ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.3

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/舩越 真樹専務
8月31日(水)

インフォメーション・ディベロプメントをフォローアップで訪問しました。
IR担当の熊谷部長に、同社のIRへの取り組みなども含め、お話を伺いました。

まず、同社の基本的な事業内容をおさらいしてみます。

事業内容について

  同社は「システム開発」、「システム運営管理」、「データ入力」、「セキュリティ」とコンピュータシステム全般に関する総合的な業務ノウハウで顧客に最適なシステム環境を提供することを目指しています。売上高に占める金融機関向けの比率は約60%というのが特徴です。


尾崎社長と舩越専務

 

「システム開発」

  IDの主用顧客はみずほグループなど大手金融機関です。これら金融機関にとっては、顧客の利便性向上と業務の効率化のためのシステム開発が非常に重要であり、IDは主に信託業務系のノウハウを活かした開発を得意としています。全売上高の約40%を占めています。


「システム運営管理」

  次に開発したシステムを安定した環境で、効率的に稼動させることもIDの仕事です。
 365日、24時間稼動するコンピュータシステムの運営管理をアウトソーシングする形で受託しています。この運営管理は業務の流れを一括して受注すると利益率を向上させることができます。IDではこの2、3年で「川上(バックオフィスの大型汎用機)から川下(フロントオフィスのネットワークパソコン)まで」受託できるような体制になってきており、収益の基盤強化が図られています。全売上高の約40%を占めています。これがIDの安定収益源になっています。


「データ入力」

  売上高の約10%を占めます。帳票類などの生データをコンピュータ用の入力データに変換する作業です。保険伝票の薬価点数の入力や、信託銀行における証券代行業務などがこれにあたります。


「セキュリティ業務」

  インターネットなどネットワークの高度化、複雑化が進む中で、コンピュータウィルス、不正アクセスへの安全対策は重要な課題となっています。IDは、ネットワーク安全対策で世界最大を誇る「ネットワークアソシエイツ社」はじめトレンドマイクロ、シマンテック、コンピュータアソシエイツなど主力商品を全て取り扱っています。
  このなかではやはり「システム運営管理」が同社にとって最もポイントとなる分野です。
 単純な運営管理の受託は安定した収益源である一方、労働集約的な仕事です。
  そこで、利益率を上げる為に同社が力を入れて取り組んでいるのは、①前述した運営管理業務を「川上から川下まで」の業務を一括して受託すること②「システムの開発から運営管理まで」を一括して受託する体制作りの2つです。
 この仕組みをいかに拡大していけるかが、同社の成長角度を更に引き上げる要因となるということです。

 

子会社「IDnet」の近況

 設立30年を超えたIDが、21世紀に向けて更なる発展を目指して動き出したのが子会社IDnetによるe-business戦略です。
 情報処理全般にわたる守備範囲の広さというIDの強みを生かし、国内に限らず、ベンチャーを始めとした多くの企業とWebアプリケーション分野で様々な提携関係を構築していく戦略です。
  最近の動きとしては、米国「Surf Monkey」社との提携による「Kids インターネットセイフティービジネス」のスタートが注目されます。
 これは、インターネットの普及に伴い子供を有害サイト(ポルノ、暴力など)から守る仕組みで、ISP(インターネットサービスプロバイダ)と組んで、ユーザーにサービスを提供し、同社はこのシステムの運営管理を行うというものです。
 平成15年4月にも全国の小中学校で一人一台のパソコン教育がスタートする計画です。これに先立ち数箇所で導入実験が行われていますが、その結果、非常に多くの小中学生が、有害サイトもしくは不必要なサイトへアクセスしているということが分かってきたということです。今後子供へのパソコンの本格普及に伴いこのインターネットセーフティサービスに対する需要の高まりが期待されます。

 また他にも、米国サンガードAMS社が開発・販売する金融機関向け資産運用管理ソフト「グローバルプラス」の日本におけるテクニカルサポート契約を締結。みずほグループ以外とのビジネス拡大も目指し事業展開を進めているということです。
 これらを総合すると、IDnetの売上高は今期数億円になる模様です。


IR担当 熊谷部長

 

IR活動への取り組み

  同社は1998年11月に店頭市場に上場しました。そして将来の東証上場を視野に入れてより積極的なIR活動に取り組む方針です。そのために2000年4月に入社されたのが経営企画部 IR担当の熊谷部長です。
 熊谷部長は準大手証券の経済研究所などに在籍していたのですが、同社船越専務と知り合い、同社IRの仕組み作りを目的に業務をスタートさせました。部長が手掛けたことは、「IDという会社をわかりやすく投資家に伝えるためにはどうすればいいか?」ということでした。
 まず、事業報告書、会社案内など、投資家のための最低限必要な資料、ツールを見やすく、わかりやすく、作り直す事に着手しました。またホームページの手直しも進めているということです。
 また、年4回出ている社内報には「IR活動報告」を載せています。
 IRの重要性はトップ、経営陣だけが理解していればいいということではありません。
 「公開企業として株主重視の経営の必要性、重要性を社員一人一人が理解し、経営者のビジョン、考え方を知ることを通じて、より強固な企業体へと進歩する」という部長の考え方に基づくものです。

同社は一人でも多くの投資家にIDのことを知ってもらいたいと、特に個人投資家に対するIR活動に力を入れています。
 上記のように、わかりやすいツール作り以外にも、弊社主催の「ブリッジサロン」には必ず、尾崎社長、船越専務が揃って出席し、説明会終了後に行われる交流会では、個人投資家の質問に丁寧に回答しています。
 また弊社に寄せられた個人投資家からの質問に対しても、熊谷部長は迅速かつ親切に対応しています。 投資判断の一材料として、その企業の「IR活動への取り組み方」というのは益々重要になってくることは間違いないでしょう。
 大衆受けする派手なIR(そういうものが必要かどうかは疑問ですが。。。)を行うわけではありませんが、個人投資家を重視した同社の手作りIRの姿勢は大変共感できるものです。