ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

プライム

ブリッジレポート:(2317)システナ 2026年3月期決算

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株式会社システナ(2317)

 

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表取締役会長

逸見 愛親

取締役社長

逸見 真吾

所在地

東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階・16階

決算月

3月

HP

https://www.systena.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

417円

425,880,000株

177,591百万円

31.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

18.00円

4.3%

29.74円

14.0倍

110.82円

3.8倍

*株価は6/1終値。26年3月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS(円)

DPS(円)

2023年3月

74,526

9,844

9,955

7,317

18.89

8.00

2024年3月

76,940

9,713

9,942

7,232

18.67

10.00

2025年3月

83,621

12,067

11,855

8,480

23.17

12.00

2026年3月

94,400

15,367

16,145

11,312

31.65

14.00

2027年3月(予)

98,000

15,960

15,960

10,630

29.74

18.00

・予想は会社予想。単位:百万円。

 

 

(株)システナの2026年3月期決算概要、2027年3月期予想、中期経営計画概要、経営者からのメッセージなどをご紹介致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)
3.2026年3月期決算概要
4.2027年3月期業績予想
5.経営者からのメッセージ
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 26/3期は増収増益で、売上・利益ともに予想を上回った。売上高は前期比12.9%増の944億円。次世代モビリティ事業が依然好調を持続している他、デジタルインテグレーション事業、ビジネスソリューション事業もそれぞれ2桁増収。プロジェクトマネジメントデザイン事業のみが減収。営業利益は同27.3%増の153億円。増収に伴い売上総利益が同18.3%増加し、売上高総利益率も1.2pt上昇。販管費も人件費中心に同6.0%増加したが、これを吸収し2桁の増益。

     

  • 収益構造の深化と生産性の向上を図り、景気変動の影響を受けにくいストック型ビジネスの積み上げを継続したほか、ソフトウェア開発ビジネスを中心に生成AIの実装支援や企業のDX推進、高度なマネジメントが求められるPMO案件など、利益率の高い領域にリソースを集中した。これまで拡充してきた若手層が、技術者教育の内製化プログラムを通じて着実に戦力化し、組織の実行力が大幅に向上したことも大きく寄与した。

     

  • 2029年3月期に向けた中期3カ年計画を公表した。2029年3月期「売上高1,200億円、営業利益201億円、営業利益率16.8%」の達成を目指す。積極的な成長投資を通じて収益性を高め、すべてのステークホルダーに対して、長期的かつ持続的に価値を還元できる企業として、新たなステージへと進化していく考えだ

     

  • 27/3期の売上高は前期比3.8%増の980億円、営業利益は同3.9%増の159億円を予想している。企業のDX投資の継続やAI活用の本格化、モビリティ分野におけるSDV化の進展などを背景に、事業機会は引き続き拡大するものと見込んでいる。一方で、業界全体における技術者不足の深刻化や人件費の上昇、顧客ニーズの高度化により、競争環境は一層厳しさを増している。こうした環境変化を持続的成長に向けた好機と捉え、「技術者の採用・定着強化」「各事業の競争力の強化」「ストック型ビジネスの拡充」ならびに「AI等の成長領域への展開」を重点施策として推進する。これらの取り組みを通じて、収益基盤の安定化と事業ポートフォリオの進化を図り、中長期的な企業価値の向上に取り組む。配当は前期比4円/株増の18.00円/株を見込む。予想配当性向は60.5%。

     

  • 代表取締役会長 逸見 愛親氏、取締役社長 逸見 真吾氏にメッセージを伺った。「新中期経営計画の最終年度目標は、決してゴールではなく、持続的な成長に向けた通過点と捉えております。第3の創業期として歩み始めた当社グループの新たな挑戦に、ぜひご期待いただき、今後とも変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」とのことだ。

     

  • 26年3月期は2桁の増収増益で予想も上回った。この成長を最も牽引したのが、次世代モビリティ事業だ。売上構成比は10%に満たないが、利益構成比は2割を超し、増収率36.6%、増益率63.9%と好調を持続させている。加えて、2024年から推進してきた大胆な構造改革の成果が今回の全社好決算に結実しているとのことだ。適材適所の人員配置を徹底するとともに、2026年4月1日に取締役社長に就任した逸見真吾専務取締役が中心となってプロジェクトマネジメントを軸とした新たなビジネスモデルへの転換を図り、より上流工程への領域拡大を実現してきた。この改革を通じて、「次世代モビリティ事業」と「プロジェクトマネジメントデザイン事業」を中心に、グループの成長を力強く牽引する強固な体制が出来上がりつつあると同社では考えている。今回の新体制スタートを「第3の創業期」と位置づけ、新たな3カ年の中期経営計画の達成に向かう同社の取組みを注目していきたい。

     

     

1.会社概要

2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社であったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末の設計・開発・検証に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識及び基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。

 

【1-1 経営目標・経営指標】

経営目標として「日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える!」を掲げている。
経営目標実現のために、「破壊と創造」、「安定と成長」、「保守と革新」という、相反する課題をバランス良くコントロールし、常に振り子の中心点に経営の軸足を置いた、バランス経営を基本方針としている。
目標とする経営指標として、安定した高配当、高い株主資本利益率、高い売上高営業利益率を掲げており、その実現に向け、経営の基本方針に則り、高収益体質を目指していく考え。

 

【1-2 事業内容】

「次世代モビリティ事業」「プロジェクトマネジメントデザイン事業」「デジタルインテグレーション事業」「IT&DXサービス事業」「ビジネスソリューション事業」「DX&ストック型ビジネス事業」「その他事業」の7セグメント。

 

◆次世代モビリティ事業
完成車メーカーやサプライヤー向けを中心に、自動車業界へのエンジニアリングおよびMaaSなどの自社サービスの提供を主な業務とする。同社の携帯電話/スマートフォン開発におけるAndorid/iOSなどのオープンプラットフォーム開発の長年積み上げた実績、つまりモバイル開発で進めてきたアジャイル手法やアプリケーションフレームワークを採用した開発は、SDV(※)開発に必要なものとなっており、ソフトウェアTier1として様々な完成車メーカーやメガサプライヤーに技術力を提供している。
※SDV: Software Defined Vehicle。ソフトウェア定義型車両。ハードウェアではなくソフトウェアによって機能や性能が決定・制御される次世代の自動車

 

◆プロジェクトマネジメントデザイン事業
各種プロダクト製品、通信事業者サービスの企画・設計・開発・検証支援の他、ネットビジネス、業務用アプリ、Webサービス、社会インフラ関連システム、IoT、人工知能、ロボット関連サービスの企画・設計・開発・検証支援を手掛ける。通信キャリア、通信機器メーカー、インターネットビジネス企業を主要顧客とし、長年にわたるモバイル端末の開発で培った豊富なノウハウと実績を基に、電力・防災・航空・交通などの社会インフラ、情報家電やホームセキュリティ、スマートデバイスやWebサービスなど、様々な分野で成長中である。あらゆる分野で企画から開発・検証、ITコンサルティングやITサービスまで提供できるトータルソリューションが強み。

 

◆デジタルインテグレーション事業
金融系(損保・生保・銀行)、産業系、公共系、その他の基幹システムの開発の他、基盤系システムの開発を手掛ける。高い信頼性を求められる金融系システム開発において、半世紀以上にわたり蓄積してきたノウハウ・経験と実績を武器に、金融以外の業種においてもソリューションを提供する。昨今では、基幹系システムの開発から、顧客のビジネス変革を支えるDX推進へ業務範囲を広げている。中央省庁案件の継続的な獲得も強み。

 

◆IT&DXサービス事業
ITプロジェクト推進・PMO、DX支援、システム構築から運用、データ入力、大量出力、ソフトウェアテスト・DX検証などのITアウトソーシングサービスの提供を行う。リソースをコア業務へ集中する企業の動きが活発化するなか、個々のサービスを提供するだけではなく、ALLシステナによるトータル・ソリューション・サービスの提供で、IT戦略の実現サポートが可能な点が強み。

 

◆ビジネスソリューション事業
サーバー、パソコン、周辺機器、ソフトウェアなどIT関連商品の企業向け販売。基盤構築、仮想化などIT機器に関わるサービスの提供やRPAソリューションの提供を行う。

 

◆DX&ストック型ビジネス事業
自社サービス「Canbus.」、「Cloudstep」、「Web Shelter」の提供。さらに「Google Workspace」、「Microsoft 365」等クラウド型サービスの提供、導入支援。DX推進を支援するPMOおよびディレクションサービスとしての「Canbus.Lab」の提供を行う。

 

◆その他事業
自動車メーカーの車載コクピットにおける情報表示関連のソフトウェア開発、スタートアップ活用の事業コンセプトPoC開発、ノーコードツールCanbus.による企業のDX推進。また、IoM(IoT/M2M)5Gゲートウェイ、LTEルーター、DCM端末およびIoM向けアンテナ、5G・LTEフェムト基地局の開発と製造、販売。スマホ/PC向けソーシャルゲームの企画・開発・運営、アプリ/システム開発受託を手掛ける。

 

【1-3 グループ会社】

同社、連結子会社9社、持分法適用関連会社3社の合計13社でグループを形成している。

(同社資料より)

 

 

2.中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)

2026年5月、2029年3月期に向けた中期3カ年計画を公表した。
2029年3月期「売上高1,200億円、EBITDA+S 215億円、営業利益201億円、営業利益率16.8%」の達成を目指す。積極的な成長投資を通じて収益性を高め、すべてのステークホルダーに対して、長期的かつ持続的に価値を還元できる企業として、新たなステージへと進化していく考えだ。EBITDA+Sは営業利益に減価償却費及び株式報酬費用(新株予約権)を加えたもの。

 

【2-1 中期経営計画策定の背景や概要】

同社グループは、2025年5月に公表した2028年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき事業を推進してきた。これまでの戦略が奏功し、目標達成に向けた施策は順調に進捗していることから、中長期的な発展への新たな挑戦として、2029年3月期を最終年度とする新たな中期3カ年計画を策定した。
足元の環境においては、半導体需給の変動や地政学リスクの高まりなど、事業活動に影響を及ぼし得る社会情勢の不確実性が増しているものの、AI活用の本格化やモビリティ分野のSDV化、顧客課題の高度化といった新たな成長機会が広がっている。
これらの機会を確実に捉えるべく、環境変化を冷静に見据え、特定の事業や市況に左右されない強靭な収益構造を構築し、持続的に成長する基盤を確立していく。
新計画では各事業の競争力強化、新規事業の創造によるさらなる多角化、人的資本経営の進化を軸として、同社グループの強みである多様な事業ポートフォリオを一段と進化させる。

 

【2-2 経営方針】

「各事業の競争力の強化と事業ポートフォリオの進化」「AI 関連事業の本格展開とストック型ビジネスの拡大による収益構造の進化」「人的資本経営の進化と持続的成長基盤の強化」の3つを基本方針としている。

 

(1)各事業の競争力の強化と事業ポートフォリオの進化
同社グループの強みは、複数の事業が独立して収益を生み出す多角的な事業構造にある。新中期経営計画では、各事業がそれぞれの市場において他社を凌ぐ存在感を確立することを目指し、技術力、提案力、業界別ドメイン専門性をさらに高めていく。特にSDV化が進展するモビリティ事業においては、グローバル市場への展開と国内市場での成長機会の獲得を追求する。あわせてそれぞれが高い競争力を備えた事業同士を連携させることで、単独の事業では実現し得ない総合的な提供価値を創出する。

 

(2)AI 関連事業の本格展開とストック型ビジネスの拡大による収益構造の進化
AI時代の変化を成長機会へと転換していく。具体的には既存事業のAI駆動化および AI 関連の新たな事業領域への展開、ならびにストック型を含む多様な収益モデルの確立を進め、付加価値の高い収益構造へと進化させることで、収益の継続性と再現性を高めていく。

 

(3)人的資本経営の進化と持続的成長基盤の強化
人材は同社グループの競争力の源泉であり、その質と生産性は収益力に直結する。新中期経営計画では、高度専門人材の獲得力強化、一人当たり付加価値の継続的な向上、ならびに適正な処遇水準の確保を通じて、人的資本を企業価値の創出に結びつけていく。あわせて、ガバナンスの実効性向上、気候変動への対応、多様な人材が活躍できる環境整備を進め、持続的に成長する企業基盤を確立する。

 

【2-3 業績目標】

以下のような目標を掲げている。

 

2026年3月期実績

2027年3月期予想

2029年3月期計画

CAGR

売上高

94,400

98,000

120,000

+8.3%

EBITDA+S

15,819

17,250

21,510

+10.8%

営業利益

15,367

15,960

20,160

+9.5%

営業利益率

16.3%

16.3%

16.8%

-

*単位:百万円。EBITDA+Sは営業利益に減価償却費及び株式報酬費用(新株予約権)を加えたもの。CAGRは2026/3期から2029年3期への3年間のCAGR.で、インベストメントブリッジが計算。

3.2026年3月期決算概要

【3-1 連結業績】

 

25/3期

構成比

26/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

83,621

100.0%

94,400

100.0%

+12.9%

+4.7%

売上総利益

20,978

25.1%

24,813

26.3%

+18.3%

-

販管費

8,910

10.7%

9,446

10.0%

+6.0%

-

営業利益

12,067

14.4%

15,367

16.3%

+27.3%

+6.0%

経常利益

11,855

14.2%

16,145

17.1%

+36.2%

+8.4%

当期純利益

8,480

10.1%

11,312

12.0%

+33.4%

+9.2%

*単位:百万円。当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。予想比は2025年10月公表の業績予想に対する比率。

 

増収増益、売上・利益ともに予想を上回る
売上高は前期比12.9%増の944億円。次世代モビリティ事業が依然好調を持続している他、デジタルインテグレーション事業、ビジネスソリューション事業もそれぞれ2桁増収。プロジェクトマネジメントデザイン事業のみが減収。
営業利益は同27.3%増の153億円。増収に伴い売上総利益が同18.3%増加し、売上高総利益率も1.2pt上昇。販管費も人件費中心に同6.0%増加したが、これを吸収し2桁の増益。
収益構造の深化と生産性の向上を図り、景気変動の影響を受けにくいストック型ビジネスの積み上げを継続したほか、ソフトウェア開発ビジネスを中心に生成AIの実装支援や企業のDX推進、高度なマネジメントが求められるPMO案件など、利益率の高い領域にリソースを集中した。これまで拡充してきた若手層が、技術者教育の内製化プログラムを通じて着実に戦力化し、組織の実行力が大幅に向上したことも大きく寄与した。

【3-2 セグメント別動向】

 

25/3期

構成比・利益率

26/3期

構成比・利益率

前期比

次世代モビリティ事業

5,540

6.6%

7,569

8.0%

+36.6%

プロジェクトマネジメントデザイン事業

15,669

18.7%

15,296

16.2%

-2.4%

デジタルインテグレーション事業

8,815

10.5%

10,406

11.0%

+18.1%

IT&DXサービス事業

20,753

24.8%

22,356

23.7%

+7.7%

ビジネスソリューション事業

29,795

35.6%

35,584

37.7%

+19.4%

DX&ストック型ビジネス事業

2,783

3.3%

2,892

3.1%

+3.9%

その他事業

797

1.0%

1,001

1.1%

+25.5%

調整額

-534

-

-707

-

-

連結売上高

83,621

100.0%

94,400

100.0%

+12.9%

次世代モビリティ事業

1,964

35.5%

3,219

42.5%

+63.9%

プロジェクトマネジメントデザイン事業

2,583

16.5%

3,342

21.9%

+29.4%

デジタルインテグレーション事業

1,954

22.2%

2,476

23.8%

+26.7%

IT&DXサービス事業

2,848

13.7%

3,146

14.1%

+10.5%

ビジネスソリューション事業

2,274

7.6%

2,957

8.3%

+30.0%

DX&ストック型ビジネス事業

460

16.5%

251

8.7%

-45.3%

その他事業

-19

-

-26

-

-

連結営業利益

12,067

14.4%

15,367

16.3%

+27.3%

*単位:百万円

 

次世代モビリティ事業
売上高75億69百万円(前期比36.6%増)、営業利益32億19百万円(同63.9%増)
自動車業界におけるSDV化の加速を背景に、コックピット領域からバックエンドに至るまでソフトウェア開発需要が拡大している。そうした中、国内主要完成車メーカーとの直接取引が順調に推移したほか、米国子会社を通じた北米市場での案件創出も着実に進展した。UXデザインやアジャイル開発の強みを活かし、最上流の企画・要件定義段階から一貫して支援できる体制を構築したことで、高い稼働水準を維持し、通期に亘り受注と稼働が安定した。

 

プロジェクトマネジメントデザイン事業
売上高152億96百万円(前期比2.4%減)、営業利益33億42百万円(同29.4%増)
次世代通信およびAI領域において、実行体制の強化に向けたリソース再配置を実施した。通信分野ではシステムインフラ基盤の刷新に伴う移行支援を継続し、AI分野では生成AIを活用したプラットフォーム再構築やPoC(概念実証)といった上流工程への関与を拡大した。戦略策定から現場での実務完遂までを一気通貫で支援する「実行型」の推進体制が評価され、通期で収益性は高水準で推移した。ソリューションデザイン事業から一部事業を移管した。

 

デジタルインテグレーション事業
売上高104億6百万円(前期比18.1%増)、営業利益24億76百万円(同26.7%増)
金融分野では、保険領域を中心に基幹システムのモダナイズ案件が通期にわたって拡大し、セグメント全体の売上成長を力強く牽引した。公共および法人分野では、既存顧客からの追加案件を中心に堅調に推移した。生成AI等を活用した高度な開発案件や、高単価なDX支援領域へのリソースシフトを重点的に推進した結果、収益構造の転換により、セグメント全体の利益率は向上し、事業ポートフォリオの安定感が一層高まった。AI駆動開発による生産性向上にも着手し、27年3月期に向けた技術競争力の強化を推進した。

 

IT&DXサービス事業
売上高223億56百万円(前期比7.7%増)、営業利益31億46百万円(同10.5%増)
企業のデジタルビジネス化に向けた投資意欲の高まりを受け、業務プロセスの最適化や「伴走型PMOサービス」への引き合いが年間を通じて継続した。DX検証サービスにおいてはエンタープライズ領域へのシフトを終えた。BPO業務においては、特例子会社を含む3社が有機的に連携し、適材適所でのリソース配分を徹底したことにより受注が拡大し、グループ全体の基盤強化に大きく寄与した。

 

ビジネスソリューション事業
売上高355億84百万円(前期比19.4%増)、営業利益29億57百万円(同30.0%増)
2025年10月のWindows 10サポート終了に伴うPCリプレース案件が、第3四半期(10‐12月)にかけて集中的に発生し、売上高を大きく押し上げた。クラウドへのリフト&シフト案件をはじめ、クラウドの利活用案件の増大、マネージドサービスの拡大、ゼロトラスト等のセキュリティ関連SI受注が年度末にかけても堅調に推移した結果、特需後の反動を吸収し、通期での増収増益に大きく寄与した。

 

DX&ストック型ビジネス事業
売上高28億92百万円(前期比3.9%増)、営業利益2億51百万円(同45.3%減)
ノーコードDXプラットフォーム「Canbus.」において、大手企業からの導入が好調に推移した。「Canbus.」をベースとした医療業界向けパッケージの受注も年間を通じて着実に積み上がった。将来の契約数拡大を見据えた開発機能の強化や、顧客基盤の拡充に伴うサポート体制の維持・強化を優先的に進めた結果減益となった。

 

 

その他事業
売上高10億1百万円(前期比25.5%増)、営業損失26百万円(前期は19百万円の損失)
米国子会社における車載関連の開発受注が着実に増加したほか、株式会社GaYaでは『競馬伝説』シリーズの運営活性化に向けた施策が奏功した。グループ全体のシナジー強化と受託開発のPMO支援も安定した。

 

【3-3 財政状態とキャッシュ・フロー】

◎BS

 

25年3月

26年3月

増減

 

25年3月

26年3月

増減

現預金

21,860

27,377

+5,517

仕入債務

9,063

8,730

-333

売上債権

18,604

19,051

+447

短期借入金

1,550

1,572

+22

商品

2,053

1,194

-859

未払金・未払費用

2,530

2,799

+269

流動資産

44,184

54,118

+9,934

未払法人税

2,167

3,584

+1,417

有形固定資産

1,321

1,327

+6

賞与引当金

2,068

2,357

+289

無形固定資産

169

176

+7

負債

18,812

20,858

+2,046

投資その他の資産

6,087

5,457

-630

純資産

32,950

40,221

+7,271

固定資産

7,578

6,961

-617

利益剰余金

39,817

46,822

+7,005

資産合計

51,762

61,079

+9,317

負債・純資産合計

51,762

61,079

+9,317

*単位:百万円。売上債権は受取手形と売掛金、契約資産の合計。

 

現預金の増加等で26年3月末の総資産は前期末比93億円増の610億円。負債は同20億円増の208億円。利益剰余金の増加等で純資産は同72億円増の402億円。自己資本比率は前期末比2.2ポイント上昇の64.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

25年3月期

26年3月期

増減

営業CF

7,979

13,283

+5,304

投資CF

-2,576

-896

+1,680

フリーCF

5,403

12,387

+6,984

財務CF

-14,024

-4,316

+9,708

現金・現金同等物

21,464

29,819

+8,355

*単位:百万円

 

税金等調整前当期純利益の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。投資有価証券の取得による支出が前期より減少したことなどから投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのプラス幅は大きく拡大。自己株式の取得による支出が大幅に減少し財務CFのマイナス幅は縮小。キャッシュポジションは上昇した。

 

【3-4 トピックス】

(1)新経営体制がスタート
2026年4月1日付けで、逸見真吾氏(前専務取締役)が取締役社長に就任した。
2026年5月13日には新任取締役2名の就任を含めた取締役候補者を発表。2026年6月25日に開催予定の第44期定時株主総会に付議し、可決後、株主総会後に開催される取締役会で異動を正式に決定する予定だ。

 

(2)「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に出展
2026年5月、「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」へ出展した。
数多くのOEMプロジェクトへの参画を通じて、車載開発の現場が直面する課題と、実装・検証・運用に至るまでの現実的な制約を把握してきた同社は、今回の展示では、AIと自動化による開発プロセス最適化に加え、パートナー各社の技術と連携した次世代モビリティ開発支援の具体像を紹介した。さらに、AI計算基盤、データセンター構想、高速無線通信、遠隔操作システムまでを含め、SDV時代の開発・評価・運用を支えるソリューションを展示した。

 

4.2027年3月期業績予想

【連結業績】

 

26/3期 実績

構成比

27/3期 予想

構成比

前期比

売上高

94,400

100.0%

98,000

100.0%

+3.8%

EBITDA+S

15,819

16.8%

17,250

17.6%

+9.0%

営業利益

15,367

16.3%

15,960

16.3%

+3.9%

経常利益

16,145

17.1%

15,960

16.3%

-1.1%

当期純利益

11,312

12.0%

10,630

10.8%

-6.0%

*単位:百万円。EBITDA+Sは営業利益に減価償却費及び株式報酬費用(新株予約権)を加えたもの。

 

増収、営業増益を予想
売上高は前期比3.8%増の980億円、営業利益は同3.9%増の159億円を予想している。
企業のDX投資の継続やAI活用の本格化、モビリティ分野におけるSDV化の進展などを背景に、事業機会は引き続き拡大するものと見込んでいる。一方で、業界全体における技術者不足の深刻化や人件費の上昇、顧客ニーズの高度化により、競争環境は一層厳しさを増している。
こうした環境変化を持続的成長に向けた好機と捉え、「技術者の採用・定着強化」「各事業の競争力の強化」「ストック型ビジネスの拡充」ならびに「AI等の成長領域への展開」を重点施策として推進する。これらの取り組みを通じて、収益基盤の安定化と事業ポートフォリオの進化を図り、中長期的な企業価値の向上に取り組む。営業利益、経常利益、当期純利益には、取締役及び従業員を対象とした新株予約権にかかる株式報酬費用8億4千万円を含んでいる。
配当は前期比4円/株増の18.00円/株を見込む。予想配当性向は60.5%。

 

5.経営者からのメッセージ

代表取締役会長 逸見 愛親氏、取締役社長 逸見 真吾氏に株主・投資家へのメッセージを伺った。

 

<代表取締役会長 逸見 愛親氏>
Q:今回、新たな経営体制をスタートさせました。その背景や狙いについてお話しください。
今回の体制変更は、新たな中期経営計画を不退転の決意で達成するためのものです。意思決定と実行のスピードを圧倒的に高めることを一番の目的としており、最前線の現場が持つ知見やリアルな声を迅速に経営へ反映し、全社一丸となって計画を推進してまいります。
当社グループは、常に事業環境の変化を先読みし、柔軟に組織を変化させながらこれまで歩んでまいりました。現在30歳前後の若い人材も、各事業の主力を担う世代として成長し、組織の中核を形成しています。そうした世代が今後、AI活用や新技術への対応を積極的に牽引する——これが当社の大きな推進力となっていくと確信しています。
私どもはこの時期を「第3の創業期」と位置づけています。過去の成功体験に安住することなく、変化の激しいIT市場において確固たる優位性を築き、中長期的な企業価値の向上を確かなものにしてまいります。

 

Q:ありがとうございます。では、株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。
「日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える」ことが当社の使命と考えております。
株主の皆様への利益還元は、経営における最重要課題の一つとして位置づけております。当社グループはこれまでも、業績の拡大に応じた還元を基本としながら、安定的な配当の継続を重視してまいりました。今後もその方針に変わりはなく、収益力の向上に伴い、株主還元のさらなる充実を図ってまいります。
中期経営計画の最終年度目標は、決してゴールではなく、持続的な成長に向けた通過点と捉えております。第3の創業期として歩み始めた当社グループの新たな挑戦に、ぜひご期待いただき、今後とも変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

<取締役社長 逸見 真吾氏>
Q:新経営体制の下、取締役社長に就任されました。新社長としてのミッション、御社の目指す姿についてお聞かせください。
当社は創業以来45年以上にわたり、様々な業界のお客様の期待に真摯にお応えしながら、着実に成長を遂げてまいりました。その歩みを確実に継承し、さらなる企業価値の向上に向けて全力で取り組んでまいります。
体制が変わったとはいえ、当社の経営方針やフィロソフィーが大きく変わるものではありません。私が何より大切にしたいのは、これまで当社が築き上げてきたお客様との信頼関係と、社員一人ひとりが体現してきた誠実なものづくりへの姿勢です。それらをさらに高い次元へ引き上げることが、私に課せられた使命であると考えております。
特に注力してまいりたいのは、お客様との関係性をより一層深化させることです。お客様からのご要望にただ応えるだけでなく、お客様と同じ視点に立ち、構想段階からともに考え、価値を創出していく。そうしたパートナーとしての役割を、より多くの事業領域で担っていきたいと考えております。
近年では、お客様の事業の上流工程から参画し、サービスを創り上げる取り組みを推進してまいりました。この動きをさらに加速させ、組織全体の力として定着させてまいります。そのために、私自身も積極的にお客様のもとへ足を運び、直接対話を重ねながら、当社が提供できる新たな価値を追求いたします。そして各事業が培ってきた強みを結びつけ、お客様にとって不可欠なパートナーとしての地位をより確かなものにしてまいります。
モビリティ、通信、金融、社会インフラ――当社が深く関わってきた様々な業界で大きな変革が進む中、AIの進化がその流れをさらに加速させています。この変化を脅威ではなく成長機会として捉え、AIを駆使することでこれまで参入できなかった領域にも積極的に挑戦してまいります。そして事業間シナジーをより高いレベルで発揮することで、中長期的な成長につなげたいと考えております。
創業以来当社が大切にしてきた、「最も価値ある仕事とは、人を幸せにすること。」という考え方を、私自身も変わることなく体現し、お客様、社会、社員、そして株主の皆様に対して誠実に当社の価値を届けてまいります。
今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

6.今後の注目点

26年3月期は2桁の増収増益で予想も上回った。この成長を最も牽引したのが、次世代モビリティ事業だ。売上構成比は10%に満たないが、利益構成比は2割を超し、増収率36.6%、増益率63.9%と好調を持続させている。
加えて、2024年から推進してきた大胆な構造改革の成果が今回の全社好決算に結実しているとのことだ。適材適所の人員配置を徹底するとともに、2026年4月1日に取締役社長に就任した逸見真吾専務取締役が中心となってプロジェクトマネジメントを軸とした新たなビジネスモデルへの転換を図り、より上流工程への領域拡大を実現してきた。この改革を通じて、「次世代モビリティ事業」と「プロジェクトマネジメントデザイン事業」を中心に、グループの成長を力強く牽引する強固な体制が出来上がりつつあると同社では考えている。今回の新体制スタートを「第3の創業期」と位置づけ、新たな3カ年の中期経営計画の達成に向かう同社の取組みを注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

11名、うち社外4名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年6月20日)
<基本的な考え方>
当社は、激しい経営環境の変化に対応し、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定によるスピード経営を推し進め、永続的な事業発展と株主価値の増大および株主への継続的な利益還元を行っていくと同時に、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダー(利害関係者)との利害を調和させ、全体としての利益を最大化することを目指し、かつ、経営の健全性確保およびコンプライアンス(法令遵守)の徹底に努めるためにコーポレート・ガバナンスを強化させていきたいと考えております。このため、外部専門家(監査法人、主幹事証券会社、弁護士、社会保険労務士、司法書士等)やステークホルダーからの指摘や提言を真摯に受け止め、経営の公平性、透明性に関して更なる充実を図る所存であり、持ち前の当社の機動性を活かし、会社規模に応じた体制を構築し、株主などのステークホルダーを絶えず意識した上場企業として一層の自己改革を図り、コーポレート・ガバナンスの強化と適時適切な情報開示に努める所存であります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
【補充原則2-4①中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、性別・年齢・人種・国籍・新卒中途などの属性に関わらず管理職への登用を行っており、実力に応じた処遇と適材適所を方針としています。詳細は以下のホームページをご覧ください。
「中核人材の多様性確保の考え方」https://www.systena.co.jp/sustainability/esg_society/

 

【原則3-1.情報開示の充実】
【補充原則3-1③サステナビリティについての取組み】
当社のサステナビリティに関する取組みは以下のホームページをご覧ください。なお、プライム市場上場会社のみに課されているTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示についての当社の対応をご説明いたします。当社はITサービスの提供を社業としており、物品の製造など環境負荷の高い事業は行っておりませんので、現在のところ、気候変動問題が当社事業に重大な影響を及ぼすことは想定されません。しかしながら、地球環境が人類共通の財産であり未来からの大切な預かりものであるという認識に基づき、2004年からISO140001の認証を取得し、資源利用の低減とごみの排出削減に努めております。また、気候変動にかかる企業各社の対応のうちIT化にかかる部分はすべて当社の事業領域であり、当社の収益拡大は、お客様の業務効率化に貢献し、資源利用の低減とごみの排出削減へとつながり、地球環境保全に貢献します。このため、当社の成長が気候変動を抑えることにつながると考えております。なお、当社は2025年3月期から温室効果ガス排出量のScope1、2、3別計測への取り組みを開始し、2026年3月期末までに温室効果ガスの排出削減目標を立てた活動を開始していく予定です。その過程においてTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示を必要に応じて検討してまいります。なお、当社の環境に関する取り組みは、以下のホームページをご覧ください。

 

「当社のサステナビリティに関する取組み」
https://www.systena.co.jp/sustainability/
「当社の環境に関する取組み」
https://www.systena.co.jp/sustainability/esg_environment.html

 

【原則4-1.取締役会の役割・責務(1)】
【補充原則4-1③ 最高経営責任者等の後継者の計画】
当社は、指名・報酬委員会を設置し、取締役の指名(後継者計画を含む。)・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化しておりますが、現在のところ後継者計画は策定しておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、原則、政策保有株式として上場株式を保有しない方針であります。しかし、企業価値向上に向けて戦略上重要な協業および取引関係の維持発展等が認められる場合は、取締役会において個別銘柄ごとに保有目的、保有意義等を検証し、保有の適否を判断しております。

 

【原則3-1 情報開示の充実】
(1)経営理念、経営戦略、経営計画
 当社は、経営理念や経営戦略、中期経営計画を策定し、開示しております。詳細は、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。
「経営理念・行動基準」
https://www.systena.co.jp/about/idea.html
「経営目標と経営の基本方針」
https://www.systena.co.jp/ir/management/business_plan.html
「中期経営計画」
https://www.systena.co.jp/ir/management/business_plan.html

 

(6)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、資本収益性を意識した経営が重要であると考えています。人的資本への投資や事業ポートフォリオの変革等の取り組みを推進することで、経営資源の適切な配分を実現していきます。また、成長性・資本収益性・財務健全性の3つのバランスをとり、バランスシートの最適化を実現することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。
【原則4-10 .任意の仕組みの活用】
【補充原則4-10①任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会の設置】
 当社は、取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を設置しております。詳細は当報告書「Ⅱ-1機関構成・組織運営等に係る事項任意の委員会の設置状況、委員構成、委員長(議長)の属性」の補足説明に記載のとおりです。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主との建設的な対話を促進するために、ディスクロージャーポリシーを定め、開示しております。詳細は、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。
「ディスクロージャーポリシー」 https://www.systena.co.jp/ir/management/disclosure.html
また、そのための体制整備・取組については、本報告書「III 株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の「2.IRに関する活動状況」をご参照ください。

 

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