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(3608) 株式会社TSIホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(3608)TSIホールディングス 2025年2月期決算

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下地 毅 社長 CEO

株式会社TSIホールディングス(3608)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

繊維製品(製造業)

代表取締役社長

下地 毅

所在地

東京都港区赤坂8-5-27

決算月

2月

HP

https://www.tsi-holdings.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,022円

76,941,393株

78,634百万円

14.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

40.00円

3.9%

60.47円

16.9倍

1553.70円

0.7倍

*株価は4/21終値。各数値は25年2月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

22年2月

140,382

4,440

5,834

1,022

11.32

5.00

23年2月

154,456

2,329

3,859

3,063

35.21

10.00

24年2月

155,383

1,760

3,758

4,849

59.97

15.00

25年2月

156,606

1,636

2,076

15,230

210.02

65.00

26年2月(予)

153,000

5,700

6,000

4,200

60.47

40.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

株式会社TSIホールディングスの25年2月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年2月期決算概要
3.2026年2月期業績予想
4. 中期経営計画の進捗
5. 今後の注目点
<参考1:中期経営計画「TSI Innovation Program 2027」>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年2月期の売上高は前期比0.8%増の1,566億円。国内はリアル店舗が堅調も、ブランド撤退の影響もありECは前年を割っている。海外はリアル店が苦戦も、施策の成功でECは堅調だった。営業利益は同7.1%減の16億円。増収及び構造改革施策として仕入れ先集約や現地決済化、適正な価格設定への取り組みを進めたが、在庫適正化(継続事業)ならびに早期在庫消化(撤退事業)に向けた値引販売および評価損の増加や為替悪化等による仕入原価高騰で売上総利益は同0.9%減少し、粗利率も同0.9ポイント低下。販管費は販促広告費・物流費・業務委託費の効率化を進めたほか、費用効率向上のスキームを策定して諸経費を削減した。しかし、固定資産売却に伴う一部費用が、販管費計上となったため、営業利益は修正予想を下回った。その一時費用を除くと、概ね修正予想並み。固定資産売却益239億円を特別利益に計上したため、当期純利益は同214.0%増の152億円。

     

  • 26年2月期の売上高は前期比2.3%減の1,530億円、営業利益は同248.4%増の57億円の予想。既存ブランドについては一定の成長を計画している一方で、前年度にブランドポートフォリオの見直しにより複数の事業を撤退した影響により微減収を見込む。一方で、2026年2月期が現中期経営計画の2年目にあたり、同計画の最終年度に向けた重要な1年であるという認識の下、引き続き構造改革プロジェクトの遂行に経営資源を投入し、収益改善に取り組む。前期の一過性費用の減少及び撤退事業によるプラスの影響に加え、事業成長による売上高拡大や収益構造改革の追加効果などを含め大幅な増益、22年2月期に記録した過去最高の営業利益44.4億円を上回る計画。配当は基本配当25.00円/株に特別配当15.00円/株を含む40.00円/株を予定。予想配当性向は基本配当で41.3%、配当合計で66.1%。

     

  • 25年2月期に固定資産売却益として239億円を計上したが、これを原資として、25年2月期から27年2月期の3ヵ年にわたり、普通配当に加える形で特別配当として総額約50億円(見込み)を還元することとした。 2025 年2月期の期末配当予想については、当初予定の19.00円/株に特別配当の46.00円/株を加え65.00円/株に修正。2026年2月期及び2027年2月期においても通常配当(配当性向30%以上)に加え、特別配当として各期15.00円/株を上乗せする予定である。

     

  • 「PBR1倍超え実現に向けた各種施策の明言」「追加の自己株式取得発表」などにより2024年3月の底値から2025年2月まで約2倍となりPBR1倍を超えた同社株だが、トランプ関税問題による市場全般の調整もあり、再びPBR1倍割れの水準での株価推移となっている。

     

  • 「営業利益率6%以上、ROE8%以上」はともに、決して簡単な数字ではないと思われるが、構造改革の確実な実施と、固定資産売却によって得たキャッシュをいかに有効に活用できるかが、目標数値達成に向けた大きなカギとなるだろう。不退転の覚悟をもって全社一丸でやり切るとの下地社長の決意の下での着実な各施策の進捗を期待したい。

     

1.会社概要

50を超えるブランドを展開するアパレル企業。ブランドごとにターゲット(性別、年齢、嗜好など)を明確に定め、幅広い顧客層に対し、製品を提供している。「環境・社会」「市場」「生活者」の観点から、変革を進め、アパレルonly企業から脱し、社会へのバリューを 企業成長に繋げながら、ファッションがもたらすエンターテインメントで、プロダクト提供にとどまることなく独創的な提供価値を創出する「ファッションエンターテインメント創造企業」を目指している。

 

【1-1沿革】

アパレル業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、株式会社東京スタイルと株式会社サンエー・インターナショナルが互いの強みを活かし持続的な成長を図るべく、2011年6月、株式移転により株式会社TSIホールディングスを設立。東京証券取引所に株式を上場した。2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行した。

 

【1-2 経営理念】

以下のような、経営理念、ビジョン、パーパス、グループ行動基準を掲げ、「ファッションエンターテインメント創造企業」を目指している。

 

経営理念

私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います。

ビジョン

時代の流れを先取りする、最高のクリエーションとライフスタイル提案を通じて、世界で最も愛されるグローバルグループを目指します。

パーパス

ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す。

グループ行動基準

1.公正・公平の精神と誠実さを大切に、情熱と責任を持って仕事に取り組みます。

2.常に問題意識を持ち、自己研鑚に努め、柔軟な発想で積極的にチャレンジします。

3.一人ひとりの個性を尊重し、コミュニケーションに努め、自分の役割を実行してチームに貢献します。4.心からのおもてなしで、お客様に感動と歓びをお届けし、お客様満足の向上に努めます。

5.ステークホルダーそれぞれの立場を尊重して相互利益の実現を図り、持続的な会社の成長に貢献します。

6.社会と自然環境に心から感謝し、事業を通じて社会の発展に貢献します。

 

【1-3 事業内容】

持株会社である同社、連結子会社26社及び持分法適用会社1社でグループを構成。
「アパレル関連事業」では、主に衣料品の企画、製造、販売、ライセンスブランド事業及び生産・物流事業を、「その他の事業」では、販売代行及び人材派遣事業、合成樹脂関連事業、店舗設計管理事業及び飲食事業等を行なっている。

 

 

(1)ブランド
現在50を超えるブランドを展開。ブランドごとにターゲット(性別、年齢、嗜好など)を明確に定め、幅広い顧客層に対し、製品を提供している。
売上高上位10ブランドの売上高構成比は約6割。粗利率は約50-65%。

 

*主要ブランド概要

ブランド

対象

コンセプト

パーリーゲイツ

 

 

女性・男性

OUT ON THE WEEKEND(週末は都市を離れて)

「もっと気軽にもっと楽しくゴルフをしよう」というコンセプトのもと、 年齢や性別など、あらゆる枠組みを超えた、新しいゴルフウェアとゴルフ本来の素晴らしさを提案。

 

ナノ・ユニバース

 

 

女性・男性

 

「色気を纏わせる」をコンセプトに、洗練されたデザイン・高品質な機能素材を通じて、お客様の魅力を引き出し、自信を創出するスタイルを提供。

 

マーガレット・ハウエル

 

女性・男性

 

1970年、英国デザイナーのマーガレット・ハウエルが自宅にて製作をスタート。服は一時的な流行ではなく生活の一部であり、素材、作り、スタイルを大切にする。ウェアからホームプロダクツ、カフェまで幅広く展開する。

ナチュラルビューティーベーシック

 

 

女性

 

その女性の持つ、自然の美しさを基本に。

いつまでも美しく、自分らしく、女性らしく、上品に、シンプルに、今を生きる女性のためのファッションストアブランド。

 

アヴィレックス

 

 

 

 

男性

 

1975 年に米空軍正式指定業者として誕生。数々のフライトジャケットをタウンユースとして復刻。長年培った技術を駆使して生まれるミリタリーアイテムは優れた機能性とデザイン性ゆえに世界各国の人たちに愛用されている。

 

(2)販売チャネル
リアル店舗とECを通じて国内・海外でアパレル商品の販売を行っている。

 

 

リアル店舗数は25年2月期末で739店舗(海外含む)。うちアパレルが706店舗。
事業構造改革に伴い不採算店舗の閉鎖を進めているが、「ファッションエンターテインメント企業」として、ブランドの世界観を発信し、顧客を楽しませる、わくわくさせるための拠点としてのリアル店舗の重要性に変わりはないと考えており、スクラップ&ビルドを進めながら顧客支持の高いブランド中心に店舗を展開。大型店舗や一等地への魅力的な出店により、店舗事業の収益構造を改革する。

 

 

国内EC売上高に占める自社サイト比率は上昇傾向にあったが、一部事業撤退の影響で24年2月期、25年2月期と連続して低下した。EC売上高は21年2月期をピークに減少しており、再成長が課題である。

 

【1-4 特長・強み・競争優位性】

時代性を伴ったカテゴリーやブランドの発見・発掘、育成が同社の得意分野。
アスレジャー、ウェルネス、アウトドア、ストリートといった分野が、趣味嗜好のニーズをとらえインバウンドも取り込み、メンズのブランドを中心に好調に推移している。
同社では、アメリカ、イギリスなどでブランドを発掘した実績があり、ここ10年では、新しいブランドを導入し、成功に結びつけているのは同社を含め、数少ない。
リスクを取る土壌・経験と、育成するノウハウ・実績が同社の競争優位性の源泉である。

 

【1-5 ROE分析】

 

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

25/2期

ROE (%)

2.9

-0.2

2.2

4.0

1.1

3.1

5.0

14.9

 売上高当期純利益率(%)

2.07

-0.12

1.28

2.88

0.73

1.98

3.12

9.73

 総資産回転率(回)

0.95

0.93

0.99

0.85

0.95

1.12

1.16

1.14

 レバレッジ(倍)

1.47

1.68

1.76

1.64

1.52

1.41

1.37

1.35

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

25年2月期のROEは前期に比べ大きく上昇したが、これは特別利益に固定資産売却益239億円を計上したことが主要因。
26年2月期の売上高当期純利益率は2.75%と24年2月期を下回る水準を見込んでおり、中期経営計画「TIP27」における、2027年2月期 ROE 8.0%以上達成に向けては、引き続き収益性の向上及び、資産効率性の改善に取り組む必要がある。

 

 

2.2025年2月期決算概要

【2-1業績概要】

 

24/2期

構成比

25/2期

構成比

前期比

修正予想比

売上高

155,383

100.0%

156,606

100.0%

+0.8%

-0.3%

売上総利益

84,729

54.5%

83,995

53.6%

-0.9%

-

販管費

82,968

53.4%

82,359

52.6%

-0.7%

-

営業利益

1,760

1.1%

1,636

1.0%

-7.1%

-18.2%

経常利益

3,758

2.4%

2,076

1.3%

-44.8%

-17.0%

当期純利益

4,849

3.1%

15,230

9.7%

+214.1%

+1.5%

*単位:百万円。修正予想比は25年1月公表の業績予想に対する比率。

 

微増収、減益。売上高は修正予想通りも、営業利益・経常利益は予想を下回る
売上高は前期比0.8%増の1,566億円。国内はリアル店舗が堅調も、ブランド撤退の影響もありECは前年を割っている。海外はリアル店が苦戦も、施策の成功でECは堅調だった。
営業利益は同7.1%減の16億円。増収及び構造改革施策として仕入れ先集約や現地決済化、適正な価格設定への取り組みを進めたが、在庫適正化(継続事業)や早期在庫消化(撤退事業)に向けた値引販売および評価損の増加や為替悪化等による仕入原価高騰で売上総利益は同0.9%減少し、粗利率も同0.9ポイント低下。販管費は販促広告費・物流費・業務委託費の効率化を進めたほか、費用効率向上のスキームを策定して諸経費を削減した。しかし、固定資産売却に伴う一部費用が、販管費計上となったため、営業利益は修正予想を下回った。その一時費用を除くと、概ね修正予想並み。
固定資産売却益239億円を特別利益に計上したため、当期純利益は同214.0%増の152億円。

 

 

 

【2-2 チャネル別動向】

 

24/2期

25/2期

前期比

百貨店

19,258

18,059

-6.2%

非百貨店

70,390

73,113

+3.9%

国内EC

34,716

33,669

-3.0%

国内その他

18,706

19,602

+4.8%

国内合計

143,071

144,445

+1.0%

海外

12,312

12,160

-1.2%

合計

155,383

156,606

+0.8%

*単位:百万円
*非百貨店:ファッションビル、駅ビル、アウトレット等、 その他:卸や社販等のその他アパレル事業、グループ会社の非アパレル事業。

 

国内リアル店舗の売上高は前期比 1.7% 増。インバウンド需要を取り込むブランドがリアル店をけん引した。百貨店は前期比減収となったが、これは構造改革による店舗純減や売上のウェイトが高いゴルフブランドの在庫消化促進によるものである。

国内ECはブランド撤退による影響が大きく、同3.0%の減収。

海外は、為替影響による押し上げ要因があるものの米国子会社における卸事業の苦戦が響き減収。

 

◎EC売上動向

 

24/2期

25/2期

前期比

国内EC

34,716

33,669

-3.0%

 自社サイト

15,864

14,624

-7.8%

 その他

18,851

19,045

+1.0%

海外EC

3,942

4,109

+4.3%

EC合計

38,658

37,779

-2.3%

*単位:百万円

 

国内ECは減収。他社ECは限定/コラボ商材を強化し増収も、自社ECは費用対効果見直しのための販促費抑制や、リニューアルのためのクローズに伴い在庫をリアル店に寄せた影響で減収。
海外ECは、円安による押し上げもあるが、外貨ベースでも前年比増収で復調傾向にある。

 

【2-3 店舗数、ブランド概況】

(1)店舗数

(同社資料より)

 

引き続き店舗人員の効率性や生産性の向上を目指し、ブランド横断/エリアでの配置最適化や不採算店舗の統廃合・大型店舗出店などの施策を進めた。

 

(2)ブランド別売上高・粗利率

(同社資料より)

 

◎主力ブランドの状況

PEARLY GATES

前期比:92.9%。

在庫適正化に向け、積極的にセールを実施したが、その結果、反動で売上は伸び悩んだ。足下はPokémonコラボが既存客のみならず、国内外の新規客へリーチし好評だ。25年3月には上海・台湾に新店がオープンした。インバウンドを含めた海外戦略も進めていく。

NANO universe

前期比:102.2%。

サイトリニューアルの影響で自社ECの流入数が一時的に減少したものの、全体としては堅調な売上を維持し、価格戦略の見直しや調達効率の最適化などにより収益性の改善を達成した。今後は利益体質を維持しながら、売上の拡大に重点を置く。

MARGARET HOWELL

前期比:99.3%。

収益性向上に向けた低収益店舗の撤退・集約により店舗数は純減も、既存店の売上が伸長した。総じて、リアル店は好調に推移した。一方で、ECは十分な成長を達成することが出来なかったため、今後は、引き続き店舗戦略を推進する。旗艦店を中心にライフスタイルに寄り添った商品提案でファンの拡大を目指す。

AVIREX

前期比:108.8%。

売上高・粗利ともに前年を上回っており、収益性も高く好調を維持している。2025年はブランド誕生から50年という節目の年でもあり、更なる価値創造に取り組んでいく。

 

主力ブランド以外でも、前年比2桁以上の成長を達成したブランドも多数存在している。
and wanderは、前期比137.5%。「ALTRA」や「Gramicci」とのコラボが好評を集め、またスペイン発ファッションブランドとの初コラボが話題になるなど、ブランドならではのテイストが詰まったコレクションは多くの注目を浴びている。さらに「and wander」のデザイナーが「Hypebeast100」に2年連続で選出された。今期は新規出店も計画しており、飛躍を期待している。
Schottは、前期比127.6%。2024年4月にTikTokアカウントを開設。YouTubeでもブランドとの親和性が高い著名人とのコラボ商品のメイキング動画を発信するなど、SNSコンテンツを拡充している。さらに、若者層からの支持が厚い「YOUNGER SONG」とのコラボは、ブランドの持つ伝統と新たな感性を融合させた取り組みとして注目された。既存ファンのみならず新たなファン層の醸成にも繋がっている。
このほか、2024年秋に「human woman」から誕生した新ライフウェアブランドであるwagonaは、2024年10月と2025年3月にはPOP UP STORE 「旅するように暮らす展」を開催した。3月は「wagona」のコレクション販売だけでなく、作家のクラフト作品の展示・販売や、占星術から2025年を読み解くお茶会など、ブランドコンセプトに紐づく体験型イベントを企画し、好評を博した。ブランドの世界観が深い共感を呼び、コアファンとの絆を深めながら、認知を着実に広げている。

 

(3)国内 全店・既存店売上高
25年2月期通期累計の既存店売上高は前期比102.0%、全店売上高は同101.0%であった。

 

 

【2-4 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

24年2月末

25年2月末

増減

 

24年2月末

25年2月末

増減

流動資産

70,877

86,273

+15,396

流動負債

28,388

26,864

-1,524

現預金

27,472

46,325

+18,853

仕入債務

9,615

8,005

-1,610

売上債権

11,681

11,450

-231

短期有利子負債

8,322

1,247

-7,078

たな卸資産

28,052

25,909

-2,143

固定負債

7,653

6,063

-1,590

固定資産

62,586

54,885

-7,701

長期有利子負債

1,630

407

-1,223

有形固定資産

6,560

6,165

-395

負債合計

36,041

32,928

-3,113

無形固定資産

7,159

6,318

-841

純資産

97,422

108,230

+10,808

投資その他の資産

48,866

42,401

-6,465

利益剰余金

60,052

74,140

+14,088

資産合計

133,464

141,159

+7,695

負債純資産合計

133,464

141,159

+7,695

*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

現預金の増加などで資産合計は前期末比76億円増加の1,411億円。有利子負債の減少などで負債合計は同31億円減少の329億円。利益剰余金の増加などで純資産合計は同108億円増加の1,082億円。
自己資本比率は前期末比3.7ポイント上昇し76.4%となった。

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/2期

25/2期

増減

営業CF

-525

5,717

+6,242

投資CF

3,496

28,328

+24,832

フリーCF

2,971

34,045

+31,074

財務CF

-7,252

-15,135

-7,883

現金同等物

26,766

45,822

+19,056

*単位:百万円

 

税金等調整前当期純利益の増加等で、営業CFはプラスに転じ、フリーCFのプラス幅は拡大した。
短期借入金が純増から純減に転じ財務CFのマイナス幅拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

【2-5 トピックス】

◎株主還元の強化
同社は企業価値の長期的な向上を図りつつ安定的な配当水準を維持することを重要な基本方針としており、株主還元水準として、配当性向30%以上を指標としている。
この方針の下、直近の業績動向を踏まえ、25年2月期の配当予想修正および2025年2月期から2027年2月期の3ヵ年にわたる特別配当の実施を公表した。
2025年2月期に固定資産売却益として239億円を計上したが、これを原資として、前述の3ヵ年にわたり、普通配当に加える形で特別配当として総額約50億円(見込み)を還元することとした。
これに伴い、2025 年2月期の期末配当予想については、当初予定の19.00円/株に特別配当の46.00円/株を加え65.00円/株に修正した。2026年2月期及び2027年2月期においても通常配当(配当性向30%以上)に加え、特別配当として各期15.00円/株を上乗せする予定である。

 

 

3.2026年2月期業績予想

【4-1 業績予想】

 

25/2期

構成比

26/2期(予)

構成比

前期比

売上高

156,606

100.0%

153,000

100.0%

-2.3%

営業利益

1,636

1.0%

5,700

3.7%

+248.4%

経常利益

2,076

1.3%

6,000

3.9%

+188.9%

当期純利益

15,230

9.7%

4,200

2.7%

-72.4%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

減収も大幅営業増益を予想
売上高は前期比2.3%減の1,530億円、営業利益は同248.4%増の57億円の予想。
既存ブランドについては一定の成長を計画している一方で、前年度にブランドポートフォリオの見直しにより複数の事業を撤退・譲渡した影響により微減収を見込む。一方で、2026年2月期が現中期経営計画の2年目にあたり、同計画の最終年度に向けた重要な1年であるという認識の下、引き続き構造改革プロジェクトの遂行に経営資源を投入し、収益改善に取り組む。
前期の一過性費用の減少及び撤退事業によるプラスの影響に加え、事業成長による売上高拡大や収益構造改革の追加効果などを含め大幅な増益、22年2月期に記録した過去最高の営業利益44.4億円を上回る計画。
配当は基本配当25.00円/株に特別配当15.00円/株を含む40.00円/株を予定。予想配当性向は基本配当で41.3%、配当合計で66.1%。

 

(同社資料より)

 

4.中期経営計画の進捗

企業価値向上に向けて、中期経営計画「TSI Innovation Program 2027」では、抜本的な収益構造改革と、成長加速に向けた投資を両輪で推進していく。

 

(1)構造改革
「仕入価格低減」「需給管理の適正化(プライシング)」「店舗改革」「EC統合/システム刷新」「販売コスト等の効率化」の5つの改革項目を掲げており、27年2月期には各項目合計で約100億円の収益改善を完遂することを目指している。
各項目およびその他の進捗、施策は以下のとおりである。

 

(同社資料より)

 

①仕入価格低減
生産・製造に対する戦略を定め、ビジネス形態に即した打ち手を講じることで原価を低減する。
仕入れ先集約、主要仕入先との戦略的パートナーシップ構築、中国国内工場の集約、生産リードタイムの短いブランドを中心としたASEAN生産移管等で、仕入原価を低減する。
26年2月期までに施策を完了させ、26年2月期は24年2月期対比で5億円超の創出を見込み、27年2月期単年で約30億円の改善効果を目指す。

 

(同社資料より)

 

②需給管理の適正化(プライシング)
プライシングのアプローチの型を作り、ブランド主導で分析と値付けを推進できるプロセス・仕組みを構築する。
競合・自社・顧客の視点で調査・分析を行い、プライシングの余地を把握し「プライシングの型」を構築する。
次いで、この型を用いて特定したプライシング余地を個別の価格に反映させる。
その後、意図した通りの上代上昇や粗利インパクトが創出できているかを分析・検証し、次期の価格戦略の改善に繋げる。
25年2月期は秋冬物24商品、春夏物25商品を対象に十数ブランドで実施した。
26年2月期には更に対象ブランドを拡大する。
27年2月期は商品企画を含む価格の適正化にも着手する計画だ。
27年2月期までに施策を完了させ、24年2月期と比較して、26年2月期は5億円超の創出を見込み、27年2月期単年で約25億円の改善効果実現を目指す。

 

③店舗改革
エリアを中心とした販売員の最適配置や制度改革に注力する。
個店においては業績を見ながら平日/週末の繁閑差、正社員比率等を踏まえ、最適人員数を定義する。
共通販売員制度を導入し、個店においては採用コントロールにより、個店の販売員を適正水準に保つ。エリアにおいては、一時的な繁忙にも対応が可能となる。
販売職においては新しいキャリアパスを整備し人材活用をより強化する。一つのブランド内で昇進するコースのほか、共通販売員として特定のスキルを磨き込みエキスパートとして複数のブランドで活躍できる道を設定するなど、やりたいこと・得意なことで活躍できる、多様なキャリアパスを提供する。
26年2月期までに施策を完了させ、24年2月期と比較して、26年2月期は5億円超の創出を見込み、27年2月期単年で約15億円の改善効果実現を目指す。

 

④EC統合/システム刷新
11の自社ECサイトと会員サービスを統合しブランドモール型オンラインストア「mix.tokyo」を25年2月に立ち上げた。
サイト統合による費用削減効果を見込むほか、システム統合と連動した業務オペレーションや運用体制の整備を行い、業務効率の最大化を実現する。更なるブランド追加統合に向けたITコスト削減も検討している。
25年2月期までに施策を完了させた。24年2月期と比較して、26年2月期は5億円超の創出を見込み、27年2月期単年で約5億円の改善効果実現を目指す。

 

⑤販売コスト等の効率化
ブランドに横串を通す形でのコスト統制を導入し費用対効果を高めるほか、 サプライチェーンを横断した視点で物流費を低減する。
全社横断的なレビューを通じたコスト統制の仕組みを導入し、広告宣伝・販促・業務委託を最適化するほか、従来の物流主体の取り組みに加えて、製販と連携したサプライチェーン横断的な物流最適化にも踏み込む。
前者においては、広告宣伝・販促・業務委託案件について審議委員会において案件を審議する。適正なコスト水準を設定するほか、コスト/経済合理性の妥当性を判断し、効果測定を行ってデータを蓄積する。
後者においては、返品や店舗間移動の最適化や倉庫人員・保管料の最適化を図る。
26年2月期までに施策を完了させ、24年2月期と比較して、26年2月期は10億円超の創出を見込み、27年2月期単年で約25億円の改善効
果実現を目指す。

 

(2)成長戦略
「成長ブランドへの投資」「顧客接点の強化」「新たな領域への進出」を掲げている。

 

①成長ブランドへの投資
下の図のようにブランドを4象限に分類、各ブランドの方針を定義し、成長性も収益性も低い再生見極めブランドのうち国内外の複数ブランドの撤退と売却を実施した。この改革により26年2月期には5億円程度の利益インパクトを見込んでいる。
一方、高成長・高収益の旗艦ブランドにおいては、大型店舗や新ブランド店舗を開店するなど、経営資源の再配分を実施している。
全ブランドの中期成長計画を策定したことにより、収益目標と戦略方向性が明確となった。
全体での成長と収益の最大化を目指し、2026年2月期以降、強化ブランドへの資本投下を本格化していく。

 

(同社資料より)

 

 

②顧客接点の強化
ブランド公式オンラインストアメンバーズ「mix.tokyo」を基盤に、顧客に合ったブランド横断での新たな価値を提案する。
「mix.tokyo」によりメンバーズサービスを統一するほか、顧客接点を各ブランドからTSIのブランド全体に拡張する。さらに、顧客とのタッチポイントを増やしながら、ブランドをより好きになる体験や新たな発見を提供するコミニティ・イベント等も企画・提供し、新たなエンターテインメントの価値をブランド横断で提案することで、OMO(※)を推進し、サービスレベルの向上と優良会員の醸成を目指す。
※OMO:Online Merges with Offline。ネット上とネット以外の店舗などの垣根を超えたマーケティング概念。

 

(3)経営全般
①経営基盤の見直し/強化:サステナビリティ経営に向けた取り組み
環境非営利団体「CDP」が実施している気候変動についての質問書の回答に対し、2年連続で「B」スコアの評価を得た。水セキュリティにおいては、初めて「B」スコアの評価を獲得した。
Bスコアは、8段階あるうちの上位から3番目にあたり、「自社の環境リスクや環境について把握し、行動している」と評価されたことを示すもの。
その他、主な進捗は以下の通り。

地球環境

温室効果ガス削減目標達成に向けて、低環境負荷素材の使用を推進しているほか、ショッピングバッグの脱プラスチック化と消費削減を目的とした有料化を実施した。

人的資本

マテリアリティとして捉えている人的資本項目のKGI・KPIを策定したほか、サステナビリティ推進に向けた全社必須研修、ワークショップが始動した。

社会

社内コンペで選定されたメンバーを中心に、ユニバーサルデザインウエアを作成した。

ガバナンス

サプライチェーンデューデリジェンス徹底のために、SAQ(自己評価質問票)を活用し、書面監査を実施した。今後は、実地監査も実施していく予定である。

 

②財務資本政策:資源配分の方針
中期経営計画策定・発表時は、3ヵ年総額のキャッシュ創出額を500億円としていたが、25年2月期中の不動産売却により110億円増額し610億円となった。
新たなキャッシュアロケーション計画は、「成長投資210億円、基盤及び効率化投資120億円、株主還元280億円」。増額した資源を成長投資・株主還元に配分し、更なる強化をはかる。

 

(同社資料より)

 

(4)今後の見通し
2027年2月期、「売上高1,650億円、営業利益100億円、売上高営業利益率6.0%以上、ROE8.0%以上」を目標としている。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

「PBR1倍超え実現に向けた各種施策の明言」「追加の自己株式取得発表」により2024年3月の底値から25年2月まで約2倍となりPBR1倍を超えた同社株だが、トランプ関税問題による市場全般の調整もあり、再びPBR1倍割れの水準での株価推移となっている。
「営業利益率6%以上、ROE8%以上」はともに、決して簡単な数字ではないと思われるが、構造改革の確実な実施と、固定資産売却によって得たキャッシュをいかに有効に活用できるかが、目標数値達成に向けた大きなカギとなるだろう。
不退転の覚悟をもって全社一丸でやり切るとの下地社長の決意の下での着実な各施策の進捗を期待したい。

 

<参考1:中期経営計画「TSI Innovation Program 2027」>

25年2月期を初年度として構造改革に踏み込む中期経営計画「TSI Innovation Program 2027(TIP27) 」を推進中である。

 

【1-1 TIP27策定の背景、策定方針、計画骨子、目指す姿】

(1)策定の背景、現状分析
2011年の東京スタイルとサンエー・インターナショナルの統合・合併後において、各ブランドの自主性を重視し、各ブランドが強化されることでTSI全体として成長してきたが、経営の土台は整う一方で、事業運営の一本化に向けた取り組みは途上であり、結果として、大幅な目標未達が常習化していた。

 

TSIホールディングの現状・課題
*コロナ後の立ち上がりに遅れが生じており、売上は横ばい
*組織一本化の遅れによる非効率に伴う低収益
*資本の非効率性

 

 

(2)策定方針
そこで、TIP27では、真にTSIホールディングスとして高収益を生み出すために、「ブランド横断での収益構造改革」「コアブランドを軸とした成長戦略」を中心に、全社最適な事業運営に向けた、抜本的な構造改革を加速することとした。

 

(3)計画骨子
企業価値向上に向けて、抜本的な収益構造改革と、成長加速に向けた投資を両輪で推進する。
経営基盤の強化を進めるとともに、収益構造改革によって生み出したキャッシュを成長投資に振り向け、「ファッションエンターテインメント創造企業」を実現する。

 

 

(同社資料より)

 

(4)目指す姿
中期経営計画を推進し、「コミュニティの創成」「健康や幸せに繋がるファッション」「美や個性による自己実現」を通じ、ファッション・デザイン・ホスピタリティを核に、社会に貢献することを目指している。

 

【1-2 収益構造改革と成長戦略】

(1)収益構造改革
これまでは、個人の経験や感性によるデザインを基に、各ブランドが個別に材料の調達や生産を行い、独自のルールで値付けし、個別運営の店舗やECで販売し「各ブランドの個性を活かす個別最適の追求」を行ってきたが、今後は「全社最適な事業運営への転換」を図るため、組織・仕組によるデザインや企画の立案、仕入や原料調達先の集約化、需給管理を仕組化したうえでの統一ルール下での価格設定、戦略的なエリアや人員配置による拠点・EC運営の効率化(現在30を超すブランドのECサイトの集約など)に取り組む。

 

具体的には、「仕入価格低減」「需給管理の適正化」「店舗改革」「EC統合/システム刷新」「販売コスト等の効率化」の5つの改革項目において27年2月期には約100億円の収益改善を完遂する。

 

(同社資料より)

 

(2)成長戦略
①強化ブランドの選定:ブランドポートフォリオの明確化
同社では57のブランド(※同計画策定時)を有しているが、これを定性・定量の両面で評価し、成長性と収益性の2軸で、各ブランドの役割を明確化する。
そのうえで、成長性・収益性の高い強化ブランドに集中投資を行う。成長性・収益性の低いブランドは、撤退も視野に入れて再生に向けた改革を断行する。

 

(同社資料より)

 

 

 

②顧客接点の強化:顧客に合ったブランド横断での新たな価値の提案
個性あるブランドで顧客と多面的につながることを目指す。
店舗・EC等の集約を前提に、個性的でバラエティ豊かな各ブランドが築いてきた顧客との接点をTSIのブランド全体に拡張する。
顧客の嗜好性やシーンに沿った新たなエンターテインメントの価値をブランド横断で提案する。
店舗やECのみでなく、コミュニティ・イベント・サロン 等を通じて、ブランドをより好きになる体験・新たな発見を提供する。

 

(同社資料より)

 

③新たな領域への進出
◎市場トレンドとTSIの強みを踏まえた新領域への参入
マーケットでは価格の二極化が進行している。
そうした中、高いファッション創造力と個性あるブランドを多数有する同社の強みを活かし、「高価格」「ベーシック」な既存ブランドによってハイエンド領域への進出を図るとともに、ファッション性とリーズナブルを両立する中・低価格帯マーケットへ進出する。
後者は同社が持つファッション創造力が活きる領域であり、M&Aも含めた新ブランドの立上げを検討している。

 

◎海外マーケットへの進出
米国市場、アジア市場、欧州市場、各市場の嗜好やニーズを踏まえ、海外市場での収益拡大を目指す。

 

 

(同社資料より)

 

【1-3 定量目標】

2027年2月期、売上高1,650億円、営業利益100億円、売上高営業利益率6.0%以上、ROE8.0%以上を目標としている。

 

(同社資料より)

 

【1-4 財務戦略・資本政策】

◎PBR1倍超えの実現へ
同社では自社の株主資本コストを5.4%~7.8%と推計している。
これを上回るROEを達成し、エクイティスプレッドを拡大することでPBR1倍を実現する。
ROE改善にあたっては、収益力の向上や株主還元の強化および非事業資産の圧縮による資産の効率化を進める。

 

(同社資料より)

 

株主還元方針については、これまで、企業価値の長期的な向上を図りつつ安定的な配当水準を維持することを重要な基本方針としてきたが、資本コストや株価、PBR を意識した経営のもと、収益性の改革と財務・資本政策を推進し、株主に対し株主還元の一層の充実を図るため、株主還元方針を変更し、「還元水準として、配当性向 30%以上を指標とする」と明記した。25年2月期から27年2月期に約50億円の特別配当を実施する。

 

また、資本効率の向上と積極的な株主還元の姿勢を明確に示すため、「TIP27 」の期間中において150億円の自己株式の追加取得を行うこと、純資産配当率(DOE)を目標として導入し、27年2月期までに4%以上を目指すことを明らかにした。

 

【1-5 サステナビリティ】 

※以下、要約。詳細は同社有価証券報告書(24年2月期)を参照。

 

(1)基本認識
同社グループは、前述のような「私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います。」という経営理念のもと、「ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す。」をパーパスとして事業を展開している。
世界が直面している課題は、地球の温暖化や人権の侵害、戦争等の深刻なリスクに覆われており、健全な地球環境と人権が尊重される社会が事業を営む上での礎であり、このことなくして企業の持続的成長は実現できないと考えている。同社グループでは、急速な社会の変容を成長の機会ととらえ、サステナビリティ経営を、事業活動の基本の核とし、財務と非財務の両面から統合的に取り組んでいく。
この考えのもと中期経営計画「TSIInnovationProgram2025(TIP25)」を2022年4月に公表し、2024年4月にはこれを「TSIInnovationProgram2027(TIP27)」として改定した。

 

(同社有価証券報告書より)

 

(2)マテリアリティ
同社グループでは、「地球環境」「人間」「社会」の各項目における優先して取り組んでいく重要課題「マテリアリティ」を以下のように特定している。

地球環境

人間

社会

・エネルギー

・原材料

・廃棄物

・水資源

・生物多様性

・ダイバーシティー

・健康・安全

・従業員幸福度

・公正な労働

・地域社会との共創

・次世代育成

・社会への支援

※各マテリアリティに関する詳細な説明は、以下のURLを参照。

 

地球環境
https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/environment/index.html
人間
https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/human/index.html
社会
https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/social/index.html

 

(3)主な取り組み・考え方
①ガバナンス
サステナビリティ経営に向け、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)への取り組みと事業活動を統合的にとらえ、マテリアリティを全ての活動の骨子とすることで、グローバルに展開するファッション企業にふさわしい事業運営体制の構築を推進している。健全性・透明性の保持と迅速な意思決定のための体制整備、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っている。
また、各マテリアリティに対する指標と目標は経営戦略の一環として設定するとともに、その達成状況は当社を含むグループ各社の業務執行取締役及び執行役員の人事評価に定量的に反映することとしている。パーパスの実現に向けて、グループ全体として継続的にサステナビリティ経営を推進するため、自ら取り組むべき課題に対応していく。バリューチェーン全体が社会規範及び法令を遵守し、高い倫理観を持って行動することで、顧客・取引先・株主・従業員・地域社会など、すべてのステークホルダーからの「信頼」に応えていく。

 

サステナビリティ経営推進への取り組みを拡大させるとともに、浸透に向けたガバナンスを強化するために、代表取締役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、経営方針・中期経営計画等と連動したサステナビリティ戦略の立案・実行・管理体制の整備等を行っている。

 

②人的資本
同社グループの事業活動の根底にあるのは、人々の心を輝かせるような価値創造を行いたいという思いである。従って、価値創造の根幹をなす人間は同社グループにおける最重要な経営資源且つ競争力の源泉であり、自らパーパスとして掲げたファッションエンターテインメントを実現するためにも、事業に関わる全ての人材の多様性を尊重し、精神的且つ物質的な幸福を確保したうえでその創造性を高めるべく、人材の育成と活躍できる環境の整備に努めていく。
従業員が心身ともに健康的に安心して働くことのできる職場環境を実現するべく、労働安全衛生委員会の開催やストレスチェックの実施等、法令に基づく体制の整備を図る一方、ワーク・ライフ・バランスを実現するべく、テレワーク勤務を推奨し、労働時間の削減にも取り組むとともに、働き方改革にも積極的に取り組んでいる。

 

③気候変動・自然資本
アパレル業界の温室効果ガス排出量は全産業のうち、4-10%を占めるとも言われており、その削減が最重要課題である。そのため、2022年4月に、2050年にカーボンニュートラルを実現することを長期目標として掲げた。同年10月にはTCFDの提言に賛同し、CO2排出量の削減目標を開示した。加えて2023年10月には、温室効果ガスをはじめとする温室効果ガス削減目標が科学的根拠に基づくものであるというSBT(Science Based Targets ※科学的根拠に基づいた排出削減目標)イニシアチブ」認定を取得。また、2023年CDP質問書の「気候変動」においては2年連続で「B」スコアを取得し、「水セキュリティ」については初めて「B」スコアを取得している。

 

 

<CO2排出量の実績と削減目標>

 

Scope1~3計

Scope1及び2

Scope3

CO2排出量実績

2025年2月期

18.2万トン

0.6万トン

17.6万トン

CO2排出量削減目標

2031年2月期

-35%

-10.8万トン

-40%

-0.4万トン

-35%

-10.3万トン

SBTにおけるCO2排出量削減目標設定水準

-

1.5%目標ごと年4.2%削減

WB2℃目標ごと年2.5%削減

※Scope1及び2の削減目標は1.5℃目標に準ずる。 Scope3は2050年カーボンニュートラル目標に準ずる。排出量は千トン未満を切り捨て表示。※排出量削減の進捗データは以下のURLから確認可能。

https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/environment/climate-change.html

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

5名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名)

監査役

3名、うち社外監査役2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年5月26日

 

<基本的な考え方>
当社は、「私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います」という経営理念のもと、グローバルに事業展開するファッションアパレル企業にふさわしい事業運営体制の構築に向け、健全性、透明性が高く、迅速な意思決定を可能とする体制を整備するともに、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っております。これらの取組みを通じて、各ステークホルダーとの良好な関係を築くとともにコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、当社の経営の基本方針である企業価値の継続的な増大に努めてまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則1-4.政策保有株式】
  当社は業務上または取引上安定的な関係を構築し、事業機会の創出や事業の円滑な推進を図ることにより当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合に株式を政策的に保有しております。
 政策保有株式については、定期的に保有の意義を検証し、取締役会において報告することとし、効果が薄れて来た株式については、配当等対象企業の状況を勘案した上で保有株式の縮減を図ってきております。
 議決権行使にあたっては、政策保有の目的に合致しているか、保有対象企業の企業価値及び株主価値の維持・向上に資するかといった観点から、議案ごとに総合的に賛否を判断しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
[補充原則2-3-1]
【原則3-1.-情報開示の充実】
[補充原則3-1-3]
【原則4-2. 取締役会の役割・責務(2)】
[補充原則4-2-2]
(1) 自社のサステナビリティについての取組み
 
当社は、サステナビリティステートメントして、「ファッションエンターテインメントでサステナブルな未来をつくる―美しい地球 あかるい社会 幸せな暮らし」を掲げ、グループが事業活動を通じて長期的かつ持続的に幸せを創出していく基盤となるマテリアリティとKGIを設定しています。
2021年9月にSDGs推進室を発足させ、2025年3月にはこれをSDGs推進部に改組し、サステナビリティ活動の推進を強化するとともに、社内体制の構築や社員に対する意識啓発に積極的に取り組んでおります。

 

具体的な活動報告については「TSIホールディングスサステナビリティサイト」をご覧ください。
https://sustainability.tsi-holdings.com/index.html

 

また、当社のTCFDへの対応並びにサステナビリティ方針、人権方針、ガバナンス方針、環境方針、及び社会方針の各方針につきましては、当社 ホームページにおいて開示しております。
「TCFD提言に基づく情報開示」 (https://www.tsi-holdings.com/pdf/221012_TCFD.pdf)  
「サステナビリティ方針」 (https://sustainability.tsi-holdings.com/management.html#policy)  
「人権方針」 (https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/human/index.html#policy)  
「ガバナンス方針」 (https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/governance/index.html#policy
「環境方針」(https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/environment/index.html#policy)
「社会方針」 (https://sustainability.tsi-holdings.com/materiality/social/index.html#policy
(2) 人的資本や知的財産への投資等
(i) 人的資本に対する投資について
 私たちの事業活動における価値の源泉であり、最大の資産は”人間”です。
共に働くすべての仲間が、身体的にも精神的にも"幸せ"な状態で活躍できるように、ダイバーシティ、従業員幸福度、健康・安全、公正な労働については、重要なマテリアリティとして設定し、環境の改善に努めてまいります。
 また、変化の時代に対応するために人材の教育と開発に投資していきます。「多能工人材」を育成するために、ジョブローテーション、研修制度・自己啓発制度の拡充等必要なスキルを取得するための制度を整備していきます。
(ii) 知的財産に対する投資について
 ブランドビジネスを営んでいる当社にとって、商標権や著作権をはじめとする知的財産は経営上極めて重要な意味を持っております。当社が中期経営計画であるTSI Innovation Program 2027 (TIP27) においてパーパスとして定めた「ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す。」を達成するにあたり、知的財産はお客様に提供するべき独創的な価値の根幹をなします。単純にすぐれたデザインやブランドの開発のみに留まらず、お客様の想像を超える顧客体験を提供するべくビジネスモデルやコミュニケーション設計などのノウハウにも積極的に投資を行ってまいります。

 

【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
[補充原則2-4-1]
(1) 多様性の確保について
TSIグループでは、「みんながみんならしく、ワークライフに多様性と柔軟性を」を実現するための取り組みを積極的に推進し、ダイバーシティあふれる誰もが活躍できる環境を整えます。

 

(2) 多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標、その状況について
(i) 女性の管理職への登用等
当社グループにおける2025年2月末日時点の女性管理職比率は31.2%ですが、2027年2月末までに35%とする目標を設定しています。
(ii) 外国人の管理職への登用等
外国人の管理職への登用等に係わる目標は定めておりませんが、引き続き社内で検討を進めて参ります。
(iii) 中途採用者の管理職への登用等の自主的かつ測定可能な「目標」と「その状況」
中途採用者の管理職への登用等に係わる目標は定めておりませんが、組織風土・文化の異なる各社を統合したTSIグループの個性に対応するため、多様な勤務制度(フレックス勤務制度、時短勤務、副業制度等)と、多様な研修制度を設定しています。社内公募やジョブローテーションも導入し、職務・職種・職歴の多様性を柔軟に受け止めながら、人事制度の適正な運用を図っています。

 

(3) 多様性の確保に向けた人材育成方針および社内環境整備方針、その状況について
(i) 多様性の確保に向けた人材育成方針
中核人材の登用等における多様性の確保については、性別や年齢、国籍等によらない個人の能力のみに基づく評価及び登用を進めることとしております。
採用にあたっては新卒採用に加えて、他業種からの人材を含めたキャリア採用も積極的に実施しております。また、女性の管理者への登用についても、既に全グループ管理職の30%が女性となっているものの、これを更に拡大するべく積極的な取り組みを進めてまいります。
外国籍社員についても、グループ全体では海外子会社を中心に既に100名以上の社員が在籍しておりますが、今後の海外進出拡大を視野に置きながら、更に優秀な人材を確保するべく積極的な採用を行っていく方針としております。
(ii) 多様な人材の更なる活躍に向けた環境整備
当社グループ各社においては、多様な人材が自らのライフスタイルに応じてその能力をいかんなく発揮してもらうべく、勤務時間・勤務形態の柔軟化、給与水準の見直し、店頭着用服に関する負担軽減等福利厚生面での制度充実、などの施策を実施するとともに、今後も継続して施策の拡充に取り組んでいく方針としております。
(iii) 「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進
性別、年齢、国籍、心身の状態など、様々な違いを持つ社員一人ひとりに、それぞれの個性や能力、状態に応じて活躍していただくべく、多様性を尊重する風土と、多様な社員が成長しやりがいを持って活躍できる環境づくりに向け、社員一人ひとりの意識改革に取り組んでいく方針としております。

 

(iv) 多様性の確保に向けた取り組み状況
社員の属性による多様性の確保に向けては以下のような取り組みを推進しております。
◎女性の活躍推進
当社グループにおける2025年2月末日時点の女性管理職比率は31.2%ですが、2027年2月末までに35%とする目標を設定し、またより高位の役職者における女性管理職比率の向上についても意識しながら社員の採用・登用を進めております。
◎外国人雇用の促進
外国人の雇用は年々増加しており、今後に向けてより計画的に外国人雇用を推進していくべく取り組んでいる状況となります。
◎経験と実績を持つ高齢者の活用
65歳までの雇用継続を積極的に推進しておりますが、年齢を問わない活用・登用をさらに進めており、65歳以上の社員が活躍している事例が増加している状況となります。
◎障がい者の活躍推進
グループの特例子会社を中心に従来より積極的な取り組みを進めており、2025年2月末日時点の障がい者雇用率はグループで2.72%となっており、今後より事業に直結した形でやりがいを生み出すことに取り組んでおります。
◎LGBTへの理解促進
従来よりLGBT、夫婦別姓、事実婚などに対しての理解度は高い風土であり、慶弔金規定=結婚祝い金など各種制度の対応をより広範囲に見直すことで、性差による区別の払しょくを進めている状況となります。

 

さらに社員の属性だけでなく、働き方の多様性の観点からは、以下のような取り組みを進めている状況となっております。
◎時短勤務、在宅勤務など多様な働き方制度の整備
30分毎4時間までの時短勤務制度、始業時間を8:00から13:00まで変更できるスライド勤務制度、フレックス勤務制度、副業解禁など、様々な勤務体系の整備、テレワーク環境の整備補助など、従来より多様な働き方の実現のためのルール・制度を整備しており、今後に向けても見直しや新規策定などに取り組んでおります。
◎妊娠・出産・子育てしやすい職場環境や制度づくり
上記の30分毎4時間までの時短勤務制度、育児短時間勤務の対象期間を小学校6年生卒業までとするなどの手厚い施策、復職時の丁寧なコミュニケーションにより、女性の育児休業取得率 96.1%、育児休業復職率 97.6%(何れも2025年2月期)を実現しており、こうした状況を維持・推進すべく弛まぬ改善を進めております。
◎介護と仕事を両立できる制度づくり
法定では93日までの介護休業通算取得日数を最大365日までとする、通院休暇の柔軟な運用など、今後増加が想定される、介護や通院・治療による就労制限に対応すべく取り組んでおります。

 

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
  当社は、株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針として、株主との対話全般については、IR、法務、株式事務、財務を統括する取締役が担当し、対話を補助する社内の関連部門間での情報共有を確実に実施するなど積極的な連携を図ります。また、株主との建設的な対話を促進するため、個別の対話を行う機会を設けるだけでなく、説明会の開催等を実施します。株主との対話に際しての重要事項の管理として、社内においては「内部情報及び内部者取引管理規程」の周知・徹底を図ることでインサイダー情報の漏洩防止にも努めます。

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
 当社は自社の資本コストを把握した上で、経営戦略を策定し、概要を株主総会や決算説明会等で開示・説明するとともに、その実現に向けた設備投資等の各種施策等についても重要な判断材料としております。
 また、東京証券取引所が要請する水準を下回っているPBRについて改善を図ることが当社の経営上、重要な課題と認識しております。
株主還元方針については、2024年4月12日に方針変更に関するお知らせを発表しましたが、2025年1月14日に同方針を修正いたしました。修正した株主還元方針として、株主様への利益還元方針として配当性向30%以上を指標とするとともに、2025年2月期から2027年2月期に至る期間においては、150億円の自己株式取得を実施し、且つ2027年2月期までにDOE4%以上を目指すことといたしました。

 

中期経営計画 TSI Innovation Program 2027 (TIP27) において、事業ポートフォリオに関する基本的な方針を含めた同プログラムの全体を開示しております。
「中期経営計画 TSI Innovation Program 2027」
(https://www.tsi-holdings.com/pdf/TIP27.pdf)
アップデートとして直近の決算説明会資料「2025年2月期 通期決算説明会」
(https://www.tsi-holdings.com/pdf/250414_Result%20Briefing.pdf)

 

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