ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.1

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/尾崎眞民社長
2001年1月5日(晴れ)

 有楽町線麹町の駅から徒歩数分。ベルギー大使館の近く、店頭公開企業(4709)インフォメーション・ディベロプメントを訪問しました。 同社は、昨年12月に弊社が開催した第2回ブリッジサロンにも参加していただきました。尾崎社長は、1969年に同社を設立。データ入力業務を受託したのがスタートです。社長は「当社の名前は、皆さんにわかりやすいよう略してIDと呼んでもらっています。」とおっしゃられましたので、以下IDと使わせていただくこととします。

また、舩越専務、IR担当の熊谷部長にもお話を伺いました。


尾崎眞民 社長
 

事業内容について

IDの業務内容について四季報を見てみると「ソフト開発中堅。システムの運営・管理の受託、データ入力事業も。」と書いてあります。確かにその通りなのですが、これだけではIDの事業内容を理解することは難しいので、もう少し噛み砕いて解説してみます。

 

1. システム開発:
IDの主用顧客は安田信託、安田生命、日本興業銀行など大手金融機関です。売上に占める金融機関の比率は約60%となっています。これら金融機関にとっては、顧客の利便性向上と業務の効率化のために銀行オンラインなどのネットワーク・システム設計が非常に重要であり、IDはこの開発などを受注しています。全売上の約40%を占めています。

2. システム運営・管理:
次に開発したシステムを安定して、効率的に稼動させることもIDの仕事です。365日、24時間の運営・管理をアウトソーシングする形で受託しています。現在の顧客数は10数社。この管理・運営はそれのみを受託するのではなく、システム開発も含めて受注すると利益率を向上させることができます。IDではこの2、3年で「川上(開発)から川下(運営・管理)まで」受託できるような体制になってきており、収益の基盤強化が図られています。全売上の約40%を占めています。これがIDの安定収益源になっています。

3. データ入力:
売上の約20%を占めますが、これがIDの安定収益源になっています。帳票類などの生データをコンピュータ用の入力データに変換する作業です。保険伝票の薬価点数の入力や、信託銀行における証券代行業務などがこれにあたります。このデータ入力という分野はある時期多くの企業が手がけましたが、人件費などコストの問題で、撤退する企業が相次ぎ、現在のところ大手では、IDなど数社が残り、競争は終了した状況になっています。後でも出てきますが、IDの場合、大手金融機関を始め優良顧客との強固な信頼関係を築いておりこれも競争に勝ち残った大きな要因といえるでしょう。

この3つに加えてIDが新たに顧客のために提供するのが「セキュリティ業務」です。インターネットなどネットワークの高度化、複雑化が進む中で、コンピュータウィルス、不正アクセスへの安全対策は重要な課題となっています。IDは、ネットワーク安全対策で世界最大を誇る「ネットワークアソシエイツ社」はじめトレンドマイクロ、シマンテックなど主力商品を全て取り扱っています。「ネットワークアソシエイツ社」のセキュリティ管理システムはFortune誌TOP100企業の80%を始めとする世界40,000社で採用されています。

これによりIDは、「システム開発」、「システム運営」、「データ入力」、「セキュリティ」と情報処理全般にわたる総合的な問題解決を顧客に提供できる体制となりました。

 

IDの優位性

このように総合的な問題解決方法を提供できることがIDの優位性の一つですが、それに勝る特徴が、大手企業との長年にわたる信頼関係の構築といえます。

特に設立当初から大手金融機関から業務を受託してきたため、
「金融機関に強い。=安心できる。」
という評価を受け、これがアウトソーシング受託数の増加につながっているということです。

 

 

尾崎社長と船越専務


IR担当 熊谷部長
 

また、これら2社を含む「みずほグループ」の今後にも注目です。確定拠出型年金の導入、会計基準の変更などで今後3年でみずほグループの投資額は3000‐4000億円に上るとも見られており、IDの優位性は、ここでも収益に貢献してくると思われます。

 

子会社ID-netによるe-business

設立30年を超えたIDが、21世紀に向けて更なる発展を目指して動き出したのが子会社ID-netによるe-business戦略で、この陣頭指揮を取っているのが42歳の舩越専務です。

情報処理全般にわたる守備範囲の広さというIDの強みを生かし、ベンチャーを始めとした多くの企業の技術評価をしながら、様々な提携関係を構築していく戦略です。昨年12月には「すべての種類の携帯端末に対応できるサーバーを一括管理できるシステム設計」を日本Jeecom社と共同受注しました。この他にも、米国サンガード社の資産運用管理ソフト「グローバルプラス」の極東テクニカルサポート契約を締結。みずほグループ以外とのビジネス拡大も目指しています。

 

 

ネットワークアソシエイツ社と提携

訪問を終えて。

アウトソーシング受託を中心とする現在の業務内容は、前述のように安定した収益を稼ぎ出す体制となっています。また、みずほグループからの受託に関しても前々から打診があるため、事業計画、利益計画が大きくぶれる可能性は小さく、収益基盤はしっかりした企業と評価できます。今後のポイントとしては「労働集約型である運営・管理業務を、総合力を生かして、いかに採算を高める契約形態にできるか?」、「4業務1セットでどれだけ顧客にトータルサービスが提供できるか?」、「ID-netによるe-businessの開花のスピード」などとなるでしょう。ただ、銀行にとどまらない生損保、投資顧問、証券会社の統合が進む中で、「金融機関に強いID」という安心感、信頼感は今後大きなアドバンテージとなると考えます。