ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

スタンダード

ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.33

(8275:JASDAQ) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 会長
大久保 秀夫 会長
中島 將典 社長
中島 將典 社長
【ブリッジレポート vol.33】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「同社がこれまでに提供してきた情報通信に関する商品やサービスはビジネスシーンに必要不可欠なものだったが、情報化社会の到来により、「“モ・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年1月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長
大久保 秀夫
社長
中島 將典
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 32,206 523 478 449
2009年3月 34,358 112 17 -1,879
2008年3月 34,323 -933 -1,264 -532
2007年3月 26,216 -1,878 -2,012 -1,390
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
2000年3月 54,668 1,278 1,281 1,122
株式情報(1/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
278円 13,563,853株 3,770百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.50円 4.5% 29.49円 9.4倍 350.57円 0.8倍
※株価は1/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フォーバルの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
都心部の中小・中堅企業を対象に、電話機や複写機等のオフィス向け情報通信機器の企画・開発・販売・設置・保守サービスの他、携帯端末の販売、光ファイバーを利用したIP電話サービスや小規模事業者向けのFMC(固定通信と移動体通信の融合)サービス、セキュリティサービス等、様々なサービスを「ワンストップ」で提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業をめざす」という経営理念が込められている。
事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷・特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップを中心にモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、の3セグメントに分かれる。
 
<「情報通信コンサルタント集団」を目指して>
1980年に設立され電話機販売からスタートした同社だが、その後、ナローバンド、ブロードバンド、そしてモバイルと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発してきた。そして、今、フォーバルグループは、「情報通信コンサルタント」として企業経営を支援する集団を目指し、ITコンサルティングサービス「アイコン」を育成中である。
 
ITコンサルティングサービス「アイコン」
 
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比0.2%の増収、同112.5%の経常増益
売上高は前年同期比0.2%増の160.9億円。フォーバルテレコムビジネスグループの売上が減少したものの、フォーバルビジネスグループの売上増で吸収した。利益面では、フォーバルビジネスグループが取り組みを強化しているアイコンサービスの売上増で売上総利益率が改善。人件費(同1.4億円増)を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益は3.2億円と同94.2%増加した。金融費用や持分法投資損失の減少で経常利益は同112.5%の増加。投資有価証券売却益が減少する一方、投資有価証券評価損(0.4億円)や資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額(0.3億円)等の計上で特別損失が増加したものの、税効果会計の影響により四半期純利益は同189.3%増加した。

期初予想との比較では、売上がほぼ予想通りの着地となる中、アイコンサービスの売上増等で売上総利益率が予想以上に改善する一方、経費抑制が成果をあげた。
 
 
フォーバルビジネスグループ
(株)フォーバルを中心に、主としてオフィス用OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、中小法人向けコンサルティングサービスを行っている。
フォーバルテレコムビジネスグループ
(株)フォーバルテレコムを中心に、主としてVoIP、モバイル等の通信サービス全般の提供や普通印刷・特注文具(ファイル・バインダー等)の製造及び販売、保険サービス等を行っている。
モバイルショップビジネスグループ
(株)リンクアップを中心に、主としてモバイルショップにおいて携帯端末の取次を行っている。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比7.6億円減の150.5億円。運転資金の減少によるCFの改善を受けて、短期借入金を中心に有利子負債の削減を進めた事が総資産減少の要因。CFの面では、運転資金の減少により営業CFが増加。設備投資や貸付等で投資CFが小幅なマイナスとなったものの、前年同期比は4.3億円だったフリーCFが7.6億円に増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比5.6%の増収、同46.3%の経常増益予想
上期決算を踏まえて、通期の利益予想を上方修正した。上期上振れ分を全額反映させなかったため、結果として下期の見通しが慎重なものとなった。しかし、下期も特段のマイナス要因がある訳ではなく、更なる上乗せを目指す。1株当たり12.5円の期末配当を予定。
 
(2)フォーバルグループの成長戦略
アナログからデジタルへの移行に伴いモノの価値が低下したため、従来からのハード販売中心の経営では収益力の低下が避けられない。このため、同社グループでは、販売力の拡充とサポートの充実に加え、情報の提供、言い換えると、経営支援を強化する事で他社との差別化と収益力の強化を図っていく考え。この一環として、社員のスキル向上と意識改革を図るべく、グループをあげてインターネット検定「ドットコムマスター」や「個人情報保護士」の取得率向上に努めており、既に前者の取得率が72.4%、後者が59.4%にまで上昇している。
 
中小企業の「情報通信を活用した経営の高度化」と「海外の成長機会の取り込み」を支援
「情報通信を活用し経営の高度化を図る事と海外の成長機会を取り込む事が、顧客である中小企業が発展するための方策」と言うのが同社の考え。グループをあげて、この2つのテーマに取り組んでいく考え。

情報通信を活用した経営の高度化では、顧客(ビリングユーザー)数を拡大させる事でアイコンユーザーの拡大につなげ、更には経営コンサルのユーザーとして取り込んでいく考え。この過程を通して機器のユーザーと業者としての関係から、経営相談のできるビジネスパートナーへと顧客とのリレーションを深化せていく。
 
アイコンサービスの推移
 
 
今後の事業拡大のためのツールとして期待されているのが、スマートフォンを利用したFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「ツーウェイスマート」である。一台のスマートフォンを社内では内線電話として、社外では携帯電話として利用するシステム。社内外のどこにいても一台のスマートフォンで対応できるため社内のビジネスフォンの内線電話が不要になり、中小企業の不要な経費の削減が可能になる。現在利用しているビジネスコードレスフォンと使い方が変わらないため、導入にあたっての敷居が低い事も特徴だ。

「ツーウェイスマート」には、定期的に顧客を訪問する情報通信コンサルタントがスマートフォンの利活用をフォローする「アイコン」サービスが付随している。「ツーウェイスマート」の活用を通して経営を支援し、生産性の向上に貢献していく事で顧客リレーションの更なる強化を図る。加えて、「ツーウェイスマート」は、サーバ、パソコン、複合機等をつなぐIPインフラを活用するため、「ツーウェイスマート」を基点に顧客のIP機器やインフラ全体のサポートにサービスを広げる事もできる。次世代セキュリティビジネスやクラウドコンピューティングでのアプリケーションの提供等も模索していく考え。
 
 
また、海外の成長機会の取り込みでは、メコンリージョンを中心に展開していく考えで、具体的には、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーへの中小企業の進出を支援する。この一環として、10年4月に、カンボジアのプノンペンに現地法人FORVAL(CAMBODIA)CO.,LTD を設立した。新会社は、日本の中小企業のカンボジア進出を、「検討段階」から「進出後」までトータルでサポートしていく。
 
各国の基礎データ
 
 
取材を終えて
同社がこれまでに提供してきた情報通信に関する商品やサービスはビジネスシーンに必要不可欠なものだったが、情報化社会の到来により、「“モノ”を提供するだけでは中小企業の収益向上に貢献できない」と言うのが同社の考え。このため、同社グループは、創業以来30年間の中小企業との取引の中で培ってきたノウハウを活かし、顧客毎に最適な手段と独自の理論で実践的なコンサルティングサービスを提供していく考えだ。また、中小企業の海外展開の支援も楽しみなビジネスだ。と言うのも、その基点となるカンボジアは未だ大手企業の進出が少ないため中小企業にもビジネスチャンスが多い。加えて、同社の大久保会長が公益財団法人CIESF(シーセフ)の理事長を務めており、カンボジアの内情や人脈等でアドバンテージを有する事も強みだ。