ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

プライム

ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 2022年3月期決算

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 平林 武昭 社長

日本システム技術株式会社(4323)

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表取締役社長

平林 武昭

所在地

大阪市北区中之島二丁目3番18号 中之島フェスティバルタワー29階

決算月

3月末日

HP

https://www.jast.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,439円

6,132,264株

14,956百万円

16.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

50.00円

2.1%

223.41円

10.9倍

1,493.72円

1.6倍

*株価は6/29終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
*EPSとDPSは、23/3期の会社予想。
*数値は四捨五入。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

16,868

856

870

317

60.58

28.00

2020年3月(実)

18,019

970

1,021

-30

-5.76

28.00

2021年3月(実)

18,789

1,216

1,310

578

107.95

28.00

2022年3月(実)

21,399

2,000

2,052

1,330

224.65

40.00

2023年3月(予)

22,400

2,120

2,160

1,370

223.41

50.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

日本システム技術の2022年3月期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 22/3期の売上高は前期比13.9%増の213億99百万円。売上高は半導体不足の影響を受けハード機器の調達が当初想定時期より延伸したこと等により、システム販売事業で前期を下回ったものの、大型かつプライムの新規顧客案件が前期に比べ増加傾向に推移したことに加え、既存顧客に係る受注案件も堅調に推移したことなどによりソフトウェア事業で前期を上回った他、GAKUEN事業と医療ビッグデータ事業でも増加した。利益面は前期比64.5%増の20億円の営業利益。売上高が減少したシステム販売事業において前期を下回ったものの、売上高が増加したその他全ての事業で増益となった。

     

  • 23/3期の会社計画は、売上高が前期比4.7%増の224億円、営業利益が同6.0%増益の21億20百万円の予想。受託開発型ビジネスでは、最大基盤事業として利益拡大しつつ「共創DX」推進による高付加価値のビジネス領域を拡大する。また、GAKUEN及び医療ビッグデータなどの自社ブランド事業では、各事業のブランド力向上とシェア拡大を進めるとともに、新技術・新商材の研究開発及び新事業の立ち上げを図ることで、継続的成長を果たす方針である。配当は、前期から10円増配の期末50円/株の予定。

     

  • GAKUENとBankNeoの販売が好調に推移している。加えて、同社は、今後新技術研究の早期の事業化やM&A並びに、アライアンスと共同研究を通じた新規商材の創出を積極的に実施する方針である。収益性の高い自社パッケージ商材の販売拡大は、同社の成長力の加速に直結する。今後のGAKUENとBankNeoの販売動向に加え、新たな自社パッケージ商材の事業化の進捗が注目される。

     

1.会社概要

ソフトウェア事業(22/3期売上構成比67.2%)、GAKUEN事業(同17.9%)、システム販売事業(同6.5%)、医薬ビックデータ事業(同8.4%)を行っている。顧客の課題・ニーズに応じたシステム開発を行うとともに、パッケージソフトやビッグデータビジネスも展開している。また、独立系のため、柔軟な提案が可能であり、幅広い業界のシステムを、提案から開発、保守まで一貫して提供している。更に、独自の組織づくりにより、新しい価値を生む社員教育、技術を重視した特徴的な営業戦略、品質と信頼納品への強いこだわり、会社全体で徹底したコスト管理の実現を通じて、信頼ある製品を生み、安定成長につなげている。また、大学向けのGAKUEN、金融機関向けのBankNeo等の自社のパッケージソフトが高い評価を得ている他、AI、ビッグデータ分野のサービスも積極的に開発、提供している。更に、アジアの主要地域に開発・販売拠点を設立し、グループネットワークを活かした開発の効率化と現地企業のシステム開発をサポートしている。なお、2022年3月末現在の連結従業員は、1,448名
であり、2022年4月1日付の連結の新入社員は、95名となった。

 

(1)沿革

設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場、2017年6月に一部へ市場変更した。また、2018年11月にマレーシアのVirtual Calibre グループを子会社化、2019年5月にシンガポールのAG NET PTE.LTDを子会社化するなど、グローバル展開を加速している。

 

 

(2)グループ拠点及びグローバル展開

大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、2013年7月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。また、2016年5月には広範な分野でシステム・ソリューションビジネスを展開する総合ソフトウェア開発企業である(株)アイエスアールを子会社化。東京エリアでの事業拡大およびSI サービスの強化に寄与するものと期待される
その他、2017年11月には㈱コウェルへの出資及び協業強化。これにより、日本及びベトナムにおけるグローバル・アウトソーシング拡大、パッケージ商材の開発、ITエンジニアの採用・育成等を協業することが可能となった。更に、2018年4月にJAST Asia Pacific Co., Ltdを同社の99.97%の出資によりタイに設立。2018年10月にマレーシアの独立系システムコンサルティング会社であるVirtual Calibreグループ3社(Virtual Calibre SDN. BHD. 、Virtual Calibre MSC SDN. BHD.、Virtual Calibre Consulting SDN. BHD.)の株式を取得し、連結子会社化した。また、2019年5月には、シンガポールのAG NET PTE. LTDの連結子会社化によりHRM((Human Resource Management)分野への新規参入を果たした。今後もASEAN地域における更なる事業拡大を目指す。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(3)事業内容

◎ソフトウェア事業(ソフトウェアの受託開発) 
完全独立系の強みを活かし、幅広い分野に渡り多種多様な情報システム/サービスを提供している。
①ビジネス分野
 システムの提案から開発、運用、保守まで一貫したITサービスを提供。
②エンジニアリング分野
 スマートデバイス/AV機器組込みシステム/情報通信関連システム等を提供。
③その他ソリューション【JASTブランド】
・金融機関向けパッケージBankNeo
・人材資源開発ソリューションAGHRM®
・人材データプラットフォームmieHR
・社内向けキャッシュレスサービス
・Office DX −顔認証打刻−

 

◎GAKUEN事業(大学経営ソフトウェアパッケージの開発、販売)【JASTブランド】
文教ITトップブランド「GAKUENシリーズ」を中核に、文教DXを推進するトータルソリューションを提供している。
① 学校事務支援統合システムGAKUENRX
② 大学向け統合型WebサービスシステムUNIVERSAL PASSPORTRX

 

◎医療ビックデータ事業(医療情報データの点検分析及び関連サービス)【JASTブランド】
5つのヘルスケア関連事業を展開。医療データ利活用と保険者業務改革を推進するワンストップサービスを提供している。
①レセプト自動点検システムJMICS
②保険者業務支援サービスiBss
③生活保護向けレセプト管理システムRezeptPlus(富士通Japan株式会社の商標)
④データヘルス事業
 保険者の課題や目的に応じてデータ収集から効果測定までワンストップで提供
⑤データ利活用事業 REZULT
 レセプトや特定健診データ等を匿名加工し、データセットや分析レポートとして提供

 

◎システム販売事業(IT機器の販売及び情報通信インフラ構築) 
インフラ構築/クラウドサービスから運用保守/関連SIまで、ICTインフラのワンストップソリューションを提供している。
①インフラ設計構築

 システムインフラを中心とした、ハードウェア・ソフトウェアの設計・構築サービス

②システム製品販売

 システム 製品提案から運用保守のトータルサポート

③クラウドサービス
 現行環境の課題分析や運用提案、設計/構築、導入後サポートまでのワンストップサービス
④ICTコンサルティング
 企業のICT導入に関し、現状分析から導入・実装・保守・サポートまでワンストップで提供

 

(4)JASTブランド

◎GAKUEN
GAKUENは、大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージであり、1994年10月の発売以来、導入実績420校を突破したトップシェアソリューション。高等教育機関の活動を包括的に支援し文教マーケットにおいて高い評価を受けている。特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。
少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。
加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援など、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。売上高か、下記の内容に分類される。

 

凡例

内容

パッケージ販売

学校経営統合パッケージの販売収益

導入サービス

パッケージの導入コンサルティング収益

パッケージ保守

パッケージ製品の保守契約収益

EUC開発

パッケージ販売に伴う関連システムの個別受託開発の収益

仕入販売

ハードウェア及び他社商品の仕入販売収益

運用サービス

システムの運用支援に関する収益

 

(同社決算説明会資料より)

 

◎JMICS
JMICSは、月間レセプト処理数700~1000万枚を誇る大量のレセプトデータを活用し、保険者業務支援から分析・事業コンサル・保健事業実行までトータルの支援が可能なワンストップサービスである。主な提供サービスは、①システムを利用したレセプト点検と被扶養者調査や補助金申請支援を行う給付・適用関連サービス、②医療費適正化に向けた対象者抽出と是正通知を行う通知サービス、③レセプト、健診データを中心に各種保健事業や介護データにも対応した医療費分析サービス、④保健師、管理栄養士、看護師等による保健指導を行う保健指導サービスである。

 

(同社決算説明会資料より)

 

◎BankNeo
BankNeoは、導入容易性と拡張性を活かしたスマート&ニッチソリューションを豊富に展開しており、金融機関のDXを推進する統合パッケージである。全国の金融機関で多数の導入実績があり、スモールスタートによる導入が容易性、導入後の高い拡張性、30年を超えて蓄積した豊富なノウハウ、顧客ニーズを捉えたサービスラインナップなどが武器となっている。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(5)理念先行経営

同社は、創業来、道経一体思想(経営の品質は人の品質に尽きる)のもとしている・「はじめに理念ありき」の理念先行経営を貫徹している

 

◎基本精神
基本精神は、「天爵を修めて人爵これに従う」である。先に人爵を与えられることで、あたかも自分は天爵も得たものと錯覚する。一人ひとりがまず「天爵を修める」ことを、経営活動・人材育成における究極のテーマとしている。

 

◎経営方針
この基本精神を則り、完全独立系の立場を堅持しあらゆる産業・技術分野で成果と知見を蓄積するとともに、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、各ステークホルダの価値を最大化し、総体としての企業価値を高めることで、長期安定成長を追求している。更に、人間力の研鑚が何よりも先行すべきであるとの信念に基く「人づくり」経営で、企業成長の原動力である情報技術への情熱と顧客への誠心誠意のサービスをJASTの個々人に育んでいる。加えて、松尾芭蕉の確立した「不易流行」(本質的なものを守りつつ、新しい変化を取り入れ、価値を創造すること)の理念に則り、一貫した経営理念=「不易」で変わる経営=「流行」を正しくリードしている。
また、これら経営方針を人事・営業・生産・財務の4つの理念に落とし込み、長期安定成長への指針としている。

 

【人事理念】

人が財産

「人物」重視

• 長期的人材育成を主眼とした採用活動、文系・理系出身を問わず技術者として育成

• キャリア採用を活用しスペシャリスト人材・新たな知見を確保

• 成長・評価・環境の観点で従業員満足を図り、高い社員定着率を実現

⇒品質安定

⇒知見蓄積と変化対応の両立

【生産理念】

品質第一

品質・信頼へのこだわり

• 一括丸投げは行わない社員中心のプロジェクト編成

• 請け負った仕事は最後までやり抜く。途中退場しない

⇒高いリピートオーダー率

⇒大手顧客との長期取引

【生産理念】

品質第一

【営業理念】

顧客第一

積極的研究開発

• 業界平均を上回る売上高研究開発費率で製品開発/新技術研究を加速

• M&A・業務提携等の推進によりビジネスシナジー創出

• 社内でのDX技術取得の促進、他社協業の積極活用•産学官連携の共同研究を推進し社会的価値を創出

⇒新商材・ビジネス創出のサイクル化

⇒社内技術の錬成と他社知見の活用

【営業理念】

顧客第一

営業戦術

• SEが顧客業界・業務に入り込み、リピート案件を発掘

• 新規顧客は専門営業による課題解決/共創型提案を行う

• アライアンスを活用し、顧客課題に適した幅広い提案を行う

⇒長期顧客形成

⇒DX提供ビジネス

⇒異種4事業の共栄

【財務理念】

自立自営

徹底したコスト管理

• 間接部門を含む全活動をプロジェクト化し原価管理

• コンパクトな本社間接部門

⇒低コスト体質

(同社決算説明会資料を参考に㈱インベストメントブリッジが作成)

 

2.2022年3月期決算概要

(1)連結業績 

 

21/3期 

構成比

22/3期 

構成比

前期比

売上高

18,789

100.0%

21,399

100.0%

+13.9%

売上総利益

4,620

24.6%

5,688

26.6%

+23.1%

販管費

3,403

18.1%

3,687

17.2%

+8.3%

営業利益

1,216

6.5%

2,000

9.3%

+64.5%

経常利益

1,310

7.0%

2,052

9.6%

+56.6%

当期純利益

578

3.1%

1,330

6.2%

+130.1%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ

 

前期比13.9%の増収、同64.5%の営業増益
22/3期の売上高は、前期比13.9%増の213億99百万円。営業利益は、同64.5%増の20億の営業利益となった。売上高は11期連続増収の9期連続最高値更新、経常利益は7期連続増益・3期連続最高値更新でROEも大幅に向上した。
売上高面では、世界的な半導体不足の影響を受けハード機器の調達が当初想定時期より延伸したこと等により、主力の大学向け機器販売が前期を下回ったことなどによりシステム販売事業で減少した。一方、大型プライム新規案件の増加やBankNeo「預り管理」の販売好調やASEANビジネスの業績拡大などが寄与したソフトウェア事業で前期を上回った。
また、新製品「RXシリーズ」のリリースによる旧製品からの入換え案件、新規顧客の獲得、導入関連収益の増加などが寄与したGAKUEN事業と、新型コロナ感染症拡大の影響から脱しレセプト自動点検サービスの業績が回復した医療ビッグデータ事業でも前期比で増加した。
利益面では、売上高が減少したシステム販売事業で前期を下回ったものの、売上高が増加したその他全ての事業で増益となった。また、ソフトウェア事業において前期に発生した一部の受託開発案件の不採算の影響がなくなったことや、医療ビッグデータ事業において、利益率の高い分析及び通知サービス・保険者業務支援サービスが成長したことも収益性の向上に寄与した。売上総利益率は26.6%と前期比2ポイント上昇、売上高対販管費率も同0.9ポイント低下した。この結果、売上高営業利益率は9.3%と同2.8ポイント上昇した。その他、営業外収益で受取利息や助成金収入が前期よりも減少したことなどにより、経常利益は同56.6%増の20億52百万円と増益率が営業利益の増益率を下回った。一方、前期に計上したシンガポールの連結子会社であるAG社に係るのれん等の減損損失が今期は発生しなかったことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は13億30百万円と大幅に増加した。
なお、収益認識基準の適用により、売上高は2億60百万円、売上原価は3億44百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ83百万円増加している。

 

(2)経常利益の増減額の内訳

21/3期経常利益

13.1億円

主な内訳

ソフトウェア事業

営業利益

+4.2億円

・大型プライム案件の増加  +2.5億円

• BankNeo製品の販売拡大  +1.0億円

• マレーシアを中心としたASEANビジネス拡大  +1.7億円

• 共通費用の増加等  -1.0億円

GAKUEN事業

営業利益

+2.0億円

• RXシリーズの販売好調維持  +1.1億円

• 収益認識基準適用による収益認識額の増加  +1.1億円

• 共通費用の増加等  -0.2億円

医療ビッグデータ事業

営業利益

+1.5億円

• 分析及び通知並びに保険者業務支援サービス等の高収益ビジネスの拡大

システム販売事業

営業利益

-0.1億円

 

営業外損益等

-0.2億円

 

22/3期経常利益

20.5億円

 

(同社決算説明会資料を参考に㈱インベストメントブリッジが作成)

 

(3)セグメント別動向

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

ソフトウェア事業

12,687

67.5%

14,375

67.2%

+13.3%

GAKUEN事業

3,216

17.1%

3,832

17.9%

+19.2%

システム販売事業

1,465

7.8%

1,384

6.5%

-5.5%

医療ビッグデータ事業

1,419

7.6%

1,806

8.4%

+27.2%

連結売上高

18,789

100.0%

21,399

100.0%

+13.9%

ソフトウェア事業

160

13.1%

585

29.3%

+263.7%

GAKUEN事業

856

69.7%

1,060

53.0%

+23.9%

システム販売事業

120

9.8%

106

5.3%

-11.6%

医療ビッグデータ事業

90

7.4%

245

12.3%

+170.0%

調整額

-12

-

2

-

-

連結営業利益

1,216

100.0%

2,000

100.0%

+64.5%

*単位:百万円

 

◎ソフトウェア事業(受託ソフトウェアの個別受託開発)
大型かつプライムの新規顧客案件が前期に比べ増加傾向に推移したことに加え、既存顧客に係る受注案件も堅調に推移したほか、金融機関向け情報系統合システム「BankNeo 預り管理」の販売好調、マレーシアを中心としたASEANビジネスの業績拡大、更には一部不採算案件の解消による開発コストの縮小等により、同事業全体の収益性が大幅に改善した結果、売上高143億75百万円(前期比13.3%増)、営業利益5億85百万円(同263.7%増)となった。また、セグメント利益率は、前期比2.8ポイント改善の4.1%となった。

 

◎GAKUEN事業(大学経営ソフトウェアパッケージの開発・販売及び関連サービス)
利益率の高い大学向けPP(プログラム・プロダクト)の新シリーズ「GAKUEN RX」「GAKUEN UNIVERSAL PASSPORT RX」の既存顧客への旧シリーズとの入れ替え需要及び同シリーズに係る新規顧客開拓が堅調に推移したことに加え、これらの導入に係るEUC(関連システムの個別受託開発)や仕入販売の受注量が増加したことにより、前期に飛躍した同事業全体の収益性を維持した。また、前期以前は検収時に収益認識していた導入支援サービス等の仕掛案件が、当期より適用開始の「収益認識に関する会計基準」により履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益認識することとなった結果、売上高38億32百万円(同19.2%増)、営業利益10億60百万円(同23.9%増)となった。また、セグメント利益率は、前期比1.1ポイント改善の27.6%となった。

 

 

◎システム販売事業(IT機器の販売及び情報通信インフラの構築)
世界的な半導体不足の影響を受けハード機器の調達が当初想定時期より延伸したこと等により、主力の大学向け機器販売が減収となった結果、売上高13億84百万円(同5.5%減)、営業利益1億6百万円(同11.6%減)となった。また、セグメント利益率は、前期比0.5ポイント低下の7.7%となった。

 

◎医療ビッグデータ事業(医療情報データの点検、分析及び関連サービス)
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関利用者の減少により前期はやや低調となったレセプト自動点検サービスが、今期は回復基調となったことに加え、分析及び通知サービス並びに保険者業務支援サービス等の高収益ビジネスの拡大により、同事業全体の収益性が向上した結果、売上高18億6百万円(同27.2%増)、営業利益2億45百万円(同170.0%増)となった。また、セグメント利益率は、前期比7.2ポイント改善の13.6%となった。

 

 

 

22/3期の売上高は、主通信の業種別構成比が低下する一方、サービス・流通、製造、官公庁・その他の業種構成比が上昇した。
また、大手顧客別では、上位4社向けが31.3%(前期37.3%)と前期比で低下する一方、健保組合・自治体・その他医療関連企業7.0%(同4.7%)、GAKUEN事業代理店6.9%(同3.3%)、国外エネルギー関連公企業4.0%(同2.9%)などの構成比が高まった。

 

(4)下期(10-3月)の業績推移

 

今下期(10-3月)は、営業利益で前下期を超えることができなかったものの、売上高、営業利益ともに過去の下期と比べ高水準となった。

 

(5)受注残高の推移

事業/期

2019年3月

2019年9月

2020年3月

2020年9月

2021年3月

2021年9月

2022年3月

ソフトウェア

2,455

2,336

2,705

2,748

2,634

2,821

3,759

GAKUEN

1,084

1,079

1,108

2,559

1,993

2,164

1,576

医療BD

619

549

532

782

692

900

727

システム販売

435

457

471

555

439

559

423

受注残高合計

4,595

4,423

4,818

6,645

5,760

6,446

6,486

*単位:百万円

 

22年3月末はソフトウェア事業の受注残高が伸長し、21年9月末と概ね同水準にあり、21年3月末比で12.6%増の受注残高を確保している。22年3月末の豊富な受注残高が、23/3期上期の売上高の増加を牽引する。

 

(6)財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

 

21年3月

22年3月

 

21年3月

22年3月

現預金

4,854

6,464

仕入債務

1,021

1,380

売上債権

3,953

5,533

短期有利子負債

410

8

たな卸資産

715

252

前受金・契約負債

605

430

流動資産

9,696

12,389

長期有利子負債

-

-

有形固定資産

542

546

負債

6,011

6,345

無形固定資産

378

274

純資産

6,850

9,194

投資その他

2,243

2,329

負債・純資産合計

12,861

15,539

固定資産

3,165

3,150

有利子負債合計

410

8

*単位:百万円

*有利子負債=借入金

 

2022年3月末の総資産は、前期末比26億78百万円増の155億39百万円となった。業績連動に伴う売掛金回収額の増加と新株予約権の行使による新株発行及び自己株式処分による現預金が主な増加要因となった。負債純資産は、短期借入金が減少した一方で、新株予約権の行使による資本金と資本剰余金が主な増加要因となった。自己資本比率は58.9%と前期末比5.9ポイント上昇した。また、有利子負債は8百万円と前期末比4億2百万円の減少となった。なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が81百万円増加している。

 

キャッシュ・フロー

 

 

21/3期

22/3期

前年比

営業キャッシュ・フロー(A)

2,131

1,162

-969

-45.5%

投資キャッシュ・フロー(B)

87

-80

-167

-192.0%

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

2,218

1,082

-1,136

-51.2%

財務キャッシュ・フロー

-1,247

486

1,733

-

現金及び現金同等物期末残高

4,853

6,463

1,610

+33.2%

*単位:百万円

 

CFの面では、税金等調整前当期純利益の増加やたな卸資産の減少や仕入債務の増加などがあったものの売上債権の増加などにより営業CFのプラスが縮小した。また、投資有価証券の取得による支出の減少などにより、投資CFがマイナスへ転じ、フリーCFのプラスも縮小した。一方、新株の発行による収入や自己株式の処分による収入の増加などにより、財務CFがプラスへ転じた。以上により、期末のキャッシュポジションは前期末比33.2%増加した。

 

(7)トピックス

 

◎ソフトウェア事業
・BankNeoシリーズ新製品の地域金融機関向けCRM「SMART BankNeo」発売(2021/5)
・Office DX -顔認証打刻- 提供開始(2021/10)
・エクスプローラーコンサルティング株式会社との営業生産性向上支援システムの共同開発(2021/10)
・Shopify公認のEC制作会社として「Shopify Experts(エキスパート)」に認定(2022/3)
・「Cloud BankNeo 預り管理」が株式会社セールスフォースジャパン発表の「2021 年人気のあった業種別AppExchange
アプリランキング」で2位入賞(2022/3)

 

◎GAKUEN事業
・大日本印刷株式会社とGAKUEN事業分野で協業開始、大学の教務システムと教科書選定データベースを連動し大学のDX を推進(2021/7)

 

◎医療ビッグデータ事業
・公益財団法人 佐々木研究所附属 杏雲堂病院院長 相馬正義氏および 株式会社データフォーシーズとの新型コロナ
ウイルス情報ダッシュボードサービス提供(2021/4)
・国立情報学研究所とともに、アカデミア研究者向けに傷病情報データの無償提供を開始(2022/1)
・慶應義塾大学および理化学研究所との共同研究結果学会発表(2022/1

 

◎その他
・JAST健康保険組合の設立(2021/7)
・SDGs宣言を策定(2021/7)
・第2回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使完了(2021/9)
・東京証券取引所プライム市場への移行に向けた計画書を提出・公開(2021/11)
・「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定(2022/3)
・ウクライナ人道支援を目的とした寄付実施(2022/3)

 

3.2023年3月期業績予想

(1)通期連結業績

 

22/3期 実績

構成比

23/3期 予想

構成比

前期比

売上高

21,399

100.0%

22,400

100.0%

+4.7%

営業利益

2,000

9.3%

2,120

9.5%

+6.0%

経常利益

2,052

9.6%

2,160

9.6%

+5.2%

当期純利益

1,330

6.2%

1,370

6.1%

+3.0%

*単位:百万円

 

前期比4.7%増収、同6.0%営業増益予想
同社グループは、中長期的な経営の基本方針として、進行年度を含む3事業年度の中期経営計画を毎年策定し、目指す企業イメージ、ブランドイメージ、活躍するフィールドや事業規模などの「ありたい姿」を描き、23/3期においても、当該計画の目標達成に向けた諸施策に取り組んでいく。加えて、同社グループでは、「俊敏・積極的な仕掛けと考動で、成果を出す」の年度方針を掲げ、受託開発型ビジネスでは、最大基盤事業として利益拡大しつつ「共創DX」推進による高付加価値のビジネス領域の拡大を図る。また、GAKUEN及び医療ビッグデータなどの自社ブランド事業では、各事業のブランド力向上とシェア拡大を進めるとともに、新技術・新商材の研究開発及び新事業の立ち上げを図ることで、継続的成長を果たす方針である。
23/3期の会社計画は、売上高が前期比4.7%増の224億円、営業利益が同6.0%増の21億20百万円の予想。売上高営業利益率は、9.5%と前期比0.2ポイント向上する前提。
また、配当は、前期から10円増配の期末50円/株の予定。連結配当性向は、22.4%となる。

 

(2)事業ポートフォリオの再定義

同社は、経営管理・意思決定の精緻化と、より適切な事業価値の開示・報告を目的に成長戦略と整合性のある事業ポートフォリオへ再定義し、23/3期より報告セグメントの変更を行う。ソフトウェア事業の名称を、DX & SI事業へ変更し、SIソリューションサービスとシステム販売で構成する。また、GAKUEN事業の名称を、パッケージ事業へ変更し、GAKUENとBankNeoで構成する。また、ソフトウェア事業の一部であったグローバルを独立させ、新たにグローバル事業を新設する。その他、医療ビッグデータ事業に変更はない。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(3)今後の方針

同社の23/3期の全社方針は、:俊敏・積極的な仕掛と考動で、成果を出すであり、各事業の戦略は以下の通りである。
◎DX & SI事業
◆「共創DX」+「既存SI」で収益基盤の拡大と新事業シーズの創生

 

◎パッケージ事業
◆GAKUEN:「盤石の現有サービス」×「新商材/アライアンス」で文教DXを先導
◆BankNeo:「Smart商材拡大」×「金融DX」で銀行業界全域へ市場拡大

 

◎医療ビッグデータ事業
◆「ビジネスの質・量拡大」×「産学官の多角的連携」で、各サービス分野のトップへ

 

◎グローバル事業
◆「商圏拡大」・「商材充実」・「アライアンス推進」でグループ経営に寄与

 

◎経営管理
◆財務・IR:「資本収益性追求」×「国内外IR強化」で、企業価値・市場プレゼンスを向上
◆人事:「ワークスタイル改革」×「人事・教育施策」×「経営管理DX」で、企業ポテンシャルを最大限に発揮
◆R&D:「研究開発」・「新事業創出」へ向けた積極投資
◆広報:「戦略広報の強化」で、認知度とブランドイメージを最大化
◆サステナビリティ:サステナビリティ経営の推進で、「四方良し」の持続的成長環境を構築

 

(4)投資計画

 

21/3期

22/3期

23/3期計画

DX & SI事業

111

98

減少

パッケージ事業

196

145

増加

医療ビッグデータ事業

50

81

減少

その他

39

110

横這い

研究開発費合計

399

436

減少

*単位:百万円

 

DX & SI事業の研究開発費は、前期比減少の計画。DX & SI事業では、メガソリューション強化、ブロックチェーン技術の商品化研究へ投資する。パッケージ事業の研究開発費は、前期比増加の計画。GAKUENは、X製品強化、周辺ソリューション拡充、卒業生への機能拡充へ投資する。また、BankNeoは、営業支援システム開発、SMART BankNeo機能拡充、クラウド製品開発、大規模銀行向け新製品開発へ投資する。医療ビッグデータ事業は、前期比減少の計画。医療機関向け製品開発、iBss機能拡充へ投資する。その他は、前期比横ばいの計画。新商材開発、新技術研究、産学官共同研究、共創型DXによる商材開発へ投資する。

 

(5)時価総額拡大へ向けた方針

同社は、株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに関して、2022年4月よりプライム市場へ市場変更となった。しかし、同社は移行基準日時点(2021年6月30日)において、流通株式時価総額で当該市場の上場維持基準を充たしていないことから、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成した。今後、業績成長及び株価評価指標向上を意識した各種取り組みを実施し、流通株式時価総額の拡大を目指す。具体的には、需要面において業績成長(26/3期中期計画-売上高300億円、経常利益30億円)を通じてEPSの向上を図るとともに、配当政策、IR活動の機能強化、ブランディング戦略(PR活動)などを通じてPERの向上など株価評価指標の向上を図る。また、供給面おいて流通株式の供給量増加を通じて、流通株式比率の向上を図る方針である。加えて、非流通株の流通株式化や株式分割による流動性の向上や株式優待制度の構築も検討する。

 

4.成長戦略

(1)JAST流DX構想

ワークイノベーション、価値観の変化、5G/6G、Society 5.0などNew Normal社会実現への対応、SDGs/TCFD/ESG、企業のあり方に関する意識の変化など資本市場の変化への対応、2025年の崖、デジタル庁、関係法整備など産業界の変化への対応への要求により社会・生活のDX化が急速に進展している。こうした環境下、同社は本業・経営管理のDX推進活動を余さず活用し、事業発展・生産性向上・市場価値向上の循環構造を構築する。

 

JAST流DX構想

本業DX

経営管理DX

・DX & SI事業:共創DX

・GAKUEN事業:文教DX

・BankNeo事業:金融DX

・医療ビッグデータ事業:医療DX

・新規/派生事業:共創DX等

・データ利活用による健康経営

・New Normalを先導するオフィスDXとワークスタイル整備

市場価値・CI

・東証プライム市場への安定定着

・SIerから「未来を、仕掛ける。」DXer へ

・サステナビリティへの取り組み

 

(2)DX & SI事業

DX & SI事業は、事業ポートフォリオを再定義し、安定成長基盤の維持拡大と高付加価値ビジネスを推進する。
顧客DXに伴走し、企画推進のコンサルティングを実施する他、ビジネスエコシステムを構築する。また、50年間培ったSIビジネスにおける開発手法・フレームワークをJASTメソッドとしてブランド化し、高付加価値化と市場競争力強化を図る。

 

業務内容

方針

22/3期実績

売上構成比

26/3期目標

売上構成比

サービス

【高付加価値】

・データ収集・利活用・分析支援

・クラウドを活用した基盤構築から運用保守までワンストップで提供

23%

40%

ソリューション

・新規ビジネス立ち上げ

・高粗利大規模ビジネスの構築

・SAP/SFDCなどメガソリューション

・ビジネスを展開

7%

12%

SI

【安定市長基盤】

・最大売上基盤として、既存顧客を中心としたSIビジネスの維持・拡大

・最小限の上級SEで推進可能なSIプロジェクトの仕組みを構築

70%

48%

(同社決算説明会資料を参考に㈱インベストメントブリッジが作成)

 

(3)GAKUEN(パッケージ事業)

GAKUENは、トップブランドとしての基盤を土台に、新規サービスで対象市場を拡大する。まず、DX技術を駆使した現有ビジネス拡大による安定的業績成長を実現する。同時に、JAST-X-Tech(JASTブランド横断ソリューション)、プラットフォームビジネス、データ利活用ビジネス、アライアンス拡大、事業領域拡大(卒業生、社会人、初・中等教育)などの新規ビジネスにおいて次世代GAKUENの土台を形成する。更に、生涯学習、マーケティング支援、教育、出版・メディア、地域サービスなどITにとどまらないサービスへGAKUENを展開する。

 

(4)BankNeo (パッケージ事業)

BankNeoは、スマート、ニッチ、クラウドをコンセプトに新規ソリューションを継続リリースする。また、独自商材で対象市場を拡大し、地域に貢献する金融DXerへ進化する。まず、協業による販路拡大、SMART BankNeoの機能拡張と拡販、非対面チャネル、事務効率化機能強化などを通じて、CRMベースの事業拡大を図る。また、安価で導入が容易で拡張性の高いソリューションを継続的に創出し、国内全金融機関への導入を目指す。更に、金融機関のクラウド化を後押し、既存ユーザーとタイアップし新製品を企画するとともに、営業支援・CRMの導入やデータ利活用で、地域特性と課題に沿った銀行のビジネス変革を支援することを通じて、金融DXによる業界および地域の活性化に貢献する。

 

(5)医療ビッグデータ事業

医療ビッグデータ事業は、圧倒的レセプト処理数と保険者プラットフォームを武器に保険者DXのトッププレイヤーとなる。JMICS(レセプト自動点検システム)は、全保険者対応型点検モデルの完成、データ分析、保健事業コンサルティング強化を通じて、国内トップのデータプロバイダへ育成する。iBss(保険者業務BPR/BPOシステム)は、商材ラインナップ拡充、認知・ユーザー数拡大、プラットフォーム化を通じて、国内トップの保険者プラットフォームへ育成する。また、データ利活用のビジネスモデル構築、新サービス・市場拡大、M&A/アライアンスを通じて、保険者DXのトッププレイヤーを目指す。更に、健康経営、製薬業界と医療機関、D2Cビジネスなども提供する総合医療DXサービスへ進化させる。

 

(6)グローバル事業

ASEANでは、M&Aと新拠点設立などを通じ共通商材化、新商材の獲得を目指し、中国ではローカル向けビジネスおよびJASTとの連携を強化する。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(7)M&Aとグループ拡大戦略

同社は、従来から単体の成長に加え、継続的にM&Aを活用し業績を拡大している。今後も同業種・他業種にJASTの IT技術を掛け合わせた国内新マーケットの創出に加え、商材・エリアの拡大、シナジー効果の創出を意識した国内外におけるM&Aを推進する。

 

 

(8)R&D・事業創出

新事業開発部門がR&Dから収益化までワンストップで推進し、事業化スピードアップとノウハウ・技術の現業部門への横展開を目指す。新事業開発部門は、全社へ新技術を展開する。R&Dの段階における新技術研究は、事業部へ知見が展開される。また、事業化推進の段階では、社員のイノベーションの触発を目的に、ビジネスコンテストやビジネスモデル勉強会が開催される。更に、収益化の段階では、拡販ブランディングがなされ、事業部へ移管される。人材データプラットフォームmieHR、社内キャッシュレス決済、Office DX −顔認証打刻−は、現在拡販ブランディングの段階にある。

 

(9)ビッグデータを活用したアライアンスと共同研究

JASTの保有データを最大限活用し、新規商材創出とJASTの企業価値向上を狙う。JASTは、JMICSとiBss経由でREZULTへ集められた700万人超のメディカルデータを有する。これらデータはMDP※を通じてアライアンス先に提供され共創型DX商材開発のスピードアップに貢献する。更にこれらデータは、産学官連携や研究機関との共同研究に活用され、論文、知見の発表、新技術、新商材の創出、疾病予測モデル開発などのアウトプットを通じて、ヘルスケアの課題解決とデータの価値向上に貢献する。
※MDPとは「メディカルビッグデータ」「セキュアな研究環境」「JASTのデータアドバイザー」をワンパッケージとした共創DX環境を提供。協業先企業のDX活動及び研究推進を支援するサービス。

 

(10)新領域への適応とアライアンス戦略

今後もアライアンスを含め新たな領域へ適応を拡大する。ターゲットとなる新領域は多方面に渡わたる。積極的な研究開発とアライアンス戦略で次なる成長ドライバを加速的に生み出していく。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(11)サステナビリティ経営

持続成長へ向けた企業活動を、適切な開示により各ステークホルダへ訴求する。

SDGsの取り組み一覧

重要課題

事業分野

内容

SDGsテーマ

産業とICTの

イノベーション

同社事業

全般

◆情報化の創造・提供による社会貢献

◆産業構造の変革をICTでサポート

◆共創・共同体制の構築、エコシステムの変革に貢献

9.産業と技術革新の

基盤をつくろう

ICTを活用した学習活動のサポート

GAKUEN

◆大学の未来を創るトータルソリューションの提供

◆ICTを活用した質の高い授業支援、テクノロジーを活用した教育

◆教育ビッグデータ活用による教育の質向上支援

◆リカレント教育(生涯学習)環境の実現

4.質の高い教育を

みんなに

9.産業と技術革新の

基盤をつくろう

 

医療費の適正化と

健康増進への貢献

医療ビッグ

データ事業

◆医療ビッグデータの活用による重症化予防や適正医療への貢献

◆アカデミア等との共同研究を通じた感染症などの疾病、医療問題への取り組み

3.すべての人に健康と

福祉を

9.産業と技術革新の

基盤をつくろう

健康経営への

取り組み

健康経営

◆「健康経営」の推進

◆定期健康診断・人間ドックの受診促進

◆長時間勤務撲滅

◆コミュニケーション促進に向けた取り組み(イベント等)

◆コロナ禍における心身の健康増進

3.すべての人に健康と

福祉を

8.働きがいも経済成長

学びの機会提供

育成・教育

◆社内研修制度の充実(社内認定資格の運用等)

◆インターンシップ(学生向けにシステムエンジニアの職業体験を提供)

◆システム開発を通じた教育・学習支援

4.質の高い教育を

みんなに

ダイバーシティ

への取り組み

採用・処遇

◆人種・国籍・性別等にとらわれない採用と公正な処遇

◆多様な働き方を支える社内諸制度

5.ジェンダー平等を

実現しよう

8.働きがいも経済成長

10.人や国の不平等を

なくそう

環境負荷の低減

経営管理全般

◆オフィスDX推進によるペーパーレス化への取り組み

◆オフィスやデータセンター等での環境問題対策への取り組み

7.エネルギーをみんな

にそしてクリーンに

13.気候変動に具体的

な対策を

(同社決算説明会資料を参考に㈱インベストメントブリッジが作成)

 

CSRへの取り組み一覧

ISO26000における中核課題

JASTの取り組み

組織統治

◆コーポレート・ガバナンスの強化

◆内部統制システムの継続的運用・改善

◆リスク管理体制の確立

◆ステークホルダーとの対話

人権

◆人権の尊重・差別の禁止

環境

◆ISO14001に準拠したマネジメント活動

◆オフィスの省エネ化推

労働慣行

◆ワーク・ライフ・バランスの推進

◆ダイバーシティの推進

◆労働安全衛生委員会による定期的な改善活動

◆健康経営への取り組み

公正な事業慣行

◆法令順守意識の醸成(定期的な意識向上教育)

消費者課題

◆ISO9001および個人情報保護マネジメントシステム(Pマーク)の認証取得

コミュニティへの参画および

コミュニティの発展

◆地域清掃活動

◆ベルマーク、エコキャップ収集活動

◆寄付(金銭・物品)

◆ボランティア活動(被災地支援)

(同社決算説明会資料を参考に㈱インベストメントブリッジが作成)

 

5.今後の注目点

例年同社の受注残高は上期末の9月近辺まで積み上がり、その受注残高が下期の売上に計上され、期末である3月末にかけ9月末比で減少する傾向がある。しかし、22/3期末はソフトウェア事業の受注残高が伸長し、2021年9月末を若干上回る同水準となり、かつ、21/3期末比でも12.6%増加している。豊富な受注残の消化により、23/3期の上期は好調な売上高の推移が期待される。こうした一方で、好調なソフトウェア開発の受注は、不採算プロジェクトの発生による収益性の悪化につながることも多い。好調な受注残を売上高の拡大へ結び付けることができるのか、また、プロジェクト管理の徹底により高い収益性を確保できるのか、続く23/3期上期の業績動向が注目される。加えて、下期の売上に大きな影響を与える2022年9月末の受注残を22/3期末以上に積み上げることができるのか注目される。
また、販売が好調に推移しているGAKUENとBankNeoでは、現状の市場における新規顧客の開拓のみならず、新規サービスの提供による新たな対象市場の創出を計画している。更に、新技術研究の早期の事業化やM&Aとともに、アライアンスと共同研究を通じた新規商材の創出を積極的に実施する方針である。収益性の高い自社パッケージ商材の販売拡大は、同社の成長力の加速に直結する。今後のGAKUENとBankNeoの販売動向に加え、新たな自社パッケージ商材の事業化の進捗が注目される。
更に、22/3期の医療ビッグデータ事業のセグメント利益率が13.6%と前期比で7.2%上昇したことに驚かされた。19/3期までは赤字基調の事業であったが、本格的な回収期にさしかかった可能性が高い。先行投資ステージは終わり、売上高の増加が利益の増加に結び付きやすい局面となった。23/3期の研究開発費も前期比で減少する見込みである。今後の医療ビッグデータ事業の収益性にも期待を込めて注目していきたい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2022年6月29日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【原則1-2.株主総会における権利行使】

 <補充原則1-2-4>

機関投資家、海外投資家を含め株主が議決権を行使しやすい環境作りに取り組んでまいります。当社では、2020年6月開催の定時株主総会より、インターネットによる議決権電子行使ができる環境を整備いたしました。なお、現在、株主名簿管理人の電子投票システム及び議決権電子行使プラットフォームを利用しております。

 また、招集通知の英訳に関しては、招集通知及び参考書類について英訳対応を行っておりますが、近年海外投資家の比率が上昇していることから、英訳範囲のさらなる拡大を検討してまいります。なお、海外投資家に会社状況を理解していただくべく、決算短信及び主要な開示事項の英訳版について、当社ホームページに掲載しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

政策保有株式に関する方針及びその議決権行使についての基準は以下のとおりであります。

・政策保有に関する方針

当社は株式の持ち合いは行わないことを原則としております。業務提携その他経営上の合理的な理由から株式を保有する場合には、目的に応じた保有であることを定期的に確認いたします。

・政策保有株式の保有の適否の検証

取締役会で個別の政策保有株式について、保有目的の適正性、保有に伴う利益およびリスクが資本コストに見合っているか等を年1回精査・検証いたします。

・政策保有に係る議決権の行使についての基準

政策保有株式に係る議決権行使についての具体的な判断基準は、政策保有先の中長期的な企業価値向上の観点から当該企業の経営状況等を勘案し、議決権行使助言会社の基準も参考に、株主全体の利益につながるか否かを判断して、各議案について適切に議決権を行使いたします。

【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】

<補充原則2-4-1>

現状、中核人材の登用等において目標値は設定しておりませんが、当社では従来より、採用において、人種・国籍・性別等による区別は一切行っておらず、処遇面でも差異を設けておりません。なお、提出日現在、当社の管理職に占める中途採用者の割合は約22%となっており、中途採用を積極的に行っていることから、今後も当割合は増えていくと考えております。

また、男女隔てなく取得できる育児休暇制度、遠方からの採用者に配慮した寮制度、定年後雇用制度、再就職雇用制度等、多様な働き方を可能とする社内制度を整備しております。これらは多様性の確保に資するものと考えております。

<補充原則3-1-3>

当社は、サステナビリティについての取り組みを重要な経営課題として認識しています。また、国連が提唱する「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に貢献するため、SDGs宣言を策定、公表しております。

当社では、「情報化の創造・提供による社会貢献」を企業理念とし、お客様、株主の皆様、社員、社会の「四方良し」実現に向けて取り組んでおります。また、当社が掲げてきた経営理念・企業理念体系は「持続可能な社会」の実現につながるものであり、ICTサービスやソリューションの創造・提供という当社の事業そのものが複雑化する社会課題の解決に貢献していると考えております。

また、当社では従来よりCSRの取り組みとして、本業を通じた国際規格ISO26000の7つの原則および7つの中核主題への取り組みを経営に組み込んでいます。さらに、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001を取得し、継続的にPDCAサイクルを回しており、当社の重要課題についても、当PDCAサイクルの中で継続、改善してまいります。加えて、当PDCAサイクルの中で、TCFD提言の枠組みに沿って気候変動に係るリスク及び収益機会の特定を実施してまいります。

なお、当社の重要課題とSDGsの関わりについては、当社ウェブサイトをご覧ください。

(https://www.jast.jp/corporate/sdgs/)

また同時に、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、上記ウェブサイト等で分かりやすく具体的に情報を開示・提供するよう努めてまいります。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、株主との建設的な対話を通じ、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するように努めております。株主との建設的な対話を促進するための体制整備に関し、株主との対話を統括する役員としてIR担当部門、経営企画部門を統括する役員を指定し、株主との対話を補助する各部門間の情報共有を正確かつ確実に行ってまいります。また、決算説明会や個人投資家向け説明会を通じ、代表取締役自身が株主と直接対話する場を設けております。なお、株主との対話に際しては、インサイダー情報の漏洩防止に努めております。

 

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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