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(7120) 株式会社SHINKO

スタンダード

ブリッジレポート:(7120)SHINKO 2025年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

福留 泰蔵 社長

株式会社SHINKO(7120)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

卸売業

代表者

福留 泰蔵

所在地

東京都台東区浅草橋5-20-8 CSタワー8階

決算月

3月

HP

/https://www.kk-shinko.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,286円

1,834,000株

4,192百万円

28.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

105.00円

4.6%

342.07円

6.7倍

1,116.62円

2.0倍

*株価は6/30終値。各数値は25年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月

13,886

605

612

423

247.10

5.00

2023年3月

15,948

752

762

481

280.53

70.00

2024年3月

16,145

627

634

410

225.10

80.00

2025年3月

16,904

687

691

512

295.75

97.0.0

2026年3月(予)

18,316

804

814

536

342.07

105.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

(株)SHINKOの2025年3月期決算概要、中期経営計画とその進捗などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.中期経営計画およびその進捗
5. 今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を柱に、全国60超の拠点より24時間365日エンジニアが機器の保守、導入設計、設置展開サービスを提供している。2014年5月設立だが、実質上の存続会社は1953年設立の新興サービス(株)。23年3月に東証スタンダード市場へ新規上場。

     

  • 25年3期の売上高は前期比4.7%増の169億4百万円。3事業とも増収。保守サービス事業では新規保守案件が増加、既存案件も拡大した。ソリューション事業はDX推進に伴う案件が増加した。人材サービス事業では派遣単価改定が寄与した。営業利益は同9.7%増の6億87百万円。増収に伴い売上総利益が同8.0%増加。ベースアップなど人件費中心に販管費も同7.7%増加したが、吸収し増益となった。医療DXについて一部遅れが生じ、医療機関における電子処方箋の導入が想定通り進まなかったこと、計画していた医療機器の導入が進まず、機器の設置、保守の受託が想定件数を大幅に下回ったこと、自社内で対応できない工事案件の比重が増え、外注費が増加したこと等から25年4月に業績予想を下方修正している。

     

  • 26年3月期は増収増益を見込んでいる。売上高は前期比8.4%増の183億16百万円、営業利益は同17.0%増の8億4百万円の予想。IT人材不足、国内IT市場の拡大、旺盛なDX需要といった良好な事業環境の下、3事業とも増収を見込んでいる。ソリューション事業は2桁増収。配当は前期比8.00円/株増配となる105.00円/株を予定。予想配当性向は30.7%。

     

  • 同社では現在、27年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を実行中である。1年目となった25年3月期は、電子処方箋導入、電子カルテ共有化についての政府の医療DXの一部遅れに加え、医療DXに係る費用負担が重いという声もある医療機関での導入の遅れ、様子見の傾向などから下方修正となった。一方、成長と収益力向上の取り組みに関してはある程度の成果は出ているほか、人員増・テクニカルセンターの活用など、事業基盤の拡大は着実に進んでいると会社側は考えている。数値目標としては、「27年3月期 売上高192億17百万円、営業利益10億1百万円、経常利益10億8百万円、当期純利益6億84百万円」を計画している。営業利益率は25年3月期比で1.1ポイント上昇の見込み

     

  • 福留社長に株主・投資家へのメッセージを伺った。「当社は、安定した顧客基盤や全国ネットワーク、豊富なIT人材といった事業基盤を強みに、保守事業・ソリューション事業・人材事業の3事業間で送客を行いシナジー・付加価値を産み出しています。IT人材不足に加え、行政・民間ともDX推進需要は旺盛で事業環境は極めて良好ですので、成長に向けては大いに自信を持っています。25年3月期は医療DXに一部遅れが生じたため計画未達となりましたが、成長の道筋は明確です。配当性向30%を目標に今後も増配で株主の皆様にはしっかりと還元してまいりたいと考えています。中長期の視点で是非当社を応援していただきたいと思います。」とのことだ。

     

  • 初年度は下方修正となった中期経営計画だが、27年3月期の目標達成のためにも、26年3月期、どの様な売上・利益の水準を実現することができるのか、注目していきたい。

     

     

     

     

1.会社概要

保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を柱に、全国60超の拠点(25年3月末時点)より24時間365日、エンジニアが機器の保守、導入設計、設置展開サービスを提供している。

 

【1-1 沿革】

2014年5月設立。これは形式上の存続会社で、実質上の存続会社は1953年設立の新興サービス(株)(設立時の社名は(株)新興印刷電信サービスステーション)。23年3月に東証スタンダード市場へ新規上場。

 

旧新興サービス株式会社の沿革

年 月

概要

53年 7月

東京都港区三田において株式会社新興印刷電信サービスステーションを創業

株式会社新興製作所(現社名)のST型頁式和欧文印刷電信機(テレプリンター)の保守サービス会社並びに保守対応機器の販売会社として発足

82年 5月

商号を新興サービス株式会社に変更、OA機器(FAX・コピー機等)販売開始

94年 6月

東京地区の三洋電機製品販売拡大を目的として、株式会社サンヨーオーエー新興を三洋電機情報機器株式会社との共同出資により設立

02年 4月

自社開発の「電気工事積算システム」のバージョンアップ及び開発・販売体制強化を目的として株式会社ドソネ設立

05年 1月

愛・地球博(日本国際博覧会)にエンジニアを派遣したことを契機に、人材サービス事業を開始

07年 7月

ソリューション営業に特化した組織を作り、全国で展開作業等のソリューション事業を開始

14年 11月

新興リボーン株式会社と合併。この合併により、旧新興サービス株式会社は消滅

 

SHINKOの沿革

年 月

概要

14年 5月

新興サービス株式会社の株式の引受けを目的に新興リボーン株式会社設立

11月

旧新興サービス株式会社を吸収合併、商号を新興サービス株式会社に変更

20年 4月

商号を株式会社SHINKOに変更

23年 3月

東京証券取引所スタンダード市場に新規上場

 

 

【1-2 経営方針】

以下の企業理念、ビジョン、行動基準/行動指針を掲げている。

企業理念

わたしたちはお客様を念い(おもい)、仲間を想い(おもい)、社会を憶い(おもい)、高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルである人と人との接点に新たな価値を創造していきます。

 

念い:一心に思う、想い:感情を込めて思う、憶い:深く思う

ビジョン

『Human Service For Happy Life』

 

創立60周年を記念して2013年7月25日に制定したコーポレートキャッチをビジョンとして掲げている。
同社の経営資源である「人」が、すべての相対する「人」に対して、サービスという見えない価値を提供し幸福を実現するという同社のアイデンティティを表現している。「人と人との接点を大切にしながら新たな価値を創造していく」、それが同社のビジョンである。

 

行動基準/行動指針

わたしたちは、お客様第一で行動します。そのために、お客様の期待を超えるサービスを提供します。
わたしたちは、プロフェッショナルとして行動します。そのために、日々の研鑽を怠らず、スキルの習得に努めます。
わたしたちは、チャレンジ精神で行動します。そのために、前向きに努力し、常に挑戦し続けます。
わたしたちは、コンプライアンス意識をもって行動します。そのために、ルールを正しく理解し、厳守します。
わたしたちは、チームワークを大切に行動します。そのために、仲間の個性と価値観を尊重します。
わたしたちは、社会貢献を喜びとして行動します。そのために、社会の一員として責任を果たします。

 

【1-3 事業内容】

「保守サービス事業」「ソリューション事業」「人材サービス事業」の3つが報告セグメント。

(1)保守サービス事業

(同社資料より)

 

システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービスを提供している。全国の病院、クリニックに導入されている、PHCHD(6523)の子会社であるウィーメックス株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書発行システム)を始め、調剤薬局に導入されているレセプトコンピュータ、電子薬歴システム、自動錠剤包装機、一包化監査システム、病院に導入されている注射薬払出システム、適温配膳車等の保守サービスを受託している。
厚生労働省の調査(医療施設動態調査:令和7年2月末概数)によると全国の病院・一般診療所の数は約11万3千施設、同じく厚生労働省の調査(令和5年度衛生行政報告例の概況)によれば、調剤薬局は、全国約6万3千施設(令和5年度末)。そのうち同社では病院・一般診療所へ導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ、調剤薬局に導入されている電子薬歴システム等の機器を合わせて、約3万6千件の保守契約を締結し保守サービス業務を行っている。

 

電子カルテシステム及びレセプトコンピュータの保守は、顧客と直接保守契約を締結する「メディコムハードウェア保守契約」と機器のメーカーであるウィーメックスと顧客が保守契約を締結した後、同社が顧客に対して保守サービスを提供し、ウィーメックスからハードウェアに係る保守料を受領する「システムサポート契約」の2つのパターンがある。現在ウィーメックスにより、システムサポート契約の締結が促進されており、既存顧客は機器のリプレースのタイミングで順次メディコムハードウェア保守契約からシステムサポート契約へ契約形態を変更している。また、従来契約を締結しないまま障害発生の都度修理対応をしていた顧客に対しても契約締結を促す意向であることから、今後契約件数は増加していく見通し。ウィーメックスからは同社の保守サービスの品質が高く評価されている。

 

また、ウィーメックス以外でも多くのベンダーから多種多様な機器の保守サービスを委託されている。修理対応サービスレベルに合わせた保守契約を各ベンダーと締結しており、緊急対応の要否、駆けつけ時間と部品在庫管理等の細かな要求に合わせ、全国60超の拠点からエンジニアが顧客の元へ駆けつけるオンサイトサービスを提供している。

 

メーカーに属さない独立系の保守会社であることが強み。医療機器やIT機器、非IT機器を問わず様々なメーカー機器の保守対応が可能であり、24時間365日オンサイトサービスを提供している。
保守サービス事業の多くは保守契約に基づき継続的に収益が入るストック型ビジネスであることから、経済状況の変動に左右されにくいという特長がある。新型コロナウイルス感染症が拡大し、経済が低迷し始めた20年以降においても、安定した収益を確保している。

 

また、近年需要が増えつつあるコールセンターやヘルプデスク業務、機器の稼働状況を継続的にチェックする死活監視業務についても、東京都にテクニカルセンターを設置し、体制を整備しており、69の企業より業務を受託している(25年3末時点)。テクニカルセンターはオンサイトサービスの中枢拠点でもあり、障害発生の一次連絡を受付けている。連絡受付後、障害内容を踏まえて対応方法をジャッジし、現地対応が必要な案件については、拠点の管理者(通称ディスパッチャー)へ連絡する。ディスパッチャーはエンジニアの手配をしたり、訪問前準備をしたりと各種サービスの司令塔として機能し、迅速なトラブル対応を可能にしている。その他テクニカルセンターでは、ネットワークやPCの遠隔監視や診断を行っており、障害発生時にも自動的にアラートが上がる仕組みになっている。また、遠隔監視により、システムの利用が不可能となるような重度の障害を未然に防ぐ等の予防保守にもつながっている。

 

更に、今後の保守サービス事業の拡大を目指し、2016年に東京都、2020年には大阪府、2021年には宮城県、2022年には北海道、2023年には広島県、2024年には長野県において医療機器修理業の許可を取得した。医療分野における保守実績のある同社へは、現在多くのメーカーから医療機器の保守依頼や、同業他社からの協業依頼もある。

 

(2)ソリューション事業

(同社資料より)

 

医療機関、福祉施設、一般企業、官公庁向けにシステムの設計、構築、設置工事、展開管理等のICTサービスを提供する。また顧客の要望に合わせた機器の提案、販売も行う。
本社におけるソリューション営業活動では、日本電気、KDDIといった大手企業との協業により、ネットワーク機器やPC関連の設定サービスを提供する他、大手総合重工業メーカー物流部門との協業による自動倉庫システムサービスの展開など、様々なサービスメニューを開発、展開している。これらの案件は本社が全国拠点をマネジメントすることにより、全エリアにおいて同一品質のサービスを提供している。

 

また、24年2月に移転したテクニカルセンターは機器の設定から現地配送までを一括管理するキッティングセンターとしての機能も備えている。これにより、東京都八王子市、北海道支店、東北支店、中部支店、関西支店に設置しているキッティングスペースと併せて、品質の平準化を図るべくその体制を強化している。

 

全国9支店においてもそれぞれソリューション営業の活動をしている。特に地元企業とのリレーションに力を入れ、例えば北海道支店における家畜セリシステム、中四国支店における農政局へのPC販売、設定、設置、展開作業等、地元ならではの機器に関わるソリューション案件も獲得している。

 

顧客からの情報収集、営業提案、ネットワークの設計、構築、機器の設置展開、更に保守サービス事業へ引き継いでの運用管理、オンサイトサービスという一連の流れをワンストップで提供できることが強み。

 

(3)人材サービス事業

(同社資料より)

 

IT機器の保守、点検、修理を行うカスタマエンジニア(以下、「CE」)、システムの設計や、ネットワークの設計・構築、派遣先企業のフロント営業のサポートを行うシステムエンジニア(以下、「SE」)を派遣している。

 

主要取引先であるNECフィールディングへはCEを、KDDIグループへはSEを派遣している。NECフィールディングとは1967年のプリンター保守サービスの提供をきっかけに、長期に渡る取引の中で同社のエンジニアの技術力が評価され、150名を超えるCEを派遣している(25年3月末時点)。

 

KDDIグループからは、05年の日本国際博覧会におけるSE派遣以来、継続して派遣の要請があり、50名のSEを派遣、また20名が準委任契約又は請負契約による業務に従事している(25年3月末時点)。これら2社からは、毎年多くの増員要請を受けている。

 

その他複数の企業にもエンジニアを派遣しており、派遣を契機にソリューションや保守案件を受託するケースが増えている。

 

人材サービス事業全体の各期末時点における派遣人員数は、21/3期241名、22/3期262名、23/3期254名、24/3期257名、25/3期263名と着実に増加している。IT人材不足という市場環境において、派遣の需要が毎年増え続けていることから、今後も機会損失が無いよう、毎年計画的に派遣人員を増員し、社内研修による資格取得推進を始め、常時エンジニアのスキルアップを図っている。

 

【1-4 特長・強み、競争優位性】

同社の保守サービス事業及び人材サービス事業は、保守契約や派遣契約に基づくストック型のビジネスが主である。機器の保守は、新型コロナウイルス感染症が拡大した20年以降、医療機関等から一時的に保守員の立ち入りを制限されるケースがあった。しかし、診療に必要な機器を常時正常に稼働させ続けることは医療機関にとって不可欠なことであり、同様に他の企業においてもシステムを安定的に稼働させる必要がある。このことから、結果的には保守員の出動が減少するということは殆ど見られなかった。また、保守契約の解約となるケースも殆ど発生しなかった。人材サービス事業においては、派遣先の事情によりテレワークとなるケースもあった。ただし、ITエンジニア不足の市場の中で派遣契約が解除されることは無く、保守サービス事業同様、コロナ禍でも影響を受けにくいという傾向が見られた。
同社の社員は入社後、CEあるいはSEとしての教育を受け、必要な資格を取得した上でそれぞれ拠点へ配属される。エンジニアは各配属先において現場経験を積むことや、資格取得講習等を受講することにより、必要なスキルを身に付けていく。その後、ジョブローテーションにより、また新たな部署で経験を積むことで、マルチな対応が可能なエンジニアへとスキルアップしていく、そのような環境が同社にはある。
700名を超えるエンジニアがおり(25年3月末時点)、その多くはCEとSEの両スキルを保有している。特定の時間に集中していることが多い保守サービス業務の前後の時間に機器の設定や設置等作業を行うことにより、業務効率が上がり、生産性の向上につながっている。

 

このように、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業全てに対応でき、各事業の知見があるエンジニアが、自身の配属先あるいは派遣先での業務に従事する中で、取引先企業の抱える課題や需要を把握し、同社の3事業の特長を生かした提案をすることで、新たなビジネスが生まれている。他にも当初機器の導入展開案件を受託した取引先から、その次のステップである運用管理まで依頼されるケースも増えてきている。
このように、事業間シナジーにより新規案件を獲得できること、3事業を通じて様々な市場に参画できることは、同社の大きな強みである。

 

 

(同社資料より)

 

ヘルスケア市場における保守サービスのシェアは圧倒的なNo.1である。
医院・病院は安全性の確保や情報の厳格な管理といった要求水準が極めて高く、保守サービスにおいても顧客である医院・病院から様々なクレームを受けやすい。
そうした難しい領域で同社は約50年に亘り豊富な実績とノウハウを有している。いったん他社に流れた案件でも、クレームが殺到し結果的に同社が再度保守を担当することになったケースもあるということだ。また人材不足を背景に保守サービスを継続的に提供することが難しくなった同業者からの案件譲渡も増加傾向にあるということで、他社には容易にまねのできない強力な競争優位性を示している。

 

2.2025年3月期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

期初予想比

修正予想比

売上高

16,145

100.0%

16,904

100.0%

+4.7%

-1.9%

0.0%

売上総利益

3,724

23.1%

4,023

23.8%

+8.0%

-

 

販管費

3,096

19.2%

3,335

19.7%

+7.7%

-

 

営業利益

627

3.9%

687

4.1%

+9.7%

-10.5%

+0.2%

経常利益

634

3.9%

691

4.1%

+8.9%

-10.9%

+0.4%

当期純利益

410

2.5%

512

3.0%

+24.9%

-1.8%

+0.8%

*単位:百万円。修正予想比は25年4月公表の業績予想に対する比率。

 

増収増益、期初予想を下回る
売上高は前期比4.7%増の169億4百万円。3事業とも増収。保守サービス事業では新規保守案件が増加、既存案件も拡大した。ソリューション事業はDX推進に伴う案件が増加した。人材サービス事業では派遣単価改定が寄与した。
営業利益は同9.7%増の6億87百万円。増収に伴い売上総利益が同8.0%増加。ベースアップなど人件費中心に販管費も同7.7%増加したが、吸収し増益となった。
医療DXについて一部遅れが生じ、医療機関における電子処方箋の導入が想定通り進まなかったこと、計画していた医療機器の導入が進まず、機器の設置、保守の受託が想定件数を大幅に下回ったこと、自社内で対応できない工事案件の比重が増え、外注費が増加したこと等から25年4月に業績予想を下方修正している。

 

【2-2 セグメント別動向】

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

 

 

 

 

 

 

保守サービス

4,750

29.4%

4,923

29.1%

+3.7%

+0.5%

ソリューション

9,248

57.3%

9,815

58.1%

+6.1%

-2.8%

人材サービス

2,147

13.3%

2,165

12.8%

+0.8%

-3.3%

合計

16,145

100.0%

16,904

100.0%

+4.7%

-1.9%

セグメント利益

 

 

 

 

 

 

保守サービス

778

16.4%

873

17.7%

+12.2%

-

ソリューション

718

7.8%

789

8.0%

+9.9%

-

人材サービス

309

14.4%

304

14.0%

-1.7%

-

調整額

-1,178

-

-1,278

-

-

-

合計

627

3.9%

687

4.1%

+9.7%

-10.5%

*単位:百万円。セグメント利益の構成比は売上高利益率。

 

(1)保守サービス事業
売上高は前期比3.7%増の49億23百万円、セグメント利益は同12.2%増の8億73百万円。
ソリューション事業とのシナジー効果による新たな保守案件が寄与した。空港内システム保守は全国の地方空港に拡大。訪問看護ステーション向けのオンライン資格確認機器保守も好調だった。
小売店ネットワーク機器保守など、既存取引先案件も順調に拡大した。
価格改定に加え保守人員の能力アップなどでセグメント利益率も前期比1.3ポイント上昇した。

 

(2)ソリューション事業
売上高は前期比6.1%増の98億15百万円、セグメント利益は同9.9%増の7億89百万円。
12月に訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認及びオンライン請求が義務化されたのに伴い、導入に必要なレセプト作成用のソフト、パソコン、ネットワーク回線整備の需要が増加した。25年10月にWindows10のサポートが終了するため、パソコンの新規導入や入替えに係る案件も増加傾向。政府が推進する医療DXの施策の1つである、電子カルテ情報共有サービスの実現に向けて、電子カルテの新規導入支援及びクリニック内のネットワーク構築の案件が増加している。ただ、医療DXについては電子処方箋や医療機器導入において一部計画に遅れが生じている。
このほか、低軌道衛星を用いてどこでも大容量通信ができる「Starlink」の設置工事、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版に準拠したセキュリティ対策製品なども寄与した。
同社ではネットワーク関係の工事に関しては実績・ノウハウは豊富だが、電気工事関係は現時点では対応が難しい。そのため、そうした自社で対応できない工事の比重増加に伴い外注費が増加している。利益率の改善のため、エンジニアのスキルアップや内製化に向けた体制の構築を進めていく考えだ。

 

(3)人材サービス事業
売上高は前期比0.8%増の21億65百万円、セグメント利益は同1.7%減の3億4百万円。
交渉による派遣単価上昇が寄与した。25年3月末の派遣者は263名で24年3月末から6名増加した。更なる収益向上を目指して、人員の配置転換を実施したほか、派遣単価交渉を継続する。新規派遣先の開拓にも注力する。
機会損失を防ぐためプール人材の育成、中途採用の強化、エンジニアのスキルアップにも注力する。
人材の有効活用による人材サービス事業の拡大に取り組む考えだ。

 

【2-3 人材】

2025年3月末の従業員数は860名となった。
2025年卒の新卒採用は前期77名から7名減少の70名。中途採用は前期30名に対し6名減少の24名。
離職率は2.6ポイントと大幅に改善し、業界平均を大きく下回る5.9%となった。

 

【2-4 財政状態とキャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

24年3月

25年3月

増減

 

24年3月

25年3月

増減

流動資産

5,298

5,061

-236

流動負債

3,061

3,063

+2

現預金

1,509

1,534

+25

仕入債務

1,295

1,195

-100

売上債権

3,002

2,895

-106

未払費用

751

730

-21

棚卸資産

405

266

-138

固定負債

1,539

1,554

+15

固定資産

1,217

1,307

+90

退職給付引当金

1,218

1,230

+11

有形固定資産

301

304

+3

負債合計

4,601

4,618

+17

無形固定資産

91

104

+13

純資産

1,914

1,750

-163

投資その他の資産

824

898

+74

利益剰余金合計

1,648

2,014

+366

資産合計

6,515

6,369

-145

負債・純資産合計

6,515

6,369

-145

*単位:百万円

 

売上債権及び棚卸資産の減少などで資産合計は前期末から1億45百万円減少の63億69百万円。
負債合計は前期末とほぼ変わらず。
自己株式の増加で純資産は同1億63百万円減少の17億50百万円。
自己資本比率は前期末より1.9ポイント低下し27.5%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/3期

25/3期

増減

営業CF

1,134

921

-213

投資CF

-114

-186

-72

フリーCF

1,020

734

-285

財務CF

-441

-709

-268

現金同等物残高

1,509

1,534

+25

*単位:百万円

 

売上債権の減少額の縮小などで営業CF、フリーCFのプラス幅は減少した。
自己株式取得による支出の増加で財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションはほぼ変わらず。

 

3.2026年3月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

25/3期 

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

16,904

100.0%

18,316

100.0%

+8.4%

営業利益

687

4.1%

804

4.4%

+17.0%

経常利益

691

4.1%

814

4.4%

+17.7%

当期純利益

512

3.0%

536

2.9%

+4.6%

*単位:百万円

 

増収増益を見込む
売上高は前期比8.4%増の183億16百万円、営業利益は同17.0%増の8億4百万円の予想。
IT人材不足、国内IT市場の拡大、旺盛なDX需要といった良好な事業環境の下、3事業とも増収を見込んでいる。
配当は前期比8.00円/株増配となる105.00円/株を予定。予想配当性向は30.7%。

 

【3-2 セグメント別動向】

 

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

保守サービス

4,923

29.1%

5,055

27.6%

+2.7%

ソリューション

9,815

58.1%

10,984

60.0%

+11.9%

人材サービス

2,165

12.8%

2,276

12.4%

+5.1%

合計

16,904

100.0%

18,316

100.0%

+8.4%

 

(1)保守サービス事業
前期比2.7%増収の予想。
新規の引き合いは増加傾向にあり、同社の強みである全国ネットワークを活かした保守サービスの提案、ソリューション事業で機器の販売や設置をした取引先から保守を受託するシナジー効果による拡大を図る。
既存取引先に関しては、取り扱い機器の拡大にあたり、エンジニアのスキルアップが必須であるため、教育・研修の充実を図るほか、サポートエリアの拡大にも取り組む。
テクニカルセンターについては、見学会から新たな保守や機器の運用あるいはコールセンターへの依頼に繋がるケースも増えている。また、同センターの機能強化による利益率向上を目指す。具体的には、スマートグラスを用いた技術支援によるエンジニアのスキル向上、拠点との連携を強化したエンジニアの効率的なアサインによる外注費削減などに取り組む考えだ。
ウィーメックス社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータの保守は、既存顧客の機器リプレース時に契約形態をSHINKOと顧客がメディコムハード保守契約を直接締結する方式から、顧客とウィーメックス社が保守契約を締結し、ウィーメックス社からSHINKOがハードに係る保守を受託し保守料を受領するシステムサポート契約方式への切り替えが進んでいるため、売上高は減少傾向にあるが、これまで未契約であった顧客との契約締結が促進されていることから、契約件数及び利益は増加している。

 

(2)ソリューション事業
前期比11.9%増収の予想。
既存取引先については、パートナー各社とのグリップを強化するとともに、利益率改善を目指し同社内で対応可能な作業範囲の拡大を図る。
新規取引先については、官公庁等入札案件、医療機関向けサーバー構築・展開、2025年10月のWindows10サポート終了に伴うWindows11への入替、Next GIGA構想などを事業機会と認識して対応を進める。Next GIGAにおいては、現在使用されている端末の約7割を2年間で更新する計画であることから、端末のキッティングや運用案件の獲得を目指す。加えて、ICT教育に欠かせないネットワーク環境の整備について、通信速度などの課題を抱える学校が多くあると推測しており、快適な授業環境の実現に繋がる教育機関専用インターネット回線プロバイダーサービスの拡販にも注力する。
保守事業同様、テクニカルセンター機能強化による利益率向上に取り組む。

 

(3)人材サービス事業
前期比5.1%増収。
既存取引先のみならず、空港や医療機器等メーカーからのエンジニアの派遣要請が増加傾向にある。こうした旺盛な需要を着実に取り込むため派遣人員を増加させる計画であり、エンジニアの育成やスキルの習得に取り組む。
新規派遣先開拓に向け、ヒューマンリソース統括ユニットを設立した。
また、事業間シナジー創出のための取り組みとして、ソリューションにつながる戦略的な派遣を行うため、人事ローテーションの活性化にも取り組む。
収益性拡大に向け、今期も派遣単価交渉を進める。

【3-3 人材】

2026年卒は約70名を、中途は約25名の採用を計画している。ミスマッチ防止のための入社前面談、自動車運転の技術不足支援や配属前現場研修の実施など、新入社員研修の課題対策に取り組むとともに、配属後の課題対策としてヒアリング、アンケート等により新入社員の声を聞き不安やギャップを早めに解消することで、25年3月期92.3%であった新卒定着率(1年後の在職率)は26年3月期も90%以上を目指す考えだ。

 

4.中期経営計画およびその進捗

同社では現在、27年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を実行中である。
24年7月公表時の計画の概要及び25年3月期を終えた1年間の進捗は以下のとおりである。

 

【4-1 骨子】

同社を取り巻く事業環境は、「IT人材不足」「国内IT市場の成長」「政府・企業とも積極的なDX推進」と良好である。
こうした環境下、DX改革が推進される市場においてSHINKOの存在価値を高め、DX改革の一翼を担い、事業の成長を継続しステークホルダーの期待に応えていく。

 

目指す姿

総合ITソリューションサービス企業

価値の提供方法

ITネットワーク技術と、全国ネットワークの強みを活かす

注力領域

DXを推進する医療機関・企業を全面的にサポート

 

【4-2 テーマ】

「成長と収益力向上」を最重要テーマとしている。

 

(1)テーマ:成長
①目標
2024年7月の公表時:25年3月期の予想売上高172億39百万円からの3ヵ年の売上高CAGR +5.6%」を目標としていた。

 

<進捗>
電子処方箋導入、電子カルテ共有化についての政府の医療DXの一部遅れに加え、医療DXに係る費用負担が重いという声もある医療機関での導入の遅れ、様子見の傾向などから、中期経営計画1年目は下方修正となった。
今期以降は、以降は医療DXの推進状況を注視して対応していく考えだ。
最終年度の計画達成に向け、Windows10 のサポート終了によるWindows11への入れ替え、Next GIGA構想によるスクール学校DXの推進、官公庁入札案件などの需要に適宜対応していく。
25年3月期の実績169億4百万円からのCAGRは+6.6%となった。

 

②取組み
同社の現場は人と人の接点にあり、直接工数(直接業務に関わる従業員及び派遣受入れ者数)の増加に比例して売上高が増加すると考えており、成長実現に向け、毎年30名程度の純増を想定している。

 

人材獲得に関しては、新卒採用に注力する。大学におけるSHINKOの認知度向上に向け、キャリアセンターとの関係性構築、学生向けにキャリアプラン講義・ITパスポート取得のための研修・Microsoft Office Professional取得のための研修などを提供する。2023年3月の上場以降、エントリー者数は増加しており、それに伴い、採用者数も順調に増加している。
また、内定辞退や入社後のミスマッチ防止のための工夫として、内定者懇談会の開催や、希望に沿った勤務地の選定のための入社前の面談を実施している。

 

従業員定着率向上に向けては、エンジニアの業務負担軽減対策のほか、社内DX推進による業務効率化、「健康経営」の推進に加え、ES(従業員満足度)アンケートの声に基づき従業員の働きやすい職場を検討していく。

 

<進捗>
25年3月期の実績は49名と想定を大幅に上回った。離職率は5.9%と前期比2.6ポイント改善し業界平均を大きく下回った。
ベースアップを含めた待遇改善に加え、毎年実施している従業員満足度調査の結果を踏まえた取り組みが実を結んでいるということだ。

 

 

(2)テーマ:収益力向上
①目標
2027年3月期の営業利益率5.2%を目標としている(参考:25年3月期4.1%)。

 

②取組み
営業利益率向上に向け、具体的には、「対既存取引先価格転嫁の交渉」「新規取引先適性価格での案件創出」「内製化による外注費の削減とエンジニアの効率化」を挙げているが、最も注力するのが「内製化による外注費の削減とエンジニアの効率化」だ。

 

このために同社では、以前よりデジタル活用による作業支援と効率化を推進してきた。
2022年には、エンジニアにタブレット支給し、業務管理システム導入により位置情報の活用や作業進捗の確認効率化に取り組んだ。
2023年には、チェックシートの電子化により作業状況のリアルタイム確認が可能になり、作業品質が向上した。
2024年からは、スマートグラスの配備による作業者のレベルに囚われない対応品質の実現に取り組んでいる。

 

同年2月に移転・拡充したテクニカルセンターには、同社のあらゆる機能が集約している。
遠隔支援システムを用いた現場作業においては、リアルタイムで遠隔地に音声で具体的な指示が可能なためダブルチェックによる品質向上が図れるほか、必ずしもスキル習熟者が現場にいる必要がないため、効率的なアサインによる利益率向上にもつながる。
またエンジニアに対する技術教育を通じたスキルアップにより従来は複数回もしくは複数人で対応しなければならなかった案件に対して、対応回数・対応工数の低減が実現する。また、技術教育は、機器の調達から保守まで自社内でのワンストップ対応が可能な高利益率案件の獲得にも繋がる。
テクニカルセンターには312坪のスペースに同社のあらゆる機能を集約しており、見学も可能な構造となっている。見学件数は着実に増加しており、新規案件創出の場ともなっている。
加えて、ES(従業員満足度)向上の環境創出にも寄与している。音声認識によるコール情報の可視化、メール共有管理システムやチャットボットの導入により同センター内のDXを推進している他、夜間・休日の受付窓口をテクニカルセンターに集約し、エンジニアの負担を軽減するなど、従業員の定着率向上のための施策を実施している。

 

<進捗>
既存取引先に対しては、保守サービス事業、人材サービス事業とも価格改定交渉により単価上昇を実現した。
新規取引先に対しても、サービス価格表を見直し、適正価格での案件創出を図っている。
自社で対応できない電気通信工事案件は増加により外注費が増加しているため、営業利益率と付加価値労働生産性が低下した。今後も同様の傾向が想定されるため、今後はエンジニアの効率的なアサインを実施するなど適切な外注費コントロールを図る考えだ。また、大型案件推進体制を整備し、エンジニアの育成・スキルアップを図り、27年3月期以降の内製化(同工事案件対応の社内人員確保)も検討していく。

 

【4-3 事業戦略・取組】

(1)全体の戦略
良好な事業環境の下、機器の選定、設定、設置から運用保守までワンストップで対し、ITインフラの整備、維持までをサポートするという同社の強みを活かし、Windows10 のサポート終了によるWindows11への入れ替え、Next GIGA構想によるスクール学校DXの推進、インフラストラクチャネットワーク整備やセキュリティ対策需要の高まりといったIT市場の事業機会を捉え、ソリューション案件を積極的に獲得する。
同社が圧倒的な競争優位性を有する医療DXにおいては、医療機関におけるセキュリティ対策、オンライン資格確認機器の設置、電子処方箋導入に伴う電子モジュールの販売、電子カルテ導入のためのネットワーク構築・機器の設置といった案件を獲得し、複雑化する医療機関のネットワークのかかりつけベンダーを目指す。

 

これらの取組みを積極的に展開し、3事業間のシナジーを活かした中期的な戦略で事業基盤を拡大していく。

 

(同社資料より)

 

(2)各事業における取組
①保守サービス事業
事業の安定基盤である同事業においては、医療機器修理事業を拡大する。全国展開が可能であり、取扱い可能な機種も順次拡大していく。
医療機関におけるセキュリティ需要の高まりを受け、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版に合致したプロダクトである「MSK@クラウド ネットワークセキュリティ」「MSK@あんしんバックアップサービス」の拡大に注力する。薬剤の確認と監査を正確かつ効率的に行うためのAI搭載機器「audit-i」の販売にも取り組む。
ソリューション事業とのシナジーとして、オンライン資格確認機器設置後の保守サービス受託拡大に努める。

 

②ソリューション事業
様々なDXの推進に伴い情報通信量が増加する中、インフラの刷新が必要不可欠となっており、機器の選定、設定、設置から運用保守までワンストップで対応することができる同社にとっては、大きな事業機会が生まれている。
各分野のDX推進需要、25年10月のWindows10サポート終了に伴うPC入れ替え需要などを着実に取り込むほか、独立系でマルチベンダー対応可能という強みを活かしてあらゆる市場への参画が可能であることから、同社の成長ドライバーとして拡大を目指す。
収益性向上に向けて、テクニカルセンターを活用した各種施策を推進する。

 

③人材事業
IT人材不足の中、既存取引先から毎年増員の要請がある。こうした需要に的確に応えることで事業は成長するため、DXを可能とする人材の採用と教育、定着に注力する。
採用については、新卒に加え、即戦力となる経験者採用については、ジョブローテーションを活用するほか、全国拠点を持つ強みを活かしUターン、Iターン、Jターンなど、エンジニアの多様なニーズに応じた職場を提供する。
積極的な採用により派遣従事者を増大させるとともに、新規派遣先獲得にも注力し、プール人材の確保により機会損失を防ぐ.
教育については、テクニカルセンターにおけるOJTや、設計・構築をおこなうSOL部門でのOJTなど、社内教育体制の強化及び教育環境の拡充を図る。

【4-4 数値目標】

「27年3月期 売上高192億17百万円、営業利益10億1百万円、経常利益10億8百万円、当期純利益6億84百万円」を計画している。営業利益率は25年3月期比で1.1ポイント上昇の見込み。

 

(業績計画)

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

26/3期(計画)

構成比

27/3期(計画)

構成比

CAGR

売上高

16,145

100.0%

16,904

100.0%

18,316

100.0%

19,217

100.0%

+6.6%

営業利益

627

3.9%

687

4.1%

804

4.4%

1,001

5.2%

+20.7%

経常利益

634

3.9%

691

4.1%

814

4.4%

1,008

5.2%

+20.8%

当期純利益

410

2.5%

512

3.0%

536

2.9%

684

3.6%

+15.6%

*単位:百万円、利益の構成比は売上高利益率。CAGRは25/3期から27/3期への伸長率で、売上高以外はインベストメントブリッジが計算。

 

(セグメント売上高計画)

 

24/3期

25/3期

27/3期(計画)

CAGR

保守サービス事業

4,750

4,923

5,203

+2.8%

ソリューション事業

9,248

9,815

11,446

+8.0%

人材事業

2,147

2,165

2,566

+8.9%

全社合計

16,145

16,904

19,217

+6.6%

単位:百万円。CAGRは25/3期から27/3期への伸長率で、同社資料を基にインベストメントブリッジが計算。

 

 

5.今後の注目点

福留社長に株主・投資家へのメッセージを伺った。

 

「当社は、安定した顧客基盤や全国ネットワーク、豊富なIT人材といった事業基盤を強みに、保守事業・ソリューション事業・人材事業の3事業間で送客を行いシナジー・付加価値を産み出しています。
IT人材不足に加え、行政・民間ともDX推進需要は旺盛で事業環境は極めて良好ですので、成長に向けては大いに自信を持っています。25年3月期は医療DXに一部遅れが生じたため計画未達となりましたが、成長の道筋は明確です。
配当性向30%を目標に今後も増配で株主の皆様にはしっかりと還元してまいりたいと考えています。
中長期の視点で是非当社を応援していただきたいと思います。」とのことだ。

 

初年度は下方修正となった中期経営計画だが、27年3月期の目標達成のためにも、26年3月期、どの様な売上・利益の水準を実現することができるのか、注目していきたい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外4名(うち独立役員4名)

監査役

3名、うち社外2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年6月30日)
基本的な考え方
当社は、「わたしたちはお客様を念(おも)い、仲間を想(おも)い、社会を憶(おも)い、高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルである人と人との接点に新たな価値を創造していきます。」を企業理念として掲げております。この企業理念のもと、当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、コーポレート・ガバナンスが重要な経営上の課題であると位置付け、その強化に努めております。「経営の透明性、公正性及び効率性の確保、適切な情報開示による説明責任の遂行」を基本とし、全社を挙げコンプライアンスへの取組みを積極的に推進しております。同時に、内部統制システムの整備・強化を全社的課題に掲げ、その促進を図っております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【補充原則1-2④ 株主総会における権利行使】
当社は、株主が議決権行使を行いやすい環境の整備が必要と認識しております。議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳については、機関投資家・海外投資家の比率等を勘案しながら検討してまいります。

 

【補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保に関する開示】
当社は、性別、中途採用、国籍等に囚われず、個人の能力・成果に基づいた人事評価をもとに管理職に登用することを基本方針としております。当社事業は国内に限られることから、現時点で外国人の管理職登用については実績がありませんが、女性・中途採用者については管理職に登用しております。従来当社は、ジェンダーや勤続年数で採用や管理職登用において差をつけることはしておりません。女性管理職の割合及び目標値については有価証券報告書にて開示をしております。多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針については今後検討してまいります。
【補充原則4-1③ 最高経営責任者(CEO)等の後継者の計画】
当社は、企業が将来にわたって継続的に成長していくためには、経営を司る後継者の育成が重要な要素であると認識しており、最高経営責任者(CEO)等の後継者の計画については、会社の重要事項と位置付けております。今後、後継者育成の計画、選任のプロセスについて十分に審議を行い、任意の諮問機関「指名・報酬委員会」(以下、指名・報酬委員会)及び取締役会において検討していく予定です。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、政策保有株式を保有しておりません。株式の保有を通じた保有先との連携が当社の経営戦略に沿ったもので、中長期的な企業価値の向上に寄与する合理性があることが判断される場合に限り、取締役会に諮ったうえで、政策的に株式を保有することを検討いたします。

 

【原則3-1情報開示の充実】
当社は、法令に基づく開示を適時、適切に行うことに加え、下記事項における方針を掲載しております。
(i)会社の目指すところ(企業理念等)や経営戦略、経営計画 当社の企業理念等は、当社のウェブサイトに掲載しております。
https://www.kk-shinko.com/company/philosophy/
また、経営方針等を当社ウェブサイト及び決算説明資料等に掲載いたします。

 

(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
本報告書の「Ⅰ.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」の「1.基本的な考え方」に記載しております。

 

(iii)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続
本報告書「Ⅱ.経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況」「1.機関構成・組織運営等に係る事項」「【取締役報酬関係】報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」に記載のとおりであります。

 

(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
取締役の選任・解任のいずれにおいても、当社は指名・報酬委員会での諮問を経て、取締役会で決議することとしております。取締役候補者については、指名・報酬委員会で定める取締役基準及びスキルに基づき選任しています。取締役は経営者としての人格に加え、経営者としての経験、実績、管掌部門の課題を的確に把握し、他の役職員と協力し課題を解決する能力があること、法令及び企業倫理の遵守に徹する見識を有すること等を総合的に判断し、候補者の選定及び指名を行うこととしております。また、社外取締役候補者の選任に関しては、会社法上の社外性要件に加え東京証券取引所の定める独立性の要件を満たし、当社との間に特別な人的関係、資本関係その他利害関係がないと判断される基準に基づいています。
監査役候補者については、人格・見識、監査役に相応しい豊かな経験及び十分な専門知識、コンプライアンスに対する十分な理解等を考慮し、当社の持続的な成長と企業価値の向上に貢献する資質を備えていること等を総合的に判断して選定及び指名することとしており、独立社外取締役が出席する取締役会において選定しております。

 

(ⅴ)取締役会においては、上記(ⅳ)の方針を踏まえ、経営陣幹部の選解任および取締役・監査役候補者の指名を行っております。これらの個々の選解任・指名に関する理由、ならびに取締役候補者および監査役候補者の選任に係る判断の参考となる略歴、スキルマトリックス等の情報につきましては、株主総会招集通知に記載するとともに、当社ウェブサイトにおいても開示しております。

 

【補充原則3-1② 海外投資家等の比率等を踏まえた英語での情報の開示・提供の推進】
当社は、現在決算短信については英訳での情報の開示・提供を実施しております。引き続き、株主構成等の情報収集・分析に努め、開示範囲の拡大の検討を行ってまいります。

 

【補充原則3-1③ 自社のサステナビリティについて】
当社では、ESG委員会を設置し、サステナビリティ基本方針に基づいて、サステナビリティに関する具体的な施策および目標を策定し、各種取り組みを推進しております。温室効果ガス(GHG)排出量の削減を目的としたエコカーの導入に加え、IT資産の導入からリユース・リサイクルに至るまでの一連のプロセスを最適化する資産管理の高度化にも取り組んでおります。また、昨年度よりScope 1およびScope 2の排出量把握を開始しており、今後はCO2排出量の削減を目指して取り組みを強化してまいります。あわせて、従業員の健康管理や労働環境への配慮、公正かつ適切な処遇の実現に努めるとともに、等級や社歴に応じた教育・研修制度を通じて、従業員の継続的な能力開発と成長支援にも注力しております。さらに、取締役会を中心に、コンプライアンス委員会、指名・報酬委員会とも連携し、企業統治(ガバナンス)の一層の充実に努めております。。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、経営企画室 IR・広報チームがIR業務を担当しております。会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう決算説明会の開催や機関投資家との個別面談、個人株主からの問い合わせへの応対、IRフェアへの出展など、幅広い株主との対話の機会を設けております。

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