ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.24

(8275:JASDAQ) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 社長
大久保 秀夫 社長

【ブリッジレポート vol.24】2009年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「「アイコン」サービスの立ち上がりが順調に推移しており、営業力の強さを実感した。9月末時点で2万件を超える契約を確保しており、客単価が月額・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年12月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長兼社長
大久保 秀夫
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 34,323 -970 -1,263 -530
2007年3月 26,216 -1,918 -2,010 -1,387
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
2000年3月 54,668 1,278 1,281 1,122
株式情報(11/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
172円 13,764,367株 2,367百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.5円 7.3% 21.80円 7.9倍 440.29円 0.4倍
※株価は11/27終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フォーバルの2009年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
都心部の中堅・中小法人を対象に、電話機や複写機等のオフィス向け情報通信機器の開発・販売・設置・保守サービスの他、携帯電話端末の販売、光ファイバーを利用したIP 電話サービス(商品名FTフォン)、更にはセキュリティサービス等、様々なサービスを「ワンストップ」で提供している。事業セグメントは、電話機、複写機、パソコン等の販売を主とする機器関連事業と通信ネットワークやセキュリティ関連等のネットワーク関連事業に分かれ、08/3期の売上構成比は、前者が29.5%、後者が70.5%。

ただ、中期的には、中堅・中小企業向けの情報通信分野を核とした総合コンサルティングサービスの展開を目指しており、現在、事業改革を推進中。1980年に設立され電話機販売からスタートした同社だが、その後、ナローバンド、ブロードバンド、そしてモバイルと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発してきた。そして今尚、新たなサービスの開発と企業改革に取り組んでいる訳だ。

尚、社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業をめざす」という経営理念が込められている。
 
2009年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比13.4%の増収となり、営業損益以下の各段階で黒字転換した。
(株)フォーバルクリエーティブ(現 インスパイアー(株))の連結除外に伴いセキュリティ関連の売上が減少したものの、07年7月に子会社化した携帯販売の(株)リンクアップや、08年4月に子会社化した商業印刷物の企画・編集・製作を手掛けるタクトシステム(株)が寄与した他、(株)フォーバルテレコムが手掛ける新通信サービス事業が伸びた。
利益面では、増収効果による売上総利益の増加と固定費の圧縮による販管費の減少で営業損益が黒字転換。持分法投資損失の減少(127百万円→5百万円)等で営業外損益が改善したものの、投資有価証券や貸倒関連で特別損失505百万円を計上した事等から四半期純利益は4百万円にとどまった。

期初予想との差異要因は、売上面では、(株)フォーバルテレコムの売上上振れ。利益面では、(株)リンクアップやシステム機器販売子会社等の業績が当初の予想を下回ったものの、固定費の圧縮が進んだフォーバルが当初の予想を大幅に上回った。

また、キャッシュ・フローも好転。損益の改善と売上債権の回収が進み営業CFが729百万円の黒字(前年同期は650百万円のマイナス)となる一方、投資CFはマイナス幅が前年同期の389百万円から188百万円に縮小。この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同期の1,040百万円のマイナスから、541百万円の黒字に改善した。
 
 
 
 
機器関連事業
電話機は、セット数が堅調に推移したものの、比較的低価格な製品の比率が上昇したため、金額ベースでは前年同期比4.5%減少した。ただ、第2四半期は「FTフォン」に注力した結果、第1四半期比10.4%の増収。
パソコン(情報機器関連)は、サーバーの販売が好調に推移した事で前年同期比13.5%の増収となったものの、第2四半期は、パソコン販売の落ち込みを吸収できず第1四半期比9.7%の減収。
複写機等は業界全体が大きく落ち込む中で業界トップクラスのカラー化率を維持した事で前年同期比0.7%の増収を維持した。ドキュメントの強化日を設けるなど積極的な販売促進策を実施した第2四半期は、第1四半期比11.4%の増収となった。
 
ネットワーク関連事業
Web専任人員を減少させた事に伴いWeb関連の売上が同29.0%減少した他、(株)フォーバルクリエーティブ(現 インスパイアー(株))の連結除外に伴いセキュリティ関連の売上も前年同期比51.7%減少。一方、(株)リンクアップの寄与や(株)フォーバルテレコムの新通信サービス事業の伸長で通信ネットワークの売上が同35.4%増加。タクトシステム(株)の寄与により、その他の売上も同33.4%増加した。
尚、Web関連はリスティング広告を活用した販売策が奏功し、第2四半期は第1四半期比17.5%の増収。セキュリティ関連もスパムメール対策を切り口とした販売促進策が奏功し、同13.0%の増収となった。
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比2.0%の増収ながら、大幅な損益改善が見込まれる。
携帯電話販売の苦戦等もあり売上高は微増にとどまるものの、オフィスの統廃合による固定費の削減等でフォーバル(個別)を中心に大幅な損益の改善が見込まれる。
 
フォーバルグループの今後の展開
 
(1)収益構造転換の手段「アイコン」サービス
 
「アイコン」サービスとは、定期訪問を通じて、顧客が抱える様々な経営・ビジネス上の課題(保守・サポートを含む)を、外部パートナーの協力も得ながら、専門家の視点で診断・助言・支援を行なう、ITを核とした総合経営コンサルティングサービスである。「アイコン」サービスを展開する事で、従来のハード販売から、ソリューション提供へビジネスの軸足を移していく考え。
 
(2)「アイコン」サービスの推移・計画
 
「アイコン」サービスの立ち上がりは順調。08年9月末で20,000件を突破。10年3月末27,000件を目指している。更なる契約数の拡大に加え、客単価の引き上げとそのためのメニュー作りに取り組んでいる。
 
(3)「アイコン」サービスの進化
 
保守 → サポート → ビジネスへの応用 → 経営相談へと、ビジネスを進化させる事で、ハードの販売・保守業者からビジネスパートナーへと顧客とのリレーションシップを深化させていく考え。
 
(4)新たな四半世紀に向けて
 
中期的には、情報通信分野を核とした総合コンサルティングサービスの展開を目指している。フェーズ1にあたる08/3期までに、赤字のグループ会社や部門の整理・再編を終えた。フェーズ2にあたる今期から11/3期にかけては、「アイコン」サービスの育成に加え、機器販売においてもリースに代わる新たなスキームを構築してストック型に変えることで「アイコン」サービスを進化させ、安定成長軌道への回帰を目指す。そして、12/3期以降をフェーズ3として、新生フォーバルが躍進するステージとする。
 
取材を終えて
「アイコン」サービスの立ち上がりが順調に推移しており、営業力の強さを実感した。9月末時点で2万件を超える契約を確保しており、客単価が月額2万円とすると、月次の収入は4億円となり年間では48億円に上る。コンサルティングフィーのため、粗利率は100%に近いだろうから、売上が48億円上がれば、粗利もほぼ48億円。前期の同社の販管費は約48億円だったので、「アイコン」サービスだけで販管費を賄う事ができる計算だ。契約数や客単価の推移と共に、解約の状況等にも注意していきたい。