ブリッジレポート:(4425)Kudan 2026年3月期決算
Kudan株式会社(4425) |
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企業情報
市場 | 東証グロース市場 |
業種 | 情報・通信 |
代表取締役CEO | 項 大雨 |
所在地 | 東京都渋谷区神南一丁目23番14号 |
決算月 | 3月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,679円 | 11,301,267株 | 18,974百万円 | -6.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
0.00 | - | - | - | 232.30円 | 7.2倍 |
*株価は6/8終値。26年3月期決算短信より。経常利益・当期純利益については、同利益項目への影響の大きい為替差損益の見積もりが困難であることから、具体的な金額の予想については現時点で開示しない方針のため、EPSは非開示。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2023年3月 | 332 | -598 | -394 | -413 | -49.30 | 0.00 |
2024年3月 | 490 | -527 | -50 | -69 | -7.88 | 0.00 |
2025年3月 | 517 | -800 | -743 | -801 | -72.85 | 0.00 |
2026年3月 | 1,196 | -585 | -174 | -188 | -16.68 | 0.00 |
2027年3月(予) | 1,030 | -340 | - | - | - | 0.00 |
*単位:円、百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。予想は会社側予想。経常利益・当期純利益については、同利
益項目への影響の大きい為替差損益の見積もりが困難であることから、具体的な金額の予想については現時点で開示しない方針。
Kudan株式会社の2026年3月期決算概要等をご紹介致します。
目次
1.今回のポイント
2.Kudanのビジョンと事業の全体像
3.事業領域 ― デジタルツイン/自律ロボット/データ技術
4.市場環境 ― フィジカルAIの台頭と空間知覚需要の拡大
5.2026年3月期 決算概要
6.財務状態とキャッシュ・フロー
7.2027年3月期 業績予想
8.会社概要・沿革・技術解説(参考)
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
1.今回のポイント
Kudanは「あらゆる機械の眼(Eyes for All Machines)」をビジョンに掲げ、フィジカルAI時代の基盤技術である空間知覚(Spatial Perception)に特化したディープテック企業。機械の「眼」に相当する空間知覚技術を核に、デジタルツイン・自律ロボット・データ技術を統合した空間知覚プラットフォームを展開し、次世代デジタルツインとロボットの中核を担う。
- 26年3月期は大幅な増収、営業損失は縮小、上方修正後の予想を上回って着地した。売上高は前期比131.3%増の11億96百万円、営業損失は前期比2億14百万円縮小の5億85百万円。技術・事業領域の拡大と、フィジカルAI市場の本格化を背景に、売上が大幅に伸長し、赤字幅も縮小した。高粗利であるSW(ソフトウェア) へ集中する新方針に伴い関連案件の契約見直しを行い、前期と今期の販売計画の最適化を図った結果、HW(ハードウェア) 売上を前倒し計上したこともあり、売上・利益ともに上方修正後の業績予想を上回った。
- 27年3月期は減収も大幅な収益性向上により赤字は縮小の見込み。売上高は前期比1億66百万円減少の10億30百万円、営業損失は同2億45百万円改善の3億40百万円の予想。売上高はHWが5億30百万円の減収も高粗利のSWが3億60百万円の増収。コスト面では研究開発投資が80百万円拡大するが、SW集中による利益増3億50百万円により損失は今期も縮小。来期以降での収益性の高い売上成長と黒字化を見込んでいる。
- 27年3月期の成長戦略は、「SW技術・ソリューションの拡大」に「高粗利SWへの集中」「フィジカルAI向けデータ技術の提供」を加えた3本柱で、前期方針の「コスト最適化」は目的達成により完了とする。財務面では現預金が6億07百万円減の19億86百万円となったが、自己資本比率は88.2%と高水準を維持し、年間の資金支出規模に対し約6年分の運転資金を確保しており、当面の追加調達を要しない財務基盤を有する。
- デジタルツイン・移動ロボットとも多角的に売上が伸長している。27年3月期は高粗利SWへの移行に伴うテクニカルな減収となるが、収益性は大きく向上する。中長期的にはフィジカルAI市場の加速に合わせ、商用技術の普及と高粗利SW販売拡大で飛躍的な成長を目指す。来期以降の黒字化達成時期に大いに注目したい。
2.Kudanのビジョンと事業の全体像 ― フィジカルAI時代の空間知覚プラットフォーマー

(同社資料より)
【2-1 ビジョンと立ち位置】
Kudanは「あらゆる機械の眼(Eyes for All Machines)」をビジョンに掲げ、AIやロボットが現実空間を理解するための基盤技術である「空間知覚(Spatial Perception)」の研究開発・ライセンス提供・ソリューション展開を行うDeep Tech(ディープテック)企業である。
同社の空間知覚技術は、AIやロボットが現実空間を理解するための技術領域であり、機械が現実世界を認識し、位置を把握し、周辺環境を理解しながら行動するための中核技術となる。
生成AIが普及し、成熟する一方、現実空間を知覚し自律的に行動・継続学習する「フィジカルAI」への需要が世界的に急拡大している。Kudanの空間知覚はこのフィジカルAIの根幹をなす中核技術であり、同社は次世代デジタルツインとロボットの中心を担うプレーヤーとして位置づけられる。
【2-2 事業の全体像:3つの事業領域】
同社は空間知覚プラットフォームを軸に、(1)デジタルツイン、(2)自律(移動)ロボット、(3)フィジカルAI向けデータ技術——の3領域を展開する。デジタルツイン領域では、現実空間を知覚してデジタルツインを生成し、それをAIが理解することで、現場管理のDXと生産性向上に貢献する。自律ロボット領域では、ロボットが空間をデジタルに知覚し、複雑な環境下で自律行動を行うための基盤技術を提供する。
そして両領域の交差点にフィジカルAI向けデータ技術を据えることで、領域間の相乗効果と他社が模倣困難な独自優位性を確立し、収益にも寄与させる。各事業領域の詳細は「3.事業領域」で述べる。
3.事業領域 ― デジタルツイン/自律ロボット/データ技術
【3-1 事業の方向性:高粗利SWへの集中】
同社は空間知覚プラットフォームを軸に、デジタルツイン・自律(移動)ロボット・フィジカルAI向けデータ技術の3領域で事業を展開している。27年3月期は、これまでの「SW技術・ソリューションの拡大」を継続しつつ、新たに「高粗利SWへの集中」と「フィジカルAI向けデータ技術の提供」を方針に加える。先行する低粗利のHWを「呼び水」として活用しながら、中長期のコアSW技術の普及を前提に収益の最大化を図る。なお前期26年3月期の方針であった「コスト最適化」は、目的達成により完了とする。
【3-2 各事業領域の取り組み】
(1)高粗利SWへの集中
これまでのHW販売を「呼び水」として効果的に補完しながら、中長期でのコアSW技術の普及を前提とした収益最大化を目指す。先行するHWから高粗利SWへの集中により、今期は粗利におけるSW比率を大きく改善させる。
SW集中にともない、今期に想定していたHWパッケージの一部売上を前期26年3月期に前倒しで計上している。そのため27年3月期は一過性の減収であり、28年3月期以降に収益性を高めた売上成長・黒字化を見込んでいる。
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(同社資料より)
(2)SW技術・ソリューションの拡大
注力しているデジタルツイン及び移動ロボット両領域で、継続して技術・事業拡大を推進する。
①デジタルツイン
土木建設・不動産・インフラ・物流・製造向けに市場は急拡大し、2040年にはデジタルツイン市場全体は100兆円(約7,000億ドル)規模に達すると同社では推計している。
ソリューション(Kudan PRISM)を中心に継続的な顧客基盤と収益の拡大を進展させる。フィジカルAI向けデータ技術と連携しロボット向けへの展開を進め、競争優位性も強化する。
26年3月期に続き、顧客基盤の大幅な拡大に取り組み、顧客数は150%増、展開国数は3か国から10か国に拡大、対象業種も製造・物流・建設・インフラ・エネルギー・設備管理に加え、不動産・通信・公共へと拡大させる。
(Kudan PRISM概要・特長)
橋梁・トンネル・プラント・都市インフラなどの維持管理の現場では、老朽化対策と熟練人材不足が深刻化しており、高精度な現状把握と効率的な保守運用の両立が求められている。従来の「3D点群中心」のソリューションは、データ容量の大きさ/表示の重さ・操作性の制限/情報連携の難しさが大きな課題となっていた。
Kudan PRISMは、これらの課題を解決し、現場のDX化を加速するために開発されたプラットフォーム。軽量・フォトリアルで意味情報(セマンティクス)を備えた3Dデジタルツインをスピーディーに生成・活用でき、従来困難だった空間情報の共有や分析を直感的かつ容易に実現できる。
設備・施設管理、インフラ点検、災害対応など幅広い分野で活用可能で、軽快に動くフォトリアル3D表示に、Kudanの空間知覚技術とAIによる自動処理により、管理対象の分類・タグ付け・解析まで一気通貫で実行する。これにより、直感的なデータ管理、情報連携、並びに自動化による業務効率化とサービス品質の向上を実現する。
(活用事例)
対象案件 | 概要 |
施設・設備管理 インフラ保守点検 | 従来困難となっていた領域でのDX促進により、業務自動化・効率化や作業の遠隔化を実現する。先進国に共通する現場労働力の不足、設備インフラの老朽化の解消に向けて需要拡大が見込まれる。 |
スマートシティ・災害対応 | 需要が高まる災害シミュレーション・防災設計を高度化し、人命保護・災害復興に貢献する。 |
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(同社資料より)
②移動ロボット
26年3月期から推進しているロボット向け自律移動の基盤技術によって継続的に売上及び案件規模の大型化を図る。売上は前期比100%増を計画している。市場での先行ポジションを強化するフィジカルAIモデルの導入、データ技術提供との連携にも注力する。ロボット市場は2040年には300兆円に達するとも言われており、実用化に向けた技術課題解決への需要は高い。
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(同社資料より)
具体的な案件では、政府プロジェクトへの参画が挙げられる。
同社は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合研究機構)が公募し、建設業界大手が参画する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築」に開発リーダーとして参画した。建設市場のロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤の研究開発に取り組み、日本におけるロボット自律走行のコア技術開発を牽引する。同事業の実施期間は2027年度までの3年間、全体予算は103億円。
同社技術の社会実装・普及の加速を見込むとともに、関連するロボット関連の政府方針についても継続した緊密な連携を目指し、将来的にはより幅広い産業に対する応用展開を見込んでいる。
高市政権では17分野の重点投資対象を掲げているが、AI・半導体はその筆頭であり、その点でも政府との連携を強化していく。

(同社資料より)
(3)フィジカルAI向けデータ技術の提供
Kudanの空間知覚は、フィジカルAIの根幹となるデータ構築のための中核技術である。これをロボットとデジタルツインの交差領域に位置づけることで、両領域間のシナジーと他社が模倣困難な独自優位性を確立するとともに、新たな収益源としても寄与させる。

(同社資料より)
デジタルツインとロボティクスその他の主な案件は以下の通りである。

(同社資料より)
【3-3 中長期の成長イメージ】
技術・事業領域の拡大戦略のもと、短期的には多角的な売上拡大と収益性最適化を行いながら、中長期的にはフィジカルAI市場の加速に合わせ、商用技術の普及と高粗利SW販売拡大で飛躍的な成長を目指す。

(同社資料より)
4.市場環境 ― フィジカルAIの台頭と空間知覚需要の拡大
【4-1 フィジカルAIへのパラダイムシフト】
近年、生成AI関連投資の拡大や企業・個人による生成AI活用の普及など、AIの社会実装が急速に進展している。労働力不足を背景とした省人化・自動化需要も引き続き高水準で推移しており、幅広い産業領域でロボット・デジタルツイン等を活用した自動化需要が拡大している。こうした中、AIが現実空間を知覚し、自律的に行動・継続学習する「フィジカルAI」への注目が世界的に高まっている。
あらゆる産業におけるオペレーション自動化ニーズの高まりと、アルゴリズムを補完するセンサー・半導体等のハードウェア技術の進化により、空間知覚技術の実用化と普及が急速に進んでいる。特に物流・製造・建設・小売等の領域では、ロボティクス・自動運転・ドローン等の自動化技術へのニーズ増大が顕著である。
【4-2 主要技術領域の経済効果】
空間知覚技術が応用される主要技術領域の市場規模・経済効果は、以下の通りいずれも大きな成長が見込まれている。
対象テクノロジー・デバイス | 経済効果 |
AI | AIの影響によって2030年のGDPはその影響がなかった場合に比べて最大14%(15兆7,000億ドル)高くなる可能性があり、最小でも9.8%(11兆2,000億ドル)高くなると予想される。 |
自動運転 | 自動運転が実用化された場合、世界的に、2035年には8,000億ドル、2050年には7兆ドルの乗客経済(※)が生まれると推計。
内訳は、コンシューマ向けのMaaS(3.7兆ドル)、ビジネス向けのMaaS(3.0兆ドル)、新しく生まれる無人自動車サービス(0.2兆ドル)。
※乗客経済:レベル5の完全自動運転によって生み出される経済的、社会的価値 |
デジタルツイン | 現実空間の物体・状況を仮想空間上に「双子」のように再現した「デジタルツイン」は、製造業やヘルスケアなど多様な分野でのシミュレーションや最適化及び効果・影響・リスクの評価などでの活用が進んでおり、世界のデジタルツインの市場規模は2020年の2,830億円から2025年には3兆9,142億円に成長すると予測されている。 |
ドローン | 日本国内のドローンビジネスの市場規模は、2020年度には前年比の37%増の1,932億円に拡大し、2025年度には6,427億円(2020年度の約3.3倍)に達する見込みである。
2019 年度はサービス市場が前年比68%増の609億円となり、最も高い市場となっている。機体市場は前年度比37%増の475億円、周辺サービス市場が前年度比46%増の326億円で続いている。
各市場とも今後も拡大が見込まれており、2025年度においては、サービス市場が4,426億円(2019年度の約7.3倍)と最も高く、機体市場が1,229億(2019年度の約2.6倍)、周辺サービス市場が771億円(2019年度の約2.4倍)に達する見込みである。 |
自律ロボット | ロボットが自ら環境を認識して移動・作業する自律(移動)ロボットは、製造・物流・建設・サービス等の領域で導入が加速している。世界の移動(自律)ロボット市場は2040年に約300兆円規模に達するとも言われており、フィジカルAIの本格化が普及を一段と後押しすると見込まれる(同社推計)。 |
これら既に応用開発が進んでいる領域に加え、多様な先進テクノロジーを下支えすることにより、今後空間知覚技術が応用・統合される分野は多数あり、これまでの想定を超えたスピードで社会実装が進むと見込まれている。
【4-3 Kudanの事業機会】
同社が中核に据えるデジタルツインは2040年に市場全体で約100兆円(約7,000億ドル)規模、移動ロボット市場は2040年に300兆円に達するとも言われており、フィジカルAIの本格化はこれら巨大市場の成長をさらに加速させる。先進性と希少性を兼ね備えた同社の空間知覚技術は、拡大する需要を取り込む独自のポジションを有している。
5.2026年3月期 決算概要
【5-1 連結業績概要】
| 25/3期 | 対売上比 | 26/3期 | 対売上比 | 前期比 | 期初予想比 | 修正予想比 |
売上高 | 517 | 100.0% | 1,196 | 100.0% | +679 | +496 | +96 |
売上総利益 | 340 | 65.8% | 370 | 31.0% | +30 | - | - |
販管費 | 1,140 | 220.4% | 956 | 79.9% | -184 | - | - |
営業利益 | -800 | - | -585 | - | +214 | +194 | +94 |
調整後営業利益 | -753 | - | -528 | - | +225 | +192 | +92 |
経常利益 | -743 | - | -174 | - | +568 | - | - |
当期純利益 | -801 | - | -188 | - | +613 | - | - |
*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益、以下同様。調整後営業利益は、営業利益(損失)に毎期経常的に発生する政府からの研究開発補助金収入を加えた、事業収益性の指標となる利益数値。
大幅な増収、営業損失は縮小、上方修正後の予想を上回って着地
売上高は前期比131.3%増の11億96百万円、営業損失は前期比2億14百万円縮小の5億85百万円。
技術・事業領域の拡大と、フィジカルAI市場の本格化を背景に、売上が大幅に伸長し、赤字幅も縮小した。高粗利であるSW(ソフトウェア) へ集中する新方針に伴い関連案件の契約見直しを行い、前期と今期の販売計画の最適化を図った結果、HW(ハードウェア) 売上を前倒し計上したこともあり、売上・利益ともに上方修正後の業績予想を上回った。
(収益性の見方:粗利率と経常損益)
売上総利益率は前期の65.8%から31.0%へ低下したが、これは収益力の悪化を示すものではない。NEDO等の政府案件に係る開発費が売上原価に計上されたことによる構造的な要因であり、SWライセンスを中心とする本来の高粗利構造に変化はない。
経常損失は前期比5億68百万円改善の1億74百万円となった。改善幅は営業損失の縮小(+2億14百万円)を大きく上回るが、これは為替差益(約354百万円)や研究開発補助金などの営業外収益による部分が大きい。本業の改善(営業損益)と、為替・補助金といった変動・一過性の要因は切り分けて評価する必要がある。
(業績伸長の背景)
収益強化と技術普及のためSW(ソフトウェア) とHW(ハードウェア) 双方で補完技術を強化し、要素技術から空間知覚プラットフォームに技術・事業領域を大幅に拡大した。
また、同社が注力しているデジタルツイン、移動ロボットなどで既存技術が一段落する一方、技術需要の次世代シフトが加速している。そうした中、先進性と希少性を兼ね備えた同社の強みが新たに拡大している需要を着実に取り込んでいる。
デジタルツイン・移動ロボットとも多角的に売上が伸長している。デジタルツインでは短期成長する市場で収益を確保し、SW/HW/ソリューションで多層的・相乗的な成長を実現している。長期成長する移動ロボット市場で先行ポジションを強化するとともに、効率的な開発強化を進めている。

(同社資料より)
(コスト構造の改革)
前々期は新技術領域への拡張のために開発を増強し、前期は定常コストの最適化を目指し、計画を通期で達成した。前期までで戦略実行にともなう構造変革の過渡期を終了し、今期からはコア技術の強化を始めとした持続可能な開発体制を維持・拡大していく方針である。
6.財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
| 25/3月末 | 26/3月末 | 増減 |
| 25/3月末 | 26/3月末 | 増減 |
流動資産 | 2,882 | 2,447 | -434 | 流動負債 | 273 | 335 | +62 |
現預金 | 2,593 | 1,986 | -607 | 負債計 | 280 | 335 | +55 |
固定資産 | 528 | 530 | +1 | 純資産 | 3,131 | 2,642 | -488 |
有形固定資産 | 0 | 0 | 0 | 資本金・資本剰余金 | 3,940 | 3,165 | -774 |
投資その他の資産 | 528 | 530 | +1 | 利益剰余金 | -205 | 414 | +619 |
資産計 | 3,411 | 2,977 | -433 | 負債純資産計 | 3,411 | 2,977 | -433 |
*単位:百万円
現預金の減少などで資産合計は前期末比4億33百万円減少の29億77百万円。
資本剰余金の減少などにより純資産は同4億88百万円減少の26億42百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より3.5ポイント低下し、88.2%となった。
年間の資金流出規模に照らすと、現預金19億86百万円は数年分(当社試算で約6年分)の運転資金に相当するとみられる。損失が縮小局面にあることも踏まえれば、当面の追加的な資金調達を要しない財務基盤を確保している。
◎キャッシュ・フロー
| 25/3期 | 26/3期 | 増減 |
営業CF | -815 | -632 | +183 |
投資CF | -161 | -13 | +148 |
フリーCF | -976 | -645 | +331 |
財務CF | 1,850 | 18 | -1,832 |
現金同等物残高 | 2,593 | 1,986 | -607 |
*単位:百万円
現預金の取り崩しによりキャッシュポジションは低下したものの、自己資本比率は88.2%と高水準を維持しており、財務基盤は引き続き健全である。
7.2027年3月期 業績予想
【7-1 業績予想】
| 26/3期 | 27/3期(予) | 前期比 |
売上高 | 1,196 | 1,030 | -166 |
営業利益 | -585 | -340 | +245 |
調整後営業利益 | -528 | - | - |
経常利益 | -174 | - | - |
当期純利益 | -188 | - | - |
*単位:百万円。予想は会社側発表。経常利益および当期純利益については、同利益項目への影響の大きい為替差損益の見積もりが困難であることから、具体的な金額の予想については現時点で開示しない方針。調整後営業利益は営業利益(損失)に毎期経常的に発生する政府からの研究開発補助金収入を加えた、事業収益性の指標となる利益数値。ただし、今期については、現時点で不確定要素が多く、適正かつ合理的な予想の策定が困難であるため非開示とし、今後予想可能性が高まり次第、開示を予定している。
減収も大幅な収益性向上により赤字縮小
売上高は前期比1億66百万円減少の10億30百万円、営業損失は同2億45百万円改善の3億40百万円の予想。
売上高はHWが5億30百万円の減収も高粗利のSWが3億60百万円の増収。コスト面では研究開発投資が80百万円拡大するが、SW集中による利益増3億50百万円により損失は今期も縮小。来期以降での収益性の高い売上成長と黒字化を見込んでいる。
8.会社概要・沿革・技術解説(参考)
本章は、同社の沿革・企業理念、人工知覚(AP)やSLAMといった基盤技術の詳細解説、競争優位性、ビジネスモデル等をまとめた参考情報である。事業や決算の要点は第1章〜第7章に集約しており、本章は背景理解のためのリファレンスとして位置づける。なお市場環境(経済効果の一覧を含む)は「4.市場環境」に集約している。
「あらゆる機械の眼(Eyes for All Machines)」をビジョンとして掲げ、フィジカルAI時代における基盤技術となる「空間知覚(Spatial Perception)」技術の研究開発、ライセンス提供ならびにソリューションを展開。空間知覚とは、AIやロボットが現実空間を理解するための技術領域であり、機械が現実世界を認識し、位置を把握し、周辺環境を理解しながら行動するための中核技術。同社は、この空間知覚をAIが現実空間に存在するための、フィジカルAIの根幹技術として位置付け、デジタルツイン・ロボット・データ技術を統合した空間知覚プラットフォームの展開を進める。
【8-1 沿革】
アンダーセン・コンサルティング在籍時にArtificial Perception(AP、人工知覚)技術の将来性、成長性を確信した大野智弘氏(現 代表取締役)は、2011年1月に、Kudan Limitedを英国に設立し、AP技術の基礎となるSLAM技術の独自の研究開発を行っていた。
2014年11月に、更なる研究開発を進める一方で、業容拡大による管理部門の拡張を目的としてKudan株式会社を設立。2016年12月に「KudanSLAM技術」の評価用デモソフトウェアを、2018年3月期から正式に「KudanSLAM」の提供を開始した。
2018年12月に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。2022年4月、市場区分再編に伴い東証グロース市場に移行。
トヨタ自動車、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て入社した代表取締役CEO 項大雨氏、代表取締役 大野智弘氏、取締役COOハオ ティエン氏の3名の社内取締役によりスピードを重視した経営チームを構成している。
【8-2 企業理念】
同社の経営理念は、「独樹一幟、標新立異」(樹独り幟一つ、新しきを標し異なりを立てる)。
「他社と同じことをしない」「一般に正しいと信じられていることを敢えて否定する」ことを意味し、研究開発や事業展開において、常に他社と比較できない突出した存在ならしめるような方針を定め、市場において唯一の存在となり、事業と研究開発の発展と、株主利益の拡大を目指している。
また、ビジョンとして「すべての機械の眼(Eyes for All Machines)」を掲げ、あらゆる機械やデバイスが目指すことになる自律化や無人化に対して欠くことのできない技術を提供するプレーヤーとなることを目指している。
【8-3 市場環境(詳細は「4.市場環境」を参照)】
近年、生成AI関連投資の拡大や企業・個人による生成AI活用の普及など、AIの社会実装が急速に進展。また、労働力不足を背景とした省人化・自動化需要も引き続き高水準で推移しており、幅広い産業領域において、ロボット・デジタルツイン等を活用した自動化需要が拡大。加えて、AIが現実空間を知覚し、自律的に行動・継続学習する「フィジカルAI」への注目が世界的に高まっている。
対象テクノロジー・デバイス | 経済効果 |
AI | AIの影響によって2030年のGDPはその影響がなかった場合に比べて最大14%(15兆7,000億ドル)高くなる可能性があり、最小でも9.8%(11兆2,000億ドル)高くなると予想される。 |
自動運転 | 自動運転が実用化された場合、世界的に、2035年には8,000億ドル、2050年には7兆ドルの乗客経済(※)が生まれると推計。
内訳は、コンシューマ向けのMaaS(3.7兆ドル)、ビジネス向けのMaaS(3.0兆ドル)、新しく生まれる無人自動車サービス(0.2兆ドル)。
※乗客経済:レベル5の完全自動運転によって生み出される経済的、社会的価値 |
デジタルツイン | 現実空間の物体・状況を仮想空間上に「双子」のように再現した「デジタルツイン」は、製造業やヘルスケアなど多様な分野でのシミュレーションや最適化及び効果・影響・リスクの評価などでの活用が進んでおり、世界のデジタルツインの市場規模は2020年の2,830億円から2025年には3兆9,142億円に成長すると予測されている。 |
ドローン | 日本国内のドローンビジネスの市場規模は、2020年度には前年比の37%増の1,932億円に拡大し、2025年度には6,427億円(2020年度の約3.3倍)に達する見込みである。
2019 年度はサービス市場が前年比68%増の609億円となり、最も高い市場となっている。機体市場は前年度比37%増の475億円、周辺サービス市場が前年度比46%増の326億円で続いている。
各市場とも今後も拡大が見込まれており、2025年度においては、サービス市場が4,426億円(2019年度の約7.3倍)と最も高く、機体市場が1,229億(2019年度の約2.6倍)、周辺サービス市場が771億円(2019年度の約2.4倍)に達する見込みである。 |
自律ロボット | ロボットが自ら環境を認識して移動・作業する自律(移動)ロボットは、製造・物流・建設・サービス等の領域で導入が加速している。世界の移動(自律)ロボット市場は2040年に約300兆円規模に達するとも言われており、フィジカルAIの本格化が普及を一段と後押しすると見込まれる(同社推計)。 |
*AI、自動運転、ドローンは経済産業省ウェブサイト「第10回 Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」の「参考資料2:先端技術がもたらす経済効果等に関する試算事例」より、デジタルツインは総務省「令和5年版 情報通信白書(デジタルツイン)より引用。赤・太文字はインベストメントブリッジによる。
これら既に応用開発が進んでいるアプリケーションに加え、多様な先進テクノロジーを下支えすることにより、今後AP(人工知覚)技術が応用・統合される分野は多数あり、これまでの想定を超えたスピードでAP(人工知覚)技術は社会実装されていくと見込まれている。
【8-4 事業内容(AP・SLAM技術解説)】
AP(人工知覚)の基幹技術であるSLAMを始めとするアルゴリズムをハードウェアに組込むためのソフトウェア「KudanSLAM」をライセンス化し、顧客に提供している。
同社の事業内容、技術の優位性などを理解するためには、「AP(人工知覚)」「SLAM」について知ることが欠かせない。
以下、「AP(人工知覚)」および「SLAM」について解説する。
<AP(人工知覚)とは?>
AP(人工知覚)は、同社グループが提唱・研究開発してきた技術であり、本レポートで用いる「空間知覚(Spatial Perception)」の中核を成す要素技術である。すなわち、機械が現実空間を認識・理解するための「眼」にあたる技術群がAP(人工知覚)であり、それをデジタルツイン・ロボット・データ技術へ統合・体系化したものが空間知覚プラットフォームである。
人間の「脳」を代替する技術であるAI(人工知能)の進化が著しい。
しかし、足元のAIの進化は、主に現実空間には直接作用しない「インターネットAI」としての進化に留まり、一方で今後は、現実空間に直接作用できる「フィジカルAI」への需要が大きく増加していくと見込まれている。長らくインターネット空間に留まっていた機械(コンピュータやロボット)は、現実空間において自律的に機能する方向に向かっている。
しかしながら、機械の自律的な行動や機能はAIのみでは実現できない。周囲の状況を理解するための「眼」にあたる先端技術AP(人工知覚)がAI(人工知能)と相互に連動・補完することによって初めて実現可能であり、人間の「眼」と同様に機械に高度な視覚的能力を与えるAP(人工知覚)は必須の技術である。
AIの進化に伴い、機械と現実空間を繋げるAPのニーズは今後益々拡大するものと考えられる。
近年、同社はこのAP(人工知覚)を、AIが現実空間に存在し機能するための基盤=「空間知覚(Spatial Perception)」として再定義し、フィジカルAI時代の中核技術として位置づけている。本レポートの第1章〜第4章で用いる「空間知覚」は、ここで解説するAP(人工知覚)を発展・包含した概念である。

(同社資料より)
<SLAMとは?>
AP(人工知覚)が必要とされる能力を十分に発揮するのに重要な役割を果たすのが、「SLAM:Simultaneous Localization and Mapping」である。
ロボットは視覚が無いので、人でいうなれば真っ暗闇の中をさまよっている状況である。そうした環境下で正確に移動するためには、移動する場所の地図を手に入れることとその地図の中で自分が今どこにいるのかを知ることが不可欠である。
SLAMは、カメラやLidarといった外を見るセンサーからの入力を元に、コンピュータが現実環境において「自己位置推定(Localization、自分がどこにいるか)」と、「環境地図作成(Mapping、周囲がどのようになっているか)」を同時に行う技術。
初めての環境でマップを作りながら自分がどう動いたかを記録(トラッキング)することや、事前に作ったマップをもとに自分がどこにいるか認識(リローカライゼーション)することも可能である。
外部電波から位置検知をするGPSやビーコンと異なり、人間と同じように目(カメラ・Lidar)からの情報をもとに周囲環境と自分の位置を認識し、より幅広い環境・シチュエーション・ユースケースでの利用を可能にする。

(同社資料より)
例えば、自動車にSLAM技術を活用すると、走行距離、カメラによる画像やレーザー光を使ったセンサーであるLidar(ライダー)によるセンサー情報をコンピュータプログラムによって数理的に処理し、立体感(方向・距離・大きさなど)や運動感覚(位置・移動など)をリアルタイムかつ緻密に出力して自己位置を特定すると同時に、センサーが収集した周辺のデータを基に3次元の立体地図を作成する。
SLAMを使用することで、自動車の場合であれば事前に道路の状況(前後左右の走行車両位置・スピード、道路幅、車線数など)を知らなくても、走行しながら随時同時に立体地図を作成し、安全に走行するための基本情報を入手することができる。
外部電波から位置検知をするGPSやビーコンと異なり、スタンドアローンで自己位置を認識、より幅広い環境・シチュエーション・ユースケースでの利用を可能にする。
SLAMはAP(人工知覚)における最も重要な技術であるが、例えば自動運転における安全性を確保するには精度や処理スピードが極めて重要である。SLAMをより汎用的に活用するには、それら技術的な課題が指摘されている。
これに対しKudanグループが提供する「Kudan GrandSLAM」は、カメラを用いた「KdVisual(Visual SLAM)」と、3D-Lidarを用いた「KdLidar(3D-Lidar SLAM)」を中心とするSLAMソフトウェア群で構成され、それぞれが異なる適用領域・環境で強みを発揮する。同社は、SLAMアルゴリズムを専業とする世界的にも稀少な上場企業として、商用グレードのSLAMフレームワークをライセンス提供している。

(同社HPより)
KdVisual(カメラを用いたVisual SLAM)は、カメラ映像から自己位置推定と地図作成を行うソフトウェアで、速度・精度・堅牢性のバランスと統合のしやすさを強みとする。最も著名なオープンソース(ORB-SLAM2)の2〜10倍の処理速度をより少ない処理能力で実現し、スマートフォン等の低消費電力デバイス上でも動作する。産業用ロボット(AGV/AMR)に求められる、地図に対する1cm未満の繰り返し精度を実現するとともに、既存地図上での自己位置測定も他社のSLAM技術より大幅に高速に行える。カメラ視野内を移動する人や物、地図作成時からの風景変化があっても精度を維持でき、2D-LidarベースのロボットにもカメラとKudanのソフトウェアを追加するだけで「自己位置を見失う」という運用上の課題を解消できる。
KdLidar(3D-Lidarを用いた3D-Lidar SLAM)は、3D-Lidarの点群データから高精度・高ロバストな自己位置推定と3次元地図作成を行う。GPSの使えない屋内や屋内外が混在する環境でもcmレベルの精度を発揮し、大まかな初期位置のヒントがなくても自動で自己位置を特定(リローカライズ)できる。大規模運用に耐えるスケーラビリティを備え、回転式に加えソリッドステート型のLiDARにも対応するなど幅広い顧客環境に適用可能で、高精度な3D点群マップはデジタルツイン用途にも活用される。さらに、カメラ・LiDARに加えてIMU・GNSS・ToF・ホイールオドメトリ等の各種センサーと融合(センサーフュージョン)することで、移動物体の多い環境や広域屋外でも累積誤差を抑えた安定した自己位置推定を実現する。
この技術的な優位性は後述するKudan Germany(旧 アーティセンス)グループ化で一段と強固なものとなった。
同社は、2018年3月期よりカメラSLAM(KdVisual)を「KudanSLAM」として提供を開始し、2020年3月より3D-Lidar SLAM(KdLidar)の提供も開始した。以下の3つの領域で顧客開拓を進めてきた。
領域 | 顧客 |
AR(拡張現実)、VR(仮想現実)の応用領域 | 光学センサーメーカ、光学機器メーカ、MR(複合現実)グラスメーカ、通信機器メーカ、電気機器メーカ、ECプラットフォーム、コンピュータゲーム制作、など |
ロボティクス、IoT(Internet of Things)の領域 | 光学機器メーカ、重工・産業ロボットメーカ、電気機器メーカ、輸送機器メーカ、信号処理IP、など |
自動車や地図向けの応用領域 | 自動車部品メーカ、デジタル地図会社、空間情報コンサルティング企業、など |
このように、Visual SLAMとLidar SLAMの双方を持つこと、Visualの中ではDirectおよびIndirect双方、またそのハイブリッド技術を有すること等は同社の大きな強みである。なお、同社のSLAM技術の詳細は同社HP(https://www.kudan.io/jp/localisation-and-mapping)を参照されたい。
<拡大するAP(人工知覚)活躍のフィールド>
同社は、コンピュータビジョンと呼ばれる既存技術(2次元的処理を中心としたセンサー・画像処理の基礎技術の集合)を再構築して土台とし、そこから独自にAP(人工知覚)の技術を開発してきた。
AP(人工知覚)は、カメラや3次元センサーを用いるあらゆる機器にとって必要となる基礎技術であり、多様な次世代ソリューションに横断的に採用される基盤技術となると想定している。
広義のロボティクスとしてのあらゆる自律的な機械、すなわち産業用ロボット、家庭用ロボット、次世代モビリティ(自動車など)、飛行機器(ドローンなど)の自動制御に必須の技術となっている。
また、次世代コンピュータのユーザインターフェースとなるAR(拡張現実)、VR(仮想現実)等の空間認識においても必要となる。
加えて、次世代デジタル地図やビッグデータとなるダイナミックマップ(現実環境の状況が速やかに反映される動的な地図システム)やデジタルツイン(現実環境とリアルタイムに同期した仮想空間情報)の技術基盤となるなど、極めて広範な技術応用が見込まれる。

(同社資料より)
中でも、実現を目指す次世代ソリューションの中心と同社が位置付けるロボティクスとデジタルツインにおいては、本格的な「機械の眼」によって限定的・非効率ではない真のポテンシャルが解放されると同社では考えている。
例えば、現在使われているSLAM搭載の自動走行ロボットの多くは2D LidarのSLAMを使用しているが、2D Lidarは周囲の情報を平面的にしか捉えることができないため使える環境が限定されるなどの課題がある。
これに対し、同社のVisual SLAMや3D Lidarを用いた3D-Lidar SLAMは、環境を三次元で認識することが可能であり、より幅広い環境でロボットを自動で動かすことができる。
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<実用化事例>
こうした中、顧客製品化による技術の実用化が進み始め、順次市場導入が始まっている。
*ロボティクス
・自律走行ロボット 米国NVIDIA及びIntelへの提供。ロボット開発者向けプラットフォームに商用SLAMアルゴリズムを提供している。2022年のIntelプラットフォームへの採用は商用アルゴリズムとして半導体業界初のケースであった。
![]() | ・自動運転配達・販売車両 中国Whale Dynamic社に技術基盤を、米国Robomart社にサービスを提供。低コストのセンサ構成でも高精度な認識を実現する。コストパフォーマンスが高く社会需要性の高い自動運転サービスに向けて実用化を進めている。
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(同社資料より)
*デジタルツイン
・森林管理 フィンランド農林省及び米国コーネル大学へ提供。大規模な森林を3Dスキャンすることで膨大な木々の情報をデジタル化し、保全や伐採などの森林管理向けにデータベース化するソリューションを開発中である。
![]() | ・3次元デジタルツインの実写表示ソリューション 中国XGRIDS社に提供。現実空間をスキャンしたデジタルツイン内を、自由に動き回って実写表示することが可能。建築・不動産・製造など多業種でのイノベーションが見込まれる。
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(同社資料より)
このほか、公開、非公開・匿名案件も含め、多数のプロジェクトが進行している。
◎経営戦略
この技術戦略をベースに、ソリューション・完成品・応用技術のさらに下の最も深い技術レイヤーに位置する基盤技術に相当するDeep Tech(深層技術)において、アルゴリズムの研究・ソフトウェア開発・ライセンス提供に注力している。
圧倒的な技術力を武器にグローバルベースで顧客化を進め、「少数精鋭による企業価値の最大化」「顧客にとって代替の困難なポジショニング」を目指している。

(同社資料より)
【8-5 競争優位性】
(1)技術の特長
同社のAP(人工知覚)技術は、今後中長期的にAP(人工知覚)の技術発展と応用拡大が継続することによる技術需要を戦略的に取り入れるため、既存の製品開発用の需要だけではなく、新規性と複雑性が高い将来技術の研究開発需要の取り込みにおいて大きなアドバンテージを有していると、同社では考えている。
同社が考える技術の特長は以下の5つ。
AP(人工知覚)領域に特化することで培ってきた高度で柔軟な研究開発能力と組み合わせることで、今後予想される多様な需要の拡大にフレキシブルに対応することが可能である。
特長 | 概要 |
①アルゴリズムの独自性 | 同社グループの技術群は多岐にわたり、独自開発したアルゴリズムにより構成されている。
例えば、立体的な幾何構造を高度に認識するための根幹となる画像特徴点(画像内で顕著性が高い局所領域)の認識手法については、処理が高速な認識手法と精度および安定性の高い認識手法を統合してハイブリッド化することで、双方の性能の長所を生かした高速かつ高精度の独自手法を開発している。 また、認識する立体構造(3次元特徴点群)の緻密さと処理の速度を様々なアプリケーション応用に最適化するために、画像内で認識する特徴点の密度を柔軟に調整することが可能。 その他、立体認識した3次元特徴点群を逐次的に高精度化する最適計算や、既知の保存データとの高速な照合手法など、技術の実用性を担保する種々の独自数理モデルが組み込まれている。 |
②柔軟かつ高性能
| アルゴリズムの独自性により、高い認識精度(真値からの誤差が小さいこと)とロバスト性(使用環境や条件によらずに性能が安定していること)を実現するとともに、高速な処理(計算負荷が低い処理)が可能である。
加えて、技術の使用条件や要求仕様に合わせて、認識精度、ロバスト性、処理速度、データサイズ、その他の個別機能まで詳細なチューニングが可能な構造で設計されているため、様々な応用対象に対して最適化された高いパフォーマンスを実現することができる。 |
③センサー利用の柔軟性 | センサー利用の制限はAP(人工知覚)技術の応用範囲を狭める要因となるため、同社グループの技術は多様なセンサーに対応可能となるように設計されている。
具体的には多様なカメラでの動作が可能であり、カメラ個数(単眼カメラ、両眼カメラ、多眼カメラ)、光学センサーのデータ読み出し形式(順次読み出し、同時読み出し)に対して柔軟に対応できる。 また、カメラ以外にも、3次元センサー(Lidar、ToFなど)、内部センサー(IMU、機械オドメトリなど)、位置センサー(GPS、Beaconなど)など、様々なセンサーと組み合わせることで各センサーの長所を活かした高度な応用も可能である。 |
④演算処理環境の柔軟性 | 演算処理のプラットフォームに対する柔軟性もAP(人工知覚)技術の応用拡大にとって重要な要因である。
同社グループの技術は多様な演算処理の環境に対応しているため、あらゆるプロセッサ設計(CPU、DSP、GPUなど)に対して、ソフトウェアを最適化して計算処理を高速化することが可能である。 また、主要なオペレーティングシステム(Linux、Windows、MacOS、iOS、Androidなど)にソフトウェアを移植することで幅広いシステム環境での動作も可能である。 |
⑤部分機能利用の柔軟性 | AP(人工知覚)技術の高度な応用のためには、他技術との複雑な融合が必要である。同社グループの技術は部分的機能(ソフトウェアモジュール)を切り出して、顧客が個別に保有する既存のソフトウェアと柔軟に技術統合することが可能。
また、部分的機能(ソフトウェアモジュール)はプロセッサ設計への依存度(ソフトウェア抽象度)が様々な水準で構成されており、半導体レベル(抽象度が低い)でもソフトウェアアプリケーションレベル(抽象度が高い)でも柔軟に最適化が可能である。 |
(2)グローバルなAP(人工知覚)のプロフェッショナル集団
SLAMを専門とする研究者/エンジニアは希少なコンピュータビジョン領域の中でも更に一握りである。その中で同社には博士号保有の一流人材が数多く在籍しており、APのプロフェッショナル集団として、グローバルベースで技術・ビジネス双方において強固な基盤を構築している。
2011年のイギリスにおけるKudanグループ創業後、東京拠点開設(2014年)に続き、2020年にはKudan Germany(旧 アーティセンス)へ出資し、翌2021年には子会社化。
世界最先端の技術を有するKudan Germany(旧 アーティセンス)の子会社化、ミュンヘン工科大学のダニエル・クレーマーズ教授との関係深化により、人材獲得、技術開発の点で同社の競争力はさらに強固なものとなっている。
(3)圧倒的な実績
SLAM専業・SLAMをコアビジネスとするプレーヤーに対する大手テクノロジー企業によるM&Aが続き、プレーヤーの数はより限定的となっている。
そうした中、提供技術の幅広さ、案件実績、認知度において、同社は既存企業を大きくリードしている。
これまで、多くのグローバルトップ企業との開発・提携を実現しており、世界の先端企業から高く評価されている。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外4名 |
監査等委員 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年6月27日
<基本的な考え方>
当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーとの良好な関係を構築していくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。
当該認識のもと、代表取締役以下、当社の取締役、従業員は、それぞれの役割を理解し、内部統制システムを整備・運用していくことで、コーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいりたいと考えております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全てを実施しております。
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