ブリッジレポート
(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.31

(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 会長
越智 通勝 会長
鈴木 孝二 社長
鈴木 孝二 社長
【ブリッジレポート vol.31】2012年3月期業績レポート
取材概要「成功報酬サービス「サーチ型採用ソリューション」が順調に伸びている。同サービスを合わせた成功報酬サービスの売上は、10/12期(10年1月~・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年5月29日掲載
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
会長
越智 通勝
社長
鈴木 孝二
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 15,687 3,047 2,884 1,135
2010年12月 9,991 1,774 1,803 875
2009年12月 10,209 1,259 1,212 459
2008年12月 21,329 5,943 5,906 3,090
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(5/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
96,800円 221,618株 21,453百万円 8.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,950.00円 2.0% 6,903.77円 14.0倍 61,285.60円 1.6倍
※株価は5/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
エン・ジャパンの2012年3月期決算(15ヶ月決算)について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネット上での[en]ブランドの転職・就職情報サイトの運営を中心に、人材採用、社員教育、人事評価等のコンサルティングサービスを提供している。求人・求職をめぐっては、「実際の業務に就いてみたら、業務内容が事前の説明と違った」と言うトラブルが多いが、同社では、営業担当者が求人企業を取材し、求人企業やその業務内容について、客観的で公正かつ詳細な情報提供を念頭に原稿作成を行っている。こうした公正で詳細な企業情報が求職者から高い評価を受けている事はもちろんだが、求職者は企業や業務内容を十分理解して入社するため、「戦力化が早い上、離職者が少ない」と求人企業からも高い評価を受けている。尚、売上高の大半を求人企業からの求人広告掲載料収入が占め、求職者に負担は生じない。
 
【エン・ジャパングループ】
グローバル企業を顧客とし、バイリンガル人材の紹介と人材派遣を手掛けるEWJ社、及び同社の子会社で日系企業への転職を希望するミドルクラスからエグゼクティブクラスをサポートするウィングコンサルティング(株)、及び中国でネット求人広告事業を展開する持分法適用関連会社 英才網聯(北京)科技有限公司と共にグループを形成している。
 
【事業内容と運営サイト】
事業は、中途採用事業、新卒採用事業、教育・評価事業、及びその他事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ86.8%、10.3%、1.9%、1.0%。尚、中途採用事業には連結子会社EWJ社の売上が含まれており、連結売上高に占める割合は18.3%。

また、運営サイトは、「[en]社会人の転職情報」、「[en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」(以上中途採用事業)、及び「[en]学生の就職情報」(新卒採用事業)の5サイト(12年6月に終了予定の結婚式場情報サイト「エン・ウエディング」を除く)。
 
 
【成長戦略】
昨年2月に発表した中期経営計画(12/3期~14/3期)において、①「入社後の活躍」にこだわり、サービスの高付加価値化を図る、及び②エン・ジャパンとして築いた資産を活用し、第二の柱となる事業を立ち上げる、の2点を基本方針に掲げ、この1年間取り組んできた。①については、進捗が遅れている「[en]チャレンジ!はた☆らく」について減損処理を実施したものの、新たな取り組みである成功報酬サービス「サーチ型採用ソリューション」の寄与で「[en]社会人の転職情報」が当初の計画を上回った他、グローバル企業向け人材紹介サービスブランド「en world」の本格展開を開始する等、EWJ社のリソースを活用した取り組みも進展した。一方、②については、結婚式場情報サイト「エン・ウエディング」や経営人事戦略システム「FINE」の事業を立ち上げたが、両事業共に当初に想定した成果を上げる事ができず、撤退及び関係会社への移管を決定し、12/3期に両事業にかかる減損損失1.3億円を計上した。

上記の結果を踏まえて中期経営計画の方針を変更。非人財関連事業の立ち上げを一旦停止し、人財関連事業の領域拡大に注力していく考え。具体的には、国内における成功報酬サービスとグローバルサービスブランド「en world(エンワールド)」の下での海外展開を挙げており、既に成果を上げつつある成功報酬サービスにおいてラインアップの拡充と拡販を図ると共に、EWJ社の顧客資産及び人材紹介サービスのノウハウを活かしたアジア太平洋エリアでの人材紹介事業を育成していく。この一環として、13/3期は成功報酬サービスにおいて各種のトライアルを、海外展開において複数の拠点開設を、それぞれ計画している(海外展開ではM&Aにも機動的に対応していく考えだが、EWJ社による拠点立ち上げを基本としている)。これら取組みの成果を踏まえて中期計画の見直しを行い、新たな中期計画を策定する考えだ。
 
成功報酬サービスをテコに、人材紹介マーケットへ展開
同社の推計によると、11年の求人広告(転職サイト)市場の規模は250億円だが、人材紹介市場は850億円とされる。同社は豊富な求職者情報を活用して市場規模の大きい人材紹介市場へ展開していく考え。人材紹介市場は850億円の内、600億円が年収400万円~600万円の人材を対象としており、この層が同社の成功報酬サービスのターゲットになると言う。
尚、同社の成功報酬サービスでは、「[en]社会人の転職情報」に企業の求人広告を掲載し、同社の専任コンサルタントが、書類選考、応募者対応(選考結果連絡、面接調整)等、煩雑な業務を代行。完全成功報酬制(採用時の年収の25%~)のため、採用に至らなければ、企業に経済的な負担も生じない(求人広告の掲載は無料)。
 
グローバルサービスブランド「en world(エンワールド)」の展開
グローバル企業向けにミドルからハイクラスのバイリンガル人材の紹介を行うEWJ社は、グローバルサービスブランド「en world」の下、エン・ジャパン(株)との連携を一層強化し、海外展開を進めていく。「en world」ブランドは主にグローバル企業に対する人材紹介サービスに適用するもので、新たなブランド展開に際して、EWJ社は12 年4月にウォールストリートアソシエイツ(株)から現商号へ変更すると共に、香港に「en world Hong Kong Ltd.」を設立し(11年5月に設立したシンガポール拠点「EN-WORLD SINGAPORE PTE.LTD.」に次ぐ第2の海外拠点)、人材紹介サービスを開始した。13/3期中には第3、第4の拠点を開設し、ネットワークの拡充を図る考え。
 
「en world」以外の海外事業
・2006年7月
求人情報サイトの運営を行う北京の英才網聯(北京)科技有限公司に出資

・2011年1月
上海に中国企業向けに人材紹介を行う職縁人力資源(上海)有限公司を設立

(同社資料より)
 
 
2012年3月期決算
 
 
前年同期間(10年1月~11年3月)との比較で、21.7%の増収、同27.4%の経常増益
売上高は前年同期間(10年1月~11年3月)との比較で21.7%増の156.8億円。人材採用ニーズの高まりを受けて主力サイトの「[en]社会人の転職情報」を中心に中途採用事業の売上が伸びた他、新卒採用事業もサイト掲載に加えて研修商品や採用活動の支援を行うプロセス商品の販売が伸び売上が増加。10年8月に子会社化したEWJ社がフルに寄与した事も売上の押し上げ要因となった(16.6億円の増収要因)。
 
 
利益面では、労務費(同3.9億円増)、人件費(同12.5億円増)、及び広告宣伝・販売促進費(同1.4億円増)を中心に費用が増加したものの、売上の増加により吸収。営業利益は30.4億円と同33.6%増加。財団設立に伴う寄付金(1.3億円)の計上等で営業外費用が増加した他、減損損失等の計上で特別損失も増加(2.0億円→6.8億円)したが、当期純利益は11.3億円と同8.4%増加した。
 
 
減損損失3.8億円の内訳は、撤退する結婚式場情報サイト「エン・ウエディング」と事業を関係会社に移管する経営人事戦略システム「FINE」にかかる減損損失1.3億円、及び当期実績及び来期以降の業績見通しを踏まえた総合求人情報サイト「[en]チャレンジ!はた☆らく」にかかる減損損失2.4億円。
 
1株当たり配当金は1,850円を予定
配当は1株当たり期末1,850円を予定している(従来予想の1,825円から25円引き上げ)。同社は配当性向30%を目処に各期の業績に応じた利益還元を適宜実施している。12/3期は特別損失を計上したものの本業が好調だった事と大きな投資案件が無かった事を踏まえ、上記の配当性向の目安にとらわれず配当を実施する予定(配当性向は36.1%となる)。
 
 
中途採用事業
当事業には、「[en]社会人の転職情報」、「[en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」、EWJ社、及び適性テスト等の「中途関連その他」の収益が計上されている。
12/3期は売上高136.1億円、セグメント利益36.3億円。成功報酬サービスへのシフトを進めた「[en]社会人の転職情報」(成功報酬サービスの比率は15%)の売上が、前年同期間(10年1月~11年3月)との比較で12.9%増加した他、派遣や若手層の募集が旺盛だった事を受けて「[en]派遣のお仕事情報」や「[en]チャレンジ!はた☆らく」の売上も増加。底堅いグローバル人材の採用ニーズを背景に業績堅調なEWJ社が期初から連結された事も売上の押し上げ要因となった。
 
 
新卒採用事業(中堅・中小、ベンチャー企業向けに特化)
当事業には、「[en]学生の就職情報」、新卒その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
12/3期は売上高16.1億円、セグメント損失1.9億円。新規開拓に苦戦したものの、サイト掲載だけでなく、研修商品や採用活動の支援を行うプロセス商品の販売が増加し、1社当たりの受注単価が増加した。経費節減や効率的な使用に取り組んだ事で損失が減少したが、新規開拓の苦戦が響き利益計上には至らなかった。
 
教育・評価事業
当事業には、教育評価、定額制研修サービス「エンカレッジ」、適性テストの収益が計上されている。
12/3期は売上高3.0億円、セグメント損失0.3億円。入社3年以内の社員向け研修商品を「早期戦力化商品」として、新卒採用事業に移管したため売上が減少したが、会員企業数の増加と講座の内製化等によるコスト削減により、定額制研修サービス「エンカレッジ」が11年10月にサービス開始以来初の単月黒字化を達成。
 
その他事業
当事業には、結婚式場情報サイト「エン・ウエディング」及び経営人事戦略システム「FINE」の収益が計上されている。
「エン・ウエディング」は、掲載効果を高める取組みを強化した事で掲載単価が上昇したものの、想定していた水準には届かなかった。また、「FINE」も総じて苦戦が続いた。 「エン・ウエディング」は12年6月末をもって事業から撤退し、「FINE」については12年7月に事業を関係会社に移管する事が決まっている。既に説明したとおり、両事業に伴う減損損失1.3億円を特別損失に計上した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
前年同期間(11年4月~12年3月)との比較で、7.7%の増収、15.5%の経常増益予想
売上高は前年同期間(11年4月~12年3月)との比較で7.7%増の137.7億円。成功報酬サービスをけん引役に「[en]社会人の転職情報」が伸び、中途採用事業の売上が増加。新卒採用事業や教育評価事業も増収が見込まれる。

利益面ではエン・ジャパン及びEWJ社において人員の増加を見込んでいることから販管費が増加するものの、増収効果に加え、不採算事業からの撤退及び関係会社への移管効果もあり営業利益は同6.2%増加。営業外損益、特別損益共に改善が見込まれ、当期純利益は15.3億円と同58.8%増加する見込み。配当は1株当たり100円増配の期末1,950円を予定。
 
 
 
中途採用事業
人材採用ニーズは堅調に推移する見込みで、特にネット・モバイル関連の技術者の需要や不動産業界等の採用意欲が高い。また、英語や中国語等の語学力がある人材を求める企業も増加傾向にあると言う。こうした中、成功報酬サービスを中心に「[en]社会人の転職情報」が伸びる他、減収が続いていた人材紹介会社集合サイト「[en]転職コンサルタント」が増収に転じる見込み。また、EWJ社の売上が増加する(23.8億円→25.7億円)他、EWJ社の子会社で日系企業への転職を希望するミドルクラスからエグゼクティブクラスをサポートするウィングコンサルティング(株)の寄与(予想売上高1.6億円)も見込んでいる。
 
新卒採用事業
引き続きサイト掲載からプロセス商品や研修商品までのトータル提案を推進すると共に新規開拓に注力し、黒字化を目指す。
 
教育評価事業
類似サービスの増加で競争が激化している定額制研修サービス「エンカレッジ」は、他事業との連携を強化し新規会員獲得を強化すると共に、新講座の開発により既存会員の満足度向上を図る。また、引き続き適性テストの販売を推進する。
 
 
 
今後の注目点
成功報酬サービス「サーチ型採用ソリューション」が順調に伸びている。同サービスを合わせた成功報酬サービスの売上は、10/12期(10年1月~12月)には「[en]社会人の転職情報」の売上の7%だったが、12/3期は15%に上昇した(13/3期は34%、20億円が目標)。今後は成功報酬サービスの売上構成比率を50%程度にまで高めていく考え。企業側の高い要求(採用基準)に応えていく困難さはあるものの、本当に必要な即戦力人材をピンポイントで求める企業側のニーズは今後も高まると考えられ、「en world」による海外展開と共に、成功報酬サービスの今後の進捗に注目したい。