ブリッジレポート:(9068)丸全昭和運輸 2026年3月期決算
![]() 岡田 廣次 社長 | 丸全昭和運輸株式会社(9068) |
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会社情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 陸運業(倉庫・運輸関連業) |
代表取締役社長 | 岡田 廣次 |
所在地 | 神奈川県横浜市中区南仲通2-15 |
決算月 | 3月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
7,370円 | 20,618,244株 | 151,956百万円 | 9.3% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
210.00円 | 2.8% | 667.17円 | 11.0倍 | 7,367.82円 | 1.0倍 |
*株価7/8終値。26年3月期決算短信より。ROEは前期実績。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2023年3月(実) | 140,861 | 12,692 | 13,781 | 8,931 | 440.37 | 100.00 |
2024年3月(実) | 140,194 | 13,204 | 14,271 | 9,741 | 481.19 | 130.00 |
2025年3月(実) | 144,572 | 14,648 | 15,769 | 9,804 | 491.24 | 170.00 |
2026年3月(実) | 148,603 | 15,462 | 16,648 | 12,685 | 651.01 | 210.00 |
2027年3月(予) | 162,000 | 17,000 | 17,500 | 13,000 | 667.17 | 210.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社側予想。
*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
丸全昭和運輸株式会社の2026年3月期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期決算概要
3.2027年3月期業績予想
4.第9次中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26/3期の売上高は前期比2.8%増の1,486億3百万円。営業利益は同5.6%増の154億62百万円。営業利益は過去最高を更新した。売上面では、新規連結子会社が貢献、さらには新規案件の取り込みや、幅広い荷主構成が奏功して荷主全体では取り扱いが増加した。利益面では、業務効率化や利益率の高い業務の取り扱い増加、料金適正化が寄与したことで営業利益率は前期比0.3ポイント改善した。期末配当は、前年同期90.00円/株から30.00円/株増配し120.00円/株を実施する。年間では前期から40.00円/株増配の210.00円/株。
- 27/3期は売上高が前期比9.0%増の1,620億円、営業利益は同9.9%増の170億円を見込みいずれも過去最高の予想。主力の物流事業は、今期も3PL事業、グローバル物流事業、成長ターゲット案件等の新規案件獲得を見込む。コスト高はあるものの、価格改定による料金適正化を進めて収益力も高める考え。27/3期は第9次中期経営計画(詳細は後述)2年目となる。目標売上・利益の達成を通じて物流に革命を起こし続けていく。配当は前期と同じ210.00円/株(うち中間配当90.00円/株)を予定。予想配当性向は31.5%。
- 第9次中期経営計画初年度の26/3期は、概ね会社予想水準を達成してしっかりと増収・増益を確保し、無難な実績だった。26/3期のROEは9.3%に達し、2桁も視野に入ってきた。第9次中期経営計画はかなり保守的な印象ではあるが、引き続き進捗状況に注目していきたい。好業績や株主還元の強化を背景に、株価は見直しが進んでPBR1倍超が定着化している。決算説明会やHPの情報発信を充実させることでIR活動を活発化させ知名度の向上も図っており、その成果が現れている。PERについては依然として低い水準にあり、今後の成長持続とIR活動強化に伴う知名度向上による株価上昇余地が期待できる。
1.会社概要
陸・海・空の複合一貫輸送に取り組む総合物流企業。現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供、「プラスα」のオペレーション、国内外に広がる物流ネットワーク、物流と情報を繋ぐITシステム等が強み。顧客の大半が上場企業という顧客基盤をベースに着実な収益拡大を継続。ロジスティクスを包括的に受託し、全体最適化を実現する「MARUZEN 3PL services」の拡大に注力。減配は一度もなく、26/3期まで12期連続の増配を実施。
【1-1 沿革】
1931年8月17日 創業者中村全宏(なかむら まさひろ)氏が「丸全昭和運輸株式会社」を創立し、京浜工業地帯の鉄鋼、化学メーカーなど、素材産業の顧客を中心に、工場資材、原料、製品の荷造りなど構内作業や運搬を開始した。
また、設立と同時に、中村氏の名前である全宏の「全」の字を「○」で囲んだ店のマークも作られた。
「○」には「永遠」に続く企業であってほしいという願い、「全」には「一度踏み出した道だ、何があってもこの業を全うしよう」という固い決意が込められている。
店名としては最初、「昭和組」も候補に挙がったが、創業当時は昭和6年と、昭和時代も始まったばかりで、店名に「昭和」をつける企業が多かったことから、「昭和」の上に創業者中村全宏氏の「全」をとった「丸全」をつけた。
創業時から単なるトラック輸送だけではなく、上記の構内作業、通関など様々な業務を一括して請け負う「複合一貫輸送」を特徴として顧客企業のニーズを取り込んでいった。
第二次世界大戦後の復興、高度成長の波にも乗り企業規模は急速に拡大、1963年には東証一部に上場した。
国内ネットワークを拡大するのと並行し1971年には国際航空貨物取扱業務に進出。1974年には「MARUZEN OF AMERICA,INC.」(ロサンゼルス)、「丸全昭和(香港)有限公司」を設立するなど、海外ネットワークの拡大も積極的に推進する。
2004年には現在の同社を特徴づける3PL情報システムが本格的に稼働を開始。その後も、M&Aも活用して国内外のネットワーク拡充を進めている。
2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行した。
【1-2 経営理念】
以下の社是、経営理念を掲げている。
社是 |
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(同社WEBSITEより)
仕事への熱い思い入れと、それをやり遂げる不断の努力が如何に大切であるかということを意味している。
創業者中村全宏の精神であり、今も全社員に受け継がれている。
経営理念 | ◇物流の分野に於て、お客様第一主義をモットーに、高品質なサービスの提供をします。 ◇経営基盤の安定と拡大を通じて、株主の期待に応え、広く社会に貢献します。 ◇社員の福祉向上と人材育成に努め、働き甲斐のある職場をつくります。 ◇事業運営に当たっては、企業の倫理、社会規範を遵守します。 |
1991年、物流新時代を自社が切り拓き、物流の発展に貢献するための道標を示したものとして発表された。
ブランド スローガン | 物流は、愛だ。 |
2021年、創立90周年を記念してブランドスローガンを掲げた。「愛を持って物流と向き合う姿勢がどこよりも強い会社でありたい。」という思いが込められている。
【1-3 市場環境】
国土交通省が発表した「我が国の物流を取り巻く状況」によれば、国内貨物輸送量は、ほぼ横ばいで推移していたが、2020年度は大幅に減少した。その後は回復したものの、2019年以前の水準には届かない。尚、国際貨物輸送量については、2013年以降は減少傾向にあり2020年に大きく減少、その後は回復しているものの、2019年の水準には届いていない。
2020年以降、コロナ禍による世界的な生産及び物流の縮小があった後、感染拡大沈静化に伴う中国生産の急回復、米国での巣ごもり需要の急拡大、半導体不足・部材不足などの複合要因によるコンテナ不足・物流遅延といった物流能力の回復遅れが顕在化している。
運送業者にとっては荷主の計画通りの運送が困難な状況も発生。荷主にとっても運賃高騰や在庫積み増しなどコスト増を余儀なくされているケースも増加している。

(国土交通省資料「物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題」より)
また構造的な人手不足も運輸業界にとっては大きな課題となっている。物流分野における労働力不足が近年顕在化しており、トラックドライバーが不足していると感じている企業は増加傾向。トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業平均より約2倍高い。年齢構成は全産業平均より若年層と高齢層の割合が低く、中年層の割合が高いほか、労働時間も近年は減少傾向にあるものの、依然として全産業平均より約2割長い。関連企業はIT活用を含めた様々な施策による効率化に取り組んでいるほか、運送費用の値上げを試みている。

(国土交通省資料「物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題」より)
(主なベンチマーク企業)
コード | 社名 | 売上高 | 増収率 (%) | 営業利益 | 増益率 (%) | 営業利益率 | ROE (%) | 時価総額 | PER (倍) | PBR (倍) |
9147 | NIPPON EXPRESS HD | 2,700,000 | 4.9 | 100,000 | 94.2 | 3.7% | 0.3 | 1,331,397 | 22.2 | 1.6 |
9065 | 山九 | 638,500 | 1.1 | 47,000 | 8.7 | 7.4% | 10.6 | 464,953 | 13.4 | 1.5 |
9068 | 丸全昭和運輸 | 162,000 | 9.0 | 17,000 | 9.9 | 10.5% | 9.3 | 151,956 | 11.0 | 1.0 |
9069 | センコーGHD | 1,020,000 | 13.4 | 43,000 | 16.2 | 4.2% | 8.7 | 359,291 | 14.6 | 1.5 |
※売上高、営業利益は今期会社予想、単位は百万円。ROEは前期実績。時価総額は7月8日終値×7月8日時点直近の短信記載の発行済株式数(自己株式を含む)、単位は百万円。PER(予)・PBR(実)は7月8日終値ベース。単位は%、倍。
PBRはほぼ1倍に達した。PERは依然低位。一層の認知度向上および成長戦略の明確化に期待。
【1-4 事業内容】
(概要)
3PLサービスや陸・海・空一体の複合一貫輸送によるロジスティクスをグローバルに展開している。
また、工場や大学の移転、プラント輸出等の各種大型機器の解体から、移設・組立・据付まで一貫して行う機工関連業務、精密機器輸送や危険品輸送等、専門知識と高い技術力を伴う高品質な物流サービスを提供している。
(主要顧客)
創業時より素材産業の顧客企業が多いが、近年では新規開拓により顧客の業種はより幅広くなっている。
主な顧客及びグループは以下の通り。
レゾナック、ダイヘン、富士フイルム、三菱商事、ライオン、旭ファイバーグラス、ニチアス、三井化学、ニデックなど。
顧客別売上高上位10社で総売上の約35%、50社で同約70%、100社で同約75%を占め、ほとんどが上場企業またはそのグループ会社となっており、優良な顧客基盤を有している。
(主な物流サービス)
◎3PLサービス
調達・生産・販売・回収に係わるロジスティクスを包括的に受託し、ロジスティクスの全体最適化を実現している。
*3PLとは?
サードパーティー・ロジスティクスの略。企業の抱えるさまざまな業務の内、物流部門を第三者企業に委託する業務形態を指す。
効率的な物流ルートの構築は企業にとって極めて重要な課題であるが、企業が自前でトラックなどの交通手段、荷物を保管しておく倉庫、必要な人的資源やソフトウェアなどを全て揃えるのは大きな手間と資金がかかる。
そこで、そうした物流業務を丸ごと専門に扱っている外部業者にアウトソーシングし、企業は自社の貴重な経済資源を中核業務に集中させるほうが様々なメリットを得ることができるため、3PLの活用が急速に拡大してきた。
3PL導入のメリットとしては、本業集中による商品やサービスの品質向上、在庫最適化を通じた業務の効率化やキャッシュ・フローの改善などが挙げられる。
例えば、最重要課題となる「単価」と「物量」で構成される物流コストの削減においては、物流部門は物流の管理・運営機能を担っている為、コントロールできるのは「単価」の低減に限られ、それも一定の基準に達すると限界がくる。それに対し、物量はコントロール不可能であり、生産計画・納入条件など「生産部門」、「営業部門」の制約によって決まる。
従って、物流コストの削減は物流部門だけでなく「生産部門」、「営業部門」が三位一体となり全体を最適化するSCM(サプライチェーンマネジメント)の実現が不可欠となる。同社の提供する「MARUZEN 3PL services」では、顧客と共同で経営戦略に沿った物流の全体設計を策定し、従来の物流業者としての立場を超えて、物流業務やオペレーション管理にとどまらず、SCM全体を見据えた企画・調整機能も提供しており、この点が大きな特徴である。
また、顧客が求める物流の全体設計と共にPDCAサイクルを回し、継続的な改善活動を提案しながら、共同で更なる物流の効率化を追求している。
この「MARUZEN 3PL services」の効果的な運用を可能にしているのが自社開発した3PL情報システム「MLPシステム」である。
「MLPシステム」は、全てのロジスティクスプロセスを一元的に管理し、顧客の大切な貨物情報をWeb上でリアルタイムに公開するなど「物流の見える化」を可能としている。
同社では物流改善活動の第一歩は「物流の見える化」の推進であると考えているが、その為の効率的な運用と物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には多大なコストが必要であり、同システムを利用することにより、顧客企業は新たなシステム投資費用を最小限に抑えることが可能である。

(同社HPより)
3PLにおける同社のもう一つの違い・特徴は、同社が「アセット型3PL」であるという点である。
「アセット型3PL」とは文字通り自社で倉庫や輸送手段、物流拠点などを所有しているプレーヤーであり、これに対し自社ではそれらを所有しておらず、輸送業者や倉庫業者と提携して荷主企業のニーズに対応していく業者を「ノンアセット型3PL」と呼ぶ。
高品質なサービスを追求する同社は倉庫など施設を原則的に自社で保有している。加えて、トラックのドライバーの安全教育、構内作業の標準化等にも力を入れているため、顧客からの厚い信頼を得ている。
また自社施設であるため顧客に対しきめ細かいデータの提供も可能で、前述のPDCAサイクルをより効果的に回すことができる点も、同社の3PLサービスが顧客に評価される要因となっている。
今後は、以上の3PLサービスを更に発展させた独自のLLPサービス「MALoS(Maruzen Advanced Logistics Solution、丸全版先進的物流ソリューション)」を展開していく。
◎グローバル物流
国内拠点と海外30か所超の拠点網および海外パートナーとの連携により、顧客企業の海外進出、生産拠点の移設などの海外展開をサポートしている。また海外物流システムで現地での物流プロセスを可視化し、海外拠点間の物流効率化、サプライチェーンの効率化を実現している。
◎トラック輸送
コンピューター、医療機器、各種検査装置などの精密機械から建設機械・建設資材などの重量物や危険物等の化学品、また事務所や個人引越等の一般貨物まで幅広く対応する。専門スタッフが安心できるきめ細やかなサービスを提供している。
鉄道、内航海運、航空輸送による一貫した最適な物流プランを提案している。
◎港湾サービス
海上輸送の窓口の港湾において、高いセキュリティ、コンプライアンス体制を背景に、輸出入貨物の通関、輸出梱包など迅速なサービスを提供している。
◎鉄道輸送
幹線輸送の鉄道部分を担うJR貨物と全国の集荷・配達の鉄道貨物利用運送事業者と連携し、荷物を戸口から戸口へ届ける複合一貫輸送サービスを行っている。
◎保管・流通加工
全国各地に配置している倉庫・物流センターで、貨物の入出庫から保管(在庫管理)、流通加工などの情報システムを駆使してシームレスに行っている。
MLPシステムが入出庫・保管状況などの情報を一元管理。検品、ラベル貼り、小分け、半製品の組立など、ニーズに合わせた流通加工を行うほか、物流センターやSP倉庫の効率的な運用に関する様々な提案を行い、庫内作業の最適化を実現している。
◎構内作業
顧客の有する工場・倉庫内で梱包や流通加工、横持輸送、本船積みを伴う出荷作業等、ニーズに合わせた構内作業を行っている。
構内作業のスペシャリストが顧客の工場・倉庫内物流の最適化を実現している。
作業進捗、在庫状況などの情報管理を徹底し、お客様の要望に応えている。
作業に応じた荷役機械をご用意し、無理・無駄のない構内作業を提案している。
(事業セグメント)
報告セグメントは「物流事業」、「構内作業及び機械荷役事業」の2つ。この他、報告セグメントに含まれない事業として建設業、警備業、不動産業、保険代理業、自動車整備業等のサービスを提供している。

セグメント名 | サービスの種類 |
物流事業 | *貨物自動車運送事業 *利用運送事業(貨物自動車・鉄道・外航海運・内航海運・航空) *港湾運送事業(一般港湾運送・港湾荷役(船内、沿岸)・艀運送) *倉庫業 *通関業 *梱包業 *海上運送事業 *航空運送代理店業 |
構内作業及び機械荷役事業 | 工場構内での原料、製品、重量物、精密機械等の移送、組立、充填、構内倉庫への保管、入出荷作業とこれらに附帯する諸作業並びに機械の賃貸 |
貨物自動車運送事業においては自社保有1,000台を含め4,000台のトラックを有している。
【1-5 特長と強み】
1931年の創業以来、顧客の製造現場において、顧客と一体となって物流業務を行うことを得意分野としてきた同社の、製品の品質向上、業務の合理化、効率化を追求する挑戦を間近で支えた経験は、アセット型3PL事業者として多様な業界への顧客に対して提供している物流提案や物流サービスの基盤となっている。
京浜工場地帯(横浜・川崎)発祥の総合老舗物流企業として、顧客に最適な物流をカスタマイズして提案する。

(同社資料より)
①現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供
顧客の製造現場、流通現場を支えてきた「現場」を知るスタッフを企画担当として配置し、その専門性と物流知識を活かし、データに基づき物流システムの改革、物流現場レベルでの改善提案などを行っている。
リードタイムの短縮、物流コストの圧縮、在庫適正化によるキャッシュ・フローの増加など、サプライチェーンを最適化することで、顧客の企業価値を最大化する提案を行っている。
現在、石化業界、鉄鋼業界を始め建設機械、日用品、食品、農薬、農産物業界など多岐にわたる顧客と取引しており、それらの経験と実績を基に、顧客の業種・業態に合わせた最適なロジスティクス・ソリューションを提供している。
人手不足、高齢化が進む中、こうした知恵と実績をどのようにして継承し、また新たな知恵を生み出すか、持続可能なものとするかは今後の課題であるが、マニュアル化、標準化、IT化など様々な取り組みを進めている。
②「プラスα」のオペレーション
これまでアセット型3PL事業者として、センター内作業、構内作業、流通加工など様々なオペレーションを行ってきた同社のオペレーションの特徴として、通常の物流作業に「プラスα」となる付加価値を顧客に提供していることが挙げられる。
「プラスα」とは、例えば原料の充填や部品のピッキング・梱包など一般的な流通加工に加え、その前後の工程となる、材料の調合、部品の組み立てなど製造工程の一部を代行するサービスをいう。品質はもとより、顧客のニーズに合わせ業務をカスタマイズする力、それを標準化し継続する力は顧客に高く評価されている。
③国内外に広がる物流ネットワーク
国内においては、得意先の多種多様なニーズに対応可能な輸送車両。それらを利用した大都市間を結ぶ幹線ネットワーク、大都市をカバーする配送ネットワークなどの輸送ネットワークを全国に展開する物流拠点と共に運用しており、アセット型3PLである同社の強力な事業基盤となっている。
特に大型コンピューター輸送からスタートした精密機械輸送、大型建機輸送からスタートした重量物輸送は多くの顧客に支持されている。
海外においては海外現地法人、海外パートナーとの連携により世界のあらゆる地域に貨物を輸送するネットワークを構築している。国内から海外へ、また海外から国内への原材料、部品、完成品の供給に国内外のネットワークを使い、一貫したサービスを提供している。
特に中国を初めとする東南アジアに力を入れており、物流拠点の拡大、車両・荷役機器などハードウエアの装備を推進している。その他、海上輸送での重量物・プラント輸送には、豊富な経験と実績を有し、国内の機工事業と合わせ、国内外で一貫したプラント輸送サービスを提供している。
④物流と情報を繋ぐITシステム
これまで培ってきたノウハウを結集し、自社開発したMLPシステム(3PL情報システム)は、全てのロジスティクスプロセスを一元管理しWeb上で公開することで、在庫情報、輸配送情報、KPI(評価指標)情報等、顧客のロジスティクス戦略をサポートするうえで欠かせない情報を提供している。
物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には、多大なコストがかかるが、同システムの活用により顧客は新たなシステム投資を最小限に抑えることが可能である。
⑤優良顧客に支えられた安定した事業基盤
前述のように上場企業またはそのグループ会社からの売上が大半を占めており、優良な顧客に支えられた安定した事業基盤と、それをベースに安定した売上・利益を生み出している点も大きな特徴と強みと言えるだろう。
20/3期まで7期連続で増収増益を達成。残念ながら21/3期は減収となったが、経常利益は8期連続で増益となった。22/3月期以降は再び増収増益で、27/3期も増収増益予想。経常利益は14期連続増益を見込んでいる。
また配当についても減配は一度もなく、26/3期まで12期連続の増配を実施している。

【1-3市場環境】で触れたように、運送業界を取り巻く環境は決して良好ではないが、優良な顧客を多数有する同社は、リーマンショック時には減収を経験したものの、中心顧客となる素材産業の企業に加え、景気の影響を受けにくい消費財・加工品分野の企業など新規顧客開拓を積極的に進めてきた。
今後も「3PLサービス」および「グローバル展開」によって着実な収益拡大を目指している。
【1-6 目標とする指標】
(1)財務健全性の確保
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すためには経営基盤を強化することが必要と考え、成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本としている。
(2)持続的成長と企業価値向上のための投資
内部留保資金は、物流拠点の確保、保管設備の増強ならびに輸送力強化・環境対応のための車両・機械荷役装置、IT、DXへの投資やM&Aによる事業拡大などに活用し、資本の効率向上に努めている。
自己資本利益率(ROE)は連結ベースで9~10%以上を安定的に達成できる企業体質を目指している。
(3)株主還元
配当については、長期的安定配当の継続を基本方針とし、35%以上を目標としている(詳細は後述)。
【1-7 ROE分析】
| 19/3期 | 20/3期 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 | 26/3期 |
ROE(%) | 7.1 | 9.1 | 7.1 | 8.3 | 8.1 | 8.1 | 7.7 | 9.3 |
売上高当期純利益率(%) | 5.08 | 6.54 | 5.57 | 6.27 | 6.34 | 6.95 | 6.78 | 8.54 |
総資産回転率(回) | 0.91 | 0.90 | 0.80 | 0.83 | 0.81 | 0.73 | 0.75 | 0.75 |
レバレッジ(倍) | 1.54 | 1.55 | 1.59 | 1.60 | 1.58 | 1.54 | 1.50 | 1.46 |

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
26/3期のROEは前期比上昇、目標である7%以上を維持している。今後もマージン改善をベースにしたROEの向上実現に取り組んでいく。
注力している3PLはまだまだ収益性向上の余地が大きいということで、売上の拡大とともに3PLのブラッシュアップに取り組んでいく。
2.2026年3月期決算概要
(1)業績動向
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 前期比 | 予想比 |
売上高 | 144,572 | 100.0% | 148,603 | 100.0% | +2.8% | -2.9% |
売上総利益 | 19,616 | 13.6% | 20,617 | 13.9% | +5.1% | - |
販管費 | 4,967 | 3.4% | 5,155 | 3.5% | +3.8% | - |
営業利益 | 14,648 | 10.1% | 15,462 | 10.4% | +5.6% | -3.4% |
経常利益 | 15,769 | 10.9% | 16,648 | 11.2% | +5.6% | +0.9% |
当期純利益 | 9,804 | 6.8% | 12,685 | 8.5% | +29.4% | +5.7% |
*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。予想比は25年5月公表の業績予想に対する増減。
増収増益、予想並み水準で着地
売上高は前期比2.8%増の1,486億3百万円。営業利益は同5.6%増の154億62百万円。営業利益は過去最高を更新した。売上面では、新規連結子会社が貢献、さらには新規案件の取り込みや、幅広い荷主構成が奏功して荷主全体では取り扱いが増加した。利益面では、業務効率化や利益率の高い業務の取り扱い増加、料金適正化が寄与したことで売上総利益は同5.1%増の206億17百万円、営業利益率は前期比0.3ポイント改善した。
会社予想に対しては売上高・営業利益とも概ね会社予想水準での着地となった。
期末配当は、前年同期90.00円/株から30.00円/株増配し120.00円/株を実施する。年間では前期から40.00円/株増配の210.00円/株。期初予想からは40.00円/株増額している。

26/3期は四半期を通じて前年同期比増収増益となり、引き続き安定して成長している。
(2)セグメント別動向
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 前期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
物流事業 | 125,526 | 86.8% | 129,318 | 87.0% | +3.0% |
構内作業・機械荷役事業 | 16,560 | 11.5% | 16,884 | 11.4% | +2.0% |
その他 | 2,484 | 1.7% | 2,400 | 1.6% | -3.4% |
合計 | 144,572 | 100.0% | 148,603 | 100.0% | +2.8% |
営業利益 |
|
|
|
|
|
物流事業 | 12,656 | 10.1% | 13,427 | 10.4% | +6.1% |
構内作業・機械荷役事業 | 1,499 | 9.1% | 1,555 | 9.2% | +3.7% |
その他 | 492 | 19.8% | 479 | 20.0% | -2.6 % |
合計 | 14,648 | 10.1% | 15,462 | 10.4% | +5.6% |
*単位:百万円。「構内・機械荷役事業」は、構内作業及び機械荷役事業。営業利益の構成比は営業利益率。
~事業の売上構成比~
事業別売上構成バランスは前期と大きくは変わらず。物流事業(貨物自動車運送事業、港湾運送事業、倉庫業、鉄道利用運送事業、物流附帯事業)が全売上の87.0%。物流附帯事業は、プラント設備や化成品の取扱減少により減収。構内作業・機械荷役事業は、電力機器関連の取扱増加により増収となった。

(同社資料より)
<物流事業>
増収増益
既存荷主の取り扱い(電力機器製品、建機類、青果物など)が順調に増加した。新規荷主の取引獲得も進んだ。各事業の取扱い動向は以下の通り。
(貨物自動車運送事業)
増収
●酒類(新規)や電力機器関連製品等が好調だった。
●M&Aによる新規連結子会社が増加したことにより増収となった。
(港湾運送事業)
増収
●新規荷主(酒類)の取引を獲得した。
●建機類の輸出入貨物や住宅資材の取り扱いが増加した。
(倉庫業)
増収
●IT機器や青果物他、既存荷主の取り扱いは増加した。
●合成樹脂の新規取り扱いがあり増収となった。
(物流附帯事業)
減収
●外航船:プラント設備や化成品の取り扱いが減少した。
●荷捌:既存荷主の取り扱いが減少した。
<構内作業及び機械荷役事業>
増収増益
設備補修関連の取扱いが増加した。
<その他事業>
減収減益
工事収入では、国内の設備移設案件の取扱いが減少した。
(3)財務状態及びキャッシュ・フロー
◎主要BS
| 25年 3月末 | 26年 3月末 | 増減 |
| 25年 3月末 | 26年 3月末 | 増減 |
流動資産 | 72,113 | 72,368 | +255 | 流動負債 | 34,487 | 32,923 | -1,564 |
現預金 | 21,507 | 19,553 | -1,954 | 仕入債務 | 12,990 | 13,193 | +203 |
売上債権 | 27,967 | 27,395 | -572 | 短期借入金 | 11,765 | 9,808 | -1,957 |
固定資産 | 119,974 | 132,216 | +12,242 | 固定負債 | 25,449 | 27,283 | +1,834 |
有形固定資産 | 79,859 | 81,686 | +1,827 | 長期借入金 | 13,506 | 12,605 | -901 |
建物及び構築物 | 33,584 | 32,543 | -1,041 | 負債合計 | 59,936 | 60,207 | +271 |
無形固定資産 | 4,593 | 5,680 | +1,087 | 純資産合計 | 132,151 | 144,377 | +12,226 |
投資その他の資産 | 35,520 | 44,850 | +9,330 | 利益剰余金 | 101,629 | 110,741 | +9,112 |
資産合計 | 192,088 | 204,585 | +12,497 | 負債純資産合計 | 192,088 | 204,585 | +12,497 |
*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
投資有価証券の増加などにより資産合計は前期末比124億97百万円増加の2,045億85百万円。
流動負債は減少、固定負債は増加し負債合計は同2億71百万円増加の602億7百万円。
利益剰余金の増加などで純資産合計は同122億26百万円増加の1,443億77百万円。
自己資本比率は前期末より1.7ポイント上昇し69.4%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 25/3期 | 26/3期 | 増減 |
営業CF | 16,267 | 17,166 | +899 |
投資CF | -10,423 | -5,401 | +5,022 |
フリーCF | 5,844 | 11,765 | +5,921 |
財務CF | -9,122 | -9,507 | -385 |
現金同等物残高 | 38,105 | 40,402 | +2,297 |
*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
投資活動によるCFのマイナス幅減少などにより、フリーCFのプラス幅は拡大した。
キャッシュポジションは増加した。
(4)トピックス
①国際園芸博覧会対応が予定通り、27/3期下期にスタート
商船三井ロジスティクス株式会社と共同で、推奨物流事業者、場内貨物取扱指定事業者として同社が選定。現在、物流事業者として準備中。27/3期の案件として、収益予想(物流事業*貨物自動車運送事業及び倉庫業)には織り込み済み。
同社と商船三井ロジスティクスとの連携により一貫対応し、最適な物流アセットを提供する。
高品質な物流サービスにより博覧会をサポート

(同社資料より)
②新基幹システム「MALoSシステム」が稼働開始(26年3月~)
●基幹システムの再構築を実施し、業界毎の物流特性を吸収できるシステムの柔軟性を確保
統合データベースに詳細データを格納し、データビジネスに活用する
●同社は【情報活用型】へとビジネスモデルの転換を図っており、データドリブン経営の基礎となるべく、物流データを取得する器として、MALoSシステムを構築する
![]() (同社資料より) | ●MALoS(Maruzen Advanced Logistics Solution)は、3PLを発展させた同社独自のLLP(Lead Logistics Provider)サービスの総称。 このサービスを提供するための基盤となる新システムを『MALoSシステム』と呼称し、構築を展開。 ●稼働スケジュール 26年03月:パイロット稼働 26年11月:経理系システム 全社へ順次展開 27年05月:輸出入システム 全社一斉稼働 28年 10月:倉庫/輸配送システム 順次稼働 31年 10月:固有システム完了 |
③エジプト・カイロへ地下鉄車両の輸送開始
●カイロ地下鉄4号線向け鉄道車両184両の輸送業務を受注
●26年3月、初回出荷となる8両を神戸港からアレキサンドリア港向けに出荷
●28/3期上期(27年7月)まで収益寄与(物流事業・物流附帯事業)する見込み

(同社資料より)
丸全昭和運輸の海外ネットワークを活用し、海外インフラを支える日本製鉄道車両の供給に対してプロジェクト輸送のノウハウと実行力を発揮する取り組みである。
④今後完成予定の拠点
コロナ禍で抑制されていた設備投資を積極的に推進
名称 | 所在地 | 延床面積(予定) | 完成予定 |
★広島倉庫 | 広島県東広島市 | 14,412㎡ | 26年8月頃 |
★レムチャバン倉庫 | タイ王国 | 6,423㎡ | 26年8月頃 |
★常陸那珂倉庫 | 茨城県那珂郡 | 4,960㎡ | 26年8月頃 |
★埼玉危険物倉庫 | 埼玉県加須市 | 990㎡ | 27年1月頃 |
★東深芝危険物倉庫 | 茨城県神栖市 | 1,988㎡ | 27年1月頃 |
伊那倉庫 | 長野県上伊那郡 | 3,800㎡ | 27年4月頃 |
笠間物流センター第2期倉庫 | 茨城県笠間市 | 3,000㎡ | 28年3月頃 |
★:現在着工中
名称 | 狙い | 特徴/備考 |
レムチャバン倉庫 | 自社オペレーションにより、高品質な物流サービスを提供する。日本国内の成長モデルを海外でも展開する。 | 一般倉庫の他、危険物倉庫、空調庫を備える。レムチャバン港、近隣の工業団地へのアクセスが優れ、輸出入貨物の取り扱いの点で有利な立地。大規模な敷地面積(約25,500㎡)。 |
常陸那珂倉庫 | 同社アグリ物流の一角を担う常陸那珂倉庫の拡大。 | 定温倉庫の他、空調倉庫、天井クレーンも備えており、幅広い貨物の取り扱いが可能。 |
埼玉危険物倉庫 | 化学品を中心とした幅広い貨物の取り扱い拡大。 | 300坪の危険物定温倉庫で石油類、アルコール類の危険物保管が可能。ドラム・缶・ケース等様々な危険物の取扱が可能。 |
東深芝危険物倉庫 | 化学品を中心とした幅広い貨物の取り扱い拡大。 | 石油類、アルコール類等の危険物保管が可能。300坪の危険物常温倉庫と300坪の危険物定温倉庫を併設。幅広い危険物の取り扱いが可能。 |
⑤人的資本の充実
今後はサステナブル社会の実現に向け、次世代物流のデジタルプラットフォームを通じて顧客のサプライチェーン全体を支援するために、企業内大学の機能を強化する。社員一人ひとりの能力を最大限に引き出すことができる高度な教育を展開し、顧客課題に深く入り込む信頼されるプロフェッショナル人材の継続的な輩出を実現し、企業価値の更なる向上を目指す。
●3PLの知識とスキルの向上を目的とした実践教育の実施
●企業内大学(Maruzen Logistics College)の機能強化
学習意欲を高め積極的に学ばせ、能力を最大化することで、企業価値向上に資する人的資本投資を推進する。
教育を通して働き甲斐を追求することで、エンゲージメントと生産性を高め、企業価値を創出させる。
●専門資格取得支援
物流技術管理士/国際複合輸送士/国際物流管理士/その他同社の戦略に沿った資格取得を支援する。
⑥「安全・安心」への取り組み
安全・安心な物流を提供することが今後の成長につながると認識して取り組んでいる
●AI搭載ドライブレコーダーの導入
●トラック/フォークリフト安全運転技能競技会
●積極的なQC活動の促進
3.2027年3月期業績予想
(1)通期業績予想
| 26/3期 | 構成比 | 27/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 148,603 | 100.0% | 162,000 | 100.0% | +9.0% |
売上総利益 | 20,617 | 13.9% | 22,500 | 13.9% | +9.1% |
販管費 | 5,155 | 3.5% | 5,500 | 3.4% | +6.7% |
営業利益 | 15,462 | 10.4% | 17,000 | 10.5% | +9.9% |
経常利益 | 16,648 | 11.2% | 17,500 | 10.8% | +5.1% |
当期純利益 | 12,685 | 8.5% | 13,000 | 8.0% | +2.5% |
*単位:百万円。予想は会社側発表。
27/3期は9.0%増収、9.9%営業増益を予想
27/3期は売上高が前期比9.0%増の1,620億円で過去最高の予想。営業利益は同9.9%増の170億円、経常利益は同5.1%増の175億円を見込みいずれも過去最高、14/3期から14期連続の増益を見込む。当期純利益は同2.5%増の130億円を予想。主力の物流事業は、今期も3PL事業、グローバル物流事業、成長ターゲット(産業機械・半導体材料・蓄電池・電子部品・サーキュラーエコノミー)案件等の新規案件獲得を見込む。コスト高はあるものの、価格改定による料金適正化を進めて収益力も高める考え。
27/3期は第9次中期経営計画(詳細は後述)2年目となる。創立90周年を記念して作られた新しいブランドスローガン「物流は、愛だ。」のもと、グループ全役員・社員が一丸となって第9次中期経営計画を推進し、目標売上・利益の達成を通じて物流に革命を起こし続けていく。
配当は前期と同じ210.00円/株(うち中間配当90.00円/株)を予定。予想配当性向は31.5%。
(2)事業別見通し
| 26/3期 | 構成比 | 27/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
物流事業 | 129,318 | 87.0% | 141,400 | 87.3% | +9.3% |
構内作業・機械荷役事業 | 16,884 | 11.4% | 18,000 | 11.1% | +6.6% |
その他 | 2,400 | 1.6% | 2,600 | 1.6% | +8.3% |
合計 | 148,603 | 100.0% | 162,000 | 100.0% | +9.0% |
営業利益 |
|
|
|
|
|
物流事業 | 13,427 | 10.4% | 14,810 | 10.5% | +10.3% |
構内作業・機械荷役事業 | 1,555 | 9.2% | 1,660 | 9.2% | +6.8% |
その他 | 479 | 20.0% | 530 | 20.4% | +10.6% |
合計 | 15,462 | 10.4% | 17,000 | 10.5% | +9.9% |
*単位:百万円。「構内・機械荷役事業」は、構内作業及び機械荷役事業。営業利益の構成比は営業利益率。
(3)事業環境と同社の対応
●主力の物流事業は新規案件獲得を見込む
●コスト高については、価格改定による料金適正化を進めて収益力もアップさせる
| 事業環境と対応 | リスク要因 |
全体 | 設備投資の増加などによる物流需要の回復 M&Aによる子会社化が寄与 | ●経済状況(中東情勢)の不確実性 ●エネルギーや原材料のコスト高 |
物流事業 | ●3PLをはじめとした新規業務の獲得 ●アグリ関連・危険物物流の取り扱い拡大 ●グローバル物流事業の拡大 ●国際園芸博覧会関連の業務獲得 | ●ドライバー不足 ●同業間の価格競争 ●原油価格高止まり、電力料高騰 |
構内作業 機械荷役事業 | ●得意先工場構内作業は、需要回復を見込み取り扱い増 | ●特定業界・特定取引先への依存度 |
その他事業 | ●国内の設備移設案件や機械据付案件は需要回復を見込み取り扱い増 | ●作業員不足 ●資材費高騰 |
27/3期案件の見通し:順調だが、大型案件の獲得に注力する
●26/3期:新規3PL案件の獲得が想定通りとならず、期初計画は下回ったが、幅広い既存荷主の貨物取扱が増加
●27/3期:既存荷主を中心に新規案件を獲得、取扱量は増加する見通し
26/3期 実績案件 | 27/3期 見込み案件 | ||
実績 | 効果 | 見込 | 効果 |
酒類販売A社 酒類の保管・荷役・輸送案件 (新規) | 関東・東北地区における業務拡大 | 住宅資材メーカーA社 住宅資材の保管・荷役・輸送案件 (既存) | 関東地区における取扱量の拡大 |
建設機械メーカーA社 建設機械の輸入業務案件 (既存) | 関東地区における取扱量の拡大 | 商社A社 地下鉄車両の輸出・輸送案件 (新規) | 輸出一貫業務の獲得による業務拡大 |
電機機器メーカーA社 電力機器関連の保管・荷役・輸送案件 (既存) | 関西地区における取扱量の拡大 | 種苗メーカーA社 植物・苗の輸送案件 (新規) 飲料メーカーA社 飲料・店舗什器の保管案件 (新規) | 国際園芸博覧会関連の業務獲得による拡大 |
4.第9次中期経営計画
26/3期を初年度とする3か年の第9次中期経営計画を策定している。
(1)第9次中期経営計画
①位置づけ
取り巻く環境 | 第9次経営計画(26/3期~28/3期) | 目指す姿 |
物流業のビジネスモデルに影響を与える事象 ・ドライバー不足 ・多重下請け構造に対する規制 ・倉庫建設費の上昇 など
物流業界で企業再編が活発化 | 構造改革 ~ロジスティクスパートナーとしての飛躍に向けて~
◆売上の拡大 ◆事業競争力の強化 ◆企業基盤の変革 |
テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー
|
②数値目標
最終年度である28/3期に売上高1,760億円、経常利益185億円を目指す。
1年目である26/3期は計画をわずかに下回った。
(億円)
| 25/3期実績 | 26/3期実績 | 27/3期計画 | 28/3期計画 |
売上高 | 1,445 | 1,486 | 1,620 | 1,760 |
経常利益 | 157 | 166 | 175 | 185 |
ROE | 7.7% | 9.3% | 9.0~10.0% | |
■投資計画 設備投資:400億円(DX投資を含む) M&A枠:100億円 | ■資本政策 配当性向:長期安定配当の継続が基本方針、3年間の連結ベースで35%以上が目標 政策保有株式:積極的な縮減を図る |
第8次中期経営計画の課題として、増収増益基調は継続したものの、売上の伸びが鈍化したことを挙げている。M&Aが実行に至らなかったことや物流拠点の拡充が想定ほど進まなかったことが要因であったと分析。
第9次経営計画では、拠点開発やM&Aに係る専門組織を設置し、投資に関する提案が活発に生まれる環境を整備させて設備投資を促進する方針を示している。
更に積極的な意識・組織改革と投資で売上拡大と資本効率の改善を目指す。
③事業戦略と1年目(26/3期)の取り組み状況
3PL事業はもちろん、構内作業やその他事業においても強化を図る。

④キャッシュフローアロケーションの進捗と計画
・持続的な成長を見据え、拠点新設への積極的な投資を推進する。
・M&Aは外部調達も活用し、積極的に検討・実施する。

(同社資料より)
(4)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
●PBR1倍超が定着。今後は更なるROE向上とPERを高める成長戦略の浸透を更に推進する
・株価は上昇基調にあり、PBRは1倍超で推移
・同社の成長性が一層評価されるよう、企業価値向上策への取組みは持続的に行う必要がある
・PBR=ROE×PER の関係から、従来通りPBRを上げるためのROE向上とPER改善の取組みを推進する
・PER=株価÷EPS、PER改善のためには、成長戦略のアピールを一層強化してEPS期待成長率を上げる必要あり
ROEの向上
―利益率の向上
―積極的配当
―政策保有株式の縮減 等
PERの改善
―成長戦略のアピール
―IR活動の更なる活発化
株主還元
基本方針:業績と配当性向、株主資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続
• 26/3期まで12期連続増配
• 投資資金を確保しながらも、3年間の配当性向35%を視野に、株主還元を引き続き積極化する

(同社資料より)
5.今後の注目点
第9次中期経営計画の初年度となる26/3期は、概ね会社予想水準を達成してしっかりと増収・増益を確保し、無難な実績だった。
26/3期のROEは9.3%に達し、2桁も視野に入ってきた。第9次中期経営計画では、経常増益率は各年度1桁でかなり保守的な印象ではあるが、引き続き進捗状況に注目していきたい。業界では人手不足が深刻な課題となっているが、同社ではこの問題を新たな3PL案件獲得の機会として取り組んでいる。収益拡大のチャンスであるとともに、共同配送やモーダルシフトを通じてこの問題の解決も図っている。
好業績や株主還元の強化を背景に、株価は見直しが進んでPBR1倍超が定着化している。かつては1倍を大きく割り込んでいたが、決算説明会やHPの情報発信を充実させることでIR活動を活発化させ知名度の向上も図っており、その成果が現れている。配当は26/3期には12期連続の増配となる。配当性向は31.5%の見通しだが、第9次中期経営計画では35%を目標としており、早期の実現にも期待したい。
PBRの見直しは進んだが、PERについては依然として低い水準にある。今後の成長持続とIR活動強化に伴う知名度向上による株価上昇余地が期待できる。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外3名 |
監査役 | - |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2026年7月13日
<基本的な考え方>
1.基本的な考え方
当社は激変する経営環境に対し迅速かつ的確に対応し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる体制を確立するため、株主をはじめとするステークホルダーに対し経営の透明性をより高めるとともに、経営理念にも掲げております社会規範の遵守を励行し、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に努めております。
2.基本方針
(1)株主の権利・平等性の確保
当社は、法令に従い株主の権利及び平等性を確保するとともに外国人株主や少数株主に配慮し、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備に努めております。
(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現するためコンプライアンスを重視しつつ、株主はもとより、顧客、取引先、社会、従業員等の様々なステークホルダーの利益を考慮して適切な協働と良好な関係の維持に努めております。
また、サステナビリティを巡る課題に対しても積極的・能動的に取り組んでまいります。
(3)資本政策の基本的な方針
1.財務健全性の確保
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すためには経営基盤を強化することが重要と考え、成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本とします。
2.持続的成長と企業価値向上のための投資
内部留保資金は、物流拠点の確保、保管設備の増強ならびに輸送力強化・環境対応のための車両・機械荷役装置への投資、IT・DXへの対応、M&Aによる事業拡大などに活用し、資本の効率向上に努めております。
第9次中期経営計画では、自己資本利益率(ROE)は連結ベースで9~10%を目標としております。
3.株主還元
配当につきましては、会社の業績と配当性向、自己資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続することを基本方針としております。
第9次中期経営計画では、配当性向は、3年間の連結ベース平均で35%以上を目標としております。
自己株式取得は、財務状況を考慮しつつ市場環境や資本効率等を勘案し、必要に応じて検討してまいります。
(4)適切な情報開示と透明性の確保
当社は、会社の財務情報及び非財務情報について法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく情報開示以外にも株主をはじめとするステークホルダーにとって有用性の高い情報については主体的に提供するよう努めております。
(5)取締役会等の責務
当社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促進し、収益力・資本効率等の改善を図るため、1.中期経営計画を策定し企業戦略の方向性を定める。2.内部統制システム、リスク管理・コンプライアンス体制を整備し取締役・経営陣のリスクテイクを支える。3.社外取締役を3分の1以上選任することで取締役・執行役員に対する実効性の高い監督体制を構築する。4.取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実の観点から、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督を担うことで、より透明性の高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待に、より的確に応えうる体制の構築をする。以上の4点をはじめとする役割・責務を適切に果たすよう努めております。
(6)株主との対話
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、株主との建設的な対話を行い経営計画等の内容について明確に説明するとともに、株主からの意見、要望等は取締役会に報告し、経営に反映させるよう努めております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
(補充原則2-4-1)人材の多様性確保のための目標
当社は、社内における人材の多様性の推進とともに、全従業員の自律的なキャリア形成を支援し、全ての従業員が個性と能力を十分に発揮して、いきいきと働くことが出来る雇用環境の整備に取り組んでおります。
女性の活躍推進においては、女性管理職の比率を2027年度までに5%以上とする事を目指し、その達成に向けて、女性の多様な部署への配置による活躍できる環境の整備や、ライフイベントも配慮した多様なキャリアパスの構築等を推進中です。
今後、引き続き外国人や中途採用者等の多様な人材の確保に向けて施策を講じ、測定可能な数値目標についても検討してまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
(原則1-4)政策保有株式の方針、議決権行使
当社は、投資株式を保有目的によって区別しており、専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることとして所有する株式を「純投資目的である株式」また、純投資目的ではなく、取引関係の維持強化を目的とし、政策的に所有する株式のことを「純投資以外の目的である投資株式」としております。
現在、「純投資以外の目的である投資株式」しか保有しておりませんが、そのうち、当社の企業価値を向上させるために中長期的な視点に立ち、今後の当社事業における営業戦略上の取引関係の維持・強化等を勘案し、政策上、保有の妥当性・合理性が認められる株式については保有していく方針です。
保有の継続に関しましては、その顧客である取引企業との業務取引の状況ならびに保有先企業の財政状況を定期的に確認し、取締役会等においてモニタリングを行い、保有の意義が十分でないと判断される銘柄については、縮減を図ってまいります。
今後も引き続き、モニタリングを継続し、政策保有株式の見直しを行ってまいります。
議決権につきましては、発行会社における財務の健全性に悪影響を及ぼす場合、違法行為が発生した場合等における該当議案には反対するなど、発行会社の持続的成長ならびに当社の中長期的な企業価値の向上につながるかどうかを判断基準として、適切に行使してまいります。
(原則3-1)情報開示の充実
(ⅰ) 当社の経営理念、中期経営計画については、当社ホームページに掲載しております。
・経営理念
https://www.maruzenshowa.co.jp/corporate/philosophy/
・中期経営計画
https://www.maruzenshowa.co.jp/ir/management/
(ⅱ) 当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針については、コーポレート・ガバナンス報告書の基本的な考え方に記載しております。
(ⅲ) 取締役・執行役員の報酬については、取締役会で一任を受けた代表取締役会長が、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針、役員報酬規程に基づき(取締役は株主総会で決定された報酬の範囲内)、各取締役・執行役員の職位や職務執行に対する評価、会社業績等を総合的に勘案し、報酬額を決定しております。なお、当社では報酬額の決定にあたり、代表取締役会長に一任する前に、指名・報酬諮問委員会が、取締役、執行役員の報酬決定の方針および手続に関する事項、報酬の内容に関する事項について審議した後、取締役会への答申を行っております。
(ⅳ) 取締役・執行役員候補の選任については、適正かつ迅速な意思決定への寄与、コーポレート・ガバナンス体制の整備、業務執行の監理・監督機能等、全組織のカバーを可能とするバランスを考慮した中で、総合的に判断して選任しております。監査等委員である取締役候補の選任については、財務・会計に関する相当程度の知見の有無、企業経営に関する経験や知識、当社事業活動に関する知識等のバランスを考慮し、適材適所の視点から人材を選任しております。以上の方針に基づき、代表取締役が内容を検討のうえ、取締役会において決議しております。なお、選任にあたり、指名・報酬諮問委員会が審議の上、取締役会へ答申を行っております。また、解任する場合も代表取締役が内容を検討のうえ、取締役会において説明することを定めております。
(ⅴ) 個々の取締役候補者の選解任の理由については、定時株主総会招集通知の株主総会参考書類に記載することとしております。
(補充原則3-1-3)サステナビリティについての取り組み
<サステナビリティについての取り組み>
当社は、社会のより良い形成と持続可能な発展に貢献し、中長期的な企業価値向上の創出を実現するために、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)という3つの観点が非常に重要であるとの認識のもと、中期経営計画を策定し、具体的な取り組みを進めていくこととしております。
当社の現在の取り組みおよびESGデータについては、当社ホームページに掲載しております。
(取り組み内容)
https://www.maruzenshowa.co.jp/csr/
(ESGデータ)
https://www.maruzenshowa.co.jp/csr/esg/
なお、当社は、TCFD提言への賛同を表明するとともに、同提言に基づく情報開示をしております。詳細については、当社ホームページに掲載しております。
https://www.maruzenshowa.co.jp/csr/environment/tcfd.html
<人的資本、知的財産への投資等>
当社の人的資本、知的財産への投資等の詳細については、当社有価証券報告書の【サステナビリティに関する考え方及び取組】(5)人材の育成及び社内環境整備に関する方針及び指標に掲載しております。
https://www.maruzenshowa.co.jp/ir/library/?tab=2
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