ブリッジレポート
(9698) 株式会社クレオ

スタンダード

ブリッジレポート:(9698)クレオ 2022年3月期第3四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

柿﨑 淳一 社長

株式会社クレオ(9698)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

情報・通信

代表者

柿﨑 淳一

所在地

東京都品川区東品川4-10-27 住友不動産品川ビル

決算月

3月

HP

https://www.creo.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

870円

8,185,988株

7,122百万円

12.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

39.00円

4.5%

97.73円

8.9倍

811.44

1.1倍

*株価は2/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは21年3月期実績。数値は四捨五入。
*DPSとEPSは22/3期の会社予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

12,268

410

457

305

36.79

15.00

2019年3月(実)

13,526

670

706

664

80.05

25.00

2020年3月(実)

14,624

1,044

1,095

731

88.49

35.00

2021年3月(実)

14,745

1,131

1,195

776

94.90

38.00

2022年3月(予)

15,500

1,260

1,275

800

97.73

39.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

(株)クレオの2022年3月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期第3四半期決算概要
3.2022年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3月期第3四半期は、売上高が前年同期比6.9%増の107億3百万円、営業利益が同8.0%減の5億80百万円となった。売上高の面では、受託開発事業及びサポートサービス事業で若干減少したものの、収益認識基準の適用の影響があった他、ソリューションサービス事業とシステム運用・サービス事業で好調に推移したことが寄与した。営業利益面では、システム運用・サービス事業における売上高増加が寄与したものの、不採算プロジェクトの影響によりソリューションサービス事業などで減少した。

     

  • 第3四半期が終わり、通期会社計画に変更なし。22/3期の会社計画は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円の予想。受注環境は引き続き良好な状況が続いている。こうした環境下、レガシーから置き換える製品(人事給与)とビジネス変革のための製品開発(共創型受託開発)を中心に事業の拡大を目指す。ソリューションサービス事業をはじめ全てのセグメントにおいて、前期比で売上高と営業利益が増加する見込みである。また、配当も前期比1円増配の39円/株の期初予定を据え置き。

     

  • ソリューションサービス事業において不採算プロジェクトが発生した影響により、今第3四半期の各段階利益が減益となったことは非常に残念であった。プロジェクト管理の徹底により不採算プロジェクトのこれ以上の悪化を防止することができるのか、続く第4四半期のソリューションサービス事業の収益性が注目される。

     

     

1.会社概要

多様なソリューションを提供するシステムインテグレーター。2,000社を超える企業ユーザーを誇る業務用パッケージ「ZeeMシリーズ」(人事・会計・資産管理等を網羅するERP)や業務効率の向上・コスト削減に寄与するBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)「BIZ PLATFORM」等の業務ソリューション、官公庁・自治体・公益法人・大企業向けシステム開発、国内大手ポータルサイト事業者向けWebシステム開発・運用、更には優良顧客を有するコールセンターサービス等を手掛ける。
グループは、(株)ココト、(株)ブライエ、(株)アダムスコミュニケーションの連結子会社3社。アマノ(6436)とZホールディングス(4689)が、それぞれ同社株式の30.6%、12.7%を保有し、同社はアマノ(株)の持分法適用関連会社に当たる。

 

【ロゴに込めた3つの思い】

 

「感動」を生むこと

期待を超え、驚きを提供する姿がロゴのエクスクラメーションマークに託されている。

「創造」し続けること

球体はクレオ自身を示し、人財、製品、サービスが生まれ育つ姿を表現している。

「永遠(とわ)」に寄り添うこと

クレオ自身である球体が、顧客や社会、株主に寄り添うイメージを表現している。

 

【同社の強み】
同社の強みは、プロダクトビジネスと受託ビジネスという特性の異なる事業を長く続けた歴史と経験であり、国内SI業界の中でバランスよく両方を備えている企業は少ない。また、主力のソリューションサービス事業において、プロダクトビジネスと共創型受託ビジネスの双方を抱えている点も強みとなっている。共創型受託開発では、パッケージカスタマイズに柔軟に対応し、自社製品開発では、自社製品開発ノウハウを他社製品の開発受託にも横展開している。このどちらしかやらない企業、或いは、どちらしかできない企業との差別化が図られている。
更に、製品(モノ)の販売だけではなく、企業課題を解決するサービス(コト)の提供にシフトを通じて、点だった製品を線で繋ぎ、統合サービスとして提供している。

 

(同社個人投資家向け説明会資料より)

 

(1)事業セグメント

同社は、2021年4月より組織変更を行いカンパニー制から事業部制へ変更した。21/3期のソリューションサービスカンパニー、西日本カンパニー、ネクストソリューションカンパニーを、エンタープライズDX事業本部、ビジネスアクセラレーション事業本部、事業戦略本部、社会システム事業本部へ再編した。なお、開示セグメントである4つの報告セグメントに変更はない。

 

ソリューションサービス事業(22/3期第3四半期売上高構成比36.3%)
2,000社以上のユーザー企業を抱える人事給与・会計・資産管理ERP「ZeeMシリーズ」や業務効率の向上やコスト削減に寄与するBPM「BIZ PLATFORM」等のパッケージソフトの提供とカスタマイズ、顧客企業が法人企業や消費者に提供するソフトウエアやクラウドサービスの開発(顧客企業と共に開発するビジネスであり、同社社内で「共創型受託ビジネス」、或いは「共創型開発」と呼んでいる)、更にはERPとBPMのノウハウと、ホワイトカラーの定型的な作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)技術を組み合わせたサービスであり、人とロボットが混在した業務プロセスを実現するRPAソリューション等を提供している。
近年、人事給与パッケージ「ZeeM」とアマノ社の勤怠管理ソリューション「TimePro」の連携により、「働き方改革」需要の取り込みに成功しており、案件規模が大型化している。
担当事業本部:エンタープライズDX事業本部、ビジネスアクセラレーション事業本部(22/3期より)

 

受託開発事業(22/3期第3四半期売上高構成比15.8%)
大企業向けシステムの受託開発、官公庁・自治体向けのシステム、新聞社の組版システム、公営競技のオッズシステム等、信頼性と実績が重視される案件が多い。また、富士通経由の案件が多い事も特徴であり、短期的なぶれはあるが、安定成長が期待できる事業である。協力会社を含めた「人」の確保がポイントになる。
担当事業本部:社会システム事業本部

 

また、22/3期に新設された事業戦略本部は、ソリューションサービス事業と受託開発事業の共通部門となっている。

 

システム運用・サービス事業(22/3期第3四半期売上高構成比16.9%)
主に国内大手ポータルサイト事業者とそのグループ企業に対して、ポータルサイトやWebサービスの基盤となるサーバシステムの開発、保守、ハッキング対策等も含めた運用サービスを提供している。従来、持株会社傘下の複数のグループ企業で対応してきたが、2016年4月に設立した(株)ココトに集約された。これにより営業・開発面でグループ力を発揮できるようになり、ポータルサイト事業者のグループ企業に取引が広がっている。ポータルサイト事業者の深堀とグループ企業の開拓で事業を拡大させていく考え。
担当事業体:(株)ココト(22/3期も変更なし)

 

サポートサービス事業(22/3期第3四半期売上高構成比31.0%)
ヘルプデスクやテクニカルサポートを中心としたサポート&サービス、及び選挙の出口調査、社会調査、市場調査等、インバウンド・アウトバウンド両対応のコールセンターサービスを提供している。技術系では富士通系とNEC系にサービスを提供する等、優良顧客をバランス良く抱えている事が当事業の強み。安定成長が期待できる事業だが、課題は「人」の確保。このため、外国人採用にも力を入れている。
担当事業体:(株)ブライエ(22/3期より合併により商号変更)、(株)アダムスコミュニケーション

 

(同社個人投資家向け説明会資料より)

 

(2)中期経営計画(21/3期~23/3期)

2024年には創業50周年を迎えるが、その先の50年も全てのステークホルダーに魅力的な企業として存在し続ける「100年企業」を目指して中長期的な視点で事業運営を進めている。この一環として、持続的な成長と企業価値向上を可能にする「仕組み作り」をキーワードとする中期経営計画が、45周年を迎えた21/3期にスタートした。

 

中期経営計画のビジョンと3つの取り組み
前中計からの継続課題と今後の外部環境の変化を踏まえて、新中計のビジョンを「持続的成長・企業価値向上の仕組み作り」と定めた。このビジョンの下、「事業構造・事業ポートフォリオの転換」、「持続的成長に向けた人財育成・活用」、及び「変化・リスクに対応できる柔軟な組織・業務プロセスへの変革」に取り組んでいく。経営指標としては、営業利益率を重視する。過去3年間の取り組みの成果として、受注・売上高は拡大基調にあるが、コロナウイルス感染拡大による影響がどの程度相殺してしまうか、正確に予想することは難しい。仮に増収のスピードがある程度鈍化したとしても、生産性・収益性(営業利益率)の向上により利益成長を実現していく。

 

「事業構造・事業ポートフォリオの転換」
経営資源をソリューションサービス事業に集中させ、既存事業の維持と拡大を図りつつ、グループ力を結合し今後の成長領域であるクラウドサービス(ZeeM人給・会計・BP・SMK)、DXサービス、顧客製品ビジネスサポート(開発・導入サポート)において拡大を目指す。

 

【ソリューションサービス事業の戦略】
売上高向上のため、共創型受託開発を拡大する。顧客の市場競争力の維持拡大を支援するシステム、サービスの企画開発、運用を拡大するとともに、顧客の経営基盤の持続的安定化を支援する基幹システム、製品などの開発運用を拡大する。
利益向上のため、短中期的な視点に立ち、アマノ社との連携強化、製品のバージョンアップ、HR製品ラインナップの拡充、導入設定の自動化などを通じて統合型HRソリューションを強化する。また、中長期視点に立ち、受注機会を増やし、ストック率を向上させることでクラウドサービスを加速させるとともに会計データ分析(データ利活用)と業務効率アップを実現するためDXサービスを開始する。

 

「持続的成長に向けた人財育成・活用」
「将来世代のリーダー育成」、「グローバル人財の育成」、及び「技術者のレベルアップ」をキーワードに人財の育成にも取り組んでいく。この取り組みを成功させるためには社員の意欲を高めることがポイントであり、様々な領域で異なる強み、能力を発揮する多様な人財を評価し報いていく。また、各種の人事制度も多様性を許容するものである必要があるため、制度の改定、新設も進める。「将来世代のリーダー育成」は、任せて、育てるがキーワード。経営幹部候補から部門リーダーレベルまで、持続的な事業の継承と拡大を可能にするため、非技術面の「ビジネス」「マネジメント」スキルのレベルアップを図る。「グローバル人財の育成」は、行かせて、育てるがキーワード。海外パートナーとの人財交流を促進し、環境や文化の違いを吸収し多様性を受容できる人財を育てる。「技術者のレベルアップ」は、特化させて、育てるがキーワード。AI、IoT、5Gなどの新技術活用、
アジャイル、DevOps などのDX開発手法に対応できる人財を確保、養成する。

 

「変化・リスクに対応できる柔軟な組織・業務プロセスへの変革」
グループ再編の第二弾を進めると共に、「生産性の向上」と「BCP」の両面から業務プロセスを変革する。グループ再編の第二弾については、20/3期から、より収益性の高い事業に人財をシフトさせる施策が始まっているが、単にシフトさせるだけなく、グループ内でより柔軟に、素早く人財の配置やスキルの転換が行える体制を構築していく。業務プロセスの変革では、テレワークのためのインフラを整備し運用を開始した。再びコロナ禍のような事態が発生して働き方が大きく変わったとしても、高い生産性を維持していくことが可能となる。

 

投資
新たに投資委員会を設置した。同委員会は、各事業からの投資計画を「評価」「承認」するだけでなく、逆に委員会が自ら投資機会を探索し、実行を促す。委員会のメンバーは各担当領域を持ち、新規事業投資、開発投資、人財投資、設備投資を中心に投資を推進していく。グループ全体での投資額の規模は今中計期間中で5億円程度という目安を設けているが、投資機会と結果を見ながら柔軟に判断する。

 

経営目標
今中計の最終となる23/3期の目標は、売上高180億円(年率7.2%成長、前中計8.1%成長)、営業利益18億円(同19.9%成長、同39.0%成長)。前期までの増収・増益のペースに比べるとやや鈍化するが、コロナ禍を踏まえて保守的に見積もっていること、及び各種の投資を強化することが要因である。また、今中計では、様々な「仕組み作り」による「質」の転換を最重要視しているため、その推移を示す指標として営業利益率を重視し、10%以上の水準への引き上げを目指している。

 

財務・資本政策、還元方針
前中計からの変更はなく、「株主還元」、「財務安定性」、「投資」の3点の最適バランスを方針としている。永続的な成長のための「投資」を従来よりも拡大するが、営業利益率の向上により事業活動によって投資の原資を生み出しながら実施していく。このため、「財務安定性」の規律を損なうことはない。還元方針については「連結配当性向40%」の目標を継続する。

 

(3)サステナビリティ・ESGの取組み

6つの重要課題

重要課題

概要

SDGs「17の目標」

DXによる新しい産業の創出

第四次産業革命、デジタルトランスフォーメーション(DX)

など時代を捉えた価値創造を模索し、新たな感動を提供。

4 質の高い教育をみんなに

9 産業と技術革新の基盤をつくろう

17パートナーシップで目標を達成しよう

デジタル技術による

新しいビジネスモデルの展開

デジタル技術を使い、これまでにないビジネスモデルを

提供し、お客様の競争力維持・強化を支援。

3 すべての人に健康と福祉を

4 質の高い教育をみんなに

17パートナーシップで目標を達成しよう

安全で便利な社会基盤の提供

長年に渡り培った経験と技術で社会基盤・企業活動に安全で便利なソリューションを提供。

3 パートナーシップで目標を達成しよう

4 質の高い教育をみんなに

8 働きがいも経済成長も

9 産業と技術革新の基盤をつくろう

10人や国の不平等をなくそう

ステークホルダーとの協働(持続的な発展)

株主、社員、お客様、取引先、社会環境や地域社会など様々なステークホルダーと共に互いの魅力を高める価値を共創。

4質の高い教育をみんなに

11住み続けられるまちづくりを

15陸の豊かさも守ろう

17パートナーシップで目標を達成しよう

コーポレートガバナンスの高度化

経営環境への迅速な対応や経営の透明性を向上させる

ガバナンス体制の構築。

10人や国の不平等をなくそう

16平和と公正をすべての人に

ウェルビーイング実現のための取組

持続可能なライフスタイルを実践し、自身や環境の良い

状態が継続できることを目指す。

3パートナーシップで目標を達成しよう

5ジェンダー平等を実現しよう

8働きがいも経済成長も

(同社HPより)

 

サステナビリティデータ

データ項目

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

従業員数

1,139

1,220

1,224

非正社員数

80

99

103

従業員一人当たりの研修費用

60,546

59,085

年度途中

従業員離職率

11.2

8.1

年度途中

女性従業員比率

28.10%

29.80%

30.90%

女性管理職比率

6.40%

6.40%

6.90%

新卒採用の女性比率

43.90%

38.80%

54.90%

障がい者雇用比率

1.30%

1.64%

1.65%

中途採用者比率

57.7%

44.7%

年度途中

外国人比率

1.11%

0.92%

1.33%

(同社HPより)

2.2022年3月期第3四半期決算概要

(1)2022年3月期第3四半期連結業績

 

21/3期 3Q

構成比

22/3期3Q

構成比

前年同期比

売上高

10,009

100.0%

10,703

100.0%

+6.9%

売上総利益

2,350

23.5%

2,360

22.0%

+0.4%

販管費

1,719

17.2%

1,779

16.6%

+3.5%

営業利益

631

6.3%

580

5.4%

-8.0%

経常利益

689

6.9%

609

5.7%

-11.7%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

402

4.0%

304

2.8%

-24.4%

(単位:百万円)
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比6.9%の増収、同8.0%の営業減益
22/3期第3四半期は、売上高が前年同期比6.9%増の107億3百万円となった。売上高の面では、受託開発事業及びサポートサービス事業で若干減少したものの、収益認識基準の適用の影響があった他、ソリューションサービス事業とシステム運用・サービス事業で受注が好調に推移したことなどにより、前年同期比で6億93百万円増加した。
営業利益は、同8.0%減の5億80百万円となった。受託開発事業とシステム運用・サービス事業で前年同期を上回ったものの、不採算プロジェクトが影響したソリューションサービス事業や売上高の減少によりサポートサービス事業で前年同期を下回ったため前年同期比で50百万円減少した。売上高総利益率が22.0%と前年同期比1.5ポイント低下。売上高対販管費比率が16.6%と同0.6ポイント低下したものの、売上高営業利益率は5.4%と同0.9ポイント低下した。その他、受取補償金の減少などにより経常利益は同11.7%減少し、事務所移転費用やソフトウェア評価損の計上により親会社株主に帰属する四半期純利益は同24.4%減少した。
なお、収益認識基準の適用に伴い売上高で4億78百万円、各段階利益で1億93百万円従来よりも増加している。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

21/3期 3Q

構成比・

営業利益率

22/3期 3Q

構成比・

営業利益率

前年

同期比

ソリューションサービス事業

3,330

33.3%

3,886

36.3%

+16.7%

受託開発事業

1,762

17.6%

1,687

15.8%

-4.3%

システム運用・サービス事業

1,503

15.0%

1,808

16.9%

+20.3%

サポートサービス事業

3,413

34.1%

3,320

31.0%

-2.7%

連結売上高

10,009

100.0%

10,703

100.0%

+6.9%

ソリューションサービス事業

586

17.6%

459

11.8%

-21.6%

受託開発事業

288

16.4%

292

17.3%

+1.4%

システム運用・サービス事業

154

10.3%

227

12.6%

+46.6%

サポートサービス事業

288

8.5%

260

7.8%

-9.9%

本社費用及び利益

-686

-

-658

-

-

連結営業利益

631

6.3%

580

5.4%

-8.0%

*単位:百万円 
*連結子会社が運営する「システム運用・サービス事業」、「サポートサービス事業」以外の2事業は、営業利益の算出にあたり、本社経費等の配賦を行っていない。

 

【ソリューションサービス事業】
◎主に、人事給与・会計ソリューション「ZeeM」をはじめとするソリューションサービスを提供。
売上高は38億86百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は4億59百万円(同21.6%減)となった。人事給与ソリューションを中心とするソリューションサービスの受注が堅調に推移したことに加え、収益認識基準の適用の影響などにより、売上高は前年同期比で5億56百万円増加した。一方、一部の不採算プロジェクトにより、営業利益は同1億26百万円減少した。セグメント利益率は、同5.8ポイント低下。なお、収益認識基準の適用に伴い売上高で4億99百万円、セグメント利益で1億97百万円従来よりも増加している。

 

【受託開発事業】
◎主に、富士通グループ、アマノ株式会社をはじめとする大手企業に対して、システム受託開発サービスを提供。
売上高は16億87百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益は2億92百万円(同1.4%増)となった。前年同期にあった一時的な案件増の反動減により、売上高は前年同期比で75百万円減少し、営業利益は同4百万円増加した。セグメント利益率は、同1.0ポイント上昇。なお、収益認識基準の適用に伴い売上高で20百万円、セグメント利益で3百万円従来よりも減少している。

 

【システム運用・サービス事業】
◎主に、国内大手ポータルサイト事業者に対してシステム開発・保守・運用サービスを提供。
売上高は18億8百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益2億27百万円(同46.6%増)となった。主要顧客向け案件の受注が堅調に推移したことに加え、医療業界向けアプリ開発などの受注増が寄与し、売上高は前年同期比で3億5百万円増加し、営業利益は同72百万円増加した。また、前期のコロナ影響による待機の反動増も重なった。セグメント利益率は、同2.3ポイント上昇。

 

【サポートサービス事業】
◎主に、ヘルプデスク、テクニカルサポートを中心としたサポート&サービス及び、社会調査、市場調査などのコールセンターサービスを提供。
売上高は33億20百万円(前年同期比2.7%減)、営業利益は2億60百万円(同9.9%減)となった。予定していた調査系サービスの受注減などにより、売上高は前年同期比で92百万円減少し、営業利益は同28百万円減少した。セグメント利益率は、同0.6ポイント低下。

 

(3)四半期業績の推移

第3四半期(10-12月期)の連結売上高と営業利益の推移

 

22/3期第3四半期(10-12月期)の売上高は、過去と比較し高水準となった。一方、22/3期第3四半期(10-12月)の営業利益は、ソリューションサービス事業における一部の不採算プロジェクトが影響し前年同期を下回った。

 

(4)財政状態

 

21年3月

21年12月

 

21年3月

21年12月

現預金

3,927

4,298

仕入債務

693

565

売上債権

3,203

2,436

賞与引当金

577

281

たな卸資産

365

441

流動負債

2,541

2,312

流動資産

7,697

7,383

固定負債

153

211

有形固定資産

314

305

負債

2,694

2,524

無形固定資産

609

691

純資産

6,642

6,623

投資その他

714

767

負債・純資産合計

9,336

9,148

固定資産

1,638

1,764

有利子負債合計

0

0

*単位:百万円

 

21/12月末の総資産は前期末比1億88百万円減少の91億48百万円。資産サイドでは、現預金やソフトウェアが増加したものの、売上債権やソフトウェア仮勘定などが減少した。負債・純資産サイドでは、プロジェクト損失引当金などが増加したものの、仕入債務や賞与引当金などが減少した。総資産の80.7%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も72.4%と、高水準を維持している。

 

(5)トピックス

◎事業ブランドサイト「Method of DX」を公開
同社は設立から47年、これまでに多くの企業と社会基盤にデジタルソリューションを提供してきた。DX時代を迎え、様々な企業変革ニーズや持続的な社会の実現に向けたデジタル化が求められる中、すべてのステークホルダーに同社の提供する価値の理解を深めることを目的に、事業ブランドサイト「Method of DX」をオープンした。Methodとは、同社がこれまでに培ってきた技術力・開発力・ソリューションノウハウと新たなテクノロジーによるITの革新的活用ノウハウを指す。同社がこのメソッドを発揮して「企業と社会のDXパートナーになる」という思いを込め、「Method of DX」と名付けられた。

 

◎「スタンダード市場」の選択
同社は、2022年4月4日に移行が予定されている新市場区分において、「スタンダード市場」の選択を取締役会で決議し、東京証券取引所への申請を行った。

 

◎チャリティウォークの開催
同社は、社員が歩いた歩数が寄付につながる「チャリティウォーク」を開催し、2021年3月に日本赤十字社医療センターへ200,000円の寄付を行った。同社は企業ビジョンに「100年企業」を掲げ、企業を支える経営資源・活力は「人財」にあるという考えから、「ウォークレース」や「ITチャリティ駅伝」など、健康経営に向けた取り組みを推進している。2020年度は新型コロナウイルスの影響で、ITチャリティ駅伝が開催中止となった。その代替手段として、昨年度はチャリティウォークの実施を行い、日本赤十字社医療センターへ寄付を行った。

 

3.2022年3月期業績予想

(1)2022年3月期連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

14,745

100.0%

15,500

100.0%

-

営業利益

1,131

7.7%

1,260

8.1%

-

経常利益

1,195

8.1%

1,275

8.2%

-

親会社株主に帰属する当期純利益

776

5.3%

800

5.2%

-

*単位:百万円
*22/3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、前期比の増減率は記載していない。

 

22/3期の業績予想は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円
第3四半期が終了し、22/3期の会社計画は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円の期初予想から変更なし。
同社が属するICTサービス市場は変わる働き方の中で引き続き顧客企業等の堅調な需要が予想される。こうした環境下、引き続き成長事業と位置付けているソリューションサービス事業において、「働き方改革」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現のためのシステム導入ニーズの高まりに対応し、営業・マーケティング戦略の強化や更なる生産性の向上などを推進し業績の拡大を図るとともに、レガシーから置き換える製品(人事給与)とビジネス変革のための製品開発(共創型受託開発)を中心に事業の拡大を目指す。22/3期はソリューションサービス事業、受託開発事業、システム運用・サービス事業、サポートサービス事業の全ての事業において、前期比で増収増益となる計画である。また、プロジェクト利益率の改善などにより、売上高営業利益率は、8.1%と前期比0.4ポイント向上する見込みである。
1株当たりの配当も、前期末から1円増配の39円の予定を据え置き。同社の配当性向の目標である40%を維持する方針である。

 

22/3期のセグメント別売上高・営業利益(会社計画)

 

21/3期

実績

構成比・

営業利益率

22/3期

会社計画

構成比・

営業利益率

前期比

ソリューションサービス事業

5,617

38.1%

5,950

38.4%

+5.9%

受託開発事業

2,525

17.1%

2,580

16.6%

+2.2%

システム運用・サービス事業

2,041

13.9%

2,220

14.3%

+8.8%

サポートサービス事業

4,561

30.9%

4,750

30.6%

+4.1%

連結売上高

14,745

100.0%

15,500

100.0%

+5.1%

ソリューションサービス事業

1,128

20.1%

1,305

21.9%

+15.7%

受託開発事業

426

16.9%

460

17.8%

+8.0%

システム運用・サービス事業

216

10.6%

260

11.7%

+20.4%

サポートサービス事業

320

7.0%

340

7.2%

+6.3%

本社費用及び利益

-959

-

-1,105

-

-

連結営業利益

1,131

7.7%

1,260

8.1%

+11.4%

*単位:百万円 

 

通期会社計画に対する進捗率

 

22/3期

通期会社計画

22/3期

第3四半期実績

進捗率

ソリューションサービス事業

5,950

3,886

65.3%

 

受託開発事業

2,580

1,687

65.4%

システム運用・サービス事業

2,220

1,808

81.5%

サポートサービス事業

4,750

3,320

69.9%

連結売上高

15,500

10,703

69.1%

ソリューションサービス事業

1,305

459

35.2%

受託開発事業

460

292

63.6%

システム運用・サービス事業

260

227

87.4%

サポートサービス事業

340

260

76.5%

連結営業利益

1,260

580

46.1%

 

同社は、業績の平準化を目指し経営管理を進めているものの、第4四半期偏重の業界特性の影響を受ける。今期の会社計画の達成に向け売上高は順調に推移しているものの、営業利益はソリューションサービス事業における不採算プロジェクトの影響により進捗率が低くなっている。

 

(2)顧客環境の変化と課題認識

ソリューションサービス事業

・主力製品である人事給与の受注は堅調に推移している。

・更なる製品導入の高回転化とリソースの確保を行う。

・PMO強化を継続する(先行管理、PM育成)。

・繋がるクラウドサービスの訴求力を高める。

受託開発事業

・関西と関東の連携により案件の共有化を図るとともに、開発能力の向上に役立てる。

・主要顧客(社会基盤システム)との取引深耕を図る。

システム運用・サービス事業

・既存サービスの受注は堅調に推移している。

・ヘルスケア系など新たな顧客開拓も進んでいる。

サポートサービス事業

・既存事業を維持継続する。

・在宅でのコールセンター業務を可能にする。

 

(3)成長戦略

【情報とサービスが繋がるクラウドサービスの拡大】

(同社個人投資家向け説明会資料より)

 

同社は、ソリューションサービス事業で提供している製品群を人事部門、会計部門、情報システム部門のツールとしてだけでなく「経営に対するソリューション」と再定義し、今後顧客への積極的な提案を行う。

 

【クラウド製品】

(同社個人投資家向け説明会資料より)

 

「つながる」エンタープライズDX推進フレームワークとして、経営資源であるヒト・モノ・カネをつなぎ、デジタル革新に継続性をもたらす経営基盤を整備した。

 

【製品・サービスラインナップ】

(同社個人投資家向け説明会資料より)

4.今後の注目点

同社の第3四半期決算では、ソリューションサービス事業及びシステム運用・サービス事業を中心に売上高が好調に推移していることが確認された。ソリューションサービス事業では人事給与サービスの好調な受注が、システム運用・サービス事業では主要顧客向け案件や医療業界向けアプリ開発などの好調な受注が売上高の拡大に貢献した。中期経営計画に沿った同社の成長戦略の成果と言えよう。こうした反面、利益面ではソリューションサービス事業において不採算プロジェクトが発生した影響により、各段階利益が減益となったことは非常に残念であった。プロジェクト管理の徹底により不採算プロジェクトのこれ以上の悪化を防止することができるのか、続く第4四半期のソリューションサービス事業の収益性が注目される。加えて、同社が属するITサービス業界ではソフトウェア開発や受託開発において大なり小なり不採算プロジェクトの発生が避けては通れない。今後いかにプロジェクト管理を徹底し、不採算プロジェクトを未然に防ぐ体制を整備するのか、対応策が注目される。
また、同社はクラウドに対応した企業のDXに貢献する製品の投入を強化している。他ベンダと連携した「つながる」プラットフォームでは、2021年11月に調達・購買クラウド製品がリリースされた。自社のクラウド製品の販売拡大は収益性の大幅な改善に繋がることから今後の販売動向が注目される。新たに発売した調達・購買クラウド製品において市場の期待を上回る販売拡大を達成できるのか、今後の販売状況が注目される。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年12月22日)
基本的な考え方
当社はクレオグループの企業理念を踏まえ、誠実・真摯な姿勢で株主、お客様、従業員、事業パートナーなどステークホルダーに対する責任を果たし、透明性の高い経営を行います。コーポレートガバナンス・コードの主旨に則り、経営の更なる効率化および透明性の向上、業務執行の監督機能の一層の強化により、クレオグループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ります。

 

<各原則を実施しない理由>
【原則1-2④ 招集通知の英訳・議決権電子行使プラットフォームの利用】
当社では、機関投資家や海外投資家の比率が高くないため、議決権の電子行使や招集通知の英訳を行っておりません。当社の機関投資家や海外投資家の比率が20%を超えた場合には、費用等を勘案の上、招集通知の英訳や議決権の電子行使採用の是非を検討してまいります。

 

【原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、人財を最重要資産と捉え、中長期的に多様な人財が活躍できることを目指しており、管理職においても、性別、国籍、中途採用、新卒採用の区別なく、能力や適性を総合的に勘案して登用しております。今後、管理職の多様性に関する目標設定について検討するとともに、多様性確保に向けた人材育成方針や社内環境整備方針を検討してまいります。

 

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】
当社では、豊富な経験や幅広い見識を有し、当社の主要株主からの独立性も十分に確保された独立社外取締役を1名選任しております。独立社外取締役は、取締役会において求められる役割・責務を十分果たしておりますが、今後のガバナンス体制のさらなる強化を目的として必要に応じて独立社外取締役を増員するなど、適正な体制構築について議論を進めてまいります。

 

【補充原則4-10① 任意の諮問委員会設置】
当社は、現在独立した指名委員会・報酬委員会を設置しておりませんが、経営陣幹部・取締役の指名 (後継者計画を含む) ・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする指名委員会・報酬委員会の設置について議論を進めてまいります。

 

【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、2023年3月期を目標とした中期経営計画において連結売上高、連結営業利益、連結営業利益率の目標を開示しておりますが、市場環境の変化と中期経営計画の進捗状況を勘案し、資本コストを踏まえた事業構造や経営資源の配分の見直しを検討します。投資においては、人的資本への投資を最重要と考え、採用の強化ならびに、研修などを通じた人財育成の強化に努めております。また、設備投資・研究開発などの投資についてはリスクを考慮すると共に、当該投資が全社事業戦略に合致しているかを検証し、適切な経営資源の配分を考慮しております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、株価変動によるリスク回避及び資産効率向上の観点から、投資先との事業上の関係や当社との協業に必要がある場合を除き、これを保有しない方針としております。なお、政策保有株式の議決権行使につきましては、中長期的な企業価値向上に資するかなどを総合的に確認の上、適切に対応することとしております。

 

【補充原則4-1 ① 取締役会の役割・責務】
当社は、取締役会および取締役会が意思決定の一部と業務執行を委任する経営会議について、それぞれの決議事項の範囲、委任の範囲を取締役会規程および経営会議規程で定めております。その概要は以下の通りです。

 

・取締役会
法令上取締役会決議事項と定められた事項のほか、取締役会規程により、主に以下の事項について決議を行う。
1) 経営上重要な投資、出資、契約締結等に関する事項
2) 資本政策にかかわる事項
3) 執行役員の選解任
4) 中期経営計画の決定
5) 単年度の事業計画の決定
など。

 

・経営会議
1) 中期経営計画および単年度の事業計画の立案
2) 人事、組織、採用等に係る計画の決定
3) その他、取締役会に付議する事項の事前審議
など。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、当社が相当と認める範囲及び手段によって、適切な情報開示と透明性を確保する観点から株主との建設的な対話を促進するための体制整備及び取組み等に関する基本方針を定め、株主との建設的な対話を行うこととします。これを実現するため、以下を実施してまいります。

 

1) 株主との対話全般については、管理部門の役員を責任者として決算説明会等様々な取組みを通じて、内容、機会の充実を図る。
2) 対話をサポートするIR担当部署は、IRを行う内容に応じてその詳細な情報を有する各関連部門等と事前に十分な情報交換を実施する等の連携を図り、株主との対話の充実に向けて積極的なIR活動に取組む。
3) 当社の事業およびその戦略等の情報提供については、決算説明会の他、必要に応じて投資家向け説明会等を開催または参加することにより、積極的に推進する。
4) IR活動によって得られた株主等からの意見や要望等については、管掌役員から経営会議及び取締役会にフィードバックする。
5) インサイダー情報については、社内のインサイダー規程に基づき、情報管理の徹底を図る。
6) 株主・投資家との対話に際して、一部の特定者に重要情報を選択的に開示することがないよう、フェアディスクロージャールールを遵守し、重要情報の管理を徹底する。

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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