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(7089) フォースタートアップス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(7089)フォースタートアップス 2026年3月期上期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

志水 雄一郎 代表取締役社長

フォースタートアップス株式会社(7089)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表取締役社長

志水 雄一郎

所在地

東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー 31F

決算月

3月

HP

https://forstartups.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,024円

3,300,409株

6,680百万円

16.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

184.83円

11.0倍

651.82円

3.1倍

*株価11/7終値。発行済株式数は26/3期第2四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEとBPSは前期実績。
*EPSは今期の会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

2,348

488

492

382

110.68

0.00

2023年3月(実)

2,998

585

586

442

124.76

0.00

2024年3月(実)

3,416

423

428

385

107.92

0.00

2025年3月(実)

3,693

452

449

353

99.60

0.00

2026年3月(予)

4,850

850

770

610

184.83

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。2022年3月期より連結決算。
*過年度決算訂正後の数値。

 

 

フォースタートアップス株式会社の2026年3月期上期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期上期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.中期業績目標
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 26/3期上期決算は前年同期比33.0%の増収、同110.3%の営業増益となった。主力のヒューマンキャピタル事業が大きく成長し、業績を牽引した。営業戦略最適化により上期の売上高・受注高がともに過去最高を記録した。オープンイノベーション事業は収益性が向上した。一方、ベンチャーキャピタル事業で、営業投資有価証券評価損として売上原価に93百万円を計上。含み益が出ている投資案件もあるものの、会計ルールに則り損失が先行。受注面でもヒューマンキャピタル事業の受注高が過去最高を更新した。受注件数の増加基調は変わらずに単価上昇が寄与した。また、オープンイノベーション事業は計画通り進捗した。

     

  • 上期が終わり、当社は26/3期の会社計画の上方修正を行った。新しい26/3期の会社計画は前期比31.3%の増収、同87.7%の営業増益の予想。上期は、ヒューマンキャピタル事業において、求職者との接点拡大を重視した営業戦略への転換を図った結果、生産性指標として重視している一人当たり支援件数の改善が進み、支援件数が大幅に増加した。下期は、ヒューマンキャピタル事業の上期の受注状況及び業績を反映するも、単価上昇が大きく寄与している点を踏まえ当初受注計画の着実な達成を目指す。加えて、足もとの状況をさらに強固にするための人材採用を強化する。

     

  • ヒューマンキャピタル事業における主要KPIが堅調に推移している。求職者を集客する指標としての「新規求職者面談数」、企業の面接選考に進む人数指標の「面接設定UU数」、「1人当たり決定件数」からなるKPIの拡大が同社の業績拡大を牽引している。加えて、入社数のベースを維持しながら、単価も過去最高を更新し、高年収帯の割合が増加している。下期においても、上期のKPIと単価が継続するのか注目される。特に、0.5まで向上した「1人当たり決定件数」を更に高めることができるのか注目したい。

     

1.会社概要

日本の競争力を回復させ明るい未来をもたらすためにはスタートアップの成長が不可欠との想いから「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、必要な支援を行う成長産業支援インフラとなることを目指している。
「成長産業支援事業」として「ヒューマンキャピタル」「オープンイノベーション」の2つのサービスを展開。人材支援に加え資金支援も実施することでハイブリッドキャピタル化を図り、スタートアップ企業の早期成長を促している。「イノベーションに関わるプレイヤーとのネットワーク」「国内最大級の成長産業データベース『STARTUP DB』」などが競争優位性。

 

(1)上場までの沿革

1996年に大手人材紹介会社に入社後キャリアを重ね、新規事業の立ち上げなどトップクラスの実績を上げてきた志水雄一郎氏(現 フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長)に、自らの存在意義を改めて問い直す機会が訪れる。そこでこれまでの自身の人生と日本社会の変化を振り返ると同時に、これからの日本の将来を見通すと、日本経済およびこれまでの日本経済を支えてきた大企業が「失われた20年」と呼ばれる長期低迷に喘ぎ、今後も明るい未来を予想し難いと考える。
一方で、世界に目を向けるとベンチャー企業の躍進が国富の大きな部分を創出していることを知り、人材関連事業に携わっていた自分および業界は、「本来取り組むべき課題解決=人の力を活用することによる企業の成長」に向き合わず、自分や自社の成長、営業成績のみを目標としていたことを痛感。そこで、人材関連事業に携わるものとして、「人の可能性を信じ、人を最適に組み合わせることで日本企業および日本の競争力を復活させ、明るく最高の未来を次世代に繋いでいく」ことへの挑戦を決意する。

 

2013年4月、志水氏の想いに共感し協力を申し出た(株)ウィルグループ(東証1部、6089)は、子会社の(株)セントメディア(現(株)ウィルオブ・ワーク)の一事業部門としてネットジンザイバンク事業部を発足させ、志水氏はそこでスタートアップ企業に対する人材支援サービス提供を開始した。国内有数のベンチャーキャピタルであるグロービス・キャピタル・パートナーズの投資先であったスマートニュースのCXO(経営チーム)組閣を手掛けたことを始めとした数々の実績から、VCや起業家における認知度や評価は急上昇し、案件数も拡大していく。経営判断のスピードアップのため2016年9月に会社分割により株式会社ネットジンザイバンクを新設。2018年3月、フォースタートアップス株式会社に商号を変更した。企業規模を拡大し、スタートアップに対する支援スピードをさらに加速させるため、2020年3月、東京証券取引所マザーズ市場に上場。2022年4月、市場再編に伴い、東証グロース市場に移行した。なお、同社は2024年3月11日付で株式会社ウィルグループとの資本関係及び親子上場の解消を行った。

 

(2)理念

同社では、『「進化の中心」にいることを選択する挑戦者達』をスタートアップスと呼んでいる。
沿革にあるように、志水社長の「日本に明るい未来をもたらすためには多くのスタートアップスの成長が不可欠」との強い想いをベースに創業以来スタートアップスを支援してきたが、2021年7月、新ミッション「(共に)進化の中心へ」を掲げた。
新ミッションは、「進化の中心とは何か」を、時代に合わせて常に問い、その目標をアップデートし続けていく姿勢を表現している。また、「(共に)」とすることで、「支援者」という立ち位置にとどまらず、時には自らも時代を創る「主体者・創造主」となる覚悟を示しており、スタートアップスと(共に)進化の中心であり続けることが、日本の成長、次世代にとっての未来のアップデートにつながると考えている。

 

Mission

(共に)進化の中心へ

Vision

for Startups

Value

Startups First

全ては日本の成長のために。スタートアップスのために。

 

Be a Talent

スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たれ。

そして、自らの生き様を社会に発信せよ。

 

The Team

成長産業支援という業は、TEAMでしか成し得られない。仲間のプロデュースが、日本を、スタートアップスを熱くする。

 

(3)スタートアップ育成5か年計画

【5か年計画の目標と3つの柱】
2022年1月の岸田元総理の「スタートアップ創出元年」宣言を受けて、同年11月に、今後5年間の官民によるスタートアップ集中支援の全体像をとりまとめ、人材、資金、オープンイノベーションを計画の柱として位置付け、網羅的に課題を整理した。
5か年計画では、5年後の2027年にスタートアップへの投資額を10倍にすることを最大の目標としている。スタートアップへの投資額は8,000億円規模であったが、5年後に10兆円規模とすることが目標とされた。更に、将来においては、ユニコーンを
100社創出し、スタートアップを10万社創出することにより、日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指している。

 

*出所:経済産業省「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する」2025年2月より

 

【成長曲線に応じた支援策】
スタートアップの起業数増加、規模の拡大を大きな目標にして、ステージ毎の支援を展開する。

*出所:経済産業省「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する」2025年2月より

 

(4)事業内容

同社は、26年3月期より、ヒューマンキャピタル、オープンイノベーション、ベンチャーキャピタルの3事業へ報告セグメントを変更した。また、エンジニア人員及びエンジニア経費を従事する事業別に区分して表示している。

(同社資料より)

 

◎ヒューマンキャピタル事業
【サービス概要】
スタートアップ企業の中途採用支援/求職者の転職支援を行う「人材紹介サービス」が当社グループの柱。優秀人材の起業サポートや、企業の採用課題解決を支援するコンサルティングサービスを展開している。

人材紹介

人材紹介サービスは、企業が求める人材と、転職を検討している個人をマッチングし、主として企業の中途採用を仲介・支援。

起業支援

ベンチャーキャピタルや大学・研究機関と連携した起業家創出支援を展開。起業を希望する方または

起業に資する人材には、積極的に起業を提案し、伴走支援。

コンサルティング

コンサルティングサービスは、企業の採用課題に対して、戦略設計や選考プロセス改善などを通じて、

最適な採用活動を支援。

 

【ヒューマンキャピタル事業のKPIツリー】
KPIとしては、同社がコントロールできる数値目標(新規求職者面談/面接設定UU数)の最大化を目指す。

(同社資料より)

 

【ヒューマンキャピタル事業の強み】
定量・定性の両面においてスタートアップ企業の情報を取得した人材支援のプロ「ヒューマンキャピタリスト」がスタートアップ企業の経営課題解決のための人材採用を支援している。

(同社資料より)

 

◎オープンイノベーション事業
【サービスラインナップ】

Public Affairs

主に行政のスタートアップ関連事業を受託し、アクセラレーションプログラムやオープンイノベーションプログラムを運営・支援。

カンファレンス

国内最大級のスタートアップカンファレンス「GRIC」を主催。ピッチコンテストや豪華登壇者による

セッションが目玉。

STARTUP DB

スタートアップ企業26,000社以上の情報を事業会社向けに提供。事業提携・出資のソーシングや

情報分析に活用されている。

M&A支援

2025年8月に新規事業として公表。VC/CVC/事業会社とのネットワークを活かし、スタートアップの成長戦略としてのM&A(イグジット・ロールアップ)支援を行う。

 

【Public Affairsサービス概要】
主に、以下6つのサービスプログラムを行政・事業会社向けに展開している。

(同社資料より)

 

【Public Affairsの特徴】
内閣府が定めるスタートアップ・エコシステム拠点都市のグローバル拠点都市8拠点中7拠点で事業支援実績をもつ。

(同社資料より)

 

【STARTUP DB 概要】
26,000社以上のスタートアップ企業情報を掲載。大企業・事業会社におけるスタートアップ企業との連携や出資に活用されている。

 

(同社資料より)

 

◎ベンチャーキャピタル事業
【投資状況】
2025年9月末時点の合計投資先は10社(残り1社は公表予定)。

(同社資料より)

 

(5)グループの強み

難易度の高いスタートアップ向け経営人材支援で築いたブランド力と、スタートアップにかかわるコミュニティ形成により未上場企業の定量・定性情報を網羅する独自ネットワークを保有していることが同社グループの強みである。

(同社資料より)

 

2.2026年3月期上期決算概要

(1)業績概要

 

25/3期上期

構成比

26/3期上期

構成比

前年同期比

売上高

1,698

100.0%

2,258

100.0%

+33.0%

売上総利益

1,406

82.8%

1,754

77.7%

+24.7%

販管費

1,250

73.6%

1,425

63.1%

+14.0%

営業利益

156

9.2%

328

14.6%

+110.3%

経常利益

155

9.2%

330

14.7%

+112.8%

中間純利益

116

6.9%

283

12.6%

+143.3%

*単位:百万円

 

前年同期比33.0%増収、同110.3%営業増益
26/3期上期の売上高は前年同期比33.0%増の22億58百万円、営業利益は同110.3%増の3億28百万円となった。
ヒューマンキャピタル事業におけるより多くの求職者との接点拡大を重視した営業戦略への転換や、オープンイノベーション事業を中心とするクロスセル強化を推進したことが好業績に寄与した。主力のヒューマンキャピタル事業が大きく成長し、業績拡大を牽引した。営業戦略最適化により上期の売上高・受注高はともに過去最高を記録した。オープンイノベーション事業は収益性が向上した。一方、ベンチャーキャピタル事業で、営業投資有価証券評価損として売上原価に93百万円を計上。含み益が出ている投資案件もあるものの、会計ルールに則り損失が先行した。受注面でもヒューマンキャピタル事業の受注高が過去最高を更新した。人材紹介の受注は営業戦略最適化の効果が9月に大きく表れ、過去最高の受注高・件数を計上した。1人当たり決定件数(生産性)の向上を目指し、求職者面談数のKPI目標を大きく引き上げ、1人当たり決定件数の改善が進んだ。更に、件数増加による単価下落を見込んでいたものの、面談する求職者の年収帯は変わらず、単価が計画を上回り、受注高が計画を大きく上回った。また、オープンイノベーション事業は、当初計画通りの受注の進捗となった。

 

売上高の推移

 

 

26/3期第2四半期(7-9月)は、前年同期比で増収増益となった。また、前四半期(4-6月)比では増収減益となった。

 

 

ヒューマンキャピタル事業が牽引し、過去最高の四半期売上高を更新した。第2四半期(7-9月)において、ヒューマンキャピタル事業の売上高は前年同期比で37.3%増となり、オープンイノベーションの売上高は同36.7%増となった。

 

受注高の推移

 

ヒューマンキャピタル事業の受注高は過去最高となった。受注件数の増加基調が継続する中、単価上昇が寄与した。また、
オープンイノベーション事業は計画通りに進捗した。第2四半期(7-9月)において、ヒューマンキャピタル事業の受注高は前年同期比で43.3%増となり、オープンイノベーションの受注高は同7.7%増となった。

 

【営業戦略最適化における具体的な取り組み状況】
質から量への転換:更なる事業成長を目指すため、選考移行率(質)重視から面談数(量)重視へ切り替えた。同社がもつ、スタートアップ企業と求職者のマッチング精度の強みが最大限に生かされ、単価が維持向上したまま件数増加した。

 

(同社資料より)

 

社員数の状況

 

成長産業支援プラットフォーム構想に伴う営業戦略の最適化の反動もあり、退職者が増加し社員数が減少。ヒューマンキャピタル事業のみ減少しているように見えるものの、これは人事異動が増加したことの影響である。現時点では影響がなく、むしろ挑戦意欲の高い人材を中心とした組織へ再構成が進行し、生産性及び組織力の向上に繋がっている。一方で、同社は持続的な成長を目指すうえでは、社員数の増加は重要であると考えており、下期は採用活動のアクセルを踏み、足もとの勢いを加速させる優秀人材の確保を目指す。現時点で、当初計画値(期末日時点で260名程度)に変更はない。

 

営業利益の増減要因

 

売上原価は、ヒューマンキャピタル事業及びオープンイノベーション事業における売上原価の増加を示している。前上期にはオフィス移転に伴う一時費用として、新旧オフィスの二重家賃・旧オフィス固定資産の耐用年数圧縮に伴う減価償却費など、
一時的な販管費を1億1百万円計上した。また、投資先各社の成長戦略において、新たに策定された事業計画や足もとの実績が、投資時点の想定と大きく乖離していると判断される場合には、会計基準に則り評価損を計上しており、今回は売上原価に93百万円の評価損を計上した。

 

(2)セグメント別動向

 

25/3期上期

構成比/

営業利益率

26/3期上期

構成比/

営業利益率

前年同期比

ヒューマンキャピタル

1,559

91.9%

2,039

90.3%

+30.7%

オープンイノベーション

138

8.1%

218

9.7%

+58.5%

ベンチャーキャピタル

-

0.0%

-

0.0%

-

売上高

1,698

100.0%

2,258

100.0%

+33.0%

ヒューマンキャピタル

680

43.6%

895

43.9%

+31.6%

オープンイノベーション

-61

-

7

3.3%

-

ベンチャーキャピタル

-3

-

-97

-

-

調整額

-458

-

-476

-

-

営業利益

156

9.2%

328

14.6%

+110.3%

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。

 

【ヒューマンキャピタル事業】
前年同期比30.7%増収、同31.6%増益。
人材紹介サービスにおいては、「質・量ともにNo.1のスタートアップHRの実現」を目指し、社員一人あたり決定件数(生産性)を向上するべく、より多くの求職者との接点拡大を重視した営業戦略の最適化を進めた。その結果、成約件数の増加及び社員一人あたり決定件数の改善が進んだ。更に、高年収帯の求職者の割合が増加したことにより単価も高水準を維持したことから、人材紹介サービス売上高は前年同期比で大きく増加した。また、コンサルティングサービスは、社内体制の見直しにより提案力の向上及び営業効率の改善が進み、計画を上回るペースで順調に推移した。

 

 

*コンサルティングサービスは、役務提供の性質上、受注高=売上高としている

 

ヒューマンキャピタル事業では、売上高・受注高ともに過去最高となった。単月では、9月の人材紹介売上高・受注高・KPI(面接設定UU数)が最多となり、これまでの取組みの成果が表れている。

 

<人材紹介サービスの売上高構成>

*正社員入社のみ集計

 

入社数のベースを維持しながら、単価が過去最高を更新した。また、高年収帯の割合が増加した。

 

<ヒューマンキャピタル事業の主要KPIの推移(単体)>

(同社資料より)

 

新規求職者面談数の水準をキープしつつ、面接設定UU数が増加。1人当たり決定件数(単体)も約17%改善した。求職者集客は引き続き外部データベースでのハンティング型が中心。広告は顧客獲得単価をコントロールしながら実行した。

 

【オープンイノベーション事業】
前年同期比58.5%増収、同69百万円の増益。
オープンイノベーション事業は、官公庁・自治体におけるスタートアップ関連事業を受託して産学官の連携を支援する「Public Affairs」において案件獲得が順調に推移したことに加え、同社グループが運営するデータベース「STARTUP DB」の大手企業向け有料会員サービスにおける契約数増加や料金改定が売上高の増加に寄与した。

 

 

 

STARTUP DB 及びPublic Affairs は順調に推移した。また、カンファレンスも順調に受注を積み上げた。既に当初計画を上回る進捗を見せており、第3四半期・第4四半期ともに前年同期比で増収を見込んでいる。

 

【ベンチャーキャピタル事業】
子会社であるフォースタートアップスキャピタル合同会社、及び同社を通じて組成したフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が含まれている。ベンチャーキャピタル事業では、同社のヒューマンキャピタル事業の人材支援先に対して、成長産業支援をより強固にするためのスタートアップ投資を行うファンドを運営している。今上期は、フォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が保有する非上場株式について、超過収益力を反映した実質価額が取得価額に比べて著しく低下したため、営業投資有価証券評価損として93,153千円を売上原価に計上した。また、定常的に発生している管理費用を含めて、セグメント損失は97,120千円(前年同期は3,722千円の損失)となった

 

◎事業環境変化に伴う現時点のセグメント別業績影響
スタートアップを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しているものの、現時点ではポジティブな状況にあると同社では認識している。

 

東証グロース市場上場維持基準100億円

スタートアップ資金調達市場の停滞

ヒューマンキャピタル

事業拡大を優先する企業が増加し、優秀人材の採用需要が高まる。求人企業側の高年収提示や重要ポジションにおいて手数料率を引き上げるケースが増加している。

同社グループの顧客群においては採用需要が高い状態を維持。Post-IPO企業や資金が集中する業界に対する支援比率を高めていく方針とともに、コンサルティングサービスの業績進捗にも採用需要は表れていると認識。

オープンイノベーション

スタートアップ企業のM&Aイグジットの増加傾向が強まる。事業会社との提携やM&A支援を見据え準備を進める。

資金調達に依存しないスタートアップの成長手段として、事業会社等との「オープンイノベー

ション」の重要性が加速すると見込まれる。

ベンチャーキャピタル

上場時価総額を考慮し、上場タイミングの延期を検討する企業も存在。

投資先の資金調達は堅調に推移しており、

ディープテック(宇宙等)のトレンドをおさえた投資実行でリスクを低減。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー

財務状態

 

25年3月

25年9月

 

25年3月

25年9月

現預金

1,895

1,794

未払金

208

219

売上債権

484

541

短期有利子負債

114

114

営業投資有価証券

378

488

流動負債

788

1,112

流動資産

2,812

2,882

長期有利子負債

399

342

有形固定資産

348

328

固定負債

399

342

無形固定資産

純資産

2,479

2,829

投資その他

505

1,072

負債・純資産合計

3,666

4,284

固定資産

853

1,401

有利子負債合計

513

456

*単位:百万円

*単位:百万円

 

25年9月末の総資産は前期末比6億17万円増の42億84百万円。資産サイドでは、営業投資有価証券、投資有価証券、売掛金などが主な増加要因となり、現預金などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、未払法人税等、未払消費税等、未払費用、自己株式、非支配株主持分などが主な増加要因となり、長期借入金、利益剰余金などが主な減少要因となった。総資産の67%以上を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。25年9月末の自己資本比率は、56.4%と前期末から2.6ポイント低下したものの、高水準を維持している。
なお、ベンチャーキャピタル事業からの投資額が、営業投資有価証券として表示される。基本的に投資先が未上場会社の場合は取得原価、上場会社の場合は時価により評価される。また、ベンチャーキャピタルの出資持分のうち、外部出資者に帰属する部分が非支配株主持分として計上される。

 

キャッシュ・フロー

 

25/3期上期

26/3期上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

270

339

+68

+25.3%

投資キャッシュ・フロー

-14

-551

-536

-

フリー・キャッシュ・フロー

256

-212

-468

-

財務キャッシュ・フロー

489

98

-391

-79.9%

現金及び現金同等物の四半期末残高

2,401

1,794

-606

-25.3%

*単位:百万円

 

 

*単位:百万円

 

税金等調整前中間純利益の増加や法人税等の支払額の増加などにより営業CFのプラスが拡大した。一方、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより投資CFのマイナスが拡大し、フリーCFがマイナスに転じた。その他、非支配株主からの払込みによる収入が増加したものの、長期借入れによる収入が減少したことなどにより、財務CFのプラスも縮小した。
以上により、25/9末のキャッシュポジションは、前年同期比25.3%減少した。

 

(4)最近のトピックス

◎株式会社三井住友銀行との「スタートアップ M&A」に関する連携強化
同社は三井住友銀行との間で、スタートアップの出口戦略における連携を開始した。連携強化は、スタートアップ支援の在り方が「バリューアップ」から「出口戦略の多様化」へシフトする時代に変化していることへ対応したものである。

 

◎米国デカコーン企業であるDeel社とのパートナーシップ契約を発表
同社は、米国発デカコーン企業Deelと戦略的パートナーシップ契約を締結した。契約締結と連携強化は、今後のスタートアップの事業戦略には海外展開が必要となり、グローバル人材や海外進出の支援が重要となることへ対応したものである。

 

◎GOジョブ株式会社の第三者割当増資の引受及び 株式取得(持分法適用関連会社化)
同社は、GO株式会社、以下、「GO」)が会社分割(新設分割)により設立するGOジョブ株式会社(以下、「GOジョブ社」)が実施する第三者割当増資を引き受け、GOジョブ社を持分法適用関連会社とすることを決定した。GOは、タクシーアプリ『GO』のブランドを活かし、タクシー乗務員を起点としたドライバー職の人材採用プラットフォーム事業を展開しており、同事業はGOが展
開する様々な事業の中でも、高い成長を実現している事業の一つである。今般、同事業の成長スピードを一層加速し、より強固な事業基盤を構築することを目的に、GO ジョブ社として分社化が行われることとなり、同社グループは、資本参画を通じて
GO ジョブ社へ人材事業に関する知見を還元し、その成長を支援する。

 

◎ストライクとスタートアップのM&A支援を開始
同社は、株式会社ストライクと、スタートアップ向けM&A支援事業を開始した。同社は、スタートアップの成⾧を支援するヒューマンキャピタル事業および、オープンイノベーションを推進するデータベース「STARTUP DB」の運営を通じて、多数のスタートアップ企業・起業家をはじめとしたスタートアップ・エコシステムでのネットワークを構築してきた。ストライクは、中堅・中小企業を中心としたM&A仲介のリーディングカンパニーの一角として、確かな実績とノウハウを有している。同社は本連携を通じて、スタートアップ特有のダイナミズムを理解した上で、出口戦略を視野に入れた成⾧戦略の初期段階からの伴走支援を可能とする、新たな支援体制を構築する。

 

 

3.2026年3月期業績予想

(1)連結業績

 

25/3期

構成比

26/3期

構成比

前期比

売上高

3,693

100.0%

4,850

100.0%

+31.3%

営業利益

452

12.3%

850

17.5%

+87.7%

経常利益

449

12.2%

770

15.9%

+71.4%

親会社株主に帰属

する当期純利益

353

9.6%

610

12.6%

+72.4%

*単位:百万円

 

前期比31.3%の増収、同87.7%の営業増益
上期が終わり、当社は26/3期の会社計画の上方修正を行った。新しい26/3期の会社計画は、売上高が前期比31.3%増の48億50百万円、営業利益が同87.7%増の8億50百万円の予想。ヒューマンキャピタル事業の上期の受注状況及び業績を反映するも、単価上昇が大きく寄与している点を踏まえ、下期は当初受注計画の着実な達成を目指す。加えて、足もとの状況をさらに強固にするための人材採用を強化する。
人材紹介の受注は、単価上昇が寄与した上期の状況は織り込まず、着実に従来計画の達成を目指す。受注(内定承諾)から売上(入社)への転換スピードは、上期実績において過去3期平均値と比較して少し遅くなっている。下期修正計画では上期実績を適用した売上計画とする。売上原価は、会計上の見積もりとしてのVC事業の評価損はすべて計上済みであり、当期の追加計上はない見込みである。販管費は、採用強化と既存社員の昇給率引き上げによる人件費・採用関連費用の増加を見込む。加えて、顧客獲得コストをコントロールし広告宣伝費を投下する方針を継続する。その他、営業外損益では、持分法適用関連会社化したGOジョブ株式会社の損益は第3四半期以降に営業外損益にて取り込まれる。当面は調達資金をマーケティング・人材採用に投下するJカーブ型の利益成長を目指しており、当期の同社業績には営業外費用が発生する見込みである。

 

 

修正予想

従来予想

従来予想比

前期実績

対修正予想前期比

売上高

4,850

4,300

+12.8%

3,693

+31.3%

営業利益

850

650

+30.8%

452

+87.7%

経常利益

770

640

+20.3%

449

+71.4%

当期純利益

610

500

+22.0%

353

+72.4%

*単位:百万円

 

同社は、上期業績及び人材紹介受注高が計画を上回る進捗であることを踏まえ、通期業績予想を上方修正した。
下期は更なる生産性向上を目指しつつ、来期以降の業績牽引を担う人材採用を強化する方針である。

 

 

 

(2)26/3期人員計画

2026年3月末時点で260名程度に増員する計画で採用活動を進めるものの、状況に応じて柔軟に変化させる。また、期中にヒューマンキャピタル事業の生産性向上に目処がついた場合には、採用による人材投資を加速させる方針である。子会社シングレスの人材採用を含むヒューマンキャピタル事業の採用が増員の中心であり、25年4月は新卒が17名入社した(うち1名がエンジニア採用)。

 

(3)業績予想に対する進捗率

 

26/3期 上期実績

26/3期 会社計画

進捗率

売上高

2,258

4,850

46.6%

営業利益

328

850

38.7%

経常利益

330

770

43.0%

当期純利益

283

610

46.5%

*単位:百万円

 

26/3期上期の業績は、上方修正した通期の会社計画に対し、売上高及び各段階利益で50%を下回っているものの、上期はベンチャーキャピタル事業で、営業投資有価証券評価損として売上原価に93百万円を計上したことが影響したものであり、下期は更なる収益性の向上が見込まれる。加えて、オープンイノベーション事業は、サービスごとに収益認識や売上計上のタイミングが異なり、第3四半期にカンファレンスや第4四半期にPublic Affairsなどの売上が集中する傾向がある。通期の業績達成に向け、妥当な進捗と言えよう。

 

4.中期経営方針と進捗状況

◎当社を取り巻く事業環境
スタートアップ政策の進捗停滞や東証グロース市場改革は想定通りであり、同社はこの市況変化を前提に新規事業検討を進めてきた。今後は大型IPO化を狙う有力企業の成長戦略においては人材とM&A投資がより重視され、イグジット手段としてもM&Aが増加すると同社は見込んでいる。

 

当社が考える今後の業界見通し

同社支援領域との関係性

◆政策支援やVC投資は領域が厳選される

(宇宙・AI・エネルギーなど)

◆上場までの期間を延ばし、成熟したスタートアップのみが上場

<既存支援領域の成長と拡充>

◆スタートアップ向け人材紹介は、未だシェア拡大の余地が

大きい

◆トレンドをつかみ柔軟に支援領域を変化させながら継続成長を目指す

◆IPO後の積極的な成長投資の必要性

◆Post-IPO 企業への人材支援強化

◆成長戦略にてM&Aや海外展開が必須

◆イグジットの志向が、純粋なIPOからM&Aやスイング

バイIPOに変化する

◆スタートアップ出口戦略の支援

◆オープンイノベーション支援強化

◆M&A人材、ファイナンス人材の支援

 

◎成長産業支援プラットフォーム
【成長産業プラットフォーム構想】
人を起点に事業・社会・未来を創り続け、挑戦を支えるプラットフォームへの進化を目指す。

(同社資料より)

 

【成長産業プラットフォーム実現に向けた取り組み】
同社は、「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」の実現を中核とし、「成長企業支援プラットフォーム」への進化を目指す方針
である。

1.質・量ともにNo.1の

スタートアップHR

2.スタートアップ支援

メニューの拡大

3.M&Aや共創事業創出

による規模拡大

生産性の向上による支援件数増加

◆マーケティング強化による認知拡大

◆Post-IPO 企業への人材支援強化

◆子会社設立/M&Aによる拡張

◆出口戦略支援の展開

◆大企業顧客拡大とオープンイノベー

  ション支援の強化

◆各サービスのクロスセル強化

◆既存事業の成長とシナジーの見込

  めるM&Aの推進

◆国内外の有力スタートアップやエコ

システムビルダーとの共創事業創出

 

【成長産業プラットフォーム実現に向けた取り組みの状況】

1.質・量ともにNo.1の

スタートアップHR

2.スタートアップ支援

メニューの拡大

3.M&Aや共創事業創出

による規模拡大

進捗

進捗

進捗

支援件数については改善傾向も、

生産性改善については更なる成長

余地がある。

◆AIを活用した業務フロー構築に向け

子会社「アリカタ株式会社」を設立。

◆タクシー内新番組「StartupsPrime」が

  放送開始。当社ブランディングに

寄与。

◆ストライク社と共同でM&A支援事業

を開始。

◆Dealroom社と提携し、STARTUP DB

  に海外データを搭載。

 

◆新設会社GOジョブ株式会社への

出資及び持分法適用関連会社化を

決定(第1四半期と変更なし)。

 

今後の取り組み

今後の取り組み

今後の取り組み

◆AI活用

◆M&Aによる事業拡張

◆既存M&A支援フローでの案件創出

◆自社完結M&A支援フローの構築

◆クロスセル案件の創出

◆引き続き、M&Aや共創事業の可能

性を模索

 

 

【事業提携/共創事業の取り組み】

三井住友銀行とスタートアップの出口戦略多様化に向けた連携

本連携においては、M&A活用による出口手段の多様化に着目し、スタートアップを対象とするM&Aマーケット活性化の

検討を通じ、日本経済の活性化を後押しすることを目指す。

Deelと戦略的パートナシップ契約を締結

Deelが提供するEOR(Employer of Record)の仕組みを活用しコストや時間を最小限に抑えたスピーディーな市場参入を

支援することで、グローバル企業の創出を支援。

GOジョブ株式会社へ出資、持分法適用関連会社化

ノンデスクワーカー領域の人材支援を含めた「成長産業支援 プラットフォーム」への進化・価値創造を推進。従来以上に

広範なモビリティ業界における人材支援を推進していく。

ストライクとスタートアップM&A支援を開始

スタートアップの成長戦略の一つとしてのM&Aを、スタートアップ業界のネットワークを保有する同社と、M&A仲介実績のあるストライク社で連携し支援。

 

【26/3期上期の取り組み】

AI人材/キャリアに特化した人材支援子会社 アリカタ株式会社を設立

人材紹介ビジネスにおける生成AIを活用した業務フロー構築を目的に、子会社を設立「社名:アリカタ株式会社」。

代表には同社新卒1号の山下太地氏を抜擢し、成長産業でも必要不可欠となる生成AIを活用する人材に特化した人材

紹介を掲げる。

タクシーメディアTOKYO PRIME内にて新番組「Startups Prime」放映開始

株式会社IRISが運営するタクシーメディア「TOKYO PRIME」にて、同社プロデュース番組「Startups Prime」を放送開始。

MCにアンミカ氏を迎え、起業家や挑戦者の魅力に迫る挑戦者応援番組。

初回ゲストは、株式会社へラルボニー代表取締役Co-CEO 松田崇弥氏。

グローバルスタートアップ企業情報DB 「Dealroom」と「STARTUP DB」提携

グローバルのスタートアップ企業情報を提供するデータベース「Dealroom.co B.V.」とSTARTUP DB がパートナーシップ

提携。『STARTUP DB ENTERPRISE』契約企業を対象に、オプション販売を予定。最大約100万社の米国スタートアップ及び

投資家に関するデータを翻訳のうえ掲載。

 

◎成長産業支援プラットフォームの実現に向けたマイルストーン
【26/3期】 自社の成長基盤確立と新規事業創出

既存事業

新規事業/M&A

• 生産性向上/KPI管理徹底

• マーケティング強化/生成AI活用

• 各サービスのクロスセル強化

• 1号ファンドの組入完了

• 複数案件の事業を開始 (新規事業/事業提携/M&A)

• 国内外の有力スタートアップ等との共創事業案件の創出を目指す

 

【27/3期(創業10年)】 成長産業支援ブランドを確立

既存事業

新規事業/M&A

• 人材育成体制を整え、採用を強化→成長曲線を維持・加速

• 各サービスのクロスセル強化継続

• 有力スタートアップへの直接投資

• 一般認知度の向上

• 立ち上げた事業の推進

• 引き続き、案件創出 (新規事業/事業提携/M&A)

 

【28/3期(政府5カ年計画最終年度)】 成長産業支援プラットフォーム化

既存事業

新規事業/M&A

• スタートアップHR No.1の地位

• 取引先比率のPost-IPO 比率の拡大

• ベンチャーキャピタルのイグジット 資金を活用した再投資

• 立ち上げた事業の推進

• 引き続き、案件創出 (新規事業/事業提携/M&A)

 

◎ヒューマンキャピタル事業の方針
同社は、26/3期第1四半期より、スタートアップHRを核として領域を拡大する中期経営方針に基づき、タレントエージェンシーからヒューマンキャピタル名称変更しへ、「タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業」を「ヒューマンキャピタル事業」と「オープンイノベーション事業」へ区分変更する。
ヒューマンキャピタル事業においては、「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」を目指し、支援件数増加のためのマーケティング強化・認知度向上を目指す。また、採用・育成の体制構築に加え、生成AIを活用した生産性改善に取り組む。

 

【マーケティング強化・認知度向上】
◆WEB広告/コンテンツ強化
・求職者集客を目的として、25/3期からテスト運用を行っていたが、26/3期より本格化する。
◆外部データベース増加
・効率的な集客のため既存の外部DB集客を強化するとともに、新規のDBサービスを導入する。
◆CRM活用
・過去面談者への定期的なアプローチを実施する。

 

【生成AIを活用した生産性改善】
◆インプット重視からの脱却
・インプットに時間を費やす傾向が強かったが、アウトプットに重きを置くため、市場リサーチや業界情報のインプットを生成
AIで代用。
・マネージャーの育成実務における負担の軽減。メンバーへのレクチャー等、属人性の高かった部分を標準化することで、
育成のムラを排除し効率を高める。※スカウトやトークスクリプト等のTipsを蓄積し、質を向上

 

【人材採用・育成】
◆採用
• まずは生産性の改善に努めつつも継続的に増員する計画。
• 生産性の改善次第では、再度採用のアクセルを踏む。
• 新卒採用も継続し、中途採用は配属チーム別の採用体制へ移行する。
◆育成
・過保護すぎた育成体制を脱却し経営戦略に基づいた育成体制へ転換する。

 

既存顧客がPost-IPOに移行するフェーズであることも関係しているが、Post-IPOに移行したスタートアップへの支援強化を狙う 年収帯についても、強みのハイレイヤー領域は堅持しつつ、これまで以上に年収帯ターゲットを広げていく。
今後、東証グロース市場改革により、出口戦略の多様化や有力企業への厳選投資が見込まれる。これに伴い、既存顧客のIPOに備え、上場後の成長投資の重要性が増すことから、Post-IPO支援の体制を強化する。これまで、ハイレイヤーに焦点を当てていたが、メンバーレイヤーの人材紹介にも力を入れるとともに、既存サービスである中途人材紹介以外の領域(副業、顧問紹介、海外人材、新卒採用など)への拡張性を検討する。

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

◎オープンイノベーションの方針
クロスセルを強化し、国内外の大企業へオープンイノベーションサービスをパッケージ販売できる体制をつくる。そのうえで、
三井住友銀行と進める「スタートアップの出口戦略に関する連携」を強力に推進し、事業規模を拡大する。

 

【Public Affairs】 主要都市連携&企業案件創出
◆地方主要都市のスタートアップ支援案件に留まらず、事業会社案件の獲得を目指す。

 

【STARTUP DB】 エンタープライズ顧客拡大
◆スタートアップとのイノベーション創出・マッチングを目的としたニーズを獲得。様々なマッチングのハブとなるサービス。

 

【カンファレンス】 国内No.1のコミュニティ形成
◆日本のスタートアップと、海外の架け橋となるグローバルコミュニティ&カンファレンスへ。

 

      【Public Affairs】                   【STARTUP DB】                   【カンファレンス】

(同社資料より)

 

◎新規事業・M&A
原則として、短期的な売上・利益よりも中長期の利益貢献を重視し、既存事業のアセットやシナジーを考慮して進める。

 

事業の定義は、連結売上高の拡大に寄与するもの。
【新規事業】 
◆中期方針を踏まえた事業内容であること。
◆既存事業のアセットが活かせること。
◆中長期の利益貢献が期待できること。

 

【M&A】 
◆中期方針を踏まえた事業内容であること。
◆既存事業との相乗効果を生み出せること。
◆短期的な売上より、数年後の営業利益貢献を重視。
人材、起業、出口戦略、海外、共創事業などが対象となる。

 

投資の定義は、連結売上高の拡大に寄与しないもので、持分法適用、出資など。
◆同社が投資する「意義」が重要。
◆投資採算/回収期間を踏まえ、規律ある投資を実行する。

 

◎業績目標
今回の中期経営計画において、同社は既存事業の売上高において、成長率約15%~20%となるレンジ目標を設定した。また、従来よりも利益成長を重視した計画へ変更した。その他、増益を基本としながらマーケティング等へ積極投資を予定することに加え、新規事業とM&Aによる非線形の成長を狙う方針である。

 

 

 

今中計において不確実性の高い、ベンチャーキャピタルのイグジットによる売上は含まれていない。また、既存事業の営業利益率は15%~20%を目標としている。

 

◎キャピタルアロケーション
営業CFの増加により得られたキャッシュをアロケーション方針に基づき投資を行い、企業価値の持続的な向上を目指す。
M&A を行う場合は、取得した自己株式活用も視野に入れる。

ソース

営業CF

生産性改善を含めた、既存事業の成長は営業CFの増加に寄与する。

有利子負債

各金融機関とのコミュニケーションを踏まえると、借入余力は充分にある。

エクイティ

M&Aにおいては、取得した自己株式の活用を検討するもののエクイティによる資金調達は最終手段と

認識。

※ソースの優先順位は、営業CF→有利子負債→エクイティの順。

 

アロケーション

既存事業投資

増益を基本としながらも、企業価値向上に資する投資機会と判断した場合は、投資を優先。

M&A・新規事業

中期経営方針に基づき、同社グループの成長に資する投資機会を優先的に実行。M&Aは取得した自己株式活用を視野に入れる。

株主還元

成長段階である当社は成長投資重視。この方針に基づき、明白な余剰資金と判断される場合には、財務状況を勘案しながら株主還元を実行。

※アロケーションの優先順位は、既存事業投資→M&A・新規事業→株主還元の順。

5.今後の注目点

同社の26/3期上期決算は、前年同期比33.0%の増収、同110.3%の営業増益の素晴らしい決算となった。上期においてベンチャーキャピタル事業で、営業投資有価証券評価損として売上原価に93百万円を計上したにもかかわらず、営業利益が2倍以上に拡大したことは驚きであった。これは、人材紹介サービスにおいて、「質・量ともにNo.1のスタートアップHRの実現」を目指し、社員一人あたり決定件数(生産性)を向上するべく、より多くの求職者との接点拡大を重視した営業戦略の最適化が奏功し、成約件数の増加及び社員一人あたり決定件数の改善が進展したものである。ヒューマンキャピタル事業では、9月単月の売上高・受注高・KPI(面接設定UU数)のすべてが過去最高となった。KPIである求職者面談数の増加及びその後の面接設定UU数の増加を推進する中で、数多くの求職者と面談をするアウトプット数が増えることにより、新卒を含む新入社員の育成・立ち上がりの早期化が進展する好循環となっている。下期についてもヒューマンキャピタル事業におけるこれら主要KPIの動向が最も注目される。求職者を集客する指標としての「新規求職者面談数」、企業の面接選考に進む人数指標の「面接設定UU数」、更に、「1人当たり決定件数」をどこまで拡大できるのか期待を込めて注目したい。加えて、上期にヒューマンキャピタル事業では計画を上回る単価となった。今期は生産性向上の方針に伴い、求職者面談数の増加及びその後の面接設定UU数の増加を推進している反動により、面談する求職者の平均年収帯が下がることを想定していたものの、当上期は前期比で面談数が倍近くとなったものの、当上期の年収水準が前期とほぼ同水準となった。下期については、単価上昇が寄与した上期の状況は織り込まず保守的な単価を想定している。好調な単価が継続するのか、下期の単価の状況にも注目したい。
また、今期からスタートした中期経営計画では、「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」の実現を中核とし、「成長産業支援プラットフォーム」への進化を積極的に推進している。「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」では、AIを活用した業務フロー構築に向け子会社「アリカタ株式会社」を設立、タクシー内新番組「StartupsPrime」が放送開始するなどの進捗があり、今後はAI活用
やM&Aによる事業拡張を計画している。「スタートアップ支援メニューの拡大」では、ストライク社と共同でM&A支援事業を開始、
Dealroom社と提携し、STARTUP DB に海外データを搭載するなどの進捗があり、今後は既存M&A支援フローでの案件創出、• 自社完結M&A支援フローの構築、クロスセル案件の創出などを計画している。「M&Aや共創事業創出による規模拡大」では、新設会社GOジョブ株式会社への出資及び持分法適用関連会社化を決定するなどの進捗があり、今後も引き続き、M&Aや共創事業の可能性を模索する。中期経営計画の最重要項目である「質・量ともにNo.1のスタートアップHR」の実現に向けた進捗状況と今後の取り組みにも注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

9名、うち社外6名

監査等委員

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年6月23日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、「for Startups」のビジョンのもと、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応え、社会に対して価値を提供し続けることで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを目指しています。そのために、経営の透明性・健全性・効率性を高めるとともに、迅速かつ柔軟に経営環境の変化へ対応可能な体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化と充実を重要な経営課題の一つとして位置付けております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

 

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