接続方式を用いた高品質ネットワークの利用が可能となる。また、一般的な通話の82%が2分以内の通話であることから、CooVoの通話料は全国一律5.5円/2分と格安に設定されている(一般的な通話設定は、8円/3分)。更に、万が一の光回線障害時でも、自動迂回着信機能があるため、顧客が指定した電話番号に着信される。

(同社HPより)

 

どこでもホン
どこでもホンには、①外出先から会社の番号を通知できる、②会社にかかってきた電話を事務所でも外出先でもどこでも受けられる、③外出先のスマホと内線通話が可能(パケット定額で通話無料)、④外線ボタン搭載(ページ切替で24ボタンまで表示)の4つの特徴がある。人出不足解消(外にいる人も会社宛の電話に出れる)、生産性向上解決(会社の電話番号通知ができるので、事務所に戻る必要がない)、長時間労働解決(顧客に通知するのは会社の番号)、働きやすい職場の構築(スマートフォン【iPhone】で、テレワークや働き方改革の強い味方)を可能にする優れたツールである。

 

おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。

 


(同社HPより)

 

セキィリティ本舗
PマークやISMSなど各種ISOの認証取得・更新のコンサルティングを提供。認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを行っている。

 

(同社HPより)

 

 

3.2022年3月期第2四半期決算

(1)連結業績

 

21/3期

第2四半期

構成比

22/3期

第2四半期

構成比

前年同期比

売上高

10,655

100.0%

10,418

100.0%

-2.2%

売上総利益

2,995

28.1%

2,896

27.8%

-3.3%

販管費

2,483

23.3%

2,388

22.9%

-3.8%

営業利益

512

4.8%

508

4.9%

-0.7%

経常利益

365

3.4%

456

4.4%

+25.1%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

261

2.5%

516

5.0%

+97.3%

*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円。

 

前年同期比2.2%の減収、同25.1%の経常増益
売上高は前年同期比2.2%減の104億18百万円。売上面は、契約獲得数の伸び悩みによるIP & Mobileソリューション・ビジネス、広島事業の事業譲渡と新型コロナウイルス感染症の影響で、各種セミナー・イベント印刷物作成の減少が影響したドキュメントソリューション・ビジネスや新型コロナウイルス感染症の影響で、ショッピングモール併設の保険店舗閉鎖等の影響を受けたコンサルティング・ビジネスで減少した。一方、電力サービス「Elenova」の新規顧客数が順調に増加したユーティリティ・ビジネスで増加した。
営業利益は同0.7%減の5億8百万円。売上高の減少によりコンサルティング・ビジネスで減少した他、価格変動リスクの低減を目的とした仕入れコストの固定価格化の影響によりユーティリティ・ビジネスで減少した。一方、営業費用の削減等の効果によりIP & Mobileソリューション・ビジネスとドキュメントソリューション・ビジネスで増加した。売上総利益率は27.8%と前年同期比0.3ポイント低下。前払販売奨励金の償却の減少や回収率の改善等により販管費が同3.8%減少し、売上高対販管費比率は22.9%と前年同期比0.4ポイント低下した。この結果、売上高営業利益率が4.9%と前年同期比0.1ポイント上昇した。また、前年同期に営業外費用で発生したIP & Mobileソリューション・ビジネスにおける、WBAサービスの回収率悪化による1億52百万円の貸倒引当金繰入額が、今四半期は49百万円に減少したことなどにより、経常利益は同25.1%増の4億56百万円と大幅な増益となった。その他、特別利益で計上した株式会社トライ・エックス広島事業部の事業譲渡益3億54百万円により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比97.3%の大幅な増加となった。
なお、収益認識会計基準等の適用により、保険代理店手数料の収益認識基準を変更したこと及び電力料金収益及び関連する託送料金を検針日基準から電力供給に応じて認識すること等で売上高は4億18百万円減少し、営業利益は17百万円減少している。

 

連結売上総利益の内訳

 

21/3期

第2四半期

22/3期

第2四半期

前年同期比

 

増減額

増減率

売上高

10,655

10,418

-237

-2.2%

 個別

8,108

8,106

-1

-0.0%

 子会社

2,546

2,311

-235

-9.2%

売上総利益

2,995

2,896

-98

-3.3%

 個別

2,050

2,003

-46

-2.3%

 子会社

945

893

-51

-5.5%

売上総利益率

28.1%

27.8%

-0.3P

-

 個別

25.3%

24.7%

-0.6P

-

 子会社

37.1%

38.7%

+1.5P

-

*単位:百万円

 

個別売上総利益の内訳

 

21/3期

第2四半期

22/3期

第2四半期

前年同期比

 

増減額

増減率

売上高

8,108

8,106

-1

-0.0%

 ストック収益(通話系)

4,387

4,148

-238

-5.4%

 ストック収益(ネット系他)

1,317

1,276

-41

-3.1%

ストック収益(電力)

1,700

2,295

+594

+35.0%

 一時収益

703

386

-316

-45.0%

売上総利益

2,050

2,003

-46

-2.3%

 ストック収益(通話系)

611

590

-20

-3.4%

 ストック収益(ネット系他)

781

760

-21

-2.7%

 ストック収益(電力)

412

503

+91

+22.2%

 一時収益

245

148

-96

-39.3%

売上総利益率

25.3%

24.7%

-0.6P

-

 ストック収益(通話系)

13.9%

14.2%

+0.3P

-

 ストック収益(ネット系他)

59.3%

59.6%

+0.2P

-

 ストック収益(電力)

24.2%

21.9%

-2.3P

-

 一時収益

34.8%

38.5%

+3.6P

-

*単位:百万円

 

連結の売上総利益は前年同期比98百万円の減少、売上総利益率は同0.3ポイントの低下となった。個別ベースの売上総利益は、通話系・ネット系他のストック収益や一時収益の減少などが影響し、全体として46百万円減少した。電力のストック収益の売上高と売上総利益が増加した。また、子会社の売上総利益は、同51百万円の減少となった。

 

販管費の内訳

 

21/3期

第2四半期

22/3期

第2四半期

増減額

主な増減要因

販管費合計

2,483

2,388

-95

 

 

人件費

1,018

1,017

-1

 

 

支払手数料

617

584

-32

前払販売奨励金の償却の減少など

前年同期比-32百万円

委託業務費

280

247

-33

個人向けサービスの各種業務費抑制など

前年同期比-33百万円

情報処理費

118

135

+17

 

貸倒引当金繰入額

87

53

-33

回収率の改善など

前年同期比-33百万円

その他

361

349

-11

 

 

*単位:百万円

 

販管費は、前年同期比で95百万円減少した。主にIP & Mobileソリューション事業におけるネット系ストック収益(ISPサービス)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費が減少した。また、回収率の改善などにより貸倒引当金繰入額が減少した他、個人向けサービスの各種業務費の抑制などにより委託業務費も減少した。

 

上期の業績推移

上期の業績は、売上高、経常利益ともに概ね増加基調にある。22/3期上期の売上高と経常利益は、過去10年間で最高とはならなかったものの、高水準となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

21/3期

第2四半期

構成比

22/3期

第2四半期

構成比

前年同期比

 IP & Mobileソリューション・ビジネス

6,652

62.4%

6,146

59.0%

-7.6%

 ユーティリティ・ビジネス

1,700

16.0%

2,295

22.0%

+35.0%

 ドキュメントソリューション・ビジネス

666

6.3%

545

5.2%

-18.2%

 コンサルティング・ビジネス

1,636

15.4%

1,431

13.7%

-12.5%

連結売上高

10,655

100.0%

10,418

100.0%

-2.2%

 IP & Mobileソリューション・ビジネス

268

52.5%

314

61.8%

+16.9%

 ユーティリティ・ビジネス

104

20.4%

94

18.6%

-9.4%

 ドキュメントソリューション・ビジネス

-12

-2.4%

3

0.7%

-

 コンサルティング・ビジネス

150

29.5%

95

18.8%

-36.4%

 その他

0

-

0

-

-

連結営業利益

512

100.0%

508

100.0%

-0.7%

*単位:百万円

 

 

IP & Mobileソリューション・ビジネス 売上高61億46百万円(前年同期比7.6%減)、セグメント利益3億14百万円(同16.9%増)
主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。インターネット接続サービス等の契約獲得の伸び悩みにより、売上高が減少したものの、営業費用の削減等の効果により、セグメント利益は増益となった。また、売上高対セグメント利益率は5.1%と前年同期比1.1ポイント上昇した。
なお、収益認識会計基準等の適用により、顧客へのホームページの更新作業の受託サービスのうち代理人として関与した取引について売上高を純額とした影響等で売上高及び売上原価がそれぞれ87百万円減少している。

 

ユーティリティ・ビジネス 売上高22億95百万円(前年同期比35.0%増)、セグメント利益94百万円(同9.4%減)
電力を提供。電力サービス「Elenova」の新規獲得件数が順調に伸びたこと等により、売上高が増加したものの、価格変動リスクの低減を目的とした仕入れコストの固定価格化の影響により、セグメント利益は減益となった。また、売上高対セグメント利益率は4.1%と前年同期比2ポイント低下した。
なお、収益認識会計基準等の適用により、電力料金収益及び関連する託送料金を検針日基準から電力供給に応じて認識することとした等で売上高は2億62百万円減少し、セグメント利益は1百万円減少している。

 

ドキュメントソリューション・ビジネス 売上高5億45百万円(前年同期比18.2%減)、セグメント利益3百万円(前年同期セグメント損失12百万円)
主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。株式会社トライエックスの広島事業部譲渡及び新型コロナウイルス感染症の影響で、各種セミナー・イベント印刷物作成が縮小されたことなどにより、売上高は減少したものの、営業費用等の削減があり、セグメント利益は増加した。

 

コンサルティング・ビジネス 売上高14億31百万円(前年同期比12.5%減)、セグメント利益95百万円(同36.4%減)
主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。新型コロナウイルス感染症の影響で、ショッピングモール併設の保険店舗閉鎖等により、売上高・セグメント利益が減少した。また、売上高対セグメント利益率は6.7%と前期比2.5ポイント低下した。
なお、収益認識会計基準等の適用により、保険代理店手数料の収益認識基準を変更したこと等で売上高は68百万円減少し、セグメント利益は16百万円減少している。

 

(3)財政状態及びキャッシュフロー(CF)

財政状態

 

21/3月末

21/9月末

 

21/3月末

21/9月末

 現預金

1,535

1,439

仕入債務

2,375

2,464

 売上債権

3,462

3,506

短期有利子負債

3,800

2,972

たな卸資産

415

406

未払金

2,590

2,499

有形固定資産

94

80

長期有利子負債

30

-

無形固定資産

842

862

負債合計

10,002

9,470

投資その他

2,495

2,246

純資産合計

1,753

2,107

資産合計

11,755

11,577

負債純資産合計

11,755

11,577

*有利子負債=借入金
*単位:百万円
21/9月末の総資産は、21/3月末比1億78百円減の115億77百万円。資産サイドでは現預金、未収入金、長期前払費用等が主な減少要因で、売上債権、前払費用等が主な増加要因となった。負債・純資産サイドでは、短期借入金、未払金が主な減少要因で、その他に含まれる契約負債、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金等が主な増加要因となった。21/9月末の自己資本比率は18.0%と21/3月末の14.8%から3.2ポイント上昇した。

 

キャッシュ・フロー

 

 

 

 

21/3期

第2四半期

22/3期

第2四半期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

356

684

327

+91.8%

投資キャッシュ・フロー

-114

245

359

-

フリー・キャッシュ・フロー

242

929

686

+283.6%

財務キャッシュ・フロー

175

-1,024

-1,199

-

現金及び現金同等物四半期末残高

1,447

1,439

-7

-0.6%

*単位:百万円

 

CFの面では、税金等調整前四半期純利益の増加や売上債権の減少や法人税等の支払額の減少などにより営業CFのプラスが拡大した。また、事業譲渡による収入などにより投資CFがプラスに転じたことにより、フリーCFもプラスへ転じた。その他、財務CFプラスは短期借入金の減少などによりマイナスへ転じた。これらにより、2021年9月末のキャッシュポジションは若干低下した。

 

(4)連結子会社における事業譲渡及び特別利益の計上

同社は、連結子会社である株式会社トライ・エックスの複写・印刷業の広島事業部を株式会社トライサクセスへ譲渡した。なお、この譲渡により2022年3月期決算において特別利益で3億54百万円の事業譲渡益を計上する。

 

 

4.2022年3月期業績予想

1)連結業績

 

21/3期 実績

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

21,729

100.0%

22,100

100.0%

+1.7%

営業利益

846

3.9%

950

4.3%

+12.2%

経常利益

653

3.0%

760

3.4%

+16.4%

親会社株主に帰属

する当期純利益

456

2.1%

770

3.5%

+68.8%

*単位:百万円

 

22/3期の業績予想は、前期比1.7%増収、同16.4%の経常増益
上期が終了し22/3期会社計画は、売上高が前期比1.7%増の221億円、経常利益が同16.4%増の7億60百万円の予定から修正なし。引き続き、顧客の事業インフラと生活インフラの費用対効果の向上ニーズへの対応を通じて事業の拡大を図る。
売上高面では、現在注力している電力サービス「Elenova」とSmartひかりやiSmartひかりやおまか請求など継続サービスとのシナジー効果により、新規顧客の獲得を図り、ユーティリティ・ビジネス、IP & Mobileソリューション・ビジネス、コンサルティング・ビジネスの拡大を目指す。
利益面では、売上高拡大に加え、電力サービスにおける相対電源比率100%による仕入価格の安定化などが営業利益の増加に寄与する見込みである。売上高営業利益率は4.3%と前期比で0.4ポイント上昇する計画。また、WiFiルータ違約金収入の未回収率抑制により貸倒引当金繰入額が減少することから経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回る予定。その他、連結子会社における事業譲渡による特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益の増加が大きくなる。
また、22/3期の配当予想も前期と同額の1株当たり17円(上期末7円、期末10円)の予定を据え置き。同社は、成長事業を中心とした販売促進と基幹システム投資に内部留保を活用する一方で、業績に連動した利益還元の双方バランスに配慮して連結配当性向50%程度を目安に配当を実施するとの配当政策の基本方針を掲げている。なお、この事業譲渡による特別利益を除外した場合の連結配当性向は54.4%となる見込み。

 

(2)22/3期の取り組み

電力事業の拡大-【Elenova(エレノバ)】
Elenovaとは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者となって、オリジナル料金で提供している電力サービス。
Electric(電気の)+nova(新星 新しい)+value(価値)から作成した新語。すべての人に、あらたな価値をもたらす電気事業の意味が込められている。
Elenovaは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者として顧客に電力を提供する新電力サービス。従来電力は、地域指定の電力会社に供給されていたため、法人・個人を問わず電力会社を自由に選ぶことはできなかったが、2016年4月に電力が全面自由化されたことにより、企業、一般家庭共に電力会社を選ぶことが可能となった。現在は小売電気事業者ごとに「低価格設定」や「環境への配慮」など、様々な形態で電力が供給されている。こうした環境下、様々な小売電気事業者が誕生しているが、同社のように全国規模で中小法人を対象に事業を運営している小売電気事業者は少ない。
一般社団法人エネルギー情報センター統計情報(新電力ネット)のデータによると2021年6月末の新電力低圧全国契約口数は、前年6月末に比べ25%増加した。今後も魅力的な料金を提供している小売電気事業者の契約口数の拡大が予想される。

(出所:一般社団法人エネルギー情報センター統計情報(新電力ネット)より)

 

(同社決算説明会資料より)

 

こうした環境下、SmartひかりやiSmartひかり、おまか請求など継続サービスとのシナジー効果を高め、電力サービス「Elenova」の新規顧客獲得の拡大を目指す。更に、2020年12月下旬から2021年1月にかけて発生した、日本卸電力取引所の電力取引価格の高騰の影響を受け仕入原価が大幅に増加したことに対応し、22/3期より電力サービスにおける相対電源比率を100%にすることで仕入価格の安定化を図る予定である。

(同社決算説明会資料より)

 

地球にやさしいでんきの提供開始
同社は、二酸化炭素排出量を実質ゼロとする電力サービス「Elenova 地球にやさしいでんき」を 2021年10月1日より提供開始した。2050年脱炭素社会の実現に向けて、世界的に環境配慮への意識が高まる中、企業の規模を問わず、環境への取り組みに対する行動が求められている。「地球にやさしいでんき」は、顧客の電気を、「地球にやさしいでんき」に変えると顧客のCO2排出量が実質ゼロになるElenovaの環境配慮型プランである。当該プランは同社の電気にJークレジット等、環境価値を取引する証書を利用し、実質的にCO2の排出量をゼロにするものである(証書の調達元については、調達状況によって変更される)。
また、「地球にやさしいでんき」には、①地球にやさしい(CO2の排出を実質ゼロにすることができる)、②利用料金がお得(利用料金は各地域電力会社の標準的なプランよりもお得)、手続きが簡単(用意するのは検針票のみ)というメリットがある。

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

Collabo One事業の拡大
Collabo One事業は、見込管理・顧客管理・電子契約・受注管理・料金計算・請求書発行・収納などに関する統合プラットフォームをサブスクリプションモデルで提供するサービスである。本サービスの導入により、顧客企業は顧客・受注管理から請求・収納までの全てをペーパーレスにできる他、営業数字の見える化、リアルタイムの業績管理、販売戦略の策定に役立てることができる。また、クラウドサービスであるため、テレワークが推進され働き方改革にもつながる。更に、当該統合プラットフォームは、代理店管理(手数料計算など)、見積書・各種帳票PDFデータの作成、通知メール配信、エンドユーザ向け会員サイトの提供、営業日報、各種データ出力などの便利な機能も利用することができる。現在おまか請求を受託している通信分野の顧客に加え、中小企業に対して当該統合プラットフォームを今後積極的に販売する計画である。

(同社決算説明会資料より)

 

(3)通期業績予想に対する第2四半期実績の進捗状況

 

22/3期 第2四半期

22/3期 通期会社予想

進捗率

売上高

10,418

22,100

47.1%

営業利益

508

950

53.5%

経常利益

456

760

60.1%

四半期(当期)純利益

516

770

67.0%

*単位:百万円。

 

22/3期第2四半期は、通期の会社計画に対して、売上高を除き、各段階利益ともに50%以上のの進捗率となっている。同社は、例年第4四半期に売上高と各段階利益が多くなる傾向があることを考慮すると、今期の会社計画達成に向けて、順調に推移していると言えよう。

 

 

5.今後の注目点

売上高が減少したにもかかわらず営業費用の削減等により、上期のIP & Mobileソリューション・ビジネスのセグメント利益が、前年同期比で増加したことは非常に立派であった。しかし、インターネット接続サービス等の契約獲得の伸び悩みが続いており、第2四半期(7-9月)のIP & Mobileソリューション・ビジネスの売上高は、第1四半期(4-6月)からあまり増えておらず改善傾向は示されなかった。下半期において、いかに契約獲得数の増加を図るのか今後の取組策が注目される。次に、ユーティリティ・ビジネスでは電力サービス「Elenova」の新規獲得件数が順調に拡大し、上期の売上高が前年同期比35.0%増加するなど順調に事業が拡大していることが確認された。価格変動リスクの低減を目的とした仕入れコストの固定価格化の影響により、上期のセグメント利益は減益となったものの、昨年下期に仕入れコストが急騰したことを考えると、今下期は大幅な損益の改善が期待される。こうした中、同社は10月1日より「Elenova」の新プランである「地球にやさしいでんき」の提供を開始した。顧客の電気を、「地球にやさしいでんき」に変えると顧客のCO2排出量が実質ゼロになるという環境配慮型の非常に魅力的な新サービスの投入である。2050年脱炭素社会の実現に向けて、世界的に環境配慮への意識が高まる中、新規顧客の獲得増加が期待される。「地球にやさしいでんき」のサービス開始がそれ位のインパクトを持ってユーティリティ・ビジネスの売上高拡大を牽引するのか注目される。
加えて、現在注力しているサブスクリプションモデルのCollabo One事業も、顧客・受注管理から請求・収納までを全てペーパーレスで行うことができる優れたプラットフォームであり今後の拡大が期待される。サブスクリプションモデルの拡大は更なるストック収益の拡大をもたらし、同社の業績の成長性と安定性の向上につながるものと期待される。Collabo One事業の今後の動向にも引き続き注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員含む)

8名、うち社外2名

監査等委員

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年12月16日

 

<基本的な考え方>
当社では、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置付けております。
定例取締役会を毎月開催するほか、重要案件が生じる都度臨時取締役会を機動的に開催し、迅速かつ的確な経営判断を行っております。
また、企業経営情報の積極的な開示を目的として、適時に当社のホームページにおいて財務情報に限定されないディスクロージャーを行っております。
当社は、監査等委員設置会社形態を採用しており、同形態により十分にガバナンスが機能していると認識しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコード:11項目、そのおもな原則と理由

原則

実施しない理由

(補充原則1-2-4 議決権の電子行使環境整備、招集通知の英訳)

当社は、英文による情報提供等、機関投資家や海外投資家が議決権を行使しやすい環境整備の有用性は認識しておりますので、当社の株主構成及び適切なコストや時期等を総合的に勘案し、検討してまいります。

(補充原則2-4-1 人財の多様性に関する考え方)

当社は、社員を「人財」として、経営における重要な資源と考えております。能力や適性、実績を重視する、人物本位の採用・配属・登用を行っており、性別や年齢、国籍や新卒・中途採用等の属性で区別が生じる規程や制度は設けておりません。一方、育児や介護を担う社員に向けては、仕事との両立を可能とする、保育・介護費用の支援と勤務時間の特例を定めた規程を設け、長く安心して働く事ができる環境を整えております。また、人財育成においては、OJTに偏る事なく、年度毎に計画を定め、外部講師やEラーニングによる能力研修を実施しております。なお、当社では前述のとおり、人物本位で人事を運用しており、また例年、新規採用者は新卒・中途採用者を合わせて10名前後の規模である事から、社員の属性別の数値目標は設けておりませんが、今後中期経営計画における人財計画を策定する過程で、必要に応じて検討してまいります。

(補充原則3-1-2 英語での情報開示、情報提供)

当社の株主構成及び適切なコストや時期等を総合的に勘案し、それらの実施について検討してまいります。

(補充原則4-8-3 独立社外取締役)

支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。

(原則4-10―1 任意の仕組みの活用)

当社の取締役会は独立社外取締役2名を含む総勢8名と少人数で構成されており、指名・報酬等に係る重要事項の審議についても、現行の仕組みで独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることができると考えております。

(原則4-11―1 取締役選任に関する方針・手続)

当社は、取締役会は多様な知識、経験、能力を備えた構成員により構成されることが必要であると考えております。すなわち、業務執行の監督と重要事項に係る意思決定をするためにはこのような構成員により取締役会の多様性が確保されることが不可欠であると考えております。なお、当社は取締役8名のうち非業務執行取締役4名(内、監査等委員3名)を選任しており、業務執行取締役の業務執行を監督する体制を構築しております。なお取締役のスキル・マトリックスについては、現在開示に向けて検討しております。

(原則5―2経営戦略や経営計画の策定・公表 )

当社は、中期経営計画を策定しておりますが、当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、中期経営計画は公表をしておりません。なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

 

<開示している主な原則>

原則

開示している主な原則

(原則1-4 政策保有株式)

当社では政策保有株式は現在保有しておりません。また、今後も原則として政策保有は行わない方針です。

(原則3-1―3 サステナビリティへの取組、人的資源や知的財産への投資について)

(1)サステナビリティへの取組について当社の、サステナビリティへの取組に関する基本方針は、「環境対策に関する方針」として、当社ホームページで開示しております。・環境対策に関する方針URL:https://www.forvaltel.co.jp/news/Environmental-policy.pdf具体的な取組内容は、次の通りとなります。《営業活動を通した取組》主力事業セグメントにおいて法人顧客に向け、CO2排出係数ゼロの電力や、ペーパレスおよびリモートワークを可能とする業務ソリューションを提供する事で、脱炭素社会と働き方の多様性を推進しております。・CO2排出係数ゼロの電力サービス「ELENOVA地球にやさしいでんき」URL:https://elenova.jp/・ペーパレスおよびリモートワークを可能とするオール・イン・ワンの業務ソリューション「CollaboOne」URL:https://www.forvaltel.co.jp/dx.html・オフィスの電話がどこでもつながる通信ソリューション「どこでもホン」URL:https://www.forvaltel.co.jp/dx.html《営業外の取組》当社では、新型コロナウイルス感染症発生以前より、自社の働き方改革として、リモートワークと業務のペーパレス化に取組んでまいりました。その具体的な成果として顕れるオフィスの電力利用とコピー用紙の利用の削減量およびそこから算定されるCO2排出の削減量を数値化、社員に告知する事により、サステナビリティへの取組に対する意識を高めております。また当社は、開発途上国で教育支援を行っている国際NGO団体の法人パートナーに参画しており、団体職員による社員へのレビューの場を設けております。(2)人的資本への投資等について当社は、社員を「人財」として、経営における重要な資源と考えております。投資等の取組については前記の「(補充原則2-4-1 人財の多様性に関する考え方)」をご参照ください。(3)知的財産への投資等について当社の主な収益は、電気通信や電力等のトラフィックの卸しと小売りから成り、その商流自体は、特に知的財産への投資を要するものではありません。但し現在、こうした卸しや小売りと、前記の「CollaboOne」「どこでもホン」等、当社の企画 乃至 開発から出自するサービスとの一体提供を推進しており、これらのサービスについては特許出願等、知的財産権の確保に向けた投資を、実施もしくは検討しております

(原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質)

当社は、会社法及び東京証券取引所が定める独立性基準を満たしていることに加え、誠実な人柄、高い見識と能力を有し、当社の経営に対し真摯かつ建設的に助言できる経験を重視しております。

(補充原則4-11-1取締役選任に関する方針・手続 )

当社は、取締役会は多様な知識、経験、能力を備えた構成員により構成されることが必要であると考えております。すなわち、業務執行の監督と重要事項に係る意思決定をするためにはこのような構成員により取締役会の多様性が確保されることが不可欠であると考えております。なお、当社は取締役8名のうち非業務執行取締役4名(内、監査等委員3名)を選任しており、業務執行取締役の業務執行を監督する体制を構築しております。

 

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