ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.7

(8275) フォーバル/大久保 秀夫社長
2003年12月10日(水)

フォーバルの中間決算説明会に出席しました。
大久保社長が、先般リリースした「FTフォンビジネスの概要と見通し」、「中間決算概要」について説明されました。


大久保 秀夫社長


事業説明:「FTフォン」について

前回のレポートでも「FTフォン」については紹介しましたが、ポイントは以下のとおりです。

<IP電話の成長性と「FTフォン」の優位性>
IP電話が急速に普及。特に、企業のコスト削減意識の強まりから、2003年は法人向けIP電話元年に。2005年には企業ユーザーが個人を上回ると予想。(IDCジャパン調べ)
IP電話の法人への普及は、IP電話機への切り替えなど同社にとって大きなビジネスチャンス到来!単純に電話機を販売するのではなく、顧客の環境にベストマッチするブロードバンド環境を提供するのが同社の役割。
同社のスタンスは、「情報通信をベースに、メーカーおよびキャリアに依存されない、ユーザーオリエンティドな商品開発を行う」こと。最大のボリュームゾーンである中小企業マーケットに対する提案営業を展開し、約10万社を超える企業との取引実績を持つ。
「ブロードバンドサービス」を提供する通信業者とのアライアンスが必要で、DSLにおいてはソフトバンクと、光ファイバーにおいては有線グループとアライアンスを締結
法人マーケットにおけるIP電話導入の条件としては、「安定した通話品質の提供」、「利用者側のオペレーションが変わらない」、「通信コストの削減」、「電話番号が変わらない」という点が絶対必要。
・   同社が扱う「FTフォン」は、「品質基準に基づく番号ポータビリティの取得」を始めとし、IP電話の抱える様々な課題を、「IP電話、光ファイバー、専用IP電話端末」をオールインワンで提供することでクリア。

<FTフォンの特徴>
NTT基本料金が不要
国内通話料金は全国一律7.5円。国際電話も割安。
従来と同じ電話番号で発着信が可能
携帯電話にも発信者番号通知も実現
最大100Mの超高速インターネット

シミュレーションによれば、高性能の専用端末を導入し、100Mのブロードバンド環境によって大容量のデータ通信が可能になる一方で、NTT基本料、通話料など、大幅な通信関連コストの削減が可能であり、「通信環境トータルソリューションによるコストダウンと最高のブロードバンド環境」を同社は提供することになります。
「FTフォン」への加入によって、安くなった通信費で専用端末を導入して、大容量のブロードバンド環境を利用することができるわけで、多くの企業がこのサービスを利用することを期待しており、それに沿って積極的な営業を展開していく考えです。

<根源的事業価値>
同社はFTフォンサービスの2つの価値を以下のようなものと考えています。

ソーシャルバリュー
情報化政策の立ち遅れている中小企業に対するブロードバンドの普及を進めます。日本企業のIT化を牽引する最適、究極のソリューションです。

ユーザーバリュー
痛み(コスト)を伴わない、高品質ブロードバンドの導入により、業務の効率化・拡大に必要なインフラの整備を行います。

今後も中小法人の経営体質強化のためのIPソリューションを提供し、新しい社会価値の創出を目指していきます。

<同業他社とのマーケット比較>
IP電話の対象顧客層としては、NTT東西やフュージョンが大企業を対象とし、KDDIが個人(集合住宅)向けで16世帯集めて初めて利用できるのに対し、FTフォンは大企業からSOHOまでを対象としており(個人を除く)、中小法人向けサービスという点ではオンリーワンとなっています。

<販売計画>
2003年7月から東京、神奈川の一部地域で先行販売を実施しており、現在のところ「3,000社の販売実績」、「1,200社の導入実績」となっています。
2003年12月からはさらに、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡、札幌、仙台など、全国の主要都市でも提供がスタートします。
全国販売にあたり、有力な販売代理店の組織化も進んでおり、直接&間接販売により、2004年3月までに10,000法人の加入を目標にしています。

 

2004年3月期中間決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
対前年同期比
売上高
17,210
-13.1%
営業利益
736
-9.9%
経常利益
661
+13.6%
当期純利益
261
+21.4%

セグメント別で見ると、フォーバル本体による機器関連売上高は、法人向けブロードバンド対応機種の伸びを想定し電話機セグメントに経営資源を集中した結果、パソコン、FAX、複写機などは減少しましたが利益率の高い電話機が前年同期比45.8%増加の3,556百万円。機器関連事業全体でも6,735百万円、同 7.4%の増加となりました。営業利益率も5.9%(前年同期 4.2%)となり、営業利益は396百万円(同 52.4%増加)となりました。

子会社によるネットワーク関連事業では、既存の音声系サービス事業の運営効率向上に努め、サービス毎のスクラップアンドビルドを積極的に推進し、収益性の高いサービスに注力したこと、などから売上高は10,475百万円、同 22.5%の減少となりました。営業利益は、339百万円(同 39.0%の減少)となりました。

販売管理費の削減もありましたが、売上総利益の減少を吸収することはできず、営業利益も減益となりました。
ただ、前年同期は子会社売却による一時的な連結調整益2.2億円がありましたので、これを除くと、単体およびフォーバルテレコムの増益、リストラ効果などにより、1.4億円の実質増益となっています。

営業外費用のうち、業務委託料、支払利息、持分法損失が減少したため、営業外収支は160百万円と大幅な改善となり、経常利益は増益となりました。

 

2004年3月期通期見通し

<連結>
(単位:100万円)
 
見通し
対前年同期比
売上高
36,000
-3.7%
営業利益
2,050
+34.7%
経常利益
1,900
+42.4%
当期純利益
800
+80.6%

子会社フォーバルテレコムにおいて計画されているように更なる事業転換の結果、減収となりますが、営業利益は「電話機器関連営業利益 5.5億円増加」、「リストラ効果 2.5億円増加」、「フォーバルテレコム 1.0億円増益」、「その他子会社 1.5億円減益」などで、大幅な増益を見込んでいます。

「FTフォン」に関しては、第2四半期に首都圏を中心に営業活動を開始したたそうですが、「FTフォン」は受注から売上計上までの期間が約2ヶ月と、従来の電話機販売の2週間に比べ長期間になります。
下期前半(2004年3月期第3四半期)は全国展開開始のため、この期間の受注が売上とならず、売上計上の中心は首都圏の受注残からとなります。第4四半期(2004年1月中下旬)から全国規模の売上計上が出揃うということで、ここから収益へ大きく寄与してくるものと見ています。

 

取材を終えて

通常の決算説明会では、決算数値の解説の後に事業説明を行うのが通例ですが、今回はまず「FTフォン」の説明を行いました。大久保社長の「FTフォン」サービスに対する強い意気込みが現れています。
説明会後数人のアナリスト、ファンドマネージャーに感想を聞いてみましたが、総じて「FTフォン」サービスの成長性、将来性には期待をしているようでした。
実際の加入状況などを含め、これからもウォッチしていきたいと思います。

http://www.forval.co.jp/