ブリッジレポート
(7698) 株式会社アイスコ

スタンダード

ブリッジレポート:(7698)アイスコ 2022年3月期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

相原 貴久 社長

株式会社アイスコ(7698)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

卸売業(商業)

代表者

相原 貴久

所在地

神奈川県横浜市泉区新橋町1212

決算月

3月

HP

https://www.iceco.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,528円

1,906,600株

2,913百万円

9.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

37.00円

2.4%

148.43円

10.3倍

1,610.92円

0.9倍

*株価は6/8終値。各数値は22年3月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月

35,214

 

419

223

139.07

16.66

2020年3月

36,728

145

212

144

90.00

16.66

2021年3月

40,551

800

855

523

326.40

24.00

2022年3月

42.264

353

409

255

134.90

37.00

2023年3月(予)

45,612

392

438

283

148.43

37.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。EPS、DPSは2020年11月1日付で実施した1:15の株式分割を遡及して調整。18年3月期は配当を実施していない。

 

(株)アイスコの2022年3月期決算概要、第1次中期経営計画などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.第1次中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 関東を中心にアイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を展開。調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築し、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。自社セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスは、顧客に対して高い付加価値を提供。高い参入障壁となっている。

     

  • 22年3月期の売上高は前期比4.2%増の422億64百万円。内食需要の増加や冷凍食品の市場の拡大等によりフローズン事業は増収、スーパーマーケット事業は減収。営業利益は同55.81%減の3億53百万円。増収も、売上総利益は同1.8%の伸びにとどまり、粗利率も0.5ポイント低下。燃料費の高騰による物流コスト増加のほか、広告宣伝費・人件費増などを吸収できなかった。予想に対しては、売上高はほぼ計画通りだったが、燃料費の高騰による物流コスト増加などで利益は計画を下回った。

     

  • 23年3月期の売上高は前期比7.9%増の456億12百万円、営業利益は同11.0%増の3億92百万円の予想。主要得意先の出店や、好調な内食・中食需要に支えられ増収を見込んでいる。売上拡大を見込み人件費等の増加や原油価格高騰による燃料費等の費用が増加するが、冷凍食品、アイスクリームの価格改定や生産性向上により増益を計画している。配当は記念配当2.00円/株を含めて37.00円/株だった22年3月期と同額の普通配当37.00円/株の予定。普通配当は2.00円/株の増配となる。予想配当性向は24.9%。

     

  • 22年3月期を初年度、24年3月期を最終年度とする第1次中期経営計画を公表した。「卸業界内でオンリーワンのポジションを確立し、収益力でフローズン卸業界ナンバーワン」を目指し、10年後の数値目標「売上高1,000億円、営業利益25億円、営業利益率2.5%」を達成するための、「耕す・種まき」の時期との位置づけである。

     

  • 「人財育成と組織力向上」「既存事業の収益力向上」「新規事業の創出」を重点テーマとし、24年3月期「売上高468億円、営業利益5.8億円、売上高営業利益率1.3%」を目指す。

     

  • 22年3月期は大幅減益だったが、原材料価格の高騰、物流コストの上昇など引き続き事業環境はマイナス要因も多い中、今期は価格改定や生産性向上で増益を計画している。価格改定の浸透度合いを注視していきたい。

     

  • 第1次中期経営計画の各種施策の中では、冷凍食品、アイスクリームを取扱うフローズン専門店「FROZEN JOE’S(フローズン ジョーズ)」に注目したい。長年にわたり冷凍専門の卸売事業と食品小売事業を運営してきた実績・ノウハウを武器に、伸長が期待される家庭用冷凍食品の需要を取り込んで、成長スピードを一段と上げることができるか、進捗に期待したい。また、第1次中計では明確な言及が見られなかったが、主力のフローズン事業のさらなる成長に向け、現時点では十分とは会社側も考えていないスーパーマーケット業態の新規開拓の動向も重要なポイントとなろう。

     

1.会社概要

関東を中心にアイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を展開。調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築し、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。また、「アイスコ一貫システム」の重要なパーツである自社セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスは、顧客に対して高い付加価値を提供。高い参入障壁となっている。

 

【1-1 沿革】

1948年に神奈川県横浜市で相原冷菓店としてアイスキャンデーの製造・販売・卸売り等の経営を開始。
1992年、総合アイスクリーム卸売の株式会社相原冷夏と、冷菓販売業の高島物産株式会社が合併し、称号を株式会社アイスコとする。
2000年ごろから、サービスレベルの向上を目指し、現在の同社の強み・特長である自社配送網を有したアイスコ一貫システム、フルメンテナンスサービスの構築に取り組み、競争力強化を図る。
2009年、株式会社大我産業を吸収合併しスーパーマーケット事業を開始。
2022年4月、東証JASDAQ(スタンダード)へ上場。

 

【1-2 企業理念】

「I Care Everybody Company あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい」との思いを企業理念として、「株式会社アイスコ」と名付けている。

 

また、以下の3つを行動指針の下、顧客に感動と満足を感じてもらい、社員一人ひとりが、活き活きとやりがいをもって、仕事ができる企業を目指している。

 

「情熱・挑戦」

情熱をもって、常に新しい事に挑戦していく。失敗を恐れず、常に新しい事に挑戦する。

「努力・決意」

日々の努力と、絶対に諦めないという強い決意を持つ。日々の弛まぬ努力と、目標に対し達成出来るまで、絶対に諦めない強い信念を持つ。

「感謝・謙虚」

常に感謝の気持ちと謙虚な心を忘れない。自分たちは周囲に生かされている事を自覚し、常に感謝し・謙虚な心を忘れない。

 

【1-3市場環境】

(1)需要が拡大するフローズン市場
同社の取り扱う冷凍食品は、共働き世帯や単身世帯、高齢世帯の増加に伴い、簡単かつ調理時間の短縮にも繋がることから需要が拡大している。単身世帯一世帯当たりの冷凍食品の年間支出額は、この2年で2.6倍に増加し、2人以上世帯の年間支出額もこの2年で1.2倍に増加している。

 

(同社資料より)

 

加えて、昨今の環境志向の高まりによるフードロス削減ニーズ、コロナ禍の影響による外食抑制といった点も需要増を後押ししている。
特に、家庭用冷凍食品は業務用を上回り、家庭用冷凍食品市場は堅調に推移しており、同社のフローズン事業部の冷凍食品売上は市場の成長率を上回って急成長している。

 

(同社資料より)

 

一方で、こうした需要を取り込むべく、供給者(メーカー)側も技術革新を進めており、生産から流通・消費の段階まで一貫して−18℃以下の低温を保って取り扱われる冷凍食品は、食品別に最適な温度帯が設定され、通常は0~+10℃の温度帯で流通するチルド食品に引けを取らない鮮度と味を実現しており、それが更に需要増に繋がるという好循環となっている。

 

また、アイスクリームも、メーカーが冬場に食べる「冬アイス」や、植物油脂を使用しない「健康にいいアイス」などの商品開発を進めて新たな需要を創造しているほか、デザート用途の高価格帯商品による販売価格の上昇も見られ、市場は着実に拡大している。

 

冷凍食品及びアイスクリームのこうした状況下、小売各社はフローズン商品の売場面積を年々拡大している。

 

(2)顧客店舗数の増大・小売業における人手不足
同社の主要顧客であるドラッグストアは、各社とも店舗数を拡大させる一方、消費者の来店動機作りのため販売商品の多様化を進めており、冷凍食品・アイスクリームは重要なアイテムとなっている。
ただ、ドラッグストアはバックヤードを持たないため、同社が提供するフルメンテナンスサービス(※事業内容の項で後述)のニーズは高い。
加えて、小売業における人手不足は全産業を大きく上回り、構造的な問題となっている。店員の作業を代理で行う同サービスに対する引き合いはこちらの面からも増加傾向にある。

 

(同社資料より)

 

(3)市場規模
同社フローズン事業の売上高は約300億円。
同社では、既存商圏(東海・関東・北陸)の市場規模3,700億円、全国で最大1.1兆円と見込んでいる。
当面はまず北関東への商圏拡大を進めていく考えである。

 

(同社資料より)

 

【1-4 事業内容】

報告セグメントは、アイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業の2つ。

 

(1)フローズン事業
アイスクリーム、冷凍食品に特化して卸売を行っている。

 

①顧客
主要顧客はドラッグストア、食品スーパーマーケットなど。
株式会社クリエイトSDホールディングスのドラッグストア事業子会社「(株)クリエイトSD」と、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社「(株)ドン・キホーテ」及びそのグループ会社の2社で同事業売上高の約5割を占めている。

 

②商品調達
アイスクリーム、冷凍食品に関する長年の経験や蓄積したノウハウをベースに、「企画提案」「商品開発」「マーケティング」によって、顧客ニーズに対応した専用商材(看板商品・目玉商品・差別化商品など)の開発をメーカーと共にプロデュース・コーディネイトしている。
また、売上拡大に伴いメーカーに対する交渉力が年々強化されており、調達力向上・粗利率改善に寄与している。

 

③物流
関東及び東海エリアを中心に、13拠点の物流センター・営業所、約300台の配送用の自社保有トラック、約360名のセールスドライバーにより自社配送網を構築している。
難易度の最も高いアイスクリーム流通で培ったノウハウをベースとしたコールドチェーンは他社にはない強力な優位性である。

 

*物流拠点
食の安心・安全を確保する厳格な温度管理や賞味期限管理を行っているほか、最新鋭システムによる仕分け精度の向上や、直近2週間の出荷データを元にした1日当たりの出荷量算出による在庫量管理なども行っている。

 

*自社保有トラック
環境配慮と品質管理に優れた、最新鋭でかつ作業性重視のカスタムオーダーを施した冷凍専用車を導入。全車に運行管理システムを装備し安全運転の監視と定時納品管理を行っている。

 

*セールスドライバー
単に配送を行うだけではなく、個店レベルでの売場提案まで行う。平均年齢は36歳。若さと機動力で市場の変化と顧客ニーズに対応している。「自分が受け持つ店は自分の店だと思え」とのポリシーで、顧客満足度の向上を図っている。

 

物流業界も小売業界同様、深刻な人手不足、ドライバー不足が大きな課題であるが、同社では、通常9割を自社社員が配送しており、残り1割を協力会社等に委託している。
自社社員で配送しているため、きめ細かい「フルメンテナンスサービス」を顧客に提供することが可能。同サービスの質を高める教育を行い優秀な人材を育成し、既存得意先の満足度の向上、新規得意作の開拓、拡大を図っている。

 

④サービス内容
フローズン事業における同社の最も大きな特徴が、「フルメンテナンスサービス」である。

 

主要顧客であるドラッグストア等では、バックヤードに冷凍庫がなく、アイスクリーム・冷凍食品の性質上、溶解を防ぐため、すぐに売場の冷凍ケースに陳列しなければならない。ところが、少人数で運営する店舗においては、その人手・時間を確保することが難しいケースが多い。

 

こうした状況に対し、同社はアイスクリーム・冷凍食品の専門の卸問屋として、配送員が商品をバックヤードに置いてくるだけの納品スタイル「ドロップ納品」ではなく、売場に直接陳列して納品するにとどまらず、売場づくりまで行っている。
これを同社では「フルメンテナンスサービス」と呼んでおり、小売業の人手不足を補い、店舗に陳列の業務負担をかけることなく、商品を販売できるというメリットを顧客企業に提供している。
また、同社社員が得意先に代わって需要を予測し発注するケースもある。

 

(2)スーパーマーケット事業
神奈川県を中心に「スーパー生鮮館TAIGA」を8店舗、テナント2店舗を展開している。直営店舗売場面積は150~320坪程度。
「地域の冷蔵庫」として、生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)に注力し、鮮度・品質・品揃え・価格に徹底的にこだわる事で、大手スーパーとの差別化を図っている。
早朝に市場で経験豊富な担当バイヤーが青果・鮮魚を買い付け、その日のうちに店頭で販売する「当日仕入れ当日販売」によって新鮮な商品を提供している。

 

店舗を運営することにより消費者の嗜好やニーズなどを直接吸い上げることができる点は、今後の新規事業展開やフローズン事業とのシナジー効果などに大きなメリットがあると考えている。

 

(同社資料より)

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)アイスコ一貫システム
調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築。この「アイスコ一貫システム」により、「食」の安心・安全の確保はもとより、顧客企業の売上拡大ならびに人手不足対策に貢献しており、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。

 

(同社資料より)

 

(2)フルメンテナンスサービスによる高い参入障壁
「アイスコ一貫システム」の重要なパーツである自社セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスは、「配送」の域を超え顧客に対して高い付加価値を提供している。
顧客企業に対し大きなメリットを提供しているため、顧客企業は他社に切り替える動機は少なく、高い参入障壁となっている。
また、フルメンテナンスサービスによる販売比率は約70%を占めており、収益面でも大きく貢献している。

 

(同社資料より)

 

2.2022年3月期決算概要

【2-1 連結業績】

(1)概要

 

21/3期

(適用無) 

構成比

22/3期

(適用有) 

構成比

前期比

予想比

売上高

40,551

100.0%

42,264

100.0%

+4.2%

+0.6%

売上総利益

7,447

18.4%

7,580

17.9%

+1.8%

-0.6%

販管費

6,647

16.4%

7,227

17.1%

+8.7%

+1.4%

営業利益

800

2.0%

353

0.8%

-55.8%

-29.3%

経常利益

855

2.1%

409

1.0%

-52.1%

-24.0%

当期純利益

523

1.3%

255

0.6%

-51.3%

-32.3%

* 単位:百万円。収益認識会計基準を2022年3月期第1四半期期首より適用。前期比は会社資料より。

 

増収減益、利益は計画を下回る
売上高は前期比4.2%増の422億64百万円。内食需要の増加や冷凍食品の市場の拡大等によりフローズン事業は増収、スーパーマーケット事業は減収。
営業利益は同55.8%減の3億53百万円。増収も、売上総利益は同1.8%の伸びにとどまり、粗利率も0.5ポイント低下。燃料費の高騰による物流コスト増加のほか、広告宣伝費・人件費増などを吸収できなかった。
予想に対しては、売上高はほぼ計画通りだったが、燃料費の高騰による物流コスト増加などで利益は計画を下回った。

 

(2)セグメント別動向

 

21/3期

22/3期

前期比

売上高

 

 

 

 フローズン事業

31,167

33,641

+7.9%

 スーパーマーケット事業

9,384

8,623

-8.1%

 合計

40,551

42,264

+4.2%

セグメント利益

 

 

 

 フローズン事業

520

279

-46.3%

 スーパーマーケット事業

279

73

-73.6%

 合計

800

353

-55.8%

* 単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。

 

①フローズン事業
増収減益。
売上高は既存得意先の出店や、新規得意先の開拓により冷凍食品中心に増収も、セグメント利益は巣ごもり需要の反動と人件費・派遣費用の増加により減益。

 

顧客業態別売上高

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

ドラッグストア

14,724

46.9%

16,076

47.5%

+9.2%

ディスカウントストア

9,531

30.4%

10,178

30.1%

+6.8%

食品スーパー

5,027

16.0%

5,614

16.6%

+11.7%

その他

2,107

6.7%

1,986

5.9%

-5.7%

合計

31,391

100.0%

33,857

100.0%

+7.9%

* 単位:百万円

 

カテゴリー別売上高

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

冷凍食品

16,705

53.2%

19,044

56.2%

+14.0%

アイスクリーム

14,019

44.7%

14,165

41.8%

+1.0%

その他

666

2.1%

647

1.9%

-2.9%

合計

31,391

100.0%

33,857

100.0%

+7.9%

* 単位:百万円

 

②スーパーマーケット事業
減収減益。
新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要の反動の影響を受けた。

 

【2-2 財政状態とキャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

21年3月

22年3月

増減

 

21年3月

22年3月

増減

流動資産

7,714

8,499

+784

流動負債

8,809

8,670

-138

 現預金

1,733

2,336

+602

 仕入債務

5,505

6,280

+774

 売上債権

3,456

3,821

+364

 短期有利子負債

1,688

1,156

-532

 未収入金

1,955

1,729

-226

固定負債

3,169

3,116

-52

固定資産

6,601

6,360

-240

 長期有利子負債

2,312

2,219

-92

 有形固定資産

5,260

5,049

-210

負債合計

11,978

11,787

-191

 投資その他

1,301

1,283

-17

純資産

2,337

3,072

+735

資産合計

14,316

14,860

+544

負債・純資産合計

14,316

14,860

+544

 

 

 

 

有利子負債合計

4,000

3,375

-625

* 単位:百万円。

 

現預金の増加などで資産合計は前期末比5億44百万円増加の148億60百万円。
有利子負債の減少などで負債合計は同1億91百万円減少の117億87百万円。
純資産は同7億35百万円増加の30億72百万円。
自己資本比率は前期末より4.4ポイント上昇し、20.7%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

21/3期

22/3期

増減

営業CF

1,105

992

-113

投資CF

-312

-234

+78

フリーCF

793

758

-34

財務CF

-347

-148

+199

現金同等物残高

1,677

2,287

+610

*単位:百万円

 

営業CF、フリーCFの黒字幅は縮小。キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2023年3月期業績予想

(1)主要損益計算書

 

22/3期 

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

売上高

42,264

100.0%

45,612

100.0%

+7.9%

売上総利益

7,580

17.9%

7,995

17.5%

+5.5%

販管費

7,227

17.1%

7,603

16.7%

+5.2%

営業利益

353

0.8%

392

0.9%

+11.0%

経常利益

409

1.0%

438

1.0%

+7.1%

当期純利益

255

0.6%

283

0.6%

+11.2%

* 単位:百万円。

 

増収増益を予想
売上高は前期比7.9%増の456億12百万円、営業利益は同11.0%増の3億92百万円の予想。
主要得意先の出店や、好調な内食・中食需要に支えられ増収を見込んでいる。
売上拡大を見込み人件費等の増加や原油価格高騰による燃料費等の費用が増加するが、冷凍食品、アイスクリームの価格改定や生産性向上により増益を計画している。
配当は記念配当2.00円/株を含めて37.00円/株だった22年3月期と同額の普通配当37.00円/株の予定。普通配当は2.00円/株の増配となる。予想配当性向は24.9%。

 

(2)セグメント別動向

 

22/3期

23/3期(予)

前期比

売上高

 

 

 

 フローズン事業

33,641

37,396

+11.2%

 スーパーマーケット事業

8,623

8,215

-4.7%

 合計

42,264

45,612

+7.9%

セグメント利益

 

 

 

 フローズン事業

279

312

+11.5%

 スーパーマーケット事業

73

79

+7.3%

 合計

353

392

+11.0%

* 単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。

 

*フローズン事業
主要得意先の出店や好調な内食需要により増収を計画。人件費の増加や燃料費の高騰により軽油代等の費用が増加する見込みだが、価格改定に伴う収益改善やDXを用いた生産性の向上により増益を見込む。

 

*スーパーマーケット事業
22年4月に静岡県に1店舗のみあった浜松店舗を閉店し、神奈川県内の店舗に集中体制を見直すことで事業の立て直しを図る。店舗閉鎖により売上高は減少。不採算店の閉店と減損処理のスクラップによりセグメント利益は微増の計画。

 

 

 

 

4.第1次中期経営計画

22年5月、22年3月期を初年度、24年3月期を最終年度とする第1次中期経営計画を公表した。

 

(1)外部環境と課題認識
「1.会社概要 【1-3 市場環境】」にあるように、即食・簡便・時短ニーズの高まりにより家庭用冷凍食品市場は今後も成長が見込まれる。一方で、原油やエネルギー価格の上昇による物流コストの増加、労働力人口減少、ESGに対する意識の高まりといった外部環境の下、同社では、「安定供給、商品開発力の強化」「省人化、効率化の推進による生産性の向上」「人財確保(採用強化)」「地域社会、環境配慮への取り組み強化」が課題であると認識している。

 

(2)10年ビジョン - iceco VISION 2030-
①目指す姿
「圧倒的なサービス」「食を通じた社会貢献」「人財力の最大化」によって「卸業界内でオンリーワンのポジションを確立し、収益力でフローズン卸業界ナンバーワン」を目指す。
10年後の数値目標を「売上高1,000億円、営業利益25億円、営業利益率2.5%」としている。

 

②成長戦略
以下の5つを成長戦略とする。

サービス品質の向上

・フルメンテナンスサービスを磨き上げ、お客様にとっての揺るぎない存在へ

・商品品質・接客サービスを磨き上げ、お客様満足度No.1を目指す

新規事業の創出

・収益力の高い新規事業の創出

・グローバル事業展開の検討

自立型人材の育成

・自ら考え行動し、結果を出せる社員の育成

・人を育てることが出来る社員の育成

DXの推進

・デジタル技術や戦略に十分な知見を持つ人財の確保

・デジタル技術を活用し、新たな価値を創出

SDGsの取り組み

・自社倉庫の屋上に太陽光パネルを設置し、冷凍庫の電気の一部を太陽光発電で賄う

・環境配慮型トラックの導入を検討

 

拡大が見込まれるフローズン市場において差別化戦略を武器にリーディングカンパニーを目指す。

 

(同社資料より)

 

(3)第1次中期経営計画(2021-2023年度)
22年3月期を初年度とする第1次中期経営計画は、強靭な経営基盤の再構築を目指し、「耕す・種まき」の時期と位置付けている。
その後の第2次中計「育成」、第3次中計「収穫」とステップを踏んで、10年ビジョンを実現する。

 

①重点テーマ
第1次中期経営計画では、「人財育成と組織力向上」「既存事業の収益力向上」「新規事業の創出」を重点テーマとしている。

 

◎人財育成と組織力向上
*戦える人財や組織を創る。

 

人財育成に向け、マネジメント層に対し、職位別にマネジメント研修を行うほか、会社の方針や事業計画等に沿った評価基準を作成する。役割に紐づけられた等級に基づき評価を行う人事評価制度を構築する。
また、組織力向上に向け、業務標準化を図り、全従業員が効率的で高品質な業務を行い、全体的な生産性を向上させる。

 

労働環境改善のため、DXを推進し、作業の効率化を図るほか、従業員サーベイを導入し、労働環境の課題や施策の効果の把握を図る。

 

このほか、人事コンサルティングを導入しての人事制度のアップデート、新卒採用の強化にも取り組む。

 

◎既存事業の収益力向上
*徹底的な合理化・効率化の推進を図る。

 

運転業務の可視化は重要な課題である。
GPS運行管理システムでドライバーの運転業務をリアルタイムに可視化し、的確な判断材料として活用する。
また、GPS運行管理システムの安全運転管理機能により運転者の癖や特性をデータをもとに把握し、適切な指導を行い、事故リスク低減することにより営業活動への影響を抑制するほか、分析・レポート作成機能のデータをもとに迅速な管理を行い管理コストの削減を図る。

 

効率的な配送のため、拠点配置の最適化を図る。サテライトデポ(通過型センター)の展開を検討している。

 

配送業務の合理化に向け、自動配車システムを活用し、配送計画をAIで自動作成する。属人化から脱却した配車業務フローを構築する。
高精度な経路探索で計画通りに配送できる「ズレない」自動配車を実現する。この「最適化」された配車計画・配送ルートにより車両台数と人件費を削減する。

 

*機能拡充を図る
仕入・販売戦略の強化に向け、提案営業力を武器に帳合先を拡げ、バイイングパワーの増強を図る。
需給調整業務の高度化を図り、小売業とメーカーの双方が効率的に販売、製造活動ができるように貢献する。

 

効率的な営業戦略推進のために、一回当たりの納品ケース数が多い食品スーパーの新規帳合獲得を進め、配送効率を向上させる。

 

商品開発機能を強化する。
商品開発専門部署を立ち上げ、人財を採用し、商品開発体制を構築する。
主体的にメーカーと企画し、ブランド戦略を構築するほか、日常的に顧客のニーズをつかみ、商品開発に反映させる。

 

◎新規事業の創出
*新たな成長エンジンを模索する。

 

・冷凍食品専門店「FROZEN JOE’S」
冷凍食品、アイスクリームを取扱うフローズン専門店「FROZEN JOE’S(フローズン ジョーズ)」を展開する。

 

理念は「人々にとって安心・安全で美味しい商品を提供し、健康で平和な世界の実現に貢献する」こと。
フローズンのスペシャリストが手掛けるフローズン専門店として、「欲しいものが見つかる店」「持続可能な世界の実現に貢献する店」を目指す。
国内外から高品質なフローズン製品をセレクトし手ごろな価格で提供する。
外食店とのタイアップ品や業務用製品のほか、オリジナル商品、地方特産品などの豊富な品揃えにより家庭の食卓をより豊かにする。
食肉問題や健康志向に対応する代替肉製品の品揃えにより食の進化に貢献するほか、冷凍食品需要の裾野を広げ、食品ロス軽減にも貢献する。

 

強みは、長年、冷凍専門の卸売事業と食品小売事業を運営しており様々なノウハウと機能を保有している点。
国内外に多数のサプライヤーネットワークを保有(約250社)しているほか、本業の卸売事業において約5000店の納品先を有しており、販売分析、冷凍物流等におけるノウハウを蓄積している
また、食品スーパーを運営しているため、小売店運営における様々なノウハウも蓄積している。

 

・海外事業
以下のような海外における冷凍食品の市場環境を踏まえ、海外事業部署を立ち上げ、海外人財を採用し、海外事業体制を構築する。加えて、現地業者との業務提携による商品開発や輸出入事業の道筋を構築していく。

 

(市場環境)
発展途上国への外国直接投資の増加により、世界の冷凍食品市場は急拡大している。
世界の冷凍食品市場規模は2021年約2,600億USDで、年率8%程度で成長し、2030年には約5,000億USDまで拡大すると予想されている。
中でも、同期間のアジア太平洋地域の冷凍食品市場の成長率は年率約9%と推定されており、アジア太平洋諸国は人口が増え続け、一人あたりの支出が増加しているため、冷凍食品市場において最も注目されている地域である。
加えて、世界的な日本食ブームや食品輸出の拡大に伴い、アジア圏を中心に日本産/日本製の評価・ブランドが高まっている。

 

②ESGへの取り組み
企業理念に「I care everybody company. あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい」を抱える同社は、以下のような取り組みを行っている。

 

持続可能な消費と生産に取り組む

フードロス問題の課題解決に向けて、賞味期限の長く、食べる分量だけ使える冷凍食品を通じて貢献する。

 

障害がある人たち、男性も女性も、働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする

従業員サーベイを導入し、労働環境の課題や施策の効果の把握を図る。

 

気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こす

・自社倉庫の屋上に太陽光パネルを設置し、冷凍庫の電気の一部を太陽光発電で賄う

・環境配慮型トラックの導入を検討

 

 

③数値目標
24年3月期までの数値目標は以下のとおりである。

 

◎売上高
22年3月期から24年3月期まで、年平均5%成長を見込んでいる。

 

(主な施策など)

即食・簡便・時短ニーズの高まりによる家庭用冷凍食品の急伸に対応するために、人財を確保(採用強化)し、安定供給の強化を図る。

提案営業力を武器に帳合先を拡げ、バイイングパワーの増強を図る。

「フローズンのスペシャリストが手掛けるフローズン専門店」を出店する。

海外の現地業者との業務提携による商品開発や輸出入事業の道筋を構築し、海外事業の展開を図る。

 

◎営業利益
22年3月期から24年3月期まで、年平均29%成長を見込んでいる。

 

(主な施策など)

22年3月期は原油高の高騰で利益が減少したが、24年3月期に向けて、値上げにより経費が売価に織り込まれて利益が確保できる環境になる。

DXを推進して省人化、効率化を推進し、生産性を向上させる。

GPS運行管理システムを活用し、運転業務の可視化を図り、分析・レポート作成機能のデータをもとに迅速な管理を行いコストの削減を図る。

業務標準化を図り、全従業員が効率的で高品質な業務を行い、全体的な生産性を向上させる。

 

5.今後の注目点

22年3月期は大幅減益だったが、原材料価格の高騰、物流コストの上昇など引き続き事業環境はマイナス要因も多い中、今期は価格改定や生産性向上で増益を計画している。価格改定の浸透度合いを注視していきたい。
第1次中期経営計画の各種施策の中では、冷凍食品、アイスクリームを取扱うフローズン専門店「FROZEN JOE’S(フローズン ジョーズ)」に注目したい。長年にわたり冷凍専門の卸売事業と食品小売事業を運営してきた実績・ノウハウを武器に、伸長が期待される家庭用冷凍食品の需要を取り込んで、成長スピードを一段と上げることができるか、進捗に期待したい。
また、第1次中計では明確な言及が見られなかったが、主力のフローズン事業のさらなる成長に向け、現時点では十分とは会社側も考えていないスーパーマーケット業態の新規開拓の動向も重要なポイントとなろう。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年12月17日)
基本的な考え方
当社は、「I care everybody company ~あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい~」という企業理念のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、経営環境の変化に対応した迅速な意思決定と、経営の健全性の向上を図ることによって企業価値を高めることを経営の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
これを実現するために、少数株主等に十分に配慮するなど、株主の権利の実質的な確保、平等性の確保、ステークホルダーとの良好な関係の構築、情報開示の充実及び株主総会、取締役会、監査等委員会、会計監査人などの機関、制度を強化しながら、コーポレート・ガバナンスを充実させてまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則2-4①】中核人材の多様性の確保
当社は、会社規模・事業特性から女性・外国人・中途採用者の管理職への登用に関する測定可能な目標を設定しておりませんが、女性・外国人・中途採用者の管理職登用については、能力を見極めたうえで、継続的に取り組んでまいります。

 

【補充原則3-1③、補充原則4-2② サステナビリティについての基本的な方針の策定と情報開示】
当社の経営戦略の開示については、決算説明資料等により行っておりますが、サステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定しておりません。しかしながら、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識しており、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると考えております。また、人的資本や知的財産への投資等の重要性も認識しており、サステナビリティに関する今後の方向性や方針を策定し、取締役会にて実効的に監督してまいります。

 

【原則5-2】経営戦略や経営計画の策定・公表
当社は、現時点において中期経営計画を公表しておりませんが、IR活動を通して事業の活動内容や方向性を示し、目標達成に向けた具体的な施策を分かりやすく説明するよう努めてまいります。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4】政策保有株式事業戦略上の必要性、取引・協業関係の維持・強化を保有の目的として、企業価値の向上に資するものを政策保有株式と定義し、それ以外は保有しない方針です。現在、取引関係の維持・強化を目的として1社の上場会社株式を保有しておりますが、継続保有の適否については、取締役会において定期的に検証してまいります。

 

【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、株主との間で積極的かつ建設的な対話を行う方針であります。株主との対話の機会として、株主総会をはじめ、決算説明会を随時開催するほか、当社ウェブサイトにおいて開示資料を充実させ、当社の事業に対する理解の促進に努めてまいります。

 

 

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