ブリッジレポート
(7042) 株式会社アクセスグループ・ホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(7042)アクセスグループ・ホールディングス 2022年9月期決算

ブリッジレポートPDF

 

木村 勇也 社長

株式会社アクセスグループ・ホールディングス(7042)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

サービス業

代表者

木村 勇也

所在地

東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館15F

決算月

9月

HP

https://www.access-t.co.jp/index.html

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

745円

1,213,525株

904百万円

2.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

-14.22

-

374.08円

2.0倍

*株価は11/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*23/3月期の配当金予想は無配を予定。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年9月(実)

4,560

58

38

2

1.82

29.50

2020年9月(実)

3,789

-171

-189

-310

-258.79

0.00

2021年9月(実)

3,283

-226

-246

-429

-358.09

0.00

2022年9月(実)

3,683

54

38

11

9.18

0.00

2023年3月(予)

1,830

0

-14

-17

-14.22

0.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。
*23/3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算。
*23/3月期の配当金は無配を予定。

 

(株)アクセスグループ・ホールディングスの2022年9月期決算の概要について、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年9月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/9期は前期比12.2%の増収、54百万円の営業利益(前期は2億26百万円の営業損失)。全てのセグメントにおいて売上高が前年同期比で増加したことにより、各段階利益が黒字に転じた。売上面では、キャンペーン事務局代行、Webプロモーション、官公庁事業受託が伸長した他、ワクチン会場運営以外の官公庁事業も堅調に推移したプロモーション支援事業の増加が大きくなった。損益面では、合理化の推進で収益性が大きく改善した採用支援事業の損益改善効果が大きくなった。

     

  • 23/3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算となる。23/3期の会社計画は売上高が18億30百万円、営業利益が0百万円(前期第二四半期は69百万円の営業損失)の予想。売上集中期前に期末を迎えることを考慮した業績予想であり、本格的な利益の増加は24/3期からとなる見込み。好調な事務局・業務代行案件を中心に売上高が増加する見込みである。事業拡大に向けた投資を想定し、販管費は微減を予定。売上高が集中期ではない6ヵ月での営業黒字化を目指す。また、23/3期の配当予想は、自己資本の積み増しによる財務体質の改善を優先し無配を予定。

     

  • 同社は23/3期の重点施策として、①業務代行機能・事務局機能の効率化と拡大、②大学との連携の深化、③提携による新規・既存事業の拡大、④コロナ特需を足掛かりにした公的案件の取引拡大、⑤財務面の強化と企業価値の向上の5つを掲げている。各事業セグメントにおいて、今後実施される具体策の進捗状況が注目される。売上高が集中期ではない6ヵ月において果たして営業黒字を達成できるのか注目したい。

     

1.会社概要

「わたしたちは、人や社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造します」を経営理念とし、広報戦略から運営支援に至るまで、様々な形で企業や教育機関を支援している。事業は、販促プロモーション、プロモーション業務支援などを行うプロモーション支援事業と、新卒・若年者採用支援、人材紹介・ダイレクトリクルーティング、採用業務アウトソーシングなどを行う採用支援事業、学生・生徒の募集支援、教育機関運営に係る各種サポートなどを行う教育機関支援事業の3事業に分かれる。グループは同社の他、プロモーション支援事業を手掛ける(株)アクセスプログレス、採用支援事業と教育機関支援事業を手掛ける(株)アクセスネクステージの子会社2社。

 

(同社決算説明資料より)

 

【経営戦略】
現在の経営環境を踏まえ、以下の経営戦略で事業を展開している。
① 連合企画・個別案件の複合的アプローチによるクライアントの開拓
② アナログ・デジタル・モノを融合したフレキシブルな提案力の拡大
③ 多様化したニーズに応える業務代行・事務局機能の強化
④ 外国人留学生分野等、教育機関のニーズを広範に捉えたビジネスの拡大

 

また、事業拡大に向けて、以下の課題に優先的に取り組む。
① 業務代行・事務局機能の効率化と拡大
プロモーション支援事業を営む株式会社アクセスプログレスが保有する業務推進センターでは、広告広報に関連する印刷、発送代行、テレマセンター、データ管理、保管業務等の各種業務代行を請け負っている。近年、キャンペーン事務局運営代行業務を始めとして、業務推進センターが提供する機能を複合的に組み合わせた総合的支援案件の受託機会が拡大している。また、採用支援事業においても、売り手市場による応募数減少に加え、多様化する募集手法の選定やその運用工数の増加などにより、採用業務代行の引き合いが増加。これに対応するため、デジタルツールの積極的な導入による作業の効率化をはじめ、社員の適正な配置を進めることにより、受託体制を強化し、業務代行案件の拡大を図っていく。

 

② 大学との取引深化による進学・就職領域の事業拡大
教育機関支援事業において大学の入試広報部門との取引を拡大してきただけでなく、採用支援事業において大学キャリアセンター(就職部門)や国際部門とも取引や連携を重ねてきている。長年の実績により、大学から継続取引をしており、DXによる入試面接サポートや父母会の運営効率化、寄付金募集活動の活性化に向けた同窓会組織のPRやスポーツ振興領域など、多岐にわたる相談も寄せられ、実績にもとづいた引き合いも増加している。今後も、大学を中心とした取引基盤を活かし、教育機関支援・採用支援の両面で事業の拡大を進める。

 

③ 業務提携による新規・既存事業の拡大
積極的に他社との業務提携の可能性を模索し、他社の事業とのシナジーを創出することで、新規事業の開始や既存事業の拡大を図っていく。営業機会拡大と相互支援を目的とした協業は多岐に及んでおり、プロモーション支援事業ではレンタル事業やデジタル広告分野に本格的に参入している。採用支援事業では複数のダイレクトリクルーティングサービス会社と連携した営業展開を行っているほか、若手のアスリート人材、DX人材を紹介するための提携を行っている。
その他、外国人留学生・外国人材分野でも複数社と連携して協業を実施。過去に培ったノウハウと他社の事業を組み合わせることで、収益基盤安定化とブランド力の強化を図る。

 

④ 公的施策や官公庁・自治体取引拡大への対応
これまでの自社企画や公的機関案件等を通じて、イベント準備や運営、業務代行等のノウハウを有しており、これをさらに強化して、継続して複合的な案件の獲得を目指す。
採用支援事業と教育機関支援事業では、以前より官公庁や外郭団体からの受託実績があり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、ワクチン接種会場の準備と運営代行、PCR検査会場運営代行などを受託し、自治体やその関連企業との取引が増加した。現在はその実績を足掛かりにして、他の公的施策関連の取引が増加かつ大口化しており、今後も公的案件の取引の拡大を図る。

 

 

【収益モデル】

連合企画
1つのイベント・WEBサイト等で、複数のクライアントから出展・出稿を募集。広告枠を小口化することで、クライアントが出展しやすくなるとともに、スケールメリットにより広告訴求力が増加する。

 

(同社決算説明資料より)

 

個別案件
クライアント個別のニーズに応じて、営業員が最適な商材やソリューションを選別して提案・受託する。各種広告物の制作や業務代行を請け負う案件が主体となっている。

 

(同社決算説明資料より)

 

 

【事業内容】

事業は、(株)アクセスプログレスの事業であるプロモーション支援事業、(株)アクセスネクステージの事業である採用支援事業及び教育機関支援事業に分かれる。同社は、21/9期第2四半期連結累計期間より、報告セグメントの名称を「プロモーション事業」より「プロモーション支援事業」に、「採用広報事業」より「採用支援事業」に、「学校広報事業」より「教育機関支援事業」に、それぞれ変更を行った。

 

◎プロモーション支援事業 : (株)アクセスプログレス
プロモーション支援事業は企業の販促プロモーションからアウトソーシングまで豊富な商材とノウハウでトータルサポートを提供している。広告代理店、自治体・公的・共済、住宅・不動産、CATV、自動車、外食・小売、旅行・宿泊関連などの法人が取引先。キャンペーン事務局は、SNSキャンペーン、Webキャンペーン、郵送・店頭キャンペーンなど様々なメニューをワンストップで受託する。業務アウトソーシングは、時流を踏まえた市況ニーズを取り込み、受託案件を中心とした連携強化により新案件を増大させている。「業務推進センター」は、キャンペーン機能、発送代行、デザイン、印刷、テレマを内製しており、2022年3月に大阪吹田市にも新設を行った。更に、位置情報活用型DSP広告、CRMツール、動画制作/配信等のデジタル商材も提供している。

 

(同社決算説明資料より)

 

◎採用支援事業 : (株)アクセスネクステージ
採用支援事業は、学生・若年層を対象に「人と企業のベストマッチング」による雇用の場を創出し、多様化する採用ニーズに合わせて、取り扱い内容を拡充している。ノウハウをもとに広く採用を支援している。大手企業(人事部)、中堅中小企業(人事部)、
大学(キャリアセンター)、官公庁・自治体(東京都等)などが取引先。採用へ直結する自社メディアによる採用マッチング企画を行うとともに、ダイレクトリクルーティング運用代行、採用業務全般アウトソーシング等の採用関連の各種サポートや入社案内、採用HP、入社案内、映像、インターンシップコンテンツ等のクリエイティブ制作などの採用業務代行・広報を行っている。更に、
社内キャリアアドバイザーが、さまざまな角度から学生を支援し、企業との橋渡しを行う新卒・若年層を対象とした人材紹介や企業の採用ターゲットと合致した学生を説明会や選考等に動員する送客サービスなどの人材紹介も手掛けている。

 

(同社決算説明資料より)

 

◎教育機関支援事業 : (株)アクセスネクステージ
教育機関支援事業は、教育機関の運営・発展のための総合プロデュース企業として、デジタル・アナログ・モノを融合、教育機関をトータルで支援している。大学・大学院・短期大学・専門学校、中学・高校、官公庁、各種団体、日本語教育機関、塾・民間教育機関などが取引先。 国内受験生向けや外国人留学生向けに自社メディアによるマッチング企画を行うとともに学校案内、Web、動画、ノベルティ、各種ツール等のクリエイティブ制作や進学説明会支援、オープンキャンパス運営、入試支援、公的機関からの受託等の学生募集(国内・海外)と運営代行を行っている。更に、在学生や卒業生を対象とするWeb面談システム「AEOS」、寄付・募金支援、スポーツ振興、同窓会、校友会支援等や日本語教育機関に対する情報収集とPR活動で外国人留学生募集を成功へ導く外国人留学生支援も手掛けている。

 

(同社決算説明資料より)

 

【事業推移】

*23/3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算。

 

2.2022年9月期決算概要

(1)連結業績

 

21/9期 

構成比

22/9期 

構成比

前期比

売上高

3,283

100.0%

3,683

100.0%

+12.2%

売上総利益

1,382

42.1%

1,546

42.0%

+11.9%

販管費

1,608

49.0%

1,491

40.5%

-7.3%

営業利益

-226

-

54

1.5%

-

経常利益

-246

-

38

-

-

親会社株主帰属利益

-429

-

11

-

-

* 単位:百万円

 

前期比12.2%の増収、54百万円の営業利益(前期は2億26百万円の営業損失)
売上高は前期比12.2%増の36億83百万円。プロモーション支援事業では、キャンペーン事務局代行、Webプロモーション、官公庁事業受託が伸長したことに加え、ワクチン会場運営以外の官公庁事業も堅調に推移し、売上高が大幅に増加した。採用支援事業では、対面型企画が復調し、採用業務代行、新卒紹介も伸長した他、多様化した就活サービスのコンサルと採用業務代行の需要増加への対応が奏功し売上高が増加した。教育機関支援事業でも、大学を中心に入試広報以外の取引が拡大しWebプロモーション施策も牽引した他、入国規制緩和を受けた外国人募集ニーズも下半期から回復基調となり売上高が増加した。
営業利益は54百万円(前期は2億26百万円の営業損失)。プロモーション支援事業では、取引の大口化が顕著となり売上総利益率は低下したものの売上総利益が増加し、新規開設したキャンペーン事務局の開設費用も吸収し、営業黒字となった。採用支援事業では、対面型企画の復調し高利益率の新卒紹介と利益額の大きい業務代行案件が貢献した他、合理化の推進で収益性が大きく改善し、営業黒字を達成した。一方、教育機関支援事業では、グループ全体で人員配置の最適化を実施し、前期より人件費が増加し、会社計画を上回ったものの営業利益が減少した。連合企画よりも相対的に利益率が低い個別案件を中心に売上高が増加したことにより売上総利益率は、前期比0.1ポイント低下の42.0%となった。フォーラム合理化に関係する移転・原状回復費用などを計上したものの、経費の抑制に努め販管費を前期比で1億17百万円圧縮したことにより、売上高対販管費率は前期比8.5ポイント低下の40.5%となった。また、フォーラム縮小・閉鎖費用として賃貸借契約解約損を39百万円計上したものの、固定資産売却益を15百万円計上したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益も黒字へ回復した。

 

下期業績の推移

 

22/9期下期(4-9月)は、前年同期比で増収増益となり、営業利益の黒字化が図られた。
同社の業績は、採用支援事業において、就活関連の企画実施やアウトソーシング業務、人材紹介等が増加する第2四半期から第4四半期に売上が集中し、教育機関支援事業においては、教育機関のプロモーション活動が増加する第3四半期から第4四半期にかけて売上が集中する季節性ある。

 

経営合理化による影響
経営資源の効率化と成長分野への投資を目的として、経営合理化に着手し、「アクセスフォーラム」の縮小(渋谷)と閉鎖(名古屋駅前)、オフィス移転を実施した。
販管費において、「アクセスフォーラム」の原状回復費用を計上した。営業外損益では、役員を被保険者とする生命保険の解約により営業外収益を計上するとともに、東京本社の一部と名古屋支社の移転費用を営業外費用で計上した。また、特別損益では、財務体質の改善強化を目的に、遊休資産を処分し特別利益を計上するとともに、名古屋支社の賃貸借契約解除による解約違約金を特別損失で計上した。スペースの原状回復費用、移転費用を当期の販管費に計上したため営業利益が減少したものの、移転費用を除いた営業利益では、概ね会社計画通りの着地となった。経営合理化による固定費の減少は、年間約1億円程度となる見込みである。

(2)セグメント別動向

 

21/9期

構成比・利益率

22/9期

構成比・利益率

前期比

プロモーション支援事業

1,238

37.7%

1,481

40.2%

+19.7%

採用支援事業

1,015

30.9%

1,100

29.9%

+8.3%

教育機関支援事業

1,029

31.4%

1,101

29.9%

+7.0%

連結売上高

3,283

100.00%

3,683

100.00%

+12.2%

プロモーション支援事業

-60

-

32

2.2%

-

採用支援事業

-225

-

11

1.0%

-

教育機関支援事業

45

4.4%

35

3.2%

-22.3%

調整額

14

-

-24

-

-

連結営業利益

-226

-

54

1.5%

-

* 単位:百万円
* 同社は、21/9期第2四半期連結累計期間より、報告セグメントの名称を「プロモーション事業」より「プロモーション支援事業」に、「採用広報事業」より「採用支援事業」に、「学校広報事業」より「教育機関支援事業」に、それぞれ変更を行った。

 

 

 

 

プロモーション支援事業
売上高14億81百万円(前期比19.7%増)、セグメント利益32百万円(前期はセグメント損失60百万円)。
キャンペーン事務局を中心とした事務局代行の受託を中心に大きく伸長した他、新型コロナウイルス関連の事務局運営等を中心に受託事業も順調に進んだことから、自治体・公的機関・共済分野を中心に堅調に推移した。デジタル関連商材も概ね会社計画通りに推移したした結果、売上・利益共に前期を大幅に上回り、セグメント利益を確保した。顧客業種別売上高は、広告代理店4億88百円(前期比25.4%増、構成比32.9%)、ケーブルテレビ1億40百万円(同4.5%増、同9.5%)、住宅・不動産1億24百万円(同7.5%減、同8.4%)、その他7億29百万円(同25.7%増、同49.2%)。

 

採用支援事業
売上高11億円(前期比8.3%増)、セグメント利益11百万円(前期はセグメント損失2億25百万円)。
ダイレクトリクルーティングの運用代行、官公庁からの受託を含む雇用関連イベント運営関連の個別案件が堅調に推移した他、新卒向け人材紹介が大きく増加した。また、来年度入社を対象にしたマッチング企画の引き合いが多く、企画を拡大して実施したことが利益面に貢献し、販管費の削減も奏功し、前期を上回りセグメント利益を確保した。
収益モデル別売上高は、個別案件7億61百万円(前期比36.1%増、同69.2%)。連合企画3億39百万円(同25.7%減、構成比30.8%)。

 

教育機関支援事業
売上高11億1百万円(前期比7.0%増)、セグメント利益35百万円(前期はセグメント利益45百万円)。
特に個別案件が拡大した。引き続き、デジタル関連広告が売上を牽引した他、教育機関の職域接種運営代行や寄付・募金関連プロモーションが牽引し、前期を上回った。また、外国人留学生募集関連では、外国人の新規入国制限の緩和措置により、高等教育機関における学生募集広報のニーズが回復基調となった。グループの合理化による人員配置の適正化により人件費が増加し、利益面では前期比減少したものの、売上・利益ともに会社計画通りに推移した。収益モデル別売上高は、個別案件8億87百万円(同10.5%増、同80.6%)。連合企画2億14百万円(同5.3%減、構成比19.4%)。

 

(3)事業モデルの変化

コロナウイルス感染拡大による行動変容で、デジタル化が急速に進展している他、デジタル広告は商品や運用が多様化し、選択と運用の手間が企業の負担となっている。また、行動制限緩和により対面型も回復するとともに、複雑な業務を外注するBPO市場の拡大が加速している。こうした社会環境の変化に対応し、同社グループでは事業モデルの変化を推進し、「広告」「広報」の枠に捉われない取り組みで事業領域の拡大を図った。具体的には以下の取り組みがあげられる。

 

◆業務代行モデルへの注力
既存の自社商材やデジタル商材と業務代行を掛け合わせた総合型提案を拡大した。
◆合理化と増強施策
自社スペース「アクセスフォーラム」を合理化した。東京本社の一部と名古屋支社のオフィスを移転したことで、今後固定費が削減される。その一方で、事務局機能を追加で開設し、注力分野であるBPO市場の体制を強化した。
◆連携ネットワークの強化
ワクチン接種会場運営代行を足掛かりに官公庁からの受託案件の増加を図った。

 

(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

21年9月

22年9月

 

21年9月

22年9月

現預金

2,257

1,405

仕入債務

205

223

売上債権

403

454

短期有利子負債

1,823

1,132

たな卸資産

40

87

流動負債

2,119

1,478

流動資産

2,877

2,067

長期有利子負債

364

215

有形固定資産

-

6

固定負債

573

410

無形固定資産

-

12

純資産

434

453

投資その他

248

255

負債・純資産合計

3,128

2,342

固定資産

248

274

有利子負債合計

2,187

1,347

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

22年9月末の総資産は、前期末比7億85百万円減少の23億42百万円となった。資産面では、現預金、未収入金などが主な減少要因となり、売上債権、無形固定資産、差入保証金などが主な減少要因となった。負債・純資産面では、短期有利子負債と長期有利子負債などが主な減少要因となり、仕入債務、未払消費税などが主な増加要因となった。22年9月末の自己資本比率は19.4%と前期末比5.5ポイント上昇した。その他、総資産の約88%を流動資産が占めるなど、資産の流動性が高い。

 

キャッシュ・フロー

 

21/9期 

22/9期 

前期比

営業キャッシュ・フロー

-436

-20

415

-

投資キャッシュ・フロー

56

269

213

+377.1%

フリー・キャッシュ・フロー

-379

248

628

-

財務キャッシュ・フロー

-256

-831

-574

-

現金及び現金同等物の期末残高

1,687

1,105

-582

-34.5%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
費用項目の▲は費用の増加を示す。

 

CFの面から見ると、税金等調整前四半期純利益、未払消費税等、仕入債務の増加などにより営業CFのマイナスが縮小した。また、定期預金の預入の減少などにより投資CFのプラスが拡大し、フリーCFがプラスへ転じた。一方、長期借入金の減少などにより財務CFのマイナスが拡大した。この結果、期末のキャッシュ・ポジションが低下した。

 

3.2023年3月期業績予想

(1)連結業績

 

22/9期 

上期実績

構成比

23/3期 

会社予想

構成比

前期比

売上高

1,660

100.0%

1,830

100.0%

+10.2%

売上総利益

683

41.2%

740

40.4%

+8.3%

販管費

752

45.3%

740

40.4%

-1.7%

営業利益

-69

-

0

-

-

経常利益

-83

-

-14

-

-

親会社株主帰属利益

-85

-

-17

-

-

*単位:百万円
*事業年度の変更に伴い、2023年3月期は6ヵ月決算。前期比は2022年9月期第2四半期との比較

 

前期比10.2%の増収、営業利益0百万円(前期は営業損失69百万円)
23/3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算となる。採用支援事業の市場環境における新卒採用活動時期の早期化・通年化と教育機関支援事業の取引先である教育機関の予算執行時期を勘案し、事業年度末日を3月31日に変更することが、事業運営上合理的と判断したものである。
22/3期の会社計画は売上高が前期比10.2%増の18億30百万円、営業利益が0百万円(前期は69百万円の営業損失)の予想。売上集中期前に期末を迎えることを考慮した業績予想であり、本格的な利益の増加は24/3期からとなる見込み。好調な事務局・業務代行案件を中心に売上高が増加する見込みである。事業拡大に向けた投資を想定し、販管費は微減を予定。
売上総利益は前期比8.3%増加する見込み。売上総利益率は、前期比0.8ポイント低下の40.4%の前提。事業拡大に向けた投資を見込むものの販管費が同1.7%減少し、売上高販管費比率は前期比4.9ポイント低下の40.4%となる計画。売上高が集中期ではない6ヵ月での営業黒字化を目指す。
また、23/3期の配当予想は、自己資本の積み増しによる財務体質の改善を優先し無配を予定。

 

 

売上高が集中期ではない6ヵ月となる上期(10-3月)は、過去3年連続営業赤字であった。

 

 

(2)今後の戦略・成長ビジョン

業務代行・事務局代行の機能を強化し、提案と実行までをサポートする。

プロモーション支援事業

◆①デジタル、②キャンペーン事務局代行、③官公庁受託事業を成長領域として成長へ

◆新商材投入と業務代行機能を組み合わせ複雑な案件を内製化

採用支援事業

◆対面型企画は高収益性のみに集約

◆採用業務代行・運用代行の強化

◆市場ニーズの高い新卒紹介に注力

◆大学キャリアセンターとの連携

教育機関支援事業

◆外国人留学生募集支援の拡大

◆大学の募金・校友課・同窓会・父母会、資格試験団体、教育関連企業等、大学広報部門以外の取引推進

 

重点施策

◆業務代行機能・事務局機能の効率化と拡大

◆大学との連携の深化

◆提携による新規・既存事業の拡大

◆コロナ特需を足掛かりにした公的案件の取引拡大

◆財務面の強化と企業価値の向上

 

(3)財務面の強化と企業価値の向上について

同社は、現状の株価水準は低く、今後株価向上が重要な経営課題と認識している。

既存事業の着実な利益の確保

合理化施策が完了。利益を創出しやすい体質に変革

◆内製化している事務局代行・業務代行案件を推進し、高収益化を図る

◆官公庁事業の着実な遂行による大口案件の獲得強化

減資による機動的な財務体質

◆事業規模に応じた適切な税制を適用することで財務内容の健全性を維持

◆今後の資本政策の柔軟性と機動性を確保

新しい事業分野への投資

◆資本アライアンスを含めた事業の深化・多角化

◆新サービスの導入や新事業分野への進出

効果的なIR活動と株主還元の実施

◆個人投資家様に向けて、継続的な情報発信

◆IR説明会の積極的な参加

◆株主優待制度の拡充

 

(4)株主還元

配当について
同社は株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つであると認識しており、長期的な観点から、将来の事業展開、財務体質の強化などバランスを勘案しながら実施する方針である。
22/9期は、自己資本の積み増しによる財務体質の改善を優先し、期末配当は無配とした。23/3月期においても6ヵ月の変則決算であり、売上集中期の前に期末を迎えるため無配とする。

 

株主優待制度について
保有株数に応じた「プレミアム優待倶楽部」は23/3月期より優待内容を拡充して継続する。株主への日頃の支援に感謝すると共に、同社株式への投資の魅力を高めること及び中長期保有株主の増加を目的に、21/9期に株主優待制度を導入した。具体的には、毎年3月末の保有株式数に応じて、「プレミアム優待倶楽部」のポイントを進呈する(ポイントは商品との交換や寄付が可能)。毎年3月末に3単元(300株)以上保有の株主を対象とするもので、中長期保有の株主に積極的に還元するべく、次年度以降の還元をより多くする。
同社の株主の大半は個人投資家であることから、先ずは個人株主への魅力を高める。中長期的には、株主優待のプラットフォームを活かして株主との対話も強化していく考え。

 

株主優待ポイント表(1ポイント≒1円)

保有株式数

1年未満保有の株主様

1年以上継続保有の株主様

300株~499株

3,500ポイント

3,850ポイント

500株~599株

7,000ポイント

7,700ポイント

600株~699株

10,000ポイント

11,000ポイント

700株~799株

12,000ポイント

13,200ポイント

800株~899株

15,000ポイント

16,500ポイント

900株以上

18,000ポイント

19,800ポイント

1,000株以上

20,000ポイント

22,000ポイント

 

4.今後の注目点

同社の22/9期決算は、全てのセグメントにおいて売上高が前年同期比で増加したことにより、各段階利益が黒字に転じた。
環境の変化に応じた事業シフトが奏功し、「広告」、「広報」の枠に捉われない取り組みで事業領域を拡大したことが売上高の拡大に結び付いた。加えて、経営合理化による固定費の減少も進み、今後年間約1億円程度の費用の削減が期待される見込みとなった。近年積極的に実施した経営努力の成果と言えよう。23/3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算となる。採用支援事業の市場環境における新卒採用活動時期の早期化・通年化と教育機関支援事業の取引先である教育機関の予算執行時期を勘案し、事業年度末日を3月31日に変更することが、事業運営上合理的と判断したものである。売上高が集中期ではない6ヵ月となるため、上期(10-3月)は過去3年連続で営業赤字となった。本格的な利益の増加は24/3期からとなる見込みである。こうした中、同社は23/3期の重点施策として、①業務代行機能・事務局機能の効率化と拡大、②大学との連携の深化、③提携による新規・既存事業の拡大、④コロナ特需を足掛かりにした公的案件の取引拡大、⑤財務面の強化と企業価値の向上の5つを掲げている。プロモーション支援事業では、デジタル、キャンペーン事務局代行、官公庁受託事業の成長を推進するともに、新商材投入と業務代行機能を組み合わせ複雑な案件の内製化を図る。採用支援事業では、対面型企画の高収益性案件への集約、採用業務代行・運用代行の強化、市場ニーズの高い新卒紹介への注力、大学キャリアセンターとの連携を推進する。教育機関支援事業では、外国人留学生募集支援の拡大を図るとともに、大学の募金・校友課・同窓会・父母会、資格試験団体、教育関連企業など、大学広報部門以外における取引拡大を推進する。今後実施されるこれら施策の進捗状況が注目される。売上高が集中期ではない6ヵ月において果たして営業黒字を達成できるのか期待を込めて注目したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2022年9月13日)
基本的な考え方
当社グループは、法令・企業倫理・社会規範等の遵守が当社グループの経営の根幹であるとの認識の下、健全で透明性の高い経営を行うとともに、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し、企業価値を高めることを、コーポレート・ガバナンスの基本方針としております。また、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーに対して適時に適切な情報開示を行い、社会的信頼に応えながら持続的成長を遂げるため、コーポレート・ガバナンスの充実と強化に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則 1-2④ 議決権の電子行使・招集通知の英訳】

当社は、現時点では議決権の電子行使の採用及び英文による招集通知の作成は行っておりませんが、現在当社の外国人(外国法人を含む)株 主構成比率は3%程度であり、今後株主、投資家の皆様のご意見等も参考にしながら、また、海外投資家の株主比率の動向も見据えながら、検討してまいります。

【補充原則 4-10① 経営陣幹部・取締役の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任の強化】

当社は監査役会設置会社であり、独立社外取締役が取締役の過半数に達しておりませんが、当社の事業規模に鑑み、現行の体制で十分にガ バナンスが機能していると考え、指名・報酬委員会は設置しておりません。取締役の指名・報酬について、取締役会において独立社外取締役に意 見を求めており、取締役会等における独立社外取締役の役割は有効に機能していると考えております。

【原則 5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】

当社は、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」で、2024年までの収益面の目標数値を開示しておりますが、現時点で外部環境の不確実性が高いため、中期経営計画としての開示は行っておりません。今後、開示について検討してまいります。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則 3-1 情報開示の充実】

(ⅰ)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

当社ホームページにおいて、経営理念、決算短信、決算説明資料、有価証券報告書等を開示しております。なお、経営戦略及び経営計画については、決算短信、決算説明資料、及び有価証券報告書の一部として開示しております。

 経営理念: https://www.access-t.co.jp/company/index.html

 決算短信: https://www.access-t.co.jp/ir/library/result.html

 決算説明資料: https://www.access-t.co.jp/ir/library/presentation.html

 有価証券報告書: https://www.access-t.co.jp/ir/library/securities.html

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

有価証券報告書「第一部 第4 4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】」に開示しております。

有価証券報告書: https://www.access-t.co.jp/ir/library/securities.html

(ⅲ)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

後掲「Ⅱ経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況」の「1.機関構成・組織運営等に係る事項」の【取締役報酬関係】「報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」をご参照ください。

(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

当社では、当社の業務に精通し、豊富な経験と幅広い見識を持ち、職務を適切に遂行できる人材を社内取締役候補者及び常勤監査役候補者としております。また、社外取締役としては、当社の属する業界に対する深い知見を持ち、他社における経営経験を保有する人材を候補者としております。社外監査役としては、法務、財務、会計面など、豊富な経験と専門的な知識・経験等を持ち、監査機能強化に寄与できる人材を候補者としております。

(ⅴ)取締役会が上記(ⅳ)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

社外の取締役及び監査役の候補者については、株主総会参考書類において経歴その他の事項を開示し、あわせて推薦の理由を開示しております。

[社外取締役・社外監査役候補者推薦理由]

第32期定時株主総会招集ご通知をご参照ください。

【原則 2-4① 女性・外国人・中途採用者の管理職・中核人材への登用目標】

当社は、多様な人材を登用するために、性別・年齢・障害の有無に関わらず、知識・経験・能力を重視し、人材を採用しております。女性・外国人・中途採用者の管理職や中核人材への登用についても、人材ごとの個別事情も勘案しながら、適材・適所で登用しております。能力を重視し、分け隔てなく登用していることから、目標となる構成割合や人数は定めておりません。

女性については、管理職や連結子会社の執行役員に積極的に登用しており、実力による評価を行っております。また、外国人社員も数名在籍しており、就業年数が比較的浅いことから管理職への登用例はまだありませんが、今後活躍の場が広がると考えております。中途採用者については、すでに管理職や中核人材、取締役への登用を行っており、今後も維持・継続することとしております。

【原則 5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、株主や投資家からの対話(面談)の申込みに対し、原則として取締役又は執行役員が面談に臨んでおります。

 

*同社2021年12月24日リリースコーポレートガバナンスの状況より
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7042/tdnet/2064518/00.pdf

 

 

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