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(369A) 株式会社エータイ

グロース

ブリッジレポート:(369A)エータイ 2026年8月期第3四半期決算

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樺山玄基社長

株式会社エータイ(369A)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表取締役社長

樺山玄基

所在地

東京都千代田区神田錦町3丁目21クレスト竹橋ビル3F

決算月

8月

HP

https://a-tie.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,332円

4,242,900株

9,894百万円

16.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

54.00円

2.3%

134.49円

17.3倍

747.35円

3.1倍

*株価は8/3終値。26/8期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年8月

1,782

410

412

276

69.01

-

2023年8月

1,928

407

407

275

68.97

-

2024年8月

2,376

506

507

297

74.34

30.00

2025年8月

2,929

713

705

457

113.22

46.00

2026年8月(予)

3,415

859

856

569

134.49

54.00

*単位:百万円。予想は会社予想。

 

 

 

株式会社エータイの会社概要、成長戦略、樺山社長へのインタビューなどをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.成長戦略
3.2026年8月期第3四半期決算概要
4.2026年8月期業績予想
5.樺山社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 寺院にとってもユーザーにとっても「始めやすく、選びやすく、維持しやすい」お墓である永代供養墓の企画・建立・運営・販売代行に関して寺院と募集代行契約を締結し、永代供養墓の運営に係る業務をワンストップで提供。「永代供養墓募集代行業務を通じた寺院コンサルティングノウハウ」や「高い収益性」が特長・強み。

     

  • 売上・利益を拡大させるために重要なのが、永代供養墓を建立する「寺院開拓」とユーザーの「集客」。「寺院開拓」においては、効果的な集客による高い収益性と費用の効率化を図るため、エリア分析、AIの活用、ドミナント戦略などを踏まえて開拓すべき寺院を選定している。「集客」においては、マス広告を用いた「潜在層の掘り起こし」、オンライン及びオフライン媒体を使用した「顕在層へのコンタクト」「紹介」「寄り添い型の営業」などで成約獲得と売上高の増大を図っている。

     

  • 26/8期は2桁の増収増益予想。売上高は前期比16.6%増の34億15百万円、営業利益は同20.5%増の8億59百万円を見込む。営業利益率も同0.9ポイント上昇の25.2%。集客及び成約増大に向けた投資を実施しながらも増収でコストを吸収し、収益性も向上する。配当は前期比8.00円/株増の54.00円/株を予定。予想配当性向は40.2%。

     

  • 樺山玄基社長に、株主・投資家へのメッセージを伺った。「宗教法人は営利法人ではないので収益を上げることが目的ではありません。檀家様を含めた人の想いを大事にしなければならないので、物事を進める場合も、多数決ではなく全会一致でないとなりません。そのため、当社のような営利を目的とした法人と契約するということ自体まれですし、今まで培ってきた伝統や秩序を侵されるのではないかという懸念を強くお持ちです。そうした中、当社はこれまでの実績をご評価いただき、ご紹介も含めて着実に契約を積み上げていくことができています。上場したことによる信用力の向上も大きく寄与しています。こうした実績の積み上げは簡単なものではなく、強固な参入障壁になっています」「現在開苑寺院数はようやく100ヶ寺を超えたところで、伸びしろはまだまだ大きいと考えています。株主優待も含め、株主還元にも積極的に取り組んでいきますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします」とのことだ。

     

  • 26/8期の営業利益率は25.2%を見込んでいる。過去、これを上回る営業利益率を記録しており、現在も広告投資などを調整すれば、30%近い営業利益率の実現は可能だが、成長のための投資を重視しており、当面は20~25%の確保を目指しているということだ。

     

  • 26/8期第3四半期時点での進捗率は、売上高76.0%、営業利益75.2%。売上高に関しては概ね例年通りのようだが、営業利益はここ数年を下回る水準だ。ただ、26/8期は第1四半期に認知広告を集中して実施したことが影響しており、第4四半期(6‐8月)には大きな広告実施の予定はないため、通期予想の達成には大きな問題はないとの会社側の認識だ。閑散期である第4四半期は例年同様の酷暑となる点が集客に対するマイナス要因ではあるが、これを吸収してさらにどれほど売上・利益を上積みできるのか、注目していきたい。

     

     

1.会社概要

寺院にとってもユーザーにとっても「始めやすく、選びやすく、維持しやすい」お墓である永代供養墓の企画・建立・運営・販売代行に関して寺院と募集代行契約を締結し、永代供養墓の運営に係る業務をワンストップで提供。「永代供養墓募集代行業務を通じた寺院コンサルティングノウハウ」や「高い収益性」が特長・強み。26/8期第3四半期末での開苑寺院数(同社が永代供養墓を建立し募集を行っている寺院数)は102ヶ寺。

 

【1-1 上場までの沿革】

2004年10月、樺山伸一氏(現株式会社エータイ代表取締役社長樺山玄基氏の父)が浄水処理場の汚泥処理プラントの委託・販売等を手掛ける株式会社日本クレーベストを設立。2007年11月に永代供養墓事業に参入し、永代供養墓の建立、募集代行事業を開始した。2009年3月にはプラント事業から撤退し、永代供養墓募集代行業務に特化する。2018年10月に社名を株式会社エータイに変更。関東を中心に永代供養墓募集代行業務契約締結先寺院を開拓するとともに、利用者も増大し業績が伸長。2025年6月、東証グロース市場に上場した。

 

【1-2 理念・ビジョン・ミッション】

以下の理念・ビジョン・ミッションを掲げている。

理念

―創業時からエータイが大切にしてきた価値観―

人と人のこころのつながりをサポートし、社会のこころを豊かにする

ビジョン

―目指すべき世界(エータイだけでは実現できない壮大な夢)―

ポジティブな超高齢社会を創造する

ミッション

―ビジョン世界の実現のためにエータイが行うこと―

みんなの未来を安心とワクワクで満たすサービスを提供する

 

理念は2018年に樺山社長が制定。全社に浸透させ事業に落とし込むことに加え、全てのステークホルダーに訴求すべく、より具体的な目指す姿を経営層中心に協議し、ビジョン・ミッションとして24/8期に掲げた。
ネガティブに捉えられがちな超高齢社会であるが、永代供養墓事業を通じて安心できる未来を提供することを目指している。

 

【1-3 事業環境】

同社事業を取り巻く事業環境及び市場規模は以下の通り。

 

(1)事業環境
「少子高齢化」「核家族化」「供養への価値観の変化」「多死社会の到来」といった現代社会の構造変化が、お墓の利用者であるユーザーとお墓を管理・運営する寺院の双方に影響を与えている。
ユーザーにおいては、「墓地を承継する親族がいない、いても遠方に暮らしている場合は墓地の承継が難しい」「墓地の維持管理及びその費用負担が発生する」といった課題がある。また、新たに墓地の利用を希望する場合でも利用の意思決定が行いにくい傾向があり、墓地の利用は「始めにくく、選びにくく、維持しにくい」のが現状である。
寺院においては、供養への価値観の変化や承継者不足による「檀家離れ」や「墓じまい」の増加により重要な収入源であるお布施及び墓地の管理料が減少する傾向が強まっており、「経営悪化」が大きな課題となって顕在化している。

 

(背景)
出生数の減少により墓地の承継者が不足する一方、死亡数は当面増加することから、納骨数は増加していく見込み。推計では、2040年頃までは日本国内の死亡数は増加が予想される。都市部に限ると、2055年以降まで増加を予想する向きもある。
また、お墓の引っ越しである「改葬」件数は大幅な増加傾向にある。これは、少子高齢化や多死社会の到来による祭祀承継者不足がその理由とみられる。

(同社資料より)

 

(2)永代供養墓とその市場規模
こうした環境下、ユーザー・寺院双方からの関心が高まっているのが「永代供養墓」である。

 

(永代供養墓とは)
永代供養墓とは、墓地の利用者に後継者がいなくても寺院が永代にわたり供養・管理を行う墓地。
ユーザーは永代供養墓を購入すれば、清掃や雑草処分等のお墓の管理が不要で、寺院や霊園向けの管理費の支払いも一般的には不要。新規購入時の費用についても、伝統的なお墓と比べて相対的に安価に設定されている。
従来の伝統的なお墓が「始めにくく、選びにくく、維持しにくい」のに対し、永代供養墓は現代のユーザーニーズにマッチした「始めやすく、選びやすく、維持しやすい」お墓といえる。
近年の改葬数の増加は、地方所在のお墓を子息等祭祀承継者が居住する都市部へ移転させることに加え、以降の管理が不要な永代供養墓へ改葬する動きが相まったものと思われる。

(同社資料より)

 

(市場規模)
こうした環境下、永代供養墓は新規墓地件数・市場規模(金額ベース)ともに、お墓全体を上回る大きな成長が見込まれている。

(同社資料より)

 

【1-4 事業内容】

セグメントは寺院コンサルティング事業の単一セグメント。
永代供養墓募集代行業務及びその他の業務(永代供養墓域の管理代行業務及び寺院への集客提案等の各種ソリューション並びに葬儀関連業務)により、寺院の財務基盤の強化に貢献し、その対価として手数料を収受している。

 

(1)永代供養墓募集代行業務
永代供養墓の企画・建立・運営・販売代行に関して募集代行契約を締結し、永代供養墓の運営に係る業務をワンストップで提供している。同社が募集した永代供養墓利用者の成約額から寺院に配分する志納料を差し引いた金額を募集代行手数料として収受している。

 

 

(同社資料より)

 

①特長
寺院、ユーザー双方にとって「始めやすく、選びやすく、維持しやすい」永代供養墓を提供している。

 

◎寺院
永代供養墓の建立及び運営に際しては、永代供養墓の企画提案、建立、永代供養墓利用者の募集のための広告宣伝活動、永代供養墓の現地案内や成約事務手続などの業務が必要となるが、以下の費用は全て同社が負担している。
・企画提案及び建立における一定の初期投資
・利用者の募集のための広告宣伝費
・永代供養墓の現地案内や成約事務手続
・成約額の収納代行
・納骨や契約保全及び永代供養墓域のメンテナンスに関する人件費及び諸経費

 

対寺院営業においては最初の面談設定まで苦労することが多いが、紹介の活用なども含めて面談にこぎつけ、必要な費用の全額負担をはじめとするメリットを説明すると商談が進むことが圧倒的に多いという。
多くの寺院にとってはこれらの業務を内部の人間のみで円滑に運営することは極めて困難である。
「始めやすく、選びやすく、維持しやすい」永代供養墓の運営をサポートすることで、高い手数料率を確保している。
なお、永代供養墓の建立費用は、長期前払費用として資産計上し、効果の及ぶ期間にわたり償却費として費用計上している。
一度、募集代行契約を締結すると販売できる在庫がなくなった場合など、解除に至るケースは限定的。25/8期の開苑寺院における解除寺院数はゼロ。26/8期は第3四半期までで2件と極めて少数である。

 

◎ユーザー
以下のようなメリットをユーザーに提供している。
*祭祀承継者が不要
祭祀承継者がいなくても、寺院により永代にわたる供養や管理が提供される。

 

*過去の宗旨宗派を問わない永代供養サービス
永代供養墓の使用許可申込に当たり過去の宗旨宗派は問わない。

 

*明瞭な価格プランに基づく同一種類同一価格での提供
永代供養墓ごとに埋葬数に合わせた明瞭な価格プランを提示し、同一種類同一価格で提供している。

 

*入檀料や年間管理費が不要
一般的な檀家制度で必要とされる入檀料は不要。永代供養墓の使用許可申込に当たり一時費用を負担することで、年間管理費などその後の管理費は発生しない(納骨時の費用や戒名に係るお布施などの費用は必要)。

 

*法事法要が強制されない
永代供養墓の使用許可後は、許可を受けた寺院にて永代供養、法要儀式等を行うが、永代供養墓利用者の希望しない法事法要は強制されない。

 

*希望に基づき後継者による承継が可能
一般的な永代供養墓は、使用許可申込時に供養対象となる人数が定められており、親族等による承継が難しいが、同社の永代供養墓は任意の登録制を導入しており、追加登録料を支払うことにより、親族等による永代供養墓の承継が可能。

 

*多彩な商品ラインナップからの選択が可能
独自の手法により、旧来の石材業者の提供する伝統的なデザインとは異なるデザイン性の高い高品質な永代供養墓を目指して企画提案、建立している。

合祀墓

粉骨した遺骨を1カ所に共同で埋葬する葬送方法。墓石の購入は不要。成約単価は同社の永代供養墓の中では最も低廉。

個別墓(マンションタイプ)

屋外型のマンションタイプの個室に納骨する葬送方法。各個室に個人を称する文字を記した石材である「墓誌(ぼし)」を設置する。個別安置でありながら集合型の永代供養墓であるため、檀家制度に基づく一般的な墓地の利用と比較して低廉な成約単価で提供している。

個別墓(戸建てタイプ)

屋外型の戸建てタイプの個室に納骨する葬送方法。一般的な墓地のように高級感のあるデザインを目指している。一般墓地に代わる新しいお墓として提案しており、個別墓(マンションタイプ)より高級志向の利用者向けの永代供養墓として最も高価な成約単価で提供している。

樹木葬

樹木や緑地スペースに遺骨を埋葬する葬送方法。埋葬スペースに個人を称する文字を記した石材である「墓誌(ぼし)」を設置する。石材と比較して安価な樹木や植栽を主な材料として使用するため、合祀墓に次ぐ安価な成約単価で提供している。

 

 

 

(同社資料より)

 

主要KPI
同社では、投資家へよりタイムリーな情報共有を図るため、主要KPIの開示を行っている。2026年7月からは月次ベースでの開示を開始した。主なKPIの定義は以下の通り。
<供給サイド>

提携寺院数

「募集代行契約」を締結した寺院の数

開苑寺院数

提携後、自治体からの認可取得や墳墓建立・設置工事を経て、永代供養墓の販売開始に至った数

1寺院当たり売上高

売上高を期中平均開苑寺院数((前年度末開苑寺院数+当年度末または当四半期末の開苑寺院数)/2)で除して計算

個別区画供給余力

個別墓供給区画数から販売区画数を控除。以降の販売余力を示す。

 

<販売サイド>

集客数

資料請求や見学予約等の問い合わせ数

案内数

実際に現地見学へ案内した数

成約数

最終的に契約に至った数

 

*開苑寺院数について
寺院との契約締結は、サービス提供の基盤であり、収益力向上のためには、新規寺院との契約締結を進め、提携寺院数を継続的に増加させることが重要である。新規寺院との契約締結後、提携寺院が所在する自治体からの墓地経営許可を取得したのち永代供養墓建立工事を着工し、一定期間を経て開苑、永代供養墓募集代行業務等を開始する。

 

*売上高及び1寺院当たり売上高について
開苑寺院から収受する永代供養墓募集代行手数料(売上高)は、ユーザーと寺院の成約による成約額から生じる。
開苑寺院数及び1寺院当たり売上高双方の伸長が売上・利益拡大のための重要な指標である。

 

寺院との永代供養墓募集代行契約を10~20年にわたる長期の契約とし、永代供養墓の成約状況及び残区画数に合わせて適時に永代供養墓の増設を行うことで、1寺院当たりの売上高を逓減させることなく一定水準を維持している。

(同社資料より)

 

(2)その他の業務
永代供養墓域の管理代行業務においては、同社の費用負担で日々の墓域の清掃、定期的な植栽の剪定、永代供養墓の高圧洗浄及びメンテナンスを行っている。
また、寺院への集客提案等の各種ソリューションとして、寺院でのイベントの企画運営や永代供養墓利用者の供養祭の企画運営等を行っている。加えて、葬儀関連業務においては、永代供養墓の申込者、提携寺院の檀家を中心として、葬儀申込の受付、葬儀施行の取次、葬儀会館の斡旋及び葬儀付帯業務の提供、回忌供養の取次等の葬儀後のアフターサポート、既存のお墓の撤去・処分(墓じまい)及び永代供養墓への移動(改葬)のサービスも提供している。

 

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)競合について
永代供養墓や樹木葬を展開する事業主体は全国に広がっているが、同社と同様のビジネスモデル(多くの地域でのドミナント戦略、費用の全額負担、多彩な商品ラインナップ等)を展開している事業主体は他に見当たらない。また、開苑寺院数などの規模も同社と比べると小さく、先行者としての優位性を大きく確保している。
<主な競合>
・個別寺院:永代供養墓を独自に開発し、販売
・石材店:取引先寺院と提携して永代供養墓を開発し、販売
・葬儀社や仏具店等:事業多角化の観点から樹木葬等を展開(一部は上場企業)

 

(2)永代供養墓募集代行業務を通じた寺院コンサルティングノウハウ
寺院は一般的な企業とは異なる歴史や伝統、文化を持ち、それを重んじる業界であるため、寺院との永代供養墓募集代行契約締結においてはその価値観を理解し尊重した対応が求められる。さらに、宗教法人としての寺院は意思決定に際し、法人役員や檀家役員会など複数の関係者による全会一致が必要となるなど、寺院との募集代行契約締結の難易度は極めて高い。
さらに、墓地建立に際しては自治体の認可を取得する必要があるが、法令及び条例の解釈・判断が地域や行政ごとに異なることも多い。また、宗教法人や墓地に関する知見が不足している地域や行政もあるため、専門的知識と経験を基にした提案や連携が不可欠で、適法な墓地の建立及び運営のためには、こうした様々な対応が求められる。
同社は、伝統ある寺院業界の特性を理解し法令や規制にも明るく、多くの永代供養墓の運営実績を通じて寺院コンサルティングについての豊富な知見やノウハウを有しており、持続的な寺院経営への支援が可能である。こうした豊富なノウハウや実績は強力な参入障壁である。

 

(3)高い収益性
永代供養墓の運営に係る費用を同社が負担することにより高い手数料率を確保している。加えて、適切な寺院提携エリアを構築することで寺院周辺地域に特化したドミナント戦略を展開しているため、効果的な集客と費用の効率化が可能で、高い利益率を確保している。

 

【1-6 株主還元】

株主還元を経営の重要なテーマの一つと認識している。
配当については当面は上場時に公約した配当性向40%を堅持する方針だが、財務の健全性、収益の安定性、成長投資とのバランスを勘案しながら、継続的に拡充を図る考えだ。

 

26/8期より株主優待制度「エータイ・プレミアム優待倶楽部」を導入した。2026年8月末を基準日として、200株以上を保有する株主に3,000~15,000ポイントを進呈する。ポイントは、米やブランド牛のほか、スイーツや飲料類、銘酒、電化製品、選べる体験ギフトなど、5,000種類以上の商品から選択することができる。プレミアム優待倶楽部を導入する他企業の優待ポイントとの合算が可能な共有株主優待コイン「WILLsCoin」に交換のうえ、より広範な商品から選択することも可能である。

 

2.成長戦略

同社にとって売上・利益を拡大させるために重要なのが、永代供養墓を建立する「寺院開拓」とユーザーの「集客」である。

 

(1)寺院開拓戦略
日本全国には約7万強の寺院があるということだが、同社は全ての寺院を開拓の対象としているわけではない。効果的な集客による高い収益性と費用の効率化を図るため、以下の各ステップを踏まえて開拓すべき寺院を選定している。

(同社資料より)

 

「エリア分析」
人口が多く、将来的な墳墓需要が期待できる地域について、年齢別人口分析や競合他社及び寺院数など関連する指標を用いてより潜在性のあるエリアを選定する。
26/8期第3四半期末時点の開苑済展開エリアは16都府県で開苑寺院数は102ヶ寺。うち関東地方7都県に82ヶ寺が開苑している。九州・東海・関西地方への展開を開始している。

 

「エリア内対象寺院の選定」
エリア内でより大きな売上高を期待できる寺院を厳選する。既存開苑寺院における売上実績と、定性的な評価情報の関係をAIに学習させることで、より緻密な選定を進めている。

 

「ドミナント戦略」
売上高を伸ばしつつ一定以上の利益を確保するためには、人員配置や広告宣伝等の効率性をより高める体制・運営が必要である。そのため、ドミナント戦略を採用。孤立した寺院を開苑することを回避し、現地スタッフのバックアップや管理スタッフの業務効率化、複数寺院への同報広告等を実施している。
具体的には、市区町村別の墳墓需要から開苑可能寺院数を算出し、既存寺院から一定距離を置いた寺院を対象として選定している。開苑寺院のない空白エリアについては、早期にドミナント効果を発揮できるよう、短期間での複数寺院の開苑を図る。

 

「将来の増設建立余地」
より効率的に利益を蓄積していくためには、同一寺院において永代供養墓の増設建立を重ねることが重要である。
新規寺院との提携を検討する際には、初期建立のみならず、増設建立の余地の有無や広さ等も評価材料としている。
増設余地は現時点での空きスペースだけでなく、無縁墓の設置スペースや将来墓じまいとなる可能性のある一般墓設置スペース等も検討対象となる。

 

以上のステップを踏まえた上で、寺院に提案を行い、同社のビジネスモデルに同意した寺院と契約を締結する。

 

 

 

(同社資料より)

 

(2)集客戦略
「潜在層の掘り起こし」「顕在層へのコンタクト」「紹介」「寄り添い型の営業」の4つにより成約の獲得と売上高の増大を図っている。

潜在層の掘り起こし

TVCM、新聞広告、交通広告などマス広告を展開している。

顕在層へのコンタクト

 

自社HPやポータルサイトなどのオンライン媒体と、新聞広告や折込などオフライン媒体の双方を活用している。

紹介

介護事業者等他社との連携や既存のお墓ユーザーからの紹介を得ている。

26/8期第3四半期(累計)の紹介成約率は80.7%と、同期間の全社成約率56.5%を大きく上回っており、紹介は極めて重要な集客戦略である。

寄り添い型の営業

ユーザーが永代供養墓利用を検討する際には必ず見学に訪れる。同社の永代供養墓には社員スタッフが常駐しており、見学者にその永代供養墓の特長を丁寧に説明するほか、永代供養墓以外でも、広く終活に関する悩みを聞き、適切なアドバイスを提供している。こうした見学者に寄り添った営業も成約率向上に大きく寄与している。

常駐スタッフは見学がない時間帯は墓域を清掃し美観を保っているほか、寺院の祭り等にも参加し、地域住民との交流促進にも協力している。そうした活動が地域の評判を高め、利用申込にもつながっているということだ。

 

永代供養墓ニーズは、突発的に一気に高まるものではなく、同社の広告宣伝活動により、地域内における永代供養墓や開苑寺院の認知度が徐々に広がることで、利用者は着実に増加する。また、このニーズは一時的に発生するものではなく、一種の終活として地域住民の中で恒常的に発生するニーズであり、長期的に継続する。

 

 

 

(同社資料より)

 

3.2026年8月期第3四半期決算概要

【3-1 業績概要】

 

25/8期3Q

(累計)

構成比

26/8期3Q

(累計)

構成比

前年同期比

売上高

2,172

100.0%

2,596

100.0%

+19.5%

売上総利益

1,501

69.1%

1,768

68.1%

+17.8%

販管費

901

41.5%

1,122

43.2%

+24.5%

営業利益

600

27.6%

646

24.9%

+7.7%

経常利益

596

27.4%

698

26.9%

+17.1%

四半期純利益

415

19.1%

405

15.6%

-2.5%

*単位:百万円。

 

増収、営業増益
売上高は前年同期比19.5%増の25億96百万円。開苑寺院数、1寺院当たり売上高、成約数など主要KPIは順調に拡大。
営業利益は同7.7%増の6億46百万円。長期前払費用の償却費、広告宣伝費、人件費なども増加したが増収で吸収した。

四半期ベースでは、第3四半期(35月)の売上高は前年同期比22.3%増の9億45百万円で四半期ベースの過去最高を記録した。営業利益は同38.6%増の2億60百万円で、こちらも四半期ベースの過去最高を更新。
同社では気温が比較的快適な第1四半期(911月)・第3四半期(35月)が見学者の多い繁忙期、寒さ・暑さが厳しい第2四半期(122月)・第4四半期(68月)が見学者の少ない閑散期となっている。繁忙期の売上高を一段と伸長させるべく自社HP改定を繰り返してきたが、2024年1月以降に明示的な効果が現れ始め、繁忙期の売上高トレンドが上方へ変化した。その後もHPの高度化は継続しており、売上高の増加トレンドも継続している。

(同社資料より)

【3-2 事業規模の状況】

 

25/8期第3四半期

26/8期第3四半期

前年同期比

提携寺院数(期末)

112

130

+16.1%

開苑寺院数(期末)

88

102

+15.9%

集客数(累計)

19,892

22,978

+15.5%

案内数(累計)

6,973

7,657

+9.8%

成約数(累計)

3,742

4,323

+15.5%

成約率(累計)

53.7%

56.5%

+2.8pt

1寺院当たり売上高(累計)

25.9

26.8

+3.5%

*1寺院当たり売上高の単位は百万円。

 

開苑寺院数は、第3四半期(3‐5月)に5ヶ寺増加して102ヶ寺と、創業以来初めて100ヶ寺を超過した。個別墓の増設も2ヶ寺で実施した。
1寺院当たり売上高は26/8期第3四半期累計で26.8百万円、年換算ベースで35.7百万円と改善傾向が継続している。
26/8期第3四半期時点の個別墓供給区画数は50,814基、販売区画数は20,426基。個別区画供給余力は30,388基とそれぞれ拡大している。

(同社資料より)

 

【3-3 財務状態】

◎主要BS

 

2025年8月末

2026年5月末

増減

 

2025年8月末

2026年5月末

増減

流動資産

2,116

2,150

+34

流動負債

588

702

+114

現預金

2,054

2,091

+37

固定負債

130

140

+9

固定資産

1,764

1,953

+188

負債合計

718

843

+124

投資その他の資産

1,727

1,899

+172

純資産

3,162

3,260

+98

長期前払費用

1,438

1,643

+205

利益剰余金

2,853

2,950

+96

資産合計

3,881

4,103

+222

負債純資産合計

3,881

4,103

+222

*単位:百万円。

 

永代供養墓の建立費用は長期前払費用として資産計上している。長期前払費用の増加などで資産合計は前期末比2億22百万円増加の41億3百万円。負債合計は同1億24百万円増加の8億43百万円。利益剰余金の増加等で純資産は同98百万円増加の32億60百万円。自己資本比率は前期末から2.0ポイント低下し79.5%となった。

 

 

4.2026年8月期業績予想

【業績予想】

 

25/8期

構成比

26/8期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

2,929

100.0%

3,415

100.0%

+16.6%

76.0%

売上総利益

1,994

68.1%

2,250

65.9%

+12.8%

78.6%

販管費

1,281

43.8%

1,390

40.7%

+8.5%

80.7%

営業利益

713

24.3%

859

25.2%

+20.5%

75.2%

経常利益

705

24.1%

856

25.1%

+21.4%

81.6%

当期純利益

457

15.6%

569

16.7%

+24.4%

71.3%

*単位:百万円。予想は会社側予想。26/8期の販管費は同社資料の売上総利益予想及び営業利益予想からインベストメントブリッジが計算。

 

2桁の増収増益を予想
売上高は前期比16.6%増の34億15百万円、営業利益は同20.5%増の8億59百万円の予想。営業利益率も同0.9ポイント上昇の25.2%。集客及び成約増大に向けた投資を実施しながらも増収でコストを吸収し、収益性も向上する。
配当は前期比8.00円/株増の54.00円/株を予定。予想配当性向は40.2%。

 

5.樺山社長に聞く

樺山玄基社長に、永代供養墓募集代行事業の特長、同社の競争優位性、株主・投資家へのメッセージを伺った。
樺山社長は1984年5月生まれ。2011年9月に株式会社永代供養墓普及会(後に吸収合併)入社。2017年8月、株式会社日本クレーベスト(現株式会社エータイ)取締役に就任。2019年7月に株式会社エータイ代表取締役社長に就任した。

 

Q:改めて御社の永代供養墓募集代行事業の特長、ぜひ投資家に知っておいてもらいたいポイントをお話しください。
当社事業はハード面とソフト面に分けて見ていただくと分かりやすいと思います。
永代供養はソフトの側面です。寺院が永代にわたり供養します、管理しますということです。ハード面は実際に利用者に提供する商品です。ご希望に合わせて、合祀墓、マンションタイプの個別墓や戸建てタイプの個別墓、樹木葬など、大変バリエーションに富んでいます。
同時に、当社のサービスが多くの利用者に選んでいただいている大きな理由としては、寺院と利用者間の契約について相対的に利用者が享受できるメリットに重点を置いている点が挙げられます。
例えば当社の永代供養墓は利用者の過去の宗旨・宗派は問わないのですが、寺院からすればやはり自分の宗旨・宗派であってほしいと考えます。また、納骨の期限を設けず永代納骨できますが、寺院は七回忌や30年という期限を区切ることで同じ区画を繰り返し販売したいいう希望があります。ところが、利用者からするとそうした条件で購入金額を払うことには抵抗を感じる方が多い。こうした、利用者のメリットを相対的に優先した形の利用規約を寺院にご理解いただくのは難しい部分もあるのですが、費用は全て当社が負担する点、これまでの豊富な販売実績がある点などからご納得いただいています。

 

寺院がご自分で永代供養墓を販売するというのは非常に難しいと思います。
当社であれば100を超える寺院について広告運用していますから1寺院当たりということで考えれば効率的な運用が可能ですが、自分の寺院のみでやろうと思えば、販売スタッフの人件費も含め大変な負担になります。相当の体力をお持ちの寺院でないと回収は困難です。こうした点は当社が寺院に提供できる大きなメリットであり、当社の強みだと考えています。

 

Q:御社の競争優位性についてお聞かせください。
寺院・宗教法人と一体になって事業を展開できる点が、最大の競争優位性であると考えています。
宗教法人は営利法人ではないので収益を上げることが目的ではありません。しっかりとした宗教活動を行うことを前提としていますので、檀家様を含めた人の想いを大事にしなければならない。ですので、物事を進める場合も、多数決ではなく全会一致でなければなりません。
そのため、当社のような営利を目的とした法人と契約するということ自体まれですし、今まで培ってきた伝統や秩序を侵されるのではないかという懸念を強くお持ちです。
そうした中、当社はこれまでの実績をご評価いただき、ご紹介も含めて着実に契約を積み上げていくことができています。上場したことによる信用力の向上も大きく寄与しています。また、過去の宗旨・宗派が違っていてもきちんとお参りをしてくれる利用者の方が多く、寺院によってはそれまでの檀家数を上回る利用者に永代供養墓を購入していただいているケースもあります。
こうした実績の積み上げは簡単なものではなく、強固な参入障壁になっています。

 

Q:寺院向けの営業とともに永代供養墓販売の営業も重要な活動です。どちらも「人」による営業ですが、永代供養墓販売の営業についての人的資本の強化は、どのように取り組まれているのでしょうか。
営業部の営業推進課がこれまでの営業活動をベースにして作成した、当社独自の詳細なマニュアルに基づいて、例えばお客様のお墓についてのお悩みの段階に応じたアプローチ方法など、きめ細かい教育を実施しています。3カ月~半年の期間、みっちりと教育すれば、一人で活動できるレベルに達します。利用者に寄り添うホスピタリティ意識の高いスタッフも当社の競争優位性を構成する重要な要素です。

 

Q:御社に入社してくる方たちは、御社のどんな点に魅力を感じているのでしょうか。
当社は少子高齢化、多死社会といったお墓をめぐる寺院及び利用者の社会課題を解決する企業です。そうした社会課題の解決に貢献したいという正義感の強い方が多いと感じています。

 

Q:今後の成長実現に向けて解決しなければならない課題は何でしょうか。
現在の永代供養墓事業はまだまだ成長余地が大きいので、質・量ともに人的資本の強化が必要なのは言うまでもありません。
加えて持続的な成長のためには、永代供養墓事業で築いた寺院という資産を活かし、地域住民の方にも貢献・還元できるような施策、新規事業を創出していく必要があると考えています。

 

Q:ありがとうございます。それでは最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。
当社の永代供養墓募集代行事業は、社会貢献をしながら、売上・利益を作っていけるビジネスです。現在開苑寺院数はようやく100ヶ寺を超えたところで、伸びしろはまだまだ大きいと考えています。株主優待も含め、株主還元にも積極的に取り組んでいきますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。

 

6.今後の注目点

26/8期の営業利益率は25.2%を見込んでいる。過去、これを上回る営業利益率を記録しており、現在も広告投資などを調整すれば、30%近い営業利益率の実現は可能だが、成長のための投資を重視しており、当面は20~25%の確保を目指しているということだ。
26/8期第3四半期時点での進捗率は、売上高76.0%、営業利益75.2%。売上高に関しては概ね例年通りのようだが、営業利益はここ数年を下回る水準だ。ただ、26/8期は第1四半期に認知広告を集中して実施したことが影響しており、第4四半期(6‐8月)には大きな広告実施の予定はないため、通期予想の達成には大きな問題はないとの会社側の認識だ。閑散期である第4四半期は例年同様の酷暑となる点が集客に対するマイナス要因ではあるが、これを吸収してさらにどれほど売上・利益を上積みできるのか、注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

4名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名)

監査役

3名、うち社外監査役2名(うち独立役員1名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年12月11日

 

<基本的な考え方>
当社は、取引先、従業員等をはじめとした当社を取り巻く様々なステークホルダーと良好な関係を築き、地域社会に貢献する企業となるべく、経営の健全性並びに透明性の確保に努めることを前提として企業価値を最大化することが不可欠なものと認識しております。そのため、代表取締役社長以下、当社の経営を担う取締役等が自らを律し、コンプライアンス経営を徹底するとともに最適な経営管理体制を構築することを通じて、コーポレート・ガバナンスの継続的な強化に努めてまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則について、そのすべてを実施しております。

 

 

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