ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ 2026年6月期第1四半期決算
![]() 川上 晃司 社長 | 株式会社インテリジェント ウェイブ(4847) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 情報・通信 |
代表者 | 川上 晃司 |
所在地 | 東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー |
決算月 | 6月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
961円 | 26,340,000株 | 25,312百万円 | 14.4% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
37.00円 | 3.9% | 64.31円 | 14.9倍 | 361.91円 | 2.7倍 |
*株価は11/17終値。各数値は25年6月期決算短信より。発行済株式数は自己株式を含む。
非連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2022年6月(実) | 11,493 | 1,519 | 1,556 | 1,055 | 40.16 | 17.00 |
2023年6月(実) | 13,374 | 1,556 | 1,603 | 1,165 | 44.34 | 20.00 |
2024年6月(実) | 14,518 | 2,030 | 2,072 | 1,420 | 54.19 | 40.00 |
2025年6月(実) | 15,596 | 1,848 | 1,890 | 1,349 | 51.55 | 35.00 |
2026年6月(予) | 17,400 | 2,400 | 2,440 | 1,690 | 64.31 | 37.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円。
(株)インテリジェント ウェイブの2026年6月期第1四半期決算概要などについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2026年6月期第1四半期決算概要
3.2026年6月期業績予想
4.中期経営計画(25/6期-27/6期)
5. 今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26/6期1Qの売上高は前年同期比5.7%増の37億46百万円。主力の決済領域は不正検知分野やクラウドサービスを中心に引き続き堅調に推移した。セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等により増収。製品カテゴリ別ではクラウドサービスや自社サービスの金融機関向けインフラ運用サービスが大きく伸びた。ストック・フロー別ではフローが減収となったもののストック売上が大きく伸びている。営業利益は同32.4%減の2億5百万円。利益面では、決済領域のクラウドサービスを提供する一部顧客への品質強化対応が発生した影響を受けたことなどで売上総利益率は前年同期27.6%から24.9%に低下した。販管費は7.8%増加し、営業利益率が前年同期8.6%から5.5%となった。四半期ベースでは、1Q(7-9月)が低い水準からのスタートとなるのは例年通り。ただし、ここ3年でも営業利益は低い水準となっている。
- 通期予想に修正はなく、26/6期は売上高が前期比11.6%増の174億円、営業利益は同29.8%増の24億円の予想。1Qの業績に影響を及ぼした品質問題への対応については、2Qの収束を目指して全力で取り組む。下期からは製販一体の活動で挽回していく。現在、同社は2つの課題を抱えていると認識。それらの課題に対して決済領域、セキュリティ領域でそれぞれに取り組んでいく。これらの取り組みを中期的な構造改革とともに進め、その成果を26/6期に少しでも多く得られるよう、スピードを上げて取り組んでいく。配当も修正なく、前期から2.00円/株増配の37.00円/株(うち上期末17.00円/株)を予定。予想配当性向は57.5%。
- 1Qは25/6期から続く一部案件で品質強化への対応があり、減益となった。しかしこれらの影響については期初から予想されていた。現在2Qに収束させるべく取り組んでいる。こうした中にあっても、ここ数年で大幅に増加した受注残高は引き続き高水準を維持している。また、これまでに大きく伸ばしてきたストック案件が今1Qに売上に反映されてきており、事業基盤が着実に拡大していることが分かる。今後は着実に2桁成長を持続させるだろう。また、引き続き中期経営計画で掲げる目標数値にも上乗せ余地があると見ている。株価は今年に入り小動きで推移している。受注の状況や中期経営計画で目指す利益水準を考慮すると見直し余地があるという見方に変わりはない。
1.会社概要
クレジットカード決済等のオンラインシステムに利用される金融フロントシステムで国内シェアNo.1のソフトウェア開発会社。
金融フロントシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行う。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。
地銀やノンバンク等向けに金融フロントシステムやカード不正利用検知システムのクラウドサービスも伸びている。営業面では、筆頭株主として議決権の50.73%を保有する大日本印刷(DNP、コード7912)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。
【経営理念】
ミッション Mission | IT基盤の提供により社会の仕組みを支える。 |
![]() (同社HPより) |
ビジョン Vision | 人々の生活に価値をもたらし、 新たな信頼性を創造する。 | |
バリュー Value | IWI社員は、個人として「探究と研鑽」を通じて成長し、チームとして「対話と創造」により創発し、事業を「大局的な視点」で推進し、社会において「誠実さと価値を追求」していきます。 |
【事業内容】
金融業界を中心とした全業種の企業を主要顧客として、決済を中心に、様々なデータの受渡しに必要なシステム(ITインフラ)を開発するほか、保守、クラウドサービスなどのサービス提供、製品およびハードウェアの販売、データの利活用に係る情報セキュリティ対策、サイバーセキュリティ対策の製品の開発・販売などを手掛けている。
システム開発は、クレジットカードの決済処理を完遂するために必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつFEP(Front End Processing)システムの開発業務などが中心。
◎事業変遷
・1980年代に、国内における24時間365日オンラインカード決済の実現に貢献
決済ネットワーク接続・認証システム「NET+1」を開発し、トップシェアを獲得
・高速・大容量のデータ通信・分析技術をコア技術に、自社プロダクトを開発
・2003年に、内部情報漏洩対策製品「CWAT」を開発し、情報セキュリティ事業に参入
・2019年からは、新たな事業領域を拡大させている

(同社資料より)
◎キャッシュレス決済の仕組み
店舗や、ECサイト等において、キャッシュレス決済を利用すると、いくつかの事業会社のシステムを経由し、決済が完了する。

(同社資料より)
◎インテリジェントウェイブの決済事業領域
クレジットカード会社システムの対外接続部分において、シェアが高い。
今後は、アクワイアリング分野や、システム運用サービス等を中心に領域拡大を進めていく方針。

(同社資料より)
◎決済ソリューション
FEP、不正検知、アクワリング分野は、自社プロダクト・サービスをベースにシステムを提供している。

※クレジットカード会社主要25社における導入社数(同社調べ)
※クラウドサービスの提供も含む
(同社資料より)
オンプレ開発
■ 導入に必要なシステム一式を顧客が保有、一定期間ごとにシステム更改
■ 顧客ニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能
■ 大手カード会社の高いシェアを保持
クラウドサービス
■ 同社が保有するシステムを顧客に提供、月額料金制(複数年契約)
■ 初期投資費用が抑えられ、中規模カード会社・新規参入企業などが利用
◎セキュリティソリューション
「組織内部からの情報漏洩」と「組織外部からのサイバー攻撃」の双方に、自社製品「CWAT」と海外のサイバーセキュリティ製品を販売する。販売については親会社DNPグループと協業している。
分野 | 機能 | 製品名 | |
内部情報漏えい対策ソリューション | クライアントPC端末からの情報漏えいを監視。高精度なログ取得により利用状況を「見える化」 | ■内部情報漏えい対策ソフトウェア |
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エンドポイント セキュリティ | ランサムウェアなどのマルウェア攻撃からクライアント端末を保護 | ■統合型セキュリティプラットフォーム |
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■エンドポイントセキュリティ |
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セキュリティ インテリジェンス | ダークウェブなどから、組織のリスクとなりうる脅威情報を収集 | ■インテリジェンスプラットフォーム |
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暗号鍵管(HSM) | 車載ECU向け暗号鍵管理システムを自社開発し、DNPと協業販売 | ■鍵管理アプライアンス製品 |
|
ID管理 | SSO(シングルサインオン)や、システムの権限管理、多要素認証などID管理に必要な機能を網羅的に提供 | ■ID管理トータル ソリューション |
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2.2026年6月期第1四半期決算概要
2-1業績概要(非連結)
| 25/6期 1Q | 構成比 | 26/6期 1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 3,542 | 100.0% | 3,746 | 100.0% | +5.7% |
売上総利益 | 979 | 27.6% | 933 | 24.9% | -4.7% |
販管費 | 675 | 19.1% | 727 | 19.4% | +7.8% |
営業利益 | 304 | 8.6% | 205 | 5.5% | -32.4% |
経常利益 | 304 | 8.6% | 204 | 5.5% | -32.7% |
四半期純利益 | 208 | 5.9% | 139 | 3.7% | -32.9% |
* 単位:百万円

(同社資料より)
増収減益
売上高は前年同期比5.7%増の37億46百万円。主力の決済領域は不正検知分野やクラウドサービスを中心に引き続き堅調に推移した。セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等により増収。製品カテゴリ別ではクラウドサービスや自社サービスの金融機関向けインフラ運用サービスが大きく伸びた。ストック・フロー別ではフローが減収となったもののストック売上が大きく伸びている。
営業利益は同32.4%減の2億5百万円。利益面では、決済領域のクラウドサービスを提供する一部顧客への品質強化対応が発生した影響を受けて決済領域全体の粗利率が低下した。セキュリティ領域でも製品構成の影響により粗利率は低下した。売上総利益率は前年同期27.6%から24.9%に低下した。販管費は人件費の増加などにより7.8%増加し、営業利益率は前年同期8.6%から5.5%となった。
四半期ベースでは、1Q(7-9月)が低い水準からのスタートとなるのは例年通り。ただし、ここ3年でも増収にはなったものの、営業利益は低い水準となっている。

◎事業領域別売上高
| 25/6期 1Q | 構成比 | 26/6期 1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 3,542 | 100.0% | 3,746 | 100.0% | +5.7% |
決済 | 2,930 | 82.7% | 3,068 | 81.9% | +4.7% |
FEP | 1,319 | 37.2% | 1,160 | 31.0% | -12.1% |
不正検知 | 502 | 14.2% | 769 | 20.5% | +53.1% |
アクワイアリング | 748 | 21.1% | 612 | 16.3% | -18.1% |
その他 | 359 | 10.1% | 526 | 14.0% | +46.3% |
セキュリティ | 407 | 11.5% | 499 | 13.3% | +22.8% |
データ通信・分析基盤 | 204 | 5.8% | 177 | 4.7% | -13.2% |
参考:クラウドサービス | 718 | 20.3% | 1,014 | 27.1% | +41.2% |
* 単位:百万円
決済領域では、不正検知分野においてクラウドサービスを中心に増加した。その他分野については、金融機関向けインフラ運用サービスが増加した。セキュリティ領域は、大手顧客への製品導入等により増収。
◎製品カテゴリ別売上高
| 25/6期 1Q | 構成比 | 26/6期 1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 3,542 | 100.0% | 3,746 | 100.0% | +5.7% |
システム開発 | 1,510 | 42.6% | 1,275 | 34.0% | -15.5% |
保守 | 398 | 11.2% | 414 | 11.1% | +4.0% |
自社製品・サービス | 74 | 2.1% | 177 | 4.7% | +139.9% |
他社製品(ハードウェア等) | 434 | 12.3% | 364 | 9.7% | -16.2% |
クラウドサービス | 718 | 20.3% | 1,014 | 27.1% | +41.2% |
セキュリティ | 407 | 11.5% | 499 | 13.3% | +22.8% |
* 単位:百万円
システム開発は、大型案件の開発フェーズの移行により減収。自社製品・サービスは新規インフラ運用サービスの開始により増収。クラウドサービスは、ユーザー数増加や既存ユーザーの機能追加等により大幅増収。セキュリティは、大手顧客への製品導入等により増収。
2-2 事業領域別の取組
≪決済≫DNPと非対面決済の不正取引対策強化に向けた実証実験を実施
大日本印刷(DNP)と連携し、非対面決済における不正取引対策強化の取組みを進めている。DNPが提供する「3Dセキュア2.0 本人認証サービス」と同社が提供する「カード不正利用検知システム」に登録された不正情報の自動共有を目指し、両システムが保有する取引データの分析・照合を行う実証実験を実施した。その結果、86.4%の取引でマッチングに成功した。
クレジットカードの不正利用被害額は、24年に過去最高の555億円となり、経済産業省は「クレジット・セキュリティ対策ビジョン2025」において、異なるシステム間での情報共有が不正検知精度向上の鍵であると指摘している。今後は、実証実験結果に対するさらなる分析・検証を進めるとともに、情報共有による不正対策の効果を具体的に算出し、不正検知精度の一層の向上に取り組む。
≪データ通信・分析基盤≫NEDO懸賞金活用型プログラムで、量子コンピュータの開発環境を無償提供
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する、量子コンピューティング技術に関する懸賞金活用型プログラム「NEDO Challenge, Quantum Computing “Solve Social Issues!”」において、スクリーニング審査を通過した参加者向けに、量子コンピュータの開発環境を整備し、無償で提供する。この開発環境は、NEDOとともに、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、国立研究開発法人理化学研究所、同社、クオンティニュアム株式会社、IBM東芝デジタルソリューションズ、株式会社Fixstars Amplifyが協力して構築している。自ら計算環境を用意することが難しい参加者でも、高度な実験や検証を行えるよう支援し、量子技術の研究開発を一層加速させることを目的としている。
2-3 受注動向
| 25/6 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 26/6 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
受注残高 | 18,636 | 21,795 | 21,187 | 20,311 | 20,238 |
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うち、クラウド | 10,326 | 11,449 | 10,935 | 10,850 | 9,995 |
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受注高 | 5,594 | 7,156 | 3,382 | 3,189 | 3,673 |
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* 単位:百万円
受注高・・・前期にあったセキュリティ、クラウドサービスの複数年契約案件の影響により1Qは前年同期との比較で減少した。他社製品については、FEP更改に伴うハードウェアが増加した。
下期に向けて、カード会社のシステム更改需要や、決済領域の拡大に向けた提案活動を強化する方針。
製品カテゴリ別受注高

(同社資料より)
受注残高・・・前期比では減少したが、前年同期比では大きく伸びておりここ1年は200億円台で推移している。
製品カテゴリ別受注残高

(同社資料より)
2-4 財政状態
◎要約BS
| 25年6月 | 25年9月 | 増減 |
| 25年6月 | 25年9月 | 増減 |
流動資産 | 10,460 | 9,165 | -1,295 | 流動負債 | 8,417 | 7,345 | -1,071 |
現預金 | 6,431 | 5,134 | -1,297 | 買入債務 | 417 | 786 | +368 |
売上債権 | 1,685 | 1,713 | +28 | 前受金 | 5,734 | 5,283 | -450 |
固定資産 | 8,229 | 8,112 | -116 | 固定負債 | 797 | 809 | +11 |
有形固定資産 | 1,336 | 1,397 | +61 | 退職給付引当金 | 614 | 623 | +9 |
無形固定資産 | 4,154 | 3,963 | -191 | 負債合計 | 9,215 | 8,155 | -1,060 |
ソフトウェア | 3,843 | 3,862 | +18 | 純資産 | 9,475 | 9,122 | -352 |
投資その他の資産 | 2,739 | 2,752 | +12 | 利益剰余金 | 7,717 | 7,332 | -385 |
資産合計 | 18,690 | 17,278 | -1,412 | 負債・純資産合計 | 18,690 | 17,278 | -1,412 |
* 単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
現預金の減少等により、総資産は前期末比14億12百万円減少。
未払法人税等の減少等により、負債合計は同10億60百万円減少。
利益剰余金の減少等で純資産は同3億52百万円減少。
自己資本比率は前期末より2.1ポイント上昇し、52.8%となった。
3.2026年6月期業績予想
3-1 業績予想
| 25/6期 | 構成比 | 26/6期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 15,596 | 100.0% | 17,400 | 100.0% | +11.6% |
営業利益 | 1,848 | 11.9% | 2,400 | 13.8% | +29.8% |
経常利益 | 1,890 | 12.1% | 2,440 | 14.0% | +29.1% |
当期純利益 | 1,349 | 8.7% | 1,690 | 9.7% | +25.2% |
* 単位:百万円
26/6期は2桁増収増益を見込む
通期予想に修正はなく、26/6期は売上高が前期比11.6%増の174億円、営業利益は同29.8%増の24億円の予想。
1Qの業績に影響を与えた品質問題への対応については2Qの収束を目指して全力で取り組む。下期からは製販一体の活動で挽回していく。現在、同社が抱える課題として、近年の業容拡大に伴うリソースの逼迫、製品サービスラインナップの増加に伴うインフラや開発環境に関するコスト構造の課題、開発部門でのリソース最適配分の問題が挙げられる。もう一つの課題として、セキュリティ領域での内部情報漏えい対策ソリューションである自社製品「CWAT」の商品性と、その他製品やサービスが単品販売にとどまっているため、規模が停滞している点も挙げられる。
これらの課題に対して、
決済領域では、以下の取り組みを進めている。
●FEPシステム「NET+1」の新バージョン「NET+1v2」への集約など、ラインナップの見直しによるコスト構造改革
●生成AIの活用や標準化による生産性向上
●リスキリングを通じたリソース配分の最適化
●クラウドサービスにおける、インフラ関連コストの削減や、運用・保守におけるコスト構造改革
●品質保証部門の機能強化による品質向上
●事業構造改革として、FEPとアクワイアリング機能の掛け合わせにより、新たな価値を創出する提供機能の実現
セキュリティ領域については、DNPグループとの協業をさらに加速させ、顧客伴走型の役務提供を通じて収益機会を拡大し、活動の幅を広げていく考え。
このような取り組みを中期的な構造改革とともに進め、その成果を26/6期に少しでも多く得られるよう、スピードを上げて取り組んでいく。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
配当も修正なく、前期から2.00円/株増配の37.00円/株(うち第2四半期末17.00円/株)を予定。予想配当性向は57.5%。
3-2 事業領域別売上高予想
| 25/6期 | 26/6期(予) | 前期比 |
売上高 | 15,596 | 17,400 | +11.6% |
決済 | 12,755 | 14,100 | +10.5% |
セキュリティ | 2,022 | 2,250 | +11.2% |
データ通信・分析基盤 | 817 | 1,050 | +28.4% |
* 単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
3-3 製品カテゴリ別売上高予想
| 25/6期 | 26/6期(予) | 前期比 | ||||
| 上期 | 下期 | 通期 | 上期 | 下期 | 通期 | |
売上高 | 7,540 | 8,055 | 15,596 | 8,000 | 9,400 | 17,400 | +11.6% |
システム開発 | 3,479 | 3,359 | 6,838 | 2,670 | 3,760 | 6,430 | -6.0% |
保守 | 796 | 822 | 1,619 | 820 | 830 | 1,650 | +1.9% |
自社製品・サービス | 165 | 383 | 548 | 380 | 510 | 890 | +62.4% |
他社製品(ハードウェア等) | 647 | 440 | 1,087 | 900 | 820 | 1,720 | +58.2% |
クラウドサービス | 1,527 | 1,952 | 3,479 | 2,190 | 2,270 | 4,460 | +28.2% |
セキュリティ | 923 | 1,098 | 2,022 | 1,040 | 1,210 | 2,250 | +11.2% |
営業利益 | 857 | 991 | 1,848 | 950 | 1,450 | 2,400 | +29.8% |
* 単位:百万円
4.中期経営計画(25/6期-27/6期)
4-1 全社戦略
決済、セキュリティ、テクノロジー領域を中心とした、さまざまな分野で積極的に事業展開することで、人々の生活に価値をもたらし、新たな信頼性を創造していく。
「Transformation for the Future」
(1)決済領域は、独自のプロダクトや決済業界におけるポジションを活かし事業領域を拡大することで持続的な成長を図る
(2)セキュリティ領域を第二の柱へと成長させる
(3)コア技術を活用した、データ通信・分析基盤領域を、成長市場へ展開し、決済やセキュリティに続く、第三の柱を創出する
(4)DNPグループとの連携を進め、それぞれの顧客基盤を活用しながら 事業競争力を強化、グループ・シナジーを創出する
4-2 基本方針
2030年代の市場環境に向け、新たな信頼性を創造する製品・サービスを開発し続けていくため、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力していく考え。
![]() | 01事業の変革 ①既存事業と新規事業の価値最大化、保有ソリューションの価値最大化 ②決済領域から新領域への事業拡大 ③収益構造見直しによる収益性向上。プロダクト指向への回帰
02技術の変革 ①コア技術と最先端技術・DXとの掛け合わせによる優位性の確保、 価値の最大化、価値の創出 ②開発、保守、運用の合理化
03人財の変革 ①事業企画人財の育成、コンサル機能強化 ②R&D機能の強化 ③事業戦略に即した人財流動化 |
(同社資料より)
4-3 経営目標
この3年間は、多角化に向けた収益基盤の強化期間と位置づけ、持続的な成長と変革を実現し、2030年に向けた事業拡大を目指す。
初年度は、一部案件において品質強化対応や自社製品の一括償却等により利益が未達となった。26/6期以降は、中計施策に基づき、最終年度の計画達成を目指す。
| 24/6期 実績 | 25/6期 実績 | 26/6期 計画 | 27/6期 計画 |
売上高 | 14,518 | 15,596 | 17,400 | 19,000 |
決済 | 12,152 | 12,755 | 14,100 | 14,600 |
セキュリティ | 1,558 | 2,022 | 2,250 | 2,800 |
データ通信・分析基盤 | 808 | 817 | 1,050 | 1,600 |
営業利益 | 2,030 | 1,848 | 2,400 | 2,850 |
営業利益率 | 14.0% | 11.9% | 13.8% | 15.0% |
ROE | 15.8% | 14.4% | - | 17.0%以上 |
* 単位:百万円
4-4 中期経営計画の25/6期までの事業領域別進捗
各事業領域で課題を掲げ、施策を講じていく。
海外も含めて、マーケットを広くとらえて事業拡大を目指す。
事業領域 | 主な施策 | 主な課題 | |
決済 | 決済ソリューションの付加価値向上と領域拡大 | ・FEP主力製品の新バージョン移行と開発効率化 ・不正検知ソリューションの多角化と、 業界横断型 ソリューションの立ち上げ ・アクワイアリングの機能を活用した領域拡大 | ・主要顧客におけるチャネル拡大 ・領域拡大に向けた コンサル機能強化 |
品質強化と生産性向上 | ・開発プロセスの標準化・共通化、自動化の促進 ・インフラ・運用の機能集約と標準化 | ・事業伸長に伴う 開発運用体制の整備 | |
セキュリティ | 付加価値向上と販売体制強化 | ・自社プロダクトの機能拡張 ・国内外におけるパートナー戦略 ・DNPグループの顧客基盤活用 | ・顧客基盤の拡大 ・顧客ニーズに合わせた 柔軟な対応力 |
データ通信・ 分析基盤 | コア技術を活用したビジネス確立 | ・証券・市場系ビジネスにおける提供価値の拡大 ・コア技術の用途開発 | ・新規ビジネスへのリソース創出 ・コア技術の他業界における活用 |
5.今後の注目点
1Qは25/6期から続く一部案件で品質強化への対応があり、減益となった。しかしこれらの影響については期初から予想されていた。ただし、その対応が予定より遅れている模様。現在2Qに収束させるべく取り組んでいる。目先はその進捗を注視しながら2Qの状況を見ていきたい。こうした中にあっても、ここ数年で大幅に増加した受注残高は引き続き高水準を維持している。また、表にみるようにこれまでに大きく伸ばしてきたストック案件が今1Qに売上に反映されてきており、事業基盤が着実に拡大していることが分かる。今後は着実に2桁成長を持続させるだろう。また、引き続き中期経営計画で掲げる目標数値にも上乗せ余地があると見ている。
株価は今年に入り小動きで推移している。PERについて特段低位にはないものの、受注の状況や中期経営計画で目指す利益水準を考慮すると見直し余地があるという見方に変わりはない。
ストック/フロー別の売上高・受注残高の推移

(同社資料より)
ストック:契約の形態や業務の実態等から判断して、定常的に一定規模の売上高を計上できる案件(クラウドサービスやセキュリティ製品の利用料、自社サービス、システム運用保守、自社製品や他社製品の保守等)
フロー:契約の規模や成立時期が定常的ではない案件(システム開発、自社製品や他社製品の販売等)
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外3名 |
監査役 | 5名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年10月1日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめとする様々なステークホルダーに対し、経営の透明性と公正性の確保、迅速・果断な意思決定を行う経営体制を整えていくことが、コーポレート・ガバナンスの基本であると認識しております。企業価値の最大化とステークホルダーとの信頼関係構築に向けて、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しています。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
<政策保有株式の縮減に関する方針・考え方>
当社は、当社の事業の拡大や関係強化を目的に政策保有株式として上場株式を保有していますが、随時に保有の適否を検証し、保有を継続することが当社及び発行会社の価値向上に貢献しないものと判断される株式については、保有を継続せず順次縮減する方針です。
<政策保有株式の保有の適否の検証内容>
保有する株式については、四半期ごとに発行会社の経営状況を把握し、その将来性や当社事業との関連性を評価し、保有による中長期的な経済合理性について総合的に検証します。保有によるリスクとリターンは、資本コスト等の指標も用いてなるべく具体的に検証するよう努めます。また、保有株式を売却した場合、売却に至る検証の内容を可能な限り開示することとします。
<政策保有株式に係る議決権行使の基準>
当社は、長期的に、当社の事業の拡大と双方の関係強化が見込まれることと、双方の企業価値の向上に資することを基本方針にして、保有株式の議決権行使を行います。また、こうした方針によって各議案についての検討を行うこととしています。
今後、政策保有の上場株式の銘柄数が著しく増加する等の事情が生じた場合は、別途議決権行使の基準を整える等の手段によって、行使の方針に沿った適切な対応をとる予定です。
【補充原則2-4① 多様性の確保について】
当社は、性別や国籍、年齢、障がいの有無などの属性の違いを活かし、付加価値を生み出していくため、多様な価値観を有する人材の採用を進めています。こうした多様化する社員に適合する職場環境や制度を構築することは、中長期的な成長のために必要不可欠です。
女性社員の活躍を推進するため、女性管理職、高度専門職の人数を2022年6月期の11名から2025年6月期には23名へ倍増することを目標として、様々な施策の強化に取り組んできました。その結果、2025年6月期には17名まで増加したものの、特に技術職及び営業職における登用については依然としてさらなる推進が求められる状況です。これを踏まえ、2027年6月期までに技術職及び営業職における女性管理職・高度専門職比率を9.0%以上(5名以上増)とすることを新たな目標として設定し、女性社員向けキャリア研修及び管理職候補者に対する育成プログラムの計画・実施を進めていきます。また、外国籍社員も積極的な登用をしています。
なお、管理職登用については、国籍や採用の形態を判断の基準にしていないため、外国人、中途採用者の管理職登用について、測定可能な目標を定めていません。
2025年6月末時点で、全社員519名のうち中途採用者は237名です。
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主や投資家の皆様との双方向の対話を実施しております。株主や投資家との対話においては、代表取締役社長が建設的な対話に向けた統括を行い、経営企画室が社内関係部署と連携のうえ、IR活動をサポートしています。対話を通じていただいたご意見は、適宜取締役会へ報告し、その内容を共有しています。
具体的な活動としては、四半期ごとに、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催し、決算説明会終了後には決算説明会動画や当日の質疑応答も含めた決算説明会書き起しをコーポレートサイトに掲載しています。また個人投資家の皆様にも、当社や当社事業への理解を深めてもらうため、個人投資家向け説明会をはじめ、各種イベント等を企画し、実施しています。
株主との対話に際しては、IRポリシーに則り適切な情報開示に努めるとともに、「インサイダー取引防止規程」に従い、インサイダー情報の管理、徹底を図り、情報漏洩防止に努めています。
<株主との対話の実施状況等 >
株主や投資家との個別面談については、代表取締役社長や取締役が、可能な限り直接対話をしています。個別面談においては、業績、事業環境や、今後の見通し等についての確認から、中長期的な成長戦略や人的資本を中心としたサステナビリティ活動、親会社との関係性などが話題に挙がります。個別面談でいただいたご意見等は、四半期に1回、取締役会で共有し、経営の参考にしています。
<資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 >
当社では、継続的な収益力の向上及び事業運営の効率性を示す営業利益率と、単一事業に近く有利子負債もないことからROE(自己資本利益率)を資本効率性の指標とし、それぞれ重要な経営指標として事業推進を行っています。
資本効率については、今中期経営計画より目標を提示し、その実現に向けて事業戦略を中心に市場に伝える努力を重ねてきました。今後、将来の企業価値向上のため、各事業の収益性や主要な投資について、資本コスト等を上回る利益成長を描けるか、検討を進めていきます。
2025年6月期は資本コストを意識した経営について、取締役会でのディスカッションを開始しました。現状把握のため、①時系列の推移、②同業他社との比較、③開示状況と機関投資家の見方の観点で分析し、当社としての課題整理を実施しています。また、資本コストについて改めて算定を行った結果、7~10%と見積られたため(CAPMや株式益利回り等による)、当該資本コストを基に事業ポ-トフォリオの再編や投資判断を行っていきます。今後も資本収益性の向上を経営の重要課題と位置づけ、ROEと資本コストの差(エクイティスプレッド)をモニタリングしながら、資本コストを上回る収益性を追求します。また、市場との対話については、これまで以上に建設的な対話とするため、資本効率等の課題を含めて向き合っていくことが、当社の企業価値及び株主価値の向上に資すると考えています。市場との対話で重視する経営指標としては、これまでどおり以下項目を定め、決算説明会等を通じて進捗状況を説明しています。
<重視する経営指標・目標値>
今中期経営計画では、2027年6月期に以下の目標を定めています。
・ROE 17%以上
・営業利益率15%
・配当性向 50%を目安とする
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