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(3778) さくらインターネット株式会社

プライム

ブリッジレポート:(3778)さくらインターネット 2025年3月期決算

ブリッジレポートPDF

田中 邦裕 社長

さくらインターネット株式会社(3778)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場 

業種

情報・通信

代表者

田中 邦裕

所在地

大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 北館JAM BASE 3F

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/corporate/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

3,170円

40,001,242株

126,803百万円

15.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.00円

0.2%

60.00円

52.8倍

751.36円

4.2倍

*株価は5/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式および株式給付信託(J-ESOP)の保有株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

20,019

763

649

275

7.55

3.00

2023年3月(実)

20,622

1,093

965

666

18.29

3.50

2024年3月(実)

21,826

884

764

651

18.26

3.50

2025年3月(実)

31,412

4,145

4,060

2,937

75.23

4.00

2026年3月(予)

40,400

3,800

3,400

2,400

60.00

5.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

さくらインターネット(株)の2025年3月期の概要と2026年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 25/3期は前期比43.9%増収、368.7%営業増益。GPUクラウドサービスは生成AI向け計算基盤の旺盛な需要に応え、クラウドサービスと並ぶ収益の柱へと成長したことにより大幅な増収となった。利益面では、ガバメントクラウド正式認定に向けた大幅な人材採用や、先行優位ポジション獲得のためのGPU基盤への積極投資を実施したものの増収効果が大きく営業利益率が大幅に向上した。売上高・各段階利益は期中2度の上方修正、その予想も上回った。

     

  • 26/3期は前期比28.6%増収、8.3%営業減益を計画する。GPUクラウドサービスは新たなGPU(H200、B200)の提供開始により通期では前期比149.0%増を見込む。クラウドサービスは、ガバメントクラウドの要件充足に向けた機能開発によるサービス強化を通じて売上を拡大させる。利益面では、デジタルインフラへの積極投資や26年3月までのガバメントクラウド正式認定と将来のパブリッククラウド市場シェア拡大に向け人材採用を強化する。販売チャネルの拡大に向けたエコシステムの構築、営業・マーケティング施策を推進することにより減益となる見通し。

     

  • GPUクラウドサービスの提供が本格的に始まり、25/3期は期中に2度の上方修正を経て大幅な増収増益となった。生成AI向けGPUクラウドサービスは四半期ごとに急速に伸びており、26/3期も売上成長に大きく寄与する見通し。ただし、旺盛な需要に対応した積極投資や人材採用の強化により減益を計画している。1QにはGPUクラウドサービスにおいて一時的に収益が減少する見通し。こうしたこともあり、売上・利益ともかなり下期に偏った計画。実態は下期予想にあると見て良いだろう。また、GPUクラウドサービスは27/3期も成長が継続する見通しである。今後の収益拡大のポテンシャルはかなり大きい。株価は実態を示す下期予想や高成長の持続性を考慮すると十分に割安な水準に来ているといえそうだ。

     

     

     

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:フロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアで運営しているデータセンターを活かし、クラウド・インターネットインフラサービスを提供している。24年1月よりGPUクラウドサービスを提供開始。また、条件付きながら国内唯一のガバメントクラウド認定企業である。インフラを自社で保有する事で高収益を追求、稼働率を上げ固定費リスクを軽減している。

 

【ビジョン】 

「やりたいこと」を「できる」に変える

高い熱量を持って挑戦するすべての人たちが、自分のやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくる。それが、さくらインターネットの目指す姿です。インターネットには人と社会を幸せにする力があると信じて、「やりたいこと」を「できる」に変えるアプローチを広く届けていきます。お客さまをはじめ、社員、地域のみなさまなど、つながりのあるすべての人のために、未来のあるべき姿を思い描くことを大切にしています。

 

ビジョンの実現に向けて
インターネットの普及によって社会は急速に発展を遂げ、そのスピードは今後ますます加速していくことが予想される。変化の激しい時代でありながらも、多くの人がやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくっていくために同社が注力しているテーマは以下の通り。

 

Ⅰ.ESとCSの実現
ES:エンプロイーサクセス。社員の成功やありたい姿を実現するための取り組み、および考え方
CS:カスタマーサクセス。顧客を成功にみちびくための取り組み、および考え方

 

ESの方針
人材の成長と成功を導く「5つの柱
1.人材育成と学び合う文化づくり
2.心と体の健康
3.多様な人材の活躍促進
4.チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
5.フレキシブルな働き方

 

3つのバリュー ~チームで共創を生むための行動指針~

肯定ファースト

本質的なコミュニケーションをするための土台として、まずは相手の話を肯定的・受容的に受け止めた上で、提案や議論することを大切にしています。

リード&フォロー

チームの成功のためには、ビジョンや目標を掲げ先頭に立ち、リーダーシップを発揮する人と、全力でサポートし、フォロワーシップを発揮する人の両方が必要です。時にはリーダーとして、時にはフォロワーとして、一人ひとりが自律して行動できることを大切にしています。

伝わるまで話そう

人間関係のトラブルの多くはお互いの合意のない期待から生まれると言われています。相手に伝わるまで話すこと、わかるまで聞くことを通して、お互いの期待を明確化し、すれ違いを起こさないことを大切にしています。

 

CSの方針

ビジョンを語り合う関係性

さくらインターネットが一番大切にしているのは、お客さまとともにビジョンを語り合い、思いを共有する関係性です。お互いに気兼ねなく話せる信頼関係を築くことができて初めて、本当にやりたいことへの挑戦ができるのだと思います。ただサービスを提供するだけでは終わらず、変化し続ける事業に対して、やりたいことを一緒にやりましょうと声を掛け合う。そして掴んだ成功をお客さまと一緒に喜ぶことが、当社のカスタマーサクセスです。

 

人と人のつながりを太く結ぶ

お客さまと長期的なお付き合いをしていくためには、人と人とのつながりが欠かせないと考えています。サービスの使い方を学び合う勉強会は、まさに距離を近づけるための場です。今までは聞きづらかったようなことを聞きやすくして、わたしたちからも一歩踏み込んだサービスを提案させていただく。そして、良い知らせも悪い知らせも一緒に向き合っていける状態をつくり、連続的な支援によってお客さまの大きな成功を生み出していきます。

 

Ⅱ.クラウドビジネスへの集中
デジタル庁設立に象徴されるような国の取り組みをはじめ、地方自治体や民間企業においてもDX推進を掲げるデジタル時代が到来している。この大きなビジネスチャンスに踏み出していくには、会社のあり方を大きく変革することが必要だと考えた。それが「クラウドビジネスへの集中」。
物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へと変革し、クラウドサービスの機能強化、ソフトウェアサービスの開発などに注力している。さらに、サーバーに詳しいこれまでの顧客層から裾野を広げ、デジタルを熟知されていない一般の方や企業にもサービスの提供範囲を広げていき、誰もがインターネットで「やりたいこと」を「できる」に変えられるよう支援する。

 

Ⅲ.さらに成長するための重点テーマ
さくらインターネットが社会の変化に対応してデジタルを主軸とした課題解決を提供できるよう、注力するテーマを設定。

デジタル化

デジタル化は効率化という文脈で語られることが多いですが、生活、ビジネス、社会のあり方そのものを変える力があります。デジタルを主軸にしながら、日本が抱える低成長などの課題を解決していくことが、わたしたちの命題です。

 

スタートアップ

高い熱量をもちながら、精神的にも、考え的にも、新しい人が世界の常識を壊して、よりよい世の中にしてくれると信じています。さくら自身もスタートアップとして始まったので、事業で得られた知見や資金を次世代のスタートアップに投資して挑戦を応援します。

 

地方創生

リモートワーク前提の働き方に転換するとともにオフィスを東京に集中させず、全国各地に拠点を構えて地域の人材を雇用しています。また、その土地ならではのデジタル化がより活発になるよう、地域の方々との交流を通じて取り組んでいきます。

 

教育

誰でもITを活用できるように、そして活発なコミュニティが生まれるように。社員に限らず、これからクラウド化に取り組む一般企業の方、ITの学びを深めたい学校の先生、次世代を担う子どもたちなど、広範囲に渡る教育体制の構築を目指していきます。

 

 

【事業内容】

事業は、クラウドサービス(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、GPUクラウドサービス、物理基盤サービス、及び子会社事業等のその他サービスに分かれる。なお、GPUクラウドサービスは25/3期から新たに加わった。25/3期の売上構成比は、クラウドサービス44.6%(うち、クラウドインフラストラクチャー30.7%、クラウドアプリケーション13.8%)、GPUクラウドサービス20.2%、物理基盤サービス11.8%、その他サービス23.4%。

 

クラウドサービス
幅広いサービスラインアップを提供して培ってきた同社の技術力・ノウハウを活用し、顧客の利用シーンや成長フェーズにあわせた新たなクラウドサービスの開発を加速させている。

 

クラウドインフラストラクチャー
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)等を提供。
クラウドアプリケーション
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)をはじめとした自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供。

 

GPUクラウドサービス
24年1月からサービスの提供を始めた。25/3期から独立した事業として加わる。高性能なGPUを利用可能な生成AI向けクラウドサービス「高火力シリーズ」を提供。大企業やAIメガベンチャー、研究機関だけでなく、AIアプリケーション開発者や機械学習のスポット利用者など多様なニーズに応える。

 

物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス、及び同社が所有する物理サーバを専用で利用できる専用サーバサービスがある。

 

その他サービス
ゲヒルン(株)のセキュリティサービス、アイティーエム(株)の大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)、ビットスター(株)の小中規模法人向けMSP、プラナスソリューションズ(株)のハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーション、IzumoBASE(株)のストレージ仮想化サービス等の収益が含まれている。

 

2.2025年3月期決算概要

2-1 連結業績

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

21,826

100.0%

31,412

100.0%

+43.9%

31,000

+1.3%

売上総利益

5,735

26.3%

11,230

35.8%

+95.8%

-

-

販管費

4,851

22.2%

7,084

22.6%

+46.0%

-

-

営業利益

884

4.1%

4,145

13.2%

+368.7%

3,400

+21.9%

経常利益

764

3.5%

4,060

12.9%

+431.4%

3,250

+24.9%

親会社株主帰属利益

651

3.0%

2,937

9.4%

+350.7%

2,100

+39.9%

* 単位:百万円、会社予想は2025年1月月時点の予想。

 

43.9%増収、368.7%営業増益、GPUクラウドサービスが収益の柱へ成長、上方修正後の会社予想も上回る
売上高は前年同期比43.9%増の314.1億円。24年1月に提供を開始したGPUクラウドサービスは生成AI向け計算基盤の旺盛な需要に応え、クラウドサービスと並ぶ収益の柱へと成長したことにより大幅な増収となった。
営業利益は同368.7%増の41.4億円。ガバメントクラウド正式認定に向けた大幅な人材採用や、先行優位ポジション獲得のためのGPU基盤への積極投資を実施したものの、クラウドサービスの成長もあり、増収効果が大きく営業利益率は前期4.1%から13.2%へ大幅に向上した。
売上高・各段階利益は9月と1月に2度の上方修正、その予想も上回った。4.00円/株の期末配当を実施。

 

重点施策への取り組み状況サマリー

重点施策

アクション・成果

成長戦略の実践

AI需要を捉えるGPU基盤とクラウド強化を推進

GPUクラウドサービス

旺盛な生成AI需要を捉えたサービスの早期提供が収益拡大に貢献

さまざまなニーズに迅速かつ柔軟に対応できるサービスを展開

クラウド

サービス

26年3月末までのガバメントクラウド正式認定を見据えた開発加速により市場ニーズへの対応力が向上、ARRは2桁成長を継続(12.9%)

パートナー連携とクラウド検定を通じ、顧客、パートナー、同社が共に成長するエコシステムを構築

【取り組み実績】

✓さくらのレンタルサーバ取次店制度登録:1,088社

✓さくらのパートナーネットワーク公開:47社

✓さくらのクラウド検定開催:3回、公式オンライン教材登録者:2,000名超

成長戦略を支える

基盤強化

成長機会を捉えヒト・モノ両面に投資

人材

200名規模の採用を目指し、体制整備と人材獲得活動に注力

エンジニア・営業・マーケティング人材を中心に214名(内定者含む)を採用し、25年3月末の連結従業員数は997名

設備投資

生成AI向けGPUクラウドサービス提供拡大に向けた早期のGPU 確保とデジタルインフラへの積極投資(約277億円※)を実行し需要拡大に先手

サービス提供基盤となるコンテナ型データセンターの構築も進行

 

サービスカテゴリー別売上高

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

クラウドサービス

12,772

58.5%

14,006

44.6%

+9.7%

内訳

クラウドインフラストラクチャー

8,823

40.4%

9,659

30.7%

+9.5%

クラウドアプリケーション

3,949

18.1%

4,347

13.8%

+10.1%

GPUクラウドサービス

201

0.9%

6,344

20.2%

+3,054.8%

物理基盤サービス

3,589

16.4%

3,721

11.8%

+3.7%

その他

5,262

24.1%

7,339

23.4%

+39.5%

合計

21,826

100.0%

31,412

100.0%

+43.9%

* 単位:百万円

 

営業利益の変動要因


(同社説明資料より)

 

財政状態

 

24年3月

25年3月

 

24年3月

25年3月

流動資産

10,574

41,744

流動負債

10,598

40,347

有形固定資産

16,656

33,469

固定負債

10,304

10,814

無形固定資産

505

1,259

株主資本

8,989

29,931

投資その他

2,488

4,945

純資産

9,321

30,257

固定資産

19,650

39,674

負債・純資産合計

30,224

81,419

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

25/3期末の総資産は前期末との比較で511.9億円増の814.1億円。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う現預金の増加、GPUクラウドサービス等向けのサービス機材調達による有形固定資産の増加等によるもの。負債は302.5億円増の511.6億円。主な要因は、サービス機材に係る借入金の増加等によるもの。純資産は209.3億円増の302.5億円。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う資本金、資本剰余金の増加等によるもの。自己資本比率は36.9%(前期末30.2%)。

 

キャッシュ・フロー

 

24/3期

25/3期

前期比

営業CF(A)

2,884

5,787

+2,903

+100.7%

投資CF(B)

-2,025

-8,323

-6,297

-

フリーCF(A+B)

858

-2,535

-3,394

-

財務CF

-410

26,763

+27,174

-

現金等残高

5,257

29,489

+24,231

+460.9%

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25/3期末の現金及び現金同等物は、前期末比242.3億円増加し、294.8億円となった。
営業CFは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加により収入が減少した。
投資CFは、GPUクラウドサービス用機材等の有形固定資産の取得により支出が増加した。
財務CFは、株式の発行による収入と借入れ等により大幅に収入が増加した。

 

設備投資・人員
投資は通期予算181億円に対して277億円。内訳はデータセンター32億円(予算56億円)、サーバ、ネットワーク機器238億円(同117億円)、その他(システム、事務所関連等)6億円(同7億円)。サーバ、ネットワーク機器の内、GPUクラウドサービスは214億円。生成AI向けGPUクラウドサービス提供拡大に向けた早期のGPU確保とデジタルインフラへの積極投資を実行し需要拡大へ先手を打った。サービス提供基盤となるコンテナ型データセンターの構築も進行している。
人員については、期末のグループ従業員数が997名と前期末との比較で158名増加した。エンジニアが89名、営業・販促・新規企画は35名、管理は16名、グループ会社は18名それぞれ増加した。

2-2 第4四半期(7-9月)連結業績

 

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

25/3 1Q

2Q

3Q

4Q

前四半期比

売上高

5,105

5,237

5,315

6,167

5,935

7,335

8,125

10,015

+23.3%

売上総利益

1,285

1,353

1,385

1,710

1,698

2,650

2,966

3,914

+32.0%

営業利益

104

145

199

435

231

1,064

1,289

1,560

+21.0%

経常利益

73

99

147

444

95

1,006

1,386

1,571

+13.4%

四半期純利益

108

66

128

347

41

668

932

1,295

+38.9%

EBITDA

852

901

955

1,363

1,032

2,212

2,712

3,127

-

売上総利益率

25.2%

25.8%

26.1%

27.7%

28.6%

36.1%

36.5%

39.1%

-

営業利益率

2.0%

2.8%

3.7%

7.1%

3.9%

14.5%

15.9%

15.6%

-

* 単位:百万円

 

前四半期比23.3%の増収、同21.0%の営業増益
4Qの売上高は前四半期比23.3%増の100.1億円。営業利益は同21.0%増の15.6億円。
また、サブスクリプション型売上の主要KPIとして、22/3期からARR(Annual Recurring Revenue:各期月末のMRR(Monthly Recurring Revenue)継続課金による月次収益を12倍して算出)を開示している。25/3期4QのARRは142.0億円となり、前年同期(125.8億円)との比較で12.9%増加した。
かつては売上の拡大を第一義として、設備投資や人員増強に力を入れてきたが、現在はカスタマーサクセス(Customer Success)・エンプロイーサクセス(Employee Success)を最優先とする経営方針に転換しており、ユーザーに長く利用してもらうため、短期的な売上というよりは、LTV(Life Time Value)をいかに高めていくかに力を入れており、この一環として、ARRが重視されるようになった。

 

サービス別売上高

 

24/3期

25/3期

前四半期比

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

クラウドサービス

3,096

3,152

3,204

3,320

3,375

3,437

3,543

3,650

+3.0% 

クラウドインフラストラクチャー

2,125

2,177

2,238

2,282

2,354

2,362

2,436

2,506

+2.9%

クラウドアプリケーション

971

974

965

1,038

1,021

1,075

1,107

1,144

+3.3% 

GPUクラウドサービス

-

-

-

201

427

1,591

1,728

2,597

+50.3% 

物理基盤サービス

881

906

901

900

932

935

931

922

-0.9%

その他サービス

1,127

1,179

1,209

1,745

1,200

1,371

1,922

2,844

+48.0% 

* 単位:百万円

 

売上原価の内訳

 

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

25/3 1Q

2Q

3Q

4Q

賃料

334

331

331

326

325

323

363

472

減価償却費・リース料

1,011

1,018

994

1,085

1,080

1,303

1,384

1,594

労務費

928

945

979

1,019

1,025

1,082

1,193

1,472

通信費

374

369

375

403

405

388

389

412

電力費

259

252

231

243

266

342

327

318

修繕費

169

204

230

225

218

214

265

301

販売商品原価等

449

434

448

573

495

607

710

745

その他

292

328

338

578

419

423

525

784

* 単位:百万円

 

 

3.2026年3月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

25/3期 実績

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

売上高

31,412

100.0%

40,400

100.0%

+28.6%

営業利益

4,145

13.2%

3,800

9.4%

-8.3%

経常利益

4,060

12.9%

3,400

8.4%

-16.3%

親会社株主帰属利益

2,937

9.4%

2,400

5.9%

-18.3%

* 単位:百万円

 

26/3期は前期比28.6%の増収、同8.3%の営業減益を計画
26/3期は、売上高が前期比28.6%増の404億円、営業利益は同8.3%減の38億円を計画する。GPUクラウドサービスは、官公庁大口案件の満了に起因する一時的な売上変動に伴い、1Qの収益は減少する。しかし、新たなGPU(H200、B200)の提供開始により通期では前期比149.0%増の158億円を見込む。クラウドサービスは、ガバメントクラウドの要件充足に向けた機能開発によるサービス強化を通じて売上を拡大させる。パートナーとの連携による新市場開拓を含めた拡販施策にも注力し売上高は前期比13.5%増の159億円を計画。利益面では、生成AIインフラ市場におけるデファクトスタンダードの地位を確立するためデジタルインフラへ積極投資を行う。また、26年3月までのガバメントクラウド正式認定と将来のパブリッククラウド市場シェア拡大に向け人材採用を強化する。販売チャネルの拡大に向けたエコシステムの構築、営業・マーケティング施策の推進することにより減益となる見通し。
配当は、前期比1.00円/株増配の5.00円/株の期末配当を予定。

 

サービスカテゴリー別売上高

 

25/3期

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

クラウドサービス

14,006

44.6%

15,900

39.4%

+13.5%

内訳

クラウドインフラストラクチャー

9,659

30.7%

11,000

27.2%

+13.9%

クラウドアプリケーション

4,347

13.8%

4,900

12.1%

+12.7%

GPUクラウドサービス

6,344

20.2%

15,800

39.1%

+149.0%

物理基盤サービス

3,721

11.8%

3,000

7.4%

-19.4%

その他

7,339

23.4%

5,700

14.1%

-22.3%

合計

31,412

100.0%

40,400

100.0%

+28.6%

* 単位:百万円

 

営業利益の変動要因


(同社説明資料より)

 

3-2 重点施策

引き続き、生成AI向けサービスを強化させるとともに、ガバメントクラウド対応を軸にパートナーとの共創で市場開拓を一層加速させていく方針。

 

(同社説明資料より)

 

成長戦略の実践
①GPUクラウドサービス
全体スケジュール
早期にGPUを調達データセンター整備を継続実施。今後は販路拡大にも注力する。

 

(同社説明資料より)

 

24/3期より生成AI向けGPU基盤等へ合計1,130億円の投資を計画、経済産業省より合計約565億円の助成

 

売上計画
国内AIインフラ市場における先行ポジションとGPUクラウドサービスで培ったノウハウ信頼で販路を拡大させる。
今後の販売施策
サービスラインアップの拡充
高火力シリーズ第3弾「高火力VRT」を提供(25年4月)。多様なニーズに迅速かつ強力に応えるため 「生成AI向けプラットフォームサービス」を提供予定。
GPUクラウドサービスの導入実績の増加
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機)公募の「医療特化型LLM実証」(*)に採択(25年4月)。この他、自動運転分野での導入事例も創出。引き続き、新市場を狙った展示会・イベントへの積極出展により販路を拡大させる。
(*)「日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証」

 

GPUクラウドサービスの今後の販売計画

(同社説明資料より)

 

生成AI向けプラットフォームサービス
「国産クラウド×高性能GPU」で、AI利活用の拡大を支えるプラットフォームを提供予定
取り組み内容
同社の生成AI向けGPUクラウドサービスに複数社の基盤モデルを搭載し、アプリケーションの開発・運用を支えるレイヤーを構築。アプリ開発の容易化と国内完結のデータ管理を実現
NECの生成AI「cotomi(コトミ)」を基盤モデルとした生成AI向けプラットフォームサービス提供に向けて協業
今後も、国内外の企業との連携を通じて基盤モデルの選択肢を拡充し生成AI活用の多様なニーズに対応

 

②ガバメントクラウドサービス
ガバメントクラウド認定を活かし、より大きな市場

 

(同社説明資料より)

 

開発スケジュール
26年3月末までのガバメントクラウド正式認定に向け、開発は着実に進捗
長期的に競争力のあるクラウドサービスへ成長

 

成長を支える基盤強化
①デジタルインフラへの積極投資
投資計画

26/3期の投資計画

 

単位:億円、1億円未満は切り捨て

(同社説明資料より)

取り組み内容

旺盛な需要を背景に成長機会を着実に捉え、次の成長へつなげるためデジタルインフラへの積極投資を実施

GPUクラウドサービスへの投資に加え、クラウドサービスの売上増加に備えたサーバー、ネットワーク機器投資、石狩データセンターの増床を予定

 

資金調達と自己資本比率について

24年6月の公募増資資金、クラウドプログラム助成金を活用しつつ、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借り入れおよびリースにより調達

25年3月末の自己資本比率は36.9%、今後も成長投資と財務健全性の両立を図る

 

GPUクラウド投資の詳細
生成AI向けGPU基盤等の 1,000億円投資計画のうち、2026年3月期は289億円を投資予定
25/3期は214億円の投資計画に対し、大幅に上回る計算資源需要を受け238億円の追加投資を実行
26/3期は迅速なサービス提供の実現に向け、体制強化を継続し盤石な運営基盤の構築を図る

 

1億円未満は切り捨て                                 (同社説明資料より)

 

②変化と成長を加速させる人材の確保・育成

 

連結人員数推移

 

(同社説明資料より)

 

 

取り組み内容

25/3期、214名(単体、内定者含む)の採用が完了。エンジニアを中心にリファラル採用が好調。ダイレクトリクルーティング率も増加し、自社採用力が向上

26/3も同様に約200名の採用を計画。今後の収益基盤構築に向けプロダクト強化や市場開拓などの営業戦略の実行を加速する人材の採用に注力

 

 

3-3 ESG経営への取り組み

人的資本経営への取り組み

(同社説明資料より)

 

次世代起業家の挑戦を支え、オープンイノベーションの取り組みを各地から
地方創生とデジタルイノベーションの創出

(同社説明資料より)

 

多面的サポートも推進

 

(同社説明資料より)

スタートアップ共創プログラム「Link up」を提供開始

スタートアップが事業を展開するために必要な基盤を支え、成長を加速するためのインフラストラクチャー展開に必要なリソースをオールインワンで提供

01 環境提供

ビジネス規模や成長にフィットするさくらのクラウドを最大1,000万円分、最大1年間まで提供。ImageFlux、高火力GPUサーバ、さくらのIoTも対象

02 技術協力

問い合わせの優先的なサポートや各分野の専門家とのミーティング機会の提供などで成長をサポート

03 事業支援

パートナー企業との意見交換や提案の場、イベント共催などの機会を提供し、課題の解決を後押し

 

環境に配慮した取り組み:石狩データセンター
同社事業に不可欠なデータセンターは、サーバの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の大規模言語モデルの急発展等によって運用される高性能サーバの消費電力も増大。同社はデータセンターにおける消費エネルギーの削減と脱炭素実現に取り組むことで、サステナブルな社会づくりに貢献

 

クラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンター・石狩データセンターは、開所当初より、サステナビリティを高める取り組みを積極的に行っている
石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)

(同社説明資料より)

 

再生可能エネルギー100%を達成
脱炭素に向けた取り組みとして、23年6月から水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源へと変更したことにより、石狩データセンターにおいて二酸化炭素(CO2)の年間排出量はゼロへ

 

空調にかかる消費電力の大幅削減
北海道の寒冷な空気を利用して、冷涼な外気をサーバールーム内に取り込む「直接外気冷房方式」と、室外機と空調機の間を循環する冷媒を外気で冷やす「間接外気冷房方式」を導入している。一般的な都市型データセンターと比べて、約4割の消費電力を削減

 

石狩データセンター外気空調システム概念図

(同社説明資料より)

 

セキュリティ関連の取り組み

(同社説明資料より)

 

同社のESG経営の取り組みはコーポレートサイトでも紹介。https://www.sakura.ad.jp/corporate/work/

 

4.今後の注目点

GPUクラウドサービスの提供が本格的に始まり、25/3期は期中に2度の上方修正を経て大幅な増収増益となった。生成AI向けGPUクラウドサービスは四半期ごとに急速に伸びており、26/3期も売上成長に大きく寄与する見通し。ただし、旺盛な需要に対応した積極投資や人材採用の強化により減益を計画している。1QにはGPUクラウドサービスにおいて一時的に収益が減少する見通し。こうしたこともあり、上期は売上高176億円、営業利益7億円に対し下期は売上高228億円、営業利益31億円とかなり下期に偏った計画。実態は下期予想にあると見て良いだろう。また、GPUクラウドサービスは27/3期も成長が継続する見通しである。生成AI向けプラットフォームサービスの提供も予定しており、今後の収益拡大のポテンシャルはかなり大きい。株価は軟調に推移しているが、実態を示す下期予想や高成長の持続性を考慮すると十分に割安な水準に来ているといえそうだ。
ESG経営への取り組みにも引き続き注目。石狩データセンターでは再生可能エネルギー100%を達成、また人的資本経営を実践することなどにより、より困難を極める人材獲得もスムーズに遂行することができるだろう。こうしたことも同社にとっての潜在成長力の大きさを示していると考える。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

9名、うち社外5名(うち独立役員3名)

監査役

4名、うち社外4名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年7月3日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4-1 【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方・自主的かつ測定可能な目標とその状況>
当社は、すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、属性の多様性とキャリアやスキルの多様性の双方を生かすことで、当社グループ全体の成長とお客様への価値提供と貢献を目指していることから、中核人材採用・登用については、年齢、性別、国籍等の属性にとらわれず、多様性を尊重した採用・登用の推進に取り組んでおります。
また、多様な属性の社員が多様な価値観を持ち、互いの価値観を認め合った上で共創することがイノベーションにつながると考えていることから、全管理職に占める女性の割合を、2026年3月までに全社員に対する女性の割合と同等にすることを目標としております。この達成を目指し、女性社員を対象にキャリアへの意識調査を実施の上で女性管理職の割合が少ない原因を特定し、原因解消に向けた取組みを行うとともに、ロールモデルを策定するなど、よりポジティブに管理職を目指すことができるよう、引き続き取り組んでまいります。
なお、当社ではそのほとんどが中途採用者であることから、中途採用者の登用について、目標設定を行っておりません。外国人の採用・登用については、現時点では属性による目標設定は行っておりませんが、今後必要と判断した場合には、目標の設定を検討してまいります。

 

<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況>
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス。以下、「ES」)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤作りを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
当社は、会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取組みをおこなっています。社内環境についても、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでまいります。 

 

補充原則3-1-3、4-2-2 【サステナビリティについての取組み、取組みについての基本方針の策定等】
<サステナビリティについての取組み>
当社グループでは、運営する国内のデータセンターを活かしクラウド・インターネットインフラサービスを提供する事業を行っており、インターネット及びデータセンターはいずれも必要不可欠なものとなっております。データセンター運営では大量の電力を消費することから、当社ではエネルギー問題と密接な関係がある気候変動・脱炭素への取組みを進めております。インターネットの利活用が社会インフラの維持・ライフラインの確保に繋がるという考えから、サイバーセキュリティへの取組みについてもとくに重要視しております。

① 気候変動・脱炭素への取組み
社会・産業のデジタル化により、あらゆる分野でデータを活用したビジネスや社会課題の解決が期待される中、デジタルインフラの一部であるデータセンターの重要性は年々増しています。一方で、データセンターはもともとサーバーの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の生成AI活用の急発展やVR技術の商業化の進展等によって、運用される高性能サーバーの消費電力も増大しています。地球温暖化防止等の地球環境保全、SDGsの観点から、消費エネルギーを管理・削減するなど、脱炭素実現への取組みによって、サステナブルな社会への貢献を求められていることを当社は十分に認識しております。
2011年11月には、環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)を北海道石狩市に開所し、運営してきました。
立地条件による冷涼な外気を活用したデータセンター運用はもちろん、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)や、非化石証書の利用による電力の実質CO2排出量ゼロを達成(2022年)後、再生可能エネルギー電源100%に切り替える(2023年)など、当社ではデータセンター運営において、地球環境の保全活動に積極的に取組み続けています。
2021年には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。なお、ガバナンス及びリスク管理につきましては、有価証券報告書において開示しております。

 

② サイバーセキュリティへの取組み
近年、企業活動のデジタル化の進展に伴い、インターネット上での個人情報や企業の機密情報のやり取りが一般化しています。同時に、現実世界と同様に、迷惑行為や様々な権利侵害、違法で有害なコンテンツの流通など、さまざまな問題が発生しています。そのため、インターネットの安全性や品質の向上がますます重要視されています。当社は、クラウド事業者として各サービスを日々見直し、多面的な取組みを行うことで安全性や品質を確保し向上させています。
一方、「個人情報」「表現の自由」「通信の秘密」の重要性も認識し、捜査機関等からの要請に対応する際には、個人情報保護法、電気通信事業法、プロバイダ責任制限法等をはじめとする関係法令やガイドラインを遵守することでこれらの保護に努めており、インターネットの安全性や品質の向上への取組みの一環として、2023年8月より、当社が要請を記録した数と対応の概要を「透明性レポート」として公開し、情報の取扱いに関する透明性を確保しております。
また当社では、生成AIなどのインターネット上の技術の進歩やサイバーセキュリティなどに係わる法律上及び行政上の諸問題について、加盟・協賛団体を通じて広く情報を収集して的確に対応できる体制を整備し、必要に応じて意見を述べることも、クラウド・インターネットインフラサービス事業者としての責務であると認識しております。具体的な例として、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の部会である行政法律部会に、迷惑行為などの対応・対策を行う専門チームの担当者や法務担当者が参加し、健全なインターネットの活用について関係省庁との意見交換等を行っております。

 

<人的資本、知的財産への投資等>
人的資本への投資については、社員の能力を高めその能力を最大限に引き出す環境づくりに取り組んできた当社にとって、人材の確保や育成は強みであり、お客さまと社員の成功を支援することで共に成長していく関係を構築する「CS(カスタマーサクセス)・ESの実現」という、重点テーマにも沿ったものと言えます。当社では、社員一人ひとりが当社の資本であり、その成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉であるという考えから、お客様の「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営及びESを実現するために以下の取組みを行っており、詳細は有価証券報告書において開示しております。
 ・人材育成と学び合う文化づくり
 ・こころと身体の健康
 ・多様な人材の活躍促進
 ・多様な特性・能力を持つ人材が集まり、リーダーシップが新しい価値を育む文化づくり
 ・フレキシブルな働き方
また、当社は、知的財産への投資を事業の発展のために重要なものと位置付け、社内の創造的活動を積極的に支援し、当社の知的財産の適切な保護、管理及び活用を推進しております。第三者の知的財産権を尊重することの重要性を社内に周知し、知的財産権侵害の防止を徹底するよう努めるとともに、インターネット上の知的財産の適切な保護が重要であるという考えから、コンテンツの制作・提供会社ではないものの、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に所属し、同会の主催する各種研究会への参加などを通じ当社の知見を高めるとともに、情報交換や著作権の権利保護等の活動を行っております。
いずれも当社の持続的な成長に資するよう引き続き監督を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する考え方
当社は、保有の意義・合理性が認められる場合を除き、原則として上場株式を政策保有株式として保有しません。
保有の意義・合理性については、発行会社との企業連携や事業シナジーが見込めるか、また保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを毎年個別銘柄ごとに検証したうえで判断します。その結果、保有の意義・合理性が乏しいと判断される株式については、適宜株価や市場動向その他の事情を考慮しつつ売却いたします。
(2)議決権行使について
当社は、上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとしております。

 

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR担当部署を設置し、株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催するとともに、ご要望により、代表取締役社長・取締役最高財務責任者等による個別面談等を行うことで、適切に対話の機会を設けております。また、対話にていただいたご意見については、適宜経営陣に共有する仕組みを構築しております。
なお、対話にあたっては、対話のテーマに留意し、インサイダー情報を厳重に管理しております。

 

 

 

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