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(9068) 丸全昭和運輸株式会社

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ブリッジレポート:(9068)丸全昭和運輸 2026年3月期上期決算

ブリッジレポートPDF

 

岡田 廣次 社長

丸全昭和運輸株式会社(9068)

 

 

会社情報

市場

東証プライム市場

業種

陸運業(倉庫・運輸関連業)

代表取締役社長

岡田 廣次

所在地

神奈川県横浜市中区南仲通2-15

決算月

3月末日

HP

https://www.maruzenshowa.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

7,700円

20,618,244株

158,760百万円

7.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

180.00円

2.3%

614.59円

12.5倍

7,005.58円

1.1倍

*株価12/12終値。26年3月期上期決算短信より。ROEは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

136,850

11,820

12,567

8,579

423.02

85.00

2023年3月(実)

140,861

12,692

13,781

8,931

440.37

100.00

2024年3月(実)

140,194

13,204

14,271

9,741

481.19

130.00

2025年3月(実)

144,572

14,648

15,769

9,804

491.24

170.00

2026年3月(予)

153,000

16,000

16,500

12,000

614.59

180.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。
*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

丸全昭和運輸株式会社の2026年3月期上期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期上期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.第9次中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 26/3期上期の売上高は前年同期比1.4%増の722億39百万円。営業利益は同9.3%増の75億18百万円。営業利益は上期として過去最高を更新した。売上面では、新規案件の取り込みや、幅広い荷主構成が奏功した。利益面では、料金適正化や業務効率化、利益率の高い業務の取り扱い増加が寄与したことや販管費の減少により営業利益率は前年同期比0.7ポイント改善した。会社予想に対しては売上高・営業利益ともの未達。第2四半期末配当は、前年同期80.00円/株から10.00円/株増配し90.00円/株を実施する。

     

  • 通期予想に修正はなく、26/3期は売上高が前期比5.8%増の1,530億円、営業利益は同9.2%増の160億円の予想。13期連続増益で過去最高を見込む。上期では案件の獲得が想定通りとならず、期初の計画は下回ったが、幅広い既存荷主の貨物取扱が増加している。下期は引き続き実績を基に営業を強化して、大型案件など新規案件・業務および新規荷主を獲得する見込み。期末配当は、前期と同じ90.00円/株を予定。通期では180.00円/株、予想配当性向は29.3%。

     

  • 26/3期は第9次中期経営計画の初年度となる。上期はしっかりと増収・営業増益を確保し、無難なスタートを切ったといえるだろう。第9次中期経営計画ではROEは9.0~10.0%に向上する見通し。引き続き進捗状況に注目していきたい。好業績や株主還元の強化を背景に、株価は見直しが進んでPBRは約1倍。かつては1倍を大きく割り込んでいたが、IR活動を活発化させ知名度の向上も図っており、その成果が現れてきている。配当は増額し26/3期には12期連続の増配となる見込み。PERについては依然として低位の水準にある。今後の成長持続とIR活動強化に伴う知名度向上による株価上昇余地が期待できる。

     

     

1.会社概要

陸・海・空の複合一貫輸送に取り組む総合物流企業。現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供、「プラスα」のオペレーション、国内外に広がる物流ネットワーク、物流と情報を繋ぐITシステム等が強み。顧客の大半が上場企業という顧客基盤をベースに着実な収益拡大を継続。ロジスティクスを包括的に受託し、全体最適化を実現する「MARUZEN 3PL services」の拡大に注力。減配は一度もなく、25/3期まで11期連続の増配を実施。

 

【1-1 沿革】

1931年8月17日 創業者中村全宏(なかむら まさひろ)氏が「丸全昭和運輸株式会社」を創立し、京浜工業地帯の鉄鋼、化学メーカーなど、素材産業の顧客を中心に、工場資材、原料、製品の荷造りなど構内作業や運搬を開始した。
また、設立と同時に、中村氏の名前である全宏の「全」の字を「○」で囲んだ店のマークも作られた。
「○」には「永遠」に続く企業であってほしいという願い、「全」には「一度踏み出した道だ、何があってもこの業を全うしよう」という固い決意が込められている。
店名としては最初、「昭和組」も候補に挙がったが、創業当時は昭和6年と、昭和時代も始まったばかりで、店名に「昭和」をつける企業が多かったことから、「昭和」の上に創業者中村全宏氏の「全」をとった「丸全」をつけた。
創業時から単なるトラック輸送だけではなく、上記の構内作業、通関など様々な業務を一括して請け負う「複合一貫輸送」を特徴として顧客企業のニーズを取り込んでいった。
第二次世界大戦後の復興、高度成長の波にも乗り企業規模は急速に拡大、1963年には東証一部に上場した。
国内ネットワークを拡大するのと並行し1971年には国際航空貨物取扱業務に進出。1974年には「MARUZEN OF AMERICA,INC.」(ロサンゼルス)、「丸全昭和(香港)有限公司」を設立するなど、海外ネットワークの拡大も積極的に推進する。
2004年には現在の同社を特徴づける3PL情報システムが本格的に稼働を開始。その後も、M&Aも活用して国内外のネットワーク拡充を進めている。
2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行した。

 

【1-2 経営理念】

以下の社是、経営理念を掲げている。

 

社是

 

(同社WEBSITEより)

 

仕事への熱い思い入れと、それをやり遂げる不断の努力が如何に大切であるかということを意味している。
創業者中村全宏の精神であり、今も全社員に受け継がれている。

 

経営理念

◇物流の分野に於て、お客様第一主義をモットーに、高品質なサービスの提供をします

◇経営基盤の安定と拡大を通じて、株主の期待に応え、広く社会に貢献します

◇社員の福祉向上と人材育成に努め、働き甲斐のある職場をつくります

◇事業運営に当たっては、企業の倫理、社会規範を遵守します

 

1991年、物流新時代を自社が切り拓き、物流の発展に貢献するための道標を示したものとして発表された。

 

ブランド

スローガン

物流は、愛だ。

 

2021年、創立90周年を記念してブランドスローガンを掲げた。「愛を持って物流と向き合う姿勢がどこよりも強い会社でありたい。」という思いが込められている。

【1-3 市場環境】

国土交通省が発表した「我が国の物流を取り巻く状況」によれば、国内貨物輸送量は、ほぼ横ばいで推移していたが、2020年度は大幅に減少した。その後は回復したものの、2019年以前の水準には届かない。尚、国際貨物輸送量については、2013年以降は減少傾向にあり2020年に減少、その後は回復しているものの、2019年の水準には届いていない。

 

2020年以降、コロナ禍による世界的な生産及び物流の縮小があった後、感染拡大沈静化に伴う中国生産の急回復、米国での巣ごもり需要の急拡大、半導体不足・部材不足などの複合要因によるコンテナ不足・物流遅延といった物流能力の回復遅れが顕在化している。
運送業者にとっては荷主の計画通りの運送が困難な状況も発生。荷主にとっても運賃高騰や在庫積み増しなどコスト増を余儀なくされているケースも増加している。

 


(国土交通省資料「物流を取り巻く現状と取組状況について」より)

 

また構造的な人手不足も運輸業界にとっては大きな課題となっている。物流分野における労働力不足が近年顕在化しており、トラックドライバーが不足していると感じている企業は増加傾向。トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業平均より約2倍高い。年齢構成は全産業平均より若年層と高齢層の割合が低く、中年層の割合が高いほか、労働時間も近年は減少傾向にあるものの、依然として全産業平均より約2割長い。関連企業はIT活用を含めた様々な施策による効率化に取り組んでいるほか、運送費用の値上げを試みている。


(国土交通省資料「物流を取り巻く現状と取組状況について」より)

 

(主なベンチマーク企業)

コード

社名

売上高

増収率

(%)

営業利益

増益率

(%)

営業利益率

ROE

(%)

時価総額

PER

(倍)

PBR

(倍)

9147

NIPPON EXPRESS HD

2,580,000

0.1

50,000

1.9

1.9%

3.8

852,948

79.9

1.0

9065

山九

624,500

2.9

42,000

-4.4

6.7%

10.7

475,047

14.7

1.5

9068

丸全昭和運輸

153,000

5.8

16,000

9.2

10.5%

7.7

158,760

12.5

1.1

9069

センコーGHD

898,000

5.1

37,000

5.9

4.1%

9.4

327,842

16.6

1.4

※売上高、営業利益は今期会社予想、単位は百万円。ROEは前期実績。時価総額は12月12日終値×12月12日時点直近の短信記載の発行済株式数(自己株式を含む)、単位は百万円。PER(予)・PBR(実)は12月12日終値ベース。単位は%、倍。

 

PBRはほぼ1倍に達した。PERは依然低位。一層の認知度向上および成長戦略の明確化に期待。

 

【1-4 事業内容】

(概要)
3PLサービスや陸・海・空一体の複合一貫輸送によるロジスティクスをグローバルに展開している。
また、工場や大学の移転、プラント輸出等の各種大型機器の解体から、移設・組立・据付まで一貫して行う機工関連業務、精密機器輸送や危険品輸送等、専門知識と高い技術力を伴う高品質な物流サービスを提供している。

 

(主要顧客)
創業時より素材産業の顧客企業が多いが、近年では新規開拓により顧客の業種はより幅広くなっている。
主な顧客及びグループは以下の通り。
レゾナック、ダイヘン、富士フイルム、三菱商事、ライオン、旭ファイバーグラス、ニチアス、三井化学、ニデックなど。

 

顧客別売上高ベスト10で総売上の約35%、ベスト50で同約70%、ベスト100で同約75%を占め、ほとんどが上場企業またはそのグループ会社となっており、優良な顧客基盤を有している。

 

(主な物流サービス)
◎3PLサービス
調達・生産・販売・回収に係わるロジスティクスを包括的に受託し、ロジスティクスの全体最適化を実現している。

 

*3PLとは?
サードパーティー・ロジスティクスの略。企業の抱えるさまざまな業務の内、物流部門を第三者企業に委託する業務形態を指す。
効率的な物流ルートの構築は企業にとって極めて重要な課題であるが、企業が自前でトラックなどの交通手段、荷物を保管しておく倉庫、必要な人的資源やソフトウェアなどを全て揃えるのは大きな手間と資金がかかる。
そこで、そうした物流業務を丸ごと専門に扱っている外部業者にアウトソーシングし、企業は自社の貴重な経済資源を中核業務に集中させるほうが様々なメリットを得ることができるため、3PLの活用が急速に拡大してきた。

 

3PL導入のメリットとしては、本業集中による商品やサービスの品質向上、在庫最適化を通じた業務の効率化やキャッシュ・フローの改善などが挙げられる。
例えば、最重要課題となる「単価」と「物量」で構成される物流コストの削減においては、物流部門は物流の管理・運営機能を担っている為、コントロールできるのは「単価」の低減に限られ、それも一定の基準に達すると限界がくる。それに対し、物量はコントロール不可能であり、生産計画・納入条件など「生産部門」、「営業部門」の制約によって決まる。
従って、物流コストの削減は物流部門だけでなく「生産部門」、「営業部門」が三位一体となり全体を最適化するSCM(サプライチェーンマネジメント)の実現が不可欠となるわけだが、同社の提供する「MARUZEN 3PL services」では、顧客と共同で経営戦略に沿った物流の全体設計を策定し、従来の物流業者としての立場を超えて、実物流業務、オペレーション管理にとどまらず、SCM全体を見据えた企画・調整機能も提供しており、この点が大きな特徴である。
また、顧客が求める物流の全体設計と共にPDCAサイクルを回し、継続的な改善活動を提案しながら、共同で更なる物流の効率化を追求している。

 

この「MARUZEN 3PL services」の効果的な運用を可能にしているのが自社開発した3PL情報システム「MLPシステム」である。
「MLPシステム」は、全てのロジスティクスプロセスを一元的に管理し、顧客の大切な貨物情報をWeb上でリアルタイムに公開するなど「物流の見える化」を可能としている。
同社では物流改善活動の第一歩は「物流の見える化」の推進であると考えているが、その為の効率的な運用と物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には多大なコストが必要であり、同システムを利用することにより、顧客企業は新たなシステム投資費用を最小限に抑えることが可能である。

 

(同社HPより)

 

3PLにおける同社のもう一つの違い・特徴は、同社が「アセット型3PL」であるという点である。
「アセット型3PL」とは文字通り自社で倉庫や輸送手段、物流拠点などを所有しているプレーヤーであり、これに対し自社ではそれらを所有しておらず、輸送業者や倉庫業者と提携して荷主企業のニーズに対応していく業者を「ノンアセット型3PL」と呼ぶ。

 

高品質なサービスを追求する同社は倉庫など施設を原則的に自社で保有していることに加え、トラックのドライバーの安全教育、構内作業の標準化等にも力を入れているため、顧客からの厚い信頼を得ている。
また自社施設であるため顧客に対しきめ細かいデータの提供も可能で、前述のPDCAサイクルをより効果的に回すことができる点も、同社の3PLサービスが顧客に評価される要因となっている。

 

今後は、以上の3PLサービスを更に発展させた独自のLLPサービス「MALoS(Maruzen Advanced Logistics Solution、丸全版先進的物流ソリューション)」を展開していく。

 

◎グローバル物流
国内拠点と海外30か所超の拠点網および海外パートナーとの連携により、顧客企業の海外進出、生産拠点の移設などの海外展開をサポートしている。また海外物流システムで現地での物流プロセスを可視化し、海外拠点間の物流効率化、サプライチェーンの効率化を実現している。

 

◎トラック輸送
コンピューター、医療機器、各種検査装置などの精密機械から建設機械・建設資材などの重量物や危険物等の化学品、また事務所や個人引越等の一般貨物まで幅広く対応。専門スタッフが安心できるきめ細やかなサービスを提供している。
鉄道、内航海運、航空輸送による一貫した最適な物流プランを提案している。

 

◎港湾サービス
海上輸送の窓口の港湾において、高いセキュリティ、コンプライアンス体制を背景に、輸出入貨物の通関、輸出梱包など迅速なサービスを提供している。

 

◎鉄道輸送
幹線輸送の鉄道部分を担うJR貨物と全国の集荷・配達の鉄道貨物利用運送事業者と連携し、荷物を戸口から戸口へ届ける複合一貫輸送サービスを行っている。

 

◎保管・流通加工
全国各地に配置している倉庫・物流センターで、貨物の入出庫から保管(在庫管理)、流通加工などの情報システムを駆使してシームレスに行っている。
MLPシステムが入出庫・保管状況などの情報を一元管理。検品、ラベル貼り、小分け、半製品の組立など、ニーズに合わせた流通加工を行うほか、物流センターやSP倉庫の効率的な運用に関する様々な提案を行い、庫内作業の最適化を実現している。

 

◎構内作業
顧客の有する工場・倉庫内で梱包や流通加工、横持輸送、本船積みを伴う出荷作業等、ニーズに合わせた構内作業を行っている。
構内作業のスペシャリストが顧客の工場・倉庫内物流の最適化を実現している。
作業進捗、在庫状況などの情報管理を徹底し、お客様の要望に応えている。
作業に応じた荷役機械をご用意し、無理・無駄のない構内作業を提案している。

 

(事業セグメント)
報告セグメントは「物流事業」、「構内作業及び機械荷役事業」の2つ。この他、報告セグメントに含まれない事業として建設業、警備業、不動産業、保険代理業、自動車整備業等のサービスを提供している。

 

 

セグメント名

サービスの種類

物流事業

*貨物自動車運送事業

*利用運送事業(貨物自動車・鉄道・外航海運・内航海運・航空)

*港湾運送事業(一般港湾運送・港湾荷役(船内、沿岸)・艀運送)

*倉庫業

*通関業

*梱包業

*海上運送事業

*航空運送代理店業

構内作業及び機械荷役事業

工場構内での原料、製品、重量物、精密機械等の移送、組立、充填、構内倉庫への保管、入出荷作業とこれらに附帯する諸作業並びに機械の賃貸

貨物自動車運送事業においては自社保有1,000台を含め4,000台のトラックを有している。

 

【1-5 特長と強み】

1931年の創業以来、顧客の製造現場において、顧客と一体となって物流業務を行うことを得意分野としてきた同社の、製品の品質向上、業務の合理化、効率化を追求する挑戦を間近で支えた経験は、アセット型3PL事業者として多様な業界への顧客に対して提供している物流提案や物流サービスの基盤となっている。

 

(同社資料より)

 

①現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供

顧客の製造現場、流通現場を支えてきた「現場」を知るスタッフを企画担当として配置し、その専門性と物流知識を活かし、データに基づき物流システムの改革、物流現場レベルでの改善提案などを行っている。
リードタイムの短縮、物流コストの圧縮、在庫適正化によるキャッシュ・フローの増加など、サプライチェーンを最適化することで、顧客の企業価値を最大化する提案を行っている。
現在、石化業界、鉄鋼業界を始め建設機械、日用品、食品、農薬、農産物業界など多岐にわたる顧客と取引しており、それらの経験と実績を基に、顧客の業種・業態に合わせた最適なロジスティクス・ソリューションを提供している。
人手不足、高齢化が進む中、こうした知恵と実績をどのようにして継承し、また新たな知恵を生み出すか、持続可能なものとするかは今後の課題であるが、マニュアル化、標準化、IT化など様々な取り組みを進めている。

 

②「プラスα」のオペレーション
これまでアセット型3PL事業者として、センター内作業、構内作業、流通加工など様々なオペレーションを行ってきた同社のオペレーションの特徴として、通常の物流作業に「プラスα」となる付加価値を顧客に提供していることが挙げられる。
「プラスα」とは、例えば原料の充填や部品のピッキング・梱包など一般的な流通加工に加え、その前後の工程となる、材料の調合、部品の組み立てなど製造工程の一部を代行するサービスをいう。品質はもとより、顧客のニーズに合わせ業務をカスタマイズする力、それを標準化し継続する力は顧客に高く評価されている。

 

③国内外に広がる物流ネットワーク
国内においては、得意先の多種多様なニーズに対応可能な輸送車両。それらを利用した大都市間を結ぶ幹線ネットワーク、大都市をカバーする配送ネットワークなどの輸送ネットワークを全国に展開する物流拠点と共に運用しており、アセット型3PLである同社の強力な事業基盤となっている。
特に大型コンピューター輸送からスタートした精密機械輸送、大型建機輸送からスタートした重量物輸送は多くの顧客に支持されている。

 

海外においては海外現地法人、海外パートナーとの連携により世界のあらゆる地域に貨物を輸送するネットワークを構築している。国内から海外へ、また海外から国内への原材料、部品、完成品の供給に国内外のネットワークを使い、一貫したサービスを提供している。
特に中国を初めとする東南アジアに力を入れており、物流拠点の拡大、車両・荷役機器などハードウエアの装備を推進している。その他、海上輸送での重量物・プラント輸送には、豊富な経験と実績を有し、国内の機工事業と合わせ、国内外で一貫したプラント輸送サービスを提供している。

 

④物流と情報を繋ぐITシステム
これまで培ってきたノウハウを結集し、自社開発したMLPシステム(3PL情報システム)は、全てのロジスティクスプロセスを一元管理しWeb上で公開することで、在庫情報、輸配送情報、KPI(評価指標)情報等、顧客のロジスティクス戦略をサポートするうえで欠かせない情報を提供している。
物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には、多大なコストがかかるが、同システムの活用により顧客は新たなシステム投資を最小限に抑えることが可能である。

 

⑤優良顧客に支えられた安定した事業基盤
前述のように上場企業またはそのグループ会社からの売上が大半を占めており、優良な顧客に支えられた安定した事業基盤と、それをベースに安定した売上・利益を生み出している点も大きな特徴と強みと言えるだろう。
20/3期まで7期連続で増収増益を達成。残念ながら21/3期は減収となったが、経常利益は8期連続で増益となった。22/3月期以降は再び増収増益で、26/3期も増収増益予想。経常利益は13期連続増益を見込んでいる。
また配当についても減配は一度もなく、25/3期まで11期連続の増配を実施している。

 

 

【1-3市場環境】で触れたように、運送業界を取り巻く環境は決して良好ではないが、優良な顧客を多数有する同社は、リーマンショック時には減収を経験したものの、中心顧客となる素材産業の企業に加え、景気の影響を受けにくい消費財・加工品分野の企業など新規顧客開拓を積極的に進めてきた。
今後も「3PLサービス」および「グローバル展開」によって着実な収益拡大を目指している。

 

【1-6 目標とする指標】

(1)財務健全性の確保
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すためには経営基盤を強化することが必要と考え、成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本としている。

 

(2)持続的成長と企業価値向上のための投資
内部留保資金は、物流拠点の確保、保管設備の増強ならびに輸送力強化・環境対応のための車両・機械荷役装置、IT、DXへの投資やM&Aによる事業拡大などに活用し、資本の効率向上に努めている。
自己資本利益率(ROE)は連結ベースで9~10%以上を安定的に達成できる企業体質を目指している。

 

(3)株主還元
配当については、長期的安定配当の継続を基本方針とし、35%以上を目標としている(詳細は後述)。

 

【1-7 ROE分析】

 

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

23/3期

24/3期

25/3期

ROE(%)

6.1

7.1

9.1

7.1

8.3

8.1

8.1

7.7

 売上高当期純利益率(%)

4.25

5.08

6.54

5.57

6.27

6.34

6.95

6.78

 総資産回転率(回)

0.88

0.91

0.90

0.80

0.83

0.81

0.73

0.75

 レバレッジ(倍)

1.62

1.54

1.55

1.59

1.60

1.58

1.54

1.50

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25/3期のROEは、前期比若干低下した。ただし、引き続き目標である7%以上は維持している。今後もマージン改善をベースにしたROEの向上実現に取り組んでいく。
注力している3PLはまだまだ収益性向上の余地が大きいということで、売上の拡大とともに3PLのブラッシュアップに取り組んでいく。

 

 

2.2026年3月期上期決算概要

(1)業績動向

 

25/3期 上期

構成比

26/3期 上期

構成比

前年同期比

予想比

売上高

71,237

100.0%

72,239

100.0%

+1.4%

-5.6%

売上総利益

9,424

13.2%

9,990

13.8%

+6.0%

販管費

2,543

3.6%

2,472

3.4%

-2.8%

営業利益

6,881

9.7%

7,518

10.4%

+9.3%

-6.0%

経常利益

7,374

10.4%

8,107

11.2%

+9.9%

-3.5%

中間純利益

5,892

8.3%

5,980

8.3%

+1.5%

+1.4%

*単位:百万円。中間純利益は親会社株主に帰属する中間純利益。予想比は24年5月公表の業績予想に対する増減。

 

増収増益、予想は下回る
売上高は前年同期比1.4%増の722億39百万円。営業利益は同9.3%増の75億18百万円。営業利益は上期として過去最高を更新した。売上面では、新規案件の取り込みや、幅広い荷主構成が奏功して荷主全体では取り扱いが増加した。利益面では、料金適正化や業務効率化、利益率の高い業務の取り扱い増加が寄与したことで売上総利益は同6.0%増の99億90百万円、販管費が減少したこともあり、営業利益率は前期比0.7ポイント改善した。
会社予想に対しては売上高・営業利益とも未達となった。
第2四半期末配当は、前年同期80.00円/株から10.00円/株増配し90.00円/株を実施する。期初予想からは8月に10.00円/株増額修正している。

 

26/3期は1Q、2Qとも前年同期比増収増益となり、引き続き安定して成長している。

 

(2)セグメント別動向

 

25/3期 上期

構成比

26/3期 上期

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

物流事業

61,891

86.9%

62,747

86.9%

+1.4%

構内作業・機械荷役事業

8,203

11.5%

8,342

11.5%

+1.7%

その他

1,142

1.6%

1,149

1.6%

+0.6%

合計

71,237

100.0%

72,239

100.0%

+1.4%

営業利益

 

 

 

 

 

物流事業

5,871

9.5%

6,481

10.3%

+10.4%

構内作業・機械荷役事業

774

9.4%

799

9.6%

+3.3%

その他

235

20.6%

237

20.6%

+0.8%

合計

6,881

9.7%

7,518

10.4%

+9.3%

*単位:百万円。「構内・機械荷役事業」は、構内作業及び機械荷役事業。営業利益の構成比は営業利益率。

 

~事業の売上構成比~
事業別売上構成バランスは前年同期と大きくは変わらず。物流事業(貨物自動車運送事業、港湾運送事業、倉庫業、鉄道利用運送事業、物流附帯事業)が全売上の86.9%。物流附帯事業は、プラント設備や化成品の取扱減少により減収。構内作業・機械荷役事業は、電力機器関連の取扱増加により増収となった。

 

 

(同社資料より)

 

<物流事業>
増収増益
既存荷主の取り扱い(電力機器製品、精密機器、発電用原料など)が順調に増加した。新規荷主の取引獲得も進んだ。各事業の取扱い動向は以下の通り。

 

(貨物自動車運送事業)
増収増益
●酒類(新規)や電力機器関連製品等が好調だった。
●既存荷主の取り扱いが増加して増収となった。

 

(港湾運送事業)
増収
●酒類(新規)や建機類の輸出入貨物の取り扱いが増加した。
●発電用原料の取り扱いが復調し増収となった。

 

(倉庫業)
増収
●発電用原料他、既存荷主の取り扱いは増加した。
●合成樹脂の新規取り扱いがあり増収となった。

 

(物流附帯事業)
減収
●外航船:プラント設備や化成品の取り扱いが減少した。
●荷捌:既存荷主の取り扱いが減少した。

 

<構内作業及び機械荷役事業>
増収増益
化成品の取扱い減少はあったものの、電力機器関連が増加した。

 

<その他事業>
増収増益
工事収入では、国内の設備投資案件の取扱い増加があった。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

25年

3月末

25年

9月末

増減

 

25年

3月末

25年

9月末

増減

流動資産

72,113

73,032

+918

流動負債

34,487

33,084

-1,402

 現預金

21,507

17,583

-3,923

 仕入債務

12,990

12,339

-650

 売上債権

27,967

27,859

-108

 短期借入金

11,765

11,713

-52

固定資産

119,974

125,730

+5,756

固定負債

25,449

26,738

+1,289

 有形固定資産

79,859

80,437

+578

 長期借入金

13,506

13,129

-377

  建物及び構築物

33,584

33,371

-213

負債合計

59,936

59,823

-113

 無形固定資産

4,593

5,161

+568

純資産合計

132,151

138,939

+6,788

 投資その他の資産

35,520

40,131

+4,611

 利益剰余金

101,629

105,823

+4,194

資産合計

192,088

198,763

+6,675

負債純資産合計

192,088

198,763

+6,675

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

現預金は減少したものの、投資有価証券の増加などにより資産合計は前期末比66億75百万円増加の1,987億63百万円。
流動負債は減少、固定負債は増加し負債合計は同1億13百万円減少の598億23百万円。
利益剰余金の増加などで純資産合計は同67億88百万円増加の1,389億39百万円。
自己資本比率は前期末より1.1ポイント上昇し68.8%となった。

 

(4)トピックス

①製粉業界の日東富士運輸を子会社化(25年10月14日)
過去のM&Aにおいて、15年の日本電産ロジステック(現・丸全電産ロジステック)にて電子部品業界の取り扱いを拡大、19年の国際埠頭では港湾物流サービスを拡大。様々なシナジーを生み出している。
25年10月に子会社化した日東富士運輸(現・M&Fロジスティクス)では製粉業界の取り扱いを拡大させる。
日東富士運輸は1970年設立の物流会社。小麦粉など製粉業界の物流に強い。製粉業界における共同物流の促進などを通じ物流の効率化に寄与する。
今後も業界再編の中で、メーカー物流子会社獲得を図り、業種別物流強化を各分野で推進する。

 

②直近の拠点の開設
25年7月、愛知県碧南市に衣浦危険物倉庫を開設。同社が得意分野とする危険物ネットワークを更に拡充させる。

 

(同社資料より)

 

③現在進行中の拠点開発

広島倉庫

(広島東広島市)

26年8月竣工予定

狙い:

化学品を中心とした幅広い貨物の取り扱い拡大

特徴/備考:

一般倉庫の他、危険物倉庫も備えており、毒劇物の保管も対応可能

敷地面積(約24,500㎡)が同社グループ西日本地区において最大規模

延床面積:

14,610㎡

レムチャバン倉庫

(タイ王国)

26年8月竣工予定

狙い:

自社オペレーションにより、高品質な物流サービスを提供する、

同社の日本国内における成長モデルを海外でも進める延床面積

特徴/備考:

一般倉庫の他、危険物倉庫、空調庫を備えており、レムチャバン港、近隣の工業団地へのアクセスが優れ、輸出入貨物の取り扱いで有利な立地

大規模な敷地面積(約25,500㎡)を誇る

延床面積:

6,423.25㎡

常陸那珂倉庫

(茨城県那珂郡)

26年8月竣工予定

狙い:

同社アグリ物流の一角を担う常陸那珂倉庫の拡大

特徴/備考:

定温倉庫の他、空調倉庫、天井クレーンも備えており、農産物をはじめ、幅広い貨物の取り扱いが可能

延床面積:

4,960㎡

 

今後着工予定の拠点
コロナ過で抑制されていた設備投資を積極的に推進

名称

所在地

延床面積(予定)

完成予定

埼玉倉庫

埼玉県加須市

6.930㎡

26年9月頃

東深芝危険物倉庫

茨城県神栖市

1,988㎡

27年1月頃

笠間物流センター第2期倉庫

茨城県笠間市

3,000㎡

27年3月頃

名称未定(九州地区)

佐賀県鳥栖市

7,578㎡

27年9月頃

 

④人的資本の充実
~10年、30年、50年先の企業価値を創出できる人材育成~

●3PLの知識とスキルの向上を目的とした実践教育の実施
●企業内大学(Maruzen Logistics College)の開校
学びたい社員に積極的に学ばせ、能力を最大化することで、企業価値向上に資する人的資本投資を推進

●専門資格取得支援 (物流技術管理士/国際複合輸送士/国際物流管理士)
●物流に関する社内認定制度の創設(現在推進中)
●同社の戦略に沿った資格取得を支援

 

⑤「安全・安心」への取り組み
安全・安心な物流を提供することが今後の成長につながると認識して取り組んでいる
●AI搭載ドライブレコーダーの導入
●トラック/フォークリフト安全運転技能競技会
●積極的なQC活動の促進

 

3.2026年3月期業績予想

(1)通期業績予想

 

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

144,572

100.0%

153,000

100.0%

+5.8%

売上総利益

19,616

13.6%

21,100

13.8%

+7.6%

販管費

4,967

3.4%

5,100

3.3%

+2.7%

営業利益

14,648

10.1%

16,000

10.5%

+9.2%

経常利益

15,769

10.9%

16,500

10.8%

+4.6%

当期純利益

9,804

6.8%

12,000

7.8%

+22.4%

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

26/3期は5.8%増収、9.2%営業増益を予想
通期予想に修正はなく、26/3期は売上高が前期比5.8%増の1,530億円、営業利益は同9.2%増の160億円の予想。経常利益は同4.6%増の165億円を見込み、営業利益とともに過去最高、14/3期から13期連続の増益を見込む。当期純利益も同22.4%増の120億円と見積もっている。上期では案件の獲得が想定通りとならず、期初の計画は下回ったが、幅広い既存荷主の貨物取扱が増加している。下期は引き続き実績を基に営業を強化して、大型案件など新規案件・業務および新規荷主を獲得する見込み。
今期は第9次中期経営計画(詳細は後述)初年度。創立90周年を記念して作られた新しいブランドスローガン「物流は、愛だ。」のもと、グループ全役員・社員が一丸となって第9次中期経営計画を推進し、目標売上・利益の達成を通じて物流に革命を起こし続けていく。
期末配当は、前期と同じ90.00円/株を予定。通期では180.00円/株、予想配当性向は29.3%。

 

(2)事業別見通し

 

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

物流事業

125,526

86.8%

133,200

87.1%

+6.1%

構内作業・機械荷役事業

16,560

11.5%

17,100

11.2%

+3.3%

その他

2,484

1.7%

2,700

1.8%

+8.7%

合計

144,572

100.0%

153,000

100.0%

+5.8%

営業利益

 

 

 

 

 

物流事業

12,656

10.1%

13,860

10.4%

+9.5%

構内作業・機械荷役事業

1,499

9.1%

1,610

9.4%

+7.4%

その他

492

19.8%

530

19.6%

+7.7%

合計

14,648

10.1%

16,000

10.5%

+9.2%

*単位:百万円。「構内・機械荷役事業」は、構内作業及び機械荷役事業。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(3)事業環境と同社の対応

●既存荷主との関係は良好、引き続き新規案件獲得を見込んでいる
●トランプ関税については、影響・懸念は残るものの、幅広い荷主構成によりリスクを分散させる方針

 

下期に期待できる内容

リスク要因

全体

設備投資の増加などによる物流需要の増加見込み

M&Aによる子会社化が寄与

経済状況(米国関税)の不確実性

エネルギーや原材料のコスト高

物流事業

3PLをはじめとした新規業務の獲得

アグリ関連・危険物物流の取り扱い拡大

グローバル物流事業の拡大

ドライバー不足

同業間の価格競争

原油価格高止まり、電力料高騰

構内作業

機械荷役事業

得意先工場構内作業は、需要回復を見込み取り扱い増

特定業界・特定取引先への依存度

その他事業

国内の設備移設案件や機械据付案件は需要回復を見込み取り扱い増

作業員不足

資材費高騰

26/3期下期案件の見通し:順調だが、大型案件の獲得に注力する
●上期:案件の獲得が想定通りとならず、期初計画は下回ったが、幅広い既存荷主の貨物取扱が増加
●下期:引き続き実績を基に営業を強化、大型案件など新規案件・業務そして新規荷主の獲得見込み、前年同期比増加へ

26/3期上期 実績案件

26/3期下期 見込み案件

実績

根拠

見込

根拠

酒類販売A社

酒類の保管・荷役・輸送案件

(新規)

関東・東北地区における業務拡大

建築資材メーカーA社

建築資材の保管・荷役・ 輸送案件 (既存)

関東地区における取扱量の拡大

建設機械メーカーA社

建設機械の輸入業務案件

(既存)

関東地区における取扱量の拡大

化学品メーカーA社

化学品の保管・荷役・輸送案件 (既存)

関西地区における取扱量の拡大

電機機器メーカーA社

電力機器関連の保管・荷役・輸送案件 (既存)

関西地区における取扱量の拡大

商社A社

地下鉄車両の輸出・輸送案件 (新規)

輸出一貫業務の獲得による業務拡大

 

 

4.第9次中期経営計画

2026年3月期を初年度とする3か年の第9次中期経営計画を策定している。

 

(1)第9次中期経営計画

①位置づけ

取り巻く環境

第9次経営計画(26/3期~28/3期)

目指す姿

 

物流業のビジネスモデルに影響を与える事象

・ドライバー不足

・多重下請け構造に対する規制

・倉庫建設費の上昇 など

 

物流業界で企業再編が活発化

 

構造改革

~ロジスティクスパートナーとしての飛躍に向けて~

 

◆売上の拡大

◆事業競争力の強化

◆企業基盤の変革

テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー

 

(同社資料より)

 

②数値目標
最終年度である28/3期に売上高1,760億円、経常利益185億円を目指す。

(億円)

 

25/3期実績

26/3期計画

27/3期計画

28/3期計画

売上高

1,445

1,530

1,620

1,760

経常利益

157

165

175

185

ROE

7.7%

9.0~10.0%

 

■投資計画

設備投資:400億円(DX投資を含む

M&A枠:100億円

■資本政策

配当性向:長期安定配当の継続が基本方針、3年間の連結ベースで35%以上が目標

政策保有株式:積極的な縮減を図る

 

 

③重点施策と26/3期の取り組み状況
3PL事業はもちろん、構内作業やその他事業においても強化を図る。

重点施策

売上の拡大

①3PL事業

②成長ターゲット

③新規・既存荷主

④グローバル物流事業

・ 新規荷主への提案営業に注力

・ 既存荷主の3PL化を推進

・ 差別化分野(農産物・危険物)の取扱拡大を推進

・ タイ新倉庫竣工(26年8月)に向けた集荷活動

事業競争力の強化

①3PL事業の強化

②ロジスティクス事業の基盤強化

③グローバル物流事業の拡大

④構内作業/その他の事業の強化

・ 業界別物流共同化を推進

・ 既存3PL業務の標準化の検討

・ 国際園芸博覧会(27年)に関する営業活動の推進

・ 国内物流拠点の拡充、自社車両・専属傭車の増強によるネットワークの維持・強化

・ 主に東南アジアにおける拠点新設に向けた情報収集活動

企業基盤の強化

①組織の改革

②設備投資の促進

③M&Aの実施とアライアンス強化

④人的資本の活用と強化

⑤DX戦略の推進

⑥営業推進体制と機能の強化

⑦サステナビリティへの取り組み

・ 同一業務の集約を軸に業務機構の見直し・再編の検討

・ 専門組織(拠点開発・M&A等)の設置検討

・ M&A案件の検討・実施

・ グループ会社の人事制度検討

・ 企業内大学の積極的な受講推進

・ AI機器を活用した安全教育

・ 次期基幹システムの構築

・健康経営の推進

 

第8次中期経営計画の課題として、増収増益基調は継続したものの、売上の伸びが鈍化したことを挙げている。M&Aが実行に至らなかったことや物流拠点の拡充が想定ほど進まなかったことが要因であったと分析。
第9次経営計画では、拠点開発やM&Aに係る専門組織を設置し、投資に関する提案が活発に生まれる環境を整備させて設備投資を促進する方針を示している。
更に積極的な意識・組織改革と投資で売上拡大と資本効率の改善を目指す。

 

④キャッシュフローアロケーションと上期の進捗
・3年間累計の営業キャッシュ・フローと現預金+投資有価証券売却の範囲内で設備投資・株主還元を実施する。
・M&Aは外部調達も活用する。

(同社資料より)

 

(4)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

●PBRは1倍前後で推移。今後は更なるROE向上とPERを高める成長戦略の浸透を更に推進する
・株価は上昇基調にあり、PBRは1倍前後で推移
・他方、同社の成長性が一層評価されるよう、企業価値向上策への取組みは持続的に行う必要がある
・PBR=ROE×PER の関係から、従来通りPBRを上げるためのROE向上とPER改善の取組みを推進する
・PER=株価÷EPS(一株あたり利益)、よってPER改善のためには、成長戦略でEPS期待成長率を上げる必要あり
ROEの向上
―利益率の向上
―積極的配当
―政策保有株式の縮減 等
PERの改善
―成長戦略のアピール
―IR活動の更なる活発化

 

株主還元
基本方針:業績と配当性向、株主資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続
• 26/3期まで12期連続増配を目指す
• 投資資金を確保しながらも、3年間の配当性向35%を視野に、株主還元を引き続き積極化

 


(同社資料より)

 

 

5.今後の注目点

26/3期は第9次中期経営計画の初年度となる。上期は会社予想を若干下回ったものの、しっかりと増収・増益を確保し、無難なスタートを切ったといえるだろう。
第9次中期経営計画では、経常増益率は各年度1桁でかなり保守的な印象ではある。ただし、それでもROEは9.0~10.0%に向上する見通し。引き続き進捗状況に注目していきたい。業界では人手不足が深刻な課題となっているが、同社ではこの問題を新たな3PL案件獲得の機会として取り組んでいる。収益拡大のチャンスであるとともに、共同配送やモーダルシフトを通じてこの問題の解決も図っている。
好業績や株主還元の強化を背景に、株価は見直しが進んでPBRは約1倍に。かつては1倍を大きく割り込んでいたが、決算説明会やHPの情報発信を充実させることでIR活動を活発化させ知名度の向上も図っており、その成果が現れてきている。配当は増額し26/3期には12期連続の増配となる見込み。配当性向は29.3%の見通しだが、第9次中期経営計画では35%を目標としており、早期の実現にも期待したい。
PBRの見直しは進んだが、PERについては依然として低い水準にある。今後の成長持続とIR活動強化に伴う知名度向上による株価上昇余地が期待できる。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

-

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年7月16日

 

<基本的な考え方>
1.基本的な考え方
当社は激変する経営環境に対し迅速かつ的確に対応し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる体制を確立するため、株主をはじめとするステークホルダーに対し経営の透明性をより高めるとともに、経営理念にも掲げております社会規範の遵守を励行し、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に努めております。

 

2.基本方針
(1)株主の権利・平等性の確保
当社は、法令に従い株主の権利及び平等性を確保するとともに外国人株主や少数株主に配慮し、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備に努めております。

 

(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現するためコンプライアンスを重視しつつ、株主はもとより、顧客、取引先、社会、従業員等の様々なステークホルダーの利益を考慮して適切な協働と良好な関係の維持に努めております。
また、サステナビリティを巡る課題に対しても積極的・能動的に取り組んでまいります。

 

(3)資本政策の基本的な方針
1.財務健全性の確保
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すためには経営基盤を強化することが重要と考え、成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本とします。
上記の自己資本の水準は、現状では連結ベースで50%以上を考えております。
2.持続的成長と企業価値向上のための投資
内部留保資金は、物流拠点の確保、保管設備の増強ならびに輸送力強化・環境対応のための車両・機械荷役装置への投資、IT・DXへの対応、M&Aによる事業拡大などに活用し、資本の効率向上に努めております。
第9次中期経営計画では、自己資本利益率(ROE)は連結ベースで9~10%を目標としております。
3.株主還元
配当につきましては、会社の業績と配当性向、自己資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続することを基本方針としております。
第9次中期経営計画では、配当性向は、3年間の連結ベース平均で35%以上を目標としております。
自己株式取得は、財務状況を考慮しつつ市場環境や資本効率等を勘案し、必要に応じて検討してまいります。

(4)適切な情報開示と透明性の確保
当社は、会社の財務情報及び非財務情報について法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく情報開示以外にも株主をはじめとするステークホルダーにとって有用性の高い情報については主体的に提供するよう努めております。

 

(5)取締役会等の責務
当社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促進し、収益力・資本効率等の改善を図るため、1.中期経営計画を策定し企業戦略の方向性を定める。2.内部統制システム、リスク管理・コンプライアンス体制を整備し取締役・経営陣のリスクテイクを支える。3.社外取締役を3分の1以上選任することで取締役・執行役員に対する実効性の高い監督体制を構築する。4.取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実の観点から、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督を担うことで、より透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待に、より的確に応えうる体制の構築をする。以上の4点をはじめとする役割・責務を適切に果たすよう努めております。

 

(6)株主との対話
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、株主との建設的な対話を行い経営計画等の内容について明確に説明するとともに、株主からの意見、要望等は取締役会に報告し、経営に反映させるよう努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
(補充原則2-4-1)人材の多様性確保のための目標
当社は、社内における人材の多様性の推進とともに、全従業員の自律的なキャリア形成を支援し、全ての従業員が個性と能力を十分に発揮して、いきいきと働くことが出来る雇用環境の整備に取り組んでおります。
女性の活躍推進においては、女性管理職の比率を2027年度までに5%以上とする事を目指し、その達成に向けて、女性の多様な部署への配置による活躍できる環境の整備や、ライフイベントも配慮した多様なキャリアパスの構築等を推進中です。
今後、引き続き外国人や中途採用者等の多様な人材の確保に向けて施策を講じ、測定可能な数値目標についても検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
(原則1-4)政策保有株式の方針、議決権行使
当社は、投資株式を保有目的によって区別しており、専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることとして所有する株式を「純投資目的である株式」また、純投資目的ではなく、取引関係の維持強化を目的とし、政策的に所有する株式のことを「純投資以外の目的である投資株式」としております。
現在、「純投資以外の目的である投資株式」しか保有しておりませんが、そのうち、当社の企業価値を向上させるために中長期的な視点に立ち、今後の当社事業における営業戦略上の取引関係の維持・強化等を勘案し、政策上、保有の妥当性・合理性が認められる株式については保有していく方針です。
保有の継続に関しましては、その顧客である取引企業との業務取引の状況ならびに保有先企業の財政状況を定期的に確認し、取締役会等においてモニタリングを行い、保有の意義が十分でないと判断される銘柄については、縮減を図ってまいります。
今後も引き続き、モニタリングを継続し、政策保有株式の見直しを行ってまいります。
議決権につきましては、発行会社における財務の健全性に悪影響を及ぼす場合、違法行為が発生した場合等における該当議案には反対するなど、発行会社の持続的成長ならびに当社の中長期的な企業価値の向上につながるかどうかを判断基準として、適切に行使してまいります。

 

(原則3-1)情報開示の充実
(I)当社の経営理念、中期経営計画については、当社ホームページに掲載しております。
・経営理念
https://www.maruzenshowa.co.jp/corporate/philosophy/
・中期経営計画
https://www.maruzenshowa.co.jp/ir/management/
(ⅱ) 当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針については、コーポレート・ガバナンス報告書の基本的な考え方に記載しております。
(ⅲ) 取締役・執行役員の報酬については、取締役会で一任を受けた代表取締役会長が、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針、役員報酬規程に基づき(取締役は株主総会で決定された報酬の範囲内)、各取締役・執行役員の職位や職務執行に対する評価、会社業績等を総合的に勘案し、報酬額を決定しております。なお、当社では報酬額の決定にあたり、代表取締役会長に一任する前に、指名・報酬諮問委員会が、取締役、執行役員の報酬決定の方針および手続に関する事項、報酬の内容に関する事項について審議した後、取締役会への答申を行っております。
(ⅳ) 取締役・執行役員候補の選任については、適正かつ迅速な意思決定への寄与、コーポレート・ガバナンス体制の整備、業務執行の監理・監督機能等、全組織のカバーを可能とするバランスを考慮した中で、総合的に判断して選任しております。監査等委員である取締役候補の選任については、財務・会計に関する相当程度の知見の有無、企業経営に関する経験や知識、当社事業活動に関する知識等のバランスを考慮し、適材適所の視点から人材を選任しております。以上の方針に基づき、代表取締役が内容を検討のうえ、取締役会において決議しております。なお、選任にあたり、指名・報酬諮問委員会が審議の上、取締役会へ答申を行っております。また、解任する場合も代表取締役が内容を検討のうえ、取締役会において説明することを定めております。
(ⅴ) 個々の取締役候補者の選解任の理由については、定時株主総会招集通知の株主総会参考書類に記載することとしております。

 

(補充原則3-1-3)サステナビリティについての取り組み
<サステナビリティについての取り組み>
当社は、社会のより良い形成と持続可能な発展に貢献し、中長期的な企業価値向上の創出を実現するために、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)という3つの観点が非常に重要であるとの認識のもと、中期経営計画を策定し、具体的な取り組みを進めていくこととしております。
当社の現在の取り組みについては、当社ホームページに掲載しております。
https://www.maruzenshowa.co.jp/csr/
なお、当社は、TCFD提言への賛同を表明するとともに、同提言に基づく情報開示をしております。詳細については、当社ホームページに掲載しております。
https://www.maruzenshowa.co.jp/csr/environment/tcfd.html
<人的資本、知的財産への投資等>
当社の人的資本、知的財産への投資等の詳細については、当社有価証券報告書の【サステナビリティに関する考え方及び取組】(5)人材の育成及び社内環境整備に関する方針及び指標に掲載しております。
https://www.maruzenshowa.co.jp/ir/library/?tab=2

 

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