ブリッジレポート
(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.35

(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 会長
越智 通勝 会長
鈴木 孝二 社長
鈴木 孝二 社長
【ブリッジレポート vol.35】2013年3月期業績レポート
取材概要「将来的な人口減少問題等を踏まえて海外展開を進める企業が増えており、これに伴い人材の採用ニーズも多様化している。同社グループは、多様な顧・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年6月18日掲載
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
会長
越智 通勝
社長
鈴木 孝二
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 15,687 3,047 2,884 1,135
2010年12月 9,991 1,774 1,803 875
2009年12月 10,209 1,259 1,212 459
2008年12月 21,329 5,943 5,906 3,090
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(6/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
168,100円 221,918株 37,304百万円 10.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,150.00円 1.3% 13,067.89円 12.9倍 68,847.07円 2.4倍
※株価は6/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
エン・ジャパンの2013年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
人材総合サービス企業として、求人サイトの運営と人材紹介を中心に事業を展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく海外展開を進めている。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。グループは、同社の他、連結子会社9社、持分法適用非連結子会社数1社等。
 
 
 
 
2013年3月期決算
 
 
「[en]社会人の転職情報」における成功報酬型求人広告と子会社エンワールド・ジャパンが増収をけん引
売上高は11年4月から12年3月までの12ヶ月間との比較で(以下、前年同期間比)、6.0%増(約7.7億円増)の135億63百万円。「[en]社会人の転職情報」の売上が成功報酬型求人広告を中心に3.6億円、子会社エンワールド・ジャパン(以下、EWJ社)の売上が5.8億円、それぞれ増加し増収をけん引。この他では、「[en]転職コンサルタント」(1.0億円増)や「[en]学生の就職情報」(1.2億円増)の売上が増加する一方、「[en]派遣のお仕事情報」(0.3億円減)及び「[en]チャレンジ!はた☆らく」(3.1億円減)の売上が減少した。
 
利益面では、人件費・労務費(5.1億円増)を中心に営業費用が増加したものの、増収効果で吸収して営業利益が前年同期間比9.5%増加。営業外費用及び特別損失の減少で当期純利益は15億45百万円と同60.4%増加した。
 
予想との比較では、「[en]社会人の転職情報」の下振れ(△3.8億円)で売上高が期初予想をわずかに下回ったものの、人件費・労務費、業務委託費、及び広告宣伝費・販促費等が想定を下回った。
 
 
中途採用事業
当事業には、「[en]社会人の転職情報」、「[en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」、
「[en]ウィメンズワーク」、EWJ社、及び適性テスト等の「中途関連その他」の収益が計上されている。
「[en]社会人の転職情報」及びEWJ社をけん引役に売上高が117億48百万円と前年同期比6.3%増加したものの、労務費・人件費を中心に営業費用が増加。コストが先行する成功報酬型求人広告強化の影響もあり、セグメント利益は26億40百万円と同8.9%減少した。
 
商品別では、「[en]社会人の転職情報」が前年同期間比増収ながら、計画未達。積極的な営業活動や各種のトライアル施策を実施した成功報酬型求人広告が概ね計画通りの売上を上げたが、掲載課金型求人広告(単価、件数共に安定はしていたが)の下振れが響いた。
 
この他、「[en]転職コンサルタント」は新規開拓が進み、前年同期間比増収となり計画を上回る着地。「[en]派遣のお仕事情報」は前年同期間比でわずかに減収となったものの、小規模派遣会社向けの新商品の販売が好調に推移し計画を上回る着地。前年同期間比32.8%の減収となった「[en]チャレンジ!はた☆らく」は、一般企業の求人から派遣会社が保有する様々な雇用形態の求人案件の掲載に戦略を転換し、事業の再構築を進めている。新たに立ち上げた「[en]ウィメンズワーク」は、会員獲得が順調だが、サイトオープンの遅れで計画を下回る着地。
 
グローバル企業向けにバイリンガル人材の人材紹介・人材派遣を手掛けるEWJ社は、消費財、IT、メディカル領域を中心に顧客企業の人材需要が強く、12年8月に立ち上げた国内成長企業向けの人材紹介ブランド「en premium」も堅調に推移した。営業利益は同11.7%増の4億79百万円。
 
 
新卒採用事業
当事業には、「[en]学生の就職情報」、新卒関連その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
売上高は前年同期間比8.9%増14億84百万円、セグメント利益は1億33百万円(前年同期間は85百万円の損失)。サイト掲載から入社後のフォローまでをパッケージ化した商品の販売強化で1社当たりの受注単価が上昇。人件費(5億40百万円→4億94百万円)、広告宣伝費(1億79百万円→1億39百万円)を中心にコスト削減も進み、4期ぶりに黒字化した。
 
教育評価事業
当事業には、人事制度コンサルティング、定額制研修サービス「エンカレッジ」、適性テストの収益が計上されている。
複数のテストのセット販売の増加で1社当たり単価が上昇し、売上高が2億94百万円と同17.0%増加。会員企業数の増加で定額制研修サービス「エンカレッジ」が通期で黒字化する等で、前年同期間は17百万円の損失だった損益が43百万円の利益に転じた。
 
 
今後の事業方針
 
13/3期は、成功報酬型求人広告の成果を高め成長ドライバーとする事、海外事業を積極的に推進しグローバル展開の基盤を構築する事の2点を事業方針に掲げ、取組んだ。この結果、前者については、成功報酬型求人広告の売上が前年同期比93.4%増加し、「[en]社会人の転職情報」に占める比率も28%に上昇した(前年同期は16%)。また、後者については、13/3期中にオーストラリアの人材紹介会社Calibrate Recruitment Pty Ltdを買収した他、韓国に人材紹介会社を設立。14/3期入りした13年4月にベトナムNo.1の求人サイト及び人材紹介を展開しているNavigos Groupを買収した。
 
14/3期も、成功報酬型求人広告の成果を高め成長ドライバーとする方針を継続していく考え。13年4月にはエン・ジャパンが行う人材紹介サービス「[en]PARTNER」を本格的にスタートするなど、商品ラインアップを拡充し、人材紹介を含めた成功報酬型商品の売上高、比率を伸ばす計画。
 
 
また、もう一つの方針であるグローバル展開については、M&Aを中心に進めていく。現在、5カ国に7つの事業会社を展開しており、うち5社が14/3期から連結対象となる。
 
※1 (株)シーベース(2012年に子会社化) 採用管理、人事評価、Webリサーチシステム等のASP事業を展開。
 
※2 Navigos Group は2014年3期第3四半期から連結化を予定。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比20.2%の増収、同15.0%の営業増益予想
14/3期の事業環境について、同社は円安や株高を背景とした企業業績の回復が期待され、IT、不動産、ヘルスケアを中心に企業の人材採用意欲が旺盛な状況が続くと見ている。EWJ社を含めた中途採用事業が業績をけん引する見込みで、海外子会社等の連結化も始まる。利益面では、新卒採用事業のプロモーション強化や連結子会社ののれん代発生等により営業費用が増加するものの、増収効果で吸収して営業利益が32億円と同15.0%増加する見込み。
配当は1株当たり200円増配の期末2,150円を予定している。尚、13年10月1日を効力発生日として1株を100株に分割する予定。
 
 
 
 
 
今後の注目点
将来的な人口減少問題等を踏まえて海外展開を進める企業が増えており、これに伴い人材の採用ニーズも多様化している。同社グループは、多様な顧客ニーズを取り込むべく、サービスラインアップの拡充に努めており、特に、成功報酬型の求人広告サービスを戦略商品と位置づけて力を入れている。また、10年8月には、グローバル企業向けの人材紹介・人材派遣を手掛けるEWJ社(当時の社名はウォールストリートアソシエイツ)を子会社化。現在、EWJ社の強みである人材紹介ビジネスのノウハウやグローバル企業とのリレーションを活かし海外事業を進めている。11年5月にシンガポール、12年4月に香港、12年12月に韓国に子会社を設立した。M&Aでは12年6月にオーストラリアの人材紹会社 Calibrate Recruitment Pty.Ltd. を、13年4月にはベトナムで求人広告及び人材紹介を展開する Navigos Group を子会社化した。14/3期は海外子会社等の連結化も始まる。このため、11年4月から12年3月までと仮定した場合の12/3期には1.2倍だった売上高の連単倍率が14/3期は1.4倍に拡大する見込み。引き続き同社はM&Aを中心としてアジア太平洋エリアへの展開を推進する方針であり、今後の動向に注目したい。