ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.18

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/舩越 真樹社長
2006年5月12日(金)
インフォメーション・ディベロプメントの決算説明会に出席しました。
舩越社長が決算概要、新中期経営計画などについて説明されました。

舩越 真樹社長

2006年3月期決算概要


<連結> 

(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
13,028
+14.50%
営業利益
851
+54.70%
経常利益
845
+51.70%
当期純利益
430
+261.30%
ROE
9.30%
+6.6P

大幅な増収・増益となりました。
  ・ 売上高、営業利益、ROEは過去最高を記録
  ・ 受注好調、生産性向上で営業利益率6.5%と1.7P上昇
  ・ 有利子負債は過去最低レベル

 

<事業別売上げ動向>
(単位:100万円)
 
実績
対前期比
SI
4,566
+13.40%
ITO
5,511
+19.60%
BPO
2,035
+4.30%
コンサルティング&セキュリティ
916
+15.50%

全ての事業部門で増収となりました。
ITOで大型のアウトソーシング案件を新規受注するなど、同社の強みであるアウトソーシング事業が好調でした。
また、システムの安全対策や個人情報保護に対する社会的な関心の高まりにより、コンサルティング&セキュリティーも順調でした。

 

業界動向と同社の状況

景気の回復、拡大に伴い企業の投資意欲も活発になり、情報サービス産業も全体では好調です。
ただ、業務別に見ると「システム等管理運営」や「受注ソフトウェア」といった同社が手がけている分野は順調ですが、「計算事務等情報処理」、「データベースサービス」などは低調です。
また、顧客の業種別動向を見ても、金融・保険、情報通信といった同社の主力顧客セグメントは動きが活発であり、「業務別」、「顧客業種別」という2つの側面から見て、まだ当面暫くは同社にフォローの風が吹いていると考えています。

 

新中期経営計画「Challenge to the 2008」

経営資源を強みに集中させ、踊り場を脱した同社ですが、更なる成長を目指した新中期経営計画「Challenge to the 2008」を策定しました。
売上高50億円達成までの第一次成長期、100億円達成までの第二次成長期を経て、連結売上高150億円達成に向けた経営計画です。

ビジネスの拡大戦略
既存顧客に対して既存サービスを提供する現在のビジネスエリアをベースに、同社の得意分野で足元を固め、「新規顧客の拡大:既存サービスを新規顧客へ提供」と「新規サービスの提供:既存顧客に対する新規サービスの開拓」に注力します。

業界ポジション
専門誌「コンピュートピア」の調べによると、2005年度保守・運用要員数ランキングで同社は912名の第1位、全従業員に占める同要員構成比でも64.5%とトップでした。こうした「ITアウトソーシング中心」という同社のポジショニング(強み)を今後も維持していく考えです。

中期経営計画におけるアクションポイント①
「規模拡大:売上高成長の実現」
2007年はSI、ITO、BPO各事業において「既存顧客の深耕」を目指し、新サービスの提供を進めます。
SI:JAVA案件、ERP関連ビジネス
ITO:ホスト系から分散系へ、基盤系/ネットワーク系展開
BPO:事務代行や派遣業務の拡大

2008年以降は、ITO、BPOにおける「新規顧客の開拓」にも注力します。
ITO:IBMプレミアムコアパートナーとしてのビジネス展開
BPO:既存大口取引先経由の顧客紹介によるビジネス拡大

中期経営計画におけるアクションポイント②
「質の向上:収益性の改善」
最も重要な人材の確保・育成に引き続き力を入れます。

人材(技術者)の確保
・ 従業員数増
・ パートナー活用
・ オフショア活用

人材(上級スキル・ブレーン人材)の育成
・ マネジメント力
・ 戦略/企画力

また、人材の確保に関しては、女性スタッフの活躍に期待しています。
現在、全社での女性比率は約32%。BPOでは95%近くが女性で、ITO、SIではそれぞれ15%、19%となっています。
今後は開発技術者や運用運営技術者を積極的に採用し、2009年3月期にはITO、SIの女性比率を25%まで引き上げる考えです。

各種財務指標(予想)

(単位:100万円)
 
2007年3月期
2008年3月期
2009年3月期
売上高
13,700
14,300
15,000
営業利益
890
1,000
1,200
営業利益率(%)
6.5
7
8
ROE(%)
9.4
10.5
11


今期業績予想とCSR経営

2007年3月期業績予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
対前期比
売上高
13,700
+5.20%
営業利益
890
+4.60%
経常利益
890
+5.30%
当期純利益
480
+11.60%
営業利益率(%)
6.5
+0.0P


・ 主要顧客である金融機関によるIT投資需要は引き続き旺盛です。
・ BOO戦略の積極展開と外部パートナー活用で、アウトソースニーズや大型案件の確実な取り込みを実現していきます。
・ プロジェクト管理の徹底、各事業における業務の標準化、技術者のスキルアップなどによる生産性の向上で、営業利益率は引き続き安定的な6.5%を見込んでいます。

CSRについての考え方
前回のレポートでも触れましたが、舩越社長は全てのステークホルダーとの共存を目指し、「優先順位」、「スピード」、「透明性」を重視した経営を掲げています。
これを実行するための考え方として以下のようなポイントを示しています。

「誇り」
「損か得か」で判断するのではなく「正しいか正しくないか」で判断できる人。

「4つのビジョン」
・ Challenge
・ High Technology
・ Global
・ Creative

「3つの組織」
・ 「前向きな姿勢」を怠らない組織
・ 「明日の組織造り」を怠らない組織
・ 「人間力作り」を怠らない組織

「ミッション」
わくわくする未来創りに参加する情報サービス企業です。

「三命」
・ 卓越した技術はIDの生命
・ 高品質のサービスはIDの使命
・ 未知への挑戦はIDの命題

「5つのヒント」
・ 身だしなみに気を配る。
・ 悪い本当の事実を報告する。
・ 勇気を以って意見する。
・ 自分の仕事でない、と言わない。
・ 一度決定が下ったらそれに従い、命令は実行する。


CSRに関し具体的には以下のような行動を行なっています。
・ コンプライアンス経営の推進(CSR会議、ハンドブックの作成と全社員への配布、全社員を対象としたコンプライアンス勉強会の実施)
・ Pマークの取得(個人情報保護)
・ 社外コンプライアンス窓口の設置
・ 社内コンプライアンスアンケートの実施
・ 地球環境問題への取組み(ISO14001取得)
・ 子育てがしやすい環境作りへの対応(産休・育児休業制度、時短・時差出勤)
・ 社会活動への参加(小学生への情報教育の推進)
・ 地域振興活動への参加(ボランティア活動や地域行事への参加)



取材を終えて

踊り場を脱し、大幅な増収・増益となり、大変明るい説明会となりました。
しかし、舩越社長はそれに甘んずることなく新中期経営計画「Challenge to the 2008」を策定し、2009年3月期「売上高 150億円、営業利益 12億円」を目指します。また、数字上での企業の成長のみでなく、CSR経営に取り組み全てのステークホルダーと共存する企業を目指しています。
こうした同社の今後をこれからもフォローしてゆきたいと思います。

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このレポートは公開された企業情報の提供を目的としており、対象企業に対する投資の推奨、勧誘などを目的としたものではありません。投資の最終判断は御自身で行ってください。仮にこのレポートに基づいて投資を行った場合でも、その結果に対し弊社には一切の責任は生じません。