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(2884) 株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス

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ブリッジレポート:(2884)ヨシムラ・フード・ホールディングス 2025年2月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

吉村 元久

代表取締役CEO

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表取締役CEO

吉村 元久

所在地

東京都千代田区内幸町二丁目2番2号 富国生命ビル18階

決算月

2月

HP

http://y-food-h.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,003円

24,045,155株

24,117百万円

18.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

46.99円

21.3倍

463.27円

2.2倍

*株価は6/3終値。各数値は25年2月期決算短信より。26年2月期の予想はレンジで表示。EPSはレンジ下限。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年2月

29,283

655

993

500

21.03

0.00

2023年2月

34,937

678

1,323

613

25.77

0.00

2024年2月

49,781

2,366

2,989

1,036

43.77

0.00

2025年2月

58,110

4,161

4,251

1,861

78.13

0.00

2026年2月(予)

60,700

~63,700

3,000

~4,000

2,900

~3,900

1,120

~1,580

46.99

~66.29

0.00

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスの2025年2月期決算概要、吉村社長へのインタビューなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年2月期決算概要
3.2026年2月期業績予想
4.中期経営計画
5.吉村CEOに聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年2月期の売上高は前期比16.7%増の581億円。国内・海外とも増収。既存企業の販売強化、ワイエスフーズグループ(ワイエスフーズ、マタツ水産、清藤水産、ワイエス海商)の子会社化が寄与した。営業利益は同75.8%増の41億円。ワイエスフーズグループをグループ化したことに加え、ホタテの販売価格が上昇したことで、ワイエスフーズグループ、マルキチが大幅増益。利益率の高いホタテ事業の売上高構成比上昇で売上総利益が同29.3%増と増収率を上回り、粗利率も2.2%上昇。販管費も同15.4%増加したがこれを吸収し大幅な増益となった。東京電力からの賠償金及びその他ホタテ関連補助金を合計12億円特別利益に計上した一方、シンガポールの子会社JSTT Singapore Pte. Ltd.等の株式取得により発生したのれんに係る減損7億円を特別損失として計上した。

     

  • 26年2月期は増収減益を見込む。アメリカの関税政策の不透明さに加え、ホタテの仕入価格及び販売価格の変動が予測しづらいことから、売上・利益予想をレンジ表示としている。売上高に関しては既存企業のオーガニックな成長により増収を見込んでいる。営業利益に関しては、足元のホタテの仕入価格、販売価格を前提としている。当期純利益については、東京電力からの賠償金は含めていない。

     

  • 2030年2月期に向けた中期経営計画を発表した。「中小食品企業のグローバルプロデューサー」目指し、「M&A(ロールアップ戦略及びニッチ戦略)」「オーガニック成長」「海外展開」の3つの成長戦略を掲げている。オーガニック成長と新規M&Aにより成長を加速させ、2030年2月期「売上高1,150億円、営業利益80億円、EBITDA120億円」を目指す。

     

  • 吉村CEOに、決算概要、中期経営計画、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。「今回初めて中期経営計画を公表し、2030年2月期の数値目標も掲げました。これまで当社の中心戦略であるM&Aはお相手のあることなので、公表は控えてきましたが、長年かけて構築してきた企業受け入れ体制が整い、こちらが手を挙げればM&Aが成立するという状況になっており、2030年については具体的なイメージを描けるようになった、公表する自信がついたというようにご理解ください。」「子会社の元代表取締役によるインサイダー取引事案に関しては、株価下落及び大きな機会損失を発生させてしまいました。謹んで深くお詫び申し上げます。3月一杯で事案対応はほぼ終了しましたので、元の巡航速度に回帰して事業を推進させ、2030年の目標達成に向けて邁進してまいりますので、是非ご期待ください。」とのことだ。

     

  • 初めての中期経営計画公表は、確実に有望なM&A案件を成約させることができる自信の表れのようだ。一方で、人手不足の中、拡大するグループに適した人的資本の確保・強化が課題であると、吉村CEOは認識している。その意味では、株式会社オーブンと株式会社細川食品の合併は、特に工場における人材確保という課題解決に向けた好事例であるようだ。M&A成約に加え、マネジメント層の確保も含めた人的資本強化の進捗も注目していきたい。

     

     

1.会社概要

優れた商品や技術力を有しながらも、事業承継など様々な問題を抱えている全国の中小食品企業をM&Aによりグループ化。中核スキルである「中小企業支援プラットフォーム」により問題を解決し、グループ各社を活性化することで、グループ全体の成長を図っている。投資ファンドや大企業に対する圧倒的な優位性、強固な参入障壁が強み。アライアンスによる成長加速を目指している。2025年2月末時点の連結子会社は36社。

 

【1-1 沿革】

大和證券株式会社、モルガン・スタンレー証券株式会社の事業法人部で上場企業の資金調達やM&Aなどを手掛けていた吉村氏は、ある時、経営難に陥っているが買い手の見つからない食品会社を紹介される。
元より、大和證券在籍中の米国MBA留学時から「食」を通じて日本がもっと高く評価されるべきだと強く感じていた吉村氏は、2008年3月、(株)ヨシムラ・フード・ホールディングスの前身となる(株)エルパートナーズを設立し、個人でこの食品会社を引受け、それまでに培ってきた経験やネットワークなどを活用して活性化に取り組んだところ、黒字化に成功。
この評判を聞き、多くの中小食品会社が支援を求めてきたところ、1社ごと個別に手掛けるのではなく、持株会社体制の下で、商品開発、製造、販売などの各機能を相互に補完することにより効率的に成果も上げることができると判断し、2009年8月、商号を(株)ヨシムラ・フード・ホールディングスとした。

 

以降も、事業承継問題を抱えたり、単独での経営に行き詰まったりした企業のグループ化を進めていく。大手食品会社や投資ファンドと競合しない独自のポジショニングや売却を前提としないというポリシーが評価され、産業革新機構や日本たばこ産業(JT)などから出資を受けるとともに、業容も拡大。2016年3月に東証マザーズに上場し、2017年3月には東証1部に市場変更した。2022年4月、プライム市場に移行。
日本企業のみでなく、シンガポール、マレーシアなど、海外企業のグループ化も進め、更なる成長を追求している。

 

【1-2 目指す社会像】

企業としての社会的存在意義を改めて『いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ ~消費者が多様な食文化を享受できる豊かさの実現~』をミッションとし、ビジョン(果たすべき役割)、バリューズ(大切にする価値観)を改めて示すこととした。

 

 

ミッション

いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ~消費者が多様な食文化を享受できる豊かさの実現~

*私たちは、人々が、多種多様な選択肢から自分の嗜好に合わせて自由に選択でき、それが尊重される社会こそ、豊かで幸せであると考えます。

*私たちは、世界中の消費者が、多種多様で高品質な“おいしい”を自由に選択し、それを楽しめる豊かな社会を目指してまいります。

ビジョン

地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ

*私たちは、「いつまでもこの“おいしい”を楽しめる社会」を実現するため、日本および世界で大切にされてきた“おいしい”を見つけ、守り、育て、世界へと届けてまいります。

*そのために、私たち独自の“おいしい”を見つける目利き力、“おいしい”を守る事業基盤、“おいしい”を育てる支援機能、“おいしい”を世界へと届ける販売網を構築してまいります。

*その結果として、世界の食文化と多様化、地域社会の活性化を推進するグローバルプロデューサーとなります。

バリューズ

「あなた“らしさ”を大切にします」

*私たちは、私たちに関わる全ての方のあなた“らしさ”を大切にします。

*私たちは、私たちのグループで働く社員の“個性”、“新しい発想”、“チャレンジ精神”を大切にします。

*私たちは、私たちのグループ企業が持つ“歴史”、“文化”、“社員”、“取引先”、“地域社会”を大切にします。

*私たちは、私たちのグループ企業が持つ“強み”を伸ばし、“弱み”を補い合い、共に成長してまいります。

*私たちは、私たちに関わる全ての人の“らしさ”を大切にした結果、多様な選択肢のある豊かな社会づくりに貢献します。

 

【1-3 市場環境・設立の背景】

日本全国の中小企業の支援・活性化を目的として設立された同社は、中小食品企業を取り巻く状況について以下のように述べている。
(同社有価証券報告書、同社資料を基にインベストメントブリッジが抜粋・要約・編集)

 

(中小食品企業を取り巻く状況)
*日本食は世界的にも極めて高い評価を受け注目されている分野であると同時に、国内の食品産業は1990年代から一貫して事業所数、雇用者数、GDPの面から最大級の業種であり、日本が誇る基幹産業。
*企業数の99%は中小企業で、それぞれが優れた商品や技術力を有している。
*しかし、少子高齢化等により国内の市場規模は縮小し続けており、一部の中小食品企業にとっては、単独での生き残りが難しい経営環境が続いている。
*そのため、多くの企業が事業継続をあきらめて廃業や事業停止を選択せざるを得ない状況となっている。

 

(中小企業の事業承継の状況)
*2024年時点での中小企業における経営者の年齢は60歳以上が過半数を占めており、経営者の平均年齢は63.59歳に達し、過去最高を更新しています。特に70代以上の経営者の割合は34.47%と過去最高を記録しており、今後数年間で多くの経営者が引退年齢を迎えることが予想される。
*しかしながら、国内中小企業の62.15%が後継者不在の状態にあり、事業承継の準備が進んでいない状況が続いている。 特に代表者が50代の企業では71.82%、60代では47.88%が後継者不在であり、年代が上がるにつれて不在率は低下するものの、依然として高い水準にある。そうした中、現時点において事業承継を考えている企業は、全産業合計で31.8%にとどまるなど、事業承継の準備が進んでいない。
(中小企業庁「中小企業白書」(2025年版)、㈱東京商工リサーチ「全国社長の年齢」(2024年)、㈱東京商工リサーチ「後継者不在率」(2024年)、中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和5年確報(令和4年度決算実績))などより)

 

(中小食品企業における事業承継の受け皿の状況)
*中小食品企業における事業承継ニーズが高まる一方で、受け皿となる会社や組織は少ない。
*中小食品企業は大企業が受け皿となるには規模が小さいことが多く、また、投資ファンドは、単独での高い成長と数年以内の売却を主な目的としていることから、成熟市場にある中小食品企業は投資対象になりにくい。
*こうしたことから事業承継の担い手は圧倒的に不足している。

 

【1-4 事業内容】

同社グループは、ヨシムラ・フード・ホールディングスを持株会社として、25年2月末時点、連結子会社36社、持分法適用関連会社2社及び非連結子会社1社により構成されている。
ヨシムラ・フード・ホールディングスは、食品の製造および販売をおこなう中小企業の支援・活性化を目的とし、後継者難に直面している中小食品企業をM&Aでグループ化。グループ全社の経営戦略の立案・実行および経営管理をおこなうとともに、グループ会社に対し、セールス・マーケティング、生産管理、購買・物流、商品開発、品質管理、経営管理といった機能ごとに支援および統括をおこなっている。

 

①ビジネスモデル
同社は食品業界において独自のビジネスモデルを構築しており、2つのエンジンによって成長を追求している。

 

一つはM&Aを通じたグループ企業数の拡大による成長。
2008年の創業以来、同社が受け皿となることで、事業承継や経営難などの問題を抱える中小食品企業が廃業・事業停止に至ることを防ぎ、それらの問題を解決してきた。
近年は日本企業のみでなく海外企業のグループ化にも注力している。
案件のソーシングは、M&A仲介会社、地銀を中心とした地方金融機関、弁護士、会計士からの紹介による「間接的アプローチ」が中心であったが、今後はスピードアップのため、ターゲットリストを作成して自らアプローチをすることや、アライアンス先である国分グループ本社のネットワークを活用することで、将来的なM&Aに向けた関係を構築する「直接的アプローチ」を強化し、より主体的、積極的に案件を発掘していく考えだ。

 

もう一つが、既存グループ会社の業容拡大による成長。
優れた製品や技術を持ちながらも、販路がない、人手が足りない、経営管理が不十分などの理由で成長できない企業に対し、「中小企業支援プラットフォーム」が各機能別に統括することで、課題を解決し各社の業容拡大を支援している。

 

(同社資料より)

 

「中小企業支援プラットフォームとは?」
この独自のビジネスモデルの核となるのが、同社が食品の製造・販売に特化して取り組んできた実績とノウハウの蓄積により構築した「中小企業支援プラットフォーム」だ。

 

持株会社として、グループ全社の経営戦略の立案・実行および経営管理をおこなう同社は、各グループ会社が行う業務(セールス・マーケティング、生産管理、購買・物流、商品開発、品質管理、経営管理、人材確保など)を、同社の統括責任者が会社の壁を超えて横断的に統括し、有機的に結び付けて経営を支援することで、各社経営基盤の強化を図っている。

 

例えば、優れた製品を持っているが売上が伸び悩んでいるA社には、全国的な販売網を有するB社の販路を利用したり、販売ノウハウを活用したりするといったことである。また、上場企業である同社の信用力を活用した資金調達力によって安定した資金繰りを実現している。
グループ内で最もノウハウを有した人物が統括責任者に就くことにより、連携をより効果的なものとしている。
このように、グループ全体で各グループ会社の優れた商品や技術、販路や製造ノウハウといった「強み」を共有し、人材・資金・販路不足といった「弱み」を補完する仕組みが「中小企業支援プラットフォーム」である。

 

「中小企業支援プラットフォーム」は、現在の体制においても有効に機能し効果をあげているが、今後さらに子会社が増加することにより、新たな強みとなるノウハウが加わりグループの経営資源もさらに蓄積され、それによって既存の子会社にとっても業績拡大の機会や生産効率化ノウハウの獲得などを図ることができるという新たなシナジーが生じることとなる。
このようなプラットフォームの拡張性はヨシムラ・フード・ホールディングスの事業基盤をさらに強固なものとする。

 

(同社資料より)

 

②セグメント
主要なセグメントは、「製造事業セグメント」と「販売事業セグメント」の2つ。「その他事業」は、不動産賃貸および管理事業等、イベント・メディア・マーケティング事業等で構成。

 

 

◎製造事業セグメント
それぞれの会社が独自の商品を開発、製造し、国内企業は主に卸売業者を通じて日本全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、飲食店等へ販売し、ホタテを中心とした海産物については、主に輸出企業などへ販売をしている。海外企業は主にシンガポールおよびマレーシアのホテル、飲食店、スーパーマーケット等へ販売している。2025年2月末現在、主なグループ会社は以下の26社。

 

(製造事業セグメント グループ会社)

会社名

特色

楽陽食品株式会社

(東京都足立区)

国内5カ所の工場で、チルドシウマイおよびチルド餃子を製造販売している。チルドシウマイの生産量は国内トップシェアである。

株式会社オーブン

(愛媛県四国中央市)

供給量が限られた広島県産カキを調達する独自のルートをもち、かきフライを主力商品として、鶏なんこつのから揚げやささみフライ等を製造販売している。

白石興産株式会社

(宮城県白石市)

1886年創業、宮城県白石市特産の白石温麺を主力商品とし、伝統的な製法により製造される乾麺等の製造販売をおこなっている。

株式会社桜顔酒造

(岩手県盛岡市)

1973年、岩手県の地場の10の酒蔵が結集して設立。日本最大の杜氏集団である「南部杜氏」の技により生み出された日本酒は、フルーティな味わいで高い評価。

株式会社ダイショウ

(埼玉県比企郡ときがわ町)

ピーナッツバターのパイオニアであり。独自の製法により作られる「ピーナッツバタークリーミー」は1985年の販売開始以来続くロングセラー商品。

株式会社雄北水産

(神奈川県足柄上郡大井町)

船上で捕獲直後にマイナス50度からマイナス60度で瞬間冷凍される船凍品のマグロ等を使用したねぎとろ、まぐろ切り落としを製造販売。

純和食品株式会社

(埼玉県熊谷市)

埼玉県HACCPを取得するなど、万全な生産管理体制を構築しており、ゼリーの製造においては新興企業ながら、大手GMSに評価されるなど、技術力と商品力には定評がある。

株式会社エスケーフーズ

(埼玉県大里郡寄居町)

チルド・冷凍とんかつ等の製造販売を主力とし、顧客ニーズに対応する製品を生産している。また、商社等を介さず、直接仕入れ、直接販売もおこなっている。

株式会社ヤマニ野口水産

(北海道留萌市)

半世紀にわたり、北海道特産品である鮭とばや、にしん等を熟練工によって独自の製法により製造販売している。

JSTT SINGAPORE PTE.LTD.

(シンガポール)

シンガポールにおいて、空輸で運ばれた新鮮な日本産の魚介類等を使用し、寿司、巻物、おにぎり等の製造販売をおこなっている。

株式会社おむすびころりん本舗

(長野県安曇野市)

自社開発のフリーズドライ装置により、製菓原料、非常食等を製造している。

株式会社まるかわ食品

(静岡県磐田市)

浜松エリアにおける餃子の有名店。こだわりぬいた素材で創業以来秘伝のレシピにより餃子の製造・販売をおこなっている。

PACIFIC SORBY PTE. LTD.

(シンガポール)

シンガポールにおいて、チルド及び冷凍水産品の加工、卸売りをおこなっている。

株式会社森養魚場

(岐阜県大垣市)

養殖鮎の生産量は国内トップであり、採卵・ふ化から育成・出荷まで安定的に生産できる独自のノウハウを蓄積している。また、雄雌を産み分ける技術も有している。

NKR CONTINENTAL PTE. LTD.

(シンガポール)

シンガポールおよび子会社のあるマレーシアにおいて、厨房機器の製造、輸入販売、設計施工、メンテナンスをおこなっている。

株式会社香り芽本舗

(島根県出雲市)

ソフトタイプのわかめふりかけ、ひじきふりかけ、わかめスープ、わかめ茶漬け等の自社商品からOEM商品まで、高品質かつ多様なラインアップの商品を製造している。

十二堂株式会社

(福岡県太宰府市)

ソフトふりかけ「梅の実ひじき」等を製造、販売。全国に多くのファンを持ち根強い人気を誇る。

株式会社小田喜商店

(茨城県笠間市)

茨城県「岩間の栗」を中心とした製品の製造・販売をおこなっている。

株式会社細川食品

(香川県三豊市)

国産野菜を使用したかき揚げ、チヂミなどの冷凍総菜や、赤飯などの冷凍米飯製品を製造している。

株式会社丸太太兵衛小林製麺

(北海道札幌市)

生麺(ラーメン)の製造・販売を中心に、餃子の皮の製造及びたれ等調味料の販売もおこなっている。

株式会社林久右衛門商店

(福岡県福岡市)

独自に開発した最中に入ったお吸物を主力商品とし、削り節、だしの製造加工・販売をおこなっている。

株式会社マルキチ

(北海道網走市)

オホーツク海で獲れる大粒で肉厚なホタテを中心に、サケ、イクラ、カニ等の製造加工・販売をおこなっている。

株式会社ワイエスフーズ

(北海道茅部郡森町)

北海道でも有数の漁場と言われる噴火湾で採れるホタテを中心に、サケ、イクラ、イカ等の製造加工・販売をおこなっている。

株式会社マタツ水産

(北海道山越郡長万部町)

主に北海道長万部で採れたホタテやサケなどを高度な技術と先進的な設備で加工し、販売している。

有限会社オガネサン清藤水産

(北海道茅部郡森町)

噴火湾で採れた新鮮なホタテを片貝に加工し、販売しており、片貝の生産量では国内で圧倒的なシェアを誇っている。

株式会社富強食品

(千葉県野田市)

春巻きの皮を主力商品とした中華料理材料等の製造販売をおこなっている。

 

.

◎販売事業セグメント
販売力と企画力を強みとしており、国内企業は主に産業給食事業者、生活協同組合等へ、海外企業は主にスーパーマーケット、ホテル、飲食店等へ販売をおこなっている。2025年2月末時点、グループ会社は以下の4社。

 

(販売事業セグメント グループ会社)

会社名

特色

㈱ヨシムラ・フード

(埼玉県越谷市)

業務用食材の企画・販売を主とし、自社で物流機能を持たず、販売先へ直送するビジネスモデルを構築している。

㈱ジョイ・ダイニング・プロダクツ

(埼玉県越谷市)

冷凍食品の企画・販売をおこなっている。日本全国の生活協同組合に直接口座を有しており、それを活用してグループ商品の販売もおこなっている。

SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITED(シンガポール)

アジア各地の有力な水産会社から高品質かつ安心・安全な冷凍水産品および冷凍水産加工品を仕入れ販売している。

株式会社ワイエス海商

(北海道茅部郡森町)

「食の宝庫」といわれる北海道の食材を厳選し、店舗やインターネットを通じて販売しているほか、温浴施設や飲食店を運営している。

 

◎その他セグメント
2025年2月末時点、グループ会社は以下の2社。

 

(その他セグメント グループ会社)

会社名

特色

SHARIKAT NATIONAL FOOD

(シンガポール)

シンガポールにおいて食品工場兼食品用低温倉庫を所有し不動産賃貸業をおこなっている。

株式会社ONESTORY

(東京都渋谷区)

イベントビジネス等を実施。地域に眠る「食」や「文化」等を再発掘・再編集し、プレミアムなコンテンツとしてプロデュースしている。

 

【1-5 特徴と強み】

①事業承継の受け皿としての優位性
食品業界のM&Aにおける有力なストロングバイヤーは、大手食品会社や投資ファンドなどであるが、同社は主として以下の3点で確固たる競合優位性を有している。

 

*受け皿としての広範な受容力
同社ではグループ化した会社の売却を目的としておらず、短期的な業績回復を図るだけでなく、中長期的な視点から会社の持続的な成長の実現を目指している。そのため、事業規模が小さく成長に時間がかかる企業や、成長のための経営資源が不足しているような企業などを含め、幅広い中小企業の受け皿になることができる。
この点で、対象とする企業規模について一定のスケールが必要な大手食品会社、投資ファンドとの大きな差が生まれている。
また、売却してキャピタルゲインを得ることが目的の投資ファンドの場合、中小食品企業のオーナー経営者の信頼を得ることは容易ではなく、この点でも、中期的な視点で持続的成長を目指すグループ一体経営を実践している同社は大きなアドバンテージを有している。

 

*高度なM&A実行力
創業以来、中小の食品関連企業を多数グループ会社化し、その後の再成長を実現してきたため、食品業界の市場環境・商習慣、中小食品企業特有のリスク等を熟知しており、数ある中小企業の中から強みを持つ企業を選ぶ優れた目利き力を有する。
加えて、デューデリジェンスや交渉のノウハウ、知見の蓄積も豊富であり、M&Aの実行力は極めて高い。

 

*幅広いネットワークを通じた豊富かつ良質なM&A情報
都市銀行、地方銀行、信用金庫、証券会社などの金融機関や、M&Aアドバイザリー業務をおこなう企業等との幅広いネットワークを構築しており、豊富な中小食品企業のM&A情報を収集することができる。
また「食品業界に特化」「売却を目的としていない安心感」といった要因により、量のみでなく同社のニーズに則した質の高い情報を得ることもできている。

 

②中核スキル:中小企業支援プラットフォーム
グループ全体で各グループ会社の優れた商品や技術、販路や製造ノウハウといった「強み」を共有し、人材・資金・販路不足といった「弱み」を補完する仕組みである「中小企業支援プラットフォーム」によって、グループ会社の活性化を実現しており、その実績は高く評価されている。

 

③地域活性化への貢献
子会社の株式会社桜顔酒造(岩手県)、白石興産株式会社(宮城県)、株式会社オーブン(愛媛県)をはじめとした、地方の中小食品企業の事業承継等を積極的におこなってきた。
中小企業支援プラットフォームを活用することで、これまで地域を限定して販売されていた魅力ある商品を全国(および一部海外)に展開することや、グループの資金を活用して新たな設備投資を行うことが可能であり、これによって地方の中小食品企業の再成長と地方経済の活性化に貢献している。

 

【1-6 配当政策・株主優待制度】

(配当政策)
株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと位置付けているが、現在は成長過程にあると考えているため、現金はM&Aや設備投資等による積極的な事業展開およびプラットフォーム拡充による経営基盤の強化を図るための投資等に充当させることが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えている。
このため設立以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は、事業拡大のための投資および既存事業の必要運転資金とする方針である。将来的には、各事業年度の経営成績および財政状態を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針だ。

 

(株主優待制度)
株主満足度の向上のため保有株数及び保有期間に応じて優待品を贈呈している。

 

(株主優待制度概要)

保有株式

優待回数

優待内容

300~499株

年1回(株式継続保有期間1年以上の2月末日時点の株主)

1,500円相当の同社グループ製品を贈呈

500株~2,499株

年1回(株式継続保有期間1年以上の2月末日時点の株主)

2,500円相当の同社グループ製品を贈呈

2,500株~9,999株

年2回(株式継続保有期間1年以上の2月末日、8月末日時点の株主)

それぞれ10,000円相当のホタテ、イクラなどの海鮮セット

10,000~49,999株

年2回(株式継続保有期間1年以上の2月末日、8月末日時点の株主)

それぞれ40,000円相当のプレミアム北海道セット

50,000株以上

年4回(株式継続保有期間1年以上の2月末日、5月末日、8月末日、11月末日時点の株主)

それぞれ40,000円相当のプレミアム北海道セット

 

プレミアム北海道セットは、主にグループ企業であるマルキチ、ワイエスフーズが特別に製造もしくは取り扱う市場には出回らない希少な製品等が含まれる。

【1-7 ESG経営】

前述した目指す姿「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ ~消費者が多様な食文化を享受できる豊かさの実現~」を基本理念として「ESG経営」に取り組んでいる。

 

項目

主な取り組み

E(環境)

環境に配慮した持続可能な製品製造•

*環境変化に依存しない、もしくは、環境に負荷をかけない持続可能な製品製造技術・ノウハウを保有

*限られた食料資源の有効活用や効率的な生産を実施

 

森養魚場:気候変動、河川の水質汚染等の影響により天然鮎が減少する中、独自技術にて養殖鮎を安定供給

ヤマニ野口水産:端材やサイズ不揃い品を用いた製品開発により食材ロス削減への貢献

雄北水産:原材料の有効活用により、ネギトロや中落ちを効率的に生産・販売

 

製造工程にて発生した産業廃棄物の再利用

*グループ各社:製造工程にて発生した廃棄物を地域の畜産業者などに提供することによる食品廃棄物の有効活用

 

消費電力削減

*グループ各社:工場の使用電力削減を目的とした、LED化、高効率ボイラーの採用などを順次実施

S(社会)

地域に強力なファンを抱える企業を引き受けることにより、事業の存続に貢献

 

地域社会における食の多様性への貢献

*地域の消費者から高いニーズがあり、こだわりを持った原材料・レシピによる製品開発を実施

 

香り芽本舗:地元中国地方のふりかけ市場にてトップクラスのシェア

まるかわ食品:鮮度抜群の豚肉や(主に)地場産キャベツを中心としたこだわりぬいた原料と秘伝のレシピ

おむすびころりん本舗:信州安曇野の立地条件とフリーズドライ技術を生かした地域の特産品開発

ダイショウ:保存料、着色料不使用。なめらかな食感と飽きのこない味

オーブン:広島の清浄海域、条件付清浄海域に限定したカキの仕入れ

 

*学生等へ昼食の無償支援プロジェクト参画(おむすびころりん本舗)や小学生向け社会見学の場として開放およびプレゼントの提供(森養魚場・純和食品)

 

従業員の多様性

*グループ各社:女性の活躍の場を整備、障害者、外国人の登用など各種取組みを実施

G(ガバナンス)

中小企業支援プラットフォームによる支援

*グループ会社の自律性を担保しつつ、状況に合わせた事業計画立案や進捗管理への関与

*機能別の統括部署を設置し、グループとして事業支援や各種進捗管理などを実施

 

経営リソースのサポート

*グループ会社の資金調達や次世代経営者の育成により、グループ会社経営を支援

 

同社では、後継者不在企業を譲り受け、グループ化して活性化する事業はESG経営そのものと認識している。
また、ESG経営の推進により地域社会への貢献や消費者への価値提供を進め、同社グループに共鳴して参画を希望する優良企業や同社グループに共感して株主として支援する企業・消費者を増やすことが、持続的な成長の実現に繋がると考えている。

 

 

(同社資料より)

 

2.2025年2月期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

24/2期

構成比

25/2期

構成比

前期比

修正予想比

売上高

49,781

100.0%

58,110

100.0%

+16.7%

-0.2%

売上総利益

10,288

20.7%

13,299

22.9%

+29.3%

-

販管費

7,921

15.9%

9,138

15.7%

+15.4%

-

営業利益

2,366

4.8%

4,161

7.2%

+75.8%

+34.2%

経常利益

2,989

6.0%

4,251

7.3%

+42.2%

+20.0%

当期純利益

1,036

2.1%

1,861

3.2%

+79.5%

+14.9%

EBITDA

4,291

8.6%

6,626

11.4%

+54.4%

+26.3%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。EBITDAは営業利益に償却費(減価償却、のれん)、コロナ関連補助金収入およびM&Aにかかる取得費用を加算して算出。修正予想比は25年1月公表の業績予想に対する比率。

 

増収大幅増益、売上・利益とも業績予想を上回る
売上高は前期比16.7%増の581億円。国内・海外とも増収。既存企業の販売強化、ワイエスフーズグループ(ワイエスフーズ、マタツ水産、清藤水産、ワイエス海商)の子会社化が寄与した。
営業利益は同75.8%増の41億円。ワイエスフーズグループをグループ化したことに加え、ホタテの販売価格が上昇したことで、ワイエスフーズグループ、マルキチが大幅増益。利益率の高いホタテ事業の売上高構成比上昇で売上総利益が同29.3%増と増収率を上回り、粗利率も2.2%上昇。販管費も同15.4%増加したがこれを吸収し大幅な増益となった。
東京電力からの賠償金及びその他ホタテ関連補助金を合計12億円特別利益に計上した一方、シンガポールの子会社JSTT Singapore Pte. Ltd.等の株式取得により発生したのれんに係る減損7億円を特別損失として計上した。

 

【2-3 セグメント動向】

 

24/2期

構成比

25/2期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

製造事業

39,923

80.2%

47,649

82.0%

+19.3%

販売事業

9,259

18.6%

9,991

17.2%

+7.9%

その他事業

598

1.2%

468

0.8%

-21.7%

 合計

49,781

100.0%

58,110

100.0%

+16.7%

営業利益

 

 

 

 

 

製造事業

2,598

6.5%

4,335

9.0%

+66.8%

販売事業

518

5.6%

586

5.9%

+13.2%

その他事業

23

3.9%

-70

-

-

 調整額

-773

-

-690

-

-

 合計

2,366

4.8%

4,161

7.1%

+75.8%

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

*製造事業セグメント
増収増益。
国内においては、ワイエスフーズグループが業績へ大きく貢献した。消費者の節約志向が強まったことにより低価格帯商品の販売が増加したこと、株式会社マルキチにおいてホタテ貝柱の販売単価が上昇したことなどで増収増益。
海外においては、シンガポールにおける競争環境の変化、原材料価格高騰等の影響により増収減益。

 

*販売事業セグメント
増収増益。
国内においては、既存取引先の深耕および新規取引先の開拓を推進したことにより、激しい価格競争の下でも前期同水準で推移した。 
海外においては、SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITEDによるホタテ販売が好調に推移した。

 

【2-2 地域別売上動向】

 

24/2期

25/2期

前期比

国内

38,643

46,374

+20.0%

海外

11,138

11,735

+5.4%

シンガポール

8,804

9,488

+7.8%

マレーシア

2,333

2,246

-3.7%

合計

49,781

58,110

+16.7%

*単位:百万円

 

◎国内
ワイエスフーズグループが寄与し増収。

 

◎海外
マレーシアが減収も、マルキチ、ワイエスフーズのホタテの拡販が奏功し増収。

 

【2-4 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

24年2月末

25年2月末

増減

 

24年2月末

25年2月末

増減

流動資産

28,337

32,448

+4,111

流動負債

25,026

20,479

-4,547

 現預金

10,225

13,170

+2,945

 仕入債務

2,921

3,309

+387

 売上債権

7,131

8,186

+1,054

 短期有利子負債

18,486

12,434

-6,052

 たな卸資産

10,193

10,177

-15

固定負債

15,307

19,055

+3,748

固定資産

25,167

23,620

-1,547

 長期有利子負債

13,126

16,476

+3,349

 有形固定資産

10,842

11,217

+374

負債合計

40,333

39,534

-799

 無形固定資産

11,987

10,197

-1,790

純資産合計

13,171

16,534

+3,363

 投資その他の資産

2,337

2,205

-131

 利益剰余金

4,765

6,627

+1,861

資産合計

53,505

56,069

+2,563

負債純資産合計

53,505

56,069

+2,563

 

 

 

 

有利子負債合計

31,612

28,910

-2,702

*単位:百万円

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

利益の積み上げ及び賠償金の受領などで現預金が増加し、資産合計は前期比25億円増加の560億円。
有利子負債の減少等で負債合計は同7億円減少の395億円。
利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加などで純資産合計は同33億円増加の165億円。
自己資本比率は前期より3.4ポイント上昇し19.7%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/2期

25/2期

増減

営業CF

5,764

6,630

+866

投資CF

-4,529

-845

+3,683

フリーCF

1,234

5,784

+4,549

財務CF

2,318

-2,978

-5,296

現金同等物残高

8,126

11,039

+2,913

*単位:百万円

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

税金等調整前当期純利益の増加、仕入債務の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少などで投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

【2-5 トピックス】

(1)株式会社オーブンと株式会社細川食品が合併
25年4月、同社の子会社である株式会社オーブンを存続会社、同じく子会社の株式会社細川食品を消滅会社とする吸収合併を決議した。合併の効力発生日は2026年3月1日の予定。

 

(合併の目的)
今回の合併は、両社の経営資源を融合し、商品力・生産体制・営業基盤の強化を図ることで、変化の激しい市場環境に柔軟に対応できる事業運営体制を構築することを目的としている。
地理的に近接した両社の生産設備を一体的に活用することで、効率的な生産体制を構築するとともに、製造品目の整理・再編により生産効率の向上を図る。また、仕入れルートを共有することにより、原料の安定的な調達を図るとともに、規模の経済を活かしたコスト削減にも取り組む。細川食品が強みとする国産野菜を使った製品開発力と蒸し・油調などの加工技術、オーブンの全国に展開する営業ネットワークと組織的な商品開発体制、製造工程の数値管理ノウハウを掛け合わせることで、商品開発のスピードと品質を一層高めるとともに、ラインナップの拡充にもつなげていく。
こうしたシナジーを通じて、顧客に対してより高付加価値な製品・サービスを安定的に提供できる体制を整え、企業としての競争力と持続的成長を向上させる考えだ。

 

(2)東京電力による賠償金について
東京電力は、処理水放出により被害が発生している企業に対して以下の概要により賠償金を支払うと発表していたが、それぞれ賠償金の一部を受け取った。

 

①輸出関連事業者(輸出に伴う損害を被った事業者)向け

対象となる被害

賠償金の計算方法

賠償金の概要

処理水放出に伴う輸出先国の輸入拒否等によって、現実に廃棄・転売等または生産・製造の断念等を余儀なくされたことによる減収が生じた場合

逸失利益 + 検査費用 + 追加的費用 – 補助金・損害保険金等

2024年12月、ワイエスフーズが約8.5億円を受領(賠償対象期間23年8月1日~23年10月31日)

 

今後は、ワイエスフーズにおいて2023年11月1日以降の損害を、マルキチ及びマタツ水産においても賠償請求を継続する。

 

②水産加工業・水産卸売業

対象となる被害

賠償金の計算方法

賠償金の概要

処理水放出による風評被害によって生じた逸失利益及び追加的費用

逸失利益 + 追加的費用

2025年3月、マタツ水産が約1.3億円を受領

 

①同様、ワイエスフーズ及びマタツ水産において賠償請求を継続する。

 

*逸失利益とは、「処理水放出がなければ得られたであろう収益と実際に得られた収益との差額から、処理水放出がなければ負担していたであろう費用と実際に負担した費用との差額(処理水放出により負担を免れた費用)を控除した額」

 

(3)インサイダー取引の発生及び再発防止の取り組み
(案件概要)
2025年1月、子会社の株式会社マルキチおよび株式会社ワイエスフーズの元代表取締役2名が、証券取引等監視委員会より金融商品取引法違反(内部者取引および情報伝達)の嫌疑で札幌地方検察庁に告発され、その後、札幌地方検察庁より金融商品取引法違反の公訴事実に基づき、起訴された。

 

(原因分析)
同社は、コンプライアンスおよびリスク管理の強化を経営における最重要課題と位置づけ、内部者取引防止策を含む管理体制の整備・強化に継続的に取り組んできた。具体的には、同社および子会社を対象とした内部者取引防止規程の整備、ルールの徹底、さらに研修を通じた教育・啓蒙活動を実施してきた。そうした中、このような事案が発生したことについて同社では極めて遺憾であると考え、その主な原因は、元役員のインサイダー取引に対するコンプライアンス意識の欠如にあったと考えている。そこで同社は、今回の事案発生を厳粛に受け止め、内部者取引の未然防止に向けた管理体制を改めて精査し、再発防止策の策定とともに、全社員への意識啓発および教育の一層の強化を推進していく。

 

(再発防止策の概要)
規程の改訂、教育・情報管理・監査体制の一層の強化を通じて、インサイダー取引の再発を防ぐ厳格な管理体制を構築する。
再発防止策を迅速かつ確実に実施し、今後、同様の事案が発生することがないよう、グループ一丸となって取り組んでいく。
(1)内部者取引防止規程の改訂
①違反行為の明確化および違反時の処分内容の詳細化を実施。
②株式売買時の事前申請制度の適用範囲を全社員(子会社を含む)へ拡大。
③全社員(子会社を含む)に対する内部者取引防止規程の再周知およびルールの徹底。
④内部監査室による定期的な監査を実施し、全社における規程の運用状況を継続的に確認。

 

(2)教育・啓発活動の再整備
①経営トップによるコンプライアンス意識向上に向けたメッセージの定期的な発信。
②子会社を含む管理職以上の社員を対象とした、インサイダー取引防止に関する研修の定期的な実施。
③子会社を含む役員を対象とした、インサイダー取引防止に関する特別研修の定期的な実施。
④外部専門家と協議の上、研修内容の定期的な見直しと選定を実施。
⑤役員就任時および社員雇用時に、インサイダー取引禁止に関する誓約書の提出を義務化。

 

(3)情報管理体制の強化
①重要事実等の取扱いに関する管理体制の見直しおよびアクセス権限の厳格な管理の徹底。
②機密情報の取扱いルールの再整備と、メール・情報共有ツールに対する監査実施による情報漏洩防止措置の強化。
③内部監査室による定期的な監査を実施し、全社における情報管理体制の運用状況を継続的に確認。

 

(4)モニタリング・ガバナンスの強化
①株式取引の監視体制を厳格化し、子会社を含む管理職以上の社員の株式保有状況について定期的な調査を実施。
②上記において異常な株式取引が確認された場合に備え、迅速かつ的確な詳細調査が実施できる体制を構築。
③M&A実施時、相手先に対し当社株式の取引禁止を周知し、基本合意書締結時等の適切な時期に誓約書を取得。
④M&Aによりグループ入りした企業の役員・社員に対し、PMIの一環としてインサイダー取引防止に関する研修を実施。

 

(経営責任の明確化)
今回の事案発生に至った事態を真摯に受け止め、経営上の責任を明確にするため、役員報酬の減額を決議した。
減額幅は代表取締役CEO、取締役CFO、社外取締役を除く取締役がそれぞれ月額報酬の30%、20%、10%。対象期間は2025年4月から5月までの2ヶ月間。

 

3.2026年2月期業績予想

【業績予想】

 

25/2期

26/2期(予)

前期比

売上高

58,110

60,700~63,700

+4.5%~+9.6%

営業利益

4,161

3,000~4,000

-27.9%~-3.9%

経常利益

4,251

2,900~3,900

-31.8%~-8.3%

当期純利益

1,861

1,120~1,580

-39.8%~-15.1%

EBITDA

6,626

5,570~6,570

-15.9%~-0.9%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。EBITDAは営業利益に償却費(減価償却費、のれん)およびM&Aにかかる取得費用を加算して算出。

 

増収減益を見込む
アメリカの関税政策の不透明さに加え、ホタテの仕入価格及び販売価格の変動が予測しづらいことから、売上・利益予想をレンジ表示としている。
売上高に関しては既存企業のオーガニックな成長等により増収を見込んでいる。
営業利益に関しては、足元のホタテの仕入価格、販売価格を前提としている。
当期純利益については、東京電力からの賠償金は含めていない。

 

4.中期経営計画

2030年2月期に向けた中期経営計画を発表した。

 

【4-1 目指す姿】

「中小食品企業のグローバルプロデューサー」目指す。
日本の“おいしい”を支える中小企業を支援し、地域の持続的な発展と世界の食文化の豊かさに貢献。さらに、日本食の海外人気を追い風に、世界へと広がる成長を目指していく。

 

【4-2 定量目標】

オーガニック成長と新規M&Aにより成長を加速させ、2030年2月期「売上高1,150億円、営業利益80億円、EBITDA120億円」を目指す。
中期経営計画定量目標には、過去の実績をもとに新規M&Aを含めている。

 

(同社資料より)

 

【4-3 成長戦略】

「M&A(ロールアップ戦略及びニッチ戦略)」「オーガニック成長」「海外展開」の3つの成長戦略を掲げている。同時にホールディングスに設置されたコンプライアンス部門によるグループ各社の法令順守体制を強化推進し、経営基盤強化を図る。

 

 

(同社資料より)

 

(1)M&A戦略
①ロールアップ戦略
核となる企業を中心に同業他社を巻き込むことで、マーケットシェアを拡大するとともに、「業績安定化」「コストダウン」「生産効率化」といったシナジー効果を創出する。

 

具体例としては、北海道の水産加工業のロールアップが挙げられる。
多数の中小企業が競合する北海道のホタテ加工業界において、マルキチ及びワイエスフーズという代表企業を核としたロールアップを推進し、ホタテ加工分野で高いシェアを獲得。シナジーの創出により、さらなる収益拡大を図る。

 

<主なシナジー効果>
・グループ間の連携により生産量を平準化し、生産効率を改善
・原材料・設備・人材の横断的な活用
・スケールメリットによる収益力の向上
・仕入と販路の統合により成長機会を共有

 

②ニッチ戦略
ニッチ市場で高いシェアを持つ企業、もしくは高付加価値商品により競争優位性を確立している企業をグループ化し、グループ間シナジーで成長を追求する。

 

(同社資料より)

 

具体例としては「森養魚場」「富強食品」が挙げられる。
*森養魚場
稚魚の孵化から出荷までを自社で手掛ける鮎の陸上養殖のパイオニア企業である同社は、ニッチ市場で高いシェアを獲得することで競争優位性を確立し、高い利益率を誇っている。
グループ入り後、約6年間で売上高は約1.6倍、営業利益は約1.8倍に成長している。

 

*富強食品
業務用春巻きの皮というニッチな市場で長年トップシェアを維持している。創業以来受け継がれてきた独自のレシピと製法により、他社には再現できない高品質を実現し、多くの高級中華料理店で採用されている。

 

③M&Aターゲット
戦略別に以下のようにターゲットを定めてM&Aを推進する。

(同社資料より)

 

(2)オーガニック戦略
中小企業支援プラットフォームを活用し、グループ企業に対して経営支援及びシナジー創出支援を行うことで業績向上を実現する。

 

代表的な具体例は以下の通り。

企業名

支援内容・効果

丸太太兵衛小林製麺

(2022年12月にM&A実行)

資本提携先の国分グループと連携し、共同で商品を開発。小林製麺初の市販用商品を発売(小林製麺で製造した麺を楽陽食品で包装し、国分北海道の専売品としてスーパー量販店へ発売)。

 

グループ入り後、約2年間で売上高が約1.3倍、営業利益が約1.6倍に成長。

十二堂

(2022年1月にM&A実行)

生産設備への投資により生産効率を向上。ブランドの浸透が進み、高級スーパーでの取り扱いが拡大。

 

グループ入り後、約3年間で売上高が約1.5倍、営業利益が約2.0倍に成長。

小田喜商店

(2022年6月にM&A実行)

本社から人材を派遣し、中長期的な事業拡大に向けた支援を実施。

取引先と提携して栗の自社栽培を開始。栗農家の後継者不足により休耕地が増え、栗の調達が難しくなる中、自社管理圃場の拡大を通じて安定的な生産体制を構築。

 

(3)海外展開
近年、特にアジアにおいて日本食レストラン数が増加している。日本食が世界中に浸透する中、食品の輸出額も年々増加傾向にある。
こうした環境下、グループ会社の取扱商品をシンガポールを中心に、アジア全体に供給する。

 

(同社資料より)

 

【4-4 財務戦略】

2030年のROE目標値は20%以上。財務健全性を保ちながら、財務レバレッジを活用したM&Aを推進する。
現在は利益率の高い企業のM&AによりROEは上昇傾向にある。
中期経営計画においては、良好な調達環境を活かし、借入金を中心としたM&Aを継続するとともに、経営効率化やグループ間シナジー効果を発揮することで更なる利益の向上を図る。
必要に応じて不採算事業からの撤退や事業ポートフォリオの見直しを実施し、利益率の維持・向上を図る。

 

【4-5 株主還元】

2030年2月期までの5年間の基本方針は、「M&A及びオーガニックな成長により利益を増加し、株価を上げることで株主へ利益を還元する」というもの。
具体的には、事業から生み出されるキャッシュフローは引き続きM&Aをはじめとした成長投資へ配分するほか、株主優待を活用してファン株主を創出する。成長のステージに応じて自社株買いや配当を検討する。

 

*株主優待制度
中長期的に株式を保有する株主へ感謝の意を込めて、2026年2月期より継続保有要件を設けるとともに優待利回りを引き上げ、株主優待制度を拡充することとした。
300株以上の株式を1年以上継続保有する株主へ、日頃の感謝の気持ちを込めて株主優待品を贈呈する。

 

(同社資料より)

 

5.吉村CEOに聞く

吉村CEOに、決算概要、中期経営計画、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

◎25年2月期決算概要、26年2月期業績予想について
25年2月期は前期比で増収、大幅な増益となりました。
国内・海外とも増収で、ワイエスフーズのグループ化が寄与したことに加え、ホタテの価格上昇が売上・利益を大きく押し上げました。
価格上昇の背景としては、一つは供給量の減少が挙げられます。日本では養殖のホタテを計画立てて生産しているのですが、日本以外の国はほぼ天然です。天然のホタテは、温暖化の影響による不漁に加え、環境保護の観点から水揚げ量が厳しく管理されているため、供給は少しずつではありますが減少しています。
一方、需要面では欧米に加え中国を中心としたアジアでも富裕層が高級なホタテを求めています。北海道のホタテは養殖ではありますが、最高品質で粒も大きく、そうした需要が世界的に拡大しています。
中国の日本産水産物の輸入禁止はまだ続いていますが、中国にはもう在庫がありません。仮に禁止が解けた際は、日本産ホタテの国際的な競争力が極めて高いことから、価格上昇の大きな要因になるのではないかと考えています。
26年2月期は増収減益予想としています。
今お話ししたように、ベースとなる需要は旺盛でホタテ価格は強含むとは見ていますが、仕入価格も上昇しており、短期的には需要のぶれも見込む必要があり、利益面では堅目に予想しています。

 

◎株式会社オーブンと株式会社細川食品の合併
株式会社オーブンと株式会社細川食品の合併は、両社の経営資源を融合し、商品力・生産体制・営業基盤の強化を図ることで、変化の激しい市場環境に柔軟に対応できる事業運営体制を構築することを目的としています。
特に、愛媛県のオーブンと香川県の細川食品では、工場が近接しているため、これを一体的に活用することで、人手不足の解消、生産効率上昇、コスト削減が期待できます。
その他にも、仕入れルートの共有による原料の安定的な調達、規模の経済を活かしたコスト削減、細川食品が強みとする国産野菜を使った製品開発力とオーブンの全国に展開する営業ネットワークのシナジーなども追求していきます。

 

◎中期経営計画の公表
今回初めて中期経営計画を公表し、2030年2月期「売上高1,150億円、営業利益80億円、EBITDA120億円」という目標も掲げました。
以前から一部の投資家からは中期経営計画の公表を求められていたのですが、当社の中心戦略であるM&Aはお相手のあることなので、公表は控えてきました。

 

(同社資料より)

 

しかし、ここ数年でM&Aに関する当社の実力は大きく向上しました。
2024年2月期にはマルキチ、ワイエスフーズという過去最大規模のM&Aを実施することができましたし、M&A案件紹介件数は2024年2月期の400件から2025年2月期には540件へと順調増大しています。
経営基盤の安定、チームの拡充、案件判断におけるノウハウの蓄積、資金調達力の向上など、長年かけて構築してきた企業受け入れ体制が整い、企業規模が大きく、成長性や利益率も高い企業の譲り受けが可能となり、飛躍的成長に向けた新たなフェーズへ移行したと考えています。
お相手のある話ではあり、1年、2年は多少のぶれがあるかもしれませんが、こちらが手を挙げればM&Aが成立するという状況になっており、5年先、2030年については具体的なイメージを描けるようになった、公表する自信がついたというようにご理解ください。

 

◎中期経営計画の成長戦略
成長戦略に位置づけている「M&A(ロールアップ戦略及びニッチ戦略)」「オーガニック成長」「海外展開」については、従来と大きな変化はありません。

 

(同社資料より)

 

M&Aのターゲットとしては、これまで数多くの案件を手掛けてきた中での成功事例から「小粒ではあるがニッチで特色を持ち営業利益率の高い企業」を中心に据えています。
また、例えば生産ラインの大規模な自動化、従業員の待遇改善といった、中小企業単独ではなかなか賄うことのできない投資について、資本を投入することで実力を引き上げることにも注力していきます。
加えて、食品に関して川上に近い企業、原材料を製造している企業、つまりその領域においてなくてはならない企業にも強い関心を持っています。

 

ロールアップ戦略については、ホタテの次の領域としていくつかアイデアを持っています。
ここでは具体的なお話しはできませんが、ホタテのように商品価格の変動の大きなものではなく、事業ポートフォリオの観点から、国内外における安定的なビジネスフィールドについて既に調査、検討を開始しています。2030年までに1つ、2つの核となる企業をM&Aしたいと思います。
ロールアップ戦略の一つのトピックスと位置付けていた北海道ホールディングス(仮称)の設立については、本来であれば25年2月期中に着手したいと考えていたのですが、株式会社マルキチおよび株式会社ワイエスフーズの元代表取締役2名がインサイダー取引の嫌疑で起訴された事案に関連して、遅れが発生してしまいました。当社として、北海道ホールディングスによるロールアップは重要な戦略の一つであるため、改めて取り組んでいきたいと考えています。

 

ニッチ戦略については、先程申し上げた「小粒ではあるがニッチで特色を持ち営業利益率の高い企業」をM&Aするのと並行して、そうした企業をブラッシュアップし、さらに優良な企業に育成します。
その代表例である森養魚場は、稚魚の孵化から出荷までを自社で手掛ける、鮎の陸上養殖のパイオニア企業で、ニッチ市場で高いシェアを獲得することで競争優位性を確立し、高い利益率を誇っています。水槽の設備更新投資を行ったほか、国分グループ本社の製品で、お酒に合う肴を缶詰にしたこだわりのおつまみ「K&K 缶つま」シリーズに、「森養魚場」の小鮎を使用した「岐阜県産 小鮎油漬け」をラインアップし、それまでは扱いの無かった当社グループが持つ別の販売ルートで販売したところ、大変好調な売れ行きを見せました。こうしたこともあって、グループ入り後、約6年間で売上高は約1.6倍、営業利益は約1.8倍に成長しています。
最近グループ入りした富強食品は、業務用春巻きの皮というニッチな市場で長年トップシェアを維持しています。創業以来受け継がれてきた独自のレシピと製法により、他社には再現できないパリッとした食感や風味など、高品質の皮を製造しており、多くの高級中華料理店で採用されています。
現在、国分グループと組んで、ミドルクラスの一般市販用製品の開発を検討しています。製品が完成した暁には、これまで富強食品にはなかった新たな販売ルートで流通させることで、さらなる売上・利益の拡大を図ります。

 

既存企業のオーガニック成長については、ここ数年取り組んでいるのが「アイテム数の削減」です。
マーケットインの名の下、お客さんの要望を聞いて、お客さんに合わせた型を創り出すというのはある意味正しいのですが、現在、世の中を見まわしてみると少し過剰であると考えています。
今当社グループの生産現場はどこも高い稼働率となっています。そうした状態で売上の伸長を目指すと、時間延長や人員の補充など、コストが上昇して作れば作るほど利益が減少するといった状況に陥ってしまいます。
そこで、売上を減らしてでも利益をしっかりと確保することを優先しており、昨年後半くらいから実績が出始めており、今期はよりいい結果に繋がるものと思います。

 

海外展開に関しては、シンガポールにはすでに販売網を持っていますから、そこを経由してタイやマレーシアに、高品質で現地の方から関心の高い日本の水産物を販売していきたいと考えています。

 

先程申し上げた森養魚場の鮎を用いた「缶つま」の他にも、国分グループとの協業は着実に進展しています。
生麺(ラーメン)の製造・販売を中心に、餃子の皮の製造及びたれ等調味料の販売もおこなっている北海道札幌市の丸太太兵衛小林製麺は札幌の有名ラーメン店に麺を卸しているのですが、2024年春にはスーパーマーケット向けの商品を作りました。
スーパーマーケット向け商品ですから、パッケージに麺を2玉、味噌、調味料を入れてと、個包装の簡単なように見えてかなり難度が高く、個包装の機械が必要なのですが、チルド焼売を製造している楽陽食品の工場がその機械を使用しているので、楽陽食品に包装してもらいました。出来上がった商品は国分が様々なスーパーマーケットに販売します。この商品が大変好評で、今第3弾を販売中です。
まさにグループ内のリソースを利用して商品を作り上げ、パートナーである国分が販売するという大変理想的なパターンです。
今後もさらに広げていきたいと思います。

 

◎株主・投資家へのメッセージ
子会社の株式会社マルキチおよび株式会社ワイエスフーズの元代表取締役2名が、インサイダー取引の嫌疑で起訴された事案につきまして、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを、謹んで深くお詫び申し上げます。本件に関する調査が行われていた期間中、当社の成長戦略の柱であるM&A活動を一時中断せざるを得ず、その結果、事業面においても一定の機会損失が生じました。
決算についてはM&A効果とホタテ価格の上昇により大幅な増益を達成することができました。また、3月一杯で事案対応はほぼ終了しましたので、元の巡航速度に回帰して事業を推進させ、2030年の目標達成に向けて邁進してまいりますので、是非ご期待ください。

 

6.今後の注目点

初めての中期経営計画公表は、確実に有望なM&A案件を成約させることができる自信の表れのようだ。一方で、人手不足の中、拡大するグループに適した人的資本の確保・強化が課題であると、吉村CEOは認識している。その意味では、株式会社オーブンと株式会社細川食品の合併は、特に工場における人材確保という課題解決に向けた好事例であるようだ。M&Aに加え、マネジメント層の確保も含めた人的資本強化の進捗も注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

5名、うち社外2名(2名とも独立役員に指定)

監査役

3名、うち社外3名(3名とも独立役員に指定)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年5月30日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の皆様をはじめとして、顧客、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーの方々との信頼と協働によってこそ、持続的な成長と中長期的な企業価値を創造できると考えております。
そのため、当社では経営の健全性、透明性、効率性を確保する基盤として、コーポレート・ガバナンスの継続的強化を経営上の最重要課題としており、意思決定の迅速化、業務執行に対する監督機能の強化、取締役に対する経営監視機能の強化、および内部統制システムを整備することで、会社の透明性・公平性を確保し、すべてのステークホルダーへのタイムリーなディスクロージャーに努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>

原則

実施しない理由

(補充原則5-2-1 事業ポートフォリオに関する基本方針)

事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況につきましては、取締役会での議論の上、今後、株主の皆様に分かりやすく示していけるよう努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

(原則1-4 政策保有株式)

当社は、取引関係の維持・強化等を目的として、限定的かつ戦略的に株式を保有いたします。この場合、取引関係の維持・強化によって得られる利益とリスク、資本コスト等を総合的に勘案し、当社の企業価値の増加に資するか否かの観点から、投資の可否を判断いたします。取締役会は、毎年個別の政策保有株式について、保有に伴う便益、リスクが資本コストに見合っているか、中長期的な観点から当社の企業価値の向上に資するかどうかについて経済合理性等を検証し、保有の意義が必ずしも十分でないと判断される銘柄については、縮減を図ります。また、議決権の行使にあたっては、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として、適切に行使いたします。株式価値を毀損するような議案については、会社提案・株主提案にかかわらず、肯定的な判断をおこないません。

(補充原則 2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保)

当社は、人材の多様性の確保と育成が中長期的な企業価値の向上につながるものと考え、性別、年齢、国籍等にかかわらず、能力や実績を重視した公正かつ公平な人材採用・登用に取り組んでおります。管理職に占める女性労働者の割合は2025年2月末時点で17.9%となっており、2036年2月期までに30%以上とすることを目標に、さらなる女性活躍の推進に取り組んでまいります。外国人の中核人材については、海外子会社において外国人を管理職に登用しており、国内においても国籍を問わず登用を検討し、引き続き多様性の確保を推進してまいります。また、当社の中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現に向けて、組織力の向上を目的とした適切な人員配置や、次世代の子会社経営人材の育成につながる仕組みの構築を進め、人事制度および教育研修体系の整備を実施してまいります。

(補充原則3-1-3 サステナビリティへの取り組み)

当社は、「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」というミッションのもと、「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」という企業理念に基づいた事業活動を通じて、日本が直面する社会課題の解決に貢献するとともに、当社の中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。後継者不在などの課題を抱える企業をM&Aによりグループ化し、中小企業支援プラットフォームを活用してその活性化と成長を支援する当社のビジネスは、まさにESG経営の実践であり、今後もサステナビリティへの取り組みを強化することで、より持続可能な経営を追求してまいります。なお、サステナビリティに関する具体的な取り組みについては、有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」に開示しております。

人的資本への投資については、「あなた“らしさ”を大切にします」というバリューのもと、性別・年齢・国籍等にとらわれず、多様な人材の確保に努めるとともに、従業員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境の整備を目指すことが、当社の中長期的な企業価値向上と持続的な成長につながると考え、積極的な採用活動、人事制度および人材育成の強化に取り組んでおります。なお、人的資本への投資に関する取り組みについては、「有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組」に開示しております。

(原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針)

 

 

当社は、株主・投資家との建設的な対話およびコミュニケーションを推進するため、経営管理本部をIR担当部署として体制を整備しております。株主・投資家からの取材については、経営管理本部が代表取締役CEO、取締役CFOおよび取締役経営管理本部長などと対応方針を協議のうえ、合理的な範囲内において対応しております。また、四半期毎に決算説明会を開催し、その内容は動画にて配信しております。株主・投資家からのご意見等は、適宜、取締役および経営幹部に報告しております。

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】

当社の2025年2月期末時点におけるPBRは2.13倍であり、同時点におけるプライム市場の食品産業における加重平均値(1.5倍)を上回っております。 また、当社のROEは18.8%となっており、2025年4月14日に公表した中期経営計画で掲げたROE20%の目標達成に向けて、引き続き資本コストや株価を意識した経営の実現を図るとともに、収益性の向上に取り組んでまいります。

 

 

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