ブリッジレポート:(8945)サンネクスタグループ 2025年6月期決算
![]() 髙木 章 社長 | サンネクスタグループ株式会社(8945) |
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企業情報
市場 | 東証スタンダード市場 |
業種 | 不動産業 |
代表取締役 社長執行役員 | 髙木 章 |
所在地 | 東京都新宿区箪笥町35番地 日米TIME24ビル |
決算月 | 6月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,036円 | 10,813,200株 | 11,202百万円 | 3.0% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
42.00円 | 4.1% | 50.07円 | 20.7倍 | 827.59円 | 1.3倍 |
*株価は9/19終値。各数値は2025年6月期決算短信より。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
22年6月(実) | 8,696 | 882 | 932 | 1,976 | 204.80 | 35.00 |
23年6月(実) | 8,347 | 865 | 904 | 486 | 53.39 | 37.00 |
24年6月(実) | 8,371 | 653 | 653 | 1,775 | 194.45 | 39.00 |
25年6月(実) | 8,695 | 742 | 758 | 229 | 25.07 | 41.00 |
26年6月(予) | 8,900 | 700 | 715 | 461 | 50.07 | 42.00 |
*単位:百万円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社の所有者に帰属する当期純利益、以下同様。
サンネクスタグループ株式会社の会社概要、業績動向、髙木社長へのインタビューなどをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2025年6月期決算概要
4.2026年6月期業績予想
5.髙木社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 中心となる基盤事業は社宅管理事務代行とマンション管理の2つ。不動産仲介業やマンション分譲などの機能を持たず、不動産仲介手数料に依存しない独自のビジネスモデルにより、「お客様目線」での問題解決を行う独立系アウトソーシング企業であり、社宅管理事務アウトソーシング専業は同社のみ。ストック収入による安定した収益構造も強み。
- 2028年6月期までの3ヵ年の中期経営計画を策定・発表した。前中期経営計画では社会情勢や市場環境の変化に事業全体が適切に対応しきれず、経営目標を達成することができなかった。この反省を踏まえ、新中期経営計画においては、「コロナ禍以前のストック売上高成長率と営業利益率への回復」と「基盤システムの再構築、M&Aも含めた新たな事業創出への投資」の2点に重点を置き、3年後の2028年6月期「売上高100億円、営業利益10億円」を目標とする。中長期で時価総額250億円を超える企業集団を目指していく。
- 25年6月期の売上高は前期比3.9%増の86億95百万円。営業利益は同13.6%増の7億42百万円。売上総利益が同2.9%増加した一方、租税公課の減少などで販管費は同2.3%減少し、2桁の増益となった。当期純利益は同87.1%減の2億29百万円。前期に発生した投資有価証券売却益がなくなったことに加え、社宅アウトソーシングサービスの社内基幹システム開発において現行の開発プランの継続中止を決定したことから、特別損失に固定資産除却損等を計上した。年間配当は業績のほか経営環境や今後の事業展開等を総合的に勘案して、前期比2円/株増配の41 円/株とした。
- 26年6月期の売上高は前期比2.3%増の89億円の予想。社宅マネジメント事業、マンションマネジメント事業は着実な成長を見込む。営業利益は同5.8%減の7億円の見込み。今後の事業拡大に向けた体制整備やオペレーション品質の維持と安定化に対するコストが増加することから減益を予想している。配当は前期比1.00円/株増の42.00円/株を予定している。予想配当性向は83.9%。
- 髙木 章社長に、ミッション・ビジョン、事業の特長や競争優位性、中期成長シナリオ、株主・投資家へのメッセージを伺った。「この5年間は残念ながら売上・利益とも十分な成長を果たすことができませんでした。ただ様々な要因を分析し、足元の状況を確認すると、受注環境は回復傾向にあり、今後、着実な成長路線へ回復できると判断しております。収益性回復に向けた施策もしっかりと打っており、3年後には売上成長、利益回復を実現できると考えております。投資家の皆様には不安に思われているかと存じますが、しっかりと成果でお示ししたいと思っております。株主還元、資本コストや株価を意識した経営についても注力してまいりますので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います。」とのことだ。
- 「社宅管理事務代行」と一言で言っても、提供企業によってサービス内容には大きな差が生じる。同社の場合は、「企業内部の運用を再現する」ことを方針としており、企業の運用方法に従って提供するサービス内容をカスタマイズするが、同業他社においては、企業側が提供会社のサービス内容に従うケースも多い。現在の運用方法をきめ細かく把握したうえでそれを再現するサービスを提供し、かつ不動産仲介手数料を収受しないため費用は他社よりも高額だが、多くの企業がその価値を評価し、高い継続率を実現している。相見積もりでは価格に大きな差が出るが、顧客企業が「自社の社宅制度におけるこだわりを体現してほしい」という観点で導入を検討するケースでは、同社サービスを利用されることが多いという。「顧客である企業本位のビジネスを行うべきだ」との創業時の強い想いをベースに、新中期経営計画で成長軌道への回帰を目指す同社の取り組み、進捗を注目していきたい。
1.会社概要
中心となる基盤事業は社宅管理事務代行とマンション管理の2つ。不動産仲介業やマンション分譲などの機能を持たないビジネスモデルにより、「お客様目線」での問題解決を行う独立系アウトソーシング企業であり、社宅管理事務アウトソーシング専業は同社のみ。ストック収入による安定した収益構造も強み。同社の他、社宅マネジメント事業を担う日本社宅サービス株式会社、マンションマネジメント事業を展開するクラシテ株式会社及びクラシテ不動産株式会社、インキュベーション事業においてマネジメントサポート事業を提供する株式会社スリーSの5社でグループを形成している。

【1-1沿革】
有名企業グループ系列の不動産仲介会社に在籍していた7名の創業メンバーにより1998年10月、企業の社宅業務全般の代行を目的として、日本社宅サービス株式会社が設立された。不動産仲介会社では、企業から借上社宅の物件手配を依頼される際、当初は物件の紹介・仲介が中心であったが、顧客企業としては手続きが煩雑なため、物件の管理も含めた借上社宅の事務代行も手掛けるようになった。しかし、不動産仲介会社であるため、あくまでも仲介を成立させるために事務代行を行うというスタンスであり、物件管理も手掛けるとなると完全にオーナー・貸し手側に立つこととなる。こうした状況に疑問を持ち、「あくまでも顧客である企業本位のビジネスを行うべきだ」との強い想いが創業のベースである。
1999年4月から現在の中心事業である社宅管理事務代行サービス(社宅アウトソーシングサービス)を開始。不動産仲介を行わない、唯一の社宅管理事務代行サービス企業として事業を展開していく。「アウトソーシング」に対する理解も浅い時代であったため、立ち上げ当初は苦労もしたが、同社の活動を応援したいという上場有名企業との契約も着実に増加。そうした実績が信頼感を醸成したことに加え、減損会計の導入(2006年3月期決算より)を契機とした「持たざる経営」の広がりを背景に、借上社宅に関する管理事務代行需要を着実に取り込んで業容が拡大、2005年9月に東証マザーズ市場に、2019年6月には東証1部市場に上場した。2020年7月に持株会社体制へ移行するとともに商号をサンネクスタグループ株式会社に変更。2023年10月、東証スタンダード市場に移行した。
【1-2 企業理念】
以下の、創業の理念、基本精神/存在理念、グループ経営理念、ネットワーク理念を掲げている。
創業の理念 | ビジョナリーカンパニー創造のために |
基本精神/存在理念 | 愛と誠と調和を基本精神とし、お客様に最高の満足と集う人々の幸福の創造と拡大をし続け、夢の総和の実現をはかります。 |
グループ経営理念 | 1.コンプライアンスのもとに開かれた透明性の高い企業活動を通じて、信頼される企業市民を目指します。 2.時代の変化にしなやかに対応し、常に革新し続ける情熱と向上心、創造性ある経営に挑戦します。 3.パートナーとともに顧客思考に徹したサービスの創造と公明正大な利益を追求し、企業活動を通じて、住みよい豊かな暮らしと経済・社会の発展に貢献します。 |
ネットワーク理念 | 同じ志をかかげ、お互いに“ともに咲く喜び”を分かち合える価値創造のネットワークを追求します。 |
【1-3 事業環境】
基盤事業である社宅アウトソーシング事業、マンションマネジメント事業を取り巻く事業環境は以下の通りである。
(1)社宅アウトソーシングを取り巻く事業環境
企業は競争力強化に向けて本業に人的リソースや時間を集中する必要性が益々増大する一方、人手不足の深刻化や働き方改革などを背景に人事総務系アウトソーシング市場は引き続き拡大傾向にある。社宅領域においても、転勤制度は依然として必要とされることに加え、人材の採用・定着のための福利厚生の充実という観点から従業員の満足度向上を図るために住宅制度を手厚くする企業も見受けられる。全国の社宅数などについての調査データは存在しないが、同社では社宅管理事務をアウトソーシングしている企業の割合は大手企業で約40%程度、中堅・中小企業で10~20%と推計しており、社宅管理事務代行のみでなく、住宅制度の改定や、改定後の運用の見直しも含めた需要は旺盛で、受注環境は良好に推移し、成長余地は極めて大きいと同社では見込んでいる。

(同社資料より)
(2)マンション管理を取り巻く事業環境
外部環境は年々厳しさを増している。最低賃金の上昇により、管理員や清掃員などのスタッフの人件費は年々上昇。また、工事費も上昇し、管理組合の支出は増加の一方である。住民の高齢化は進み、対処できない組合が自主管理へ移行する例も増えている。国土交通省の調査(「分譲マンションストック数の推移(2024(令和6)年末現在)」)によれば、2024年末のマンションストック総数は約713.1万戸と、潜在的な市場は大きいが、こうした環境下、後述するように同社では管理戸数の増大ではなく収益性の向上を目標としている。
【1-4 事業内容】
報告セグメントは「社宅マネジメント事業」「マンションマネジメント事業」「インキュベーション事業」の3セグメント。

(1)社宅マネジメント事業
社宅アウトソーシング業界のリーディングカンパニーとして、主力の社宅管理事務代行サービスをはじめとして、顧客企業の人事・総務で発生する事務業務のアウトソーシング事業(人事・総務BPO)を行っている。
<主なサービス>
①社宅管理事務代行サービス(社宅アウトソーシングサービス)「しゃたくさん」
*社宅制度とは
社宅とは企業が社員に対し周辺の家賃相場よりも安い賃料で住宅を貸与する福利厚生制度。減損会計の導入、資産効率向上の必要性のほか、働き手の価値観やライフスタイルの多様化などから、企業が自社保有の物件を社員に貸与するのではなく、一般賃貸物件を企業が契約の相手先となって借上げて社員に貸与する「借上社宅」が増加している。
ただ、借上社宅の場合、企業の担当者は不動産会社との交渉を行わなければならない他、不動産会社によってバラバラな契約書式や、礼金・敷金など地域特有の異なる商習慣にも対応しなければならず、業務負荷は膨大である。また、契約内容の確認、入居中のトラブル対応、退去費用のチェックなど、様々な専門知識が求められる。
*「しゃたくさん」概要
企業は競争力強化と効率性向上に向け、本業に人的リソースと時間を集中する必要がある。そこで、以上のように手間暇がかかり専門知識が必要とされる社宅事務業務全般の運営を企業の立場に立って代行するのが社宅管理事務代行サービス「しゃたくさん」である。同社は顧客企業と業務委託契約を締結し、企業と貸主の賃貸借契約に関し代理行為を行う。

(同社資料より)
具体的な業務は顧客企業に対する借上社宅物件の紹介、契約・入居手続き、家賃の支払い、引越手配、入居中のトラブル対応、退去時における原状回復費用のチェック等。
社宅制度の仕組みは企業ごとに様々であり、同社では顧客企業の特性や要望に応じたオーダーメイドでサービス内容を構築・提供している。

(同社資料より)
*ビジネスモデル
主要顧客は社宅制度を有する大企業、中堅・中小企業。
社宅関連業務のアウトシーシング受託件数(社宅アウトソーシングの受託件数とBPOサービスの受託件数の合計、2025年6月期)は約31万件、同社のアウトソーシングサービスの契約顧客企業数は大手企業を中心に300社以上(2025年6月期)。顧客企業への物件紹介のため日本社宅ネットと呼ぶ法人対応専門の賃貸不動産会社ネットワークを全国ベースで構築している。加盟店・認定店は300店以上(2025年6月末)で、高品質なサービスを提供するため、同社独自の審査基準により厳選したパートナー企業とフランチャイズ契約を締結している。
同社の収益は顧客企業からのサービス対価となっており、物件紹介に伴う不動産仲介手数料は収益としていない。不動産仲介業やマンション分譲などの機能を持たないビジネスモデルにより、「お客様目線」での問題解決を徹底的に重視しており、この点が同業他社との大きな違いである。
「1.会社概要、1-5 特長・強み・競争優位性」に、詳細説明を含めた同社の特長・強み、競争優位性を解説している。
*その他サービス
<しゃたくさんLite>
「社宅の情報の管理方法が担当や拠点ごとに異なっており管理が煩雑」「繁忙期のみ社宅業務を外部委託したい」「業務削減はしたいがコストも下げたい」といった悩みを持つ企業を対象に、「初めての方でも安心して直感的に利用できる」ことをコンセプトに設計されたクラウド型社宅管理システム。中堅・中小企業を対象に導入を推進している。
(主な特長)
・社宅データ(契約書類、物件情報、依頼書、家賃送金データなど)のクラウドによる一元管理
・繁忙期など必要な時に必要なサービスだけを選択して手続き単位で利用可能
・価格を抑えて簡単に業務効率化が可能な「ベーシック(システム利用料:年間12,000円、導入費用50,000円)」、または代行サービスも使って業務削減をしたい企業向けの「スタンダード((システム利用料:年間24,000円、導入費用100,000円)」の2プランで、業務効率化とコスト削減を同時に実現
・システムの利用方法だけでなく、入居中のトラブル発生時のアドバイスや、制度見直しの相談等、社宅制度の導入・運用をトータルサポート
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(同社資料より)
<住宅制度コンサルティングサービス>
企業においては時代や環境の変化に合わせた住宅制度の設計が必要である。同社では、顧客企業における業務効率化と福利厚生の拡充を目指し、豊富な実績とノウハウをベースに、社宅管理事務代行にとどまらず、現行の住宅制度・運営の診断から、新たな制度・運営の設計まで、企業の住宅制度の最適化を支援している。

(同社資料より)
<社有施設運営代行サービス>
採用競争力や従業員様満足度の向上を目的に、社宅や寮といった社有施設を保有している企業でも、経営環境の変化に伴い、コスト面や業務効率のほか、法令遵守などの面から、施設を適正に管理していくことが難しくなっている場合がある。同社では、多くの企業の社宅管理を支援してきた経験やノウハウに加え、全国の不動産会社ネットワークやグループ会社の施設管理ノウハウなどを駆使し、社有施設を使った社宅や寮の制度運営をトータルでサポートしている。
②人事・総務向けBPOサービス
「コア業務に集中したいが定例業務が多く煩雑」「システムを導入したが従業員からの問い合わせなど手残りが多く業務が減らない」「業務プロセスの標準化が不十分で委託する業務の切り離しが難しい」といった企業の課題に対し、アウトソーシングの専門会社として創業以来、社宅管理事務代行で培ってきた経験とノウハウを活かし、顧客企業に合わせた満足度の高いBPOサービスを提供。要望や状況に応じた新しい運用方法を提案し、企業の業務負担を「ほぼ0(ゼロ)」まで支援している。

(同社資料より)
このほか、企業のルールに応じた経路・運賃の承認や通勤手当のデータ管理を行う「通勤費BPOサービス」、自治体や地域の支援機関と連携して、地域の働き手のための快適なオフィス環境と、時間にとらわれない柔軟な働き方を整備する「地域共創BPOサービス」なども手掛けている。
(2)マンションマネジメント事業
分譲マンションを中心とした施設管理、管理組合運営を支援している。
主要顧客は、マンション管理組合、個人・法人家主、社有社宅を有する企業など。
事業規模は、マンション管理業界で総合45位、独立系(※)で第12位。分譲主との利害関係を持たない独立系管理会社として、常に居住者・管理組合の立場に立ったサービスを提供することを重視している。
※独立系:自らマンションを供給する会社をグループ等に持たない企業。極めて中立的な立場から、所有者や住民の立場に立ったサービスを提供することができる。ランキング出所は「マンション管理会社受託戸数ランキング2025」(マンション管理新聞)
<主要サービス>
①マンション管理サービス
独立系の管理会社として、マンション管理組合に対して、管理組合の運営、会計、マンション保全や修繕をサポートし、さまざまな施設の運営及び総合管理を支援している。
主なサービス | 概要 |
管理組合サポートサービス | 居住者・組合の利益を最優先に考え、管理組合のスムーズな運営をサポートしている。組合運営補佐(理事会・総会運営業務、組合運営コンサルティング業務)、理事会開催支援、総会開催支援、議事録案作成、管理組合の契約事務処理、組合員等の名簿管理など。 管理全般の状況・組合運営についての診断や改善提案も行っている。 |
組合会計サポートサービス | 幅広いノウハウを持った専任の担当者がITシステムを活用し、正確・迅速な処理のほか、法改正等にも速やかに対応する。常に組合の資産が健全な状態であるよう、会計診断を行い、問題点がある場合には改善提案を行う。 |
マンション保全・修繕サービス | 長期にわたり居住者と共にマンションを管理していく立場から、将来を見据えた最適な工事の実施をサポートする。計画修繕については、資金計画からマスタープランの作成、協力業者の紹介、入札監理を含む組合代行業務の実施、施工までを請け負うことが可能。修繕工事と併せて実施すると効率的なグレードアップも含めた提案や、生活環境のさらなる向上をめざす「機能性向上プラン」の提案も行う。 |
②不動産関連サービス
管理規約やマンションのルール、慣習まで、すべてを熟知している管理会社ならではのノウハウを活かし、マンションの賃貸管理及び入退去のサポート、マンション・戸建・土地売買などの仲介を行っている。
③リフォーム・リノベーションサービス
専有部の設備等の簡易診断、各種リフォーム、賃貸物件や社宅物件の原状回復工事を行っている。
(3)インキュベーション事業
住まいを管理する事業者に向けたサービスプラットフォームを提供するマネジメントサポート事業を行っている。
同社グループのさらなる成長に向け、M&Aや新サービスの研究・開発など、新たな基盤事業の創出も推進している。
<主要サービス>
①見守りセキュリティサービス
単身世帯向けのホームセキュリティシステム。同社が開発したホームセキュリティ端末「Type-S NEO」は人感センサー通信機能により、不審者の侵入、急な体調悪化といった緊急時に登録アドレス宛にメールを送信。定時連絡・安否確認にも対応する。配線工事が不要で、操作も簡単。
②保険代理店サービス
複数の損害保険、生命保険の代理店として、住まいの保険、傷害保険、生命保険などを提供している。
③マンション管理DX支援サービス「osumait」
マンション管理においては、人手不足による従業員の負担増、紙ベースのデータ管理による作業効率の悪さ、システムの使い難さといった課題が山積している。
マンション管理DX支援サービス「osumait」は、マンション管理専用の会計・物件情報・売上管理システムに加え、施工業者と管理会社をつなぐ施工管理アプリや居住者と管理会社をつなぐコミュニケーションアプリを備えたクラウドサービス。時間を要する書類作成やデータ入力などの日常業務が自動化・簡素化できるほか、クラウドベースのサービスのため、ペーパーレス・DX化が可能である。必要な機能を自由に組み合わせて導入できるため、業務の一元化と効率化を柔軟に実現することができる。
【1-5 特長・強み・競争優位性】
(1)社宅管理事務アウトソーシングの専業企業
同社は不動産仲介業やマンション分譲などの機能を持たないビジネスモデルにより、「お客様目線」での問題解決を行う独立系アウトソーシング企業であり、社宅管理事務アウトソーシング専業は同社のみである。
同社は不動産仲介機能を持たず中立的な立場から、顧客企業に対し、契約締結・更新・解約、家賃の支払い代行、入居中のトラブル対応など、社宅関連事務全般を「代行」することをビジネスモデルとしている。企業からのサービス対価が収益源であり不動産仲介の手数料を収益としていない。
これに対し、「社宅管理」というキーワードで株式市場において同業と目されている代表的他社は「転貸」(家主から賃貸した不動産物件を顧客企業に転貸)をビジネスモデルとしており、借り手である企業、貸し手である不動産事業社や仲介事業会社、入居者である社員の全てを収益の対象と位置付けている。
同社は「お客様目線での問題解決」を重視している。これは「1.会社概要、1-2 沿革」でも触れたように、1998年の設立時の、「社宅物件のオーナー・貸し手側に立つのではなく、あくまでも顧客である企業本位のビジネスを立ち上げるべきだ」との強い想いに基づくものであり、社宅管理事務アウトソーシングサービスのリーディングカンパニーである同社のこうした想い・ポリシーが、同業と目されている他社とのビジネスモデルの決定的な違いに表れている。
社宅管理事務アウトソーシングの専門企業として長年にわたって蓄積してきた実績・経験・ノウハウは圧倒的で、同社の強力な競争優位性に繋がっている。同社では顧客企業ごとに異なる社宅についてのニーズ、制度や風土を踏まえて完全カスタマイズによるサービスを提供しており、画一的なパッケージ等を提供する他社と比べ、顧客満足度は極めて高い。不動産仲介手数料を収益源としていないため表面上の料金は同業他社よりも高額であるが、この点は顧客企業もその仕組みを十分理解したうえで、同社のアウトソーシングサービスのクオリティの高さを評価して契約を締結している。
社宅管理事務アウトソーシングで培ってきた経験やノウハウを活かし、企業の住宅制度・運営の診断から、新たな制度・運営方法の設計まで、企業の住宅制度の最適化を支援する「住宅制度コンサルティングサービス」、社宅にとどまらない「人事・総務向けBPOサービス」を提供できる点も、同社の特長であり、他社にはない差別化要因である。
マンションマネジメント事業においても、独立系である点を強みとしている。不動産デベロッパー系列のマンション管理会社は自社グループの分譲マンションにのみ対応した仕様に基づいて管理を行っている。
独立系の同社において、管理案件のほとんどがリプレース(同業の管理会社管理案件からの乗り換え)によって受託したものである。このため、長い業歴において、様々なデベロッパーの分譲マンション管理を手掛けてきたことで、膨大なノウハウを蓄積しており、新たな物件を受託した際でも、そのマンションに適した管理仕様を柔軟かつスムーズに設計することができる。こうした対応力も高く評価されている。
(2)ストック収益による安定した収益構造
基盤事業である「社宅マネジメント事業」及び「マンションマネジメント事業」における、社宅管理事務アウトソーシングサービス、マンション管理サービスのストック収益の売上高構成比は約8割。このようにストック収益中心のビジネスモデルであるため、安定した業績と成長を実現している。損失を計上したのは会社設立から4年間のみであり、企業収益全般が大きく悪化したリーマンショック(2008年)、コロナ禍(2020~2022年)においても利益を計上している。
【1-6 株主還元】
財務の安全性と必要投資とのバランスを考慮のうえ、資本効率を意識した株主還元を実施するとともに、累進配当を基本とする株主還元を継続することで、安定的かつ継続的な利益配当を目指している。26年6月期まで15期連続増配(記念配当を除く)を予想している。
中期経営計画期間(2026年6月期~2028年6月期)の年間配当については、業績見通しや経営環境、今後の事業展開等を勘案しながら、財務面での健全性等を踏まえたうえで総合的に判断することとし、DOE5.0%を目安に累進配当の維持を目標としながら、継続的な増配を目指す方針である。2024年12月から2025年6月にかけて約1億円の自己株式を取得したが、今後も資本政策等を勘案し、適切な局面で機動的に実施する考えだ。

(同社資料より)
【1-7 ROE分析】
| 16/6期 | 17/6期 | 18/6期 | 19/6期 | 20/6期 | 21/6期 | 22/6期 | 23/6期 | 24/6期 | 25/6期 |
ROE (%) | 12.7 | 13.1 | 11.5 | 11.5 | 8.3 | 6.7 | 24.5 | 6.6 | 23.7 | 3.0 |
売上高当期純利益率(%) | 6.04 | 7.08 | 7.23 | 8.18 | 6.51 | 6.28 | 22.72 | 5.82 | 21.21 | 2.64 |
総資産回転率(回) | 1.21 | 1.14 | 1.02 | 0.93 | 0.87 | 0.73 | 0.74 | 0.81 | 0.80 | 0.81 |
レバレッジ(倍) | 1.75 | 1.64 | 1.56 | 1.51 | 1.46 | 1.47 | 1.46 | 1.41 | 1.40 | 1.40 |

25年6月期のROEは3.0%となった。ここ4期のROEは売上高当期純利益率の影響を大きく受けており、会社側が中期経営計画で目標として示している「ROE10%以上」実現に向けては、収益性の改善が第一に必要である。一方、ここ10年で総資産回転率は1.21倍から0.81倍まで水準としては約30%低下、レバレッジ(自己資本比率の逆数)も20%低下している。ROE改善に向けては、適切な成長投資と株主還元のバランスを前提としたキャッシュ・アロケーションの実施を含めた資産効率性の改善も必要である。
【1-8 資本コストや株価を意識した経営の実現】
25年8月12日、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表した。
(1)現状分析
2025年6月期を最終年度とする5ヵ年中期経営計画において、時価総額250億円を超える企業集団を目指し、アウトソーシング領域の拡大とオペレーションの変革に取り組んだが、様々な環境変化に事業全体が適切に対応できず、取り組みに遅れが生じた結果、経営目標を達成することができなかった。
(ROE、PBRに対する分析・認識)
*ROE
特別利益を計上した影響で2022年6月期と2024年6月期において20%台に上昇したものの、特別損失が発生した2025年6月期は3.0%に低下した。特殊要因を除く直近5ヵ年のROEの推移は、業績の停滞により利益率が低下し、現預金水準が高い位置で推移したことから低下傾向となり、同社が想定する株主資本コスト(6%程度)前後の水準で推移していると考えている。よって、今後は、業績回復及び成長投資による資本収益性の向上が重要であると認識している。
*PBR
1倍以上の水準を維持して推移している。業績変動に対して、株価が安定した水準を維持していることが要因の一つであり、ストックビジネスによりリスクが低い投資先であると評価されていること、あるいは、配当の成長期待が高いことのいずれか、もしくは両方であると考えている。引き続き、収益性、成長性に対する投資家の適切な評価に加え、積極的な株主還元が重要であると認識している。

(同社資料より)
(2)改善に向けた方針
現状評価を踏まえ、2028年6月期を最終年度とする新たな3ヵ年の中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)を策定し、事業戦略等の着実な遂行を通して、株主や投資家の適切な評価により、PBR1倍以上の水準を維持するとともに、想定株主資本コスト(6%程度)を上回るROE(2028年6月期10%以上)を目指す。
(3)具体的な取り組み
「事業成長と収益力の強化」「財務・資本戦略の強化」「積極的なIR活動の推進」を掲げている。
①事業成長と収益力の強化
中期経営計画の基本方針に基づく経営戦略を遂行することで、事業成長を図り、収益性の向上に取り組む。
具体的には、既存ストック分野の拡充(規模と収益性の拡大)と対象の拡大(アウトソーシングサービスの対象を中堅・中小企業や個別業界向けサービスに拡大)を進めるとともに、クラウド型サービス等の非労働集約型ビジネスモデルの拡大を推進することで、売上構成の変革を実現し、売上の伸長と利益率の向上に取り組む。また、デジタル化の推進等によって、原価人件費率を逓減させることで原価構造の変革を実現し、労働生産性向上と原価率低減を目指す。 さらに、将来に向けた投資を積極的に行い、中長期での成長シナリオ実現の基礎作りに取り組む。最終年度の2028年6月期に向けては、ROE10%以上の実現を目指す。
②財務・資本戦略の強化
M&Aを含む積極的な事業投資の実行と戦略的な株主還元を実施することで、事業の成長と資本収益性の向上を図っていく。資本コストを意識した経営に向けては、利益成長に基づくキャッシュの創出力の向上を図り、獲得したキャッシュを成長投資と株主還元に向けて適切に配分することで、バランスシートの継続的な改善を目指す。株主還元については、経営上の重要な政策と位置づけ、長期にわたり安定的かつ継続的な利益還元を行っていくこととし、2026年6月期からはDOEの目安を4.0%から5.0%に変更し、累進配当を維持しながら、増配に向けた努力を継続する。自己株式の取得については、株価や財務状況を総合的に勘案し、適切な局面で機動的に実施する。
③積極的なIR活動の推進
株主・投資家との対話促進に向けて、ビジネスモデルや計画の進捗状況、今後の成長戦略を適切に評価してもらうために、従来行ってきた機関投資家に対する決算説明会を充実させつつ継続し、個別ミーティングによる対話機会を増加させる。コーポレートサイトを含むウェブサイトにおける財務情報及び非財務情報の充実を図り、株主・投資家からのより深い理解を促進するよう努めていく。
2.中期経営計画
2026年6月期から2028年6月期までの3ヵ年の中期経営計画を策定・発表した。
【2-1 前中期経営計画の振り返り】
25年6月期を最終年度とする前中期経営計画では、中長期に時価総額250億円を目指し、「アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする」企業として、その貢献度を高めるべく事業領域の拡大に取り組んだ。同時に、働き方の多様化や労働人口の減少等の変化にいち早く応えながら、サービスの価値をより一層高めるため、オペレーションの変革を図り、「売上高100億円、営業利益10億円(2023年8月発表の修正目標)」を目標として掲げた。
しかしながら、社会情勢や市場環境の変化に事業全体が適切に対応しきれず、様々な取り組みにおいて遅れが生じた結果、経営目標を達成することができなかった。
特に、システム開発の遅延による影響は大きく、新たなサービス開発や生産性を向上させるデジタル化の取り組みに遅れが生じた。
前中期経営計画前の2020年6月期と2025年6月期を対比すると、売上高ではコロナ禍によるマーケットの停滞の長期化や、連結子会社であった株式会社全日総管理の離脱の影響が大きく、売上が横這いの中、コスト面ではデジタル化に向けた投資負担や、人手不足を背景とした人件費の高騰により、利益を減少させることとなった。
これらの点から、新中期経営計画では前中期経営計画で手掛けてきた重要な取り組み課題を確実に完遂させ、売上・利益ともに成長軌道に戻すことが、最優先と考えている。
【2-2 新中期経営計画の概要】
(1)位置づけ
中長期ビジョンとして、

を掲げた。
積極的な事業投資と収益構造の変革による継続的な成長を果たすとともに、利益還元とガバナンスの向上によりステークホルダーからの厚い信頼を獲得し、アウトソーシング事業者としてさらなる進化発展を目指す。
このビジョンの下、今回の中期経営計画では、
・コロナ禍以前のストック売上高成長率と営業利益率に「回復」させること
・基盤システムの再構築、M&Aも含めた新たな事業創出に「投資」を行うこと
の2点に重点を置き、新中期経営計画を中長期の成長のためのステップと位置づけ、3年後の2028年6月期の目標を「売上高100億円、営業利益10億円」とし、改めて10年程度の中長期スパンで時価総額250億円を超える企業集団を目指していく。

(同社資料より)
(2)骨子
①基本方針
同社グループは「新たな価値を創造し、世の中の標準に進化させる取り組みを通じて社会に貢献する」ことをミッションとしている。
そのうえで、以下の中長期的な経営方針を定めた。
* | 企業価値向上のため、事業規模の拡大を推進するとともに、それを支える人材の強化及び次世代人材の育成を推進すること |
* | 加速する経営環境の変化に対処し、長期的な展望に立って、グループ全体の収益構造の変革に取り組んでいくこと |
②経営戦略
基本方針の下、経営戦略として「基盤事業の成長:ストックビジネスの維持・拡大」と「収益構造の変革:アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展」「将来に向けた投資:中長期の成長シナリオ実現の基礎作り」を掲げている。
◎基盤事業の成長:ストックビジネスの維持・拡大
2014年から、コロナ禍が本格的に影響する2020年までの6年間で売上の成長率は35%、年約5%の成長ペースであった。ストック収入の順調な積み上りにより成長を果たしてきたが、前中期経営計画期間中は、ストックが一時的に減少する年もあり、思うように拡大させることができなかった。
今後の3年間では、「社宅マネジメント事業」「マンションマネジメント事業」という2つの基盤事業において、ストックビジネスの維持・拡大を通じて、ストック売上高成長率をコロナ禍前の「年5%成長」に「回復」させる。
人手不足を背景とした企業のアウトソーシングニーズは拡大を続けているが、一方で、働き手の不足は、同社のサービス提供体制にも影響を与えていることから、顧客のニーズに的確に対応できる体制を整備しながら、着実な成長を目指す。

(同社資料より)
◎収益構造の変革:アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展
これまでの5年間、低成長の下、人件費の高騰などで利益率が低下した。社宅マネジメント事業もマンションマネジメント事業も労働集約型のビジネスであり、人件費上昇が経営に与えるインパクトは極めて大きい。そのため、収益構造を変革させる必要があると考えている。
そのために、2つの基盤事業において「新たな収益の獲得」と「既存事業の原価構造の変革」の2つを図る。
売上構成と原価構成の双方を段階的に変化させていくことで、将来にわたって利益を生み出し続けられる体制を構築する。
*売上構成の変革「アウトソーシング領域の拡大」
クラウド型のBPOサービス等の非労働集約型ビジネスモデルの拡大を推進することで、「売上構成の変革」を実現し、売上の伸長と利益率の向上に取り組む。
*原価構造の変革「「オペレーションの変革」
今後ますます人件費が上昇していくことが避けられない状況の中、デジタル化の推進等によって、原価人件費率を逓減させることで「原価構造の変革」を実現し、労働生産性向上と原価率低減を目指す。
社宅マネジメント事業においては人材確保・育成及びシステム開発の継続に注力する。マンションマネジメント事業においては業務仕様の見直しやマンション管理アプリの導入を推進する。
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(同社資料より)
◎投資
中期経営計画期間においては、「システム:デジタル化の推進」「人材:人材確保と育成」「事業:新たな事業の研究・開発」等、将来に向けた「投資」を行うことで、中長期の成長シナリオ実現の基礎作りに取り組む。その結果を成長の源泉とするとともに、ステークホルダーに対して、十分な利益還元を行うことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す。
【2-3 各セグメントの事業戦略】
(1)社宅マネジメント事業
①重点テーマ
・大手企業向け社宅アウトソーシングサービス「しゃたくさん」の受注拡大による安定的な成長
「1.会社概要、1-3 事業環境」で述べたように、社宅管理事務代行については良好な受注環境が見込まれる。
そうした中、旺盛なアウトソーシングニーズを確実に取り込むことができるよう、「しゃたくさん」の受注拡大による安定的な成長、コロナ禍以前のストック売上高成長率(年率5%)への回復を目指し引き続き営業体制を強化する。同時に、人手不足の中でも盤石なオペレーション体制構築に向け、採用や育成に注力するとともに、報酬改善も含めたエンゲージメント向上にも取り組む。
・人事・総務向けBPOサービス、中堅・中小企業向けクラウド型の社宅管理システムサービス 「しゃたくさんLite」の拡販
利益率向上に向け、人事・総務向けのBPOサービスや「しゃたくさんLite」など、付帯サービスの拡充や拡販に注力する。
・大手企業向け社宅アウトソーシングサービス「しゃたくさん」の原価構造改善
システム開発や人材育成等により、「しゃたくさん」の原価構造改善を進める。
②ストックの維持拡大
良好な環境下、受託件数増がけん引し、社宅マネジメントのストック売上高も増加を計画している。

(同社資料より)
(2)マンションマネジメント事業
①重点テーマ
・マンション管理のストック維持拡大の継続
委託業務費の値上げ、顧客毎の資金に合わせた最善の業務仕様への見直し等による収益率の改善を最優先事項とする。継続困難な顧客が発生する事が想定されることから、これからの3年間は、全体の管理戸数の増加は見込まず、収益性を重視した取り組みを優先する。
・リフォーム関連や不動産サービスによるインストアシェアの拡大
老朽化による修繕工事や専有部サービス、不動産関連サービス等の需要を取り込み、シェア拡大と利益増加に取り組む。
・デジタル化による業務効率化の推進
新たに開発したマンション管理用のアプリの全顧客への導入のほか、協力会社全社の書類をペーパーレス化することで業務効率化も図り、利益率の向上を目指す。
②ストックの成長と収益改善
これまでも、単なる管理戸数増加よりも、収益性を考慮した受注活動を継続させてきたが、今後3年間は、これまで以上に収益改善に力を入れていくため、解約も一定数見込んでいる事から、管理戸数の増加は見込んでいない。管理戸数は増加しないものの、委託費の値上げ等により、ストック売上高を増加させていく。

(同社資料より)
(3)インキュベーション事業
<重点テーマ>
引き続き、管理会社向けのサービス開発を行うほか、新事業の創出にも取り組む。
・見守りセキュリティサービス、及び保険代理店サービスの推進
管理会社への支援サービスである「マネジメントサポート事業」については、従来の見守りセキュリティサービスや保険代理店サービスによる事業を推進する。
・マンション管理DX支援サービス「osumait」の拡大
同社が開発したDX化されたマンション管理の仕組み「osumait(オスマイット)」を他社へ提供し、新たな収益源とする。既にマンション管理会社3社が利用を開始しており、さらなる拡大を図る。
・新たな事業の開発
新たな基盤事業の創出と既存事業の高付加価値化につながる事業やサービスの開発と育成を推進する。
【2-4 持続的な企業価値向上】
① サステナビリティ経営の推進
「働く人の健康・活躍」「安全・安心・快適な住まい環境の整備」をキーコンセプトとしている。
企業理念に基づき、サステナビリティ基本方針のもと、事業・企業活動を通じて経済的な役割を果たすとともに、環境及び社会に対しての役割もまた同様に担い、その責任が果たせるガバナンス体制の整備・運用・強化により、様々なステークホルダー(顧客、取引先、パートナー、地域社会、従業員等)とともに、持続的な企業価値の向上並びに持続可能な社会の実現に取り組む。
TCFDに基づく情報開示を実施している他、人事・総務BPOサービスの一環である、地域共創BPOサービスにも注力している。将来の働き手の不足を解消する為、「多様な働き手を活用したBPOサービス」の実現に向けた、調査や試験的な運用を継続しており、その一環として、全国各地の働きたくても働く機会に恵まれない働き手に、同社のBPOサービスの運営委託を進めている。
2023年3月に新潟県糸魚川市と連携協定を締結して活動を行ってきたが、2025年5月には新たに長野県立科町とも連携協定を締結した。また、サービス拡大に向け日本で最初に発売された経路検索サービス「駅すぱあと」を開発したヴァル研究所も活動の輪に加わった。提携先であるヴァル研究所が新たに開発した「通勤費初期データ登録代行サービス」に、「地域共創BPOサービス」を提供することとなった。今後もこうした活動を通じて、地域の雇用創出と、企業の人手不足問題の解消に貢献していきたいと考えている。
②ガバナンス
中期経営計画期間においても引き続き、持株会社体制によるグループ経営管理及び監督・執行の分離を進めるとともに、監査等委員会設置会社として、監督機能に重きを置いた取締役会運営のもと、コーポレート・ガバナンスのさらなる向上を図る。
③資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて
資本コストや株価を意識した経営の実現により、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指す。 中期経営計画においては、資本コストをさらに上回るROE目標を設定し、目標達成に向けては、基本方針に基づく重点テーマを遂行することで、事業成長を図り、収益性の向上に取り組む。財務戦略の強化により資本効率を高め、積極的なIR活動の推進によって株価の上昇を目指す。
※詳細は「1.会社概要、1-8 資本コストや株価を意識した経営の実現」を参照
④財務戦略
事業活動に基づくキャッシュの創出力の向上を図り、安定した財務基盤を堅持しながら、創出したキャッシュを戦略的に配分し、積極的な成長投資による利益成長の実現と株主還元強化による資本収益性の向上を目指す。
中期経営計画においては、M&Aを視野に入れた新規事業開発を推進し、成長投資を強化するとともに、DX推進や人材強化といった経営基盤強化のための投資も積極的に行い、持続的な成長を目指す。
⑤人事戦略・人材育成方針
中期経営計画における人材に関する重点テーマを「従業員の働きがいを高める」としている。多様化する価値観や激変する環境に対する対応力を向上させ、安心して働ける職場環境を創るとともに、活き活きとやりがいをもって働ける企業集団を目指す。
【2-5 目標とする経営指標】
2028年6月期「売上高100億円以上、営業利益10億円以上」を目標としている。
| 25年6月期 | 28年6月期 | CAGR |
売上高 | 8,695百万円 | 100億円以上 | +4.8%以上 |
営業利益 | 742百万円 | 10億円以上 | +10.5%以上 |
営業利益率 | 8.5% | 10.0%以上 | - |
ROE | 3.0% | 10.0%以上 | - |
DOE | 4.9% | 5.0%以上 | - |
*CAGRは同社資料を基にインベストメントブリッジが試算
3.2025年6月期決算概要
【3-1連結業績概要】
| 24/6期 | 構成比 | 25/6期 | 構成比 | 前期比 | 期初予想比 | 修正予想比 |
売上高 | 8,371 | 100.0% | 8,695 | 100.0% | +3.9% | -0.0% | -0.0% |
売上総利益 | 1,989 | 23.8% | 2,048 | 23.6% | +2.9% | - | - |
販管費 | 1,336 | 16.0% | 1,305 | 15.0% | -2.3% | - | - |
営業利益 | 653 | 7.8% | 742 | 8.5% | +13.6% | +23.8% | +6.1% |
経常利益 | 653 | 7.8% | 758 | 8.7% | +16.1% | +26.5% | +8.4% |
当期純利益 | 1,775 | 21.2% | 229 | 2.6% | -87.1% | -41.2% | 14.7% |
*単位:百万円。修正予想比は25年6月公表の修正予想に対する比率。
増収増益、利益は予想を上回る
売上高は前期比3.9%増の86億95百万円。社宅マネジメント事業、マンションマネジメント事業は増収。
営業利益は同13.6%増の7億42百万円。売上総利益が同2.9%増加した一方、租税公課の減少などで販管費は同2.3%減少し、2桁の増益となった。
当期純利益は同87.1%減の2億29百万円。24年6月期に発生した投資有価証券売却益22億13百万円がなくなったことに加え、社宅アウトソーシングサービスの社内基幹システム開発において、昨今のITテクノロジーの進化を踏まえ、開発方針の再検証を行った結果、より有効な他の開発方法を選択し、現行の開発プランの継続中止を決定したことから、特別損失にシステム開発に係るソフトウエア仮勘定の除却損等3億77百万円を計上した。
予想に対しては、売上高はほぼ計画通り、営業利益・経常利益は修正予想も上回った。
年間配当は業績のほか経営環境や今後の事業展開等を総合的に勘案して、前期比2円/株増配の41 円/株とすることとした。

【3-2 セグメント別動向】
| 24/6期 | 構成比 | 25/6期 | 構成比 | 前期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
社宅マネジメント事業 | 4,279 | 51.1% | 4,371 | 50.3% | +2.1% |
マンションマネジメント事業 | 3,808 | 45.5% | 4,132 | 47.5% | +8.5% |
インキュベーション事業 | 283 | 3.4% | 191 | 2.2% | -32.3% |
売上高合計 | 8,371 | 100.0% | 8,695 | 100.0% | +3.9% |
セグメント利益 | 24/6期 | 利益率 | 25/6期 | 利益率 | 前期比 |
社宅マネジメント事業 | 1,200 | 28.0% | 1,183 | 27.1% | -1.4% |
マンションマネジメント事業 | 249 | 6.5% | 350 | 8.5% | +40.9% |
インキュベーション事業 | -5 | - | -21 | - | - |
調整額 | -790 | - | -770 | - | - |
セグメント利益合計 | 653 | 7.8% | 742 | 8.5% | +13.6% |
*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。
(1)社宅マネジメント事業
前期比2.1%増収、1.4%減益。
企業における住宅制度・運用の見直しや高い外部委託ニーズを背景に、大手企業を中心に制度改定コンサルテーションの引き合いが引き続き旺盛で、大手企業向けの新規受注獲得が堅調に推移。24年6月期に発生したインボイス制度導入支援等のスポット収入が減少したが、受託収入やコスト削減サービス等のストック収入が堅調に推移した。利益面では、スポット収入の減少に加え、業務工数の増加やサービスの安定化に向けた体制強化により人件費が増加したことから減益となった。
(2)マンションマネジメント事業
前期比8.5%増収、40.9%増益。
マンション管理の新規受託における引合いは引き続き堅調で、管理戸数は増加。専有部のリフォーム工事や元請による計画修繕工事、販売用不動産の売却などスポット収入が増加した。管理員等の人件費上昇などはあるものの、増収効果で増益。
(3)インキュベーション事業
前期比32.3%減収、21百万円の損失計上(24年6月期は5百万円の損失)。
住まいを管理する事業者に向けたサービスプラットフォームを提供するマネジメントサポート事業の育成に注力しているが、24年6月期に主要顧客の解約が発生したコールセンターサービスにおいて、自社運営のコールセンターを持たない成長シナリオの再構築に着手していることから取引が減少した。
【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】
◎主要BS
| 24年6月末 | 25年6月末 | 増減 |
| 24年6月末 | 25年6月末 | 増減 |
流動資産 | 9,730 | 9,494 | -236 | 流動負債 | 2,793 | 2,246 | -547 |
現預金 | 7,340 | 6,970 | -370 | 短期借入金 | - | 104 | +104 |
売上債権 | 353 | 358 | +5 | 営業預り金 | 901 | 909 | +8 |
営業立替金 | 1,322 | 1,420 | +97 | 固定負債 | 192 | 484 | +291 |
固定資産 | 1,163 | 964 | -198 | 長期借入金 | - | 261 | +261 |
有形固定資産 | 257 | 235 | -22 | 負債合計 | 2,985 | 2,730 | -255 |
無形固定資産 | 587 | 225 | -362 | 純資産 | 7,908 | 7,729 | -178 |
投資その他の資産 | 318 | 503 | +185 | 利益剰余金 | 7,167 | 7,022 | -144 |
資産合計 | 10,894 | 10,459 | -434 | 負債純資産合計 | 10,894 | 10,459 | -434 |
*単位:百万円
現預金及び社内基幹システムの開発中止に伴うソフトウエア仮勘定の減少などで資産合計は前期末比4億円の減少。
未払法人税等の減少などで負債合計は同2億円減少。
利益剰余金の減少、自己株式の増加などで純資産は同1億円の減少。
自己資本比率は前期末から1.4ポイント上昇し72.3%。
◎キャッシュ・フロー
| 24/6期 | 25/6期 | 増減 |
営業CF | 957 | -68 | -1,025 |
投資CF | 1,969 | -2,256 | -4,225 |
フリーCF | 2,926 | -2,324 | -5,251 |
財務CF | -348 | -45 | +302 |
現金同等物残高 | 7,316 | 4,946 | -2,370 |
*単位:百万円
税金等調整前当期純利益の減少、定期預金の預入による支出増等で営業CF、フリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。
4.2026年6月期業績予想
【4-1 業績予想】
| 25/6期 | 構成比 | 26/6期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 8,695 | 100.0% | 8,900 | 100.0% | +2.3% |
営業利益 | 742 | 8.5% | 700 | 7.9% | -5.8% |
経常利益 | 758 | 8.7% | 715 | 8.0% | -5.8% |
当期純利益 | 229 | 2.6% | 461 | 5.2% | +100.9% |
*単位:百万円。予想は会社側予想。
増収減益を予想
売上高は前期比2.3%増の89億円の予想。社宅マネジメント事業、マンションマネジメント事業の着実な拡大を見込んでいるが、一方で、期首における販売用不動産の在庫水準は過去と比較し低水準。期中の仕入れにも注力するが、在庫不足による取引減少が見込まれ、微増収に留まる予想。
営業利益は同5.8%減の7億円の見込み。今後の事業拡大に向けた体制整備やオペレーション品質の維持と安定化に対するコストが増加することから減益を予想している。
配当は前期比1.00円/株増の42.00円/株を予定している。予想配当性向は83.9%。
5.髙木社長に聞く
髙木 章社長に、ミッション・ビジョン、事業の特長や競争優位性、中期成長シナリオ、成長実現の課題、株主・投資家へのメッセージを伺った。
髙木社長は1973年8月生まれ。新卒でハウスメーカーの営業を経験した後、設立3年後である2001年1月に同社入社。営業、アウトソーシング、住宅制度コンサルティングなど顧客サイドの業務で豊富な実績と経験を積んだほか、人事、管理なども幅広く経験した後、2019年9月、3代目の代表取締役社長に就任した。
Q:近年、企業の社会的存在意義がクローズアップされています。御社のミッションやビジョンについてお話しください。また、その考え方をどのようにして社員に浸透させているのでしょうか。
当社では創業の理念として「ビジョナリーカンパニー創造のために」、基本精神/存在理念として「愛と誠と調和を基本精神とし、お客様に最高の満足と集う人々の幸福の創造と拡大をし続け、夢の総和の実現をはかります。」を掲げています。
何か迷ったとき、選択しなければならないとき、意思決定すべきとき、判断の軸は最終的にはこの理念に行きつきます。
年初、期初に加え、年2回の社員総会においてはもちろん、通常の会議においても、繰り返し理念の重要性を語っています。
ですので、経営陣はもちろん、管理職、リーダー、社員において、この価値観は認識、共有されています。
Q:現在のサンネクスタグループにおける社長御自身のミッション、ステークホルダーに対する責任は何であるとお考えですか。
次の経営者に少しでもいい状態でバトンを渡していくことが一番の責務であると考えています。
次の経営者の育成に加え、現在の課題にしっかりと取り組んで次の経営者がよりスムーズに経営を行える環境を整備することを意識しており、育成プログラムを継続的に実施しています。
Q:続いて御社の強みや特長、特に他社にはなくて御社にはあるもの、それによって厳しい競争を勝ち抜くことができる競争優位性についてお話しください。
社宅管理事務代行事業を手掛けるプレーヤーは多数ありますが、当社は唯一の独立系かつBPO事業者です。
不動産デベロッパーのグループ会社は不動産事業を拡大するために、またデベロッパーでなくても物件の賃貸管理業や仲介業を中心的な収益としている企業も、その事業拡大のためにアウトソーシングを提供しているのですが、独立系でアウトソーシングサービスの対価でビジネスを展開しているのは当社のみです。サービスの範囲、サービスの深さ、価格も他社とは大きく異なります。社宅制度の運営にこだわりをお持ちのお客様は当社をお選びになりますし、反対に、とにかく安価で、制度運用の仕方はある程度調整してもいいという企業には選ばれません。そういう点で差別化、棲み分けはできている状況です。
「社宅管理事務代行」と一言で言っても、サービス内容には大きな差があります。ある同業他社では、「不動産会社とは連絡を取るが、社員とは連絡を取りません。」という運用を行っている企業があります。例えば、退去に際して、入居していた社員の使い方の問題で原状回復費用が高額になったケースでは、企業内で運用していれば当然企業がその社員とコミュニケーションをとって費用負担をどうするか相談するわけです。ところがそうした手間暇のかかる対応は引き受けない同業他社もあるのです。
当社の場合は、「企業内部の運用を再現する」ことを方針としています。企業によっては、「社員への督促は2回まで」と決めている企業もあれば、文書で通知すると決めておられる企業もあります。手段も文書の他に、電話やメール、個人の携帯などまちまちです。そういう条件・状況は企業ごとに異なりますが、そうした各企業が大事にしているこだわりを的確に認識した上で業務として提供する、企業の担当者の代わりをしっかりと果たすというのが当社のポリシーなのです。もちろん、さらに制度運営が良くなるためのご提案は必ずさせていただきますが、企業の現在の運用方法をきめ細かく把握したうえでそれを最適な方法で再現するのが当社の提供価値であり、費用はその範囲や深さによって変わるため、多くの場合、他社よりもかなり高額になりますが、その価値をしっかりとご評価いただいています。
Q:そうしたサービスを企業ごと、個々に構築するのは容易ではないかと思いますが、どのように対応しているのでしょうか。
業務移管の工程は複雑で時間もかかります。何時間にも及ぶ丁寧なヒアリングを行い、企業の住宅制度の運営方針や運用実態などの状況を伺い、それ以外のこだわりも吸い上げていくというコミュニケーションを取りながら運用方法を構築していきます。
住宅制度コンサルティングの場合は、さらに上流工程から手掛けることになりますから、企業の制度改革チームに参画して制度作りをサポートし、その後運用を実際に行っていきますので、さらにリードタイムは長くなります。
ただ、これまでに400社以上を手掛けていることから、ある程度のパターン化はできており、他社にはない当社独自のノウハウとして蓄積され、大きな差別化のポイントとなっています。
Q:社宅代行サービスを導入しようとする企業では当然、相見積もりをとるケースも多いと思うのですが、その際の状況はどうなのでしょうか。
相見積もりでは当然価格に大きな差が出ますが、顧客企業が「自社の社宅制度におけるこだわりを体現してほしい」という観点で導入を検討するケースでは、当社を選んでくださる企業が多いと思います。
反対に、汎用的な運用で十分と考えられる企業や、価格を重視される企業においては、「当社のサービスはフィットしづらいお客様」だと考えています。
当社のサービスを選択していただいた企業からは、長い目で且つトータルで考えると決して高くはないと評価いただいており、毎年の契約更新率は95%以上となっています。
Q:続いて新しい中期経営計画や中期成長シナリオについて伺います。前中期経営計画については、社会情勢や市場環境の変化に事業全体が適切に対応しきれず、様々な取り組みにおいて遅れが生じた結果、経営目標を達成することができなかったわけですが、その要因についてコメント頂けますか。
まず外部要因では、やはりコロナ禍の影響を大きく受けました。当社の社宅管理事務代行サービスは、企業が改革の必要性を認識し、社内の関係者と調整してその改革の方法論を決めた後、担当者が社内稟議を上げ、上司もそれを理解するというプロセスが必要です。企業によっては労使間で丁寧に協議される場合もあります。そのため、リードタイムがおおよそ2~3年かそれ以上かかることも珍しくありません。コロナ禍で先行きが不透明になった中で、こうした改革の検討を完全にストップした企業がほとんどでした。ただ、1回火は消えましたが、コロナ禍の収束によって検討が再開された結果、受注は回復傾向にあります。企業のアウトソーシング需要は着実に増大することが見込まれますし、人手不足の中で人材採用の競争力を高めるために、福利厚生としての社宅制度の拡充を考える企業も増えてきています。
内部要因としては、連結子会社であった株式会社全日総管理の離脱(2022年3月)に加え、システム開発の遅延により、「しゃたくさんLite」や「osumait」の他社展開といった新サービスの投入や生産性を向上させるデジタル化の取り組みが大きく遅れてしまいました。
Q:そうした中で、新中期経営計画では、「コロナ禍以前のストック売上高成長率と営業利益率への回復」と「基盤システムの再構築、M&Aも含めた新たな事業創出への投資」を掲げています。
「回復」については、どんな点に注力していくのでしょうか。
社宅管理事務代行サービス「しゃたくさん」については、回復傾向が明らかになっています。特にコロナ禍によって一時期新規のお客様とのコミュニケーションがなくなったのですが、現在はコロナ禍前の状態を取り戻して、順調にお客様からのご支持をいただいているので、営業的にはさほど課題はなく、今後は増加傾向にあるアウトソーシング需要に着実に応えて行けば良いと考えています。
一方、受注後の運用体制の整備が内部的な課題です。特に直近ではインボイスなどの法令の改正や家賃の上昇によって、更新時期に届く大量の値上げ通知に対する対応など、オペレーションの負荷が高まっており、お客様のニーズを的確に満たすためのサービス提供体制の強化に向け、人的リソースの強化とデジタル化による社内業務の効率化に取り組んでいく必要があります。
デジタル化に関しては、AIを利用した書類の読み込み、ボットを使った不動産会社とのコミュニケーションの一部自動化なども進めています。
マンションマネジメント事業に関しては、管理件数の増加ではなく1棟当たりの収益性の維持・向上を最優先に取り組みます。
不採算になってしまった顧客にはしっかりと値上げをお願いし、断られれば、残念ですが管理が継続できない場合も出てくることもやむを得ないと考えています。
大手の管理会社を始めとして、多くの同業他社が積極的に値上げを行っているので、当社への相談も増加していますが、すべてにお応えする事はできないので、案件ごとの採算性なども慎重に見極めながら受注判断をしていきます。
収益性改善に向けては、マンション管理をデジタル化するサービス「osumait」の利用拡大のほか、同じような悩みを持つ他のマンション管理会社への提供も進めていきます。既に数社のマンション管理会社が利用を開始しており、現在さらに営業を強化しています。
Q:「投資」についてですが、M&Aはどんな分野を検討しているのでしょうか。
人事・総務や、不動産の管理会社に対してBPOなどのサービスを提供している企業などがまずは優先ターゲットとして考えています。例えばAI技術やSaaS系のサービスを有していて、当社のサービスと彼らの技術やサービスと組み合わせて新たな仕組みやサービスを構築して人事・総務分野やマンション管理分野に用いることで、既存顧客に新たな付加価値を一緒に提供することができる先を検討していきたいと考え、現在ファインディングと精査を行っています。
Q:成長を実現するための課題は何でしょうか
やはり人材強化が最も重要です。M&Aを実行した際に、適切にリソースを投入し、スピーディーに一日も早くシナジーを創出することが極めて重要となりますので、PMIにおける人材の強化が必要です。また、最初に申し上げましたように、次世代の中核人材、経営者層の育成も必須と考えています。
Q:ありがとうございます。では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。
この5年間は残念ながら売上・利益とも十分な成長を果たすことができませんでした。株主・投資家の皆様には、今後も足踏み、停滞が続くのではないかとご心配の方もいらっしゃるかと思います。
ただ様々な要因を分析し、足元の状況を確認すると、受注環境は回復傾向にあり、今後、着実な成長路線へ回復できると判断しています。また、過去数年、売上原価が増加した要因の一つは先行投資でしたが、収益性回復に向けた施策もしっかりと打っており、3年後には売上成長、利益回復を実現できると考えております。
投資家の皆様には不安に思われているかと存じますが、しっかりと成果でお示ししたいと思っております。
株主還元、資本コストや株価を意識した経営についても注力してまいりますので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います。
6.今後の注目点
「社宅管理事務代行」と一言で言っても、提供企業によってサービス内容には大きな差が生じる。同社の場合は、「企業内部の運用を再現する」ことを方針としており、企業の運用方法に従って提供するサービス内容をカスタマイズするが、同業他社においては、企業側が提供会社のサービス内容に従うケースも多い。顧客企業の現在の運用方法をきめ細かく把握したうえでそれを再現するサービスを提供し、かつ不動産仲介手数料を収受しないため費用は他社よりも高額だが、多くの企業がその価値を評価し、高い継続率を実現している。相見積もりでは価格に大きな差が出るが、顧客企業が「自社の社宅制度におけるこだわりを体現してほしい」という観点で導入を検討するケースでは、同社サービスを利用されることが多いという。
「顧客である企業本位のビジネスを行うべきだ」との創業時の強い想いをベースに、新中期経営計画で成長軌道への回帰を目指す同社の取り組み、進捗を注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名) |
監査等委員 | 3名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年9月5日
<基本的な考え方>
当社は、「お客様に最高の満足と集う人々の幸福の創造と拡大をし続け、夢の総和の実現をはかる」という存在理念のもと、持続的な成長並びに企業市民としての社会的な存在価値及び中長期的な企業価値を向上させることを目的として、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定いたしました。
本基本方針は当社のコーポレートガバナンスの考え方や枠組みを示した全ての役職員の行動の指針として、最良のコーポレートガバナンスを実現してまいります。
本基本方針の詳細につきましては、当社ホームページに掲載の「コーポレートガバナンスに関する基本方針」をご参照ください。
https://www.sunnexta.co.jp/ir/company/governance.html
【基本精神・存在理念・経営理念・ネットワーク理念】
ビジョナリー・カンパニー創造のために
■基本精神 | 愛と誠と調和 |
■存在理念 | お客様に最高の満足と、集う人々の幸福の創造と拡大をし続け、夢の総和の実現をはかります。 |
■経営理念 | 1.コンプライアンスのもとに開かれた透明性の高い企業活動を通じて、信頼される企業市民を目指します。 2.時代の変化にしなやかに対応し、常に革新し続ける情熱と向上心、創造性ある経営に挑戦します。 3.パートナーとともに顧客思考に徹したサービスの創造と公明正大な利益を追求し、企業活動を通じて、住みよい豊かな暮らしと経済・社会の発展に貢献します。 |
■ネットワーク理念 | 同じ志をかかげ、お互いに“共に咲く喜び”を分かち合える価値創造のネットワークを追求します。 |
【サステナビリティ基本方針】
SUNNEXTAグループは、企業理念に基づき、企業活動を通じて経済的な役割を果たすと共に、環境及び社会に対しての役割もまた同様に担い、その責任が果たせる統治体制の整備・運用・強化により、持続的な企業価値の向上並びに持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
■事業 | パートナーとともに、環境問題にも配慮し、社会課題の解決につながる商品やサービスの創造を行います。 |
■環境
| 集団への啓発と行動変容を通じて環境に優しい活動を推進します。 また、人の住まいと暮らしの安全安心快適を推進する事業者として住環境へ潤いの提供を行います。 |
■社会
| 社会の繁栄に向けて、集う人々の幸福の創造と拡大と共に、絆の向上も図り、また将来の繁栄を築く人材の育成を推進します。 多様な働き方を叶えるオペレーションの実現を図り、価値の高い労働機会の提供を拡大してまいります。 |
■ガバナンス
| 持株会社体制のもと、集団経営を推進するとともに、監督と執行の分離を図り、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定と適切な対応を行う経営(ガバナンス)に努めてまいります。 |
【サンネクスタグループ行動規範】
わたしたちは、サンネクスタグループの経営理念に基づき、企業の社会的責任を深く自覚し、常に高い倫理観と社会的良識をもって行動し、サンネクスタグループが社会から信頼される会社として評価され、持続的に発展するように努めます。
1.法令遵守 | わたしたちは、法令及びルールを遵守し、社会的規範にもとることのないよう、誠実かつ公正に企業活動を遂行します。 |
2.基本的人権の尊重 | わたしたちは、人権を大切にする精神を培い、人種、国籍、宗教、思想、性別、年齢、社会的身分、身体的・精神的障害などを理由とする差別や人権侵害を行いません。 |
3.顧客の信頼獲得 | わたしたちは、市場における自由な競争のもと、顧客思考に徹した新しいサービスの創造に努め、ニーズにかなう商品やサービスを提供するとともに、正しい情報を提供し、顧客の信頼を獲得します。 |
4.取引先との関係 | わたしたちは、取引を通して価値観を共有し、信頼関係を築き高め、相互の発展に努めます。 |
5.ステークホルダーの理解と支持 | わたしたちは、公正かつ透明な企業経営により、ステークホルダーの理解と支持を得ます。 |
6.多様性を受容する互いの関係 | わたしたちは、サンネクスタグループの一員として連帯感を持ち、互いの自己能力の再発見・向上と能力発揮を促進します。そして多様性を認め合いながら活力を発揮し、高め合えるような環境づくりを行います。 |
7.社会とのコミュニケーション
| わたしたちは、広く社会とのコミュニケーションを図るために社会の要求に耳を傾け、必要な情報を積極的に開示します。 |
8.情報の厳正な管理 | わたしたちは、個人情報や顧客からお預かりする情報等を厳正に管理します。 |
9.政治・行政との関係 | わたしたちは、政治・行政と健全かつ透明な関係を維持します。 |
10.反社会的勢力への対処 | わたしたちは、社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは関係を持ちません。 |
11.地域社会との共生 | わたしたちは、地域の発展と快適で安全な生活に資する諸活動に協力するなど、地域社会との共生を目指し行動します。 |
12.環境への取組み | わたしたちは、地球環境の保全が持続的な社会と事業の発展を両立するものと考え、一人ひとりが、環境について学び、考え、公私にわたって地球環境に優しい活動・行動を推進します。 |
<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
2021年6月の改訂後のコードの各原則について、全てを実施しています。
<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4.政策保有株式】
当社は、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」第4条(株式の政策保有及び政策保有株式に係る議決権行使に関する基本方針)を定め、ホームページに開示しております。なお、政策保有株式(4銘柄)は、当社取締役会において、具体的に精査した結果、継続保有することといたしました。
コーポレートガバナンスに関する基本方針
第4条 当社の政策保有株式の保有方針は、業務提携及びシナジー創出・強化による企業価値向上を目的とする。
2 | 政策保有株式の保有については、企業価値向上の目的に照らして総合的に判断し、保有意義が認められない場合は、原則として売却する。 |
3 | 当社は、当社の株式を政策保有株式として保有している取引先(以下「政策保有株主」という。)からその株式の売却等の意向が示された場合は、合理的な理由なく売却等を妨げることはしないものとする。 |
4 | 当社は、政策保有株主との取引は、株主共同の利益を損なうことがないよう、取引の経済的合理性を十分に検証して判断する。 |
5 | 各担当執行役員は、個別の銘柄ごとの業務提携及びシナジー創出・強化等を随時確認するものとし、定期的に取締役会へ報告し、取締役会は、個別の銘柄ごとに資本コスト等を踏まえた投資の妥当性や経済合理性について判断する。 |
6 | 政策保有株式に係る議決権の行使については、議案が当社の企業価値向上に資するかの観点から総合的に判断する。 |
【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
[補充原則2-4 ①]
<中核人材の登用等における多様性確保の考え方について>
当社グループは、様々な価値観を持った多様な人々が、共通の目標に向け自立しながらもお互いを尊重し、価値を高め合いながら活躍し続けられる「好きで続けられる集合体」であることをグループ共通のスローガンとして掲げております。
企業価値向上の中核人材となる管理職の確保においても、年齢、国籍、性別等にかかわらず、企業理念への共感をベースに、必要な能力の保有・発揮状況、集団に対するリーダーシップの質と量により登用する制度としております。
<中核人材の登用等における多様性確保の考え方と目標および確保状況について>
(1)女性管理職の登用について
当社グループでは、アウトソーシング事業者としてさらなる進化・発展を目指すにあたり、次の中核人材の確保は重要な経営課題の一つであることから、その候補者として女性従業員の活躍支援を一層強化することとしています。活躍の方向性として、担当職務の専門性を一層高めるキャリアのほか、管理職へのキャリアも推奨し、女性がチャレンジしやすい雰囲気づくりや、制度・環境整備を推進しています。
当社グループの中核事業を担う日本社宅サービス社においては、2025年4月1日より3ヵ年を計画期間とした女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、2028年3月末までに女性管理職比率を20%とすることを目標に掲げて取り組んでいます。また、その他の会社においても、育児や介護を行う中心世代の柔軟な働き方を実現するための両立支援制度の拡充などを通じて、キャリア形成を後押しする取組みを推進しています。
・日本社宅サービス株式会社 15.9%
・グループ会社全体 13.9%
(2)外国人管理職の登用について
当社グループでは、国籍による登用の制限は一切設けていないものの、事業特性と経営課題の優先度を鑑み、現時点では外国人の採用に軸を置いた積極的な活動は行っておりません。今後については事業展開に応じて、外国人採用・管理職登用に向けた整備強化を行うことを検討してまいります。
(3)中途採用者管理職の登用について
当社グループでは、新卒採用・中途採用の違いによらず、能力に応じて管理職に登用する仕組みとしております。現在、管理職における中途採用者の割合は9割以上を占めており、きわめて高い水準にあるため、特段の目標設定は行っておりません。今後も能力に応じた管理職登用の仕組みを継続・発展させ、この水準を維持してまいります。
<多様性確保に向けた人材育成方針と環境整備方針、その状況について>
当社グループにおける人材育成は、考え方・熱意・能力という3つの要素の掛け算で人生や仕事の結果が決まる「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という価値観を核に展開しております。
また、当社グループが求める人材像は、“当社企業理念への共感と、当社グループの事業に関心を抱き、仕事に真摯に向き合いながら誠実に自己研鑽を続けてゆける人材”とし、その資質を持つ人が、バックグラウンドの違いなどを理由に必要な教育を受ける機会を喪失することがないように配慮しています。
そのうえで、基本的な教育としては、従業員が高い倫理感と社会的良識を備えることを目的とし、当社理念・グループ行動規範をベースとした教育を正社員全員に、ハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティ等の定期研修を全従業員に、毎年実施しております。
各社の業務推進に必要な専門知識や能力開発については、それぞれの職場の状態と業務特性から必要な研修内容を考え、OJTとOff-JTを組み合わせて指導にあたることで、より実践的な育成を行っていくことを基本としているほか、業務に必要な資格取得支援などを合わせて行っております。
なお、管理職を目指す人材や管理職に対しては、会社の枠を超えた研修や方針発表会等の機会を活用して、グループ共通の価値観の醸成を図るとともに、シナジーを生み出す人的ネットワークづくりの場としても活用しております。
環境整備に関しては、従業員の多様な働き方を実現し、ライフステージごとの就労制限の解消に向けた制度を導入することで、長く働ける職場環境づくりを推進していく方針です。
「社員の成長があって、会社の成長がある」という考えのもと、一人ひとりが自分自身の付加価値を継続的に高めてゆく企業文化の醸成に重点を置き、これらを支える取組として、まずは従業員の健康・維持増進対策を進めることに加え、従業員の能力開発を行うことで自己進化の継続に重きを置いた企業文化の中で会社と従業員が互いに選び合い、「好きで続けられる会社」を実感できる環境づくりを進めています。
そのために、有給休暇の取得推進や残業時間の低減の取組や人事制度・報酬制度の拡充、人材個々に求める役割や適性を充分に考慮した適材適所の配置などを進めております。
なお、多様性の確保に向けては、当社グループは女性活躍推進と次世代育成の取り組みを推進しております。
特に、キャリア形成の過程で、ライフイベントの影響を受けやすいとされる女性が活躍しやすい職場環境を作ることは、男性にとっても好環境につながるものと考えており、階層別の集合研修やOJTを通じたチャレンジ機会の創出、出産・育児にかかる諸制度の充実、多様な働き方の受け入れを可能にする労働環境の整備等に取り組んでいます。
それぞれの行動計画の詳細につきましては、以下をご参照ください。
■女性活躍推進に関する各社の行動計画:【女性の活躍推進企業ホームページ】
・日本社宅サービス行動計画:https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=14496
・クラシテ行動計画:https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=20816
■次世代育成に関する各社の行動計画:【両立支援のひろば ホームページ】
・日本社宅サービス行動計画:https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_dtl.php?cn=93393
・クラシテ行動計画:https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_dtl.php?cn=93394
[補充原則3-1 ③]
1.サステナビリティについての取組み
当社グループは、企業理念(基本精神、存在理念、経営理念、ネットワーク理念)(本報告書1ページ参照)に基づき、サステナビリティ基本方針及びグループ行動規範(同ページ参照)を策定し、企業活動を通じて経済的な役割を果たすと共に、環境及び社会に対しての役割もまた同様に担い、その責任が果たせる統治体制の整備・運用・強化により、持続的な企業価値の向上並びに持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
サステナビリティ基本方針に則り、中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)のもと、当社グループの事業展開にかかわる全ての「人」と「住まい」を視野に入れ、「働く人の健康・活躍」、 「安全・安心・快適な住まい環境の整備」をキーコンセプトに、サステナビリティ取組みを以下のとおり実施してまいります。
① | 当社グループの従業員を中心として、「デジタル化による高付加価値業務へのシフト」、「クラウドワーカーの活用」等により、「多様な人による多様な働き方、個々人の能力・専門性を最大限に活かせる職場と人材育成、待遇向上」を進めてまいります。 |
② | パートナー企業と、デジタル技術を活用した新たな管理モデルの構築等の共同開発や各種業務提携を通じて、住まいと暮らしの安全・安心・快適を推進するとともに、働く人々の様々な制限を自由化するBPOサービスを展開してまいります。 |
③ | 顧客企業の総務・人事部門を中心とした皆様が、当社グループの社宅管理事務代行業務をはじめとする各種「アウトソーシング(=BPO)」サービスをご利用いただくことにより、より高付加価値な業務に集中できるよう、サービスを拡充してまいります。 |
④ | 住環境の最適化と建物の資産価値の維持保全や入居者(高齢者)の安全をサポートするサービス・事業展開を通じて、「安全・安心・快適な住まい環境の整備」に貢献してまいります。 |
⑤ | 環境への取組みとして、デジタル化推進により、ペーパーレス化を進めてまいります。ペーパーレス化推進等、集団への啓蒙と行動変容を通じて環境にやさしい活動を推進します。 |
⑥ | これらを支える基盤として、以下により、透明・公正・迅速・果断な意思決定と適切な対応を行う経営を行ってまいります。 ・独立社外取締役を過半数とする取締役会 ・監査等委員会設置会社として、グループ全体の事業ポートフォリオ、投資等の重要意思決定及び監督機能への比重増大 ・持株会社によるグループガバナンス、事業会社へのシェアードサービス ・各事業会社の事業へのさらなる集中及び新事業展開 |
持株会社体制のもと、グループ経営会議においては、グループ全体に関わる重要なテーマ・課題について審議のうえ、当社の取締役会に付議・報告をしています。
サステナビリティ取組みについても、グループ経営会議にて、各種取組みの執行状況の確認を行い、定期的に取締役会に付議・報告します。
また、サステナビリティ取組みについては、当社ホームページ等を通じて開示し、ステークホルダーの皆様との対話及び関係の強化を図ってまいります。
https://www.sunnexta.co.jp/sustainability/
<気候変動への対応>
(TCFD提言への賛同)
当社は、2022年8月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。引き続き当社は、グループ全社において気候変動に真摯に向き合い、事業に影響する機会・リスクへの理解を深化させ、TCFD提言に基づく気候変動関連の積極的な情報開示に努めてまいります。
(TCFD提言が推奨する情報開示項目)
TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しています。
当社は、TCFD提言が求める4つの情報開示項目に基づいた情報開示のさらなる拡充に取り組んでまいります。
TCFDへの対応の開示は、当社ホームページに掲載しております。
https://www.sunnexta.co.jp/ir/
2.知的財産への投資
当社グループは、企業並びに従業員、そして社会の様々なニーズに対応したアウトソーシングサービスを提供しています。
事業において、固定資産や知的所有権をほとんど保有することなく、以下に代表される知的財産を築いてまいりました。
① | 組織・一人ひとりの従業員に根づく企業理念(存在理念、経営理念、ネットワーク理念)(本報告書1ページ参照) |
② | 常にお客様の立場に立って解決を図るサービス体制(組織)と社員(人材) |
③ | 企画・業務設計からオペレーションまでトータルにサポートする機能・業務システム・ビジネスノウハウ |
④ | 「日本社宅ネット」(300以上の加盟店等/不動産仲介・管理会社)に代表される全国にわたる優良なネットワーク |
⑤ | 社宅アウトソーシング業界のリーディングカンパニーとして構築された実績と信頼(ブランド) |
これらの知的財産は、他社のサービスとの差別化を図り、価格決定力を維持・強化し、あるいは創造的イノベーションによる競争環境の転換・競争優位をもたらすことなどにより、収益拡大及び企業価値向上のために必要不可欠な要素、バリューチェーン全体の中で収益を生むドライバーであり、当社グループの最大・最重要な財産です。
今後も、「アウトソーシングを通じて人の暮らしを豊かにする企業集団」として、中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)におけるサステナビリティ取組み等を通じて、知的財産の創出・獲得・強化となる投資を行ってまいります。
3.人的資本への投資
当社グループにおいて、人材はかけがえのない人的資本であり、将来の成長と成功のためには、有能な人材の確保と育成、そのための環境整備が欠かせないものと考えています。
自己実現の夢をもった従業員を支援し、個々人の能力・専門性を最大限に活かせる職場づくりを目指すことで、企業集団として持続的な成長を果たしてまいります。
中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)においては、既存事業をベースに 「デジタル技術や外部提携先との協働を通じて、新たな高付加価値サービスに転じてゆく取組み」を事業成長戦略の中心としていることから、これらを担う人材、すなわち「①経営人材」「②マネジメント人材(管理職)」「③改革・重要課題推進人材(リーダー)」及び「④専門人材(具体的には当社グループの『事業継続に不可欠な資格・スキルを有する人材』や『IT等、専門性の高い就業経験を有する人材』)」の確保を最重要テーマとしています。
これらの必要人材の獲得に向けては、内部人材の育成を中心に、必要に応じて外部採用を行うこととしており、外部採用の方策としては、市場競争力のある報酬水準に段階的に高めてゆくことを計画しています。また、育成に向けては、必要な資格・スキルの習得に向けた支援制度の導入を進めるほか、役割に応じた研修の充実とタフアサインメントによる実践育成を中心に展開する方針としています。
また、報酬以外が獲得の鍵となる人材に向けては、生産性向上・省力化を叶えるデジタル化やライフスタイルの変化に応じて多様な働き方が選択できる制度等の整備を中心に、長く活き活きと働ける職場づくりを行うこととしています。
また、グループ行動規範の遵守を意図した各種研修(ハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティ等)のほか、内部通報制度等を整えることで、全員が常に高い倫理観と社会的良識をもって行動し、社会から信頼される会社として評価され、持続的に発展できるよう取り組んでいます。
【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目的として常日頃から株主を含む投資家と積極的な対話を行い投資家等の意見や要望を経営に反映させることが、当社の成長のために重要と認識しております。
株主・投資家との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針を「コーポレートガバナンスに関する基本方針」第3条(株主の平等性の確保)、第24条(株主との対話)に定め、ホームページに開示しております。
コーポレートガバナンスに関する基本方針
第24条(株主との対話)
社長は、株主の意見が取締役会全体に確実に共有されるよう努める。
2 | 当社は、会社法、金融商品取引法その他関係法令に従った法定開示及び自主規制機関の要請する開示並びにIR等の任意開示により必要十分な情報の適時・適切な開示に努めるとともに、株主と建設的な対話を行うものとする。この際は、インサイダー情報を厳重に管理するとともに株主間において実質的な情報格差が生じないように十分留意するものとする。 |
3 | 当社は、株主との建設的な対話を促進するための体制整備に努める。 |
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