ブリッジレポート:(3778)さくらインターネット 2026年3月期決算
![]() 田中 邦裕 社長 | さくらインターネット株式会社(3778) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 情報・通信 |
代表者 | 田中 邦裕 |
所在地 | 大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 北館JAM BASE 3F |
決算月 | 3月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
3,025円 | 40,024,661株 | 121,074百万円 | 0.7% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
5.50円 | 0.2% | 21.24円 | 142.4倍 | 752.07円 | 4.0倍 |
*株価は5/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式及び株式給付信託(J-ESOP)の保有株式を控除。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主帰属利益 | EPS | DPS |
2023年3月(実) | 20,622 | 1,093 | 965 | 666 | 18.29 | 3.50 |
2024年3月(実) | 21,826 | 884 | 764 | 651 | 18.26 | 3.50 |
2025年3月(実) | 31,412 | 4,145 | 4,060 | 2,937 | 75.23 | 4.00 |
2026年3月(実) | 35,301 | -403 | 105 | 216 | 5.40 | 5.00 |
2027年3月(予) | 45,000 | 1,500 | 1,200 | 850 | 21.24 | 5.50 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。
さくらインターネット(株)の2026年3月期の概要と2027年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告いたします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期決算概要
3.2027年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26/3期の売上高は前期比12.4%増の353.0億円。注力領域であるGPUインフラストラクチャーサービスとクラウドサービスが成長を牽引して過去最高を更新した。営業損失4.0億円(前期は41.4億円の利益)。GPU関連の減価償却費及びその他サービス売上の販売用サービス原価等が増加して売上総利益率が前期35.8%から22.5%に低下、組織再編を伴う営業体制の強化等により販管費が18.0%増加した。配当は、5.00円/株の期末配当を実施する。
- 27/3期は前期比27.5%増収、営業利益は15.0億円を計画する。ガバメントクラウド正式採択を契機に、パートナーとの協業や戦略的アライアンスを通じて公共・エンタープライズ領域における販売チャネルを拡大し成長加速を図る。また、次の成長フェーズに必要な組織力強化のため、開発と販売が連動する組織へと再編し、AI活用を通じて顧客ニーズを即時に反映できる体制構築を進める。引き続き注力事業であるGPUインフラストラクチャーサービスとクラウドサービスの成長により、営業利益は15.0億円(前期は4.0億円の損失)と大幅な回復を見込んでいる。
- 26/3期は大型案件のサービス終了と投資先行により利益面において苦戦した。それでも4Qにはしっかりと営業黒字を確保して27/3期黒字転換への布石をしっかりと整えたといえる。国内AI市場は急速に拡大している。国産唯一のガバメントクラウド事業者に正式に採択されたこともあり、クラウドサービスの利用拡大については同社も相当の自信を持っていることがうかがえた。また、GPU基盤への投資にあたっては経済産業省による575億円の助成もあり大規模な投資も可能となった。引き続き、高い売上成長が継続するだろう。加えて、今回の決算発表にあたっては投資を吸収しながらの増益基調も描けてきたといえるだろう。今後の利益を伴った高い売上成長を考慮すると株価は割安な水準にあると見ている。
1.会社概要
東京(西新宿、東新宿、代官山:フロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアで運営しているデータセンターを活かし、クラウド・インターネットインフラサービスを提供している。24年1月よりGPUクラウドサービス(26/3期よりGPUインフラストラクチャーサービスと定義)を提供開始。また、26年3月から国内唯一のガバメントクラウド認定企業となった。インフラを自社で保有することで高収益を追求、稼働率を上げ固定費リスクを軽減している。
【ビジョン】
「やりたいこと」を「できる」に変える | |
インターネットにできることは何だろう。ネット黎明期よりその問いを追いかけ、1台のサーバーから衛星データへと事業を広げていきました。インターネットには人と社会を幸せにする力があると信じて、未来のあるべき姿を思い描きながら、あらゆるアプローチを提供します。 | |
ビジョンの実現に向けて
インターネットの普及によって社会は急速に発展を遂げ、そのスピードは今後ますます加速していくことが予想される。変化の激しい時代でありながらも、多くの人がやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくっていくために同社が注力しているテーマは以下の通り。
Ⅰ.ESとCSの実現
ES:エンプロイーサクセス。社員の成功やありたい姿を実現するための取り組み、及び考え方
CS:カスタマーサクセス。顧客を成功に導くための取り組み、及び考え方
ESの方針
人材の成長と成功を導く「5つの柱」
1.人材育成と学び合う文化づくり
2.心と体の健康
3.多様な人材の活躍促進
4.チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
5.フレキシブルな働き方
CSの方針
ビジョンを語り合う関係性 |
さくらインターネットが一番大切にしているのは、お客さまとともにビジョンを語り合い、思いを共有する関係性です。お互いに気兼ねなく話せる信頼関係を築くことができて初めて、本当にやりたいことへの挑戦ができるのだと思います。ただサービスを提供するだけでは終わらず、変化し続ける事業に対して、やりたいことを一緒にやりましょうと声を掛け合う。そして掴んだ成功をお客さまと一緒に喜ぶことが、当社のカスタマーサクセスです。 |
人と人のつながりを太く結ぶ |
お客さまと長期的なお付き合いをしていくためには、人と人とのつながりが欠かせないと考えています。サービスの使い方を学び合う勉強会は、まさに距離を近づけるための場です。今までは聞きづらかったようなことを聞きやすくして、わたしたちからも一歩踏み込んだサービスを提案させていただく。そして、良い知らせも悪い知らせも一緒に向き合っていける状態をつくり、連続的な支援によってお客さまの大きな成功を生み出していきます。 |
Ⅱ.クラウドビジネスへの集中
デジタル庁設立に象徴されるような国の取り組みをはじめ、地方自治体や民間企業においてもDX推進を掲げるデジタル時代が到来している。この大きなビジネスチャンスに踏み出していくには、会社のあり方を大きく変革することが必要だと考えた。それが「クラウドビジネスへの集中」。
物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へと変革し、クラウドサービスの機能強化、ソフトウェアサービスの開発などに注力している。さらに、サーバーに詳しいこれまでの顧客層から裾野を広げ、デジタルを熟知していない個人や企業にもサービスの提供範囲を広げていき、誰もがインターネットで「やりたいこと」を「できる」に変えられるよう支援する。
Ⅲ.さらに成長するための重点テーマ
さくらインターネットが社会の変化に対応してデジタルを主軸とした課題解決を提供できるよう、注力するテーマを設定。
デジタル化 |
デジタル化は効率化という文脈で語られることが多いですが、生活、ビジネス、社会のあり方そのものを変える力があります。デジタルを主軸にしながら、日本が抱える低成長などの課題を解決していくことが、わたしたちの命題です。 |
スタートアップ |
高い熱量をもちながら、精神的にも、考え的にも、新しい人が世界の常識を壊して、よりよい世の中にしてくれると信じています。さくら自身もスタートアップとして始まったので、事業で得られた知見や資金を次世代のスタートアップに投資して挑戦を応援します。 |
地方創生 |
リモートワーク前提の働き方に転換するとともにオフィスを東京に集中させず、全国各地に拠点を構えて地域の人材を雇用しています。また、その土地ならではのデジタル化がより活発になるよう、地域の方々との交流を通じて取り組んでいきます。 |
教育 |
誰でもITを活用できるように、そして活発なコミュニティが生まれるように。社員に限らず、これからクラウド化に取り組む一般企業の方、ITの学びを深めたい学校の先生、次世代を担う子どもたちなど、広範囲に渡る教育体制の構築を目指していきます。 |
【事業内容】
事業は、クラウドサービス(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、GPUインフラストラクチャーサービス、物理基盤サービス、及び子会社事業等のその他サービスに分かれる。GPUインフラストラクチャーサービスは25/3期から新たに加わった(当初はGPUクラウドサービス)。26/3期の売上構成比は、クラウドサービス43.4%(うち、クラウドインフラストラクチャー30.0%、クラウドアプリケーション13.4%)、GPUインフラストラクチャーサービス23.1%、物理基盤サービス8.7%、その他サービス24.9%。
クラウドサービス
幅広いサービスラインアップを提供して培ってきた同社の技術力・ノウハウを活用し、顧客の利用シーンや成長フェーズに合わせた新たなクラウドサービスの開発を加速させている。
クラウドインフラストラクチャー
仮想化技術により、物理サーバー上に複数の仮想サーバーを構築し、そのひとつひとつが専用サーバーのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバー1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバーの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)等を提供。
クラウドアプリケーション
同社が所有する物理サーバーと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)をはじめとした、自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供。
GPUインフラストラクチャーサービス
24年1月からサービスの提供を始めた。25/3期から独立した事業として加わり、高性能なGPUを利用可能な生成AI向けクラウドサービス「高火力シリーズ」を提供。大企業やAIメガベンチャー、研究機関だけでなく、AIアプリケーション開発者や機械学習のスポット利用者など多様なニーズに応える。
物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス、及び同社が所有する物理サーバーを専用で利用できる専用サーバーサービスがある。
その他サービス
官公庁からの受託案件、システムインテグレーション及びシステム開発、並びにドメイン取得代行やSSL証明書などのセキュリティ関連サービス等の上記サービスに付随するサービスが含まれている。
【強みとこだわり】
顧客の成功を支えることに強いこだわりを持っている。その原動力は、さくらインターネットがエンジニアリング主導の会社であり、新しいビジネスへの挑戦に深い共感があること。常識的な回答や会社としての規格に縛られず、やりたいことの実現にまっすぐ向かう。
長年の実績による強みと、さくららしさが感じられるこだわりは以下の通り。
~開発からサポートまで、オールインワンの体制
~先進技術の実用化を図るエンジニア
~自走できるように使い方をレクチャー
~お客さまの成功を軸に幅広くご提案
~多くのユーザーに支持されている国産パブリッククラウド
2.2026年3月期決算概要
2-1 連結業績
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 前期比 | 会社予想 | 予想比 |
売上高 | 31,412 | 100.0% | 35,301 | 100.0% | +12.4% | 35,200 | +0.3% |
売上総利益 | 11,230 | 35.8% | 7,956 | 22.5% | -29.2% | - | - |
販管費 | 7,084 | 22.6% | 8,360 | 23.7% | +18.0% | - | - |
営業利益 | 4,145 | 13.2% | -403 | - | - | -500 | - |
経常利益 | 4,060 | 12.9% | 105 | 0.3% | -97.4% | 10 | +954.8% |
親会社株主帰属利益 | 2,937 | 9.4% | 216 | 0.6% | -92.6% | 130 | +66.2% |
* 単位:百万円、会社予想は2026年2月時点の予想。
12.4%増収、営業損失4.0億円、売上高は過去最高
売上高は前期比12.4%増の353.0億円。注力領域であるGPUインフラストラクチャーサービスとクラウドサービスが成長を牽引して過去最高を更新した。
営業損失4.0億円(前期は41.4億円の利益)。GPU関連の減価償却費及びその他サービス売上の販売用のサービス原価等が増加して売上総利益率が前期35.8%から22.5%に低下、組織再編を伴う営業体制の強化等により販管費が18.0%増加した。
配当は、5.00円/株の期末配当を実施する。
サービスカテゴリー別売上高
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 前期比 | |
クラウドサービス | 14,006 | 44.6% | 15,324 | 43.4% | +9.4% | |
内訳 | クラウドインフラストラクチャー | 9,659 | 30.7% | 10,599 | 30.0% | +9.7% |
クラウドアプリケーション | 4,347 | 13.8% | 4,724 | 13.4% | +8.7% | |
GPUインフラストラクチャーサービス | 6,771 | 21.6% | 8,144 | 23.1% | +20.3% | |
物理基盤サービス | 3,294 | 10.5% | 3,056 | 8.7% | -7.2% | |
その他 | 7,339 | 23.4% | 8,776 | 24.9% | +19.6% | |
合計 | 31,412 | 100.0% | 35,301 | 100.0% | +12.4% | |
* 単位:百万円
なお、26/3期から、GPUをクラウド型で提供するサービスについては「クラウドサービス」として計上。GPUをベアメタル型で提供するサービスについては、「GPUインフラストラクチャーサービス」として新たに定義している。
生成AI向けサービス区分を以下のように再整理。

(同社説明資料より)
営業利益の変動要因

(同社説明資料より)
財政状態
| 25年3月 | 26年3月 |
| 25年3月 | 26年3月 |
流動資産 | 41,744 | 26,255 | 流動負債 | 40,347 | 33,854 |
有形固定資産 | 33,469 | 46,722 | 固定負債 | 10,814 | 18,266 |
無形固定資産 | 1,259 | 2,018 | 株主資本 | 29,931 | 30,072 |
投資その他 | 4,945 | 7,455 | 純資産 | 30,257 | 30,329 |
固定資産 | 39,674 | 56,195 | 負債・純資産合計 | 81,419 | 82,451 |
* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
26/3期末の総資産は前期末との比較で10.3億円増加し824.5億円。主な要因は、生成AI向けサービス用機材及びコンテナ型データセンター等の有形固定資産の増加等によるもの。負債は同9.5億円増加し521.2億円。主な要因は、石狩データセンター増床やサービス用機材にかかるリース債務及び生成AI向けサービス用機材にかかる借入金の増加等によるもの。純資産は0.7億円増加し303.2億円。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるもの。自己資本比率は36.5%(前期末36.9%)。
キャッシュ・フロー
| 25/3期 | 26/3期 | 前期比 | |
営業CF(A) | 5,787 | 6,223 | 436 | +7.5% |
投資CF(B) | -8,323 | -24,643 | -16,319 | - |
フリーCF(A+B) | -2,535 | -18,419 | -15,883 | - |
財務CF | 26,763 | 4,319 | -22,444 | -83.9% |
現金等残高 | 29,489 | 15,394 | -14,094 | -47.8% |
* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
26/3期末の現金及び現金同等物は、前期末比140.9億円減少し、153.9億円となった。
営業CFは、売上債権の減少や減価償却費の増加により収入が増加した。
投資CFは、生成AI サービス用機材等の有形固定資産の取得により支出が増加した。
財務CFは、前期に株式の発行による収入があったことにより収入が減少した。
設備投資・人員
投資は予算401億円に対して368億円。内訳はデータセンター109億円(予算107億円)、サーバー、ネットワーク機器256億円(同290億円)、その他(システム、事務所関連等)2億円(同3億円)。サーバー、ネットワーク機器の内、生成AI向けは197億円。生成AI向けGPUインフラストラクチャーサービス提供拡大に向けた早期のGPU確保とデジタルインフラへの積極投資を実行し需要拡大へ先手を打つ。サービス提供基盤となるコンテナ型データセンターの構築が完了した。
人員については、期末のグループ従業員数が1,135名と前期末との比較で138名増加した。
2-2 第4四半期(1-3月)連結業績
| 25/3 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 26/3 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 前四半期比 |
売上高 | 5,935 | 7,335 | 8,125 | 10,015 | 7,492 | 8,139 | 8,393 | 11,277 | +34.4% |
売上総利益 | 1,698 | 2,650 | 2,966 | 3,914 | 1,543 | 1,604 | 1,889 | 2,918 | +54.5% |
営業利益 | 231 | 1,064 | 1,289 | 1,560 | -457 | -463 | -196 | 713 | - |
経常利益 | 95 | 1,006 | 1,386 | 1,571 | -438 | -373 | 12 | 905 | +7,334.7% |
四半期純利益 | 41 | 668 | 932 | 1,295 | -324 | -302 | 75 | 767 | +912.8% |
EBITDA | 1,032 | 2,212 | 2,712 | 3,127 | 1,205 | 1,463 | 2,049 | 3,664 | - |
売上総利益率 | 28.6% | 36.1% | 36.5% | 39.1% | 20.6% | 19.7% | 22.5% | 25.9% | - |
営業利益率 | 3.9% | 14.5% | 15.9% | 15.6% | - | - | - | 6.3% | - |
* 単位:百万円
前四半期比34.4%の増収、営業黒字に転じる
4Qの売上高は前四半期比34.4%増の112.7億円。営業利益は前四半期損失から黒字転換して7.1億円。
また、サブスクリプション型売上の主要KPIとして、22/3期からARR(Annual Recurring Revenue:四半期の各月MRR(Monthly Recurring Revenue)を合算後に4倍して算出)を開示している。26/3期4QのARRは153.9億円となり、前年同期(140.8億円)との比較で9.3%増加した。
サービス別売上高
| 25/3期 | 26/3期 | 前四半期比 | ||||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | ||
クラウドサービス | 3,368 | 3,444 | 3,543 | 3,650 | 3,698 | 3,810 | 3,863 | 3,951 | +2.3% |
クラウドインフラストラクチャー | 2,346 | 2,370 | 2,436 | 2,506 | 2,529 | 2,623 | 2,678 | 2,769 | +3.4% |
クラウドアプリケーション | 1,021 | 1,074 | 1,107 | 1,144 | 1,169 | 1,187 | 1,185 | 1,182 | -0.2% |
GPUインフラストラクチャー | 497 | 1,742 | 1,834 | 2,697 | 1,363 | 1,456 | 1,818 | 3,505 | +92.8% |
物理基盤サービス | 825 | 820 | 825 | 822 | 802 | 775 | 754 | 724 | -4.0% |
その他サービス | 1,243 | 1,328 | 1,922 | 2,844 | 1,627 | 2,095 | 1,957 | 3,095 | +58.1% |
* 単位:百万円
売上原価の内訳
| 25/3 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 26/3 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
賃料 | 325 | 323 | 363 | 472 | 474 | 485 | 484 | 485 |
減価償却費・リース料 | 1,080 | 1,303 | 1,384 | 1,594 | 1,640 | 1,802 | 1,980 | 2,669 |
労務費 | 1,025 | 1,082 | 1,193 | 1,472 | 1,396 | 1,368 | 1,328 | 1,450 |
通信費 | 405 | 388 | 389 | 412 | 397 | 379 | 379 | 414 |
電力費 | 266 | 342 | 327 | 318 | 336 | 339 | 328 | 357 |
修繕費 | 218 | 214 | 265 | 301 | 443 | 535 | 574 | 585 |
販売商品原価等 | 495 | 607 | 710 | 745 | 583 | 574 | 1,007 | 1,935 |
その他 | 419 | 423 | 525 | 784 | 675 | 1,048 | 421 | 459 |
* 単位:百万円
2-3 振り返り
クラウドサービスの「さくらのクラウド」がガバメントクラウドに正式採択
生成AIサービスはサービスラインアップ拡充と営業体制強化により複数の大口案件を獲得
成長戦略の実践 | 成長戦略を支える基盤強化 | ||
AI需要を捉えるGPU基盤とクラウド強化を推進 | 成長機会を捉え、ヒト・モノ両面に投資 | ||
クラウド サービス | ●26年3月、ガバメントクラウドに正式採択 技術開発強化や人員確保を進めたことで仮認定から正式採択へ移行。これにより、今後の公共・エンタープライズ領域での提案機会が拡大 ●パートナー連携とクラウド検定を通じ、顧客、パートナーと共に成長するエコシステムを構築 【取り組み実績】 ・さくらのクラウドセールスパートナー 公開数:73 社(3月末時点) ・さくらのレンタルサーバ取次店数:2,000店以上 ・さくらのクラウド検定 開催:4回 ・公式オンライン教材登録者:3,800 名超 | 人材 | ●エンジニア・営業・マーケティング人材を中心に145名(内定者含む)を採用し、26年3月末の連結従業員数は1,135名 ●採用人材と社内異動を組み合わせ、成長事業に人材を配置することで組織の基盤体制を強化 |
生成AI サービス | ●B200 GPU 約1,100基を国内大手企業向けに提供開始(2月) ●既存のH100、H200 GPUも営業体制強化により稼働率は改善 ●学習から推論まで、様々な用途に対応したサービスを展開 【ラインアップ拡充実績】 高火力 VRT、さくらのAI、さくらONE等 | 設備投資 | ●生成AI向けGPUクラウドサービス提供拡大に向けた早期のGPU確保とデジタルインフラへの積極投資(約275億円)を実行し、需要拡大に先手 ●サービス提供基盤となるコンテナ型データセンターの構築が完了 |
3.2027年3月期業績予想
3-1 連結業績予想
| 26/3期 実績 | 構成比 | 27/3期 予想 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 35,301 | 100.0% | 45,000 | 100.0% | +27.5% |
営業利益 | -403 | - | 1,500 | 3.3% | - |
経常利益 | 105 | 0.3% | 1,200 | 2.7% | +1,037.7% |
親会社株主帰属利益 | 216 | 0.6% | 850 | 1.9% | +293.5% |
* 単位:百万円
27/3期は前期比27.5%の増収、営業利益は15.0億円の黒字に転じる見通し
27/3期は、売上高が前期比27.5%増の450億円、営業利益は15.0億円(前期は4.0億円の損失)を計画する。ガバメントクラウド正式採択を契機に、パートナーとの協業や戦略的アライアンスを通じて公共・エンタープライズ領域における販売チャネルを拡大し成長加速を図る。また、次の成長フェーズに必要な組織力強化のため、開発と販売が連動する組織へと再編し、AI活用を通じて、顧客ニーズを即時に反映できる体制構築を進める。さらには、組織一体となって、顧客への提供価値を高めるべく、行動指針の改定も行い、顧客価値創造を重視した文化への転換を進めている。これらの取り組みを通じて、社員の成功(ES)と顧客の成功(CS)の双方を実現し、将来的には国産デジタルインフラとして選ばれる存在となることで、日本の未来を支えるデジタルインフラトップ企業を目指す。
引き続き注力事業であるGPUインフラストラクチャーサービスとクラウドサービスの成長により、営業利益は15.0億円(前期は4.0億円の損失)と大幅な回復を見込んでいる。
配当は、前期比0.50円/株増配の5.50円/株の期末配当を予定。
サービスカテゴリー別予想売上高
| 26/3期 | 構成比 | 27/3期予想 | 構成比 | 前期比 | |
クラウドサービス | 15,324 | 43.4% | 17,600 | 39.1% | +14.9% | |
内訳 | クラウドインフラストラクチャー | 10,599 | 30.0% | 12,850 | 28.6% | +21.2% |
クラウドアプリケーション | 4,724 | 13.4% | 4,750 | 10.6% | +0.5% | |
GPUインフラストラクチャーサービス | 8,144 | 23.1% | 18,400 | 40.9% | +125.9% | |
物理基盤サービス | 3,056 | 8.7% | 2,400 | 5.3% | -21.5% | |
その他 | 8,776 | 24.9% | 6,600 | 14.7% | -24.8% | |
合計 | 35,301 | 100.0% | 45,000 | 100.0% | +27.5% | |
* 単位:百万円
営業利益の変動要因

(同社説明資料より)
・投資はクラウドサービスを中心として売上成長に伴う機材投資やリプレイスを予定している。機材調達価格の上昇も考慮して198億円を計画している。
次世代GPU投資については検討中。
・採用は60名を予定。中長期の事業成長を担う人材基盤を強化する。
3-2 中期的経営方針と27/3期の重点施策
より一層コアビジネスに注力し、リソースを集中して事業の強化・成長を促進する。クラウドビジネスの深化と成長分野での領域拡大で新たな成長軌道へシフトしていく。
24/3期にはクラウドサービスへの集中と新たな成長領域を創出した。
25/3期からは新たな成長領域へ挑戦している。AI向けGPU基盤提供により収益を拡大させ、クラウドサービスの強化を加速させている。
長期的な展望としては、デジタルインフラトップ企業を目指す。
成長戦略の全体像
![]() (同社説明資料より) | 共創型エコシステムの拡大 ●パートナー戦略の強化 パートナーとの協働を通じて、新たな顧客層獲得を推進 ・さくらのレンタルサーバ取次店制度 ・さくらのパートナーネットワーク ・日本GPUアライアンス
●アライアンスの推進 国内AIインフラの選択肢拡大と ガバメント・ソブリン領域を見据えた連携 ・日本ビジネスシステムズ株式会社と行政システムのデジタル化推進における活動の基本合意書を締結(3月) ・株式会社三菱総合研究所とデジタルガバメント×ソブリン領域の協業検討を開始(4月) ・日本マイクロソフト株式会社と国内AIインフラの選択肢拡大に向け協業(4月) |
27/3期の重点施策
国内唯一のガバメントクラウド×大規模GPU基盤により、
国産デジタルインフラの中核プレイヤーとして、成長機会を最大化する体制を整備する。
成長戦略の実践 | 成長戦略を支える基盤強化 |
営業力強化とパートナー戦略を軸に 社内でのAI活用により案件創出力を強化する | 成長機会を捉えた戦略的投資と 需要変動に即応する体制を構築していく |
●顧客ニーズを迅速に反映できる開発・販売が連動した組織体制へ再編 ●共創型パートナーエコシステムと戦略的アライアンスによる販売チャネルの飛躍的拡大 ●通期を通じ、社内でのAI活用を推進。新規顧客獲得力を高め、LTVの最大化を実現 | ●これまで投資してきたGPU・データセンター・人材基盤を活かし、成長領域への重点的かつ効率的な資本配分を推進 ●新規投資は市場動向を見極めながら判断し、既存データセンター資産の活用で、最新GPU提供への柔軟かつ迅速な対応力を確保 |
クラウドサービスの方針
同社の“戦略的な強み”と“共創型エコシステム”を掛け合わせ、顧客価値と市場開拓の両輪で成長を最大化させる。
~既存顧客への価値最大化(信頼と深化)~
●戦略提案と技術支援による“共感型” 課題解決体制の構築
●アップセル・クロスセルを通じた“関係深化型”拡張モデルの推進
~新規顧客へのアプローチ(機会創出と領域拡大)~
●パートナー共創による新領域への戦略展開
●課題起点での“価値共鳴型”リード創出
ただ「売る」ではなく「共に価値をつくる」、顧客起点で未来の需要を創出する進化型ソリューション営業を推進
生成AI向けサービスの方針
~高付加価値型生成AIインフラで、収益性と成長を両立する提供モデルへ進化~
通期に向けた成果の最大化を見据え、重点施策を着実に推進する。
提供価値の深化と、提案力・展開力の強化により、持続的な成長を実現させる。
~GPU資源の提供価値の向上~
国内リーディングカンパニーとしての強みを活かし、競争優位なGPUリソースと柔軟なクラウド基盤により収益性の高い生成AIインフラサービスへと進化させる。
●高付加価値サービスで収益性を向上
●GPUリソースの価値最大化
~売る力の向上~
AIエキスパートチームを中心とした全社横断体制を構築する。再販パートナーとの連携拡大により、顧客獲得力を強化する。
●全社横断の体制を構築
●再販パートナーとの連携による売上向上

(同社説明資料より)
投資状況と今後の投資スケジュール
生成AI向けサービスにおいて31/3期まで1,130億円の投資を計画している。これまで521億円の投資を実行した。
次世代GPU・データセンター投資は引き続き計画的に推進予定。27/3期は既存GPU資源の安定稼働を最優先し、市場動向を踏まえ追加投資を検討している。
投資スケジュール

(同社説明資料より)
3-3 ESG経営への取り組み
サステナブルな企業経営の実現を目指す
主な取り組み
Environment | 環境 | 再エネ100%運用の生成AI向けコンテナ型データセンターが稼働開始(2025年6月) |
Social | 社会 | 学生や企業に向けたデジタル分野の人材育成 |
Governance | 統治 | 情報セキュリティの維持・向上、コーポレート・ガバナンスの強化 |
4.今後の注目点
26/3期は大型案件のサービスが終了し、GPUインフラストラクチャーサービスの売上成長に遅れが生じたことによる減額修正と投資先行の1年となり特に利益面において苦戦した。それでも4Qにはしっかりと営業黒字を確保して27/3期黒字転換への布石をしっかりと整えたといえる。国内AI市場は急速に拡大している。国産唯一のガバメントクラウド事業者に正式に採択されたこともあり、クラウドサービスの利用拡大については同社も相当の自信を持っていることがうかがえた。また、GPU基盤への投資にあたっては経済産業省による575億円の助成もあり大規模な投資も可能となった。
ESG経営への取り組みにも注目。特に昨年完成した再エネ100%運用の生成AI向けコンテナ型データセンターは市場の強い需要に応えたうえでの脱炭素型の建物であり、高く評価できるだろう。また、人的資本経営への取り組みにより、人材獲得もスムーズに遂行することができるだろう。すぐに業績には現れないが、こうした取り組みは同社の成長力を高めることになる。
引き続き、高い売上成長が継続するだろう。加えて、今回の決算発表にあたっては投資を吸収しながらの増益基調も描けてきた。株価は低調に推移しており、24年高値の3分の1の水準にある。しかし、今後の利益を伴った高い売上成長を考慮すると割安な水準にあると見ている。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成(2026年3月31日時点)
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外3名(うち独立役員3名) |
監査役 | 3名、うち社外3名(うち独立役員2名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年7月1日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4-1 【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方・自主的かつ測定可能な目標とその状況>
当社は、すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、年齢・性別・国籍などの属性に区別なく、多様性を尊重した組織づくりを進めております。多様なバックグラウンドを持つ社員が、それぞれの価値観をお互いに認め合いながら協働・共創することは、新たな価値観の創出やイノベーションにつながると考えており、当社はこれを通じて、グループ全体の持続的な成長とお客さまへの価値提供、ならびに社会への貢献を目指しております。
(1)女性社員の管理職への登用
当社は、2026年3月までに全管理職に占める女性の割合を、全社員における女性比率(2025年3月期:26%)と同程度に引き上げることを目標としております。しかしながら、成長戦略に伴う大幅な人員増の中で女性の中途採用者が増加した一方、管理職に占める女性の割合は2025年3月末時点で14%にとどまっており、目標との差が生じている状況です。今後は、女性社員の中からマネジメントポジションを担う人材の発掘・育成を強化し、候補者層の拡大と登用機会の明確化を通じて、目標達成に向けた取り組みを一層推進してまいります。また、当社では性別を問わず、多様性を尊重した人材戦略の一環として、社員一人ひとりの志向やライフステージを踏まえたキャリア支援に取り組んでおり、社員が自立的にキャリアを形成できる環境整備を進めております。今後も、多様な人材がその能力を最大限発揮できる就業環境の構築を通じて、女性管理職比率の向上にも継続して取り組んでまいります。
(2)中途採用者の管理職への登用
当社では将来の持続的成長を支える人材の確保に向けて、多様性を尊重した採用・登用を推進しており、管理職級を含む優秀な人材の採用を積極的に行っております。一方で、当社は社員のほとんどが中途採用者であることから、中途採用者の登用については、目標設定を行っておりません。
(3)外国人の管理職への登用
当社では、将来の持続的な成長に向け、クラウドサービス分野を中心に戦略的投資を加速しており、その一環として、国内を中心とした事業成長を支える人材採用を強化しております。そのため、現時点においては、外国人の管理職への登用に対する数値目標は設定しておりませんが、将来的には海外展開を視野に、グローバル人材の採用についても、検討も進めてまいります。また、海外展開の進捗状況に応じて、必要と判断した場合には、登用に関する目標設定を検討してまいります。
<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況>
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス。以下、「ES」)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤づくりを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客さまへの価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
当社は、会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取り組みをおこなっています。社内環境についても、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでまいります。
補充原則3-1-3、4-2-2 【サステナビリティについての取り組み、取り組みについての基本方針の策定等】
<サステナビリティについての取り組み>
当社グループは、国内で運営するデータセンターを基盤とした、クラウド・インターネットインフラサービス事業を展開しております。デジタル社会の進展に伴い、サービスの信頼性と安全性を確保する重要性はますます高まっており、サイバー攻撃やシステム障害など、社会全体に影響を及ぼすリスクが深刻化しています。当社グループは、社会基盤を担うデジタルインフラ事業者として、その責任を強く認識しており、お客さまからお預かりする情報資産ならびに当社が保有する情報資産をあらゆる脅威から保護するため、サイバーセキュリティへの対応を最重要課題の一つとして位置付けております。
また、当社事業の基盤であるデータセンターは、サーバーの稼働や冷却のために、大量の電力を消費することから、気候変動・脱炭素は、当社の重要な課題の一つと認識しており、当社はこれまで、環境配慮型の外気冷房の導入や、非化石エネルギー由来の電力証書の調達を通じて、使用電力に伴うCO2排出量の実質ゼロを実現し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを継続してまいりました。
さらに、当社の事業が持続的に成長し続けるためには、優秀な人材採用を進めるとともに、多様なバックグラウンドを持つ社員が相互に学び合い、高いパフォーマンスを安定的に発揮できる、人材の育成や就業環境の整備が極めて重要であると認識しており、当社では、社員の働きやすさと働きがいの両立を図る人的資本投資を進めております。
ここでは、当社グループの主な取り組みとして、気候変動・脱炭素、サイバーセキュリティ、人的資本経営の3点について記載いたします。
①気候変動・脱炭素への取り組み
社会・産業のデジタル化が進展する中、データ活用によるビジネス改革や社会課題の解決が期待されており、これを支えるデジタルインフラとしてのデータセンターの重要性は一層高まっています。一方で、データセンターは、サーバーの稼働や冷却のために大量の電力を消費し、近年では生成AI活用の急速な普及やVR技術の商業化の進展に伴い、高性能サーバーによる消費電力は増大しています。地球温暖化の抑制をはじめとする地球環境保全の重要性が高まる中、SDGsの観点からも、企業にはエネルギー消費の管理・削減を通じた、脱炭素実現への貢献が求められており、当社もこの認識のもと、環境負荷の低減に向けた取り組みを積極的に推進しております。
2011年11月に開所した、北海道石狩市の環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)では、立地条件を活かした冷涼な外気による外気冷房の導入によって冷却効率を高めるとともに、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)や、非化石証書の利用による電力の実質CO2排出量ゼロを実現(2022年)し、2023年からは、同センターの電力を再生可能エネルギー電源100%へ完全に切り替えるなど、持続可能なデータセンター運営に注力してまいりました。また、石狩データセンター以外の当社が運営するデータセンター及び事業所においても、非化石エネルギー由来の電力証書を調達することにより、使用電力に伴うCO2排出の実質ゼロを達成しており、今後も、脱炭素化に向けた取り組みを継続的に行ってまいります。
2021年には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。なお、ガバナンス及びリスク管理につきましては、有価証券報告書において開示しております。
②サイバーセキュリティへの取り組み
近年、社会におけるデジタル技術の進展に伴い、インターネット上の個人情報や機密情報の保護は一層重要性を増しており、不正アクセスや情報漏えいなどのリスクも複雑化しています。
当社は、デジタルインフラを提供する企業として、インターネット上の安全性や品質の確保を重要な責務と捉えており、インフラの停止が社会や顧客に重大な影響を及ぼすことを踏まえ、顧客の情報資産及び当グループの経営資源としての情報資産をあらゆる脅威から保護するためのセキュリティ体制の強化に取り組んでいます。特に、公共分野における信頼性の高いクラウドサービスの提供を目指し、政府の定める厳格なセキュリティ要件に準拠したガバメントクラウドへの対応にも注力しており、その一環としてより強固なセキュリティ基盤の構築を進めるとともに、日々の運用と見直しを重ねながら改善を推進しています。
一方、「個人情報」「表現の自由」「通信の秘密」の重要性も認識し、捜査機関等からの要請に対応する際には、個人情報保護法、電気通信事業法、プロバイダ責任制限法等をはじめとする関係法令やガイドラインを遵守することでこれらの保護に努めており、インターネットの安全性や品質の向上への取り組みの一環として、2023年8月より、当社が要請を記録した数と対応の概要を「透明性レポート」として公開し、情報の取扱いに関する透明性を確保しております。
また当社では、生成AIなどのインターネット上の技術の進歩やサイバーセキュリティなどに係わる法律上及び行政上の諸問題について、加盟・協賛団体を通じて広く情報を収集して的確に対応できる体制を整備し、必要に応じて意見を述べることも、クラウド・インターネットインフラサービス事業者としての責務であると認識しております。
③人的資本への投資
社員の能力を高めその能力を最大限に引き出す環境づくりに取り組んできた当社にとって、人材の確保や育成は強みであり、お客さまと社員の成功を支援することで共に成長していく関係を構築する「CS(カスタマーサクセス)・ES(エンプロイーサクセス)の実現」という、重点テーマにも沿ったものと言えます。当社では、社員一人ひとりが当社の資本であり、その成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉であるという考えから、お客さまの「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営及びESを実現するために以下の取り組みを行っており、詳細は有価証券報告書において開示しております。
・人材育成と学び合う文化づくり
・こころと身体の健康
・多様な人材の活躍促進
・チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
・フレキシブルな働き方
<知的財産への投資>
当社は、知的財産への投資を事業の発展のために重要なものと位置付け、社内の創造的活動を積極的に支援し、当社の知的財産の適切な保護、管理及び活用を推進しております。第三者の知的財産権を尊重することの重要性を社内に周知し、知的財産権侵害の防止を徹底するよう努めるとともに、インターネット上の知的財産の適切な保護が重要であるという考えから、コンテンツの制作・提供会社ではないものの、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に所属し、同会の主催する各種委員会への参加などを通じ当社の知見を高めるとともに、情報交換や著作権の権利保護等の活動を行っております。
サステナビリティについての取り組みにおいては、当社の持続的な成長に資するよう引き続き監督を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する考え方
当社は、保有の意義・合理性が認められる場合を除き、原則として上場株式を政策保有株式として保有しません。
保有の意義・合理性については、発行会社との企業連携や事業シナジーが見込めるか、また保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを毎年個別銘柄ごとに検証したうえで判断します。その結果、保有の意義・合理性が乏しいと判断される株式については、適宜株価や市場動向その他の事情を考慮しつつ売却いたします。
(2)議決権行使について
当社は、上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとしております。
原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR担当部署を設置し、株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催するとともに、ご要望により、代表取締役社長・取締役最高財務責任者等による個別面談等を行うことで、適切に対話の機会を設けております。また、対話にていただいたご意見については、適宜経営陣に共有する仕組みを構築しております。
なお、対話にあたっては、対話のテーマに留意し、インサイダー情報を厳重に管理しております。
【株主との対話の実施状況等】
当事業年度においては、代表取締役社長を筆頭に、最高財務責任者、IR担当執行役員やIR担当者等が窓口となり、株主の対話を積極的に推進しており、ステークホルダーの皆さまの興味・関心の高まりとともに、個別面談の回数は増加傾向にあります。
(1) 実施内容・回数
・決算説明会 2回
・スモールミーティング 7回
・投資家との個別面談等 203回
(2) 対話を行った株主の概要
アナリスト、ファンドマネージャー、国内機関投資家、海外機関投資家等
(3) 対話の主なテーマ、株主の関心事項
・通期業績予想、来期業績について
・生成AI向けクラウドサービスについて(投資、業績貢献、今後の動向)
・ガバメントクラウドについて(投資、業績への貢献時期、今後の動向)
・その他外部要因について(市場動向、競争優位性)
(4) 取締役会へのフィードバックの状況
IR活動状況とトピックについて、月次で報告を行っております。
本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。 Copyright(C) Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |
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