ブリッジレポート
(6826) 本多通信工業株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6826)本多通信工業 2022年3月期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

 

 

樫尾 欣司 社長

本多通信工業株式会社(6826)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長

樫尾 欣司

所在地

東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル

決算月

3月

HP

https://www.htk-jp.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

558円

25,006,200株

13,953百万円

6.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

17.00円

3.0%

43.32円

12.9倍

506.74円

1.1倍

*株価は6/9終値。各数値は22年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

17,606

1,141

1,184

765

32.06

20.00

2020年3月(実)

14,923

237

157

43

1.89

21.00

2021年3月(実)

14,932

-74

147

75

3.29

7.00

2022年3月(実)

18,451

875

1,043

693

30.07

12.00

2023年3月(予)

20,000

1,400

1,400

1,000

43.32

17.00

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

 

本多通信工業の2022年3月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 2022年3月期の売上高は前期比24.2%増の184億51百万円。設備投資の活況によりFA・通信分野中心にコネクタ事業が伸長した。営業利益は前年同期の損失から8億75百万円の黒字に転換。物流費増、部材価格高騰などがマイナス寄与したものの、増収・生産拡大・合理化に伴い売上総利益も同46.9%増加し、粗利率も2.8ポイント改善した。経常利益は同606.0%増の10億43百万円。業績の回復・拡大基調が継続しており、売上高・営業利益ともコロナ禍前の水準まで回復している。

     

  • 23年3月期の売上高は前期比8.4%増の200億円の予想。全分野で好調な需要が継続する。高水準の受注残も寄与。営業利益は同59.9%増の14億円の予想。開発投資・人的投資の増加や調達価格上昇などのコスト増を合理化や価格改定で吸収する。価格改定に関しては、前期は第4四半期に入ってからであったため、今期は前期以上に寄与するものと見ている。自動化生産増により合理化効果も前期以上を見込んでいる。配当は前期比5.00円/株増配の17.00円/株の予定。予想配当性向は39.2%。

     

  • 今後の基本戦略を「Society5.0で拡大する“つなぐ”市場に、新商品をスピーディに創出」としている。中期目標として25年度(26年3月期)に「売上高250億円、営業利益25億円」と、過去最高売上/営業利益の更新を狙う。23年3月期は、成長投資を積極化し、新商品・新ビジネスの創出を加速し、2025年度につなげていく。

     

  • 過去最高売上・利益の更新は、コネクタ事業における新商品創出25億円と情報システム事業における新ビジネス創出10億円が牽引する。長期ビジョンでは2032年度(2033年3月期)売上高500億円を目指す。

     

  • 前期決算でFA向けとともに売上高を牽引した通信向けコネクタは、NTTとの長年の関係の中で「長期信頼性と堅牢性」「その技術力や製造能力」高く評価されてきたもので、安全性という面でハードルの高い車載分野の成長にもつながってきた。設備投資増という外部環境の追い風を、同社の競争優位性で需要を取り込んだという点は、注目される。

     

  • 今期も通信向け、FA向けとも需要は旺盛で、懸念材料の一つである半導体不足も、今期中ごろには緩和傾向が強まると同社では見ている。過去最高の売上・利益更新を目指す2025年度につなぐ重要な1年となる今期、新商品・新サービスの創出加速に関する進捗を注目していきたい。

     

1.会社概要

車載、FA機器、通信インフラ、民生機器用途向けの電気コネクタおよび光コネクタの製造販売を行う。「Segments No.1」を掲げ、特定分野での高い競争力を追求している。長い歴史の中で培われた幅広い設計技術力、産業用機器向けで培った長期信頼性と堅牢性に関するノウハウ、多品種少量生産体制などが特長。子会社ではソフトウエア開発なども手掛けている。グループ認知度の向上に向けて、複数存在していたブランドを「HTK」に統一。グループは同社と連結子会社7社(国内2社、海外5社)の計8社で構成されている。(2022年3月末日現在)

 

【1-1 沿革】

1932年5月に精密ねじ加工業として現在の東京都目黒区で創業。第二次大戦後は、日本電信電話公社(現NTT)の電話交換機用プラグ・ジャック、防衛庁向けプラグ・ジャックを始め、その発展形となるコネクタの製造販売を手掛け、業容を拡大。2001年に東証2部に上場した。だが、ITバブル崩壊で売上が急減。数度のリストラクチャリングを経て、成長路線への復帰と拡大発展をめざし、2008年に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)と資本業務提携契約を締結。2014年2月、約80年に亘って本社を置いていた目黒から品川区へ本社を移転した。
2016年3月、東証1部に上場した。2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場に移行。

 

【1-2 経営理念など】

特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
また、2015年に策定した中期経営計画「GC20」策定に際し、グループの企業理念として「Value by Connecting」を新たに掲げた。
豊かな未来のために「人」、「もの」、「情報」をつなぎ、価値を創造し続ける事を目指すというビジョンを示したもの。

 

【1-3 事業内容】

事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。

 

 

◎コネクタ事業
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。

 

<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。

 

分野

概要

カーエレクトロニクス

日々進化するカーエレクトロニクス市場へ、通信分野・産業機器分野で培った技術をベースに高い信頼性を有するコネクタを提供

通信機器

電話交換機のプラグ・ジャックを起点に、光コネクタを中心とした通信機器用コネクタを提供

FA機器

工作機器・制御機器などの長期信頼性ニーズに対応する堅牢で高品質のFA機器用コネクタを提供

医療機器

拡大する医療分野に対して同社グループのノウハウを活かした医療用コネクタを提供。ナースコール用コネクタでは国内シェア1位

デジタル家電

産業用コネクタで培った要素技術をベースに軽薄短小を追求し、同社グループならではのものづくりでデジタル家電市場へ商品を提供

サーバ・ストレージ

電子データの高速化・大容量化に対応すべく同社グループが得意とする高速伝送技術を最大限に生かした商品を提供

 

<主な製品ラインアップ>

(同社資料より)

 

2022年3月期の分野別売上構成比率(全売上高に対する構成比)は、車載分野30%、FA分野28%、通信分野16%、民生分野10%となっている。

 

 

最も構成比の高い車載分野において、安全性や運転性能向上の観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクスの成長に対応して投資や製品開発を進めている。

 

◎情報システム事業
通信分野でのソフトウエアの重要性が高まる中、1983年に事業をスタート。
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。
世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れており、Tier2からTier1.5への進化を目指している。

 

*仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。
また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。

 

【1-4 特徴と強み】

①幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。
同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。

 

②長期信頼性と堅牢性
制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。
これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。こうした強みを活かし、安全性という面でハードルの高い車載分野での売上を大きく伸ばしている。

 

③多品種少量生産
同社は現在約5,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は94%を占める。また生産金額ベースでも1万個未満の生産が62%、1万個以上が38%と、多品種少量生産が同社の特長となっている。
こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。
国内工場(安曇野工場:旧松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。
海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。
加えて、ベトナムにも生産拠点を立ち上げ、車載関連中心に量産体制を構築した。

 

一方、多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約する「1weekデリバリーサービス」に2013年から積極的に取組んでいる。
現在の取扱品目数はシステム化を進めた安曇野物流ハブの完成によりそれまでの倍にあたる約1,000品目に拡大している。

 

(主なコネクタメーカー)

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE

時価総額

PER

PBR

6640

I-PEX

61,200

-8.5

4,100

-40.4

6.7%

11.2

26,773

9.8

0.5

6798

SMK

55,000

+14.0

1,500

+113.1

2.7%

10.2

16,312

9.7

0.4

6800

ヨコオ

73,000

+9.2

7,000

+49.4

9.6%

11.6

56,667

11.8

1.3

6804

ホシデン

210,000

+1.2

10,000

-14.7

4.8%

10.4

80,564

8.0

0.6

6806

ヒロセ電機

180,000

+10.0

44,000

+7.9

24.4%

9.4

694,802

19.5

1.9

6807

日本航空電子

245,000

+8.9

20,000

+10.8

8.2%

9.6

198,819

13.7

1.2

6826

本多通信工業

20,000

+8.4

1,400

+59.9

7.0%

6.1

13,953

12.9

1.1

6908

イリソ電子工業

51,500

+17.4

6,160

+36.3

12.0%

6.8

87,149

18.5

1.4

6941

山一電機

40,300

+1.8

7,400

-11.6

18.4%

23.7

45,493

7.6

1.3

※売上高、営業利益は今期会社側予想。単位は百万円。ROEは前期実績、単位は%。時価総額は6月9日終値ベース×6月9日時点直近の短信記載の発行済株式数。単位は百万円。PER(予)・PBR(実)は6月9日終値ベース。単位は倍。

 

【1-5 ROE分析】

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

ROE(%)

18.4

14.8

15.0

14.2

6.4

0.4

0.7

6.1

 売上高当期純利益率(%)

8.65

7.97

8.96

8.33

4.35

0.29

0.50

3.76

 総資産回転率(回)

1.39

1.30

1.22

1.24

1.09

0.97

1.02

1.20

 レバレッジ(倍)

1.53

1.43

1.37

1.37

1.35

1.31

1.31

1.36

 

原価低減や新製品開発によるマージンの向上に加え、在庫水準のコントロールによる総資産回転率の向上に引き続き取組んでいく。

 

2.2022年3月期決算概要

(1)連結業績概要

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

14,857

100.0%

18,451

100.0%

+24.2%

+2.5%

売上総利益

2,286

15.4%

3,359

18.2%

+46.9%

-

販管費

2,361

15.9%

2,483

13.5%

+5.2%

-

営業利益

-74

-

875

4.7%

-

+2.9%

経常利益

147

1.0%

1,043

5.7%

+606.0%

+22.7%

当期純利益

75

0.5%

693

3.8%

+814.1%

+6.6%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。「収益認識に関する会計基準」等を22年3月期期首から適用しており、2021年3月期に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 

増収、黒字転換
売上高は前期比24.2%増の184億51百万円。設備投資の活況によりFA・通信分野中心にコネクタ事業が伸長した。
営業利益は前年同期の損失から8億75百万円の黒字に転換。物流費増、部材価格高騰などがマイナス寄与したものの、増収・生産拡大・合理化に伴い売上総利益も同46.9%増加し、粗利率も2.8ポイント改善した。
経常利益は同606.0%増の10億43百万円。
業績の回復・拡大基調が継続しており、売上高・営業利益ともコロナ禍前の水準まで回復している。

 

(2)分野別売上動向

◎累計

 

21/3期

22/3期

前期比

通信

2,306

2,962

+28.4%

FA

3,257

5,206

+59.8%

民生

1,447

1,766

+22.0%

車載

4,933

5,582

+13.2%

情報システム

2,914

2,935

+0.7%

合計

14,857

18,451

+24.2%

*単位:百万円

 

*通信分野:テレワーク・巣籠り需要の継続等で、国内外のFTTHやデータセンターなど、通信インフラ投資が引き続き好調。
*FA分野:設備投資の活況が継続し、生産拡大により増収。受注残解消に向けた生産拡大が課題。
*民生分野:堅調な一方、一部で半導体不足が影響。
*車載分野:半導体不足等の影響もあったが、第1四半期をボトムに回復基調
*情報システム分野:主要顧客が低調も、新顧客との取引開始や新ビジネスの立上げで増収。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

21年3月末

22年3月末

増減

 

21年3月末

22年3月末

増減

流動資産

11,333

12,752

+1,419

流動負債

2,884

4,031

+1,147

 現預金

5,977

5,007

-970

 仕入債務

1,651

2,059

+408

 売上債権

3,765

4,709

+944

 短期借入金

115

177

+62

 棚卸資産

1,429

2,649

+1,220

固定負債

616

532

-84

固定資産

3,172

3,508

+336

負債合計

3,501

4,563

+1,062

 有形固定資産

2,140

2,627

+487

純資産合計

11,004

11,697

+693

 無形固定資産

334

289

-45

 資本金

1,501

1,501

0

 投資その他の資産

697

591

-106

 利益剰余金

8,696

9,228

+532

資産合計

14,505

16,261

+1,756

負債純資産合計

14,505

16,261

+1,756

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、仕入債務には電子記録債務を含む。

 

たな卸資産の増加などで資産合計は前期末比17億56百万円増加し162億61百万円となった。
仕入債務の増加などで負債合計は同10億62百万円増加の45億63百万円。
利益剰余金の増加などで純資産合計は同6億93百万円増加の116億97百万円。
この結果、自己資本比率は前期末から4ポイント低下し71.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

21/3期

22/3期

増減

営業CF

1,044

-323

-1,367

投資CF

-39

-418

-379

フリーCF

1,005

-741

-1,746

財務CF

-638

-255

+383

現金同等物残高

5,938

4,969

-969

*単位:百万円。

 

棚卸資産の増加などで営業CF、フリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

(4)トピックス

◎「健康経営優良法人 2022 (中小規模法人)」に認定
22年3月、経済産業省及び日本健康会議が共同で主催する健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人 2022(中小規模法人部門)」に認定された。

 

創業 90 周年を迎える同社は、成長の源泉となる従業員が、健康を保持増進して能力を最大限に発揮することが重要であるとの考えから、100 周年ビジョンに向けた経営方針に『健康経営』を掲げ、取り組みを進めてきた。
「従業員のグッドコンディションづくり」をテーマに、「健康意識の向上」「心と身体の健康づくり」「コミュニケーションの活性化」を軸とし、従業員の病気の予防と早期発見・治療、ヘルスケアサービスの提供、セミナーの開催、職場でのストレッチや歩数イベントなどを実施した。この度の認定は、これらの取組みが評価されたものである。

 

3.2023年3月期業績予想

(1)業績予想

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

売上高

18,451

100.0%

20,000

100.0%

+8.4%

営業利益

875

4.7%

1,400

7.0%

+59.9%

経常利益

1,043

5.7%

1,400

7.0%

+34.2%

当期純利益

693

3.8%

1,000

5.0%

+44.1%

*単位:百万円

 

増収増益予想
売上高は前期比8.4%増の200億円の予想。全分野で好調な需要が継続する。高水準の受注残も寄与。
営業利益は同59.9%増の14億円の予想。開発投資・人的投資の増加や調達価格上昇などのコスト増を合理化や価格改定で吸収する。
価格改定に関しては、前期は第4四半期に入ってからであったため、今期は前期以上に寄与するものと見ている。
自動化生産増により合理化効果も前期以上を見込んでいる。

 

配当は前期比5.00円/株増配の17.00円/株の予定。予想配当性向は39.2%。
総還元性向30%を基本としつつ、中期での業績動向や財務状況等を総合的に勘案し安定配当を実施することとしている。また、業績見通しの変動などにより、配当性向が30%を大幅に下回ることが見込まれる場合には、自己株式取得を検討する。

 

(2)各分野の見通し

 

22/3期

23/3期(予)

前期比

通信

2,962

3,150

+6.3%

FA

5,206

5,700

+9.5%

民生

1,766

1,850

+4.8%

車載

5,582

6,300

+12.9%

情報システム

2,935

3,000

+2.2%

合計

18,451

20,000

+8.4%

*単位:百万円

 

*通信分野
通信インフラ(FTTH・データセンタ・5G等)投資の好調が継続。自動機投入で生産拡大、伸長を見込んでいる。

 

*FA分野
旺盛な需要が継続する。足元に減速感はなく、生産拡大で伸長を見込む。

 

*民生分野
半導体調達難の影響が継続する。顧客や商品別で好不調はまだら模様だが、全体では堅調。

 

*車載分野
半導体や部材不足の影響は緩和傾向にある。コロナによる影響(生産減、物流等)を考慮しても伸長を見込んでいる。

 

*情報システム
企業のDXの取組み加速を背景に堅調に推移する。新ビジネスの拡大に取り組む。

 

(3)投資

設備投資は、:前期の8億39百万円を上回る10億円を計画している。
新商品および製造投資を継続する。自動化投資も継続する。
減価償却費は今期から増加の見込み。
研究開発投資は新商品開発・技術開発の人員・研究費を拡大する。

 

 

21/3期

22/3期

23/3期(計画)

設備投資

251

839

1000

減価償却費

503

473

543

研究開発費

576

635

680

*単位:百万円

 

4.経営計画

(1)基本戦略

今後の経営計画の基本戦略、中期目標は以下のとおりである。

 

基本戦略

Society5.0で拡大する“つなぐ”市場に、新商品をスピーディに創出

中期目標

25年度(26年3月期)での過去最高売上/営業利益の更新を狙う

 

23年3月期は、成長投資を積極化し、新商品・新ビジネスの創出を加速し、2025年度につなげていく。
時期未定で「売上高200億円、営業利益16億円」としていた中期目標を、25年度(26年3月期)「売上高250億円、営業利益25億円」に改定した。過去最高売上・利益の更新は、コネクタ事業における新商品創出25億円と情報システム事業における新ビジネス創出10億円が牽引する。
長期ビジョンでは2032年度(2033年3月期)売上高500億円を目指す。

 

(2)各事業における取組

業務用コネクタ、車載用コネクタ、情報システムそれぞれ以下のような基本方針の下、これまでの実績をベースに取り組みを進め、2025年度「売上高250億円、営業利益25億円」という過去最高の売上・利益更新を目指す。

 

①業務用コネクタ
(基本方針)
今後、ロボット、半導体製造装置、光通信など製造設備や通信インフラ投資が拡大するとともに、あらゆる機器がIoTで繋がる中、市場の拡大とニーズの多様化に対応すべく、新商品の開発に注力する。

 

(実績)
電流アップ・ネジレスなどに対応した主力商品の品揃えを拡充するとともに、ロボット用コネクタを開発してきた。
マーケティング手法としては、デジタルの活用を強化している。商品サイトをリニューアルしたほか、オンライン展示会を開催している。
NTTが主導する次世代の光技術の開発を目指すフォーラム「IOWN Global Forum」に参画している。

 

(取り組み)
この実績を基に、通信インフラ、ロボット、産業機械、半導体製造装置など注力市場に適合商品を投入する。
光接続技術などの技術水準の引き上げ、ビジネスチャンスの探索を進める。
また新市場として北米や中国市場の開拓にも取り組む。
新規顧客開拓や新商品拡販に向けた営業スタッフの増強も進める

 

(事業基盤強化)
自動化投資、生産工程改善、価格改定、物流・梱包の見直しを進めるほか、中国以外での新製造拠点の立ち上げも検討する。

 

(中期目標)
2025年度、「新商品創出 10億円」「新技術の開発」「新市場・新規顧客開拓 15億円」を掲げている。

 

②車載用コネクタ
(基本方針)
CASEに向けてエレクトロニクス化が進展しており、車載コネクタ市場、車載亀他市場とも急成長が予想される。
車載カメラの実績と強みである高速伝送技術をベースに事業を拡大する。

 

(実績)
車載カメラ用コネクタにおいてはビューイング向けの新案件を納入したほか、センシングでは自動生産化を進めた。
また車載機器接続向けに、高速伝送用コネクタを開発し、主力商品の品ぞろえを拡充してきた。

 

(取り組み)
こうした実績をベースに、既存顧客・既存商品を強化するとともに、新規顧客や新領域を開拓する。
次世代商品や普及品の開発に取り組むほか、工作機械や農業機械、建設機械など固定観念にとらわれることなく、車載機器以外への提案も実施する。

 

(事業基盤強化)
自動化・合理化投資の拡大及び刈り取りを進めるほか、新拠点の立ち上げを検討する。

 

(中期目標)
2025年度、車載カメラ用で70億円、車載機器接続用で24億円の合計94億円を目指す。うち新商品創出により15億円を掲げている。

 

◎コネクタにおける注力商品
車載用コネクタにおいては、主力の車載カメラ用に加え、同社が強みを持つ高速伝送対応コネクタを、業務用では成長市場のロボット向けコネクタ、機器の小型化ニーズに対応したコネクタなど、車載用、業務用それぞれ新商品開発を加速し、市場に投入する。

 

(同社資料より)

 

③情報システム
(基本方針)
デジタルの社会実装が加速しており、IoTやクラウドサービス市場が急拡大中である。
新技術の活用で独自のDXビジネスを展開し事業領域を拡大する。

 

(実績)
既存ビジネスにおいては、新顧客との取引が始まったほか、高付加価値案件が拡大している。
また、新ビジネスの開発部・営業部を立ち上げた。新技術での提案活動により下請けではなく、自社ビジネスとしての案件獲得にも成功している。

 

(取り組み)
新技術の深化・サービスレベル深化を進め、製造業DX・自動運転・メタバース等の新ビジネスを拡大する。アプリ開発によるサービスも拡大する。
新規顧客開拓に注力する。

 

(事業基盤強化)
AI・RPA・ブロックチェーン等の新技術の獲得、働き方改革・採用・教育の面からの人材開発、外観AI検査・遠隔地スコープ・動線トレース等のDX商材の開発に注力する。

 

(中期目標)
既存ビジネス強化により30億円、新ビジネス創出により10億円を掲げている。

 

(3)サステナビリティへの取組み

「サステナブル社会の実現」と「企業価値の向上」の両立を目指していく。

 

社外取締役をアドバイザに置く社長直轄の委員会として「サステナビリティ委員会」を設置した。サステナビリティに関する方針策定や推進状況を監督する。

 

環境においては、「2030年: 2013年比38%削減、2050年:カーボンニュートラル」とのGHG排出量削減目標を掲げた。
省エネ設備/活動の導入・展開、CO2フリー電力の導入拡大を進めるほか、プライム上場企業として「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に基づいた気候変動に関する開示にも取り組んでいく。

 

人的資本強化においては、人材力強化のため、キャリア採用の拡大、樫尾社長が講師となるネクストリーダー研修を始めとした研修投資・自己啓発支援の拡大に取り組む。
健康経営をさらに推進するほか、働きやすい環境の整備に向けた人事制度の整備、職場環境の改善にも注力する。

 

健全で強固なサプライチェーンの構築のため、取引の適正化や整流化に継続的に取り組み、パートナとWin-Winの関係づくりを進める。

 

5.今後の注目点

前期決算でFA向けとともに売上高を牽引した通信向けコネクタは、NTTとの長年の関係の中で「長期信頼性と堅牢性」「その技術力や製造能力」高く評価されてきたもので、安全性という面でハードルの高い車載分野の成長にもつながってきた。
設備投資増という外部環境の追い風を、同社の競争優位性で需要を取り込んだという点は、注目される。

 

今期も通信向け、FA向けとも需要は旺盛で、懸念材料の一つである半導体不足も、今期中ごろには緩和傾向が強まると同社では見ている。
過去最高の売上・利益更新を目指す2025年度につなぐ重要な1年となる今期、新商品・新サービスの創出加速に関する進捗を注目していきたい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年12月17日

 

<基本的な考え方>
コーポレートガバナンス基本方針に定めています。(https://www.htk-jp.com/csr/governance.html)

 

(コーポレートガバナンスの基本的な考え方)
第1条 当社は、常に最適なコーポレートガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組む。
2.当社は、当社の持続的な成長及び長期的な企業価値の向上を図る観点から、意思決定の透明性・公正性を確保するとともに、保有する経営資源を十分有効に活用し、迅速・果断な意思決定により経営の活力を増大させることがコーポレートガバナンスの要諦であると考え、次の基本的な考え方に沿って、コーポレートガバナンスの充実に取り組む。
(i) 株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
(ii) 株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(iii) 会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
(iv) 独立社外取締役および独立社外監査役に業務執行状況や取締役会決議事項等を丁寧に説明することにより的確な助言を得、業務執行の監督機能を実効化する。
(v) 中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

<補充原則1-2-4>

株主総会関係書類の英訳は、狭義の招集通知・参考書類については既に実施しています。事業報告・計算書類の英訳は2022年開催の株主総会から実施する予定です。議決権電子行使プラットフォームは導入済です。

<補充原則3-1-2>

2021年度第3四半期より、決算短信および決算説明資料等について英語で開示します。

 

<【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

<原則1-3>

資本政策は「成長に向けた投資」「安定的な株主還元」「リスクに備えた自己資本の充実」をバランスよく実施することを基本方針としています。

また、株主還元についての方針は、以下の通り定めています。

・総還元性向30%を基本とする

・中期での業績動向や財務状況等を総合的に勘案し、安定配当を実施する

・業績見通しの変動などにより、配当性向が30%を大幅に下回ることが見込まれる場合には、自己株式取得を検討する。

<原則1-4>

 

当社は、株価変動の影響を受けにくい強固な財務基盤の構築や資本効率性の向上の観点から、政策保有株式を原則として保有しないことを基本方針としています。ただし、業務提携その他経営上の合理的な理由から保有する場合には、目的に応じた保有であることを検証の上、合理性を定期的に確認します。

<原則2-3-1>

サステナビリティ委員会を設置し、その内容は都度取締役会に報告されています。また、経営計画にサステナビリティに関する内容を盛込み、統合報告書にもサステナビリティについて開示しています。

<原則2-4-1>

〇多様性の確保について

当社は、持続的成長を実現するため多様性の確保が重要と認識しています。企業理念の価値観・行動規範である8Valuesの一つとして「創発価値」を定め、互いの違いを尊重して力を合わせることを重視し、人材・働き方・雇用におけるダイバーシティに取り組んでいます。

採用や管理職登用においては機会均等性を確保し、ジェンダー・人種・国籍などは問わずに人物本位で実施しています。女性の割合が少ない業種であることから、現状国内コネクタ事業における女性従業員の割合は2割弱、女性管理職比率は7%です。また、当社グループの取引先は日系企業が多くを占めており、海外拠点も少ないことから、外国人の割合は極めて少ない状況です。一方で、当社は2032年(創業100周年)に向けて事業の拡大を計画しており、この達成のためには中核人材の多様性確保や人材育成が重要課題であると認識しています。

このような状況を踏まえて、2032年に向けた中核人材の多様性確保に係る目標を以下の通り設定しています。

・女性管理職比率:7%から14%へと2倍に

・中途採用者比率:20%から30%へ

・管理職における中途採用者の比率:30%以上を維持(現状32%)

なお、外国人の管理職比率については、現時点では比率が大きくないため定めませんが、今後の企業規模や事業戦略に応じて設定します。

これらの目標に向けて、多様性の確保を意識した採用、働き方改革、職場環境整備をすすめるとともに、健康経営の推進、人材育成の強化、マネジメントの意識改革に継続して取り組みます。

○多様性確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針について

当社は、多様性確保に向けて人材育成と社内環境の整備を推進すべく、サステナビリティの取組みの重点テーマに「人材力の強化」と「働きやすさと働きがいの追求」を設定しています。

具体的な取組みについては、統合報告書に記載しています。

<原則3-1-3>

〇サステナビリティの取組みについて

経営計画にサステナビリティの取組みを織り込むとともに、統合報告書に詳細を記載しています。

〇知的財産・人的資本への投資について

当社は、Society5.0に向けて多様化・拡大する“つなぐ”ニーズに対して、スピーディに新商品を創出することを経営戦略の根幹に据えており、本内容を実践するためには、提案から量産までの開発スピードの向上と今後さらに高まる高速伝送ニーズへの対応が重要と考えています。

当社は、長年蓄積した設計技術・ノウハウの磨き上げ、高速伝送に不可欠なEMCに関する要素技術や光接続技術の研究開発を推進するとともに、全ての事業活動のベースとなる人材の強化に取り組んでいます。

新商品および技術開発の具体的な内容および投資額の計画・実績については、有価証券報告書や決算説明等において開示しています。

人的資本への投資については、サステナビリティの取組みの人材に関する重点テーマとして「人材力の強化」「働きやすさと働きがいの追求」「健康経営の推進」を設定しています。具体的な取組みや目標等については統合報告書をご参照ください。

なお、当社ビジネスの多くはカスタマイズ商品の開発が主であり、必要に応じ権利侵害を防止することを目的に特許権や意匠権を取得しています。

〇気候変動に係る開示について

当社は2021年に中長期視点でサステナビリティに関する各方針・目標・施策等を検討する「サステナビリティ委員会」を設置し、気候変動に係るリスクや機会についての検討を進めています。2021年7月にはTCFD提言に賛同し、 TCFDの枠組みに沿った分析をサステナビリティ委員会において進めています。

当該内容については、統合報告書等で段階的に開示を充実させます。

GHGについては、2030年までに2013年度比で38%以上の削減、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目標に設定しています。

<原則5-1>

 

IR基本方針を以下の通り定め、IRを推進しています。

当社グループは、全てのステークホルダーの皆様から信頼と期待をいただき、持続的に成長する“よい会社”を目指しています。その実現には株主・投資家様との信頼関係の構築が重要と認識し、以下の基本方針に基づいた積極的な情報開示と対話に取り組みます。

1.法令を順守し、適時・的確に開示します

2.公平・公正かつ分かりやすい情報開示と対話に努めます

3.経営トップのリーダーシップのもと、組織的なIR活動を行います

IRの推進体制や活動、インサイダー情報の管理などの詳細については統合報告書に記載しています。

<補充原則5-1-2>

 

株主との建設的な対話を促進するための方針については、統合報告書に記載しています。

 

 

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