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(1447) SAAFホールディングス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(1447)SAAF ホールディングス 2025年3 月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

左奈田 直幸 代表取締役 社長執行役員

SAAFホールディングス株式会社(1447)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

建設業

代表取締役 社長執行役員

左奈田 直幸

所在地

東京都江東区豊洲三丁目2番24号 豊洲フォレシア9F

決算月

3月

HP

https://www.saaf-hd.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

258円

24,446,958株

6,307百万円

-4.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

-

4.50円

57.3倍

108.38円

2.4倍

*株価は7/14終値。各数値は2025年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

22/3期(実)

26,346

238

157

-766

-35.59

0.00

23/3期(実)

30,528

739

708

162

6.93

0.00

24/3期(実)

29,270

713

767

183

7.59

0.00

25/3期(実)

28,855

333

142

-129

-5.28

0.00

26/3期(予)

30,000

580

380

110

4.50

未定

*単位:百万円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

 

SAAFホールディングス株式会社の2025年3月期決算概要、2026年3月期業績予想、左奈田社長へのインタビュー等をお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.中期経営計画について
5.左奈田社長へのインタビュー
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • コンサルティング事業、システム開発事業、人材事業、建設土木事業※を4つの柱として、付加価値の高いサービスを顧客である公共機関や民間企業等に提供している。新経営陣の下で大幅な組織再編および構造改革に着手中で、グループ全体の協創と協力によるシナジーを発揮させ、更なる拡大を目指している。※2026年3月期第1四半期から事業ポートフォリオ見直しにより報告セグメントを8つから4つに変更し、地盤調査改良事業は、セグメント名を建設土木事業に変更した。

     

  • 2025年3月期は減収減益。売上高は前期比1.4%減の288億55百万円。コア事業であるコンサルティング事業、システム開発事業、地盤調査改良事業が増収も、育成事業である海外事業において、工事に必要な盛土材の枯渇による材料費の高騰・工期延長の影響を大きく受けた。営業利益は前期比53.2%減の3億33百万円。主な要因は海外事業における材料費の高騰、人材事業における採用費を中心とした人件費高騰も価格転嫁遅れによる減益。2025年2月公表の修正予想に対して売上高はほぼ予想通りも、利益は下回る結果となった。

     

  • 2026年3月期は増収増益を予想。売上高は前期比4.0%増の300億円、営業利益は同73.7%増の5億80百万円を見込む。経営の主眼を売上重視から利益重視へシフトさせており、引き続き子会社集約による効率化、グループ管理部門の集約、AI・IoT技術導入による業務効率化に取り組む。配当は現時点では未定。

     

  • 前中期経営計画においては、最終2025年3月期「売上高288億55百万円、営業利益3億33百万円」と修正計画に対しても未達に終わった。売上重視の経営から利益重視の経営に転換し、不採算事業の整理等を積極的に行い利益獲得の土台の形成は整いつつあるものの、グループ会社の社会情勢の見通しや、計画値策定の甘さが浮彫になったと考えている。今後は価格戦略の見直し、生産性の向上、販管費の最適化を通じて、営業利益率改善と安定したキャッシュ創出体制の確立を目指す。新中期経営計画は現在、検討・策定中である。

     

  • 左奈田社長に、自身のミッション、今後の経営方針、株主・投資家へのメッセージ等を伺った。「大幅に刷新された新たな経営陣では、全てのステークホルダーとのエンゲージメント重視を共有しています。経営にはスピード感が極めて重要です。グループの整理整頓はこの1年で終え、2年目以降は明確な成長軌道への回帰をお見せしたいと思います。事業方針である『事業モデルの確立』『技術主導付加価値の創造』『成長ストーリーの構築』に取り組み、皆様のご期待にお応えしてまいります。是非当社を応援してくださいますよう、お願い申し上げます。」とのことだ。

     

  • 左奈田社長は、前中期経営計画の未達は、ガバナンス機能不全による停滞感も大きな要因であったと分析しており、経営方針に「ガバナンス経営の実践」を掲げ、ガバナンス体制について大きな変革を実行した。そのひとつが、「経営監督機能」と「業務執行機能」の明確な分離だ。以前の体制では取締役会の経営監督機能が十分ではなかったとの反省から、自身が社長執行役員となり、社外取締役にはしっかりとしたモニタリングを依頼している。任意の「指名・報酬委員会」設置と合わせ、統制と牽制の効いたガバナンス体制を構築することが持続的な売上・利益の拡大、企業価値向上には不可欠であるとの考えだ。

     

  • 新たなガバナンス体制の下、赤字事業、赤字企業の清算・撤退を進めながら、「事業モデルの確立」「技術主導付加価値の創造」「成長ストーリーの構築」による成長軌道への回帰を目指す同社の動向に注目していきたい。

     

1.会社概要

コンサルティング事業、システム開発事業、人材事業、建設土木事業を4つの柱として、付加価値の高いサービスを顧客である公共機関や民間企業等に提供している。社名「SAAF(サーフ)」は(Support As A Foundation)の頭文字をとっており、「土台として支える」のとおり、さまざまな分野で顧客に寄り添い、心のこもったサービスを提供するプロフェッショナルとして、安定的・長期的に社会を支える存在でありたいとの想いを込めている。
新経営陣の下で大幅な組織再編および構造改革に着手中で、グループ全体の協創と協力によるシナジーを発揮させ、更なる拡大を目指している。

 

【1-1沿革】

1997年6月に設立された地盤調査・地盤改良・地盤保証を行う株式会社サムシングは順調に収益を拡大させ、2006年8月にサムシングホールディングス株式会社として大阪証券取引所「ヘラクレス」(旧 東証JASDAQ市場)に上場。当時、住宅地盤改良を主力とする唯一の上場企業となった。2008年にGPSを用いた住宅地盤第三者認証システム「GeoWeb System」を開発し、業界の透明性向上に大きく貢献する。2018年10月には、東証マザーズ上場のITbook株式会社の事業承継を目的として、ITbook株式会社とサムシングホールディングス株式会社の株式移転によりITbookホールディングス株式会社が設立され、東証マザーズ市場(現 東証グロース市場)に上場。2024年9月、商号を「ITbookホールディングス株式会社」から、「SAAFホールディングス株式会社」へ変更した。

 

 

【1-2 経営理念】

コンセプトは「しなやかに、社会を支える。」
大幅な組織再編および構造改革に着手し、ミッション、ビジョン、新経営基本方針のもと、これまで培ってきた社会インフラを支える「揺るがなさ」と、必要に応じて変化できる「しなやかさ」をグループ全体で発揮し、しなやかに社会を支える存在を目指している。

 

ミッション

ICT技術・DXにより社会インフラの効率的、効果的付加価値の向上及び、社会貢献を目指す

ビジョン

クライアントを支え、誠実にサポートしていく

経営基本方針

1.成長基盤は社員自身であること

2.ガバナンス経営の実践

3.社員とその家族の安心と希望の実現

 

【1-3 事業内容】

事業セグメントは、2025年3月期までは、4つのコア事業(コンサルティング事業、システム開発事業、人材事業、地盤調査改良事業)と4つの育成事業(保証検査事業、建設テック事業、海外事業、その他)の計8セグメントであったが、「選択と集中」による組織再編の一環として、事業活動の実態を適正に反映させ、セグメントごとの戦略立案による成長を目指すことを目的として、26年3月期より「コンサルティング事業」「システム開発事業」「人材事業」「建設土木事業」の4つのセグメントに集約することとした。
「システム開発事業」と「人材事業」に分けていたNXTech株式会社は、全て「システム開発事業」に移行し、「建設テック事業」は「システム開発事業」に統合。「保証検査事業」と「海外事業」は「地盤調査改良事業」へ統合し、セグメント名を「建設土木事業」に変更した。「その他」の事業は各社清算完了後に廃止する予定である。
以下、「コンサルティング事業」「システム開発事業」「人材事業」「建設土木事業」の4セグメントについて説明する。

 

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

(1)コンサルティング事業
官公庁や民間企業等のパートナーとして、業務および情報システムの総合的な整理・再構築を提案し、組織的な戦略目標の達成、および地方創生を支援している。未来志向のマーケティングと創発的なコンサルティングで様々な社会課題、経営課題を抜本的に解決している。

 

グループ会社

ITbook株式会社、みらい株式会社

 

顧客別提供ソリューション

行政・地方自治体

自治体DX推進支援、業務・システム最適化計画支援、オープンデータ推進支援、PMO推進支援、地方創生推進支援、企業誘致・デジタル人材育成等

独立行政法人

情報セキュリティ強化支援、最適化計画策定支援、システム調達支援等

民間企業

ITコンサルティング、経営戦略策定支援、新規事業企画支援、DX推進支援、BPR/BPO推進支援、人材育成支援等

 

これまで累計ベースで約300を超える官公庁、自治体、民間企業にソリューションやサービスを提供している。

 

◎特徴・強み

300を超える官公庁・地方公共団体からコンサルティング業務を受託している。自治体DX・業務システム標準化等の各種支援を実施しているほか、ガバナンスクラウド導入や生成AIの急速な普及等デジタル変革を支援する高度なコンサルティング・技術支援サービスを提供している。

中央省庁等のコンサルティング業務で培ったナレッジをもとに多角的な視点でサービスを提供している。運用までの支援に加え、利用開始後の運用管理補助業務の実施等、安定稼働を想定した提案が可能な点を強みとしている。

AWSセレクトティアサービスパートナーとして認定されており、防災DX官民共創協議会および「交通空白解消官民連携プラットフォームに加入している。

広島県の重点事業に関し、水道企業団および新病院構想の運営PMO、広島叡智学園の構想企画および運営支援、中山間地域のデジタル化推進支援等を手掛けている。熊本県、熊本市、天草市においても、継続的な取引実績を有しており、企業誘致、産業振興、行政事務のBPO等の支援を行っている。

日本標準産業分類の87%を網羅できる多様な専門人材が在籍しているほか、各自治体のデジタル関係特別職公務員や、それに類する役職の受任者も多数在籍している。

 

 

(2)システム開発事業
システムソリューション・IoTソリューション・組込みソフトウェアソリューションの提案、ニアショア開発、ITインフラ構築、動画配信ソリューション、センシング技術開発、機器販売・保守・運用、SES・派遣サービスを行っている。
IT、IoT等の新技術を通して、地域、社会の「デジタルシフト」をリードしていく。
累計ベースの顧客数は約500社。

 

グループ会社

NXTech株式会社、東京アプリケーションシステム株式会社、ジオサイン株式会社

 

◎特徴・強み

各事業の現場・業界に精通している強みにより「真のソリューション」提案の実現が可能である。

独自開発で主力となる建築土木・農業・環境・防災IoT、IoT機器、ITシステムを保有しており、収益性の高い事業モデルを確立している。

派遣エンジニアからの受託開発に加え、AI系アプリ開発・コンサルまでのキャリアパスを構築し、ビジネスドメインの拡大と総合IT企業として成長している。

顧客常駐のSEとニアショア拠点(新潟)と連携し開発を進めることにより、人材の安定供給および高品質なサービスの提供が可能である。

センシング技術を活用した測量アプリケーションの開発等をはじめ先駆的参入により、大きな市場シェアを確保し、高い優位性を保っている。

 

事業再編、セグメント変更に伴い、NXTech株式会社は、全てシステム開発事業に移行し、建設テック事業に属していたジオサイン株式会社が加わった。
同社は、 GPSを用いた住宅地盤第三者認証システム「GeoWeb System」やAI搭載型の360度カメラ「4DKanKan」シリーズ等のレンタル・販売、および電子認証サービスを行っている。「GeoWeb System」は、調査データをWeb上にアップロードし、パソコンからリアルタイムなアクセスを可能にすることで、地盤調査のネックだったヒューマンエラーや不正行為を防止し、同時に業務の効率化を促進するソリューション。すでに、利用件数は約150万件となり、業界屈指の普及率を誇っている。業界のみならず日本初のシステムである。大手企業が参入を苦手とするニッチな市場で、センシング技術を活用した測量アプリケーションの開発等をはじめ先駆的参入により、55%という大きな市場シェアを確保している(自社調べ)。先端技術を取り入れるため、アライアンスを積極的に進めシナジー創出を目指している。
また、AI搭載型の360度カメラ「4DKanKan」は、建設業界における現況測量業務のDX化推進をはじめ、メタバース技術を活用しエンターテイメント・不動産・プラント等幅広い業界にて価格的な視点での活用が期待できる製品である。

 

(3)人材事業
製造・物流関連、教育人材派遣等、顧客ニーズを的確に捉えた専門人材サービスを展開している。
商品コンセプトを、「New Values Service」と定義している。
累計ベースの顧客数は約1,500社。

 

グループ会社

株式会社アイニード、株式会社イスト

 

◎特徴・強み

製造・物流関連、教育人材等専門性に特化している。紹介予定派遣、人材紹介を強化し、顧客の正社員ニーズに対応している。

地域に根差した工場、物流系倉庫、中小企業等エリア内での深耕営業に強みを有する。

岡山県での地域特化型の求人広告代理に参入したことにより人材のニーズに対するワンストップサービス(求人広告、人材派遣、人材紹介)を展開している。

家庭教師事業と民間教育機関、学校法人への人材派遣業において約30年の実績を有している。

オンライン家庭教師、学内予備校、部活動支援等、環境に伴い変化する教育人材のニーズにあわせた人材総合サービスを展開している。

 

(4)建設土木事業
戸建住宅を中心に、小型商業施設や中低層建築物を対象とした地盤調査、土質試験、改良設計、地盤改良、地盤保証をワンストップで提供している
全国規模の大手住宅メーカーやゼネコン、マンションデベロッパーから地場の建設会社まで、極めて幅広く強固な顧客基盤を有している。

 

グループ会社

株式会社サムシング、株式会社ユーシン、株式会社東名、株式会社アースプライム、株式会社GIR、Something Re.Co.,Ltd.、SOMETHING VIETNAM

 

◎特徴・強み

地盤調査、設計検討、地盤改良工事、地盤保証まで、ビルダーの手間をかけず、ワンストップでのサービス提供が可能である。

 

全国28拠点にてサービスを展開し、地盤調査22,000棟/年以上、地盤改良13,000棟/年以上、地盤保証10,000棟/年の豊富な実績を有し、厚い信頼に繋がっている。

地盤改良工事は、認定工法を含む16種類の工法から、各地域の地盤に最適な工法を選定し、提供している。

建築する上で重要な地質調査において、多種多様な試験を実施できる体制を備えており、官公庁やゼネコン大手からの信頼は厚く、品質も確保している。

地盤調査、地盤改良工事で採用する自社開発の GPSを用いた住宅地盤第三者認証システム「GeoWeb System」により、現場で記録したデータをそのまま報告書に反映し、かいざんのない透明性の高い報告が可能である。

アースドリル機、クローラレーン等の施工機と、有資格者の職人を豊富に揃えた施工体制を整備している。

大手ゼネコンからの鉄道工事の複々線化に伴う基礎杭築造工事を中心としたインフラ整備関連工事の実績を多数保有している。

 

事業再編、セグメント変更に伴い、保証検査事業の株式会社GIR、Something Re.Co.,Ltd.と海外事業のSOMETHING VIETNAMが地盤調査改良事業に加わり、「建設土木事業」にセグメント名を変更した。
また、2024年12月に株式会社ユーシンの全株式を取得して子会社化した。同社は、マンション等の比較的大きな建物に対する場所打ちコンクリート杭工事を主業としている。さらに、工事用治具、工法の特許保有、および日本において8社のみ施工が可能な「T-EAGLE杭工法※」の認定会社である等、高い技術力を有している。 同社グループは、このように高い技術力を有する株式会社ユーシンのグループ化により、同社のノウハウを活用し、地盤関連サービスの拡充および株式会社サムシングをはじめとしたグループ会社間シナジーによる事業拡大を図っている。
※大成建設株式会社とシステム計測株式会社が共同開発した、大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法(令和4年度 地盤工学会賞 技術開発賞受賞)

 

【1-4 特長・強み・競争優位性】

(1)川上から川下まで一気通貫で自社サービスを提供
コンサルティング事業により川上から入って案件を受託し、地方自治体や民間企業の課題等を吸い上げて、その課題を同社グループの技術で具体的なサービスやソリューションとして形にし、川下まで一気通貫するサービスを提供する事業を理想として案件の拡大を図っている。

 

(事例)
SAAFホールディングス株式会社と広島県三原市との連携協定により「ため池」の破堤要因の分析や予兆に関する実証実験を実施した。
みらい株式会社のコンサルティングを広島県三原市が評価し、具体的なソリューションとして、株式会社サムシングの得意とするボーリング調査やNXTech株式会社が保有するテクノロジーを活用して、調査やデータ収集を実施。これらのデータを分析した結果、どの程度の水位上昇まで「ため池」の堤体が耐えられるか等を推測できることが判明し、水位上昇時に適切な避難勧告や事前対策を実施することが可能であることが判明した。
「社会問題解決型企業」として、コンサルティングにとどまることなく、実証までのソリューションをワンストップで提供できるのは同社グループの強力な競争優位性である。

 

(2)現場を熟知したDX推進力
現在、DX推進は、日本全体の喫緊の課題であるが、DXを担当する受託開発会社の多くが、現場を知らないことから、どこをどのようにDX化すれば効率改善につながるかを理解しておらず、DXが進まないケースも多い。
同社グループは、株式会社サムシングを中心として現場を熟知しており、現場の課題を、内部のテクノロジーを用いて解決することにより、低コストで生産性を向上させることができる。加えて、そのテクノロジー・ソリューションを外販することで事業の拡大につなげることも可能である。

2.2025年3月期決算概要

【2-1業績概要】

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

29,270

100.0%

28,855

100.0%

-1.4%

-0.5%

売上総利益

7,569

25.9%

7,163

24.8%

-5.4%

-

販管費

6,855

23.4%

6,829

23.7%

-0.4%

-

営業利益

713

2.4%

333

1.2%

-53.2%

-14.4%

経常利益

767

2.6%

142

0.5%

-81.4%

-28.6%

当期期純利益

183

0.6%

-129

-

-

-

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。予想比は2025年2月公表の業績予想に対する比率。

 

減収減益、利益は予想を下回る
売上高は前期比1.4%減の288億55百万円。コア事業であるコンサルティング事業、システム開発事業、地盤調査改良事業が増収も、育成事業である海外事業において、工事に必要な盛土材の枯渇による材料費の高騰・工期延長の影響を大きく受けた。
営業利益は同53.2%減の3億33百万円。主な要因は海外事業における減収減益、および人材事業における採用費を中心とした人件費高騰も価格転嫁遅れにより減益となった。
当期純利益は1億29百万円の損失(前期は1億83百万円の利益)。SOMETHING HOLDINGS ASIA清算に伴い減損損失81百万円を計上した。2025年2月公表の修正予想に対して売上高はほぼ予想通りも、利益は下回った。

 

【2-2 セグメント別動向】

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

コンサルティング事業

1,929

6.6%

1,994

6.9%

+3.4%

システム開発事業

3,158

10.8%

3,343

11.6%

+5.8%

人材事業

5,914

20.2%

5,851

20.3%

-1.1%

地盤調査改良事業

16,081

55.0%

16,437

57.0%

+2.2%

保証検査事業

302

1.0%

255

0.9%

-15.6%

建設テック事業

445

1.5%

453

1.6%

+1.8%

海外事業

931

3.2%

289

1.0%

-68.9%

その他

506

1.7%

231

0.7%

-54.3%

売上高合計

29,270

100.0%

28,855

100.0%

-1.4%

セグメント利益

24/3期

利益率

25/3期

利益率

前期比

コンサルティング事業

272

14.1%

249

12.5%

-8.6%

システム開発事業

203

6.4%

272

8.1%

+33.8%

人材事業

127

2.1%

28

0.5%

-77.4%

地盤調査改良事業

533

3.3%

524

3.2%

-1.7%

保証検査事業

2

0.7%

103

40.3%

+4641.3%

建設テック事業

30

6.8%

40

8.9%

+33.0%

海外事業

-25

-

-228

-

-

その他

-32

-

-101

-

-

調整

-398

-

-554

-

-

セグメント利益合計

713

2.4%

333

1.2%

-53.2%

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。調整は、セグメント間取引消去、のれん償却額、全社費用の合計。

 

①コンサルティング事業
増収減益。
ITbook株式会社はマイナンバー制度やマイキープラットフォームへの対応等、過去から蓄積してきた顧客からの信頼・知見を活かし、中央官庁・独立行政法人・地方自治体等からのコンサルティング案件の受注に努めたが、計画未達で減収減益。コンサルタントの採用強化を進めるも採用数は予定を下回った。
みらい株式会社は人員増強やサテライトオフィス開設等による事業スケールアップで増収増益。行政機関や企業のパートナーとして様々な社会課題の抜本的な解決に向けて、戦略・企画の提案・受注に努めた。

 

②システム開発事業
増収増益。
NXTech株式会社は、技術者(SE)の採用が難航し、当初の売上計画は未達。人材事業との統合による事業部間の連携強化により人材パイプラインが徐々に具現化しており業績に寄与。また、案件ごとの収益管理の徹底により利益は改善傾向にある。
東京アプリケーションシステム株式会社では、ニアショア/ラボ事業が概ね計画通りで、安定的に受注を獲得し、増収。原価予算を意識した組織体制の構築は順調である。

 

③人材事業
減収減益。
NXTech株式会社では、技術者(SE)派遣人員の採用は難航しており、採用コストが増加した。
株式会社アイニードでは、上期は派遣人員獲得が難航し、売上高は横ばい。利益増強に向け管理・収益構造の見直しや新事業の立ち上げ等構造改革に着手しているが、販管費増加分の売上を獲得できず減益となった。
株式会社イストでは、EMPS事業(教育人材派遣・紹介)が好調で増収も、移転費用等の販管費増加をカバーできず減益となった。

 

④地盤調査改良事業
増収減益。
株式会社サムシングでは、主力製品であるSFP工法のほか、沈下修正工事、地盤調査等の売上が増加した一方、労務費や製造経費が増加し減益となった。
株式会社アースプライムでは、大手ゼネコンの大型案件の受注増により増収増益となった
株式会社東名は、工事の工程ずれや地中障害による撤収、工法変更が複数案件発生し減収減益となった。

 

⑤保証検査事業
減収増益。
住宅市場の低迷を受け減収も、安定した地盤判定により、保証による損失が減少し利益は改善した。
新商品の「LAND-BIG」「LAND-D」の販促に取り組んだ。

 

⑥建設テック事業
増収増益。
GPSを用いた住宅地盤第三者認証システム「GeoWeb System」が堅調に推移した。開発案件も増加している。
新規事業で、建設・測量・エンターテイメント等の幅広い分野で活用できるAI搭載型の360度カメラ「4DKanKan」は、引き合いやレンタル等は順調に拡大しており、利益を増大させている。

 

⑦海外事業
減収、赤字幅拡大。
工事に必要な盛土材の枯渇が継続しており、材料単価の高騰および納入の遅延による工事遅延の影響を大きく受けた。
管理システムの導入や社内教育の徹底による工事管理体制の強化を進めている。

 

⑧その他事業
減収、赤字幅拡大。

 

 

【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

24年3月末

25年3月末

増減

 

24年3月末

25年3月末

増減

流動資産

13,308

10,803

-2,504

流動負債

11,848

9,510

-2,337

現預金

4,994

3,112

-1,881

仕入債務

1,717

1,929

+212

売上債権

5,847

6,281

+434

短期有利子負債

7,297

5,166

-2,131

固定資産

4,743

6,194

+1,451

固定負債

3,082

4,644

+1,561

有形固定資産

2,425

2,753

+328

長期有利子負債

2,305

3,865

+1,559

無形固定資産

1,068

2,260

+1,191

負債合計

14,931

14,154

-776

投資その他の資産

1,248

1,179

-69

純資産

3,120

2,843

-277

資産合計

18,051

16,998

-1,053

利益剰余金

-1,881

23

+1,904

 

 

 

 

負債純資産合計

18,051

16,998

-1,053

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

現預金の減少等で資産合計は前期末比10億53百万円減少し169億98百万円。
短期有利子負債の減少等で負債合計は同7億76百万円減少の141億54百万円。
純資産は同2億77百万円減少の28億43百万円。
自己資本比率は前期末から0.4%低下し、15.6%となった。

 

利益重視の経営を着実に遂行し、財務体質の健全化を図るとともに株主還元実行のため、資本準備金の額の減少および剰余金の処分を実行した(2024年6月25日開催の第6回定時株主総会で承認された)。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/3期

25/3期

増減

営業CF

572

305

-267

投資CF

-5

-1,647

-1,641

フリーCF

567

-1,341

-1,909

財務CF

925

-405

-1,330

現金同等物残高

4,794

3,044

-1,750

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

税金等調整前当期純利益の縮小等で営業CFのプラス幅は前期に比べ縮小。
貸付による支出の増加等もありフリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは前期末比で低下した。

 

3.2026年3月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

28,855

100.0%

30,000

100.0%

+4.0%

営業利益

333

1.2%

580

1.9%

+73.7%

経常利益

142

0.5%

380

1.3%

+166.1%

当期純利益

-129

-

110

0.4%

-

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益を予想
売上高は前期比4.0%増の300億円、営業利益は同73.7%増の5億80百万円の予想。
経営の主眼を売上重視から利益重視へシフトさせており、引き続き子会社集約による効率化、グループ管理部門の集約、AI・IoT技術導入による業務効率化に取り組む。配当は現時点では未定。

 

【3-2 各セグメントの主要な事業戦略】

(1)コンサルティング事業
教育・防災・運用管理補助等の新たなマーケットにおける案件獲得を強化する。
RAG(※)機能を用いた自治体の独自AIの利活用支援へ参入する。
事業譲受、有料職業紹介等、地方創生における新規事業の検討を行う。
※RAG (Retrieval-Augmented Generation):大規模言語モデル(LLM)の回答精度を向上させるための技術。LLMに外部のデータベースや検索エンジンから情報を取得させ、その情報を活用して回答を生成することで、より正確で信頼性の高い回答を生成することができる。

 

(2)システム開発事業
効率性向上のため顧客の集中化を図る。
市場の要求を意識した要員を育成する。
AIを活用するほか、ニアショア、ラボ、SES、保守等の安定受注機会を拡大させる。
機器販売の拡大を図る。
建設土木事業とのシナジーをより一層発現するために、DX化を進め、「地盤調査における常識」というレベルまで建設市場への浸透を図る。

 

(3)人材事業
新規事業である地域特化型求人広告代理店事業の拡大に注力する。
新規顧客開拓等を目的としたアウトバウンドコールセンターを新たに設置する。
オンライン家庭教師を指導するほか、学内予備校を本格的に稼働させる。

 

(4)建設土木事業
既存顧客に対する価格交渉による単価上昇を図る。
AI搭載型の360度カメラ「4DKanKan」を用いた測量と地盤調査とのセット販売を強化する。
現場作業を担う施工班の構造改革や販管費の削減による利益率向上に取り組む。

 

 

4.中期経営計画について

【4-1 前中期経営計画の振り返り】

2023年3月期から2025年3月期までの3年間の中期経営計画においては、最終2025年3月期「売上高313億円、営業利益10億90百万円」を計画(修正後)していたが、「売上高288億55百万円、営業利益3億33百万円」と修正計画に対しても未達に終わった。
売上重視の経営から利益重視の経営に転換し、不採算事業の整理等を積極的に行い利益獲得の土台の形成は整いつつあるものの、グループ会社の社会情勢の見通しや、計画値策定の甘さが浮彫になったと会社側は考えている。

 

 

25/3期 修正計画

25/3期 実績

差異(%)

差異(金額)

売上高

 

 

 

 

コンサルティング事業

2,102

1,994

-5.1%

-108

システム開発事業

3,272

3,343

+2.2%

+71

人材事業

6,621

5,851

-11.6%

-770

地盤調査改良事業

17,006

16,437

-3.3%

-569

コア事業合計

29,001

27,625

-4.7%

-1,376

保証検査事業

320

255

-20.3%

-65

建設テック事業

507

453

-10.7%

-54

海外事業

839

289

-65.6%

-550

その他

624

231

-63.0%

-393

育成事業合計

2,290

1,228

-46.4%

-1,062

売上高合計

31,290

28,855

-7.8%

-2,435

セグメント利益

 

 

 

 

コンサルティング事業

312

249

-20.2%

-63

システム開発事業

198

272

+37.4%

+74

人材事業

248

28

-88.7%

-220

地盤調査改良事業

234

524

+123.9%

+290

コア事業合計

992

1,073

+8.2%

+81

保証検査事業

5

103

+1960.0%

+98

建設テック事業

41

40

-2.4%

-1

海外事業

-2

-228

-

-226

その他

12

-101

-

-113

育成事業合計

56

-186

-

-242

セグメント利益合計

1,086

333

-69.3%

-753

*単位:百万円

 

全社の実行課題については、以下の通り。
グループ企業数は2026年3月期中には15社程度になる見込み。

課題

評価

グループ収益体質再構築

赤字事業、赤字企業の精算、撤退

2025年3月末時点で連結子会社数19社

各個社収益体質の強化

「収益性」に課題有り。グループとして「稼ぐ力」の強化を検討。

事業ポートフォリオ強化

2026年3月期で事業ポートフォリオを再構築。

グループ財務体質強化

資金効率化

×

6円配当を無配へ修正収益性の改善を図り株主還元の早期実行を目指す。CMSの導入によりグループ内資金機動性は向上。

資金機動性向上

子会社からの配当により単体の財務状況は改善も、連結の財務体質を図る必要。

グループ人的資本/管理体制強化

グループ経営管理機能強化

グループ管理体制の構築は順調。各社収益体質強化、GP財務体質強化と連動に課題が残る。

グループ内部統制体制強化

2023年3月期に内部統制システムの不備が発覚。2024年3月期に改善策を実行し、同期内に不備は解消。

グループ人事機能強化

グループ間の人事機能の強化・共有化・グループ内研修等は進んでいるものの、経営層のローテーション等の対応は未達。

 

【4-2 課題認識】

今後は価格戦略の見直し、生産性の向上、販管費の最適化を通じて、営業利益率改善と安定したキャッシュ創出体制の確立を目指す。
そのために、構造的に赤字が続く非コア事業は、撤退や再編を進め、事業単位を最適化したうえで経営資源を集中させ、限られた資本を成長領域に再配分することで、収益性の向上と資本効率の最大化を同時に実現する考えだ。
新中期経営計画は現在、検討・策定中である。

 

5.左奈田社長へのインタビュー

左奈田社長に、自身のミッション、今後の経営方針、株主・投資家へのメッセージ等を伺った。

 

左奈田社長は大学卒業後、ソニーケミカル株式会社(現デクセリアルズ株式会社)に新卒で入社。営業、経営企画、事業企画を中心に経験を積み、同社の海外進出に際しても、シンガポール、インドネシア、中国の拠点設立に一から携わった。
同社がソニーグループからスピンアウトしデクセリアルズ株式会社(東証プライム、4980)となった後、同社IPOの際には、各種規定の制定、コーポレートストーリーおよびエクイティストーリーの作成、事業計画等、上場のためのすべての準備作業をプロジェクトチームリーダーとして牽引する。2015年の東証1部上場時には、当時は数少なかったグローバルオファリングも成功させた。
こうした豊富な経験や実績を買われ、ITbookホールディングス株式会社(現SAAFホールディングス株式会社)の前経営陣の招聘により、2022年9月に入社し、経営企画室長に就任。その後、NEXT株式会社(現NXTech株式会社)取締役 副社長、SAAFホールディングス株式会社 上席執行役員経営管理本部長等を経て2025年6月24日開催の第7回定時株主総会での承認および同日開催の取締役会決議にて、代表取締役 社長執行役員に就任した。

 

Q:2025年4月30日に松場清志氏(現取締役会長)が社長に就任した後、同年6月24日の株主総会およびその後の取締役会での代表取締役 社長執行役員就任と、短期間の代表取締役交代となりましたが、その背景をお話しいただけますか。

 

25年3月期を最終年度とする中期経営計画が未達に終わり、前経営陣の代表取締役社長および常務取締役が経営責任を取って辞任することとなった際、経営の継続性という観点から、副社長であった松場が、まずは代表取締役を務めることとなりました。
その後、6月の株主総会に向け、社外取締役および監査役が、今後の持続的な企業価値向上を目指した経営を実行していくのに最適な代表者を厳選していく中で、私も候補の一人に選んでいただいており、ガバナンスも含めたこれまでの実績や経験をご評価くださり、代表取締役 社長執行役員に選任いただいたというのが経緯です。

 

Q:左奈田社長のご自身のミッション、責務は何であるとお考えでしょうか

 

持続的な企業価値向上を実現することが経営者としての責務であることはもちろんですが、そのためにはグループ全社員、株主様をはじめとした、全てのステークホルダーの皆様とのエンゲージメントが極めて重要と認識しています。
エンゲージメントに積極的に取り組むことで、説明責任を果たし、外部の視点から有益な情報を取り入れることが可能となります。これまではこうした行動が不足していたことは否めませんので、その実践によって資本市場からの信頼回復を実現していくことは、私の大きな使命であると考えています。
また、当社は売上重視の経営から利益重視の経営へのシフトを進めていますが、構造改革についてはまだまだ道半ばです。これを完遂することも、持続的な企業価値向上の実現に向けた重要な仕事であると認識していますので、手を緩めることなく、聖域も設けずに取り組んでいく考えです。

 

 

Q:続いて、新社長として経営や事業への取組みについてのお考えをお聞かせください。

 

経営に対する基本的な考え方としては、「成長基盤は社員自身である」「ガバナンス経営の実践」「社員とその家族の安心と希望」の3つを念頭に置いています。
まず1つ目の、「成長基盤は社員自身である」についてです。私は、当社社員は十分なポテンシャリティを持っているので、自信をもってその実力を発揮して貰えば、当社グループは着実に成長していくことができると考えています。
2つ目の「ガバナンス経営の実践」については、前中期経営計画の未達は、ガバナンス機能不全による停滞感も大きな要因であったと考えていますので、ガバナンス体制について大きな変革を実行しました。
まず、事業環境の変化に即応し、迅速かつ最適な意思決定およびその執行を行っていく必要性があるため、執行役員制度を見直し、「経営監督機能」と「業務執行機能」の分離を進め、それぞれの役割の明確化と機能分化を図っていきます。

 

新ガバナンス体制

 

旧ガバナンス体制

 

(同社有価証券報告書より)

 

さらに、取締役会の監督・監視機能を強化するため、主要な委員会から取締役会への報告を義務付けるとともに新たに任意の「指名・報酬委員会」を設置しました。取締役および執行役員選任、報酬額決定等に対する諮問、答申を受け、コーポレートガバナンス・コードの趣旨徹底を図ります。

 

3つ目の「社員とその家族の安心と希望」についてですが、この短期間で社長が交代し取締役も変わったということで、社員も不安に感じていると思います。そのため、社員のみでなくそのご家族も安心できる、将来に希望が抱けるように社員へのケアをしっかりと行っていくことが重要であると考えています。

 

事業についても、テーマとして「事業モデルの確立」「技術主導付加価値の創造」「成長ストーリーの構築」の3つを掲げています。
まず「事業モデルの確立」についてです。当社ではグループ収益体質再構築に向けて、数年前から赤字事業および赤字企業の吸収合併、清算および撤退を進めてきました。過去、多い時には50社程度あったものが、2025年3月末時点で19社になり、今期中には15社程度になる予定です。ここまで絞り込んできましたので、次は着実に利益を生み出していくため、利益が上がる勝ち筋の事業モデルの構築が重要となりますので、その点をしっかりと認識した上で取り組んでいきたいと考えています。
各セグメントにおいて当社の強み、競争優位性を明確にしたうえで、どのような事業モデルが適切かを考え、創り上げていきます。
2つ目が「技術主導付加価値の創造」です。新たな価値の創造にはテクノロジーは不可欠です。当社は様々なテクノロジーを有していますが、残念ながら全ての技術の真の価値を把握できているとは言い難いのが現状です。一旦全ての技術の棚卸をした上で、どの技術がどんな価値を創造できるのかをしっかりと認識し、有望な技術には積極的に投資していきます。
3つ目の「成長ストーリーの構築」についてですが、資本市場にいる限り、成長できないということは停滞であり、停滞は衰退に繋がりますから、事業モデルとテクノロジーが連動した、投資家の皆さんに納得いただける合理性のある成長ストーリーを構築いたします。

 

より具体的な取り組みや、詳細については、現在、検討・策定中である新中期経営計画でお示しします。

 

Q:各セグメントにおける今期の取組みについて、ワンポイントずつコメント頂けますでしょうか

 

建設土木事業においては、「DX化」が重要なキーワードとなりますが、建設作業情報のDX化というのは当社も含めて業界ではある程度進んでいます。
本当のDX化に必要なのは、作業のDX化ではなく、当社であれば起伏、地質、深度、地盤の硬さといった地盤情報のDX化です。当社にはアースプライム社という地質調査会社、また、建設土木事業ではありませんが、GPSを用いた住宅地盤第三者認証システム「GeoWeb System」やAI搭載型の360度カメラ「4DKanKan」シリーズを扱うジオサイン社を有していますので、そうしたリソースを掛け合わせることで従来とは全く違った、当社の競争優位性を活かした地盤情報のDXを創出することができるのではないかと考えています。
サムシング社の新社長に就任した成田はサムシングの創業メンバーの一人であり、ジオサイン社の社長でもあります。ジオサインというテクノロジー企業の社長がサムシングの社長にもなったということは、サムシングの社員に向けた今後の方向性・変化についての明確なメッセージとなっています。

 

システム開発事業においては、東京アプリケーションシステム社の社長である廣沢が、新たに、NXTech社の社長を兼務することとしました。
東京アプリケーションシステム社は新潟のニアショアに重心を置きながら非常に成功している企業です。その社長である廣沢がNXTech社のトップになることで、様々な相乗効果が期待できます。

 

人材事業では、採用が難しい状況の中、安定的に派遣を行い、売上・収益を確保していくためには、派遣人数の拡大ではなく、現在の派遣スタッフの質的向上が不可欠です。本人が成長したいと思うような環境作りや、技術習得の機会提供等、質的転換に向けて積極的に投資していきたいと考えています。

 

コンサルティング事業では、これまでの豊富な実績を武器に、引き続き地方行政に対するアプローチを進めていきます。

 

Q:それでは最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。

 

大幅に刷新された新たな経営陣では、全てのステークホルダーとのエンゲージメント重視を共有しています。株主様や投資家の皆様からもご支援とともに、ご意見も賜りたいと思っていますので、様々な対話の機会を設けていきたいと考えています。
経営にはスピード感が極めて重要です。グループの整理整頓はこの1年で終え、2年目以降は明確な成長軌道への回帰をお見せしたいと思います。
事業テーマである「事業モデルの確立」「技術主導付加価値の創造」「成長ストーリーの構築」に取り組み、皆様のご期待にお応えしてまいりますので、是非当社を応援してくださいますよう、お願い申し上げます。

6.今後の注目点

左奈田社長は、前中期経営計画の未達はガバナンス機能不全による停滞感も大きな要因であったと分析しており、「ガバナンス経営の実践」を掲げ、ガバナンス体制について大きな変革を実行した。そのひとつが、「経営監督機能」と「業務執行機能」の明確な分離だ。以前の体制では取締役会の経営監督機能が十分ではなかったとの反省から、自身が社長執行役員となり、社外取締役にはしっかりとしたモニタリングを依頼している。任意の「指名・報酬委員会」設置と合わせ、統制と牽制の効いたガバナンス体制を構築することが持続的な売上・利益の拡大、企業価値向上には不可欠であるとの考えだ。
新たなガバナンス体制の下、赤字事業、赤字企業の精算・撤退を進めながら、「事業モデルの確立」「技術主導付加価値の創造」「成長ストーリーの構築」による成長軌道への回帰を目指す同社の動向に注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

7名、うち社外取締役3名(うち独立役員3名)

監査役

3名、うち社外監査役2名(うち独立役員1名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年6月27日

 

<基本的な考え方>
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考えは、事業活動の適法性を確保し、かつ経営の透明性を確保したうえで経営環境の変化に対応できる組織体制と株主重視の公正な経営システムを構築、維持することを基本的な考え方としております。以上を実現するために監査役会設置会社を選択し、コーポレート・ガバナンス体制としては株主総会、取締役会、監査役会に加えて経営の意思決定を補助するために経営会議や各種委員会を設置し、重要事項の審議、検討を通じてガバナンスの実効性を高めてまいります。
また、事業環境の変化に即応し、迅速かつ最適な意思決定およびその執行を行っていく必要性の認識のもと、当社は執行役員制度を新たに見直し、「経営監督機能」と「業務執行機能」の分離を進め、それぞれの役割の明確化と機能分化を図ってまいります。さらに、取締役会の監督・監視機能を強化するため、主要な委員会から取締役会への報告を義務付けるとともに新たに任意の「指名・報酬委員会」を設置し、取締役、執行役員選任、報酬額決定等に対する諮問、答申を受け、コーポレートガバナンス・コードの趣旨の徹底を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社はグロース上場企業として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

 

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