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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.46

(4709:東証2部) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.46】2014年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「前下期からの情報サービス産業の回復基調という追い風に乗り、今期は四半期ごとに売上が伸びている。主に企業の先行投資であるソフトウエア・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年2月25日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 16,446 427 448 -490
2012年3月 16,137 629 659 365
2011年3月 16,450 839 892 447
2010年3月 17,263 850 864 155
2009年3月 18,458 1,057 1,109 563
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(2/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
622円 7,131,445株 4,435百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
24.00円 3.9% 46.27円 13.4倍 776.66円 0.8倍
※株価は2/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2014年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更した。
 
【事業セグメント】
事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。
 
システム運営管理 (13/3期売上構成比61.4%)
1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウエア開発・保守 (13/3期売上構成比34.9%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。
 
その他 (13/3期売上構成比3.7%)
セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。
 
また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が52.1%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.9%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が16.0%。
 
 
【IDグループ】
グループは、同社の他、国内外の連結子会社7社。このうち国内(4社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC.(同100%、IDアメリカ)。
 
 
【IDグループのサービスの特徴 -i-Bos24®(ID's Business Operations-Outsourcing Service 24)-】
同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。
 
 
【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向
 
経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(14年2月18日発表。12月確報値)を見ると、受注ソフトウェアおよびシステム等管理運営受託の売上高の12月前年同月比はそれぞれ+5.3%、+4.8%と好調で、情報サービス産業全体でも同+5.4%となり、回復傾向が鮮明になっている。また、内閣府が2月17日に発表した13年10-12月の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.0%増となった。外需寄与が2期連続マイナスとなった一方で、内需は2期連プラス。情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)は7-9月期0.2%から1.3%へと伸び率は拡大した。
 
 
(2)同社の取り組み
キーワードは、「Business Operations Outsourcing」、「グローバル展開」、及び「iD-CLOUDの推進」。具体的には、一つの顧客に対し、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した13企業グループを深耕する。また、「グローバル展開」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携でグローバルなITサポート体制の構築を進めている。
 
一方、「iD-CLOUD」の推進では、クラウドコンピューティングの普及に伴い、今後、需要の増加が見込まれる基盤系(プラットフォーム系)開発業務において要員の育成を行い、顧客ニーズに広範かつ迅速に対応できる体制を構築する。クラウド関連サービスを提供する他社との提携にも柔軟に対応していく考えだ。尚、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービス。
 
これまでの業績推移と今後のイメージ
 
 
2014年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比8.2%の増収、同73.2%の経常増益
売上高は前年同期比8.2%増の130億9百万円。主要事業のシステム運営管理事業において、一部顧客における運用構築業務が回復、プラットフォーム系開発業務の受注が増加し、大手ITベンダー経由の受注も好調であった。また、ソフトウエア開発・保守事業では、顧客ニーズを捉えた積極的な提案活動や、オフショアを活用した高付加価値サービスの提供等により受注が堅調に推移した。
経常利益は前年同期比73.2%増の5億92百万円。売上高の増加および高収益案件の獲得、事業構造改革実施に伴う収益体質の改善、低採算案件の見直しなどにより大幅増益となった。売上高総利益率は前年同期17.4%から18.5%に、販管費率は同14.6%から14.2%に、いずれも改善している。
 
 
システム運営管理事業の売上高は前年同期比5.6%増の79億44百万円。昨年度一時的に減少した一部顧客における運用構築業務が回復、プラットフォーム系開発業務の受注が増加し、大手ITベンダー経由の売上も増加した。
ソフトウエア開発・保守事業の売上高は前年同期比14.8%増の46億81百万円。企業のIT投資に明るさの見えるなか、顧客ニーズを捉えた積極的な提案活動や、一括受託サービスの提供等により既存顧客からの受注が拡大した。
その他事業の売上高は前年同期比8.4%減の3億83百万円。海外現地法人の売上が増加したものの、コンサルティング売上が減少した。
 
 
四半期ごとに見ると、3Q(10~12月)では前期(2Q)比、前年同期(13/3期3Q)比とも増収となっており、着実に回復している。利益率も比較的高い水準を維持している。
 
 
3Q末の総資産は前期末比5億65百万円減の92億35百万円。現預金が6億19百円、繰延税金資産が1億58百万円減少し、売上債権は2億36百万円増加した。負債は前期末比8億57百万円減の33億1百万円。有利子負債が1億95百万円、未払金が4億81百万円、賞与引当金が2億65百万円減少した。純資産は前期末比2億91百万円増の59億34百万円。四半期純利益3億15百万円及び配当金の支払い1億48百万円あった。自己資本比率は62.4%で前期末比6.5ポイント改善した。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
通期予想に修正はなく、売上高は前期比2.6%増の168億70百万円、経常利益は同38.4%増の6億20百万円を見込む。主力のシステム運営管理事業をさらに強化すると同時に、これまで推進してきた「BOO戦略」、「グローバル戦略」、「プラットフォーム系開発業務およびクラウドサービスの拡大」にいっそう注力する。尚、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービス。配当は1株当たり24円の期末配当を予定、これまでの21円から増額修正した。
 
 
今後の注目点
前下期からの情報サービス産業の回復基調という追い風に乗り、今期は四半期ごとに売上が伸びている。主に企業の先行投資であるソフトウエア開発・保守で14.8%の増収となっていることが今後の明るいことを示しており、システム運営管理の売上増に結びつく構図が考えられる。通期予想に修正はなかったが、3Q累計経常利益の通期予想に対する進捗率は95.6%と高く、予想を上回って着地すると思われる。マクロ経済の面からも、円高修正や株価上昇による景況感改善 → 景気の本格回復 → 設備投資の回復 → IT投資への波及、と言うシナリオが描ける。中期的な見通しも明るい。
東証2部に市場変更している。足元の好業績に加え、今後の中期的な事業環境が良好にもかかわらずPBRは低位にとどまっている。配当を増額修正、配当利回りが高いこともあり、株価には見直し余地がありそうだ。