ブリッジレポート
(6089) 株式会社ウィルグループ

東証1部

ブリッジレポート:(6089)ウィルグループ vol.3

(6089:東証1部) ウィルグループ 企業HP
池田 良介 社長
池田 良介 社長

【ブリッジレポート vol.3】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期の業態別の売上は、一般派遣が前年同期比46.0%増、ハイブリッド派遣が同9.6%増、そしては業務請負が同32.8%増。いずれの業態も売上が順調・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ウィルグループ
社長
池田 良介
所在地
東京都中野区本町1-32-2
決算期
3月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 32,586 939 950 547
2014年3月 26,798 808 774 384
2013年3月 22,174 618 631 289
2012年3月 19,049 478 472 161
株式情報(12/4現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
919円 9,516,556株 8,746百万円 19.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
6.50円 0.7% 63.30円 14.5倍 641.97円 1.4倍
※株価は12/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ウィルグループの2016年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
販売支援スタッフ、コールセンターオペレーター、食品業界を中心とした製造ラインスタッフの人材派遣、人材紹介等を手掛ける持ち株会社。フィールドサポーターと呼ばれる社員が現場に常駐する「ハイブリッド派遣」が特徴。現場第一主義を掲げ他社との差別化を図っており、売上高1,000億円を目指し新規事業の創出にも注力している。グループ会社は、セールス及びコールセンターのアウトソーシングを手掛ける(株)セントメディア、製造業に特化したサービスを手掛ける(株)エフエージェイ、小・中学校等へのALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)派遣や幼児・児童向け語学教室運営等の(株)ボーダーリンク、販促プロモーションの(株)クリエイティブバンク、ITコンサルティング業のハイブリィド(株)、シンガポールの人材サービス会社Scientec Consulting Pte. Ltd.、Good Job Creations (Singapore) Pte.Ltd.、ミャンマーのコンサルティング会社GJC Myanmar Ltd.等(2015年11月現在)。
 
 
同社グループの前身は、1997年1月に大阪市北区において設立されテレマーケティング業を営んでいた、現在は連結子会社である(株)セントメディアである。一方、同じく1997年8月、大阪市浪速区に短期型の業務請負業を手掛ける(株)ビッグエイドが設立され、現在の代表取締役社長池田良介氏は創業メンバーの一人として同年10月に(株)ビッグエイドに入社した。

2000年2月、テレマーケティング業と業務請負業の相乗効果を図る事を目的として、両社が(株)セントメディアを存続会社として合併し、池田良介氏が合併後の会社の社長に就任。以降、(株)セントメディアを中核会社として人材サービス分野の事業を展開し、市場の変化に対応する形で新規事業の創出や既存事業の再編を重ねてきた。
2006年4月、事業会社の専門性向上と経営資源の最適化を図るべく純粋持株会社体制に移行し、(株)ウィルホールディングスとして再スタート(2012年6月に(株)ウィルグループに商号変更)。2013年12月に東証二部上場を果たし、2014年12月に東証一部に指定された。

2015年6月にはミャンマーでコンサルティングサービスを提供するGJC Myanmar Ltd.、及びコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「ウィルグループファンド投資事業有限責任組合」を設立。CVCは、東南アジア旅行者と現地の人が企画した「アクティビティー・プラン」のマッチングサイト「Travee(トラビー)」を運営する(株)Travee(神奈川県川崎市)、窓やドアからの侵入を検知し、スマートフォンに通知するホームセキュリティサービスを提供する(株)Secual(東京都渋谷区)、アマチュアゴルファー向けに、レッスンプロによるオンラインレッスンのマッチングサービスを提供するAnother Shot Golf (株)(東京都港区)への投資実績を有する。
 
 
池田社長はITバブル崩壊後の苦難の時期、ある著名な上場企業の創業経営者に、そうした際にどんな VISION や MISSION を掲げれば部下や社員が付いてきてくれるかを相談したところ、「まだその若さであれば、言葉を掲げるのではなく、自分の仕事の現場に没頭しなさい。何年かそうやって必死にやっていれば本当に自分の言葉による VISION や MISSIONが生まれてくる。それからでも遅くない。」とのアドバイスを受け、派遣の現場でスタッフと共に仕事に邁進したという。

多くの苦労もしたが、そうした経験の中から、自らの価値を磨いて自信を付け、自分を成長させ前向きに進めば、自分の周りの人間をも前向き、ポジティブにすることができるという事を学んだ。そうした自分の周りの人間はもとより、自らがかかわる組織にもポジティブな影響を与えることが、池田社長及び同社の社会的存在意義であると確信し、MISSION、VISION、VALUE を自らの言葉として掲げることとした。
 
【事業内容】
「セールスアウトソーシング事業」、「コールセンターアウトソーシング事業」、及び「ファクトリーアウトソーシング事業」の3事業が売上高の約90%を占め、各事業共、市場を上回るスピードで成長してきた。また、同社は次の成長の柱を育成するべく、上記3事業と並行して、様々な人材関係ビジネスの種蒔きを行っており、関連する収益が「その他」に計上されている。
 
 
セールスアウトソーシング事業
家電量販店、携帯ショップ等における販売業務を通して、顧客の商品・サービスの拡大を支援している。取扱商品は、スマートフォン等のモバイルデバイスやブロードバンドが中心であり、接客、商品説明、申込み等の販売業務、販売スタッフのマネジメント、販売情報の収集・報告等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)する他、一般派遣や業務請負を行っている。また近年では対象分野拡大のため、アパレル業界への派遣にも取り組んでいる。
 
コールセンターアウトソーシング事業
コールセンターを運営する企業やテレマーケティングサービスを展開する企業に対してオペレーターを派遣している。コールセンターの中でも、通信会社向けを中心としており、情報提供、配送、アフターサービス、相談、苦情の受付、処理、解決等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)または一般派遣している。また、自社でコールセンターを保有し、顧客のテレマーケティングの業務請負も行っている。
 
ファクトリーアウトソーシング事業
製造業の生産過程において、技術や人材管理ノウハウを提供し、顧客の生産性の向上を実現するサービスを提供している。同事業を行っている(株)エフエージェイでは、製造業の中でも、比較的景気変動の影響が少ない食品製造業を中心に、製造、検査、品質管理、仕分け、梱包等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)するほか、一般派遣や業務請負を行っている。
 
その他
成長の柱を育成するべく、オフィス等への人材派遣、スポーツ業界人材紹介、介護職派遣、ALT(外国語指導助手)派遣、IT技術者派遣、ネット人材紹介、海外人材サービス、シェアハウス、3Dクラウド等で新規事業の育成に向けた種蒔きを行っており、これらに関連する収益が計上されている。
 
【市場環境   -労働者派遣市場は5兆円台で安定、労働者派遣法の改正がビジネスチャンスに-】
厚生労働省発表の「労働者派遣事業報告書の集計結果」によれば、一般派遣、特定派遣を合計した労働者派遣事業に係る売上高はリーマン・ショックによって大きく減少したが、足元では5 兆円台で安定して推移している。こうした中、安倍政権が成長戦略の1つとして進めてきた改正労働者派遣法が2015年9月に成立し施行された。今回の改正は多様な働き方の実現と、派遣労働者のキャリアアップの支援及び正社員への道を開く事を目的としており、派遣市場の活性化に寄与するとみられている。
 
改正労働者派遣法のポイント
無期雇用(常用雇用)派遣労働者の派遣期間と専門26業務の撤廃。有期雇用派遣は派遣期間の上限の対象が「業務」から「人」へ
改正前の制度では、ソフトウェア開発、機械設計、通訳・翻訳・速記等の「専門26業務」以外では、一つの「業務」で派遣労働者を活用できる期間が最長3年に制限されていた。派遣労働者、つまり「人」を変えても最長3年で、再度人材派遣を活用したければ、3か月程度の期間を開ける必要があった。

しかし、今回の改正で、「専門26業務」の業務区分が撤廃され、派遣会社に無期雇用(常用雇用)されている派遣労働者は「業務」に関係なく派遣先で期限なく働く事ができるようになり、有期雇用の派遣労働者も最長3年まで働く事が可能になった。派遣労働者を受け入れている企業側から見ると、無期雇用派遣労働者であれば期限なく、有期雇用の派遣労働者であっても、派遣労働者が交代すれば、一つの「業務」で期限なく派遣労働者を活用できるようになった(交代回数の制限もない)。今回の改正で企業が派遣労働者を活用しやすくなるため派遣会社のビジネスチャンスが拡大し、一方、派遣労働者にとってはキャリア形成の実現機会が増える。
 
 
派遣事業者の届出制から許可制への移行と教育義務
また、今回の改正で派遣会社に一定以上の規模と質が求められるようになる。改正前の制度では、無期雇用社員を派遣する特定派遣の派遣会社は届出だけで開業できたが(有期雇用社員を派遣する一般派遣の派遣会社は許可が必要だった)、今回の改正で、派遣会社の開業には全て許可が必要になった。許可要件には、純資産額 2,000万円以上、現預金 1,500万円以上等の財務的な基準に加え、教育訓練の実施も含まれるため派遣会社は人材育成に今以上に大きな責任を負う事になる。許可基準の充足は中小派遣会社には負担が大きいため、現在、5万社を超えると言われる派遣会社の淘汰が進み、上場企業を中心とした大手による寡占が進むとみられている。
 
 
ハイブリッド派遣とカテゴリ特化型を特徴とする事業展開
 
同社の特徴は、フィールドサポーターを核とした「ハイブリッド派遣」と、特定のカテゴリを深掘りしつつ(カテゴリ特化型)、多様なカテゴリで事業展開を進めている事の2点である。
 
(1)フィールドサポーターを核とした「ハイブリッド派遣」
ハイブリッド派遣の概要
人材派遣業界において同社を特徴づけ、成長のドライバーとなっているのが「ハイブリッド派遣」というシステム。人材派遣とは、派遣会社と雇用契約を締結したスタッフを、派遣会社が労働者派遣契約を締結した顧客企業に派遣する事をいう。雇用関係と指揮命令関係が分かれている事が特徴で、派遣会社は、労働者派遣契約に基づき派遣先企業から派遣料金を受領し、雇用契約に基づき派遣スタッフに給与を支払う。一方、派遣スタッフは、派遣先において顧客企業の担当者の指揮命令の下で働く事になる。

一般派遣では、複数の派遣会社から派遣されたスタッフが現場に入り交じっているケースが多く、顧客企業の現場担当者による派遣スタッフへの指揮命令や情報共有が複雑になってしまう傾向がある。派遣会社にはコーディネーターという職種の正社員が、派遣スタッフのフォローを行うのが一般的だが、コーディネーターは現場にいるわけではないので、家電量販店の現場やコールセンターの電話ブース等で日々起こる様々な問題に正社員が即応する事はできない。また、派遣先の職場環境や職種、スタッフ個々の資質等の条件によって違いはあるが、一般派遣の場合はスタッフのロイヤリティやチームワーク意識の低さが、スタッフの高離職率やトラブル発生の頻度の高さに繋がりやすく、顧客企業、派遣会社双方にとって課題が多い面もある。

これに対し、同社の「ハイブリッド派遣」では、フィールドサポーター(FS、現場常駐社員)と呼ばれる同社の正社員が現場に入り派遣スタッフと一緒に同じ仕事をすると共に、同社の派遣スタッフを現場で日々管理・指導・教育している。このため、顧客担当者は、FSに指揮命令すれば、各スタッフ個々に指導する必要は無いため、指揮命令がスムーズになると共にスピーディーな情報共有も可能になるため、業務を効率的に進める事が出来る。

また、「ハイブリッド派遣」は同じ現場に正社員が常駐する事で派遣スタッフの士気が向上するため、良いチームワークが生まれ、派遣スタッフの責任感も強くなる。加えて、即時に顧客のニーズへの対応ができるため、現場の急な増員計画にも柔軟に対応することができるなど、顧客企業からの評価も高まり、オーダーの増加等の新たな人材派遣の引き合いや、さらには業務請負契約に進むケースも多く見られる。また、優秀なスタッフには、派遣先顧客企業から直接雇用の要望があることもあり、その場合は人材紹介を行うなど、事業機会の拡大にも繋がっている。「1人のFSに平均して約50名のスタッフ」というのが平均的なチームの形だが、同社が有望顧客と考える先には、その後のビジネス拡大のために少数からスタートし、「ハイブリッド派遣」のメリットを理解してもらい、その後のオーダー拡大につなげる事もある。2015年9月末のFS数は264名と前期末に比べ79名増加した。今後も拡大を続けていく。
 
 
インストアシェアの拡大を可能にする「ハイブリッド派遣」
ハイブリッド派遣はインストアシェア(特定の顧客における派遣・請負スタッフ数のうち、自社の派遣・請負スタッフが占める割合)拡大の原動力でもある。具体的には、一般派遣の市場を開拓し、その後、強みであるハイブリッド派遣へシフトさせる事でインストアシェアの向上につなげている。ハイブリッド派遣によってチームとしての顧客の信頼を得た後、業務請負に移行させる事で、収益性を高めると共に顧客との関係を一段と強化する事ができる。
 
 
ハイブリッド派遣を可能にするもの
「現場で正社員であるFSがスタッフとしても一番になったうえで、現場を指導する」という形にしなければチームを機能させる事はできない。同社の場合、池田社長も含め、現在の部長やマネージャーのほとんどは新卒で入社し、スタッフとして現場で働き、派遣の現場で起こる事を全て経験している。この「現場第一主義」がハイブリッド派遣を可能にするカギと言える。逆に、こうした現場感覚の無い人間がチームという形を整えるために上司として現場に入っても課問題解決にはつながらず、逆に、スタッフがすぐ辞める、現場に入った正社員がスタッフ化してしまう(本社に対するロイヤリティを低下させる)といった問題が起きる。このため、同業他社がチームという形だけ整えても同社と同じクオリティを顧客に提供するには数年はかかる。ただ、他社がこれから本気で取り組めば不可能ではないため、同社は派遣スタッフの早期育成・戦力化を進めるための仕組み作りに取り組んでいる。
 
(2)カテゴリ特化型の事業展開
現在、同社は「販売スタッフの派遣・請負」(セールスアウトソーシング事業)、「コールセンターのオペレーター派遣・請負」(コールセンターアウトソーシング事業)、及び「工場等の軽作業スタッフの派遣・請負」(ファクトリーアウトソーシング事業)の3事業を収益基盤に、第4、第5の事業の柱を構築するべく、9つの事業の育成に取り組んでいる(収益は「その他の事業」セグメントに内包されている。)。9事業はいずれも主要3事業同様にカテゴリ特化を特徴とし、スタートアップの段階のものがほとんどだが、「介護職派遣」や「オフィス等への人材派遣」等、既に一定の規模に成長している事業もある。
このようにカテゴリ特化型の人材サービスに積極的に取り組んでいる事が、同社グループの二つ目の特徴である。
 
 
 
2016年3月期上期決算
 
 
前年同期比30.8%の増収、同83.4%の営業増益
有効求倍率の上昇等、雇用情勢が改善傾向で推移する中、スマートフォン市場の拡大を背景とした携帯ショップや家電量販店の販売スタッフ及びコールセンターで操作説明を行うオペレーターの需要が増加した他、惣菜、コンビニエンスストア向けスイーツ、弁当等、中食市場の拡大を追い風に食品製造業の人材需要も堅調に推移した。

こうした中、同社はカテゴリ特化型の事業展開が奏功し、上記の旺盛な人材需要の取り込みに成功。スマートフォン等の販売スタッフの派遣・請負を中心とするセールスアウトソーシング事業の売上が前年同期比20.6%増加した他、コールセンターのオペレーターの派遣・請負を中心とするコールセンターアウトソーシング事業の売上も同17.9%増加。食品製造業中心に工場等の軽作業の請負、作業スタッフの派遣を手掛けるファクトリーアウトソーシング事業の売上は同31.3%増と大きく伸びた。また、14/3期に開始した介護職派遣が急拡大する等、新規事業も総じて順調に推移し、その他の事業の売上が同倍増した。

上記の結果、売上高は198億60百万円と同30.8%増加した。利益面では、セールスアウトソーシング事業において利益率の高い業務請負の比率が高まった事に加え、増収効果で事業全般の収益性も改善し、売上総利益率が20.1%と1.2ポイント上昇。事業の拡大に向けた人材採用や拠点開設等、先行投資による販管費の増加を吸収して営業利益が6億14百万円と同83.4%増加。減損処理に伴う投資有価証券評価損94百万円など97百万円の特別損失を吸収して、最終利益は2億62百万円と同38.3%増加した。
上期末の従業員数は851名と前期末に比べて180名増加(新卒採用84名、連結子会社化したクリエイティブバンクの従業員24名、その他中途採用等により72名)。同社の特徴であるフィールドサポーターは264名と同79名増加した。
 
期初予想との差異要因
利益面で期初予想を大きく超過したが、同社はその要因として、セールスアウトソーシング事業における利益率の高い業務請負の上振れ、介護職派遣の急拡大、予算未消化等を挙げている。
 
 
 
上期は売上高74億74百万円(前年同期比20.6%増)、セグメント利益5億83百万円(同36.0%増)。売上面では、スマートフォン出荷台数の増加を背景に販売スタッフの需要増が続いた事に加え、2015年4月より開始した官公庁向け人材サービスや2015年9月に連結子会社化した(株)クリエイティブバンクも貢献した。利益面では、利益率の高い業務請負が伸び売上総利益が向上し、売上の増加と相まって業容拡大に伴う人件費等の固定費の増加を吸収した。
 
人材サービスを含めたプロモーションサービスの提供で(株)クリエイティブバンクとのシナジーを追及
9月に大手IT関連企業をクライアントとする広告代理店(株)クリエイティブバンクを連結子会社化し、人材サービスを含めたプロモーションサービスを開始した。具体的には、(株)クリエイティブバンクが企画・提供する販促プロモーションサービスにウィルグループの人材を供給する事で、顧客にワンストップサービスを提供していく。
 
 
上期は売上高46億33百万円(前年同期比17.9%増)、セグメント利益2億82百万円(同14.7%増)。売上面では、近年のスマートフォン市場の急拡大を背景に操作説明等を行うオペレーターの需要が増加しており、長期案件を中心に需要の取り込みが進んだ。利益面では、業容拡大に伴う人件費や採用費の増加を増収効果で吸収した。
 
 
売上高45億70百万円(前年同期比31.3%増)、セグメント利益2億38百万円(同35.7%増)。製造業向けに特化したサービスを提供する当事業のけん引役は食品製造業。上期は非食品製造業分野からの受注も増加したが、食品製造業分野の売上が25億38百万円となり、セグメント売上高全体の約55.5%を占めた。利益面では、営業展開地域の拡大等による人件費や採用費の増加を増収効果で吸収した。
 
 
売上高31億82百万円(前年同期比101.8%増)、セグメント利益44百万円(前年同期は58百万円の損失)。当事業には、オフィス等への人材派遣、介護職派遣、ネット人材紹介、外国語指導助手派遣、シンガポール等のASEAN地域で展開している海外事業等、9つの事業が内包されている。売上面では、拠点の増設で介護職派遣の売上が伸びた他、新規案件の獲得によりオフィス派遣の売上も増加。昨年8月に子会社化したScientec Consulting Pte. Ltd.(本社:シンガポール、以下STC)が今期は期初から寄与した事も大きかった。利益面では、利益率の高いネット人材紹介の拡大や当事業に内包する多くのサービスが増益または赤字縮小となり、セグメント損益が黒字転換した。
 
 
人材派遣、業務請負、人材紹介のいずれもが高い売上の伸びを示しており、中でも注目すべきは、一般派遣の高い伸び。同社は、今後の利益計画等を踏まえて順次フィールドサポーターを投入し、ハイブリッド派遣へ移行させ、更にその中から利益率の高い業務請負への移行へシフトさせていく考え。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて、16億35百万円増の96億58百万円。資産の増加は、主に流動資産における売掛金の増加と固定資産における、クリエイティブバンクの子会社化によるのれんの増加。一方、負債の増加は、主に買掛金の増加と借入金の増加によるもので、純資産の増加は、四半期純利益の計上及びクリエイティブバンクの子会社化による非支配持分の増加と配当金の支払いの差額である。自己資本比率32.9%(前期末38.0%)。
 
 
営業CFがマイナスになったのは、税制改正に伴い消費税の確定納付が増加したため。投資CFも(株)クリエイティブバンクの子会社化等でマイナス幅が広がった。一方、財務CFは、(株)クリエイティブバンクの買収に伴う借入等で黒字となった。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、前期比20.1%の増収、同16.5%の営業増益
下期も各事業で堅調な推移が見込まれるものの、経済情勢の先行き不透明感や未消化となっている予算の執行等を踏まえて業績予想を据え置いた。

通期売上高は前期比20.1%増の391億20百万円。スマートフォン関連の販売スタッフの増加でセールスアウトソーシング事業の売上が同10.1%増加する他、通信キャリアからのスマートフォン関連のオペレーター需要を中心にコールセンターアウトソーシング事業の売上も同15.0%増加する見込み。また、食品製造業との取引が過半を占めるファクトリーアウトソーシング事業も、全国に複数の生産拠点を有する顧客の他拠点への展開等で売上が同18.0%増加する見込み。この他、積極的に拠点開設を進める介護職派遣、オフィス等への人材派遣、更にはネット人材紹介等の拡大でその他の事業の売上が同68.7%増と伸びる。

営業利益は保守的な予想ながら、10億94百万円と同16.5%の増加を見込んでおり、同社が重視しているEBITDAは、12億84百万円と同17.7%増加する見込み。

配当は、1株当たり記念配当6.0円を落とし、普通配当を0.5円増配の年6.5円を予定。同社は成長を維持させるための事業展開と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績と経営全般を勘案して株主に対して株主還元を実施していく考え。連結配当性向10%以上の株主還元を方針としている。
 
 
(2)ハイブリィド(株)の子会社化と(株)NOWALLへの出資
11月にITコンサルティング業を営むハイブリィド(株)を子会社化すると共に、システムインテグレーションとプログラミングスクールの運営を手掛ける(株)NOWALL(ノーウォール)に出資した。

ハイブリィド(株)は中堅及び中小企業向けに情報システム部門育成支援サービスを提供している。今後の中堅及び中小企業における情報システム部門強化の動きを見据えて、ハイブリィド(株)を子会社化した。

一方、(株)NOWALLへの出資では、(株)NOWALLが運営するプログラミングスクールの卒業生に対して、ウィルグループのエンジニア派遣事業やネット人材紹介サービスを通じて活躍の場を提供していく考え。
 
 
今後の注目点
上期の業態別の売上は、一般派遣が前年同期比46.0%増、ハイブリッド派遣が同9.6%増、そしては業務請負が同32.8%増。いずれの業態も売上が順調に伸びており、「同社は、一般派遣が伸び、つれてハイブリッド派遣に移行し、更には業務請負が増加する」と言う好循環の中にある。これにより、人材需要が旺盛な事業環境下で利益成長が加速する事はもちろんだが、不況抵抗力も強くなる。
人材派遣で顧客を開拓し、その後、業務請負にシフトさせる事で収益性を高めると共に顧客グリップを強化する事は、人材派遣会社共通の戦略ではあるが、「ハイブリッド派遣」と言う他社に真似できないサービスを駆使して着実に取引をステップアップさせているのは同社だけだ。事実、業績好調な人材サービス業界にあって、同社は群を抜く高い利益成長を実現している。良好な事業環境の陰に隠れがちではあるが、高い利益成長の背景にあるものが、本質的には“戦略”と“その着実な実行”である事の認知が広がれば、市場での同社の評価は更に高まるのではないだろうか。