ブリッジレポート:(7127)一家ホールディングス 2026年3月期決算
![]() 武長 太郎 代表取締役社長 | 株式会社一家ホールディングス(7127) |
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企業情報
市場 | 東証スタンダード市場 |
業種 | 小売業(商業) |
代表取締役社長 | 武長 太郎 |
所在地 | 千葉県市川市東大和田二丁目4番10号 |
決算月 | 3月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
691円 | 7,345,400株 | 5,075百万円 | 8.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
0.00円 | - | 31.21円 | 22.1倍 | 134.36円 | 5.1倍 |
*株価は6/16終値。各数値は26年3月期決算短信より。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2023年3月(実) | 8,376 | 166 | 131 | 80 | 11.93 | 0.00 |
2024年3月(実) | 9,232 | 227 | 219 | 78 | 11.12 | 0.00 |
2025年3月(実) | 10,089 | -74 | -100 | -172 | -24.16 | 0.00 |
2026年3月(実) | 11,533 | 250 | 198 | 78 | 10.89 | 0.00 |
2027年3月(予) | 12,549 | 414 | 367 | 229 | 31.21 | 0.00 |
*単位:百万円、円。
株式会社一家ホールディングスの2026年3月期決算概要、2027年3月期業績予想などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期決算概要
3.2027年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26年3月期の売上高は前期比14.3%増の115億33百万円。飲食事業は新規出店や業態変更の他、メニュー価格見直しの実施による客単価上昇などで同9.4%増収。ブライダル事業は、前期の受注好調が奏功したことによる婚礼施行数の増加や、宴席及びレストランが好調で同10.9%増収。レジャー事業については、バーベキュー・ビアガーデン業態店舗の運営に加え、2025年11月にオープンした「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の運営に係る業務委託料もレジャー事業セグメントの売上高として計上。営業損益は2億50百万円の黒字に転換した(前期は74百万円の損失)。主力の飲食事業の各業態においてメニュー価格の見直しを行ったことで原価率が適正化された影響が大きかった。新規出店は3店舗、直営店舗数は2026年3月末で87店舗。
- 27年3月期の売上高は前期比8.8%増の125億49百万円、営業利益は同65.5%増の4億14百万円の予想。前期に続き過去最高の売上高を更新するだけでなく、営業利益でも過去最高を見込んでいる。飲食事業については、引き続き既存業態の出店による主力ブランドの認知向上、ブランド力向上に加え、トレンドのニーズに対応した新規業態開発を継続して行っていく。なお、新規出店の積極化(10店舗予定)に伴い開業費が前期比で大きく増加することで、セグメント利益は減益となる想定だ。ブライダル事業については、婚礼サービスの内製化によるサービス力向上及びコスト削減に注力しながら、収益の改善を進める。レジャー事業については、レジャー施設「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の開業費剥落もあり、着実に黒字転換を目指していく。
- 2026年3月期はブライダル、レジャー事業が計画比で苦戦したものの、主力の飲食事業が価格改定による原価率の適正化に加え、業績不振店舗の業態変更によって月平均売上が大幅に向上した事例もみられるなど、的確な判断による変更成果がしっかりと出ておりポジティブな印象だ。また「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」業態は値上げでも顧客離脱がみられずポテンシャルの高さが垣間見えた。
- 2027年3月期については、飲食は客数増加ペースを、ブライダルは収益構造改革の進捗を注目したい。会社はこの2点を計画通り進めることで、株主・投資家の期待に応えたいと考えている。中長期的な同社の成長の一端を担うであろう「THE BOTANICAL RESORT『林音』」については基盤づくりの1年の中で、圧倒的な顧客満足度の確立に向け、今後の特別感醸成や林音ならではの深い体験ができる企画構想に大いに期待したい。
1.会社概要
グループミッションとして『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』を掲げ、主力業態である餃子・串焼き・もつ鍋などが中心メニューの「屋台屋 博多劇場」と、炉端・蒸焼・大鍋がメインの「こだわりもん一家」、全卓にハイボールタワーを設置した「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」などを展開。他には類を見ない接客サービス、業界における独自のポジショニング、理念を共有する人材育成のための取り組みなどが特長・強み。
2026年3月末現在、1都3県に87店舗を展開。ブライダル事業、レジャー産業も展開。

【1-1 沿革】
学生時代の旅の途中、お客様の笑顔に囲まれる飲食業の楽しさ・面白さに魅了された武長社長はホテルでのアルバイトなどサービスの基礎を学びながら資金を貯め、20歳で1997年10月に同社の前身である有限会社ロイスカンパニーを設立し、同年12月には1号店として「くいどころバー一家(現こだわりもん一家)本八幡店」を千葉県市川市にオープンした。
その年の12月22日、来店客からコースターの裏に書かれた「こんな素敵なお店をありがとう。」とのメッセージを受け取った武長社長は、深く感銘を受け、「お客様の喜び・感動は自分の喜び・感動である。」ことを改めて強く認識。
お客様と喜びと感動を分かち合うことを理念に掲げて店創り、会社創りに邁進する。
2000年8月に有限会社から株式会社へ組織変更し、同時に商号を「株式会社一家ダイニングプロジェクト」へ変更。
2010年2月には新業態である屋台屋 博多劇場1号店「屋台屋 博多劇場 成田店」を千葉県成田市にオープン。その後も1都3県で店舗を拡大するとともに、2012年8月にはブライダル施設「The Place of Tokyo」を東京都港区にオープンし、ブライダル事業へも参入し、業容を着実に拡大。2017年12月、東証マザーズ市場に上場、2020年3月には東証1部へ市場変更した。
その後、株式会社一家ホールディングスの設立に伴い、完全子会社となる株式会社一家ダイニングプロジェクトの株式は2021年9月29日付で上場廃止。同年10月1日付で株式会社一家ホールディングスの株式が東京証券取引所市場第一部に上場した。22年4月、東京証券取引所の市場再編に伴って東証スタンダード市場に移行。24年4月に設立した子会社株式会社一家レジャーサービスによりレジャー事業に進出した。
【1-2 経営理念】
沿革で述べた武長社長の創業時の強い想いを込め、以下のようなグループミッション、経営理念、社訓を掲げている。
(グループミッション)
『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』
(経営理念)
お客様、関わる全ての人と喜びと感動を分かち合う。 |
誇りの持てる「家族のような会社」であり続ける。 |
夢を持ち、限りなき挑戦をしていく。 |
(社訓)
笑顔であれ | どんな時も明るく元気に仕事をせよ。笑顔は活力の源である。 |
思いやる人となれ | 人の喜びや悲しみを共有せよ。心優しき者が繁盛店を創る。 |
目標を定め、実行せよ | 実行の前に目標がある。ゴールを定めない者は結果を出せない。 |
やり抜く強さを持て | 自分を信じ、決して諦めるな。希望は自身の中にある。己に勝て。 |
前向きに捉えよ | 愚痴や言い訳を言うな。否定的な考え方はつまらない人生を呼び寄せる。 |
素直な心であれ | 感動、感激、感謝せよ。吸収力は感受性の高さに比例する。 |
日々改善、改革せよ | 失敗を恐れるな。進化し、変化し、大きく飛躍せよ。 |
【1-3 事業内容】
報告セグメントは「飲食事業」「ブライダル事業」に加え、25年3月期より「レジャー事業」が加わり、“おもてなし”を軸に業容を拡大中だ。売上高で8割近くを占める飲食事業が成長ドライバーである。

(*)調整額2,400千円を除外した報告セグメント売上高の合計ベース
(*)なお、飲食事業は年末・年始が、またブライダル事業は婚礼シーズンである10月、11月が年間を通じた最繁忙期となるため、3月決算の同社においては第3四半期(10-12月)に売上・利益が偏重する季節特性がある点には留意する必要がある。
(1)飲食事業
株式会社一家ダイニングプロジェクトが運営する「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」「こだわりもん一家」「にのや」「韓国屋台ハンサム」に加え、子会社株式会社Egoが「肉のウヱキ」を運営している。各業態とも『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』として来店客に喜びと感動を提供するための様々な特長を備えている。
業態 | 特長 |
「屋台屋 博多劇場」 47店舗(26年3月末) | *「福岡・博多の風物詩である、中洲の屋台街の雰囲気や活気を再現した空間で、気軽で安くて旨い屋台飯を楽しんで頂ける、笑顔と活気があふれた劇場」がコンセプト。
*屋台をそのままお店にしたような店舗設計店内の活気やスタッフの笑顔が外からでもわかるように間口を広くし、遠くからでも一目で博多劇場だとわかる、店名の入った提灯やのれん、看板を掲げたファザードを設置。店内に入ると、串焼きや鉄板焼き、おでんといった屋台さながらのオープンキッチンとカウンター席。個室は作らず、開放感のある店内はスタッフの元気や活気が客に伝わる劇場をイメージし、設計している。
*「旨くて安い屋台飯」をコンセプトに、メニューを作成毎日手仕込みで作り、鉄鍋で調理する博多劇場名物の「鉄鍋餃子」をはじめ、肉や季節の野菜のほか、色々な食材を串に刺して焼く「博多串焼き」、博多名物である「博多もつ鍋」など。その他、鉄板焼きやおでんなどの屋台飯、辛子明太子や、ごま鯖などのメニューを取り揃え、ドリンクは、ハイボールや店内で仕込む自家製塩レモンサワー、九州の酒蔵より取り寄せた焼酎などを提供している。客単価2,800円。
*サービスと商品を組み合わせることで顧客との接点を増やし、客に楽しんでもらうために様々な取り組みを行っている。(「鉄鍋餃子」100個(総重量1.5㎏)を60分以内に食べたら無料イベントの実施の他、年齢同数の餃子の誕生日プレゼント、3回以上の来店で、乾杯ドリンクを通常料金で1リットルサイズに変更するなど独自のアプリ会員システム「屋台屋会員」の運営)。 |


(同社資料より)
業態 | 特長 |
大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん 15店舗(26年3月末) | *昨今の健康志向の高まりにより、「低糖質」「高タンパク」な食材が注目されヘルシーで太りにくい健康食材が一段と注目されている。脂肪燃焼に効果的なカルニチンを多く含むラム肉と、低糖質でプリン体も少ないウイスキー(ハイボール)を思う存分楽しめることをコンセプトとして、需要を取り込む。客単価3,800円。
*全卓に強炭酸ハイボールタワーを設置し、顧客自身でハイボールを好きなタイミングで好きなだけ注ぐことができるため、注文してもなかなか運ばれてこないといった心配がない、ストレスフリーな構造となっている。
*こだわりの岩塩で塩締め・低温熟成させ、かつ柔らかく旨みを最大限に引き出した低カロリー高タンパクのラム肉を使ったジンギスカンが最大の売りとなっている。マトンに比べてクセがない(羊肉特有の臭み)ため、男女・世代を問わずに気取らず楽しめる、活気に溢れた大衆酒場。 |


(同社HPより)
業態 | 特長 |
こだわりもん一家 6店舗(26年3月末) | *「お客様の第二の我が家」をコンセプトに、「いらっしゃいませ」ではなく「おかえりなさい」と出迎えるなど、自分の家に居る様なくつろげるお店造り。
*30代~50代のサラリーマンやOLを中心に、家族連れやカップルなど幅広い客層が様々なシーンで利用。客単価4,200円。
*店内の中央部分には、その日水揚げされた鮮魚や旬の野菜が並べられた食材のディスプレイを設置。奥には開放感のあるオープンキッチンを配置し、目の前で食材や調理の様子を見ることができる。
*日本各地から地魚や旬の野菜、郷土の名物調味料や地酒を仕入れており、素材の味を活かした炉端焼きを中心とした通常メニュー、旬の食材を使用し45日ごとに年8回変わる旬彩メニュー、料理長が市場へ足を運び買い付けした日替わりメニューなどがある。 |


(同社資料より)
その他の業態
業態 | 店舗数・客単価 | コンセプト |
韓国屋台 ハンサム | 4店舗、3,000円 | 「五感で楽しむ韓国屋台」 本場韓国屋台の雰囲気さながらに人気の本格韓国料理を小ポーションでリーズナブルに提供。テイクアウト・デリバリーにも対応している。 |
にのや | 10店舗、4,200円 | 「本格和食×日本酒」 手作りにこだわった美味しい和食料理と日本酒をリーズナブルに楽しむことができる専門性の高い本格和食酒場。 |
肉のウヱキ | 5店舗、2,600円 | 「フライ&デリカ」 昭和レトロなどこか懐かしい「街のお肉屋さん」×「昭和大衆ネオ酒場」 |
*26年3月末時点

※2022年4月1日より㈱Egoを子会社化し、「肉のウヱキ」の店舗数を上記グラフのその他業態に含めている。
※2025年3月期のその他に含まれていた、バーベキュー・ビアガーデン業態の3店舗に関しては、
2026年3月期よりレジャー事業での運営に切り替えている為、飲食事業グループ店舗数に含めていない。
(同社資料より)
(2)ブライダル事業
東京タワーの麓、唯一無二のロケーションで東京タワーを一望できるチャペルと、多彩な4つのバンケット、レストランを有する婚礼施設「The Place of Tokyo」を運営している。近年の結婚式のスタイル変化に対応しつつ、新たな付加価値を提供している。
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(同社資料より)
6F チャペル 「THE MUSIC PLACE」は、“東京タワーと一体化するアートな空間”をコンセプトに、東京タワーを取り込むことで成立するシンプルなインテリア空間を演出している。
式場1Fに併設しているレストラン「Terrace Dining TANGO」を、家族婚・少人数婚のニーズに対応した本格的な披露宴を行うことができるモダンで美しいガーデン付きバンケット「THE DINING」として一新し、4バンケット体制へ拡充した。(披露宴が開催されない場合はレストランとして営業する、下写真3)。
その他、披露宴会場やエントランス、ルーフトップバーなど、より心地よく過ごしてもらえるよう最新のデザインとおもてなしの付帯設備を取り入れ、新しいウエディングやお祝いの場としての価値を追求していく。

(3)レジャー事業
子会社である株式会社一家レジャーサービスが、主にバーベキュー場などのレジャー施設の運営を行っている。
2025年11月には日本初の泊まれる体験型植物園、「THE BOTANICAL RESORT『林音』」がオープンした。同施設は茨城県植物園及び茨城県民の森を、「泊まる」・「癒される」・「食べる」・「遊ぶ」という複数の体験要素を掛け合わせた日本初の“泊まれる体験型植物園”へとリニューアルしたもの。同社及び株式会社一家ダイニングプロジェクトの他6社の計8社が参画するSPC(特別目的会社)である株式会社ボタラシアンリゾートが指定管理者として運営にあたる。指定管理期間は25年4月1日から45年3月末までの20年間。
株式会社一家レジャーサービスは株式会社ボタラシアンリゾートから運営に関する再委託を受け、業務委託料等を収受する。
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(同社資料より)
(主なメニュー)
グランピング&コテージ | グランピングテント27棟、コテージ18棟の合わせて45棟を建設。コテージについては、従来のログハウスとは異なり、シャワー、トイレが完備されており、アウトドア初心者でも利用しやすい施設となっている。 |
日帰りBBQ「THE FOREST BBQ」 | 県産の食材を活かし、手ぶらでバーベキューを楽しめる。食材や飲料の持ち込みも可能で、自由度の高い施設。最大で300席ほどの収容が可能なため、小・中学生の校外学習などの学習用途にも対応可能。 |
ボタニカルスパ「りんねの湯」 | 日帰りでも宿泊でも利用可能な温浴施設で、最大300名程度の収容が可能。温泉は運び湯だが、天然温泉や露天風呂、複数のサウナ施設を備えている。 |
ダイニングレストラン「RINNE CAFÉ」 | 県産食材を活かしたダイニングレストラン。店内102席、テラス56席。宿泊者にはビュッフェ形式のモーニングを提供。 |
バニラドームカフェ | 熱帯植物園を改装。宿泊者限定でライトアップショーを実施。バニラをテーマとしたスイーツやドリンクを楽しめるカフェを新設。 |
りんね・ぼうけんの森 | 自然を活かしたツリーアドベンチャー、ARシューティングなど3種類のアクティビティを新設。 |
【1-4 特長と強み】
(1)他には類を見ない接客サービスによる高いリピート率
同社では来店客を自分の大切な人(家族)と考え、接客している。
基本的なサービスマニュアルはあるものの、それをベースにスタッフが自ら考え、マニュアルにはないおもてなしを表現できるよう理念浸透や教育に取り組んでいる。
調理場スタッフも含めスタッフ全員で来店客を出迎えるためのオープンキッチンの導入、こだわりもん一家業態における「女将」の対応に加え、【1-5 成長戦略】で述べる会員企画など、他社には見られないユニークな接客サービスが高いリピート率に結び付いている。
(2)業界における独自のポジショニング
居酒屋マーケットの中で低価格帯ながらも、顧客に対するサービスレベルが高く、独自のポジションを構築している。また、コロナ禍の影響とは関係なしに、飲食店の利用は昔と比較して企業や大人数での利用から、個人や親しい人との少人数利用の需要形態へと移行しつつある。こうした社会背景等も反映しつつ、業態の整理に加え新たな業態開発も行っていく方針だ。
(3)理念を共有する人材育成のための取り組み
グループミッション、企業理念、社訓を、パートアルバイトを含めた全スタッフにいかに深く浸透させることができるかが業容拡大、企業価値向上のための最も重要なポイントであると考えており、人材の採用および育成についても同社ならではの取り組みを実施している。
◎社内教育プログラム「IKKAユニバーサルカレッジ」
「マインド」、「知識」、「スキル」、「行動」、「コミュニケーション」など、広範囲なテーマにわたり座学と実践を交えて包括的な人材育成を行っている。直近では、幹部社員講師による、マインド・スキル・コミュニケーション力を高める包括的教育プログラム「Ikka Universal College」、飲食経営者である社外取締役の赤塚元気氏による体系的サービス研修プログラム「元気塾」、新卒社員向けの理念浸透、社会人(プロ)として必要な知識と心構えを身につける「ルーキー研修」、新卒2年目向け、責任者教育の研修「ネクストセミナー」、キャリア社員向けの理念研修と交流の促進を図る「キャリア研修」、役員・幹部を対象として、傾聴力向上、コミュニケーションの活性化、社内風土醸成を目的とする「アクティブリスニング研修」などが展開されている。
社内講師も着実に育ってきており、継続的かつ安定的に同社の理念やビジョンを継承・浸透させていく仕組みとなりつつある。

(同社資料より)
◎社内動画共有ポータルサイト
後述の従来型イベントの開催に加え、効率性の観点から、社内動画共有ポータルサイトを立ち上げ、各種教育プログラム動画を配信し、教育体制の充実、理念浸透の強化を図っている。

(同社資料より)
◎各種イベントの実施
社員やアルバイトメンバーへの理念浸透、モチベーション向上、離職率低下を図るため、以下のような各種賞賛・イベントを開催している。

(同社資料より)
◎従業員のエンゲージメント向上
2023年4月より、定期昇給に加え全社員の給与について平均5%のベースアップを実施したことを皮切りにその後も継続的にベースアップを実施しており、従業員の処遇改善、満足度向上を図ることを通じて、顧客満足度および企業価値向上の実現につなげていく。
こうした取り組みが功を奏し、同業他社と比較して低い離職率を実現している。
◎人財採用
人手不足が深刻化する中、新卒、中途とも様々な施策により優秀な人財確保に注力している。
*新卒採用
2025年4月は62名、2026年4月は48名の新卒を採用。2027年卒についても60名以上の採用を計画している。採用に向けて、大手ナビサイトからの流入に加え、採用経路の窓口を拡大(採用エージェントの活用、ダイレクトリクルーティング、合同説明会、スポーツ系学生就活イベントへの参加、専門学校への訪問、社内アルバイトメンバー向け会社説明会)し、優秀な人財の積極的な獲得に注力する。
*中途採用
リファラル採用(紹介採用)やアルムナイ採用(出戻り採用)といった近年活用が広がっている採用方式に加え、「カンテラ採用」と銘打ち、アルバイトメンバーの社員登用にこれまで以上に注力していく(※カンテラ採用の年間採用目標は15名)。理念浸透がしやすい他、実際の働きぶりを見たうえで、採用判断が可能。また、採用コストを抑え、即戦力の優秀な人財の確保ができるといったメリットがあるためだ。
【1-5 成長戦略】
同社では成長ドライバーを飲食事業、なかでも中心業態である「屋台屋 博多劇場」の拡大と位置付けてきたが、今後は同業態に加え「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「にのや」の出店拡大にも注力していく考えだ。

(同社、2026年3月期第2四半期決算説明資料より、店舗数は2025年9月末)
なお、「屋台屋 博多劇場」による成長戦略は以下のとおりである。
(1)商品戦略
気軽に利用できる客単価でありながら、高いコストパフォーマンスを感じられる低価格メニュー戦略をとっている。さらにはアプリ会員になりリピーターになることでよりお得に利用できる施策を展開している。
(2)会員企画
総来店客数の増大及び継続的なリピーターの獲得を重視する同社において「会員企画」は重要な取り組みであり、ユニークな販促企画を次々と産み出している。
主な企画名 | 概要 |
バースデー餃子 | 誕生日に年齢同数の餃子をプレゼント |
V・I・P会員 | 3回行くとVIP会員になり、VIP会員は最初の飲み物をメガジョッキにしてくれるのに加え、同伴来店客にも同様のメガジョッキをサービス。10回来店で「プレミアム会員」へさらにランクアップする。 |
百個餃子 | 文字通り100個の餃子(総重量1.5kg)を食べきったらタダになるという企画。ただし、「1人で食べきるべし!」「味わって食べるべし!」が条件で、制限時間60分の一本勝負。成功すれば餃子100個分の代金が無料になる他、餃子年間パスポート贈呈。失敗すると、餃子代全額を支払うことになる。 |
(3)出店戦略
認知度およびブランド価値向上を図るため、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県で集中的に出店している。
最寄り駅乗降客数10万人以上の都心店舗と、それ以外の郊外店舗を組み合わせたハイブリッド型出店で、約200の候補地(駅)の中から厳選して出店する計画である。
心のこもった接客を最重視する同社では十分な接客が可能なスタッフの育成が不可欠であり、サービスレベルを低下させることなく成長を追求するために、スタッフの育成スピードと見合った無理のない着実な店舗拡大が重要と考えている。
【1-6 株主還元】
同社は現在成長過程にあり、事業規模の拡大および財務基盤の強化を目的として内部留保の充実を優先するため、配当を実施していない。
ただ、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は、経営成績および財務状況等を総合的に勘案しながら、配当の実施を検討していく考えだ。
なお、株主の支援に対する感謝の意を表すとともに、店舗の利用を通じて事業内容の理解と継続的な支援を得ることを目的として株主優待制度を設けている。また、2024年11月(2024年9月30日時点の株主)に送付する予定の株主優待券より、電子チケット化している。これに合わせて、より株主優待制度を活用できるよう、オンラインショップにて販売している屋台屋 博多劇場自慢の「明太もつ鍋セット」を電子チケットと引換えに取り寄せできるという、株主優待制度の変更(拡充)を行っている。
(2024年3月末日以降の株主向け優待)
所有株式数 | 優待内容 |
100株以上200株未満 | 2,500円相当の食事優待券(電子チケット) |
200株以上400株未満 | 5,000円相当の食事優待券(電子チケット) または5,000円相当の「明太もつ鍋セット」1セット |
400株以上 | 10,000円相当の食事優待券(電子チケット) または5,000円相当の「明太もつ鍋セット」2セット または5,000円相当の食事優待券(電子チケット)と5,000円相当の「明太もつ鍋セット」1セット |
※食事優待券(電子チケット)は、1円単位で利用が可能
2.2026年3月期決算概要
※同社飲食事業では、過去の実績からも12月の忘年会等の需要による客数の増加およびコース予約増加による客単価の向上、ブライダル事業では、婚礼の需要が高まる10~11月の施行件数の増加といった季節要因に加え、第1~2四半期に新規出店した店舗の売上寄与もあり、第3四半期(10-12月)の売上高が他四半期に比べ増加する傾向にある。
これに対し、第1~2四半期(4-9月)は、飲食事業において新規出店を集中し、それに伴う出店コストや人員確保のための採用費、新卒入社での人員増による人件費の増加などにより、費用が先行するため利益は低水準となりやすい。投資家はこうした同社決算の特性に留意する必要がある。
ただし、レジャー事業における「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の稼働が今後本格化していくと、ゴールデンウィークや夏休みがある7月や8月にピークを迎える想定となるため、季節変動が徐々に緩やかになるとみられる。
(1)業績概要
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 対前期比 |
売上高 | 10,089 | 100.0% | 11,533 | 100.0% | +14.3% |
売上総利益 | 6,678 | 66.2% | 7,781 | 67.5% | +16.5% |
販管費 | 6,753 | 66.9% | 7,531 | 65.3% | +11.5% |
営業利益 | -74 | - | 250 | 2.2% | - |
経常利益 | -100 | - | 198 | 1.7% | - |
当期純利益 | -172 | - | 78 | 0.7% | - |
*単位:百万円
大幅増収、黒字転換
売上高は前期比14.3%増の115億33百万円。飲食事業は新規出店や業態変更の他、メニュー価格見直しの実施による客単価上昇などで同9.4%増収。ブライダル事業は、少人数での挙式割合の上昇により婚礼組人数・組単価は減少したものの、前期の受注好調が奏功したことによる婚礼施行数の増加や、宴席及びレストランが好調で同10.9%増収。レジャー事業については、前期は飲食事業として運営していたバーベキュー・ビアガーデン業態店舗をレジャー事業での運営に切り替えた他、2025年11月にオープンした「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の運営に係る業務委託料もレジャー事業セグメントの売上高として計上している。
営業損益は2億50百万円の黒字に転換した(前期は74百万円の損失)。各業態においてメニュー価格の見直しを行ったことで原価率が適正化され、売上総利益は同16.5%増加。ブライダル事業での婚礼施行数増加に伴う各種コストや積極的な販促施策強化による広告宣伝費の増加、レジャー事業での『林音』開業・運営経費等の増加による販管費の増加はあったものの、売上高の増加に伴い販管費率が低下したことが黒字転換に寄与した。
新規出店は3店舗。直営店舗数は2026年3月末で87店舗となった。なお、新規出店3店舗の内訳は、大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん1、こだわりもん一家1、肉のウヱキ1。
(2)セグメント動向
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 対前期比 |
売上高 |
|
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飲食事業 | 8,138 | 80.7% | 8,905 | 77.2% | +9.4% |
ブライダル事業 | 1,946 | 19.3% | 2,158 | 18.7% | +10.9% |
レジャー事業 | 3 | 0.0% | 466 | 4.0% | +15,182.9% |
合計 | 10,089 | 100.0% | 11,533 | 100.0% | +14.3% |
営業利益 |
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飲食事業 | 55 | 0.7% | 414 | 4.7% | +652.6% |
ブライダル事業 | -131 | - | -34 | - | - |
レジャー事業 | -27 | - | -162 | - | - |
合計 | -74 | - | 250 | 2.2% | - |
*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。
*セグメント損益の調整額影響で各事業損益の合算値と合計は一致しない

*インベストメントブリッジが開示情報を基に作成。
◎飲食事業
増収、大幅増益。
外食業界を取り巻く状況としては、アフターコロナでの人流の増加に加え、インバウンド需要も回復基調である一方、原材料費・光熱費等の高騰や人材不足及び採用コストの増加など、依然として厳しい状況が継続。そのような中において飲食事業では、新規出店、既存店のサービス力向上及び店舗オペレーションの改善、各業態における外部販促強化による新規客数の増加、自社アプリなどの会員獲得によるリピーター客数の増加に継続して注力した。
新規出店は6店舗計画に対して3店舗に留まった一方、自社の提供価値を高めながら、適正価格への値上げを着実に推進したことで、原価率が適正化され、利益面が大幅に改善した点が非常にポジティブな成果となった。既存店に関しても、年間を通じてすべての月で予算を達成している。
(新規出店など)
ドミナントエリア拡大に向けて千葉県で「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん 成田店」「こだわりもん一家 成田店」「肉のウヱキ 本八幡店」の3店舗を出店し、直営店は合計で87店舗となった。
87店舗の内訳は、屋台屋 博多劇場47、大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん15、にのや10、こだわりもん一家6、韓国屋台ハンサム4、その他業態(肉のウヱキ)5。
(業態変更、退店など)
*業態変更
既存店の「韓国屋台ハンサム 汐留店」を「寿司トおでんにのや 新橋汐留店」、「韓国屋台ハンサム 渋谷店」を「屋台屋博多劇場 渋谷宮益坂店」にそれぞれ変更した。
汐留店については、ホワイトカラーのビジネスマンが多いとの分析により業態変更を行ったところ、売上は2倍強と大きく増加。改装費のみの低コストで、業績向上に大きく貢献した。今後も臨機応変に対応していく考えだ。
*退店
屋台屋博多劇場 小岩店・四街道店・大手町店、韓国屋台ハンサム 藤沢店(にのやへ業態変更)
(既存店の状況)
既存店(屋台屋 博多劇場業態・こだわりもん一家業態・大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん業態・にのや業態・韓国屋台ハンサム業態)客数が前期比3.5%減、既存店客単価は同7.6%増、既存店売上高は同3.8%増となった。業態別の既存店については、全業態で客単価が上昇した反面、『大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん業態』を除く各業態で一定の客数減が発生した。しかし、客単価の上昇が客数の減少をカバーしたことで、主力の『屋台屋 博多劇場業態』をはじめとして売上高の面では全般的に堅調に推移した。特に『大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん業態』は客数・客単価がともに伸び、業績を支えた。
*既存店とは、新規開店した月を除き、18ヶ月以上経過した店舗。改装等により稼働していない期間があった店舗は当該月から除外している。

(同社資料より)
◎ブライダル事業
増収、大幅な営業赤字縮小。
ブライダル事業においては、近年、少子化やいわゆる「ナシ婚」の増加による婚礼件数の減少に加え、結婚式のニーズの多様化により少人数婚のニーズが高まり、婚礼1組当たりの組人数も減少傾向にある中、婚礼の主力広告媒体との連携強化、SNSを活用したブランディング強化による来館数・成約率の向上、サービス力向上及びコスト削減、宴席の新規案件の取り込み及びリピート客数の増加、レストランのサービス力、商品力の向上及び新規客数の増加にも継続して注力。実際、宴席や1階レストランに関しては非常に好調に推移しており、過去最高売上を記録したようだ。
婚礼の施行数については、前期の受注状況が奏功し、前期比で増加した。一方で、組人数については、少人数での挙式件数の割合が高まったことにより、前期比で減少し、組単価も低下。なお、「Terrace Dining TANGO」においてはプロポーズプラン販売の単価が大幅に上昇していることも説明会の中で示された。
◎レジャー事業
大幅増収、赤字幅拡大。
レジャー事業においては、前期まで飲食事業として運営していたバーベキュー・ビアガーデン業態の3店舗運営のほか、2025年11月29日に「THEBOTANICAL RESORT『林音』(ザ ボタニカルリゾート リンネ)」をオープンし、運営に係る業務委託料を売上高として計上。8月開業の予定から遅れが生じた他、資材価格の高騰などにより、開業費が計画比で大幅に超過したことが業績面では重しとなったとはいえ、しっかりと稼働までフェーズを進展させた。
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
| 25年3月末 | 26年3月末 |
| 25年3月末 | 26年3月末 |
流動資産 | 2,071 | 2,664 | 流動負債 | 1,869 | 2,257 |
現預金 | 1,454 | 1,860 | 仕入債務 | 275 | 304 |
売上債権 | 366 | 508 | 短期借入金 | 820 | 983 |
固定資産 | 3,638 | 3,859 | 固定負債 | 2,943 | 3,244 |
有形固定資産 | 1,953 | 2,128 | 長期借入金 | 2,467 | 2,731 |
建物 | 1,645 | 1,700 | 負債合計 | 4,812 | 5,502 |
無形固定資産 | 19 | 22 | 純資産 | 897 | 1,021 |
投資その他の資産 | 1,664 | 1,708 | 利益剰余金合計 | -410 | -331 |
敷金・保証金 | 862 | 889 | 負債純資産合計 | 5,709 | 6,523 |
資産合計 | 5,709 | 6,523 | 借入金合計 | 3,287 | 3,714 |
*単位:百万円

*インベストメントブリッジが開示情報を基に作成。
現金及び預金や売掛金が増加したことが主因で流動資産が増加したほか、新規出店等に伴い有形固定資産などが増加したことで、資産合計は前期末に比べ8億13百万円増加し65億23百万円となった。未払金や1年内返済予定の長期借入金、長期借入金などが増加したことで、負債合計については同6億89百万円増の55億2百万円となった。純資産は当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加などにより同1億24百万円増の10億21百万円。この結果、自己資本比率は前期末から横ばいの15.1%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 25/3期 | 26/3期 | 増減 |
営業CF | 182 | 562 | +379 |
投資CF | -670 | -554 | +116 |
フリーCF | -488 | 7 | +495 |
財務CF | 356 | 354 | -1 |
現金同等物残高 | 1,339 | 1,701 | +362 |
*単位:百万円

*インベストメントブリッジが開示情報を基に作成。
売上債権の増加などによる資金減少があった一方、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の増加などによる資金増加により、営業CFのプラス幅が前年同期比で拡大した。投資CFは、有形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得等の影響でマイナスとなったが、前年同期に比べマイナス幅は縮小し、結果としてフリーCFは黒字に転換している。また、長期借入れによる収入などで財務CFがプラスとなった結果、キャッシュポジションも増加している。
(4)トピックス
◎社内起業制度による企業価値向上
同社では、2025年4月の62名に続き、2026年4月には48名の新卒採用を実施。2027年も60名以上の採用を予定している。武長社長によると、人に喜んでもらったり、楽しんでもらったりするなど、人の笑顔にかかわる仕事がしたいという志望動機の学生が多いという。特にコロナ禍以降、そうした価値観が強くなっている。その中で、同社を選ぶにあたっては、グループミッションである「日本一の“おもてなし”集団」、経営理念にある「家族のような会社」である点、飲食のみでなく、ブライダルに加えレジャーと総合的におもてなしを学ぶことができる点が大きな魅力となっている。
「1.会社概要」でも触れているように、同社では、グループミッション、企業理念、社訓を、パートアルバイトを含めた全スタッフにいかに深く浸透させることができるかが業容拡大、企業価値向上のための最も重要なポイントであると考えており、人材育成についても同社ならではの様々な取り組みを実施している。
「日本一の“おもてなし”集団」、「家族のような会社」に魅力を感じて入社した社員に、様々なキャリアを追求する道も用意しており、その一つが「社内起業制度」だ。
同社でおもてなしを学び、様々なポジションを経験後、独立を熱望する社員は、経営陣が適材と判断すれば、ホールディングス内で独立することができる。
◎アルバイトメンバー向け教育プロジェクト「スタメン会」を始動
新たに、業態ごとに月1回開催するアルバイトメンバー向け教育プロジェクト「スタメン会」を始動した。目的は、理念浸透の他、チームビルディングや自ら考えて行動する自律型人財の育成、店舗運営の技術向上によるES及びCSの向上などがある。参加者としても、ロイヤリティの向上(成長の実感)が魅力となるだけでなく、社員や他店舗のアルバイトメンバーと交流することで、新たな気付きや「おもてなし人財」としての人間力を育む。具体的な内容としては、店舗ミーティングの運営、アルバイトメンバーによる1on1面談、課題に対する取組みのプレゼンテーションなどが行われる。
3.2027年3月期業績予想
(1)業績概要
| 26/3期 | 構成比 | 27/3期(予) | 構成比 | 対前期比 |
売上高 | 11,533 | 100.0% | 12,549 | 100.0% | +8.8% |
売上総利益 | 7,781 | 67.5% | 8,608 | 68.6% | +10.6% |
販管費 | 7,531 | 65.3% | 8,194 | 65.3% | +8.8% |
営業利益 | 250 | 2.2% | 414 | 3.3% | +65.5% |
経常利益 | 198 | 1.7% | 367 | 2.9% | +85.4% |
当期純利益 | 78 | 0.7% | 229 | 1.8% | +190.3% |
*単位:百万円。予想は会社予想。
増収、大幅な増益予想。
売上高は前期比8.8%増の125億49百万円、営業利益は同65.5%増の4億14百万円の予想。前期に続き過去最高の売上高を更新するだけでなく、営業利益でも過去最高を見込んでいる。
飲食事業については、引き続き既存業態の出店による主力ブランドの認知向上、ブランド力向上に加え、トレンドのニーズに対応した新規業態開発を継続して行っていく。なお、新規出店の積極化(10店舗予定)に伴い開業費が前期比で大きく増加することで、セグメント利益は減益となる想定だ。
ブライダル事業については、ブライダル施設「The Place of Tokyo」の更なるブランド価値の向上や主力広告媒体との連携強化による来館数・成約率の向上を図るなかで、業界的にも厳しい経営環境の中ではあるものの、売上規模を維持する計画としている。ただし、婚礼サービスの内製化によるサービス力向上及びコスト削減に注力しながら、収益の改善を進める。
レジャー事業については、レジャー施設「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の運営、施設のブランド力向上をさらに加速していく。開業費の剥落もあり、着実に黒字転換を目指していく。
(2)注力施策
*飲食事業の客数施策
2026年3月期にメニュー価格の見直しを着実に進めた。これを受けて、2027年3月期については大幅な値上げ計画は立てず、既存店を中心とした客数回復の方に軸足を置く戦略を掲げている。新規集客、会員獲得、リピーター化と段階的に施策を実施し、客数増加を図り、既存店の売上向上に繋げていく計画だ。新規来店からリピーター化までをプロセス別で捉え、例えば初期認知の段階では、ネットやスマートフォンで検索可能な形式を整えるだけでなく、「Instagram」「Facebook」「TikTok」といったSNSを活用し、宣伝広告を展開する。会員化についても、会員特典のブラッシュアップを行っていく他、プッシュ通知を活用しながら、細かいアプローチを進めていく。
例えば「屋台屋 博多劇場」では、女性をターゲットにした「博多串焼き」を新たに打ち出す他、甘味を取り入れたデザートメニュー増加などでターゲット拡大を図る。また、新規会員の2回目の早期来店促進策として、1週間以内の再来店時に30パーセント割引を適用するなどの施策を実施してファン化を加速させる。
26年5月は全店(全業態)、既存店とも、客数、客単価は前年同月を上回った。各種集客施策は着実に功を奏しているようだ。

(同社資料より)
*飲食事業の新規出店と既存店強化
2027年3月期は期初段階で子会社の(株)一家ダイニングプロジェクトで8店舗、(株)Egoで2店舗、グループ合計10店舗の新規出店を計画(※説明会時点で7店舗の出店が具体的に決定済み)。ほぼコロナ禍前の水準に回帰する。また、業績不振店舗の業態変更に加え、オープンから年月が経過し経年劣化している店舗リニューアルも継続的に行う。
他社との出店競争は激しいものの、複数の業態を運営している同社は物件の特性や状況に応じて切るカードを選択できる点は大きな優位性である。また1つの駅前に複数業態をドミナント出店できる点も強みである。
*ブライダル事業の利益構造改革
具体的なアクションとして2点を計画している。まずは「サービス部門の内製化(※2026年4月より実施)」である。従来、婚礼や宴会サービスにおいて業務を委託しており、サービススタッフや婚礼料理を提供するフロアスタッフも外注する構造となっており、外注費の額は非常に大きなものとなっていた。コスト低減施策の枠に留まらず、自社の思いを直接込めて教育した自社スタッフの接客を通じて、さらなるおもてなしの追求による顧客満足度向上を図る。加えて「原価の削減」も同時に進める。婚礼料理メニューの改定をはじめ、ドレス・写真などの付帯原価の掛け率変更や婚礼ドレス持込料金の見直しなどを行っていく。
同社ではブライダル事業の事業環境は今後も厳しい状況が続くと見ているが、事業ポートフォリオ及び企業ブランディングという観点から、ブライダル事業の重要性を認識している。飲食、ブライダル、レジャーと多様なおもてなしの場を社員に提供できるのも同社ならではの特長である。今後もトップラインを維持しながら収益性向上に注力する。
*レジャー事業の基盤造り
レジャー事業、特に2025年11月にオープンしたTHE BOTANICAL RESORT『林音』は好調なスタートとなっているが、27年3月期は基盤造りの一年と捉え、多くのチャレンジを進める方針だ。まずは、初期認知・流入窓口の拡大への注力として、メディアやSNS、PR、「楽天トラベル」や「じゃらんnet」などオンライントラベルエージェントからの予約流入拡大を図っている。加えて、「泊まる」「癒される」「食べる」「遊ぶ」といった体験コンテンツを中心に、同施設ならではの企画を立てていく。
さらに、茨城県との連携も強化していく。現在は一面のネモフィラで知られる国営ひたち海浜公園への訪問客向けの宿泊プランを提供しているが、足元ではアクアワールド茨城県大洗水族館とも連携を進めている。
飲食やブライダルで育ってきた社員に新たなおもてなしの場を提供するという意味で、人材育成の観点から非常に重要な事業
であると考えている。

(同社資料より)

(同社資料より)
*レジャー事業の新規出店
レジャー事業では、既存のバーベキュー・ビアガーデン3店舗に加え、新たに2店舗(うち1店舗は期間限定出店)の新規出店を行う計画だ。1店舗は、「THE BBQ POINT FUJI PARK」で2026年4月1日にオープン済みとなっている。既存店[THE RIVERSIDE BBQ NISHIKASAI]との相乗効果を図る他、「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」の知見を活かしたジンギスカンBBQの提案にも取り組んでいる。
4.今後の注目点
2026年3月期はブライダル、レジャー事業が計画比で苦戦したものの、主力の飲食事業が価格改定による原価率の適正化に加え、業績不振店舗の業態変更によって月平均売上が大幅に向上した事例もみられるなど、的確な判断による変更成果がしっかりと出ておりポジティブな印象だ。また「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」業態は値上げでも顧客離脱がみられずポテンシャルの高さが垣間見えた。
2027年3月期については、飲食は客数増加ペースを、ブライダルは収益構造改革の進捗を注目したい。会社はこの2点を計画通り進めることで、株主・投資家の期待に応えたいと考えている。中長期的な同社の成長の一端を担うであろう「THE BOTANICAL RESORT『林音』」については基盤づくりの1年の中で、圧倒的な顧客満足度の確立に向け、今後の特別感醸成や林音ならではの深い体験ができる企画構想に大いに期待したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 11名、うち社外4名 |
監査等委員 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年6月24日
<基本的な考え方>
当社グループは、「お客様、関わる全ての人と喜びと感動を分かち合う」という理念のもと、「あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団」というグループミッションを掲げ、飲食事業、ブライダル事業、レジャー事業を展開しており、おもてなしに関わる様々な事業で、日本人の文化である“おもてなし”を広め、日本を代表する「おもてなし」のリーディングカンパニーを目指しております。
当社は、企業価値の継続的な向上には、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると考え、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に努めております。株主をはじめとするステークホルダーと良好な関係を築き、事業活動を行うことで、長期的な成長を遂げることができると考えております。
透明かつ公平な経営を最優先に考え、株主総会の充実をはじめ、取締役会の活性化、監査等委員会の監査機能の強化及び積極的な情報開示に努め、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ってまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【補充原則1-2-4】 | 当社は、機関投資家や海外投資家の比率が相対的に低いため、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳は実施しておりません。今後は、株主・投資家の皆様のご意見・ご要望を参考にしつつ、機関投資家や海外投資家の比率、費用対効果等を勘案し、引き続き議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳の導入について検討してまいります。 |
【原則1-3】 | 当社は、資本効率の向上や株主に対する適切な利益還元は、重要な経営課題のひとつであると考えておりますが、具体的な方針を定めるには至っておりません。当面は、収益力の向上・改善が最重要課題であると認識しており、収益力を強化し、企業価値の向上に努めてまいります。 |
【補充原則4-1-2】 | 当社は、経営環境の変化が激しい中で、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの観点から、事業単年度毎の見通しを公表することとしており、数値目標をコミットメントする中期経営計画は策定しない見込みです。一方、単年度予想と実績との乖離に関する原因分析は定期的に行っており、決算発表等を通じ必要なタイミングで株主を含むステークホルダーに対し開示・説明を行ってまいります。 |
【補充原則4-2-2】
| 当社のサステナビリティについての取組みや人的資本・知的財産への投資等につきましては【補充原則3-1ー3】にてお示ししておりますが、当社のサステナビリティを巡る取組みの基本方針は策定しておりません。今後、当該基本方針の策定について検討してまいります。また、当社の人的資本・知的財産への投資等をはじめとする経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略の実行につきましても、取締役会において審議することによりその実効的な監督を行うよう努めてまいります。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4】 | 当社は現状、政策保有株式として上場株式を保有する見込みはありません。 |
【補充原則2-4-1】 | 当社グループはこれまでも、性別、国籍などを問わず人財を採用しており、当社グループの女性従業員については全従業員の35.4%、管理職全体の14.6%となっております。中途採用者についても同様に、性別、国籍、新卒・中途採用によらず有能な人財を登用するようにしており、全従業員の60.9%、管理職全体の78.0%となっております。一方で、当社は主要な事業を国内で展開していることから、外国籍の方の登用については進んでおりません。 現状において、具体的な管理職への登用目標を示すことは困難ではありますが、引続きこれら比率の向上に努めてまいります。 当社は、社内教育プログラム「IKKAユニバーサルカレッジ」を立ち上げ、「マインド」・「知識」・「スキル」・「行動」・「コミュニケーション」など、広範囲なテーマにわたり座学と実践を交えて包括的な人財育成を行い、さらに各種社内イベントの他、社内動画共有ポータルサイトを立ち上げ、各種教育プログラム動画を配信するなど、さらなる教育体制の充実、理念浸透の強化を図っております。 今後も、より一層の教育・理念浸透の充実を図るとともに、柔軟な働き方に対応した様々な制度の導入を検討しながら、企業価値の向上を図るための人財育成および社内環境の整備に引き続き努めてまいります。 |
【補充原則3-1-3】 | 当社は、サステナビリティに対する取組みを重要な経営課題と認識しており、人的資本への投資については、新卒採用及び中途採用を継続的に実施し、当社の「おもてなし」の根幹となる人財の確保に取り組むとともに、階層別の教育プログラムを導入し、教育制度の充実・理念浸透を図っております。また、知的財産への投資については、業態ブランドの開発及び既存業態の商品・サービス開発を継続的に行っております。 サステナビリティについての取組みについては、リスクコンプライアンス委員会を設置し、事業リスクの把握、未然防止、リスク発生時の損失の最小化に努めております。また、LEDの導入や、節水バルブの導入などにより、店舗の省エネルギー化に取り組む他、廃油リサイクルや仕入れの適正化・適正な在庫管理による廃棄物低減、公益財団法人School Aid Japanへの募金活動を通じ、発展途上国への支援活動を行っております。 |
【原則5-1】 | 当社では、IR担当取締役を選任するとともに、管理部をIR担当部署としております。管理部は、経理、広報、総務等IR活動に関連する部署を統轄し、日常的な部署間の連携を図っております。 株主や投資家に対しては、代表取締役社長が出席する決算説明会を半期に1 回開催するとともに、個人投資家説明会を実施しております。その他、株主から面談の希望があった際は、目的・内容等に応じ、IR担当取締役や代表取締役社長が対応することとしております。これらの活動を通じて得られた意見等は、適宜取締役会にフィードバックを行ってまいります。 なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しております。 |
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