ブリッジレポート:(6183)ベルシステム24ホールディングス 2026年2月期決算
![]() 梶原 浩 社長 | 株式会社ベルシステム24ホールディングス(6183) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | サービス業 |
代表取締役 社長執行役員CEO | 梶原 浩 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門四丁目1番1号神谷町トラストタワー6階 |
決算月 | 2月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,465円 | 74,522,695株 | 109,175百万円 | 11.4% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
60.00円 | 4.1% | 114.33円 | 12.8倍 | 994.38円 | 1.5倍 |
*株価は4/20。26年2月期決算短信より。
連結業績推移(IFRS)
決算期 | 売上収益 | 営業利益 | 税前利益 | 当期利益 | EPS | DPS |
2023年2月 | 156,054 | 14,917 | 14,157 | 9,330 | 126.82 | 60.00 |
2024年2月 | 148,717 | 11,479 | 11,225 | 7,545 | 102.61 | 60.00 |
2025年2月 | 143,607 | 11,587 | 11,232 | 8,003 | 108.81 | 60.00 |
2026年2月 | 145,826 | 12,652 | 12,290 | 8,181 | 110.22 | 60.00 |
2027年2月(予) | 152,000 | 13,000 | 12,600 | 8,500 | 114.33 | 60.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。以下同様。
(株)ベルシステム24ホールディングスの2026年2月期決算概要、2027年2月期業績予想、中期経営計画2028などについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2026年2月期算概要
3.2027年2月期業績予想
4.中期経営計画2028
5.今後の注目点
<参考1:中長期成長シナリオ>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26年2月期は増収増益。売上収益は前期比1.5%増の1,458億円。SC業務、SB業務とも増収。営業利益は同9.2%増の126億円。売上総利益が増収効果、クライアントへの請求単価の引き上げ、更には拠点整理等コスト削減やオペレーションの効率化による収益改善施策等により同8.3%増加し、売上総利益率も同1.2ポイント上昇。一方で、主に前年に計上した拠点整理費用の反動減により販管費が同3.6%減少した。予想に対しては、売上収益は若干の未達も、コスト抑制が進み、営業利益以下、利益は予想を超過した。
- 27年2月も増収増益を予想。売上収益は前期比4.2%増の1,520億円の予想。SC業務、SB業務とも増収の見込み。SB業務は2桁の増収予想。営業利益は同2.7%増の130億円の予想。売上総利益は、増収効果にAI関連業務の利益が加わる一方、人件費や物価高騰による経費の上昇が大きいものの、業務効率向上施策の継続とクライアントへの価格転嫁を着実に推進することで同5.4%の増加を見込んでいる。粗利率も同0.2pt上昇の予想。販管費は、人件費増加やサイバー攻撃に対応したセキュリティー関連対策等のコスト増加を想定し、同3.2%の増加を見込む。配当は前期と同じく60.00円/株を予定。予想配当性向は52.5%。配当性向50%を基本方針に、今後も利益の拡大を通じて安増配実現を目指す。
- 2026年4月8日、2029 年2月期までの3か年を計画期間とする「中期経営計画2028」を公表した。中長期成長シナリオに掲げる2031年2月期へ向けた通過点であるが、AIを軸としたコンタクトセンター運営と事業の多角化に向けた転換期となる重要な3年間と位置付けている。「データ&ナレッジ」「人材活躍基盤」「共創ネットワーク」という独自の強みをベースに、「CX高度化」と「BPO拡大」に注力。「データ活用の拡張」「ヒトの価値最大化」「パートナー資本の深化」の3つの重点施策を推進する。2029年2月期「売上収益1,750億円、営業利益160億円、税引後利益100億円+α」を目標としている。「+α」としているのは、生成AI導入よる更なるインパクト拡大の可能性を見込んでいるため。
- 売上収益の8割強を占めるSC業務において、2029年2月期は2026年2月期比200億円増の1,450億円を目指している。この200億円増に向けた取り組みの中でも最も重要なものが、「AIを活用したコンタクトセンターの自動化」であろう。「AIの登場は、コンタクトセンター事業者にとって逆風」との声もあるが、「AI単独では、インターネット上の情報だけに基づいたエンドユーザー対応には限界がある」「一部の先進的な企業を除く多くの企業では技術力・資金力の制約から、自身でのAI活用は難しい」ことなどから、同社では逆風ではなく、受託案件数拡大の大きなビジネスチャンスと認識している。
- そこで重要な役割を担うのが、回答の自動生成に特化した生成AIと、ナレッジの自動生成に特化した生成AIをプロセスに組み込むことで、応対の通話データからナレッジベースを自動生成する技術・仕組みを搭載した同社独自開発の自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop(HOL)」である。HOLは第1弾ソリューション「Knowledge Generator」の開発が完了し、第2弾、第3弾としてそれぞれ、テキストによる高度自動応答、音声による高度自動応答のリリースを予定している。大規模コンタクトセンター保有企業を中心にサービス導入数を着実に拡大させることで、2029年2月期には売上収益100億円、導入社数50-60社程度、粗利率は従来型コンタクトセンター業務の約2倍を目指しており、スケールのみならず、自動化・高付加価値化による収益性の大幅な向上も見込んでいる。従来の「アウトソーサー」から企業の「戦略的パートナー」への進化を目指すために絶対不可欠なHOLの進捗を注視していきたい。
1.会社概要
持株会社である同社と連結子会社8社、持分法適用会社3社でグループを形成。コンタクトセンターアウトソーシングを中心とするCRM事業、テクノロジーサービス及びコンサルティングサービスを主たる事業とする。
グループの中核である株式会社ベルシステム24(出資比率100.0%)は、1982年の創業以来約40年にわたり、企業と生活者の接点となるコンタクトセンターを中心とした幅広いアウトソーシング事業を展開し、業界のスタンダードモデルを創出してきた。
人とテクノロジーの力を掛け合わせることで培ってきた運用知見をもとに、事業価値の向上を目指し、M&A及びAIの活用による新たなソリューションの開発に積極的に取り組んでいる。
連結子会社は、株式会社ベルシステム24のほか、有料多チャンネル放送「スカパー!」のカスタマーセンター運営会社に出資して連結子会社化した、カスタマーセンターに関わるコンサルティング及び教育関連も展開する株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ(出資比率 51.0%)、レイヤーズ・コンサルティング社との合弁会社で人事・経理の領域でBPOサービスや各種コンサルティング、人材活躍支援サービスを展開するHorizon One株式会社(出資比率51.0%)、顧客接点で生じるデータを企業のマーケティングDXに活用し、データアナリスト、エンジニアによるAIソリューション開発も実施している株式会社シンカー(出資比率70.0%)、AVILEN社との合弁会社でAI-Co BPO(AI実装型BPO)を中心に、AI戦略の策定・AI実装コンサルやAIエージェント開発・運用及びAI知識・スキル向上のための社員教育を提供する株式会社BA Intelligence(出資比率51.0%)、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社の株式会社ベル・ソレイユ(出資比率100.0%)、台湾でのCRMソリューションに関するアウトソーシングサービス/EC構築・運営代行/広告・プロモーション/SNSマーケティング/オフライン・ダイレクトプロモーションを展開するBELLSYSTEM24 TAIWAN, Inc.(出資比率 100.0%)、ベトナムでコンタクトセンター事業を展開するBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.(出資比率80.0%)の8社。
持分法適用会社は、ITサービスデスクやBPO(Business Process Outsourcing)等のCTCファーストコンタクト株式会社(出資比率48.0%)、TOPPANとの合弁会社で、DX推進を支援するほか次世代BPOサービスを展開する株式会社TBネクストコミュニケーションズ(出資比率49.0%)、タイ国内でコンタクトセンターを運営し、国内外のクライアントへサービスを提供するTrue Touch co., Ltd.(出資比率49.9%)の3社。
伊藤忠商事(株)が同社議決権の40.7%を有し、同社を持分法適用関連会社としている。生活消費関連分野を中心とする非資源分野に注力している伊藤忠商事(株)グループにおいて、コールセンター事業を手掛ける同社は「企業と消費者の接点」としての役割を担っている。2014年10月の資本提携以降、様々な連携を進めており、伊藤忠商事グループとの取引は順調に拡大している(伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針)。
【1-1 企業理念】
以下のPURPOSE、VALUESを掲げている。
自身がどうあるべきか、何を約束すべきかを、一言で定義するため、CORPORATE VOICEを設け、より明確化するためのMANIFESTOも設定している。
PURPOSE
イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える
VALUES
・対話の力:対話で悩みやアイデアに寄り添い、ともに解決し、ともに成功する。
・独創性:現場力と進化するテクノロジーの融合で、ほかにない価値をつくる。
・多様性:社員一人ひとりが自分らしく躍動し、新たな可能性に出会う場所になる。
・成功への伴走:積み重ねた経験で、最適解を導き出し、お客さまの成功にコミットする。
・豊かさの共創:モノやサービスの体験価値を高め、人々の豊かな時間を支える。
【1-2 事業内容】
(1)事業の概要
事業は、報告セグメントであるCRM事業とその他に分かれ、26年2月期においては、CRM事業が連結売上高のほぼ100%を占めている。
セグメント別売上
| 26/2期 | 構成比 |
CRM事業 | 145,556 | 99.8% |
その他 | 270 | 0.2% |
連結売上収益 | 145,826 | 100.0% |
*単位:百万円
CRM事業
電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、Webやソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なコンタクトセンターアウトソーシングサービスやBPOサービスを、クライアント企業へ提供している。売上の90%程度を継続業務が占めるストック型のビジネスで、キャンペーン対応や選挙関連等のスポット業務が残り10%程度。業務は、次の4業務に分ける事ができる。
①クライアント企業のカスタマーサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)
②クライアント企業のセールスサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)
③クライアント企業のテクニカルサポート業務(主にクライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)
④BPO業務(主にクライアント企業の定型業務の受託)
CRM事業内の売上収益内訳を「スマートコンタクトセンター(SC)業務」と「スマートビジネスサポート(SB)業務」の2区分で開示している。
区分 | 概要 |
スマートコンタクトセンター(SC)業務 | クライアント企業とエンドユーザー間のコミュニケーション関連領域に係る業務 ・カスタマーセンター等のインバウンド業務 ・獲得/促進等のアウトバウンド業務 ・BellCloud+、音声認識等のコンタクトセンター環境構築業務 ・応対品質(QA)/FAQナレッジ作成等の周辺業務 ・データマーケティング/分析業務 ・コンタクトセンター関連のコンサルティング業務 |
スマートビジネスサポート(SB)業務 | クライアント企業の社内業務の支援に係る業務 ・人事/経理/総務業務 ・データエントリー業務(入力) ・審査/監視/リスト精査業務 ・営業支援/Web原稿制作・校閲業務 ・社内業務関連のコンサルティング業務 ・社内ヘルプデスク業務 |
(2)顧客
2026年2月末時点の顧客数は前期末比104社増加の1,690社。売上収益3億円以上の大口クライアントのみでなく、中位層、下位層までそれぞれ顧客数が拡大。多様な業種・業態の顧客ニーズに対応することができる現場対応力が高く評価されている。
業種 | 概要 |
サービス業 | 人材紹介・ネット関連サービス・放送・電子マネー・コード決済・ポイントサービス等 |
運輸・通信業 | 通信キャリア・プロバイダ・旅行・運輸等 |
金融・保険業 | 銀行・証券・生損保・クレジットカード等 |
卸売・小売業 | 通販・Eコマース・商品販売サービス等 |
製造業 | メーカー・食品製造・印刷・医薬関連等 |
その他 | 自治体・電気・ガス・水道・住宅・不動産等 |
(3)拠点体制
2026年2月末時点で、グループで国内に49拠点、ブース数17,500席を有する。海外拠点として、台湾、ベトナムに連結子会社、タイにグループ会社がある。

(同社資料より)
【1-3 ROE分析】
| 17/2期 | 18/2期 | 19/2期 | 20/2期 | 21/2期 | 22/2期 | 23/2期 | 24/2期 | 25/2期 | 26/2期 |
ROE (%) | 11.0 | 13.4 | 12.1 | 14.8 | 14.2 | 16.0 | 15.1 | 11.5 | 11.7 | 11.4 |
売上高当期純利益率(%) | 3.95 | 4.85 | 4.46 | 5.53 | 5.34 | 6.11 | 5.98 | 5.07 | 5.57 | 5.61 |
総資産回転率(回) | 0.79 | 0.82 | 0.86 | 0.82 | 0.80 | 0.83 | 0.88 | 0.85 | 0.82 | 0.85 |
レバレッジ(倍) | 3.56 | 3.37 | 3.16 | 3.25 | 3.34 | 3.13 | 2.88 | 2.69 | 2.56 | 2.39 |

ROEは一般的に日本企業が目標とすべきといわれている8%を超えているが、ここ3期は11%台での推移にとどまっている。中期成長戦略及び中期経営計画2028では、生成AIの活用を中心とした収益性の改善に取り組む考えであり、ROEの更なる向上余地は大きいと思われる。
【1-4 ESGについて】
企業理念や重要課題およびESG を踏まえ、社会課題解決のための活動を積極的に実施しており、こうした活動は外部からも評価されている。
*26年2月期決算説明資料掲載分
◎厚生労働省「安全衛生優良企業(ホワイトマーク)」に初認定
2025年5月、厚生労働省が実施する「安全衛生優良企業公表制度」において、「安全衛生優良企業」として初めて認定された。
「安全衛生優良企業」は、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省より認定を受けた企業。この認定を受けるためには、過去3年間に労働安全衛生関連の重大な法令達反がないなどの基本事項に加え、労働者の健康保持・増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理など、幅広い分野で積極的な取り組みを行っていることが求められる。今回の認定では、特に長時間労働の管理、健康保険組合と連携した活動、外部専門家を招いたメンタルヘルス対策の研修や講演の実施、復職に関するルール化や復職後の面談などが優れた取り組みとして評価された。
◎職場におけるLGBTQ+の取り組みの評価指標「PRIDE指標2025」にて7年連続、最高位「ゴールド」に認定
2025年11月、企業・団体等の職場におけるLGBTQ+に関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2025」にて7年連続で、認定基準のすべてを達成したことを示す最高位「ゴールド」に認定された。
今年度は、社内での対話の機会や理解促進を目的とした取り組みとして、若手社員とLGBTQ+を積極的に支援し、行動する人であるALLYによる座談会を開催したほか、経営層とLGBTQ+当事者、ALLYとの意見交換会も実施し、組織全体での意識醸成を図った。新入社員研修にLGBTQ+に関する理解促進プログラムを導入したほか、全従業員を対象としたe-learning「D&I研修/LGBTQ+」を新たに展開した。こうした取り組みが評価され、最高位である「ゴールド」に認定された。
◎「日経サステナブル総合調査スマートワーク経営編」にて4つ星に認定
2026年1月、「日経サステナブル総合調査スマートワーク経営編」において、4つ星に認定された。
この調査は、人材を活用するとともに、人材投資を加速させることで新たなイノベーションを生み出し、生産性を向上させ、企業価値を最大化させることをめざす先進企業を選定するもの。2017年から日本経済新聞社が主催しており、全国の上場企業と有力非上場企業を対象に、「人材活用」「人材投資」「テクノロジー活用」の3要素によって星5段階で評価される。同社は、人材活用力で「S」、人材投資力とテクノロジー活用力で「A++」の評価を受けた。
◎D&I認定制度『D&I AWARD 2025』で最高評価の「ベストワークプレイス」に5年連続で認定
2026年1月、株式会社JobRainbowが実施する、企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを評価する「D&I AWARD」において、最高評価である「BEST WORKPLACE」に5年連続で認定された。
同アワードは、2021年より始まった企業のD&Iを評価する日本最大の認定制度で、日本で活動する企業のD&Iの取り組みを100項目の独自の評価指標「ダイバーシティスコア」で採点し、スコアに応じて「スタンダード」「ビギナー」「アドバンス」「ベストワークプレイス」の4つのランクに認定するもの。
LGBTQ+や障がい者、健康経営、育児両立&男性育休といったD&Iに関する知識の浸透に向けて、全従業員を対象としたe-learning「D&I研修」を新たに展開したほか、同社独自の取り組みである「ベルプライド月間」での経営層・従業員参画型の座談会や、各テーマに沿った経営層と従業員のラウンドテーブル「Colorful Meeting」の開催LGBTQ+に対する差別や偏見に反対し、セクシュアリティやジェンダーの多様性を祝う「レインボーパレード」への経営層と社員の参加、障がいのある社員によるバリスタコンペティション「CHALLENGE COFFEE BARISTA」への参加など、これまで継続してきた取り組みも含めた全社を通じた施策が総合的に評価され、5年連続での「ベストワークプレイス」認定となった。
【1-5 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
(方針)
同社では、今後の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営が重要と考え、ROEを経営指標の一つとして導入するとともに、ROEが株主資本コストを上回る状態を維持することにより、資本収益性の向上を目指している。
(現状認識)
◎ROE
2025年度の株主資本コストは8%程度で、株主資本コストを上回るROE(2026年2月期11.4%)の水準を維持している。
ROEが株主資本コストを上回る状態を維持することにより、資本収益性の向上を目指す。
◎PBR
2025年度のPBRは1.5倍程度で、過去5期においては恒常的に1.0倍を超えて推移している。
収益性の改善と成長期待の向上に取り組むことにより市場評価の改善・PBRの更なる向上を図る。
◎キャッシュ・アロケーション
2025年度における営業キャッシュ・フローは99億円。株主還元に44億円、事業投資/設備投資に12億円、有利子負債の返済に56億円を利用した。
後述する「中期経営計画2028」に掲げているキャッシュ・アロケーションの主要ポイントは以下の通り。
・Net DERの適切な水準を維持する。 2028年度末のNet DERは、投資計画を全額実行して2025年度末(0.56倍)と同水準を維持する。投資計画の実行に向け、借入金の返済から新たな調達へシフトする。
・事業投資及び設備投資は3年間合計240億円。M&A及び事業投資に200億円、設備投資40億円
・配当性向は50%を維持する。

(同社資料より)
株主還元、成長投資、財務健全化のバランスの取れた資金配分により、持続的な企業価値向上を実現する。
(戦略的方針と具体的な取り組み)
「中期経営計画2028」の中心的な方針である「CX高度化」と「BPO拡大」を通じて、収益性の向上、資本効率向上、成長期待向上、株主資本コスト低減を図り、「ROE水準の維持・向上」と「PER向上」を通じて、PBRの向上を目指す。

(同社資料より)
2.2026年2月期決算概要
【2-1 連結業績】
| 25/2期 | 構成比 | 26/2期 | 構成比 | 前期比 | 予想比 |
売上収益 | 143,607 | 100.0% | 145,826 | 100.0% | +1.5% | -2.8% |
売上総利益 | 25,412 | 17.7% | 27,517 | 18.9% | +8.3% | -2.4% |
販管費 | 16,182 | 11.3% | 15,606 | 10.7% | -3.6% | -4.3% |
営業利益 | 11,587 | 8.1% | 12,652 | 8.7% | +9.2% | +5.4% |
税引前利益 | 11,232 | 7.8% | 12,290 | 8.4% | +9.4% | +4.5% |
当期利益 | 8,003 | 5.6% | 8,181 | 5.6% | +2.2% | +1.0% |
*単位:百万円。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。
増収増益
売上収益は前期比1.5%増の1,458億円。SC業務、SB業務とも増収。
営業利益は同9.2%増の126億円。売上総利益が増収効果、クライアントへの請求単価の引き上げ、更には拠点整理等コスト削減やオペレーションの効率化による収益改善施策等により同8.3%増加し、売上総利益率も同1.2ポイント上昇。一方で、主に前年に計上した拠点整理費用の反動減により販管費が同3.6%減少した。コンテンツ事業の一部売却による事業譲渡益も増益に寄与。
予想に対しては、売上収益は若干の未達も、コスト抑制が進み、営業利益以下、利益は予想を超過した。

◎売上収益内訳
| 25/2期 | 26/2期 | 前期比 | 予想比 |
売上収益 | 1436.1 | 1458.3 | +1.5% | -2.8% |
CRM事業 | 1432 | 1455.6 | +1.6% | -2.6% |
うち、SC業務 | 1231.8 | 1248.9 | +1.4% | -1.7% |
うち、SB業務 | 200.2 | 206.7 | +3.3% | -8.1% |
その他 | 4.1 | 2.7 | -34.3% | -46.0% |
*単位:億円。SC業務はスマートコンタクトセンター業務、SB業務はスマートビジネスサポート業務。
*スマートコンタクトセンター(SC)業務
増収。通信キャリア案件、公共系案件が着実に増加したことに加え、 2度の国政選挙に関連する業務も寄与した。
*スマートビジネスサポート(SB)業務
増収。人材関連系業務が減少した一方で、通信キャリア内のバックヤード業務や連結子会社Horizon Oneでの人事・経理系業務が着実に増加した。
【2-2 事業トピックス】
(1)業種別売上収益
| 25/2期 | 26/2期 | 前期比 |
サービス業 | 331 | 342 | +3.3% |
運輸・通信 | 296 | 306 | +3.4% |
金融・保険業 | 253 | 252 | -0.4% |
卸売・小売業 | 164 | 160 | -2.4% |
製造業 | 78 | 79 | +1.3% |
その他 | 79 | 88 | +11.4% |
*単位:億円。㈱ベルシステム24単体の売上収益上位300社を対象。前期比%は同社資料よりインベストメントブリッジが計算。
(増収)
サービス業:人材紹介は減少も、ネット関連や公共系サービスの増加が継続した。
運輸・通信業:ISP(Internet Service Provider)は減少も通信キャリアを中心に増加した。
製造業:国政選挙業務(今年度第2四半期、第4四半期)により増加するも、その他の業務は微減傾向。
その他:新電力サービス関連、不動産関連が増加した。
(減収)
金融・保険業:前年度第1四半期の大口スポット案件は減少したが、生損保を中心とした保険関連が引き続き堅調。クレジットカード関連業務が増加した。
卸売・小売業:減少傾向が継続している。
(2)伊藤忠シナジー
前期比11.7%の増収。通信キャリアや保険関連を中心に増加し、2022年度を上回った。

(同社資料より)
(3)拠点ブース数等四半期推移
コンタクトセンター業務に必要な音声認識、感情解析、Chatbot、Voicebotや在宅ワークを含めたリモート環境導入に必要な機能を備える同社の戦略的システムで音声データ活用DXの基盤となるクラウド型コンタクトセンター「BellCloud+(プラス)」の席数は前期末比660席増加の8,800席と大きく拡大した。
一方、コロナ関連案件の終息、大口案件の業務終了などを受け、拠点整理による効率化を推進しており、拠点ブース数は前期末比600席減の17,500席となっている。
派遣社員に比べて直雇用コミュニケーターの退職率は低いため、人的資本の更なるクオリティー向上に向け、採用に積極的に取り組んでいる。26年2月末での直雇用CM比率は84.7%となった。

(同社資料より)
【2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)】
◎財政状態
| 25年2月末 | 26年2月末 | 増減 |
| 25年2月末 | 26年2月末 | 増減 |
流動資産 | 28,042 | 29,717 | +1,675 | 流動負債 | 57,413 | 45,790 | -11,623 |
現預金 | 6,992 | 7,194 | +202 | 営業債務 | 5,634 | 5,820 | +186 |
営業債権 | 19,006 | 20,657 | +1,651 | 借入金 | 30,799 | 17,300 | -13,499 |
非流動資産 | 146,371 | 140,104 | -6,267 | 非流動負債 | 46,163 | 49,249 | +3,086 |
有形固定資産 | 31,563 | 25,556 | -6,007 | 長期借入金 | 23,247 | 31,438 | +8,191 |
のれん | 94,651 | 94,669 | +18 | 負債合計 | 103,576 | 95,039 | -8,537 |
資産合計 | 174,413 | 169,821 | -4,592 | 資本合計 | 70,837 | 74,782 | +3,945 |
|
|
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| 自己資本(※) | 70,160 | 73,928 | +3,768 |
|
|
|
| 借入金合計 | 54,046 | 48,738 | -5,308 |
*単位:百万円。自己資本は親会社の所有者に帰属する持分合計。
拠点整理による有形固定資産の減少などで資産合計は前期末比45億円減少。短期、長期合計の借入金が53億円減少したことなどで負債合計は同85億円減少。利益剰余金の増加などで資本合計は同39億円増加。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は前期末から3.3ポイント上昇し43.5%。
◎キャッシュ・フロー
| 25/2期 | 26/2期 | 増減 |
営業CF | 17,391 | 16,533 | -858 |
投資CF | -3,693 | -571 | +3,122 |
フリーCF | 13,698 | 15,962 | +2,264 |
財務CF | -13,897 | -15,782 | -1,885 |
現金・現金同等物期末残高 | 6,992 | 7,194 | +202 |
* 単位:百万円
営業債権の増加などから営業CFのプラス幅は25年2月期と比較して縮小した一方、有形固定資産の取得による支出が縮小し、フリーCFのプラス幅は拡大。キャッシュポジションはほぼ変わらず。
【2-4 トピックス】
(1)AI関連
①通話データからAIで顧客ニーズを推定する「ヒトトナリAI」 サービスの提供を開始
2025年4月、通話データやチャットログなどのVOC(顧客の声)からAIにより顧客ニーズを推定する「ヒトトナリAI」サービスの提供を開始した。2023年施行のCookie規制以降、顧客ニーズの把握が困難となったことを背景にサービス開発に着手した。購買・行動などの事実データと、コンタクトセンター/商談の音声等の非構造データを顧客IDに統合し、AIが「なぜそうしたのか」「次に起きそうなこと」を整理し、顧客に対して次に取るべき対応をすぐに実行できる形で提示し、ロイヤル顧客拡大とLTV向上を実現する。
②次世代コンタクトセンター基盤-AI搭載型CXプラットフォーム「BellCloud+CX」を発表
2025年3月、150ヶ国25,000社を超える導入実績を持つグローバルCXソリューションプロバイダーのNICE社と協業し、AI搭載のCXクラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「BellCloud+CX」の提供を開始した。「BellCloud+CX」はPBXや通話録音、オムニチャネル、AIボット等の基本的な機能に加え、音声認識・会話要約・多言語翻訳など高度なAI機能により、オペレーター支援や業務効率化を実現する。また、PCとインターネットだけで迅速にセンター構築でき、スモールスタートから大規模拡張まで柔軟に対応が可能である。国内運用に即したカスタマイズや運用コンサルティングも提供し、企業の課題に合わせた最適なセンター運営を支援する。
(2)業務提携関連
①AVILEN社および伊藤忠商事とAIエージェント共創支援で業務提携契約を締結
2025年12月、SB業務の拡大に向け、BPO分野でのAIエージェントのオーダーメイド開発やリスキリングを得意とするAVILEN社および伊藤忠商事と連携し、業務プロセス改革からBPOまでを包括的に支援するソリューションの提供を開始した。現在、大手コンビニチェーン等の食品卸を担う日本アクセス社で請求処理業務の自動化を推進中である。ベルシステム24の「業務プロセス(BPR)コンサルティング」および「ソリューション運用ノウハウ」、AVILEN社の約400名のエンジニアとAI開発力、伊藤忠のグループ企業ネットワークを連携し、業務プロセス改革とAI導入でクライアント企業の課題解決に貢献する。
②アルフレッサ株式会社と製薬企業向けの委託型情報提供活動支援サービス「D-REACH」の展開に向けて提携
2026年1月、アルフレッサ社と製薬企業向け委託型情報提供活動支援サービス「D-REACH」の展開に向けて基本合意を締結した。医療機関の訪問規制や医師の働き方改革でMRの対面機会が減る中、両社の基盤・ノウハウを融合し、医師の状況に応じた情報提供プラン策定からリモート面談による情報提供までを一気通貫で支援する。製薬企業の生産性向上、コスト最適化、情報提供の質向上に貢献する。2027年4月の本格的なサービス提供開始を目指している。
3.2027年2月期業績予想
【3-1 連結業績予想】
| 26/2期 | 構成比 | 27/2期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上収益 | 145,826 | 100.0% | 152,000 | 100.0% | +4.2% |
売上総利益 | 27,517 | 18.9% | 29,000 | 19.1% | +5.4% |
販管費 | 15,606 | 10.7% | 16,100 | 10.6% | +3.2% |
営業利益 | 12,652 | 8.7% | 13,000 | 8.6% | +2.7% |
税引前利益 | 12,290 | 8.4% | 12,600 | 8.3% | +2.5% |
当期利益 | 8,181 | 5.6% | 8,500 | 5.6% | +3.9% |
*単位:百万円
増収増益を予想
売上収益は前期比4.2%増の1,520億円の予想。スマートコンタクトセンター(SC)業務、スマートビジネスサポート(SB)業務とも増収の見込み。SB業務は2桁の増収予想。
営業利益は同2.7%増の130億円の予想。売上総利益は、増収効果にAI関連業務(※HOL:後述)の利益が加わり、コスト面では物価高騰による人件費、経費の上昇が大きいものの、業務効率向上施策の継続取り組みとクライアントへの価格転嫁を着実に推進することで同5.4%の増加を見込んでいる。粗利率も同0.2pt上昇の予想。販管費は、人件費増加やサイバー攻撃に対応したセキュリティー関連対策等のコスト増加を想定し、同3.2%の増加を見込む。
配当は前期と同じく60.00円/株を予定。予想配当性向は52.5%。配当性向50%を基本方針に、今後も利益の拡大を通じて増配実現を目指す。
【3-2 売上収益の内訳】
| 26/2期 | 27/2期(予) | 前期比 |
売上収益 | 1,458.3 | 1,520.0 | +4.2% |
SC業務 | 1,251.6 | 1,290.0 | +3.1% |
SB業務 | 206.7 | 230.0 | +11.3% |
*単位:億円。SC業務はスマートコンタクトセンター業務、SB業務はスマートビジネスサポート業務。その他の事業については、コンテンツ事業の一部売却等により売上収益が減少したため、2027年2月期よりSC業務に含めて表示している。
◎スマートコンタクトセンター業務
増収予想。クライアントの人材不足等によるアウトソース需要の取り込みやM&A等の取り組みに加え、AI関連(Hybrid Operation Loop)の本格的な業務開始が寄与する。
◎スマートビジネスサポート業務
増収予想。人事・経理系業務の拡大に加え、BPRコンサルティング案件からの取り込みや、AVILEN社との提携によるAI活用等の新サービスが寄与。
4.中期経営計画2028
2026年4月8日、2029 年2月期までの3か年を計画期間とする「中期経営計画2028」を公表した。
【4-1 前計画(中期経営計画2025)の振り返り】
(1)定性面
グループの総力4万人の最大活躍を目指した「人材」面においては、AIを活用した「業務マッチング型採用モデル」の運用を開始したほか、キャリアマップ制度・研修プログラム拡充によるリスキリング支援強化、ダイバーシティ推進による各種認証取得等の成果を上げた。定着率の向上にも寄与した。
「型化」においては、生成AI搭載コンタクトセンタープラットフォーム「BellCloud+CX」の発表のほか、コンタクトセンター自動化を目指す「Hybrid Operation Loop(HOL)」の開発に着手した。THINKER社と共同でVOCから顧客ニーズを推定する「ヒトトナリAI」サービスの提供も開始し、データ活用の高度化は大きく進展した。
外部との協業により新たなBPO領域の開拓を図る「共創」においては、ユーザ企業参画型プログラムや生成AI Co-Creation Lab.の始動、経理・人事領域BPOを提供するHorizon Oneの事業拡大のほか、自治体、一次産業、医療などパートナー企業との共創による新領域拡大にも取り組んだ。コンタクトセンター業務依存からの脱却を進めた。
(定量面)
2026年2月期「売上収益1,800億円、営業利益165億円、営業利益率9.2%」を掲げていたが、実績は「売上収益1,458億円、営業利益127億円、営業利益率8.7%」にとどまった。
M&Aが想定したほどは進まなかったこと、従来型の単純な電話対応業務が伸び悩んだことなどが要因。一方で、拠点整理の進展、生成AIへの注力など、次の成長機会が明確になった。
【4-2 中期経営計画2028】
(1)事業環境
労働人口減少による企業の人材不足の深刻化や人件費高騰、海外の景気動向・為替要因等によるコスト上昇の常態化など、企業を取り巻く経済環境は引き続き厳しい。一方で、生成AIやAIエージェント等、加速度的な技術進化による産業構造の変革が急速に進んでおりそうした課題の解決が期待される。
企業は競争力強化に向け本業に経営資源を集中するためにはBPOの利用が不可欠であり、ニーズの多様化や拡大が進んでいる。ただ、国内におけるBPO利用率は依然として低水準で推移しており、潜在市場は大きいと同社では考えている。
(2)中期経営計画2028の中長期成長シナリオに対する位置づけ
中期経営計画2028は、中長期成長シナリオ(参考1を参照)に掲げる2031年2月期へ向けた通過点であるが、AIを軸としたコンタクトセンター運営と事業の多角化に向けた転換期となる重要な3年間と位置付けている。

(同社資料より)
(3)同社の責任とコンセプト
こうした事業環境の下、同社は「データ&ナレッジ」「人材活躍基盤」「共創ネットワーク」という独自の強みにAIの活用を掛け合わせ、AI時代の社会的ニーズに応えていくことが自社の責務であると考えている。
「ヒトとAIの好循環で、あらゆるビジネスを進化させる。―Hybrid Intelligence for all―」というステートメントの下、中期経営計画2028では、成長戦略として「CX高度化」と「BPO拡大」を掲げ新たな価値創出に取り組んでいく。

(同社資料より)
(4)成長戦略推進に向けた3つの重点施策
「データ&ナレッジ」「人材活躍基盤」「共創ネットワーク」という独自の強みをベースに、「CX高度化」と「BPO拡大」に向け、「1.データ活用の拡張」「2.ヒトの価値最大化」「3.パートナー資本の深化」の3つの重点施策を推進する。
①データ活用の拡張
5億件という膨大な対話データ、40年超のコンタクトセンター運営ノウハウ、1,500社を超える業務実績という他社にはない資産を活用し、専門業務知見をナレッジデータ化し、AIで新たなビジネス価値へと進化させる。
重要な役割を担うのが、コンタクトセンター自動化モデル「Hybrid Operation Loop(HOL)」と、AI導入から開発・実装・運用までを行う「AI-Collaborative BPO」モデルである。
◎「Hybrid Operation Loop(HOL)」概要
回答の自動生成に特化した生成AIと、ナレッジの自動生成に特化した生成AIをプロセスに組み込むことで、応対の通話データからナレッジベースを自動生成する技術・仕組みを搭載した同社独自開発の自動化ソリューション。
2025年11月には、プロセスの一部を切り出した第1弾ソリューションとして、「Knowledge Generator(ナレッジ・ジェネレーター)」の開発が完了した。「Knowledge Generator」は通話録音データから、ナレッジ生成の世界基準である「KCS(ナレッジ・センター・サービス)」に準拠した高精度なナレッジを自動生成する独自の技術である。
「Knowledge Generator」を「Hybrid Operation Loop」全体での提供に先行して、ナレッジマネジメントサービスのコンサルティングメニューに組み込み提供を開始した。これまで通話録音データからKCSに準拠したナレッジを整備するには膨大な時間を要していたが、これを大幅に効率化し、短縮することが可能となった。「Knowledge Generator」は、大手生命保険会社など複数社とともに実証実験を実施しており、実運用を見据えた精度を確認している。
同社では「Knowledge Generator」に続き、第2弾、第3弾としてそれぞれ、テキストによる高度自動応答、音声による高度自動応答のリリースを予定しており大規模コンタクトセンター保有企業を中心にサービス導入数を着実に拡大させることで、2029年2月期には100億円を超す売上高を見込んでいる。加えて、自動化・高付加価値化により収益性も大幅に向上すると期待している。
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(同社資料より)
◎「AI-Collaborative BPO」モデル概要
2025年12月、AIソリューションの導入や部分的支援にとどまらず、企業ごとの業務プロセスや課題に応じた最適な支援を行うために、ベルシステム24、株式会社AVILEN、伊藤忠商事株式会社は業務提携契約を締結し、AIエージェントのオーダーメイド開発、実装、AI人材へのリスキリング、BPOを包括的に支援するソリューションの提供を開始した。
このソリューションは、生成AIやAIエージェントの導入を検討する企業と共創し、業務プロセス改革・AI活用・BPOなど各領域の専門家がプロジェクト体制を構築し、現場課題を丁寧にヒアリングしながら効率的・効果的なAIエージェント導入を実現するもの。
ベルシステム24が有する業務プロセス変革コンサルティング知見および運用ノウハウ、AVILEN社の強みである約400名のエンジニア人材プールとAI開発力、伊藤忠商事が持つ企業のDXを支援するネットワークを結集し、経営と現場双方での成果創出を目指す。
2026年3月には、上記業務提携効果の強化を目指し、ベルシステム24とAVILENは企業のバックオフィス業務におけるAIエージェント実装型のBPOモデル構築を目的とした合弁会社「株式会社 BA Intelligence」を設立した。ベルシステム24の「運用」機能とAVILENの「開発」機能とを一体化し、機動力及びコスト効率の高い「AI-Collaborative BPO」モデルによって、各企業の実務に適合したAI活用を支援する。
年間1,500社超を受託しているベルシステム24の有する業界毎の専門業務知見を活かしてBPOの領域拡大を追求する。

(同社資料より)
②ヒトの価値最大化
全社員のポテンシャルを最大限に発揮させる仕組みの確立、ヒトならではの高付加価値サービスの拡大を目指す。
◎ヒトならではの高付加価値サービス拡大
顧客感情への寄り添い、高度なコンサルティング、未知の状況判断など、ヒトでしかできない領域における創造性を追求する。
具体的には、BPRコンサルティングにおいて同社独自の業務改善メソッドによって提案力を強化する。2029年2月期までにBPRコンサルタントを現在の約200名から400名に拡大する。
AI協働によるマーケティング支援能力の強化にも取り組む。子会社THINKERと共同で提供している顧客理解AIエンジン「ヒトトナリAI」を利用し、パーソナライズ化した顧客インサイトを収益拡大に繋げる。2029年2月期までのヒトトナリAI導入社数目標を 30社としている。

(同社資料より)
③パートナー資本の深化
アライアンス・ネットワークをさらに拡大・強化し、新たな知的価値の共創を目指す。

(同社資料より)
具体的な施策
①ロールアップによる規模拡大
*内製コンタクトセンターロールアップ
スカパー・カスタマーリレーションズ(SPCC)子会社化をモデルケースに、自社内で運用している内製コンタクトセンターへの出資を拡大し、クライアント企業と一体で迅速にコンタクトセンターの自動化・効率化を進める。
*機能関連子会社への出資
グループ内業務を一手に請け負っている顧客企業の機能関連子会社へ出資し、同社のメソッドを導入することでCoE(※)化を推進する。
※CoE:企業や組織において、特定の専門知識を持つ人材や技術を1ヶ所に集約し、社内横断的に業務効率化やイノベーションを推進する組織。
②次世代コンタクトセンターへの進化
コンタクトセンターへの生成AI導入に向け、様々な業界における伴走型支援を推進する。前述した同社独自のコンタクトセンター自動化モデル「Hybrid Operation Loop(HOL)」を更に進化させる。
様々な業種の企業で導入・検証を行うことで、あらゆる業界のコンタクトセンター自動化実現を目指す。
③BPO専門領域の拡大
*業界特化型BPO会社への出資
建設、製造・小売、製薬・医療等を中心に、業界特化BPO事業者へ出資することで、業界固有の知見やネットワークを活用し、各業界におけるBPOシェアの拡大を図る。
*業務特化型企業とのJV拡大
業務特化コンサル企業などとHorizon One株式会社(※)のような合弁会社を設立し、戦略策定から運用までの一括受託で規模拡大を図る。人事・経理・総務といったバックオフィス領域での業務変革知見を獲得・活用する。
※Horizon One株式会社:レイヤーズ・コンサルティング社との合弁会社で人事・経理の領域でBPOサービスや各種コンサルティング、人材活躍支援サービスを展開
④AIを活用したBPOサービス開拓
AVILENやCTCのケースのように、AIテック系企業との資本・業務提携を通じて、自動化・高度化ソリューションの開発体制を強化し、ナレッジを活用したサービスの開発を加速させるとともに、導入先の拡大を図る。
(5)定量目標
①全社
2029年2月期「売上収益1,750億円、営業利益160億円、税引後利益100億円+α」を目標としている。
「+α」としているのは、生成AI導入よる更なるインパクト拡大の可能性を見込んでいるため。

(同社資料より)
今後3年間の戦略的成長投資として、上記3つの重点施策(データ活用の拡張:生成AI関連投資、ヒトの価値最大化:人材育成投資、パートナー資本の深化:M&A・事業投資)実行に向け250億円を計画している。
株主還元方針として、配当性向50%を目途とする。
②SC業務領域・SB業務領域における取組と目標
SC業務領域及びSB業務領域における取組と目標は以下の通り。
◎SC業務領域
2026年2月期の売上収益は1,252億円。2029年2月期は200億円増の1,450億円を目指している。
200億円増の内訳は「①オーガニック成長50億円」「②ロールアップによる従来ビジネスの拡大50億円」「③AIを活用したコンタクトセンターの自動化及び④VOCデータを活用したマーケティング支援100億円」。
取組み | 具体的な施策など | 2029年2月期 定量目標 |
①オーガニック成長 | 内製コンタクトセンター業務の取込 | ・年間50億円の売上収益拡大 ・クライアント企業数を現在の約1,700社から2,000社以上に拡大 |
②ロールアップによる従来ビジネスの拡大 | ロールアップ戦略による事業規模の拡大(スカパー・カスタマーリレーションズ社モデルの量産) | ・年間50億円の売上収益拡大 ・2028年度末までに投資金額100億円を想定 |
③AIを活用したコンタクトセンターの自動化(Hybrid Operation Loopの現場導入) | 対象は市場規模が大きい金融、通信、エネルギー業界等の内、大規模コンタクトセンターを保有する企業。 2026年中に、実際の通話データを活用したデータのナレッジ化(STEP1)を実施(ナレッジジェネレーター)し、顧客からの質問に対し、オペレーターにAIが回答を提示する機能(STEP2)を実装する。 2027年春には自動対話応答(STEP3)を導入する。 | 売上収益100億円、導入社数:50-60社程度、粗利率は従来型コンタクトセンター業務の約2倍を目指す。
AIによるコンタクトセンター自動化の取り組みが想定以上に拡大した際には、売上収益の上振れ余地がある。 粗利率改善については、原価の8割以上を占めている人件費の削減が大きく寄与する。他のアウトソーサーと業務をシェアしている案件において、圧倒的な効率化によって、他社から同社へのスイッチングを促進する。 |
④VOCデータを活用したマーケティング支援(顧客理解AIエンジン「ヒトトナリAI」の活用) | 対象は、対面での営業商談を基本としている高単価商材(保険、不動産、車、銀行窓口など)の取扱い企業 | サービス提供社数を現在の7社から30社以上に拡大させる。 |
(同社の想定など)
「AIの登場は、コンタクトセンター事業者にとって逆風」との声もあるが、同社では、「AI単独では、インターネット上の情報だけに基づいたエンドユーザー対応には限界がある」「AIを活用することで、コンタクトセンターは、引き続き、エンドユーザーからの問合せ対応における中心的な役割を担うことが想定される」「一部の先進的な企業を除く多くの企業では技術力・資金力の制約から、自身でのAI活用は難しい」ことなどから、逆風ではなく、大きなビジネスチャンスと認識している。
AIを駆使し音声データを高速でナレッジデータ化できる優位性を活かして、従来の「アウトソーサー」から企業の「戦略的パートナー」への進化を目指していく。
◎SB領域
2026年2月期の売上収益は207億円。2029年2月期は100億円増の300億円を目指している。
100億円増の内訳は「①M&A等によるBPO領域の拡大50億円」「②BPRコンサルおよびAIエージェントの提供50億円」。
取組み | 具体的な施策など | 2029年2月期 定量目標 |
①M&A等によるBPO領域の拡大 | ・金融保険、情報通信、建設、製造、卸小売、製薬・医療等を対象に、業界特化BPO事業者と連携してM&A、JV設立等を行う。
・人事経理、購買、営業支援等、専門業務に特化したBPO事業者と連携してM&A、JV設立等を行う。 | ・M&A等の実施により年間50億円の売上収益増加 ・2028年度末までに投資金額100億円を想定 |
②BPRコンサルおよびAIエージェントの提供 | AIテック企業(AVILEN社)との連携によるAIエージェントの開発及び提供拡大 | ・年間50億円の売上収益拡大 現場視点での業務プロセスの改善提案及び継続運用の受注を図る。 BPRコンサルタントを2025年度末の200名から400名に増強する。 |
(同社の想定など)
深刻な労働力不足による自社内での人材確保の限界と、DXの加速に伴うデジタル技術を活用した業務効率化へのニーズから、5兆円を超すと見られる国内BPO市場が拡大している。同社ではこのうち、ITインフラ系を除いた、約1.6兆円、年成長率2.5%の業界特化BPO・専門業務特化BPO、コンタクトセンター周辺BPO領域をターゲットとし、独自の成長モデルにより、ビジネスの拡大を目指す。
5.今後の注目点
売上収益の8割強を占めるSC業務において、2029年2月期は2026年2月期比200億円増の1,450億円を目指している。
この200億円増に向けた取り組みの中でも最も重要なものが、「AIを活用したコンタクトセンターの自動化」であろう。
「AIの登場は、コンタクトセンター事業者にとって逆風」との声もあるが、「AI単独では、インターネット上の情報だけに基づいたエンドユーザー対応には限界がある」「一部の先進的な企業を除く多くの企業では技術力・資金力の制約から、自身でのAI活用は難しい」ことなどから、同社では逆風ではなく、受託案件数拡大の大きなビジネスチャンスと認識している。
そこで重要な役割を担うのが、回答の自動生成に特化した生成AIと、ナレッジの自動生成に特化した生成AIをプロセスに組み込むことで、応対の通話データからナレッジベースを自動生成する技術・仕組みを搭載した同社独自開発の自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop(HOL)」である。HOLは第1弾ソリューション「Knowledge Generator」の開発が完了し、第2弾、第3弾としてそれぞれ、テキストによる高度自動応答、音声による高度自動応答のリリースを予定している。大規模コンタクトセンター保有企業を中心にサービス導入数を着実に拡大させることで、2029年2月期には売上収益100億円、導入社数50-60社程度、粗利率は従来型コンタクトセンター業務の約2倍を目指しており、スケールのみならず、自動化・高付加価値化による収益性の大幅な向上も見込んでいる。従来の「アウトソーサー」から企業の「戦略的パートナー」への進化を目指すために絶対不可欠なHOLの進捗を注視していきたい。
<参考1:中長期成長シナリオ>
生成AIの登場及び急速な進化により同社を取り巻く市場環境は大きく変化しているが、同社では自社の強みや競争優位性を活かし、持続的な成長を図るべく、以下のような中長期の成長シナリオを掲げている。
【1 事業環境の変化と同社の現況】
(1)事業環境の変化
コンタクトセンター市場は、それまで6%程度であったCAGR(年平均成長率)が、2019年度以降は2%程度に低下している。
(CAGRは同社資料を基にインベストメントブリッジが計算)
コロナ禍を経てデジタル化が進み、コンタクトセンターはヒトを中心とした対応から、テクノロジー活用型への移行が進んでいる。今後は、デジタル化対応および生成AI等の活用が加速することが確実で、人的資産による電話対応を中心とした従来型コンタクトセンター業界には逆風が吹いている。
加えて、国内における生産年齢人口の減少傾向により、一部の業界では労働需給の逼迫が進んでいる。コンタクトセンター運用企業においても、将来的には人材の確保が困難になることが見込まれる。
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(同社資料より)
(2)同社の現況と今後
こうした事業環境の大きな変化の中、同社はコロナ禍を境に成長率が鈍化し、2019年度以降、コロナ等国策関連業務を除く基礎業務の売上収益の年平均成長率は2.5%とコロナ禍以前の7.1%に対し減速している。
営業利益率も2019年度以降、8%を大きく上回っていたものの、2023年度の営業利益率は7%台に低下し、2024年度も利益率の改善は限定的であった。
同社の事業ポートフォリオにおいては、コンタクトセンター業務の構成比が8割を占めており、前述したコンタクトセンター市場の停滞は今後の成長に対する懸念材料ともなっている。
そうした状況下、同社では、生成AIを活用するとともに、VOC(Voice of Customer:顧客の声)を活用した更なる付加価値創出により、ビジネスを拡大させることを目指していく。
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(同社資料より)
【2 変化する事業環境への対応方針】
前述の市場環境の下、同社では「1.外注化ニーズへの対応」「2.生成AIの活用」「3.マーケティング支援」の3つを成長エンジンと位置付けている。それぞれのエンジンにおいて自社の強みを活かして成長を追求する。

(同社資料より)
(1)外注化ニーズへの対応
(概要)
内製でコンタクトセンターを運営する企業は人材難の中、限られた人員をコア業務にシフトさせることになる。その結果、自社のサービスや製品への問い合わせ対応等が難しくなり、内製コンタクトセンター業務は外注化の方向へ向かうことが予想される。
既に外注化ニーズは顕在化している。同社における基礎業務のクライアント企業数は2015年度の1,097社から2024年度は1,586社まで拡大している。特に取引額の中位層、下位層での増加が顕著である。
同社では内製コンタクトセンター市場は1.4兆円と推計している。

(同社資料より)
(同社の強み)
3万人のオペレーターを有しており、今後のクライアント企業数の増加にも対応は十分可能である。また、創業以来40年に亘って、多種多様な業種・業態で培われたコンタクトセンター運営の知見を蓄積しており、業種業態を問わない業務支援も可能である。
ノウハウの属人化を廃し、誰が担当しても一定水準以上の成果を出せる運用体制を実現することを目指した業務の標準化・マニュアル化である「型化メソッド」も同社の大きな強みである。

(同社資料より)
(目標、具体的な取組み)
新規案件を積極的に取り込み、「2030年度 クライアント企業数2,500社」を目指す。
具体的な取り組みは以下の通り。
・ | 最新情報やサービスに関するウェビナーを過去4年で130回以上開催し、累積1万人超が参加。今後もさらに発信機会を増やし企業認知度引き上げを図る。 |
・ | 2025年1月に(株)スカパー・カスタマーリレーションズ(SPCC)」を子会社化したようなカーブアウト案件の取り込みやロールアップ戦略(連続的に同じ業界の企業を買収していくこと)を推進し、コンタクトセンターアウトソーサーを取り込む。 |
・ | 伊藤忠商事、TOPPANといった主要株主および同グループ会社等のネットワークを活用し、幅広い業種・業態からコンタクトセンター案件、スマートビジネスサポート(SB)業務を獲得する。 |
・ | 「型化メソッド」を活用し、経理や人事などのクライアント企業の社内業務、バックオフィス業務などノンコア業務を受託する。コンタクトセンター業務に加えて、スマートビジネスサポート(SB)業務を拡充し、クロスセル・アップセルにより1クライアント企業あたりの取引規模の拡大を図る。 |

(同社資料より)
(2)生成AIの活用
(概要)
従来型のオペレーター(ヒト)が対応するコンタクトセンター業務において、オペレーターは高いスキルを持つものの、処理能力には限界があり、生成AIの登場は脅威との認識もある。
これに対し、同社では、生成AIを脅威ではなく、生成AIの活用が処理能力を飛躍的に向上させた次世代コンタクトセンター実現に向けたカギと認識している。
同社が考える次世代コンタクトセンターとは、問い合わせには生成AIが自動で応答し、生成AIでは対応できないケースはオペレーターが回答するというもの。
ヒトが対応する従来型コンタクトセンターと比較すると、コンタクトセンターの運営コストが低下するとともに、先述した外注化ニーズの取り込み等によるクライアント企業数の拡大により、同社の利益領域は拡大し、利益率は大きく向上するものと見込んでいる。

(同社資料より)
(同社の強み)
ただし、生成AIを活用し次世代コンタクトセンターを構築するには、適切で優秀な生成AIを導入するだけでは不十分で、一般的な知識ではなく個別企業の個別問い合わせに対応した膨大かつ質の高いデータが不可欠である。
同社には3万人のオペレーターが受電した年間5億コールから成る膨大なデータ(VOC、顧客の声)から導き出された知見が豊富にあり、大きな付加価値に繋がると考えている。
曖昧な問い合わせ内容も多いユーザーの生の声を効果的に引き出し・収集・分析することは、高いスキルを有するオペレーターのみ可能なプロセスであり、ヒトにしかできないやり取りを通じた原因の特定は、課題を解決し、顧客満足度を向上させるため、コンタクトセンター業務の要である。
同社では、前述の大量の通話データを基に、この原因特定プロセスを生成AIの学習データに用いて、高精度・良質なナレッジをデータベース(ナレッジデータベース)として構築することが可能である。
(目標、具体的な取組み)
生成AIを活用した次世代コンタクトセンターの早期実現を目指す。
そのための重要なプロセスの一つが、「生成AI活用によるナレッジサービス化」である。
新たなサービスや製品のリリース時、生成AIの事前の学習ナレッジは限られるため回答が困難となる一方で、膨大な問い合わせが発生する。そこで同社では、3万人のオペレーターがAIの学習に必要な通話データ(ナレッジ)を効率的に短期間で蓄積することで、生成AIの早期戦力化を進める。これを同社では「ナレッジサービス」と呼んでいる。
ナレッジサービスにおいては、オペレーターによる対応は生成AIの導入時に大きな比率を占め、AIの学習が進捗することで徐々にその比率は低下する。しかし、次の新サービスや新製品投入のタイミングでは、ナレッジの再収集が必要である。早期の収集、生成AIの教育には、高い融通性や臨機応変な対応力を有した多くのオペレーターが必要であり、同社のナレッジサービスは、生成AIを活用したコンタクトセンター運営に不可欠なものである。
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(同社資料より)
生成AIの導入・活用に向けては、既に様々な取り組みを進めている。
*生成AI Co-Creation Lab.を始動
24年6月、「生成AI」と「ヒト」のハイブリッド型コンタクトセンターの構築を目指し、参画企業間での事例共有などを行うユーザー企業参画型プログラム「生成AI Co-Creation Lab.」を始動した。
同プログラムでは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、生成AI開発の最前線を担う日本マイクロソフト株式会社、Google Cloud、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS)、データマーケティング領域の支援を行う株式会社シンカー、自然言語処理領域の支援を行うベクスト株式会社などの各社が持つAI技術や専門知見を活用し、生成AIを活用したコンタクトセンターの構築を目指す。
同社がユーザー企業とベンダー企業群のハブとなり、Pull型/Push型の双方向アプローチで生成AI活用事例の創出を加速する。

(同社資料より)
*「Hybrid Operation Loop」の製品開発をスタート
生成AI導入の際、課題となるナレッジ更新作業を自動化するシステムの開発に取り組んでいる。
日々の通話データからナレッジベースを自動生成するプロセスを構築することで、従来オペレーターが人力で行っていたナレッジマネジメントの負担を軽減しつつ、効率化を実現する。2025年度中には、このナレッジを自動応答用の生成AIに学習させることで、一部業務において自動応答を実現する次世代コンタクトセンターを構築する。
*ナレッジマネージャーの育成
次世代コンタクトセンターでは、問い合わせ対応は生成AIによる自動応答にシフトするため、オペレーターの一部は、生成AIの学習に必要な知識を選別し、生成AIへの教育を担うナレッジマネージャーに転換する。同社ではナレッジマネージャー業務の遂行に向けたリスキリングを徹底して支援する考えだ。
同社では、技術や人材を含む生成AI関連投資を2030年度までに300億円以上実施する計画である。
その他、技術者とオペレーター、ナレッジマネージャーを一元管理するために2024年にAI技術の導入・運営に特化した専門部署を設置したほか、AIに特化した専門人材を積極採用し、3年で約100人のAIコンサルタント/エンジニアを増員する計画であり、生成AI導入に向けた対応能力強化を図っている。

(同社資料より)
(3)マーケティング支援
(概況)
次世代コンタクトセンターで収集する膨大な知見とVOCを活用し、新たな付加価値を創出する。
生成AIによるVOCの目的に沿った自動収集により、消費者のニーズを把握し、マーケティングや広告宣伝といったクライアント企業の売上増加に繋がるマーケティング支援業務領域を開拓することで、コンタクトセンターをプロフィットセンター化する。
(同社の強み)
次世代コンタクトセンター実現のプロセスで生み出されるVOCデータの自動収集システムや、ナレッジマネージャーへと進化した多数のオペレーターを活用する。
(目標、具体的な取組み)
VOCの自動収集を起点としたデータ分析を実施する。クライアント企業のマーケティング部門に向け新サービスを提供し、売上収益拡大に繋げていく。
*事例
日本最大級の化粧品関連の総合情報サイトである「アットコスメ」を運営するアイスタイル社に、子会社シンカー社がマーケティング支援サービスを提供している。
生成AIを活用し、口コミデータから自動的に顧客のペルソナを作成している。膨大な口コミデータを顧客の関心やニーズなどの定量情報に変換することで課題や競争優位性の比較が可能となっている。
【3 成長戦略】
以上のような「1.外注化ニーズへの対応」「2.生成AIの活用」「3.マーケティング支援」の3つの成長エンジンにより、「2030年度 売上高2,500億円、営業利益率10%以上」を達成する考えだ。

(同社資料より)
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外5名(うち独立役員3名) |
監査役 | 3名、うち社外2名(うち独立役員1名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年5月29日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめ、クライアント、取引先、従業員等の当社および当社のグループ会社(これらを総称して、以下「当社グループ」といいます。)を取り巻く全てのステークホルダーと良好な関係を構築するとともに、その信頼を得ることが企業価値の最大化に不可欠であり、そのためにはコーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、経営の効率化を図りつつ、透明性と健全性を確保した企業運営に努めております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【補充原則4-1-3 最高経営責任者等の後継者計画の適切な監督】
取締役会は、最高経営責任者である代表取締役を兼務する社長執行役員の後継者の計画を定めておりませんが、ステークホルダーが最高経営責任者に期待する役割の重要性を認識しております。
「指名委員会」は、候補者が経営判断能力、経営者としての胆力、多角的な視野と先見性等の「取締役選解任基準」に定める「代表取締役候補者の選定基準」に合致しているかを含めて総合的に判断し、取締役会へ提案しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
純投資目的以外の投資を行う際は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社グループの事業における相乗効果が期待されるか否かによって投資の是非を判断することとし、縮減するか否かについても同様に相乗効果が期待されるかによって判断することを基本方針としております。さらに、個別の銘柄につき、経済合理性の観点から、配当の有無や業績不振の銘柄については、今後の業績の推移、回復可能性を検討し資本効率向上の観点からも縮減を含めた保有の是非を毎年検討いたします。
なお、当社が保有している上場会社の政策保有株式、1銘柄(貸借対照表計上額12百万円)について、取締役会において継続保有の是非を検証した結果、継続して保有することにいたしました。
また、政策保有株式に係る議決権の行使に関しては個別議案ごとに、投資先企業の中長期的な企業価値向上や株主還元向上につながるか、当社の投資目的である相乗効果が最大限発揮され、当社グループの企業価値向上に寄与するかどうかなどを総合的に判断し、行使することを基本方針としております。
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
(1)多様性の確保
当社は、企業理念(PURPOSE)に基づき、従業員の多様性を尊重し、あらゆる属性の人材が生き生きと働くことができる環境の整備、柔軟な働き方を実現できる人事制度の構築、自律的な成長をサポートする教育機会提供などの取り組みを積極的に行っております。
(2)女性
当社は、女性活躍推進を積極的に行っており、外部団体による各種表彰、及び外部認証を受けるなど実績が認められております。今後も働く環境の整備、経験蓄積機会の提供、自律的なキャリア形成支援を継続的に行い、各階層のパイプライン形成・各種女性比率向上に向けた活動を進め、将来的に経営の意思決定にかかわる女性社員を増やしていきます。
≪女性管理職比率目標:厚労省 女性活躍推進データーベース≫
「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」参照
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=11012
(3)外国人採用
当社は、海外子会社も含め、国籍を問わない多国籍な人材採用を進めており、正規・非正規問わず、3,000名以上が在籍し、国内外で活躍しております。当社の主たる事業ドメインは国内となりますが、今後の海外事業展開状況にあわせ、国籍・性別等にとらわれず能力・成果に応じた管理職登用を進めてまいります。
(4)中途採用
当社は、事業における即戦力の確保のため、積極的に中途採用(契約社員から正規雇用への転換含む)を行っており、在籍の約80%を中途採用者が占め、各階層・ポストにて活躍をしております。今後も中途採用を積極的に活用し、一層の多様性拡大に取り組んでまいります。
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み等】
当社は、サステナビリティ推進基本方針において、マテリアリティの特定と社会課題の解決、取締役会の役割等を明言したうえで、2023年4月12日に開示した「中期経営計画2025」においては、企業理念(PURPOSE)や経営戦略における重要テーマのほか、リスク・収益機会を踏まえた「我々と社会の共通する重要課題(マテリアリティ)」に対する中期目標を開示しております。
また、人的資本については、企業の持続的な成長のために、働く『人』と『環境』に積極投資を行うことで、社員のワークエンゲージメントを最大化させ、『“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある職場の実現』に取り組んでいます。人的資本の数的・質的向上を図ることによって、サービスの質を上げ、顧客に提供し、収益の向上につなげ、社会に還元する、というサイクルを確立し、企業理念(PURPOSE)の実現を目指しております。また、成果指標として、女性役員比率・女性管理職比率、人材育成のための研修投資、ローテーション人数などを収集・分析し、人的投資施策の磨き上げを行うことで、長期的かつ持続的な企業価値向上に努めております。
知的財産への投資については、「中期経営計画2025」においてCX(カスタマーエクスペリエンス)業務の深化を掲げており、AI等の先端技術に対して戦略的な投資を行っております。
気候変動に係るリスク及び収益機会は、自社の事業活動や収益等に与える影響が小さく、加えて事業活動による環境への負荷も小さいと想定しております。
一方で、気候変動問題は世界共通の課題であり、当社も経営の重要課題の一つとして捉えています。当社は、2022年4月開催の取締役会において、2025年、2030年、2040年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減率の具体的な目標値を策定し、決議いたしました。また、本目標値に対し、2024年1月に「SBTイニシアチブ」の認定を受けております。自社拠点への再生可能エネルギーの導入に加え、太陽光発電設備の設置など、温室効果ガス(GHG)削減に向けた取り組みを行っております。
今後は策定した目標値のモニタリングを行うとともに、各施策の企画や実行に関するガバナンスの仕組みを強化し、中長期の戦略やロードマップに適宜反映を行っていきます。
サステナビリティに関する取り組みについては当社ウェブサイトにおいて開示しております。
https://www.bell24.co.jp/ja/csr/
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、以下の方針に則り、当社が相当と認める範囲及び方法で株主との間で建設的な対話を行います。
(1) IR管掌執行役員(CFO)を指名し、かかる執行役員(CFO)が株主との対話全般を統括します。
(2) IR管掌執行役員(CFO)のもと、IR部門を設置し、これを中心に経営企画部門、経理・財務部門その他の関連部門と適切に情報交換を行い、有機的に連携します。
(3)個別面談の他、第2四半期及び通期の決算発表時における決算説明会、株主通信、当社ウェブサイト等を通じて、株主との対話の充実を図ります。
(4) 対話において把握された株主の意見等については、IR管掌執行役員(CFO)や関連部門に随時報告するとともに、必要に応じて取締役会に共有します。
(5) 対話にあたっては、フェア・ディスクロージャー・ルールを尊重し、情報伝達行為や取引推奨行為の禁止、インサイダー情報の再伝達を制限するための必要な措置を定めたインサイダー取引防止規程に従って対応します。
(6) 実質株主判明調査を実施し、実質株主の把握に努めます。
(株主との対話の実施状況)
上記「方針」のもと、IR部門が、説明会や個別面談等の多様なIR活動を通じ、株主の皆さまとの対話に努めています。2025年2月期はIR面談を延べ約180社と実施いたしました。また、2025年2月には、IR支援会社が主催する個人投資家向けの説明会を実施し、個人投資家との対話の機会を設けました。
昨今、株主・投資家からは、AI等の新技術を活用した新たな事業基盤の拡大や労働人口の不足によるアウトソーシング市場の拡大といった内容に強い関心が寄せられており、当社の優位性や新技術への取り組み、人的資本に対する投資の重要性を説明しています。株主および投資家より寄せられる中期経営計画期間およびその先の当社ビジネスの具体的な方向性やイメージに関する解説といった要望に対し、2030年を見据えたエクイティストーリー「中長期成長シナリオ」を開示するとともに、決算説明会において追加説明を行う等により、株主および投資家より理解を得ています。
また、当社と社会の共通する重要課題であるマテリアリティの中で最も重視している、『多様な人材が多様な働き方をできる環境の整備』については、役員の女性比率、管理職の女性比率、障がい者雇用率、育児休暇取得率に関して、目標とする指標を開示しております。
対話の場において株主・投資家から寄せられた意見や要望は、取締役会及び各部門長が参加する定例会議にて報告される事等により、経営陣とIR部門間で適宜共有されています。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
(方針・現状認識)
当社は、今後の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営が重要と考え、ROEを経営指標の一つとして導入するとともに、ROEが株主資本コストを上回る状態を維持することにより、資本収益性の向上を目指しております。
また、資本・財務戦略においては、事業を通じて確保したキャッシュフローを株主還元、成長投資、有利子負債の返済にバランス良く配分することで、企業価値向上に取り組んでおります。
なお、2025年2月期の株主資本コストは8%程度と認識しており、株主資本コストを上回るROE(2025年2月期11.7%、過去5期の平均13.7%)を実現できております。また、PBRについては、2025年2月末時点では1.3倍程度、過去5期においては期末時点で恒常的に1.0倍を上回っております。収益性の改善と成長期待の向上に取組むことにより市場評価の改善を進め、PBRの更なる向上を図ってまいります。
(具体的な取組み)
企業価値の継続的な向上に向けて以下の取組みを実施してまいります。
・収益拡大、利益率向上に向け、「中長期成長シナリオ」に沿った、新技術の活用によるサービスの高度化および事業基盤の拡大を目的とした各施策の実行および深化。
・財務健全性の維持に努めつつ、必要な成長投資を積極的に行うべく2024年2月期からの3年間で150億円以上の投資を予定。
・連結配当性向50%を基本方針とし、2025年2月期の配当金予想は、1株当たり60円。今後も利益の拡大を通じた増配の実現。
・中長期的な企業価値の向上に向け、役員株式報酬の業績連動指標にサステナビリティ項目(従業員エンゲージメントスコア、女性管理職比率、気候変動)を追加。
・市場評価の改善に向けて株主や投資家との建設的な対話の継続、対話機会の更なる拡充。
「中期経営計画2025」および「中長期成長シナリオ」については当社ウェブサイトで開示しております。
「中期経営計画2025」
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS07594/a27ed7b0/3735/4d24/94a6/74103b8e71b2/140120230412545930.pdf
「中長期成長シナリオ」
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS07594/a7e26954/d660/4148/84a1/6c6b213c3ce5/140120250409511440.pdf?_fsi=Kc8pSdTp
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