ブリッジレポート
(3538) 株式会社ウイルプラスホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(3538)ウイルプラスホールディングス 2026年6月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

成瀬 隆章社長

株式会社ウイルプラスホールディングス(3538)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

成瀬 隆章

所在地

東京都港区芝5-13-15 芝三田森ビル8階

決算月

6月

HP

https://www.willplus.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

ROA(実)

1,005円

10,358,400株

10,410百万円

9.9%

3.5%

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

53.67円

5.3%

138.13円

7.3倍

1,283.99円

0.8倍

*株価は2026年9月9日終値。26年6月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

23年6月

44,115

1,867

1,943

1,302

135.45

41.17

24年6月

47,745

1,497

1,562

1,120

116.00

43.51

25年6月

88,614

1,849

1,897

1,443

158.43

45.06

26年6月

96,839

1,426

1,427

1,108

121.92

46.00

27年6月(予)

116,416

2,255

2,075

1,256

138.13

53.67

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

株式会社ウイルプラスホールディングスの26年6月期、27年6月期業績予想などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中長期戦略
3.成長戦略
4.2026年6月期決算概要
5.2027年6月期業績予想
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • JEEP、BMW、MINI、VOLVOなど17ブランドを取り扱う輸入車正規ディーラー9社、中古車買取卸売及び輸出を行う1社を連結子会社とする持株会社。「M&A」を通じて、「新規エリア」「新規ブランド」の獲得を目指し、事業拡大に積極的に取り組む。同時に「事業の最大化」を進めながら、「店舗のグリーン化」を実施し、「GHG排出量削減の最大化」を追求し続けることにコミットすることで「気候変動問題解決」を「機会」と捉えている。

     

  • 26年6月期の売上高は前期比9.3%増の968億39百万円。厳しい環境ながらも、前期グループインした店舗が売上高を押し上げた。中古車輸出関連事業の「業販」が上振れ。商品回転率を重視し販売を強化した。営業利益は同22.9%減の14億26百万円。輸入車ディーラー事業における新車販売低迷及び中古車収益性悪化、店舗増に伴う各種コストの増加、中古車輸出関連事業における主力車種販売不振、仕入れコスト上昇、海上輸送の混雑及びコスト上昇が影響した。売上・営業利益は2026年5月公表の修正予想を上回った。

     

  • 27年6月期は増収増益を予想、売上高は過去最高更新へ。売上高は前期比20.2%増の1,164億16百万円、営業利益は同58.1%増の22億55百万円の予想。既に発表済みのM&Aのみを業績予想に織り込んでいる。27年6月期もM&Aが続くが、「新規のM&Aによるコスト増」を上回る「PMIによる改善効果」により、営業利益率は1.5%から1.9%へと緩やかな改善を見込んでいる。配当は前期比7.67円/株増の53.67円/株を予定。予想配当性向は38.9%。

     

  • 27年6月期を「強化した組織力を収益へと転換する年」と位置づけ、既存店の収益力の回復とM&Aによる新規店舗のPMIを推進することにより、収益力の獲得を目指す。同社グループの最も重要な財産である人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取り組みも強化し、人材育成及び組織力向上に必要な投資を行っていく。各種コストの必要性及び費用対効果を継続的に検証し、不要・非効率なコストの削減を進めるとともに、成長分野及び収益性の高い事業への経営資源の最適な配分を可能とする経営基盤を強化する。

     

  • 成長戦略の柱であるM&Aを積極的に展開している。「4.2026年6月期決算概要【4-5 トピックス】」にあるように、2026年1月から8月までに、7件の事業譲受や株式取得を行った。円安やインフレによる新車価格の高止まりは、社有車投資及び減価償却費の増加によるコスト増、来店客数の減少、販売在庫及び運転資金の増加による資金繰りの悪化を引き起こし、中小自動車ディーラーの経営を圧迫している。加えて、気候変動問題への対応が一層重視されること、ブランドメーカーはディーラーの資本集約を望んでいることや、輸入車ディーラーの後継者難といった状況も加わり、経営基盤の脆弱な中小ディーラーを中心としたM&Aが加速し始めているようだ。同社は2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで、直近3期未満に実施したものを除き13件のM&Aを実施してきたが、全ての案件で黒字化を達成しており、その「事業再生能力」は特筆すべきものである。

     

  • 今後のポイントとしては、いかにPMIをスピーディーに実施できるかであろう。27年6月期も引き続きM&Aを実施していくが、「新規のM&Aによるコスト増」を上回る「PMIによる改善効果」により、営業利益率は1.5%から1.9%へと緩やかな改善を見込んでいる。更なる利益率の向上が、ROEの改善を背景としたPBRの上昇にも繋がると思われる。

     

     

     

1.会社概要

JEEP、BMW、MINI、VOLVOなど17ブランドを取り扱う輸入車正規ディーラー9社、中古車買取卸売及び輸出を行う1社を連結子会社とする持株会社。顧客満足度の向上に注力し、マルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略による成長を追求している。M&Aにおける事業再生能力には大きなアドバンテージを有する。EV化の進展をはじめとした自動車を取り巻く大きな環境変化を好機と捉え、更なる成長を目指す。

 

【1-1 沿革】

1997年1月、福岡県北九州市で代表取締役社長成瀬隆章氏の実父が輸入車販売会社「株式会社さんふらわあシージェイ」を設立。同社は西日本地区で最初のCHRYSLERの正規ディーラーであった。
2004年10月、成瀬社長が同社株式を全株取得し、ウイルプラスグループとしての事業活動を開始した。
成瀬社長をはじめとしたスタッフ数名の小規模なディーラーながらCHRYSLER車の販売で全国的にも優秀な成績を上げ高い評価を受けたことで、2005年には東京都大田区にあったCHRYSLER直営店を譲受して東京へ進出。2006年には福岡県久留米市にも店舗を開設。東京、福岡でのドミナント戦略を開始した。
経営資源の最適配置や迅速な経営意思決定によってディーラー買収を機動的に実行することを目指し、2007年10月、株式会社ウイルプラスホールディングスを設立。
持株会社体制の下、積極的に業容を拡大し、2016年3月に東証JASDAQに上場し、2017年9月、東証2部への市場変更を経て、2018年2月、東証1部に指定となった。2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場へ移行。2023年10月、スタンダード市場に移行した。

 

【1-2 経営理念】

以下のような存在意義、コア・バリューを掲げている。

我々の存在意義(MISSION STATEMENT)

我々は輸入車のある生活を提案し、より多くの皆様と豊かさ・楽しさ・喜びを分かち合い、関わるすべての人々を温かい笑顔に変えていく挑戦を続ける。

コア・バリュー

・車を愛し、仲間を愛し、誇りを持って働く。

・常に挑戦し、自らの限界を打ち破る。

・チームプレーで大きな結果を出す。

・必ず期限までに目標にたどり着く。

・最後まで諦めない、できるまでやる。

・豊かさ、楽しさ、喜びを提供する。

・誠実さと感謝の気持ちを忘れない。

 

【1-3 同社を取り巻く市場環境】

同社を理解するうえで重要なポイントとなる事業環境は以下のとおりである。
同社の成長ドライバーであるM&A戦略に関する事業環境については「2.中長期戦略」を参照。

 

◎輸入車のシェアアップが続く国内乗用車市場、輸入車の国内保有台数は堅調な伸び
少子高齢化の進行、自動車の性能向上による保有期間の長期化、消費スタイルや嗜好の変化(=いわゆる若年層の「車離れ」)などにより国内新車登録台数は減少傾向にある。

(同社資料より)
そうした中、為替やインフレによる新車販売価格の上昇などで国内における輸入車市場の回復は鈍いものの、2025年の輸入車登録台数シェアは前年比0.5pt上昇。長期的にも、輸入車登録台数シェアは上昇傾向にある。

 

 

 

(同社資料より)

 

輸入車メーカーは、環境課題への対応に積極的で、同社取り扱いブランドの過半数は、2030年を目途に完全電動化を目指す計画を発表している。一方、日本メーカーのEVは、海外競合と比較すると拡大ペースは鈍いが、2026年1月には国内新車市場におけるEVの国産車シェアが輸入車シェアを上回った。これは2023年7月以来のことである。国内EV市場の活性化によるインフラの拡充が期待される。

 

 

(同社資料より)

 

 

◎同業他社比較

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE

時価総額

PER

PBR

3184

ICDAHLD

39,500

1.4

2,051

5.1

5.2%

11.5

8,725

6.5

0.7

3538

ウイルプラスHLD

116,416

20.2

2,255

58.1

1.9%

9.9

10,410

7.3

0.8

7593

VTHLD

400,000

2.9

13,500

22.7

3.4%

6.9

64,355

8.7

0.9

8291

日産東京販売HLD

140,000

8.5

6,000

26.1

4.3%

4.7

32,470

9.3

0.6

9856

ケーユーHLD

170,000

0.5

8,100

-3.3

4.8%

8.4

53,657

6.8

0.6

*単位:百万円、%、倍。売上高、営業利益は今期会社側予想。ROEは前期実績。時価総額は直近の四半期末株式数×2026年9月9日終値。PER(予)、PBR(実)は2026年9月9日終値ベース(ICDAHDは9/7終値)。

 

PBRは1倍以下でPERも1桁にとどまっている。【2-5 資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応】の着実な進捗が望まれる。

 

【1-4 事業内容】

(1)概況
持株会社である(株)ウイルプラスホールディングスの下、連結子会社10社において輸入車の新車及び中古車の販売、車輌整備、損害保険の代理店業務、中古車輸出などを展開している。取扱ブランド数は17ブランド。取り扱うブランドごとにインポーター(日本国内で輸入車を取り扱う業者)と正規ディーラー契約を締結している。

(同社資料より)

 

(2)セグメント
報告セグメントは「輸入車ディーラー事業」「中古車輸出関連事業」の2つ。

 

(3)品目(業務内容)
売上高の品目として、新車、中古車、業販、車輌整備、その他を決算短信で開示している。中古車販売の国内外内訳の開示も行っている。

(同社資料より)

 

品目

内容

 

新車

各社が正規ディーラーとして、各インポーターから仕入れたブランドの全ての新車を販売している。

中古車

各ブランドの高年式低走行の認定中古車を中心に販売している。商品の仕入れは、新車販売時の下取、買取、オートオークションにより行っている。株式会社ENGが日本国内で仕入れた中古車を主にマレーシアに輸出している。

業販

下取した他社ブランドの中古車をオートオークションで販売している。また、他社ディーラーからの依頼を受け、同社グループ内で保有している新車・中古車を販売することがある。

車輌整備

販売した車輌を中心に整備、修理や車検を主なサービスとしている。一部店舗を除き、ショールームと併設する形でサービス工場を設置している。

その他

損害保険会社の代理店として自賠責保険や任意保険等の販売を行っている。インポーターからの新車販売等に係るインセンティブ収入も含まれる。

新車販売が事業の柱。中古車販売のほか、車輌整備や自動車保険販売など自動車購入後に顧客が必要とするサービスも提供し、顧客との関係性を強化することを重視している。
車輌整備に関しては販売後、メンテナンスパッケージを提供することで整備入庫を確保している。保険販売に関しては、保険商品についてのきめ細かい情報提供などが評価され、業界平均を上回る加入率・高い継続率を実現している。
「販売台数増=フロー収益の拡大」に加え、M&Aによる店舗数増大が「車輌整備件数増、保険加入件数増」というストック収益の拡大に結び付いている。
事業ポートフォリオに「中古車輸出関連事業」が加わったことで、成長市場に新規参入するとともに、全社ベースでの為替リスク平準化を図ることが可能となった。

 

(4)店舗数
2026年8月末の店舗数は、東京・神奈川・埼玉28店舗、九州25店舗、四国3店舗、兵庫3店舗、山口2店舗、宮城2店舗、福島2店舗の計65店舗。

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)M&Aにおける高い事業再生能力
「時間を買う」という観点から現在多くの企業が成長戦略の柱として掲げるM&Aにおいて、M&Aを成功させるには、「優良な案件の発掘」「適切な価格での実行」が重要であることは論を待たないが、より重要なのが想定したとおりのシナジー効果を生み出すためのM&A後のプロセス「PMI(Post Merger Integration)」であるといわれている。M&Aを行っても、統合阻害要因等に対する事前検証の不足や企業文化の違いをマネジメントできず失敗に終わるケースは枚挙に暇がない。
そうした中、投資家が注目すべきは同社の「事業再生能力」であろう。2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで13件(※)のM&Aを実施してきたが、全ての案件で黒字化を達成している。※直近3期未満に実施したものを除く

(同社資料より)

 

「顧客満足度向上の追求」をはじめとした理念の共有、「チャレンジを最大限に尊重する」といった評価軸の明確化がM&A成功の要諦で、これを実行すれば会社を確実に大きく変えることができると同社では考えており、自社の事業再生能力に大きな自信を持っている。

 

(2)輸入車の正規ディーラーをメインとする唯一の上場企業
輸入車の正規ディーラーであっても、中古車販売がメインである企業が多い中、同社は新車販売をメインとしている唯一の上場企業である。
同社では、輸入車新車マーケットは2025年で1.75兆円と推定している。国内乗用車市場(軽自動車を除く)における輸入車シェアは長期的には増加傾向にあると同社は考えており、M&A戦略によりシェア拡大を進めることで、収益の一段の拡大を追求する考えだ。

 

(3)ストックビジネスによる安定収益構造
ストックビジネスと位置づけている車輌整備と保険販売による安定収益構造も同社の大きな特徴・強みである。
車輌整備及び保険販売手数料の合計はM&A効果もあり、上場来10年連続成長で過去最高を更新中。

 

自動車の国内保有台数が大きく増加することは期待しづらいが、経済状況の変化・環境意識の高まりなどから自動車の平均使用年数は増加傾向にあり、必然的にメンテナンスの重要性が増している。
加えて「CASE」の進展により、整備作業は一段と複雑化し、輸入車の整備業務は正規ディーラーに集約されていくと予想されている。
こうしたことから、同社では車輌整備事業の収益機会は今後ますます拡大すると考えており、メンテナンスパッケージや新車延長保証を付加することで整備入庫率の向上、同事業の基盤強化を図る。
また、毎期堅調に拡大している保険手数料収入に関しても、スタッフの保険に関する知識のブラッシュアップを継続して顧客満足度の更なる向上を目指しており、保険販売と車輌整備のストックビジネスの安定成長基盤の一段の強化に取り組んでいく。

(同社資料より)

2.中長期戦略

社会的課題解決に向けた企業の社会的な存在意義や企業価値向上への取り組みが強く問われている今日、同社では、基本となる成長戦略(マルチブランド戦略・ドミナント戦略・M&A戦略)をベースに、中長期戦略を実行中だ。

 

【2-1 中長期戦略グループ方針】

「社会的価値向上」と「企業価値向上」の両立、すなわち、社会課題の解決と企業の成長の同時実現を目指す。

 

社会的価値向上に向け、「持続可能な社会実現への貢献」「社会的価値の創造」に取り組む。
具体的には、店舗のグリーン化、店舗エリアの脱炭素化を進め、社会に必要とされる企業を目指す。

 

企業価値向上に向けては、「持続的成長」「中長期的な企業価値向上」を目指す。
具体的には、後述するように、M&Aを主軸とする成長戦略を推進し、売上・利益の最大化を目指すとともに、後継者問題の解決、資産(資源)の再利用(リユース)と収益性改善、人材(人的資本)の再教育と活性化など、中小企業の多い自動車販売業界における事業再生を通じた課題解決にも取り組む。

 

「気候変動問題解決」を「機会」と捉え、「M&A」を通じて、「ドミナント化」「エリア拡大」「新規ブランド獲得」を目指し、事業拡大に積極的に取り組み、社会的価値向上と企業価値向上を通じて「時価総額の最大化」を図る。

 

【2-2 目標】

サプライチェーンを含めた気候変動問題へのコミットメントが求められる中、ブランドメーカーは、正規ディーラーの店舗オペレーションにおけるGHG排出量の正確な把握と、削減目標の設定、そのための具体的な取り組み(デモカーのEV比率、再生可能エネルギー導入率、廃棄物のリサイクル率等)を求めてきている。
そうした中、気候変動問題解決のリーディングカンパニーを目指す同社は、以下のようなGHG排出削減目標を掲げている。

 

「2030年度Scope1+Scope2のGHG排出量を2022年度比較で、50%削減する(年率6.25%の削減)」
具体的なKPIとして、
①「社有車(試乗車含む)の低炭素自動車比率 2030年度 80%以上」
②「再生可能エネルギー導入率目標 2025年度 全店舗導入」
を掲げている。

 

2026年3月、2025年度のGHG排出量実績について第三者保証を取得した。
Scope2については、再生可能エネルギー契約への切り替えとグリーン証書活用により、引き続き排出量ゼロを達成している。2025年度は、グループ目標を早期達成した2023年度の排出量からさらに26.8%の削減を実現している。

 

【2-3 同社グループの取り組み】

「社会的価値向上」と「企業価値向上」の同時実現に向けた取り組みは以下のとおりである。

 

(1)社会的価値向上
①店舗グリーン化による脱炭素社会実現への貢献
同社では上記の削減目標設定に加え、店舗エリアにおけるEV普及促進に対応した設備投資などを実施し、輸入車ディーラーとして、いち早く店舗のグリーン化を推進、自動車産業の脱炭素化に貢献している。
これまでの実績は以下のとおり。

 

 

(同社資料より)

 

取り扱いブランドのEVラインナップ拡充と並行してEV充電器設置台数が増加している。2026年6月末で急速充電器44台、普通充電器105台の合計149台を設置済み。再エネ率は4年連続で100%となった。
26年6月期の新車販売、社有車に占める低炭素自動車の比率はそれぞれ20.1%、28.6%と着実に上昇している。

 

②その他の取り組み・対応
◎4年連続でCDP「気候変動」質問書にてBスコアを取得
世界中の機関投資家・購買企業の要請を受けて、企業の環境情報開示を促進する国際団体CDPが実施している気候変動質問書において、4年連続(2022年、2023年、2024年、2025年)でBスコアを取得した。

 

CDP質問書は、ESG情報の「E」に関するグローバルスタンダードとして、組織の環境開示をA~Fで評価するもので、2025年時点では世界の時価総額の3分の2を超える22,000社超が、CDPでスコアを付与されており、世界中の機関投資家・購買企業が、意思決定に活用している。日本ではプライム上場企業1,000社以上を含む約2,100社が回答した。

 

(2)M&Aの推進による企業価値向上
新たなエリアへの進出、新たなブランドの獲得、既存ブランドのシェア拡大をスピーディーに遂行するための重要な施策がM&Aである。飽和状態にある国内自動車市場においては、顧客獲得、早期の投資回収、収益確保という観点からM&Aが最も適切かつ優先すべき戦略であると考えている。
【1-5 特長・強み・競争優位性】で触れた「M&Aにおける高い事業再生能力」を武器に、M&Aの実施とPMIの着実な実行により、売上・利益の拡大を図る。

 

①M&Aについての事業環境
◎ディーラーの状況
同社の調査したブランドによれば、2025年末現在、日本全国で、輸入車ディーラーのべ650社が事業を行っており、新車販売拠点は1,553拠点。1事業会社あたり平均2.4店舗を運営しており、全体の約8割が3店舗以下を運営する中小企業である。
ブランドごとで店舗展開に差が見られ、ブランドによっては資本の集約が進む傾向にある。
また、日本の中小企業に共通の課題である後継者難に悩んでいるディーラーも多数存在する。

 

 

(同社資料より)
こうした輸入車ディーラーにとって、自動車の「CASE(※)」、そのうち、「Electric(電気自動車)」と「Connected(コネクテッド)」への対応は今後の重要な経営課題となっている。
※「CASE」はConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字を取ったもの。従来の「クルマ」の概念を大きく変え、それぞれの領域において、新たな需要・市場を創出している。

 

◎環境意識の高まりとEV化の進展
地球温暖化に対する危機意識の高まりを受け、温暖化ガス排出削減、脱炭素社会実現へ向けた取り組みが急速に進展している。
自動車の排出ガス削減はその最も大きなテーマの一つであり、各国は2050年のカーボンニュートラル実現に向けた規制を打ち出しており、自動車メーカーは生き残りをかけ、従来のガソリン車、ディーゼルエンジン車からEV(電気自動車)への転換を進めている。
特に、【1-3 同社を取り巻く市場環境】で触れたように、もとより環境意識の高い欧州を拠点とするメーカーは極めて積極的にEV化に取り組んでいる。
一方で、日本メーカーもEVの目標販売台数や目標販売比率は打ち出しているものの、海外競合と比較すると拡大ペースは鈍い。

 

同時に、ブランドメーカーは自社のサプライチェーン全体の排出量の把握及び削減への取り組みにコミットする必要があるため、ディーラーに対し、現在の排出量の把握に加え、EVの仕入れ拡大、急速充電機の導入など気候変動問題への適切な設備投資や対応、排出削減目標の開示などを強く求めるようになっている。
しかし資金面、人材面などの制約から十分な対応が難しいディーラーも多く、こうした要求に適切に対応できるディーラーへの集約・再編がブランドメーカー主導によってさらに進むのではないかという観測も浮上している。

 

◎Connected(コネクテッド)化、EV化に伴う車輌整備の複雑化
Connected(コネクテッド)とは、クルマに通信機を搭載し、常に外部と情報を交換することを指す。車輌へのSIMカード搭載によりクルマの状態や道路状況の把握、クルマ同士やクルマとインフラの情報交換、遠隔操作などが可能となる。

 

Connected(コネクテッド)化によりクルマはスマートフォンのようなデバイスとなり、利便性が急速に向上するが、一方で故障や車検などの際の整備作業も一段と複雑化する。
加えて前述のEV化も車輌整備に大きな影響を与える。EVの普及に伴い、高電圧バッテリーや発電機の故障が増え、車輌整備においては高電圧システムを取り扱う必要があり、安全性強化に向け、設備投資に加え、高電圧に関する特別教育なども不可欠である。このようにConnected(コネクテッド)化及びEV化によりハード・ソフト両面における投資が追加的に発生するため、輸入車の整備業務は投資余力が十分な正規ディーラーや大手資本に集約されていくものと見られる。

 

②M&Aに対する同社の方針
◎気候変動問題への積極的な対応
EV化とコネクテッド化への対応が輸入車ディーラーにとって急務となる中、同社では、ブランドメーカーから選ばれる店舗作りを進め差別化を図るとともに、対応が困難なディーラーをM&Aすることで、新エリアや新ブランドを獲得して自社の成長・企業価値向上を図り、また店舗グリーン化を通じて社会課題の解決に貢献する考えだ。
加えて、店舗のグリーン化、当該エリアの脱炭素化にとどまらず、店舗などの資産・資源の再利用、人的資本の再教育、業務フローのDX化による生産性の向上など、既存の各種社会資本の活性化にも繋げていく。

 

◎コロナ禍の収束に伴う追い風
新型コロナウイルス感染症拡大が収束するのと軌を一にして、M&A戦略に追い風が吹き始めたと同社では考えている。

 

*2020年~2022年:M&A(事業売却)が発生しづらい事業環境
新型コロナウイルス感染症の発生及び拡大に伴い、安全な移動手段として、また海外旅行の代替として2020年から2021年にかけて自動車需要が急速に拡大した。
2022年に入ると、世界的な半導体不足や資材価格の上昇により新車の供給不足が顕在化し価格も高騰、新車不足は中古自動車需要を押し上げ、中古車価格も大きく上昇した。

 

こうした事業環境において自動車ディーラーの販売及び受注は好調となった。販売在庫は減少し、運転資金も縮小、受注残が急増するなど、決して営業力や資本力が強固でないディーラーであっても支障なく経営することが可能な環境であった。
一方でこうした状況は、事業売却を検討するディーラーが減少したことを意味し、同社のM&A戦略にとっては向かい風であったが、同社は業界平均を上回る成長及び営業利益率を実現し、次のフェーズにおけるM&A実行に向けて経営資源を集中していった。

 

*2023年~:新車供給の回復に伴いM&A加速化へ
2023年以降、上記の環境に変化が生じている。
コロナ禍の収束及び半導体不足の解消に伴い新車の供給が回復する一方、円安やインフレによる新車価格の高止まりは、社有車投資及び減価償却費の増加によるコスト増、来店客数の減少、販売在庫及び運転資金の増加による資金繰りの悪化を引き起こし、中小自動車ディーラーの経営を圧迫している。
加えて、気候変動問題への対応が一層重視されること、ブランドメーカーはディーラーの資本集約を望んでいることや、輸入車ディーラーの後継者難といった状況も加わり、経営基盤の脆弱な中小ディーラーを中心としたM&A案件の増加が見込まれる。M&Aが加速しやすい事業環境の下、3年間止まっていたM&Aが加速し始めている。同社ではM&Aに経営資源を集中することで事業成長を目指す考えだ。

 

【2-4 中長期株主還元戦略】

上場来連続で増配を行ってきた同社は、以下のような方針を打ち出している。

 

☆

中長期的にROE15%以上を目標とする(26年6月期9.9%)。

☆

「適正資本の維持」及び「株主還元の更なる拡充」を同時に実現していくために、26年6月期より配当性向を30%以上としている。

☆

2027年度以降は、引き続き配当性向30%を配当方針としながら、累進配当を目指す。

☆

配当の下限はDOE4.5%とし、安定的かつ継続的な利益還元の維持・向上に努める。

 

27年6月期の配当は前期比7.67円/株増の53.67円/株を予定。予想配当性向は38.9%。

 

株主資本コストを大きく上回るROEを実現し、配当性向を段階的に引き上げ、利益成長を上回る配当成長を目指しており、極めて積極的な利益成長方針と株主還元姿勢を打ち出している。

 

(ROE分析)

 

18/6期

19/6期

20/6期

21/6期

22/6期

23/6期

24/6期

25/6期

26/6期

ROE(%)

18.2

14.3

13.9

22.5

19.0

14.0

11.5

14.0

9.9

 売上高当期純利益率(%)

3.16

2.44

2.29

3.76

3.91

2.95

2.35

1.63

1.14

 総資産回転率(回)

2.49

2.30

2.24

2.43

2.23

2.09

1.71

2.55

2.39

 レバレッジ(倍)

2.31

2.54

2.71

2.46

2.18

2.28

2.85

3.37

3.61

日本企業が一般的に目標にすべきといわれている8%を上回っているものの低下傾向にある。収益性の改善を通じたROEの上昇とPBRの1倍台回復を期待したい。

 

【2-5 資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応】

同社では東証の要請する「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、以下のような分析及び今後の取り組みを示している(2026年8月にアップデートを開示)。

 

(1)現状分析
(株価)
コロナ禍後、新車供給が回復する中で、円安により車輌価格は高止まりが続いている。輸入車市場全体が低迷する中、業績悪化に伴いROEが低下。その結果、下値は配当利回りに支えられながらもPBRは1倍を割り、株価は低迷している。

 

(上場後の売上高と出店の推移)
業績が好調な時期(2021年度、2022年度)は、M&A実績はない。2023年度以降、輸入車市場悪化に伴い、業績は悪化するが、M&A実績は急増している。しかし、M&A実績(=売上高増)は、株価に反映されていない。輸入車市場悪化の影響を上回る「PMIによる収益改善」が必要と認識している。

 

(ROEとPBR)
同社ではCAPMから株主資本コストを5.49%と認識しており、ROEは、上場来、資本コストを上回って推移しているが、26年6月期は市場環境の悪化及びM&Aの積極化に伴う先行コスト負担により利益が伸び悩み、ROEは9.9%に低下した。PBRも大きく低下した。

 

(2)PBR向上に向けた取り組み
利益率、総資産回転率、財務レバレッジ、資本コスト、期待成長率の観点から以下のような施策を掲げ、取り組んでいる。

 

 

 

財務戦略としては、M&Aによるスケールメリットとドミナント戦略による「利益率の向上」、回転率を徹底管理した在庫の適正化による「総資産回転率の改善」、最適資本構成(自己資本比率20%以上40%未満)の設定と株主還元の実施による「財務レバレッジの適正化」により、ROE15%を目指す。
これによって、5.49%の株主資本コストを大きく上回るROEを長期的に実現する。β値に左右されずに、ROEが資本コストを安定的に上回る体制を継続し、企業価値(時価総額)の最大化を進める。

 

株主還元に関しては、【2-4 中長期株主還元戦略】で先述したように、配当性向30%、DOE下限4.5%を目安とした累進配当により、安定的かつ継続的な利益還元の維持・向上に努める。
このほか、機動的な自己株式の取得による株主還元の強化、株式を活用した各種施策の導入による企業価値向上などにもコミットしている。
IRに関しては、株主総会、個人株主及び機関投資家(国内、海外)との対話の場を設け、経営陣による双方向コミュニケーションを図る考えだ。

 

 

3.成長戦略

同社の成長を支えていくのが「マルチブランド戦略」「ドミナント戦略」「M&A戦略」の3戦略である。

(同社資料より)

 

【3-1 マルチブランド戦略:収益の拡大と販売サイクルの平準化】

特定のブランドに依存することなく複数のブランドを取り扱うことにより、ブランド間の新型モデル投入時期の差異による販売サイクルへの影響の平準化を図っている。
現在17ブランドを扱っているが、M&A戦略も併せてブランド数の拡大を目指している。

 

(同社資料より)

 

【3-2 ドミナント戦略:同一商圏のシェア向上と利益の最大化】

人口100万人規模の都市とその周辺都市、40万人以上の地方の中核都市を特定地域と位置づけて集中的な出店を進め、同一商圏にて集客を図ることによる市場シェアの向上、店舗間の効率的な人員配置による生産性の向上、利益の最大化を図っている。
現在は輸入車(乗用車)の新車登録台数及び保有台数で国内上位の東京、神奈川、埼玉、九州が中心だが、M&A戦略によるエリアの拡大も目指している。

 

【3-3 M&A戦略:スピードアップ】

「新たなエリアへの進出」「新たなブランドの獲得(マルチブランド戦略)」「既存ブランドのシェア拡大」をスピーディーに遂行するための重要な施策がM&Aである。M&Aによりまとまった店舗、商圏、新ブランドを獲得したのち、周辺に新店を出店して商圏を補完し更なる業容の拡大を進めている。
Mercedes-Benz、VW、Audiなど未取り扱いで同社がターゲットとしているブランドは多数あり、M&Aを通じた新ブランド獲得による成長余地は大きい。
案件の発掘は、同社から先方への直接アプローチ、先方から同社への直接の連絡のほか、インポーターからの紹介、金融機関やM&A仲介会社からの紹介など。
社内で今後の成長性やシナジーを中心に検討したのち、同社の投資回収基準に沿った案件のみデューデリジェンスを実施し、交渉を進めていく。

(同社資料より)

 

2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで13件(※直近3期未満の実施案件を除く)のM&Aを実施してきた。新規出店や移転・改装等の店舗投資のほか、ノウハウの移植などによって、全ての案件で黒字化を実現しており、同社のPMI能力の高さが注目される。

 

4.2026年6月期決算概要

【4-1 業績概要】

 

25/6期

構成比

26/6期

構成比

前期比

修正予想比

売上高

88,614

100.0%

96,839

100.0%

+9.3%

+5.1%

売上総利益

12,432

14.0%

13,135

13.6%

+5.7%

-

販管費

10,582

11.9%

11,708

12.1%

+10.6%

-

営業利益

1,849

2.1%

1,426

1.5%

-22.9%

+1.9%

経常利益

1,897

2.1%

1,427

1.5%

-24.8%

+0.0%

当期純利益

1,443

1.6%

1,108

1.1%

-23.2%

-1.4%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。修正予想比は2026年5月公表の業績予想値との比較。

 

増収減益
売上高は前期比9.3%増の968億39百万円。厳しい環境ながらも、前期グループインした店舗が売上高を押し上げた。中古車輸出関連事業の「業販」が上振れ。商品回転率を重視し販売を強化した。
営業利益は同22.9%減の14億26百万円。輸入車ディーラー事業における新車販売低迷及び中古車収益性悪化、店舗増に伴う各種コストの増加、中古車輸出関連事業における主力車種販売不振、仕入れコスト上昇、海上輸送の混雑及びコスト上昇が影響した。売上・営業利益は2026年5月公表の修正予想を上回った。

【4-2 市場環境】

国内の新車(乗用車)登録台数は前期比2.7%減少の254.4万台となった。一方、外国メーカーの新車(乗用車)の登録台数は同1.4%増の23.7万台。年前半は好調も、年明けに失速し前年同月比マイナスが続き、年間では前年比微増にとどまった。
同社取り扱いブランドの新車登録台数も2025年10月以降10カ月連続して前年同月を下回り、年間では前期比5.3%減と、市場全体を下回る厳しい状況であった。
多くのブランドが前年を下回るなか、VOLVOはシェアを拡大して健闘した。BYD、Hyundaiも大きく増加した。

 

【4-3 セグメント動向・品目別売上高動向】

◎セグメント別動向

 

25/6期

構成比

26/6期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

輸入車ディーラー事業

54,230

61.2%

58,110

60.0%

+7.2%

中古車輸出関連事業

34,383

38.8%

38,728

40.0%

+12.6%

合計

88,614

100.0%

96,839

100.0%

+9.3%

セグメント利益

 

 

 

 

 

輸入車ディーラー事業

2,515

4.6%

2,243

3.9%

-10.8%

中古車輸出関連事業

433

1.3%

376

1.0%

-13.3%

調整額

-1,100

-

-1,192

-

-

合計

1,849

2.1%

1,426

1.5%

-22.9%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

◎品目別販売動向
(26年6月期)

 

輸入(※1)

前期比

輸出(※2)

前期比

全体(※3)

前期比

新車

24,760

-1.7%

-

-

24,760

-1.7%

中古車(国内)

16,872

+13.6%

-

-

16,872

+12.0%

   (海外)

-

-

10,208

-21.9%

10,208

-21.9%

中古車合計

16,872

+13.6%

10,208

-23.2%

27,081

-3.8%

業販

5,834

+11.7%

28,501

+35.3%

34,335

+30.6%

 車輌販売高合計

47,468

+4.9%

38,709

+12.7%

86,178

+8.2%

車輌整備

9,821

+19.8%

-

-

9,821

+19.8%

その他

821

+8.3%

19

-13.6%

840

+7.7%

合計

58,110

+7.2%

38,728

+12.6%

96,839

+9.3%

*単位:百万円。輸入(※1)は輸入車ディーラー事業、輸出(※2)は中古車輸出関連事業、全体(※3)はグループ全体。

 

<輸入車ディーラー事業>
*新車販売
売上高は前期比1.7%減の247億60百万円。
M&Aによる新規獲得ブランドや店舗数が増加したものの、販売台数は前期をわずかに上回るにとどまった。高額車輌を主力とする取り扱いブランドについては市場環境の回復の兆しが見られず、販売は低調に推移した。

 

*中古車販売
売上高は前期比13.6%増の168億72百万円。
下取車の確保、店舗間における在庫情報の共有及び販売連携の強化に加え、事業譲受による販売ネットワークの拡充等により販売機会を着実に取り込んだ。中古車商品回転率を重視し販売を推進した結果、販売台数は前期を大きく上回った。

 

*ストックビジネス
車輌整備の売上高は前期比19.8%増の98億21百万円。店舗数の増加やサービスネットワークの拡充に加え、継続取引の顧客増加等により堅調に推移した。
損害保険代理店事業は、代理店手数料制度改定への対応が進んだものの、その影響は大きく、保険手数料収入は前期比8.7%増の4億77百万円と成長率は限定的なものとなった。保険手数料収入を含むその他売上高は前期比8.2%増の8億21百万円となった。

 

<中古車輸出関連事業>
主な輸出先国であるマレーシアの国内経済は、拡大基調を維持しており、また、マレーシアリンギットに対する円安も輸出事業の追い風となっている。
2025年の同国の輸入車台数が8月早々に規制枠に到達したことに加え、需要減退期に入ったことや、同社が主力商品と位置づけていた車種の販売不振などの要因により、上半期の海外売上高は前年同期を大きく下回った。下半期の売上高も前年同期を下回り、この結果、通期の海外売上高は102億8百万円(前期比21.9%減少)となった。
業販は、商品回転率を重視しながら、販売を強化したことにより、業販売上高は前期比35.3%増の285億1百万円と好調だった。

 

 

【4-4 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

2025年6月末

2026年6月末

増減

 

2025年6月末

2026年6月末

増減

流動資産

26,675

31,543

+4,867

流動負債

18,051

24,408

+6,357

現預金

8,245

10,475

+2,229

仕入債務

4,182

4,370

+188

たな卸資産

13,276

15,524

+2,247

短期借入金

8,100

13,200

+5,100

固定資産

10,555

12,374

+1,818

固定負債

6,975

6,615

-360

有形固定資産

8,865

10,288

+1,423

長期借入金

6,171

5,664

-506

建物及び構築物(純額)

4,325

4,582

+256

負債合計

25,026

31,023

+5,997

無形固定資産

266

415

+149

純資産

12,204

12,893

+688

投資その他の資産

1,424

1,670

+246

利益剰余金

10,167

10,837

+670

資産合計

37,231

43,917

+6,686

負債純資産合計

37,231

43,917

+6,686

*単位:百万円。

 

現預金及びM&Aによりグループインした店舗の車輌在庫(たな卸資産)の増加などで資産合計は前期末比66億円増加。
M&Aによる短期借入金の増加などで負債合計は同59億円増加。
利益剰余金の増加等で純資産は同6億円増加。
この結果、自己資本比率は同2.4pt低下し26.6%となった。

 

◎CF

 

25/6期

26/6期

増減

営業CF

-1,303

764

+2,067

投資CF

-545

-3,007

-2,462

フリーCF

-1,848

-2,243

-395

財務CF

2,578

4,454

+1,876

現金・現金同等物

8,234

10,445

+2,211

*単位:百万円。

 

減価償却費の増加、負ののれん発生益の減少などで営業CFはプラスに転じた一方、事業譲受による支出などで投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFの赤字幅も拡大した。
短期借入金の増加などで財務CFのプラス幅は拡大。キャッシュ・ポジションは上昇した。

 

 

 

【4-5 トピックス】

(1)連続的にM&Aを実施
成長戦略の柱であるM&Aを積極的に実施した。

 

①ボルボ正規ディーラー(浦和・大宮)の事業譲受
2026年8月、ファーストオート株式会社が運営する「ボルボ正規ディーラー事業」を譲受した。
譲受価額は1.5億円。譲渡事業の売上実績は約27億円(26年3月期実績)。
同社ボルボブランドとしては初めての関東圏への進出。ファーストオート株式会社が運営する「ボルボ・カー浦和」「ボルボ・カー大宮」の2店舗を譲受することで、埼玉県の店舗網を拡充した。

 

②ランドローバー正規リテイラー事業(世田谷・目黒)の事業譲受
2026年8月、BC Japan株式会社が運営する「ランドローバー正規リテイラー事業」の一部を譲受した。
譲受価額は約16億円。譲渡事業の売上実績は約64億円(25年9月期実績)。
BC Japan株式会社が運営する「ランドローバー世田谷」「ランドローバー世田谷サービスセンター」の店舗を譲受したほか、「ランドローバー目黒」を含む東京都一部地域・神奈川県一部地域の営業権(従業員及び顧客)を取得した(※「ランドローバー目黒」の店舗は譲受しない)。
首都圏におけるランドローバーの店舗拡大を実現した。

 

③OGUNI株式会社及びPHA株式会社の株式取得(子会社化)
2026年7月、「ボルボ正規ディーラー事業」を運営するOGUNI株式会社及び「ポルシェ正規ディーラー事業」を運営するPHA株式会社の株式を取得した(両社とも所在地は兵庫県姫路市)。
株式取得価額は1円。譲受企業の合計売上高は約29億円(25年7月期実績)。
OGUNIグループが運営する「ボルボ・カー姫路」「ボルボ・セレクト姫路」「ポルシェセンター姫路」の店舗を譲受することで、ポルシェブランドの関西圏初進出及びボルボブランドの店舗網拡大を実現した。ポルシェブランドは全国で3店舗目となる。

 

④双日オートグループジャパン株式会社の事業譲受
2026年4月、双日オートグループジャパン株式会社が運営する「ボルボ正規ディーラー事業」を譲受した。
譲受価額は12.5億円。譲受事業の売上高は約34億円(25年3月期実績)。
双日オートグループジャパンが運営する「ボルボ・カー西宮」「ボルボ・カー高松」「ボルボ・セレクト徳島/サービス」「ボルボ・セレクト松山/サービス」「ボルボ・ギャラリー松山」の5店舗を譲受することで、関西・四国エリアに初の事業拠点を開設した。九州エリアに続いて、四国エリアでもドミナント化を実現した。関西・四国エリアとしては同社初。ボルボ・カー正規ディーラーとして四国エリアを独占した。

 

⑤和幸モトーレン株式会社の事業譲受
2026年1月、和幸モトーレン株式会社が運営する「BMW正規ディーラー事業」を譲受した。
譲受価額は約13.6億円。譲受事業の売上高は約51億円(24年12月期実績)。
和幸モトーレン社が運営する「越谷BMW・BPS越谷・上尾BMW・BPS春日部」を譲受することで、初めて埼玉県へ進出した。首都圏にBMW店舗を初出店しグループネットワークも強化した。

 

⑥株式会社グランシエルセキショウの事業譲受
2026年1月、株式会社グランシエルセキショウが運営する「Peugeot正規ディーラー事業の一部」を譲受した。
譲受価額は約1.4億円。譲受事業の売上高は約2.9億円(25年3月期実績)。
グランシエルセキショウ社が運営する「Peugeot郡山」を譲受することにより、福島県に2店舗目となる事業拠点を獲得した。東北エリアの事業体制を強化した。Peugeotブランドとしては、3店舗目の出店となる。

 

⑦株式会社サンヨー自動車の事業譲受
2026年1月、株式会社サンヨー自動車が運営する「ジープ正規ディーラー事業の一部」を譲受した。
譲受価額は36百万円。譲受事業の売上高は約3億円(24年12月期実績)。
サンヨー自動車社が運営する「ジープ大分」を譲受することで、大分県内2店舗目の事業拠点を開設した。九州エリアにおける事業体制を一層強化する。ジープ大分は県内唯一のジープ正規ディーラーでドミナントエリアの拡大を図る。ジープブランドとしては、9店舗目の出店。

 

(2)出店状況
2025年7月、福岡県福岡市に「BYD AUTO福岡」及び「Hyundai Citystore福岡」を同時オープンした。隣接店舗のため、両メーカーのEVブランドの乗り比べが可能である。
2026年8月には、福岡県北九州市に「BYD AUTO北九州」をオープンした。BYDブランドは福岡県で3店舗目となる。

 

(3)事業移管
2026年1月、ウイルプラスエンハンス株式会社で運営していたBYD、Hyundaiブランド事業をウイルプラスチェッカーモータース株式会社へ移管した。

 

5.2027年6月期業績予想

【5-1 業績予想】

 

26/6期

構成比

27/6期(予)

構成比

前期比

売上高

96,839

100.0%

116,416

100.0%

+20.2%

営業利益

1,426

1.5%

2,255

1.9%

+58.1%

経常利益

1,427

1.5%

2,075

1.8%

+45.4%

当期純利益

1,108

1.1%

1,256

1.1%

+13.3%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益を予想、売上高は過去最高更新へ
売上高は前期比20.2%増の1,164億16百万円、営業利益は同58.1%増の22億55百万円の予想。
既に発表済みのM&Aのみを業績予想に織り込んでいる。27年6月期もM&Aが続くが、「新規のM&Aによるコスト増」を上回る「PMIによる改善効果」により、営業利益率は1.5%から1.9%へと緩やかな改善を見込んでいる。
配当は前期比7.67円/株増の53.67円/株を予定。予想配当性向は38.9%。

 

【5-2 取り組み】

「強化した組織力を収益へと転換する年」と位置づけ、既存店の収益力の回復とM&Aによる新規店舗のPMIを推進することにより、収益力の獲得を目指す。
同社グループの最も重要な財産である人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取り組みも強化し、人材育成及び組織力向上に必要な投資を行っていく。各種コストの必要性及び費用対効果を継続的に検証し、不要・非効率なコストの削減を進めるとともに、成長分野及び収益性の高い事業への経営資源の最適な配分を可能とする経営基盤を強化する。

 

◎セグメント別の重点施策
(1)輸入車ディーラー事業
26年6月期にM&Aにより取得した店舗の収益力向上及び早期のシナジー創出に取り組むとともに、2026年7月に株式を取得したOGUNI株式会社及びウイルプラスOGUNI株式会社の業績が通期で寄与する見込み。
加えて、その他積極的に実行したM&Aを通じて、営業基盤及びサービスネットワークを拡充し、事業規模の拡大と収益力の向上に取り組む。ストック型ビジネスである車輌整備及び損害保険代理店事業は、顧客一人ひとりとの継続的な接点及び信頼関係をさらに強化し、より安定的かつ強固な収益基盤の構築を図る。

 

(2)中古車輸出関連事業
主な輸出先であるマレーシアの経済動向、為替相場及び輸入許可制度の運用状況を注視しながら、現地需要に応じた機動的な仕入れ及び販売を行う。在庫回転率を重視した国内業販の強化並びに拠点及び管理機能の効率化を通じて、収益性の改善を図る。

 

6.今後の注目点

成長戦略の柱であるM&Aを積極的に展開している。「4.2026年6月期決算概要【4-5 トピックス】」にあるように、2026年1月から8月までに、7件の事業譲受や株式取得を行った。
円安やインフレによる新車価格の高止まりは、社有車投資及び減価償却費の増加によるコスト増、来店客数の減少、販売在庫及び運転資金の増加による資金繰りの悪化を引き起こし、中小自動車ディーラーの経営を圧迫している。加えて、気候変動問題への対応が一層重視されること、ブランドメーカーはディーラーの資本集約を望んでいることや、輸入車ディーラーの後継者難といった状況も加わり、経営基盤の脆弱な中小ディーラーを中心としたM&Aが加速し始めているようだ。
同社は2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで、直近3期未満に実施したものを除き13件のM&Aを実施してきたが、全ての案件で黒字化を達成しており、その「事業再生能力」は特筆すべきものである。
今後のポイントとしては、いかにPMIをスピーディーに実施できるかであろう。27年6月期も引き続きM&Aを実施していくが、「新規のM&Aによるコスト増」を上回る「PMIによる改善効果」により、営業利益率は1.5%から1.9%へと緩やかな改善を見込んでいる。更なる利益率の向上が、ROEの改善を背景としたPBRの上昇にも繋がると思われる。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名)

監査等委員

4名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2026年9月30日

 

<基本的な考え方>
当社におけるコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方は、企業価値の最大化を図るにあたり、社会のめまぐるしい変化に対応し、効率的かつ、法令等を遵守する健全な経営体制を構築することであります。そのために、各ステークホルダーと関係強化及び経営統治機能の更なる充実を図ることにより、透明性のある経営を確保するとともに、適正かつ迅速なディスクロージャーに努めてまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
■原則1-3 【資本政策の基本的な方針】
当社は、適正資本を維持し、資本コストを上回るROEを安定的に上回る体制を継続し、企業価値を高めることを資本政策の基本方針としております。
当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、当社ホームページに開示しております。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01236/c344ad3a/f422/40ec/9afb/9d116046c9e6/140120250814541929.pdf

 

■原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する方針
当社は政策保有株式を保有しておりません。取引先との資本提携、協業のために関係維持・強化が必要であり、中長期的な観点からビジネス上のメリットがリスクや資本コストに見合っていると判断した場合以外は、政策保有株式は保有しない方針であります。
(2)政策保有株式にかかる検証の内容及び政策保有株式にかかる議決権行使の基準
政策保有株式を保有することが適切であると判断した場合には、継続保有の合理性の検証方法並びに当該政策保有株式の議決権行使の具体的な基準を策定いたします。

 

■補充原則2-4①【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方>
当社では、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる環境を提供することを目指しており、性別・国籍・属性を問わず、個人の能力・適正・実績・意欲により人材を登用することを基本方針としております。

 

<多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標>
中核人材の多様性の確保について女性取締役及び管理職の割合、男性従業員の育休取得割合の目標を定め、多様性確保の指標としております。各項目の目標値及び実績は下表のとおりであります。

 

女性取締役の割合  2026年6月期実績12.5% 2030年6月期(目標)30.0%
女性管理職の割合  2026年6月期実績7.2% 2030年6月期(目標)10.0%
男性育児休暇取得率 2026年6月期実績56.5% 2030年6月期(目標)50.0%
※本報告書提出日現在は、女性取締役の割合は14.3%(1名/7名)となっております。

 

なお、外国人の管理職への登用については在籍者数が少ないため具体的な数値目標は設定しておりませんが、更なる多様性確保のため目標値の設定の必要性を継続して検討してまいります。
また、当社グループは専門性・経験値の高い中途採用者の比率が高いため管理職における中途採用者の割合は98.1%(2026年6月末日時点)となっております。このため中途採用者の管理職割合については目標値は設定しておりません。

 

■補充原則3-1③・補充原則4-2②【サステナビリティを巡る課題】
当社は、企業活動を通じて持続可能な社会の実現・企業価値向上に向けて、当社グループ全体のサステナビリティへの取組と主体的なリスクマネジメント基盤を強化するとともに、成長戦略推進による業容拡大や自動車産業を取り巻くEV化等の技術革新への対応、DX化の推進を重点的に図るため、サステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティ委員会並びにリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置しております。これらの委員会を基軸とした具体的な活動内容及び中長期的企業価値の向上に向けた人的資本への投資等につきましては、決算説明資料、有価証券報告書等で開示しております。 
(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01236/73a1773f/f10e/4676/be8e/00e6a0e3b739/140120250827548317.pdf)
また、気候変動問題への取組につきましてはCDPを通じて開示しております。
詳しくは、当社HPの「サステナビリティ」に掲載しておりますので、併せてご参照ください。(https://www.willplus.co.jp/sustainability/)

 

■原則5-1【株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針】
当社は、株主や機関投資家との積極的かつ建設的な対話(面談)を通じ、経営方針や成長戦略を明確に説明し、理解を深めていただくことが、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると考えております。
株主や機関投資家との対話は、経営戦略本部企画・IR室を窓口とし、代表取締役、IR担当者が合理的な範囲で訪問、来社、電話等により行っております。個別面談以外にも、多くの投資家と直接対話できる機会を設けるべく、代表者自らが説明を行う投資家、アナリスト向け決算説明会や個人投資家向け説明会を開催し、当社、投資家双方の理解促進の場として活用しております。さらに、説明会の模様を動画配信若しくは資料をホームページに掲載するなどし、広く情報発信を行っております。
対話に際しては、未公表の重要情報につきまして漏洩等が発生しないよう、十分に留意のうえ、臨んでおります。

 

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