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(7046) TDSE株式会社

グロース

ブリッジレポート:(7046)TDSE 2025年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

東垣 直樹 社長

TDSE株式会社(7046)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表者

東垣 直樹

所在地

東京都新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー27階

決算月

3月

HP

https://www.tdse.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,505円

2,200,000株

3,311百万円

6.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

10.00円

0.7%

69.01円

21.8倍

1,058.70円

1.4倍

*株価は6/18終値。各数値は、25年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

1,723

217

219

148

72.19

10.00

2023年3月(実)

2,415

265

267

168

81.76

10.00

2024年3月(実)

2,521

271

274

200

96.59

10.00

2025年3月(実)

2,699

198

201

136

65.56

10.00

2026年3月(予)

3,160

220

220

143

69.01

10.00

*単位:百万円、円。予想値は会社側が計画しているM&A事業を含まない数字で掲載。

 

TDSE株式会社の2025年3月決算概要、2026年3月期業績予想などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想と取組
4.中期経営計画「MISSION 2025」
5.今後の注目点・総括
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/3期の売上高は前期比7.0%増の26億99百万円。四半期ごとに伸ばし、コンサルティング事業は営業改革の成果が表れ、またプロダクト事業では拡販強化を進めたことにより、売上高は創業来最高を達成した。営業利益は同26.8%減の1億98百万円。売上総利益率が低下し売上総利益は同3.3%増加。営業強化、技術員採用に向けた投資が集中したことにより販管費は同16.4%と大幅に増加し、営業利益率が前期10.8%から7.4%に低下した。

     

  • コンサルティング事業の売上高は前期比4%増の23億18百万円。下期より営業強化策の効果が表れ始め、生成AIテーマの新規案件も増加してきた。既存売上は同7%増の22億19百万円、継続的にアプローチを進めた結果売上拡大に繋がった。新規売上は同33%減の99百万円だが下期は大きく伸びている。プロダクト事業の売上高は同30%増の3億81百万円、当初事業計画を大きく上回った。既存売上が同18%増の2億60百万円、新規売上が同68%増の1億21百万円。

     

  • 26/3期は売上高が前期比17.1%増の31億60百万円、営業利益は同10.7%増の2億20百万円を予想(M&A数値は本予想数値に含めず)。既存のコンサルティング事業、プロダクト事業に加えて、新設したAIエージェント事業による本数値達成を目指す。配当は、前期と同じ10.00円/株の予定。予想配当性向は14.5%。3年に及ぶ中期経営計画「MISSION 2025」は最終年度となるが、前述のコンサル、プロダクト、AIエージェント事業にM&Aを加え、売上高 33億円以上の達成を目指す。

     

  • 25/3期は下期に盛り返した。特に売上高は四半期を追うごとに増加し、3Q・4Qは前年同期比2桁増収、4Qは過去最高の売上である。これまでの営業改革への取組が成果となって表れている。これらの成果はまだ始まったばかりであり、今後時間をかけながら収益貢献することになるだろう。特にプロダクト事業は成長が顕著。26/3期は同事業の中でも成長の最先端をいくAIエージェント本部がプロダクト事業から切り離されることになる。より成長が明確になりそうだ。株価は低調に推移しているが四半期ごとにしっかりと実績を上げていくことで見直されるだろう。

     

     

1.会社概要

国内最高峰のデータサイエンティスト集団。AI技術を核に、メンバーそれぞれが持つ業界トップクラスの経験・実績と高度な専門スキルにより、顧客企業の経営改革を支援している。データ経営を目指す企業向けにAI技術を中心とした統合型ソリューションを提供。
安定成長事業の「コンサルティング事業」と、高成長事業の「プロダクト事業」の2つの事業を展開。

 

【1-1沿革】

2013年、企業経営にAIやデータ活用が求められる時代の到来を予見し、ビッグデータ事業を展開するために株式会社テクノスジャパン(東証プライム、3666)がテクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社(現 TDSE)を設立。同年には早稲田大学とビッグデータ活用研究に関する産学連携を開始。
2014年9月、米国QUID社(旧NetBase Solutions社)と業務提携し、グローバル規模のソーシャルデータ分析サービスを開始するため、AI製品「Quid Monitor」(旧Netbase)の取扱いを開始。
2015年1月に統計アルゴリズムを活用した同社独自のAI製品「scorobo」の販売を開始。
創業当時より、グローバルに展開しているマイクロソフトやNVIDIAとも提携を進め、これら企業との共同攻略を通じ、大型案件の獲得も進み、実績が積みあがり、徐々に多くの事例が情報として伝わるようになると、同社サービスに対する関心が急速に高まり引き合いも増加、売上・利益は順調に拡大していく。
2017年には株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社が資本参加し、業務提携契約を締結した。
2018年11月にCognigy GmbH社と業務連携し、Cognigy社の対話型AIプラットフォーム「Cognigy」のグローバル販売契約を締結。
同年12月、東証マザーズに上場。
2021年12月、TDSE株式会社に商号変更。
2022年4月、市場再編に伴い東証グロース市場に移行。
2023年は、4月にOpenAI社のGPTを活用した「Cognigy」最新バージョンをリリース、7月にはSNS上の競合分析を可能とする「Rival IQ」(現Quid Compete)の提供を開始するなど矢継ぎ早に新たなサービスの提供を始めている。
2024年には、生成AIアプリ構築プラットフォームである新製品「Dify」の提供を開始。

 

ビジネス沿革

                                                     

(同社HPより)

 

【1-2ミッション・ビジョン・バリュー】

国内最高峰のデータサイエンティスト集団として、以下のようなビジョン・ミッション・バリューを掲げている。社員一人ひとりがその実現に向けて、 主体的に考え、行動する組織に変革することを目指している。

Vision:

データを活用した可能性に溢れた豊かな社会

私たちは、「データに基づいて、最善の選択肢と仕組みを提供し、非効率が効率化され、人々の自由な時間とより良い選択肢がある、人々が幸せに暮らせる社会をつくる。」

Mission:

データに基づいて意思決定を高度化する

私たちは、「データとテクノロジーによって、勘や経験による属人的な意思決定を高度化し、人々がより効率的に、より最善の選択ができるようにする。」

Value:

プロフェッショナルの追求

お客様にとって真に価値のあることを追求する。

チームワークと成長

互いの考え方・働き方・生き方を尊重し、常に協力して、自分とチーム全体を成長させる。

変化を楽しむ

同じ仕事はない、世の中は常に変化していく。変化を味方につけ、変化を楽しむ。

 

【1-3 事業内容】

安定成長事業の「コンサルティング事業」と、高成長事業の「プロダクト事業」の2軸によるハイブリッドビジネスを展開。25/3期の売上高はコンサルティング事業が23億18百万円(構成比85.9%)、プロダクト事業が3億81百万円(同14.1%)。

~事業全体像~

                                                                               (同社資料より)

コンサルティング事業では、経験豊富なデータサイエンティストによるAI技術を用いたデータ分析やDX/AIコンサルが主力であり、 サービス・小売り・金融領域の大手企業を顧客に持つ。プロダクト事業では、海外AI製品、自社AIモジュールを中心に販売を手掛ける。
また、コンサルティングとプロダクトのハイブリッドサービスとしても提供する場合もある。

~事業構成図~

(同社資料より)

 

(1)各事業の概要
①コンサルティング事業
コンサルティング本部では、データ経営を目指す企業向けにAIを中心とした統合型ソリューションサービスを提供している。
企業のデジタルトランスフォーメーションを共に推進していくため、顧客企業が進める事業戦略に沿う形で、データ活用のテーマ抽出→データ分析/AIモデル構築→AIシステム構築/実装→保守/チューニングに加え、教育まで一気通貫したコンサルティングサービスを提供している。

 

                                                           (同社資料より)

 

②プロダクト事業
プロダクト本部は、自社および他社のAI製品ならびにサービスの製品販売、または業務特有のAIモジュール(※)を顧客企業に提供し、サービス利用料ならびに運用・保守料を受領するサービス。同社独自のAI製品や、ソーシャルリスニングツールの「Quid Monitor(旧NetBase)」、業務システムと連携し人との対話(自然言語)よりルーティン化された業務を自動化する対話型AIプラットフォーム製品「Cognigy」、生成AIアプリ開発プラットフォームの 「Dify」を提供している。
※AIモジュール
異常検知や物体認識などのAIモデル(未学習モデルも含む)であり、業務システムやアプリケーション等に組み込む、AIシステムの根幹をなすもの。

 

(同社資料より)

(2)ビジネスモデル
データ利活用やDX推進を中心とした顧客課題解決型のコンサルティング事業と、そこから得たノウハウを元にしたAI製品やサービスの提供を通じたプロダクト事業の両軸で「安定かつ収益性の高いビジネスの実現」を目指している。

(同社資料より)

【1-4 競争優位性】

同社の主な競争優位性は以下のとおり。

 

(1)コア・コンピタンス
創業より企業の経営課題解決を支えるAI/データ活用の専門集団として、コンサルティングからプロダクト提供まで行い、200社強の企業を支援。今後も更なる発展にむけ、当社の事業成長に必要な3つの強みを高める。
強み

 

(2)多種多様なバックグラウンドを持つ技術集団
役職員184名(25年4月時点)のうち、148名、約8割がデータサイエンティストとエンジニアで構成される技術集団
技術員の8割が理系修士以上、その内5割が後期課程進学者・博士学位取得者で構成
出身校の上位10校は、東京大学大学院、京都大学大学院、大阪大学大学院等の有名大学

(同社資料より)

 

(3)優秀な技術者の採用/育成と組織活性化に向けた環境
組織・・・技術要員の採用および育成を強化するため、コンサルティング事業本部直下に『人財強化組織』を設置し、採用と教育のクオリティを高め、業務のスピードアップを図る。
風土・・・人材強化に繋がる教育ノウハウが豊富に蓄積されており、技術習得に関する教育カリキュラムを充実させる。また社外メンバーとも渡り合えるよう自律的人材へ促す風土作りを進める。
取組・・・スキル獲得と業績成果に応じた解像度の高い人事評価/報酬制度を運用中。一方で、社員モチベーション維持・向上に役立てるため、社員満足度を定期的に確認、各階層とのコミュニケーションを行い、各種施策を見直し、会社と社員間においてフラットな風土作りを目指す。

 

(同社資料より)

 

 

(4)ビジネス課題解決に活かす技術ノウハウと創業以来蓄積してきた技術ライブラリー
ビジネス課題ファーストで、多様なデータからアルゴリズムや分析手法の最適な解決方法を見つけ出し、企業が抱えてきたビジネス課題の解決に結び付けている。
また、プロジェクト実績・技術・ノウハウの基礎情報を蓄積し、プロジェクト運営の効率化および AIモジュールを整備。 300を超えるライブラリー「scorobox」を有しており、経験の浅い技術社員も活用できるビジネスモデルを確立。

 

 (同社資料より)

 

2.2025年3月期決算概要

【2-1業績概要】

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

2,521

100.0%

2,699

100.0%

+7.0%

2,680

+0.7%

売上総利益

895

35.5%

925

34.3%

+3.3%

-

-

販管費

623

24.7%

726

26.9%

+16.4%

-

-

営業利益

271

10.8%

198

7.4%

-26.8%

185

+7.4%

経常利益

274

10.9%

201

7.5%

-26.7%

186

+8.3%

当期純利益

200

7.9%

136

5.1%

-31.8%

124

+10.1%

*単位:百万円、会社予想は1月31日発表の会社予想

 

増収、2桁減益
売上高は前期比7.0%増の26億99百万円。コンサルティング事業は営業改革の成果が表れた。プロダクト事業では拡販強化を進めたことにより売上高は創業来最高を達成した。
営業利益は同26.8%減の1億98百万円。売上総利益率が低下し売上総利益は同3.3%増加。営業強化、技術員採用に向けた投資が集中したことにより販管費は同16.4%と大幅に増加し、営業利益率が前期10.8%から7.4%に低下した。
経常利益は同26.7%減の2億1百万円、当期純利益は同31.8%減の1億36百万円。
期末配当は前期と同額の10.00円/株を実施する。

 

 

(四半期推移)

 

23/3期

24/3期

25/3期

 

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

506

582

659

668

618

628

629

645

615

649

696

737

増収率(Y-Y)

+59.9%

+39.3%

+36.7%

+31.9%

+22.2%

+7.8%

-4.6%

-3.3%

-0.4%

+3.5%

+10.7%

+14.1%

増収率(Q-Q)

-0.1%

+15.1%

+13.1%

+1.4%

-7.5%

+1.6%

+0.2%

+2.7%

-4.6%

+5.5%

+7.2%

+5.8%

営業利益

41

82

109

31

38

77

64

91

32

48

64

53

増益率(Y-Y)

-

+14.6%

+30.3%

-56.5%

-6.9%

-6.6%

-41.4%

+186.4%

-14.6%

-37.8%

+0.4%

-41.8%

増益率(Q-Q)

-43.7%

+99.9%

+32.9%

-70.9%

+20.5%

+100.6%

-16.7%

+42.2%

-64.1%

+46.1%

+34.4%

-17.6%

*単位:百万円

 

25/3期は売上高が四半期ごとに右肩上がり。第3四半期、第4四半期はいずれも前年同期比で2桁増収となった。

 

【2-2 事業別動向】

(1)コンサルティング事業
①概況
売上高は前期比4%増の23億18百万円。
下期より営業強化策の効果が表れ始め、生成AIテーマの新規案件も増加してきた。しかし、上期に苦戦したこともあり当初計画の25億円には未達となった。既存売上は同7%増の22億19百万円、継続的にアプローチを進めた結果売上拡大に繋がった。新規売上は同33%減の99百万円だが上期33百万円から下期は大きく伸びている。
(補足)新規売上:今期に新規取引開始した顧客売上、既存売上:全体の売上から新規売上を除いた売上
②営業改革に関する振返り
営業組織の強化、営業施策の改善などを全体的に見直し、年度後半には営業強化策も目途が立つ。生成AI案件数も増大している。今後もさらなる取組継続及び改善策を進める考え。

 

1.営業強化策
営業力強化に繋がる人材を大幅増強し、且つプリセールス活動の専任組織化を進めた。営業活動の質及び量が高まった。
マーケ施策を見直し、メルマガ・イベント・ウェビナーといった全施策を増強させ、PR度・注目度が向上した。
下期から売上成長が改善、1案件当りの新規売上も向上

 

2.アライアンス強化
新たに提携した三菱総合研究所との協業推進(新規提携先)
大手製造系コンサル、メディア系コンサル、NTTデータ、Databricks社等の連携強化が進み、共同開拓案件が増加
年間通じて、生成AI案件含むアライアンス関連の業績貢献度向上

 

③新技術(生成AI)を活用した取組の好事例
大手企業における業務での生成AI活用を、当社開発のアプリケーションを通じて支援
成長分野であるLLM関連テーマは引き続き増加傾向

 

(同社資料より)

 

④技術人員増強にむけた計画と取組
26/3期の目標として、技術社員141名、リーダー人員41名を掲げている。4月現在、技術人員が136名、リーダー人員40名。人事制度上、昇格時期が6月にあり、リーダー数41名達成の見込み。技術員は採用及びリテンションを強化する一方、売上計画・足許案件を踏まえ、136名となった。データサイエンティスト採用環境は良好であり、今後も状況を踏まえ、採用数は調整する考え。

 

(2)プロダクト事業
①概況
売上高は前期比30%増の3億81百万円。
当初事業計画の3億33百万を上回った。既存売上が同18%増の2億60百万円、新規売上が同68%増の1億21百万円。

 

◎ソーシャルメディアマーケティング(SMM)事業
売上高は前期比31%増の3億36百万円。Difyを通じた生成AI案件獲得が進んだ。新規開拓件数が50件と、年間目標としていた15件以上を大きく上回った。既存案件継続率については72.7%と目標の80%以上を下回った。競合が激しくなっている。

 

 

◎カンバセーショナルAIソリューション(CAS)事業
売上高は前期比25%増の45百万円。既存案件継続率は100%。新規開拓件数は年間目標の10件以上に対して9件にとどまった。Dify導入後、下期には問い合わせ件数が増加している。

 

②取組(1)
今後も既存製品に生成AI機能を組み込むことで製品優位性を確保し、顧客企業にとって利便性が高くなるようアップデートを継続し、情報保護を重視したセキュアな環境での展開を図る。

 

(同社資料より)

 

生成AI技術への対応が優先事項。生成AI市場においては、技術革新が激しい。自社開発のみならず、海外先端技術を有する企業との提携を経て、市場スピードに対応した最新LLMサービスとVoCデータの供給態勢(技術&営業)の構築が求められる。

 

③取組(2)
AIエージェントプラットフォーム「Dify」開発企業と国内初のパートナー締結(パートナー契約国内第1号)
数多くの企業向け検証・導入を経て、当該製品の使いやすさ、優位性について改めて評価

 

新製品「Dify」開始
新製品「Dify」は生成AIアプリ構築プラットフォーム。ノーコードで直感的に生成 AIサービスを構築可能な日本語対応のプラットフォームRAG構築が効率的に展開できる「Dify」をベースにLLMサービス開発を展開する。
 

(同社資料より)

 

「Dify」の特徴

取扱い開始から数ヶ月が経過するが、既に営業・IT・総務・教育・採用・広告宣伝・受付・注文業務など幅広く導入・展開が進み、今後も期待される。

 

【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

24年3月末

25年3月末

増減

 

24年3月末

25年3月末

増減

流動資産

2,194

2,465

+271

流動負債

344

502

+158

現預金

1,792

1,955

+163

固定負債

20

20

-0

売上債権

291

330

+39

負債合計

365

522

+157

固定資産

245

266

+20

純資産

2,074

2,209

+134

投資その他の資産

167

211

+43

利益剰余金合計

965

1,081

+115

資産合計

2,440

2,731

+291

負債純資産合計

2,440

2,731

+291

*単位:百万円

 

自己資本比率は前期末から4.2ポイント低下し80.8%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/3期

25/3期

増減

営業CF

107

197

+90

投資CF

-68

-11

+56

フリーCF

38

185

+147

財務CF

-21

-22

+0

現金同等物残高

1,792

1,955

+163

*単位:百万円

 

フリー・キャッシュフローの黒字幅が増加、キャッシュポジションも増加した。

 

3.2026年3月期業績予想と取組

【3-1 業績予想】

 

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

2,699

100.0%

3,160

100.0%

+17.1%

営業利益

198

7.4%

220

+7.0%

+10.7%

経常利益

201

7.5%

220

+7.0%

+9.3%

当期純利益

136

5.1%

143

+4.5%

+5.4%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

17.1%増収、10.7%営業増益を予想
26/3期は売上高が前期比17.1%増の31億60百万円、営業利益は同10.7%増の2億20百万円を予想。なお、26/3期から推進しているM&Aの影響額は不確実性が高いため含めていない。配当は、前期と同じ10.00円/株の予定。予想配当性向は14.5%。

 

なお、この章ではM&Aを含まない会社予想である売上31.6億円を構成する事業を記載するが、中期経営計画「MISSION 2025」で掲げる33億~37億円の達成に関しては、既存のコンサルティング事業、プロダクト事業に加えて、新設したAIエージェント事業の業績上乗せに加え、戦略的M&Aにより達成を目指している。

 

【3-2 事業別取組】

 

(1)コンサルティング事業
目標売上高は前期比15~19%増の26.1~27.0億円。当初の目標(M&A含め29億円)を見直し、オーガニック成長で達成を目指す。
営業人員増強・組織強化に伴い、下記①~③の領域で業績向上を図る。経済市場動向も踏まえ、現場目線を重視しながら営業クオリティを高める考え。

 

①既存顧客からの売上向上
主要顧客(年間売上1億円以上)及び強化顧客(同3千万円以上)から売上アップ率10%以上を目指す
24年度新規顧客(同1千万以上)数社から売上アップ率30%以上を目指す

 

②新規顧客開拓による売上向上
営業強化策を継続させることで、新規顧客の売上アップ率50%以上を目指す

 

③アライアンス強化による売上向上
強化アライアンス(Databricks、三菱総合研究所など)1億円以上を目指す
既存アライアンス(大型印刷製造系・メディアコンサル・NTTデータ など)3.5億円以上を目指す

 

(2)プロダクト事業
目標売上高は前期比19%増の4.0億円以上。生成AI市場の急拡大に対し、経営資源を早急に集中させる必要があり、新組織として「AIエージェント本部」を設立する。プロダクト事業にあったCAS事業を同本部へ業務移管。26/3期よりプロダクト事業部はソーシャルメディアマーケティング(SMM)事業のみとなる。SMM市場の成長余地は非常に高く、企業攻略も順調に進む見込み。従来目標4.0億円以上を据え置き、売上達成を目指す。

 

26/3期の狙いと見通し・・・VoCデータを活用したプロダクト及び分析サービスで企業に対して生成AIを用いて示唆する
今後もSNSマーケティング市場の成長率が急伸していくため、潜在顧客も多く、企業ニーズも幅広いことを背景として、市場全体を盛り立てるリーダー的存在としてQUIDブランドの拡販を進める。
QUIDの性能アップによる優位性を広く浸透させ、営業網強化及び 代理店戦略を通じて拡販。
国内ローカライズ製品として魅力ある「KAIZODE」の付加価値を 高め、国内ユーザーを増加させる。

 

(3)AIエージェント本部設立
国内生成AI市場は、23年1,416億円から28年には1兆7,397億円と平均成長率65%を超え、さらに生成AI案件がAI市場全体の約6割を占めるといわれている。生成AI市場が市場を牽引し、従来型AIと生成AIの併用が進展し、これまで以上に業務変革やイノベーションが進む見通し。市場成長は業界にとって脅威と同時に、同社にとってはチャンスと捉え、早期展開が期待されていた。同社の中核であるコンサル事業においても、生成AIニーズが極めて高くなっており、売上に占める割合が高まりつつある。加えて、プロダクト事業におけるAI エージェントプラットフォーム「Dify」に関する問い合わせやサービス構築依頼が予想以上に増大している。スピード感及び競争力を高めるため、両本部の生成AIビジネスに関する事業を切り出し、新たに「AIエージェント本部」を設立した。
AIエージェント本部では、以下2点を事業コンセプトとしており、既存事業で保有しているノウハウを融合し、生成 AI の機能を最大限活用できるサービスを提供する。企業のDXと競争力強化を支援する。
・対話型AIで培った業務自動化のノウハウを活かし、最新の生成AI技術を加えたAIエージェントの提供を進める
・幅広い業界・領域で実績を持つ従来型AIモデルと生成AIを組み合わせ、顧客業務に適したAIエージェントの提供を進める

 

AIエージェント本部の主なサービス

AIエージェント・ アセスメントサービス

顧客と会話し、個社ごとの業務フローを作成し、そのフローの中でAIにより自動化または効率化できる項目を洗い出す

AIエージェント構築サービス

顧客に適したAIエージェントを構築

AIエージェント保守サービス

構築したAIエージェントの精度向上/機能拡張を行うサービスをサブスク形式で行う

AIエージェント環境構築

(クラウド/オンプレ)

LLMを含めて顧客に適した環境を構築

 

本サービスは、AIエージェントプラットフォーム「Dify」、対話型AIプラットフォーム「Cognigy」を活用し、オンプレミスまたはプライベートクラウド環境にLLMを含めた生成AI活用プラットフォームを構築することを前提とする。ただし、既存製品に限定せず、顧客の環境に応じた他のAIプラットフォーム/AI製品も採用することで、柔軟性高い運営を目指す。新たな製品選定及び調査研究に当たっては、社長直属のデータテクノロジーラボとの連携を強固なものとし進めていく。さらに複数の生成AIスタートアップ企業と協業し、最新技術を取り入れたサービスを提供する考え。なおAIエージェント本部では、既に複数企業でのパイロットプロジェクトが遂行しており、26/3期の売上高は1.5億円以上を目指し、事業推進を図る。

 

4.中期経営計画「MISSION 2025」

【4-1 中期経営計画「MISSION 2025」概要】

DX市場、AIビジネス市場ともに今後も急成長が見込まれる。
そうしたフォローの風を受け、各事業の経営指標及び目標、戦略・施策を含む中期経営計画「MISSION 2025」が遂行中である。
同社では、プロダクト事業を第二の事業の柱として確立させ、29/3期までに「プロダクト事業の売上高10億円以上を目指す」という中長期目標を打ち出している。24/3期から26/3期の 3ヶ年を対象とする『MISSION2025』は、29/3期を見据えたその第1フェーズ。既存事業も含めたM&Aで売上高 33億円達成を目指し、 新規事業による非連続上乗せも含め37億円を目指す。

 

(同社資料より)

 

【4-2 達成目標と取組方針】

(同社資料より)

 

KGI

売上高33億円達成を目指し、より一層の事業努力による各事業領域の売上拡大で37億円を目指す

事業方針

①コンサルティング事業の持続的な成長を確保し、高成長事業としてプロダクト事業を強化

②生成AI領域における競争力を獲得するため、新たにAIエージェント事業を展開

③上記①、②の事業展開に加え、M&A・資本提携による非連続成長に取り組む

利益指標

売上高営業利益率は10%以上維持 第1フェーズでは投資フェーズであることから、利益指標は努力目標

5.今後の注目点・総括

25/3期は上期こそ前年同期比1.5%の増収にとどまり、営業利益は30.1%の減益となったが、通期では下期にかけて着実に盛り返した。特に売上高は四半期を追うごとに増加し、3Q・4Qは前年同期比で2桁の増収、4Qに至っては過去最高の売上を記録している。これまで取り組んできたコンサル事業における営業改革の成果が、ようやく数値として表れ始めており、これらの成果はまだ始まりに過ぎず、今後さらに時間をかけて収益貢献していくことが期待される。

 

26/3期は、M&Aを含まないベースでも17.1%の増収を見込んでおり、売上成長率の大幅な伸長が計画されている点からも、企業の成長軌道が明確に見て取れる。特にプロダクト事業の成長が顕著であり、25/3期の売上高は計画を大きく上回り、前期比で30%増と大幅な伸びを示した。中でも新規顧客の獲得が大きく寄与しており、今後の継続的な成長の基盤となっている。

 

さらに、26/3期には、成長の最先端を担うAIエージェント本部が独立部門として既存事業より切り出され、急拡大する生成AI市場の推移とともに、同部門の成長が一層加速することが見込まれる。なお、「MISSION 2025」では、M&Aを含めた売上高として33億円~37億円を目指しており、非連続的な成長を実現するための戦略的M&Aも経営主導で着実に推進されていく。

 

同社方針では、M&Aはコンサル事業の再成長とプロダクト事業の強化を目的に、既存事業との連携を重視した選定を進めている一方、シナジーが見込まれる新領域にも柔軟に対応している。M&A運営に対応可能な体制整備も進めており、グループ経営の実現を視野に入れる。市場環境の変動にも備え、資本構成の最適化と多面的なM&Aを通じて、非連続成長による企業価値向上を図り、成長ストーリーを市場に示していくことから、今後の会社発表に期待される側面が大きい。

 

このように、売上成長が明確に見えてきた状況下で、PBRが2倍に満たないというのは、依然として市場からの評価が割安であると考えられる。25/3期が減益であったことに加え、過去2年間にわたる成長率の鈍化や競合他社との比較による相対評価も、株価低迷の一因と見られる。とはいえ、26/3期において四半期ごとに着実に実績を積み上げていくことで、株価の見直しが進む可能性は高まる。特に、中計「MISSON2025」最終年度である26/3期第1四半期の業績は、今後の成長可能性を占う上でも重要な指標となることから、注目しておきたい。企業としての成長戦略が具体的かつ積極的に進行している今、今後の展開に大いに期待したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成 

組織形態

監査役設置会社

取締役

5名、うち社外取締役1名(うち独立役員1名)

監査役

3名、うち社外監査役2名(うち独立役員1名)

*本レポート発行時である2025年6月25日現在を掲載している

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年6月27日

 

<基本的な考え方>
当社は、「データに基づいて、意思決定を高度化する」というミッションのもと、「データを活用した可能性溢れた豊かな社会」の実現に向けて、更なる飛躍を目指し、株主、取引先、従業員等ステークスホルダーの信頼を得、継続的な企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスの充実が経営上の重要な課題であると位置づけ、コンプライアンス体制及びリスク管理体制の構築・強化を図り、取締役会を中心に「経営の効率化」及び「監督機能の強化」に主眼を置き、健全で透明性が高く、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制の構築に努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

 

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