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(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

プライム

ブリッジレポート:24時間365日止まらない決済や、カードの不正利用検知のシステムを開発するなど、安全安心なキャッシュレス社会に貢献しています。決済や金融領域で培った高速・大量データ通信・分析技術をもとに、情報セキュリティ分野などにも事業を展開しています

ブリッジレポートPDF

            

川上 晃司 社長

株式会社インテリジェント ウェイブ(4847)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表者

川上 晃司

所在地

東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー

決算月

6月

HP

https://www.iwi.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,069円

26,340,000株

28,157百万円

14.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

37.00円

3.5%

64.31円

16.6倍

361.91円

3.0倍

*株価は8/26終値。各数値は25年6月期決算短信より。発行済株式数は自己株式を含む。

 

非連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年6月(実)

11,493

1,519

1,556

1,055

40.16

17.00

2023年6月(実)

13,374

1,556

1,603

1,165

44.34

20.00

2024年6月(実)

14,518

2,030

2,072

1,420

54.19

40.00

2025年6月(実)

15,596

1,848

1,890

1,349

51.55

35.00

2026年6月(予)

17,400

2,400

2,440

1,690

64.31

37.00

* 予想は会社予想。単位:百万円。

 

 

(株)インテリジェント ウェイブの2025年6月期決算概要などについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年6月期決算概要
3.2026年6月期業績予想
4.中期経営計画(25/6期-27/6期)
5. 今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/6期の売上高は前期比7.4%増の155億96百万円。主力の決済領域は引き続き堅調に推移した。セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等があり大幅増収。不正検知やクラウドサービスも大きく伸びた。顧客別では、最大手DNPはセキュリティ製品導入等、セキュリティ関連の売上が増加した。システム開発会社では、クレジットカード会社向け大型案件については開発フェーズの移行により減少した。カード会社では、新規領域の売上が増加した。営業利益は同9.0%減の18億48百万円。利益面では、システム開発や保守の粗利率は向上した。しかし、一部案件の品質強化対応等により売上総利益率が前期32.4%から29.9%に低下、営業利益率は前期14.0%から11.9%となった。四半期ベースでは、2Q・3Qは伸ばしたが4Qには営業利益率が低下した。期末配当は予想通り20.00円/株を実施、年間で35.00円/株。

     

  • 26/6期は売上高が前期比11.6%増の174億円、営業利益は同29.8%増の24億円の予想。売上高については、大手カード会社のシステム更改需要への対応を進める。中期経営計画に基づく施策の推進により拡大を図る。利益面では、25/6期に続き、セキュリティ領域の製品構成の影響等を受けるものの、システム開発・保守やインフラ・運用において、標準化や品質強化などを通じて生産性向上を図り、利益率の改善を目指していく。配当は前期から2.00円/株増配の37.00円/株(うち上期末17.00円/株)を予定。予想配当性向は57.5%。

     

  • 25/6期は一部案件で品質強化への対応や、一部自社製品の一括償却等により増益予想だった会社予想を下回って減益着地となった。これら影響の一部が26/6期1Qまで残る見通し。このため上期は前年同期比10.8%営業増益にとどまる見込み。しかし、品質強化対応の費用が下期には軽減されるため、通期では前期比29.8%営業増益の見通し。受注残高は2年前に対して2倍の水準に積みあがっている。ストック案件を主軸に積みあがっており、事業基盤は着実に拡大している。今後は着実に2桁成長を持続させるだろう。また、中期経営計画で掲げる目標数値にも上乗せ余地があると見ている。株価は、受注の状況や中期経営計画で目指す利益水準を考慮すると見直し余地があるという見方に変わりはない。

     

     

     

1.会社概要

クレジットカード決済等のオンラインシステムに利用される金融フロントシステムで国内シェアNo.1のソフトウェア開発会社。
金融フロントシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行う。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。
地銀やノンバンク等向けに金融フロントシステムやカード不正利用検知システムのクラウドサービスも伸びている。営業面では、筆頭株主として議決権の50.73%を保有する大日本印刷(DNP、コード7912)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。

 

【経営理念】

 

ミッション

Mission

IT基盤の提供により社会の仕組みを支える。

(同社HPより)

ビジョン

Vision

人々の生活に価値をもたらし、

新たな信頼性を創造する。

バリュー

Value

IWI社員は、個人として「探究と研鑽」を通じて成長し、チームとして「対話と創造」により創発し、事業を「大局的な視点」で推進し、社会において「誠実さと価値を追求」していきます。

 

【事業内容】

金融業界を中心とした全業種の企業を主要顧客として、決済を中心に、様々なデータの受渡しに必要なシステム(ITインフラ)を開発するほか、保守、クラウドサービスなどのサービス提供、製品およびハードウェアの販売、データの利活用に係る情報セキュリティ対策、サイバーセキュリティ対策の製品の開発・販売などを手掛けている。
システム開発は、クレジットカードの決済処理を完遂するために必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつFEP(Front End Processing)システムの開発業務などが中心。

 

◎事業変遷
・1980年代に、国内における24時間365日オンラインカード決済の実現に貢献
決済ネットワーク接続・認証システム「NET+1」を開発し、トップシェアを獲得
・高速・大容量のデータ通信・分析技術をコア技術に、自社プロダクトを開発
・2003年に、内部情報漏洩対策製品「CWAT」を開発し、情報セキュリティ事業に参入
・2019年からは、新たな事業領域を拡大させている

 

(同社資料より)

 

◎キャッシュレス決済の仕組み
店舗や、ECサイト等において、キャッシュレス決済を利用すると、いくつかの事業会社のシステムを経由し、決済が完了する。

 

(同社資料より)

 

◎インテリジェントウェイブの決済事業領域
クレジットカード会社システムの対外接続部分において、シェアが高い。
今後は、アクワイアリング分野や、システム運用サービス等を中心に領域拡大を進めていく方針。

 

(同社資料より)

 

◎決済ソリューション
FEP、不正検知、アクワリング分野は、自社プロダクト・サービスをベースにシステムを提供している。

※クレジットカード会社主要25社における導入社数(同社調べ)
※クラウドサービスの提供も含む
(同社資料より)

 

オンプレ開発
■ 導入に必要なシステム一式を顧客が保有、一定期間ごとにシステム更改
■ 顧客ニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能
■ 大手カード会社の高いシェアを保持

 

クラウドサービス
■ 同社が保有するシステムを顧客に提供、月額料金制(複数年契約)
■ 初期投資費用が抑えられ、中規模カード会社・新規参入企業などが利用

 

◎セキュリティソリューション
「組織内部からの情報漏洩」と「組織外部からのサイバー攻撃」の双方に、自社製品「CWAT」と海外のサイバーセキュリティ製品を販売する。販売については親会社DNPグループと協業している。

 

分野

機能

製品名

内部情報漏えい対策ソリューション

クライアントPC端末からの情報漏えいを監視。高精度なログ取得により利用状況を「見える化」

■内部情報漏えい対策ソフトウェア

 

エンドポイント

セキュリティ

ランサムウェアなどのマルウェア攻撃からクライアント端末を保護

■統合型セキュリティプラットフォーム

 

■エンドポイントセキュリティ

 

セキュリティ

インテリジェンス

ダークウェブなどから、組織のリスクとなりうる脅威情報を収集

■インテリジェンスプラットフォーム

 

暗号鍵管(HSM)

車載ECU向け暗号鍵管理システムを自社開発し、DNPと協業販売

■鍵管理アプライアンス製品

 

ID管理

SSO(シングルサインオン)や、システムの権限管理、多要素認証などID管理に必要な機能を網羅的に提供

■ID管理トータル

ソリューション

 

 

2.2025年6月期決算概要

2-1業績概要(非連結)

 

24/6期

構成比

25/6期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

14,518

100.0%

15,596

100.0%

+7.4%

16,000

-2.5%

売上総利益

4,707

32.4%

4,666

29.9%

-0.9%

-

-

販管費

2,677

18.4%

2,818

18.1%

+5.3%

-

-

営業利益

2,030

14.0%

1,848

11.9%

-9.0%

2,250

-17.9%

経常利益

2,072

14.3%

1,890

12.1%

-8.8%

2,290

-17.4%

当期純利益

1,420

9.8%

1,349

8.7%

-5.0%

1,590

-15.1%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*費用項目の▲は費用の増加を示す。

 

増収減益
売上高は前期比7.4%増の155億96百万円。主力の決済領域は引き続き堅調に推移した。セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等があり大幅増収。不正検知やクラウドサービスも大きく伸びた。
顧客別では、最大手DNPはセキュリティ製品導入等、セキュリティ関連の売上が増加した。システム開発会社では、クレジットカード会社向け大型案件については開発フェーズの移行により減少した。カード会社では、新規領域の売上が増加した。
営業利益は同9.0%減の18億48百万円。利益面では、システム開発や保守の粗利率は向上した。しかし、一部案件の品質強化対応やセキュリティ領域の製品構成、一部自社製品の一括償却等により売上総利益率が前期32.4%から29.9%に低下した。販管費は人件費の増加はあったものの販管費率は低下、営業利益率は前期14.0%から11.9%となった。
期末配当は予想通り20.00円/株を実施、年間で35.00円/株。

 

四半期ベースでは、例年通り1Q(7-9月)は低い水準からのスタートとなったが2Qにはしっかり盛り返した。3Qも2Q比で伸ばしたが、4Qには営業利益率が低下した。

 

 

◎事業領域別売上高

 

24/6期

構成比

25/6期

構成比

前期比

売上高

14,518

100.0%

15,596

100.0%

+7.4%

決済

12,151

83.7%

12,755

81.8%

+5.0%

  FEP

5,370

37.0%

5,525

35.4%

+2.9%

  不正検知

1,697

11.7%

2,604

16.7%

+53.5%

  アクワイアリング

3,059

21.1%

2,851

18.3%

-6.8%

  その他

2,024

13.9%

1,772

11.4%

-12.4%

セキュリティ

1,558

10.7%

2,022

13.0%

+29.8%

データ通信・分析基盤

808

5.6%

817

5.2%

+1.1%

参考:クラウドサービス

2,504

17.2%

3,479

22.3%

+38.9%

* 単位:百万円

 

決済領域は、カード会社を中心に投資需要が堅調にした。アクワイアリングは大型案件の開発フェーズ移行により減収。その他分野については、既存顧客の案件数が一時的に減少した。セキュリティ領域は、大手顧客への製品導入等により増収。データ通信・分析基盤領域は、証券会社向けシステム開発等により増収。

 

◎製品カテゴリ別売上高

 

24/6期

構成比

25/6期

構成比

前期比

売上高

14,518

100.0%

15,596

100.0%

+7.4%

システム開発

7,009

48.3%

6,838

43.8%

-2.4%

保守

1,630

11.2%

1,619

10.4%

-0.7%

自社製品・サービス

386

2.7%

548

3.5%

+41.7%

他社製品(ハードウェア等)

1,428

9.8%

1,087

7.0%

-23.9%

クラウドサービス

2,504

17.2%

3,479

22.3%

+38.9%

セキュリティ

1,558

10.7%

2,022

13.0%

+29.8%

* 単位:百万円

 

システム開発は、大型案件の開発フェーズの移行により減収。自社製品・サービスは新規インフラ運用サービスの開始により増収。クラウドサービスは、ユーザー数増加や既存ユーザーの機能追加等により大幅増収。セキュリティは、大手顧客への製品導入等により増収。

 

2-2 クラウドサービスの動向

不正検知サービスのユーザー数増加や、既存ユーザーの機能追加、新規大型案件のリリース等により4Qの売上高は前年同期比で増加した。売上総利益は増加したものの、一部案件において品質強化対応したことにより利益率は伸び悩んだ。インフラ費用が増加しているが、インフラ・運用コストの低減や、提供価値に見合った価格の見直しに等により粗利率の改善に取り組む考え。

 

4Qの受注高は前期比では増加したが、前年同期比では減少した。受注残高については、25/6期からは100億円を越える高い水準が維持されている。

 

 

24/6 1Q

2Q

3Q

4Q

25/6 1Q

2Q

3Q

4Q

受注高

614

969

890

2,761

1,618

1,932

466

885

売上高

592

587

618

705

718

809

981

970

受注残高

6,717

7,098

7,371

9,426

10,326

11,449

10,935

10,850

売上総利益

96

84

94

75

-20

128

178

123

* 単位:百万円

 

(同社資料より)

 

2-3 受注動向

 

24/6 1Q

2Q

3Q

4Q

25/6 1Q

2Q

3Q

4Q

受注残高

12,073

13,800

13,995

16,584

18,636

21,795

21,187

20,311

うち、クラウド

6,717

7,098

7,371

9,426

10,326

11,449

10,935

10,850

受注高

4,257

5,515

4,000

6,355

5,594

7,156

3,382

3,189

* 単位:百万円

 

受注高・・・システム開発は、大型案件の開発フェーズ移行や既存顧客の一時的な投資抑制等により減少。26/5期は、大手カード会社のシステム更改需要が複数あり、受注に向けて活動中。クラウドサービスは新規参入企業の需要が落ち着き、今後はカード会社の基幹システムのモダナイズ需要等を取り込む考え。

 

製品カテゴリ別受注高


(同社資料より)

 

受注残高・・・クラウドサービスやセキュリティ、金融機関向けインフラ運用サービス等のストック案件を中心に好調。受注残高は前期比では減少したが、前年同期比では大きく伸びている。

 

製品カテゴリ別受注残高


(同社資料より)

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎要約BS

 

24年6月

25年6月

増減

 

24年6月

25年6月

増減

流動資産

9,279

10,460

+1,181

流動負債

6,806

8,417

+1,611

現預金

4,820

6,431

+1,610

買入債務

632

417

-215

売上債権

2,453

1,685

-768

前受金

4,517

5,734

+1,216

固定資産

7,567

8,229

+661

固定負債

818

797

-20

有形固定資産

1,297

1,336

+38

退職給付引当金

626

614

-12

無形固定資産

3,996

4,154

+158

負債合計

7,624

9,215

+1,590

ソフトウェア

3,119

3,843

+723

純資産

9,222

9,475

+252

投資その他の資産

2,273

2,739

+465

利益剰余金

7,419

7,717

+298

資産合計

16,847

18,690

+1,843

負債・純資産合計

16,847

18,690

+1,843

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

ソフトウェアの増加等により、総資産は前期末比18億43百万円増加。
前受金の増加等で負債合計は同15億90百万円増加。
利益剰余金の増加等で純資産は同2億52百万円増加。
自己資本比率は前期末より4.0ポイント低下し、50.7%となった。

 

◎CF

 

24/6期

25/6期

増減

営業CF

3,815

4,263

+448

投資CF

-2,681

-1,599

+1,082

フリーCF

1,134

2,664

+1,530

財務CF

-1,018

-1,052

-33

現金・同等物残高

4,813

6,422

+1,609

* 単位:百万円

 

営業CFのプラス幅は増加、投資CFのマイナス幅減少しフリーCFはプラス幅が増加した。財務CFのマイナス幅は横ばい。
キャッシュ・ポジションは大きく増加した。

 

 

3.2026年6月期業績予想

3-1 業績予想

 

25/6期

構成比

26/6期(予)

構成比

前期比

売上高

15,596

100.0%

17,400

100.0%

+11.6%

営業利益

1,848

11.9%

2,400

13.8%

+29.8%

経常利益

1,890

12.1%

2,440

14.0%

+29.1%

当期純利益

1,349

8.7%

1,690

9.7%

+25.2%

* 単位:百万円

 

26/6期は2桁増収増益を見込む
26/6期は売上高が前期比11.6%増の174億円、営業利益は同29.8%増の24億円の予想。
売上高については、大手カード会社のシステム更改需要への対応を進める。中期経営計画に基づく施策の推進により拡大を図る。利益面では、25/6期に続き、セキュリティ領域の製品構成の影響等を受けるものの、システム開発・保守やインフラ・運用において、標準化や品質強化などを通じて生産性向上を図り、利益率の改善を目指していく。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

配当は前期から2.00円/株増配の37.00円/株(うち第2四半期末17.00円/株)を予定。予想配当性向は57.5%。

 

3-2 事業領域別売上高予想

 

25/6期

26/6期(予)

前期比

売上高

15,596

17,400

+11.6%

決済

12,755

14,100

+10.5%

セキュリティ

2,022

2,250

+11.2%

データ通信・分析基盤

817

1,050

+28.4%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

4.中期経営計画(25/6期-27/6期)

4-1 全社戦略

決済、セキュリティ、テクノロジー領域を中心とした、さまざまな分野で積極的に事業展開することで、人々の生活に価値をもたらし、新たな信頼性を創造していく。

 

「Transformation for the Future」
(1)決済領域は、独自のプロダクトや決済業界におけるポジションを活かし事業領域を拡大することで持続的な成長を図る
(2)セキュリティ領域を第二の柱へと成長させる
(3)コア技術を活用した、データ通信・分析基盤領域を、成長市場へ展開し、決済やセキュリティに続く、第三の柱を創出する
(4)DNPグループとの連携を進め、それぞれの顧客基盤を活用しながら 事業競争力を強化、グループ・シナジーを創出する

 

4-2 基本方針

2030年代の市場環境に向け、新たな信頼性を創造する製品・サービスを開発し続けていくため、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力していく考え。

 

 

01事業の変革

①既存事業と新規事業の価値最大化、保有ソリューションの価値最大化

②決済領域から新領域への事業拡大

③収益構造見直しによる収益性向上。プロダクト指向への回帰

 

02技術の変革

①コア技術と最先端技術・DXとの掛け合わせによる優位性の確保、

価値の最大化、価値の創出

②開発、保守、運用の合理化

 

03人財の変革

①事業企画人財の育成、コンサル機能強化

②R&D機能の強化

③事業戦略に即した人財流動化

(同社資料より)

 

4-3 経営目標

この3年間は、多角化に向けた収益基盤の強化期間と位置づけ、持続的な成長と変革を実現し、2030年に向けた事業拡大を目指す。
初年度は、一部案件において品質強化対応や自社製品の一括償却等により利益が未達となった。26/6期以降は、中計施策に基づき、最終年度の計画達成を目指す。

 

 

24/6期 実績

25/6期 実績

26/6期 計画

27/6期 計画

売上高

14,518

15,596

17,400

19,000

決済

12,152

12,755

14,100

14,600

セキュリティ

1,558

2,022

2,250

2,800

データ通信・分析基盤

808

817

1,050

1,600

営業利益

2,030

1,848

2,400

2,850

営業利益率

14.0%

11.9%

13.8%

15.0%

ROE

15.8%

14.4%

-

17.0%以上

* 単位:百万円

 

4-5 中期経営計画の事業領域別進捗

各事業領域で課題を掲げ、施策を講じていく。
海外も含めて、マーケットを広くとらえて事業拡大を目指す。

 

事業領域

主な施策

主な課題

決済

決済ソリューションの付加価値向上と領域拡大

・FEP主力製品の新バージョン移行と開発効率化

・不正検知ソリューションの多角化と、

業界横断型 ソリューションの立ち上げ

・アクワイアリングの機能を活用した領域拡大

・主要顧客におけるチャネル拡大

・領域拡大に向けた

コンサル機能強化

品質強化と生産性向上

・開発プロセスの標準化・共通化、自動化の促進

・インフラ・運用の機能集約と標準化

・事業伸長に伴う

開発運用体制の整備

セキュリティ

付加価値向上と販売体制強化

・自社プロダクトの機能拡張

・国内外におけるパートナー戦略

・DNPグループの顧客基盤活用

・顧客基盤の拡大

・顧客ニーズに合わせた

柔軟な対応力

データ通信・

分析基盤

コア技術を活用したビジネス確立

・証券・市場系ビジネスにおける提供価値の拡大

・コア技術の用途開発

・新規ビジネスへのリソース創出

・コア技術の他業界における活用

 

 

5.今後の注目点

25/6期は一部案件で品質強化への対応や、一部自社製品の一括償却等により増益予想だった会社予想を下回って減益での着地となった。これら影響の一部が26/6期1Qまで残る見通し。このため上期は前年同期比10.8%営業増益にとどまる見込み。しかし、品質強化対応の費用が下期には軽減されるため、通期では前期比29.8%営業増益の見通し。受注残高は2年前に対して2倍の水準に積みあがっている。下表に見る通りストック案件を主軸に積みあがっており、事業基盤は着実に拡大していることが分かる。今後は着実に2桁成長を持続させるだろう。また、引き続き中期経営計画で掲げる目標数値にも上乗せ余地があると見ている。
株価は今年に入り小動きで推移している。PERについて特段低位にはないものの、受注の状況や中期経営計画で目指す利益水準を考慮すると見直し余地があるという見方に変わりはない。

 

ストック/フロー別受注残高の推移

(同社資料より)

 

ストック:契約の形態や業務の実態等から判断して、定常的に一定規模の売上高を計上できる案件(クラウドサービスやセキュリティ製品の利用料、自社サービス、システム運用保守、自社製品や他社製品の保守等)
フロー:契約の規模や成立時期が定常的ではない案件(システム開発、自社製品や他社製品の販売等)

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

5名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年9月26日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめとする様々なステークホルダーに対し、経営の透明性と公正性の確保、迅速・果断な意思決定を行う経営体制を整えていくことが、コーポレート・ガバナンスの基本であると認識しております。企業価値の最大化とステークホルダーとの信頼関係構築に向けて、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しています。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
<政策保有株式の縮減に関する方針・考え方>
当社は、当社の事業の拡大や関係強化を目的に政策保有株式として上場株式を保有していますが、随時に保有の適否を検証し、保有を継続することが当社及び発行会社の価値向上に貢献しないものと判断される株式については、保有を継続せず順次縮減する方針です。

 

<政策保有株式の保有の適否の検証内容>
保有する株式については、四半期ごとに発行会社の経営状況を把握し、その将来性や当社事業との関連性を評価し、保有による中長期的な経済合理性について総合的に検証します。保有によるリスクとリターンは、資本コスト等の指標も用いてなるべく具体的に検証するよう努めます。また、保有株式を売却した場合、売却に至る検証の内容を可能な限り開示することとします。

 

<政策保有株式に係る議決権行使の基準>
当社は、長期的に、当社の事業の拡大と双方の関係強化が見込まれることと、双方の企業価値の向上に資することを基本方針にして、保有株式の議決権行使を行います。また、こうした方針によって各議案についての検討を行うこととしています。
今後、政策保有の上場株式の銘柄数が著しく増加する等の事情が生じた場合は、別途議決権行使の基準を整える等の手段によって、行使の方針に沿った適切な対応をとる予定です。

 

【補充原則2-4① 多様性の確保について】
当社は、性別や国籍、年齢、障がいの有無などの属性の違いを活かし、付加価値を生み出していくため、多様な価値観を有する人材の採用を進めています。こうした多様化する社員に適合する職場環境や制度を構築することは、中長期的な成長のために必要不可欠です。
女性社員の活躍を推進するため、女性管理職、高度専門職の人数を2022年6月期の11名から2025年6月期には23名へ倍増することを目標に様々な施策の強化に取り組んでいます。女性社員同士で互いに相談しやすい環境が必要である、という考えのもと、女性社員同士によるメンター制度として、「Intelligent Women’sWave」の活動を継続し、女性社員同士が相談できる環境整備に努めています。女性特有のライフイベント時にも 将来のキャリア形成をイメージできるよう、先輩社員からのアドバイスや様々な社内制度の活用を促すことで、長期的なキャリア形成やスムーズな 育児休業からの職場復帰を支援しています。
また、海外事業を推進するチームには、若手社員を含め外国籍社員の積極的な登用をしています。彼ら彼女らが海外で培った経験や異なる価値観から生まれる多様性を活かし、海外ビジネスへの新たなチャレンジを開始しました。さらに、人事総務本部でも外国籍社員をチームに加え外国籍社員をサポートする仕組みづくりの検討を開始しています。
なお、管理職登用については、国籍や採用の形態を判断の基準にしていないため、外国人、中途採用者の管理職登用について、測定可能な目標を定めていません。
2024年6月末時点で、中途採用者は222名、うち管理職・高度専門職は56名で、全社員に占める割合は、それぞれ45.1%と11.4%です。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主や投資家の皆様との双方向の対話を実施しております。株主や投資家との対話においては、代表取締役社長が建設的な対話に向けた統括を行い、経営企画室が社内関係部署と連携のうえ、IR活動をサポートしています。対話を通じていただいたご意見は、適宜取締役会へ報告し、その内容を共有しています。
具体的な活動としては、四半期ごとに、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催し、決算説明会終了後には決算説明会動画や当日の質疑応答も含めた決算説明会書き起しをコーポレートサイトに掲載しています。また個人投資家の皆様にも、当社や当社事業への理解を深めてもらうため、個人投資家向け説明会をはじめ、各種イベント等を企画し、実施しています。
株主との対話に際しては、IRポリシーに則り適切な情報開示に努めるとともに、「インサイダー取引防止規程」に従い、インサイダー情報の管理、徹底を図り、情報漏洩防止に努めています。

 

<株主との対話の実施状況等 >
株主や投資家との個別面談については、代表取締役社長や取締役が、可能な限り直接対話をしています。2022年7月~2024年6月までの株主との個別面談件数は70件です。個別面談においては、業績、事業環境や、今後の見通し等についての確認から、中長期的な成長戦略や人的資本を中心としたサステナビリティ活動、親会社との関係性などが話題に挙がります。個別面談でいただいたご意見等は、適宜取締役会で共有し、経営の参考にしています。

 

<資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 >
当社は、継続的な収益力の向上と事業運営の効率性を示す営業利益率と資本効率性を示すROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として事業推進を行っております。当社は、新たに策定した3ケ年中期経営計画の最終年度である2027年6月期において、営業利益率15.0%、ROE17.0%以上の達成を計画しています。また、当社の資本コストは、8.1%*と見積もっており、資本コストを上回るROEを追求することで、当社の株主価値の向上を目指します。
*CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)による。

 

 

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